特許第6204071号(P6204071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6204071-電動鋸用鋸刃 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204071
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電動鋸用鋸刃
(51)【国際特許分類】
   B23D 61/12 20060101AFI20170914BHJP
   B23D 49/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B23D61/12 A
   B23D49/00
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-111558(P2013-111558)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-231101(P2014-231101A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】591209246
【氏名又は名称】濱中ナット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】濱中 重信
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−218082(JP,A)
【文献】 米国特許第05119708(US,A)
【文献】 英国特許出願公告第01196745(GB,A)
【文献】 特開平08−229737(JP,A)
【文献】 特開2001−158002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00 − 65/04
B27B 1/00 − 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸刃を直線往復動作させる電動鋸に使用される鋸刃において、
鋸刃(10)の複数の各歯が先端側に切り刃(15B)を有する押し切り形態をなし、

上記鋸刃(10)の最先端の歯(13)の歯先と基端の歯(14)の歯先とを結ぶ基準直線(A)に対して、上記鋸刃(10)の複数の全ての歯の歯先を結ぶ歯先線(E)が一定の曲率で下方に凸状に湾曲され、
上記基準直線(A)の長さ(L)が75mm〜600mmの範囲内の長さであり、上記基準直線(A)の中点の位置における歯(16)が上記基準直線(A)から最も離れており、該歯(16)の歯先から、上記基準直線(A)までの距離(C)が15mm以下である一方、
上記鋸刃の各歯の先端部(15A)は底辺と底辺の両端から相互に接近するように傾斜した左右の傾斜辺とからなる断面形状を高さが鋸刃長手方向に次第に低くなるように連続させた形状をなし、該歯先端部(15A)の外縁には切り刃(15B)を有し、上記底辺の中央には被切断部材(20)に点接触して喰い付く喰付き部(15C)が下方に突出されていることを特徴とする電動鋸用鋸刃。
【請求項2】
上記歯の先端部(15A)の底辺には底辺の両端から下方になるにしたがって相互に接近するように傾斜させた三角形の二斜辺からなる断面形状が鋸刃長手方向に連続され、該断面形状の先端が上記被切断部材(20)への喰付き部(15C)となっている請求項1記載の電動鋸用鋸刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動鋸用鋸刃に関し、特に切り屑が手前に飛散して作業の邪魔にならないようにした鋸刃に関する。
【背景技術】
【0002】
電動鋸には鋸刃を回転させて被切削物を切断する方式と、鋸刃を往復運動させて被切削物を切断する方式が知られている。
【0003】
従来の往復動方式の鋸刃では各歯の歯先を結ぶ線をほぼ直線に製作し、複数の各歯を左右にあさり分けすることにより、鋸板と被切断部材との密着に起因する鋸刃の押し引きの抵抗を少なくするとともに、切り屑を排出するようにしている。
【0004】
これに対し、鋸刃の最先端の歯の歯先と基端の歯の歯先を結ぶ直線に対して各歯の歯先を結んだ線を上方に凹状に湾曲させ、良好な切れ味(切削性能)や耐久性を得るようにした電動鋸用鋸刃が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−179536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の電動鋸用鋸刃は引き切り式の鋸刃であり、切り屑が作業者の方に飛散し、作業の邪魔になることがあった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、切り屑が手前に飛散して作業の邪魔にならないようにした電動鋸用鋸刃を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る電動鋸用鋸刃は、鋸刃を直線往復動作させる電動鋸に使用される鋸刃において、鋸刃の複数の各歯が先端側に切り刃を有する押し切り形態に製作され、最先端の歯の歯先と基端の歯の歯先とを結ぶ基準直線に対して、各歯の歯先を結ぶ歯先線が下方に凸状に湾曲され、上記基準直線の長さが75mm〜600mmの範囲内の長さであり、上記基準直線から最も離れた歯の歯先から、上記基準直線までの距離が15mm以下である一方、上記鋸刃の各歯の先端部は底辺と底辺の両端から相互に接近するように傾斜した左右の傾斜辺とからなる断面形状を高さが鋸刃長手方向に次第に連続させた形状に形成され、該歯の先端部の外縁には切り刃が形成され、上記底辺の中央には被切断部材に点接触して喰い付く喰付き部が下方に突出して形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは鋸刃の歯を押し切り形態の切り刃とした点にある。これにより、切り屑は作業者から離れる方向に飛散するので、作業の邪魔になることはない。
【0010】
また、鋸刃が引き切りの形態の場合、鋸刃に何らかの大きな抵抗が加わったときに作業者は被切断部材に対して引っ張る方向に負荷が作用することとなるが、鋸刃が押し引きの形態の場合には被切断部材から離れる方向に負荷が作用するので、安全性が高い。
【0011】
また、本発明の第2の特徴は鋸刃を下方に凸状に湾曲させるようにした点にある。切断時には被切断部材に対して鋸刃を上方から押し付けて直線往復動作させる必要があるが、上述のように鋸刃を下方に凸状に湾曲させると、鋸刃を上方から押し付けて直線往復動作させたときに押し切り形態の切り刃が被切断部材に効率よく喰い込んで切断して行くので、切断量が増え、作業効率がアップする。
【0012】
また、本発明の第3の特徴は刃付け部に喰付き部を形成し、切断時に喰付き部を被切断部材に点接触させて喰い付かせるようにした点にある。これにより、刃付け部が断面ほぼ三角形状であるにもかかわらず、喰付き部が被切断部材に確実に喰い付くので、優れた切断性能を保証できる。
【0013】
鋸刃の歯先線の湾曲の程度は電動鋸の性能によって異なるが、最先端の歯の歯先と基端の歯の歯先とを結ぶ基準直線(以下、「基準直線A」という)が75mm〜600mmの範囲内の長さの場合、基準直線Aから最も離れた歯の歯先から、基準直線Aまでの距離は15mm以下であるのが好ましい。
【0014】
また、鋸刃の各歯の歯先端部を底辺と底辺の両端から相互に接近するように傾斜した左右の傾斜辺とからなる断面形状を高さが鋸刃長手方向に次第に低くなるように連続させた形状に形成し、該歯先端部の外縁に切り刃を形成すると、鋸板と被切断部材との間に隙間をあけて鋸刃の摩擦抵抗を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電動鋸用鋸刃の実施形態を示す概略斜視図である。
図2】上記実施形態を示す拡大側面図である。
図3】上記実施形態を示す拡大斜視図である。
図4】上記実施形態の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る電動鋸用鋸刃の好ましい実施形態を示す。図において、電動鋸用鋸刃10は細長いブレード状をなし、鋸板11の下端縁には所定の高さの側面ほぼ三角形状をなす複数の歯が所定のピッチで形成され、鋸板11の基端側には電動鋸への取付部12が形成されている。
【0017】
鋸板11の複数の各歯の歯先を結ぶ歯先線Eは鋸板11の最も先端側の歯13の歯先と最も基端側の歯14の歯先を結ぶ基準直線Aに対して下方に凸状となるようにほぼ一定の曲率で湾曲され、複数の各歯の歯先から基準直線Aまでの距離は基準直線Aの中点に対向する歯16で最も大きく、鋸板11の先端側及び基端側になる程小さくなっている。
【0018】
本例では基準直線Aの長さLは75mm〜600mmの範囲内の長さであり、基準直線Aと歯16の歯先との間の距離Cは15mm以下となっている。
【0019】
また、鋸板11の複数の各歯の歯先部分15には底辺と底辺の両端から相互に接近するように傾斜した左右の傾斜辺とからなる断面形状を高さが鋸刃長手方向に次第に低くなるように連続させた形状の刃付け部15Aが圧延又は研磨によって形成され、刃付け部15Aの外縁が研磨されることによって刃付け部15Aの押し切り形態の切り刃15Bが形成されている。
【0020】
本例の電動鋸用鋸刃を円柱状のワーク(被切断部材)20を切断する場合、電動鋸を作動させ、鋸板11の中央付近をワーク20に押し付けると、鋸板11の往動時(図4の矢印H方向)には複数の各歯の切り刃15Bがワーク20を切断しながら、切り屑は前方に排出される。
【0021】
このとき、鋸板11に何らかの大きな抵抗が加わったときには作業者にはワーク20から離れる方向に負荷が作用するので、鋸板11に引きずられてワーク20に衝突するなどのおそれはなく、安全性が高い。
【0022】
また、切断時にはワーク20に対して鋸板11を上方から押し付けながら直線往復動作させる必要があるが、上述のように鋸板11を下方に凸状に湾曲させると、鋸板11を上方から押し付けて直線往復動作させたときに押し切り形態の切り刃15Bがワーク20に効率よく喰い込んで切断するので、大きく切断でき、作業効率がよい。
【0023】
また、歯の刃付け部15Aを断面ほぼ菱形状とし、その外縁に切り刃15Bを形成しているので、ワーク20には鋸板11よりも広い幅の溝が切られ、鋸板11が被切断部材20に圧接して抵抗を受けることがほとんどなく、軽く切断することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 鋸刃
11 鋸板
12 取付け部
13 最先端歯
14 基端歯
15 歯先部分
15A 刃付け部
15B 切り刃
図1
図2
図3
図4