特許第6204054号(P6204054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204054
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】鏡面ボード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27M 3/00 20060101AFI20170914BHJP
   B32B 21/08 20060101ALI20170914BHJP
   B32B 27/42 20060101ALI20170914BHJP
   B27D 5/00 20060101ALI20170914BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B27M3/00 N
   B32B21/08
   B32B27/42
   B27D5/00
   E04C2/26 Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-89419(P2013-89419)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-213451(P2014-213451A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】512227904
【氏名又は名称】寧波東誠家居用品製造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 大明
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3164487(JP,U)
【文献】 特開2012−206473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27M 1/00 − 3/38
B32B 1/00 − 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード(11)の表面には180g/m2以上のメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを重ね、
該メラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード(11)表面に厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層(12)を形成し、上記鏡面加熱板、離型剤及び艶出し剤によって上記鏡面メラミン樹脂層(12)に光沢度及び平滑性を付与するとともに該鏡面メラミン樹脂層(12)によって硬度、磨耗強さ、耐熱性及び耐火性を付与した鏡面ボードを製造するようにしたことを特徴とする鏡面ボードの製造方法。
【請求項2】
上記メラミン樹脂シートを3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の上昇率でもって115°C〜125°Cの範囲内の設定温度まで昇温し、所定時間保持した後、上記設定温度から3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の下降率でもって降温するようにした請求項1記載の鏡面ボードの製造方法。
【請求項3】
ボード(11)の表面に180g/m2以上のメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを原料とする厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層(12)を有し、製造に用いられた鏡面加熱板、上記離型剤及び艶出し剤によって上記鏡面メラミン樹脂層(12)に光沢度及び平滑性が付与されるとともに、該鏡面メラミン樹脂層(12)によって硬度、磨耗強さ、耐熱性及び耐火性が付与されていることを特徴とする鏡面ボード。
【請求項4】
ボード(11)の裏面にメラミン樹脂シートを原料とするメラミン樹脂層(13)を有する請求項3記載の鏡面ボード。
【請求項5】
上記メラミン樹脂シートは木目模様を有する請求項3又は4記載の鏡面ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鏡面ボード及びその製造方法に関し、特に表面の光沢度を大幅にアップさせるようにした鏡面ボード及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングテーブルやセンターテーブルなどの天板には木目の美しい鏡面ボードがよく用いられる。
【0003】
この鏡面ボードを製造する場合、天然の板材の表面にポリエステル樹脂塗料などを塗って硬化させ平滑に研磨するという作業を繰り返した後、最後にバフによって光沢研磨仕上げを行うようにした方法が知られている(特許文献1)。
【0004】
しかし、この鏡面ボードでは板材の木目がそのまま見えるので、高級感のある木目鏡面ボードを製造する場合には木目の美しい高級な板材を使用する必要があってコスト高になる。
【0005】
他方、中密度繊維板(以下、「MDF」という) の表面に下地塗料を塗布し、硬化後に研磨し、その上に天然木の木目模様を転写又は印刷した後、透明な仕上げ塗料を塗布し、硬化後に仕上げ研磨をして製造するようにした鏡面ボードが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
【0006】
しかし、この鏡面ボードでは天然木に樹脂塗料を塗布する場合に比較して安価であるものの、印刷層や転写層が非常に薄く、その木目模様から受ける印象が薄っぺらで天然木とは大きく相違し、見栄えの点で劣る。
【0007】
また、木目模様を有する厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを中密度繊維板に積層して高圧プレスすることによって、中密度繊維板の表面に厚さ0.1mm以上のメラミン樹脂層を形成し、メラミン樹脂層の上に厚さ0.05mm以上のポリウレタン樹脂塗膜を研磨・塗り重ねることによって0.1mm以上のポリウレタン樹脂の透明塗膜を形成し、このポリウレタン樹脂の透明塗膜の表面を鏡面仕上げするようにした鏡面ボードが提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−181492号公報
【特許文献2】特開2007−111859号公報
【特許文献3】特開2000−61392号公報
【特許文献4】実用新案登録第3181575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献4記載の鏡面ボードでは特許文献1〜3記載の鏡面ボードに比較して表面の光沢度が優れているものの、光沢度をさらにアップすることが求められていた。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑み、表面光沢度を大幅にアップさせるようにした鏡面ボード及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明に係る鏡面ボードの製造方法は、ボードの表面には180g/m2以上のメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを重ね、該メラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード表面に厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層(12)を形成するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る鏡面ボードは、ボードの表面には180g/m2以上のメラミン樹脂を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートが重ねられ、鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温されて保持され緩降温されることによって、厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層(12)が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴の1つは180g/m2以上、好ましくは200g/m2以上のメラミン樹脂と離型剤及び艶出し剤とを含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、その設定温度に保持した後、緩降温させることによって、厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層を形成するようにした点にある。
【0014】
こうして得られた鏡面メラミン樹脂層の光沢度は特許文献4記載のボードに比較して大幅にアップしており、非常に美麗な鏡面ボードが製造できる。また、特許文献4記載の鏡面ボードの場合のようにポリウレタン樹脂を塗布し研磨し塗り重ねるという工程が不要となり、低コスト化を実現できる。
【0015】
さらに、メラミン樹脂が表面に現れるので、硬度が高く、耐熱性・耐火性に優れた鏡面ボードが得られる。
【0016】
メラミン樹脂シートには離型剤と艶出し剤を含有させているので、例えばポリシリコンを適量含有させているので、鏡面加熱板からの離型性をアップさせることができ、さらには艶出し剤が鏡面メラミン樹脂層の表面の艶を向上させるとともに平滑度を向上させ、これによって鏡面メラミン樹脂層の光沢度を大幅にアップさせることができる。また、メラミン樹脂シートと木製ボードの接着性を向上させる上で、メラミン樹脂シートには接着剤を含有させるのがよい。
【0017】
具体的には、メラミン樹脂シートを3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の上昇率でもって115°C〜125°Cの範囲内の設定温度まで昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、設定温度から3.5°/分〜4.5°/分の範囲内の下降率でもって降温させることによって、鏡面メラミン樹脂層を木製ボード又は防火板の表面に形成することができる。
【0018】
ボードの裏面はボード面を露出させてもよいが、メラミン樹脂シートを重ね、加熱板によって加熱してメラミン樹脂層を形成するようにしてもよい。
【0019】
また、メラミン樹脂ボードは無地であってもよいが、木目模様を形成してもよい。すなわち、メラミン樹脂シートには木目模様を形成することもできる。
【0020】
メラミン樹脂シートはメチロールメラミンを溶剤に溶かし、紙などの充填剤に含浸させたもので、このメラミン樹脂シートを加熱すると、メチロールメラミンが重縮合を起こし架橋することで熱硬化性のメラミン樹脂となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る鏡面ボードの実施形態を示す概略斜視図である。
図2】上記実施形態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る鏡面ボードの好ましい実施形態を示す。図において、鏡面ボード10はMDF11をベースに製造されている。このMDF11の表面及び裏面には厚さ0.1mm程度の鏡面メラミン樹脂層12及びメラミン樹脂層13が形成されている。
【0023】
本例の鏡面ボード10を製造する場合、例えば200g/m2のメラミン樹脂を含有し表面に木目模様が形成された厚さ0.15mmのメラミン樹脂シートを準備する。このメラミン樹脂シートにはポリシリコン(離型剤兼艶出し剤)及び接着剤が適量含有されている。このメラミン樹脂シートをMDF11の表面及び裏面に木目が外側になるように重ねる。
【0024】
次に、メラミン樹脂シートを積層したMDF11を2枚のステンレス板で上下から挟む。このステンレス板には加熱冷却用の媒体を流通させるパイプなどの加熱冷却システムが設けられている。また、上側のステンレス板には表面を鏡面仕上げした鏡面ステンレス板を用いる。このステンレス板によってメラミン樹脂シートを80°Cから加熱し始め、メラミン樹脂シートのメチロールメラミンが液化する温度域のうちの低温度、例えば120°Cの設定温度まで10分かけて昇温し、この120°Cの温度に10分間保持した後、今度は10分かけて120°Cから80°Cまで降温する。
【0025】
すると、メラミン樹脂シートのメチロールメラミンがゆっくりとかつ均一に液化してMDF11に貼り付き、接着剤層によって強固に貼着されるとともに、メチロールメラミンが重縮合を起こし架橋することで熱硬化性のメラミン樹脂となるが、ゆっくりと液化させ重縮合させているので、メラミン樹脂層12、13は均一な厚さとなる。
【0026】
しかも、上側のメラミン樹脂シートにはポリシリコンが含有されているので、ポリシリコンがメラミン樹脂層12の表面に回り込み、メラミン樹脂層12が鏡面ステンレス板から綺麗に離型するとともに、表面に艶を与え、平滑な表面を構成する。また、ステンレス板の温度が120°Cまでであるので、メラミン樹脂層12が過熱されて焦げることもなく、くもり、傷、焦げつきのない美麗で光沢度の高い木目鏡面メラミン樹脂層12を有する鏡面ボード10が得られる。
【0027】
比較のために、メラミン樹脂層の上にポリウレタン樹脂層を積層して鏡面仕上げをしてPU樹脂製鏡面ボードを、ポリウレタン樹脂層の上に紫外線硬化型樹脂層を形成して鏡面仕上げをしたUV樹脂製鏡面ボードを製作し、本例の鏡面ボードと比較した。
【0028】
(光沢度)
市販の光沢度計を用いて光沢度を測定したところ、PU樹脂製鏡面ボードの光沢度が70〜90度、UV樹脂製鏡面ボードが95〜105度であるのに対し、本例の鏡面ボードの光沢度はUV樹脂製鏡面ボードと同程度の95〜105度であり、光沢度が非常に優れていることが確認された。
【0029】
(硬度)
また、市販の硬度計を用い、UV樹脂製鏡面ボード及び本例の鏡面ボードの硬度を測定したところ、UV樹脂製鏡面ボードが2〜3Hであるのに対し、本例の鏡面ボードは7〜9Hであり、高硬度が得られることが確認された。
【0030】
(磨耗強さ)
さらに、市販の耐磨耗計を用いてUV樹脂製鏡面ボード及び本例の鏡面ボードの耐磨耗性を試験したところ、UV樹脂製鏡面ボードが1000回程度であるのに対し、本例の鏡面ボードは2000〜3000回の磨耗強さがあることが確認された。なお、上記の光沢度、硬度及び磨耗強さは本例の鏡面ボードと他の鏡面ボードの相対的な比較値を示すものである。
【0031】
(不燃性)
また、本例の鏡面ボードに120°Cまで加熱したところ、ほとんど着火せず、優れた不燃性があることが確認された。
【0032】
なお、比較のため、ミラミン樹脂シートのメラミン樹脂の量を120〜140g/m2として本例と同様に鏡面ボードを製造したが、本例ほどの光沢度を得られなかった。
【0033】
本例の木目鏡面ボード10は家具や内装建材など、木板を使用するあらゆる用途に木板の代用品として用いることができる。
【0034】
なお、上記の例では木目鏡面メラミン樹脂層を形成するようにしたが、無地の鏡面メラミン樹脂層を形成するようにしてもよい。また、MDFに代え、合板やパーティクルボードなどのボードを用いることができ、又コンクリートと石英砂などの材料を積層した防火板などのボードを用いることもできる。
【0035】
さらに、上記の例ではメラミン樹脂シートに、離型剤兼艶出し剤としてポリシリコンを含有させたが、例えばウレタン系の離型剤とシリコン系の艶出し剤を含有させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 鏡面ボード
11 MDF(木製ボード)
12、13 メラミン樹脂層
図1
図2