特許第6204081号(P6204081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204081
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20170914BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H05B33/14 A
   F21S8/10 350
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-128439(P2013-128439)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-5552(P2015-5552A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】近江 武史
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/032596(WO,A1)
【文献】 特開2011−150887(JP,A)
【文献】 特開2013−045523(JP,A)
【文献】 特開2011−150888(JP,A)
【文献】 特開2002−133915(JP,A)
【文献】 特開2002−050486(JP,A)
【文献】 特表2013−519971(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0031116(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
F21S 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室内に、基板と、前記基板上に形成され有機発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を封止するキャップとを含んで構成された発光ユニットを複数備え、
少なくとも二つの前記発光ユニットは、前記有機発光層の形状又は大きさが異なりそれぞれが同じ形状及び大きさの前記基板及び前記キャップを有している
車両用灯具。
【請求項2】
前記発光ユニットの全てが同じ形状及び大きさの前記基板及び前記キャップを有している
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記有機発光層の形状又は大きさが異なる複数の前記発光ユニットからの光の重ね合わせにより配光パターンが形成されるように構成されている
請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
少なくとも三つの前記発光ユニットのうちの中央に位置する前記発光ユニットに形成された前記有機発光層の面積が最大とされ、前記中央に位置する前記発光ユニットから離れた前記発光ユニットほど前記有機発光層の面積が小さくされている
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
少なくとも二つの前記発光ユニットは、互いの一部同士が奥行き方向において重なっており、
前記二つの発光ユニットのうち奥側に位置する前記発光ユニットの前記有機発光層は、手前側に位置する前記発光ユニットの前記有機発光層と重ならない領域にのみ形成されている
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)素子を有する発光ユニットを複数備えた車両用灯具の技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2011−150877号公報
【背景技術】
【0003】
例えばリアコンビネーションランプなどの車両用灯具においては、発光素子として有機EL(Electro Luminescence:エレクトロルミネッセンス)素子が用いられた発光ユニット(以下「有機EL発光ユニット」と表記)を備えたものがある。車両用灯具で用いられる有機EL発光ユニットは、例えばガラス製の基板上に有機発光層を有する有機EL素子が形成され、有機EL素子がガラス製や金属製のキャップで封止された構造が一般的とされている。
【0004】
上記特許文献1には、複数の有機EL発光ユニットの有機発光層(発光エリア)の形状や大きさをそれぞれ異ならせた車両用灯具が開示されている。複数の有機EL発光ユニット間で有機発光層の形状や大きさを異ならせることで、配光パターンの設計自由度やデザイン性の向上等を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状において有機EL発光ユニットの基板及びキャップの形状や大きさは有機発光層の形状や大きさに合わせて設定しており、上記のように有機発光層の形状や大きさを異ならせる場合にはそれぞれの有機EL発光ユニットの基板及びキャップを一品一様で新規に形成している。このため、工数の増加を招き、コストアップを助長していた。
【0006】
ここで、複数の有機EL発光ユニットを備えた車両用灯具については、例えば車種やグレード等に応じてデザイン等の差別化を図るために、同一製品内のみでなく異なる製品間においても有機発光層の形状や大きさを異ならせることが考えられる。このように製品間においても有機発光層の形状や大きさを異ならせる場合には、製造すべき有機EL発光ユニットの種類は相当に多岐にわたる。従って、多品種少量生産品である車両用灯具に関して上記のように基板及びキャップを一品一様で新規に形成することは、大きなコストアップに繋がり望ましくない。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点を克服し、有機発光層の形状又は大きさが異なる複数の発光ユニットを備えた車両用灯具について、コストアップの防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1に、本発明の車両用灯具は、灯室内に、基板と、前記基板上に形成され有機発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を封止するキャップとを含んで構成された発光ユニットを複数備え、少なくとも二つの前記発光ユニットは、前記有機発光層の形状又は大きさが異なりそれぞれが同じ形状及び大きさの前記基板及び前記キャップを有しているものである。
【0009】
これにより、有機発光層の形状や大きさが異なる場合にも共通の基板及びキャップを用いることが可能とされる。
【0010】
第2に、上記した本発明に係る車両用灯具は、前記発光ユニットの全てが同じ形状及び大きさの前記基板及び前記キャップを有していることが望ましい。
これにより、車両用灯具が有する全ての発光ユニットについて共通の基板及びキャップを用いることが可能とされる。
【0011】
第3に、上記した本発明に係る車両用灯具は、前記有機発光層の形状又は大きさが異なる複数の前記発光ユニットからの光の重ね合わせにより配光パターンが形成されるように構成されていることが望ましい。
これにより、光度分布の異なる複数の配光の重ね合わせによって配光パターンが形成される。
【0012】
第4に、上記した本発明に係る車両用灯具においては、少なくとも三つの前記発光ユニットのうちの中央に位置する前記発光ユニットに形成された前記有機発光層の面積が最大とされ、前記中央に位置する前記発光ユニットから離れた前記発光ユニットほど前記有機発光層の面積が小さくされていることが望ましい。
これにより、少なくとも三つの発光ユニットからの光によって形成される配光パターンの光度分布は、中央部の光度が最大で中央から離れるに連れて光度が徐々に低下する。
【0013】
第5に、上記した本発明に係る車両用灯具においては、少なくとも二つの前記発光ユニットは、互いの一部同士が奥行き方向において重なっており、前記二つの発光ユニットのうち奥側に位置する前記発光ユニットの前記有機発光層は、手前側に位置する前記発光ユニットの前記有機発光層と重ならない領域にのみ形成されていることが望ましい。
これにより、奥側に位置する発光ユニットにおいては、手前側に位置する発光ユニットの有機発光層によって遮蔽された無駄な領域に有機発光層が形成されない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機発光層の形状又は大きさが異なる複数の発光ユニットを備えた車両用灯具について、コストアップの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車両用灯具の概略背面図である。
図2】有機EL発光ユニットの概略断面図である。
図3】異なる形状又は大きさによる基板及びキャップを有して構成された有機EL発光ユニットを備える車両用灯具の概略背面図である。
図4】光度分布の設定例についての説明図である。
図5】有機EL発光ユニットの一部同士を奥行き方向において重ねた例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
車両用灯具1は、例えばリアコンビネーションランプとされ、それぞれ車体の後端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
車両用灯具1は、例えば樹脂製の透明カバー2を備えた筐体3を有し、筐体3の内部空間が灯室4として形成されている(図1参照)。
【0017】
灯室4には複数の有機EL(Electro Luminescence:エレクトロルミネッセンス)発光ユニット5,5,・・・が配置されている。有機EL発光ユニット5,5,・・・は、ガラス製の基板5a,5a,・・・と有機発光層5b,5b,・・・とを有している。
【0018】
各有機EL発光ユニット5は、基板5aと基板5a上に形成された有機EL素子5eと有機EL素子5eを封止するキャップ5fとを含んで構成されている(図2参照)。有機EL素子5eは、有機発光層5bが陽極層5cと陰極層5dとによって挟まれて形成されている。陽極層5cは基板5aに接しており、透明な金属薄膜で構成されている。陰極層5dは、例えば透明な金属薄膜で構成されている。
キャップ5fは、例えばガラス製とされている。
【0019】
各有機EL発光ユニット5に対しては不図示の駆動回路により陽極層5cと陰極層5dの間に駆動電圧が印加され、これに応じて有機発光層5bが発光する。有機発光層5bが発した光は図2中の矢印Lで示すように陽極層5c及び基板5aを介して有機EL発光ユニット5の外部に出射される。従って、基板5aの下面は有機EL発光ユニットの発光面として機能する。
【0020】
有機EL発光ユニット5,5,・・・は、発光面が車両の後方を向くように配置されている。
有機EL発光ユニット5,5,・・・のうち一部の有機EL発光ユニット5,5,・・・は、灯室4内における略L字型の領域A1内に配置されている(図1参照)。領域A1は、L字の背の部分が灯室4の車両中央側の端部近傍に位置し、L字の底の部分が灯室4の下端部近傍に位置するように形成された領域とされている。領域A1内に配置された有機EL発光ユニット5,5,・・・はターンシグナルランプ用の光源とされ、それぞれアンバー色光を発光するように構成されている。
一方、残りの有機EL発光ユニット5,5,・・・は領域A1外の所定の領域において左右方向において離隔して配列されている。これら領域A1外に配列された有機EL発光ユニット5,5,・・・はテール/ストップランプ用の光源とされ、それぞれ赤色光を発光するように構成されている。
【0021】
本実施の形態の車両用灯具1においては、有機EL発光ユニット5,5,・・・が備える基板5a,5a,・・・及びキャップ5f,5f,・・・が全て同じ形状及び大きさとされている。一方で有機EL発光ユニット5,5,・・・には、それぞれ形状又は大きさが異なる有機発光層5b,5b,・・・が形成されている。本例では、領域A1内に形成された有機EL発光ユニット5,5,・・・は全て有機発光層5b,5b,・・・の形状が異なっており、また、領域A1外に配列された有機EL発光ユニット5,5,・・・は有機発光層5b,5b,・・・の形状が同一とされるが大きさが全て異なっている。
【0022】
このように本実施の形態の車両用灯具1は、灯室4内に、基板5aと、基板5a上に形成され有機発光層5bを有する有機EL素子5eと、有機EL素子5eを封止するキャップ5fとを含んで構成された有機EL発光ユニット5を複数備えている。そして、少なくとも二つの有機EL発光ユニット5は、有機発光層5bの形状又は大きさが異なり、全ての有機EL発光ユニット5が同じ形状及び大きさの基板5a及びキャップ5fを有している。
【0023】
これにより、有機発光層5bの形状や大きさが異なる場合にも共通の基板5a及びキャップ5fを用いることが可能とされる。
従って、有機発光層5bの形状や大きさに応じて基板5a及びキャップ5fの形状や大きさを一品一様で新規に形成する必要がなくなり、工数の削減が図られ、コストアップの防止を図ることができる。
なお、有機発光層5b,5b,・・・の形状や大きさを異ならせるためには、例えば蒸着等により行われる有機発光層5b,5b,・・・のパターニングで用いるマスクを変更すればよい。
【0024】
また、本実施の形態の車両用灯具1においては、全ての有機EL発光ユニット5が同じ形状及び大きさの基板5a及びキャップ5fを有しているので、全ての有機EL発光ユニット5について共通の基板5a及びキャップ5fを用いることが可能とされる。従って、コストアップの防止効果を高めることができる。
【0025】
ここで、基板5a及びキャップ5fの共通化によりコストアップの防止を図る上では、全ての有機EL発光ユニット5が同じ形状及び大きさの基板5a及びキャップ5fを有している必要はなく、少なくとも二つの有機EL発光ユニット5が同じ形状及び大きさの基板5a及びキャップ5fを有していればよい。
【0026】
図3は、異なる形状又は大きさによる基板5a及びキャップ5fを有して構成された有機EL発光ユニット5、5,・・・を備える車両用灯具1Aの概略背面図である。なお、以降の説明において、既にこれまでで説明済みとなった部分については同一符号を付して説明を省略する。
車両用灯具1Aの灯室4内には、基板5a及びキャップ5fの形状又は大きさの異なる二種類の有機EL発光ユニット5,5,・・・が配置されている。一方の種類の各有機EL発光ユニット5の基板5a及びキャップ5fの形状は正方形状とされ大きさは同じとされている。他方の種類の各有機EL発光ユニット5の基板5a及びキャップ5fの形状は長方形状とされ大きさは同じととされている。一方の種類の各有機EL発光ユニット5はそれぞれ有機発光層5bの大きさが異なっている。他方の種類の各有機EL発光ユニット5はそれぞれ有機発光層5bの形状が異なっている。
【0027】
上記のような車両用灯具1Aにおいては、複数の有機EL発光ユニット5,5,・・・のうち少なくとも二つの有機EL発光ユニット5,5,・・・が、有機発光層5bの形状又は大きさが異なりそれぞれが同じ形状及び大きさの基板5a及びキャップ5fを有している。
少なくとも二つの有機EL発光ユニット5,5,・・・が同じ形状及び大きさの基板5a及びキャップ5fを有していることで、それら有機EL発光ユニット5,5,・・・の間で有機発光層5bの形状や大きさが異なる場合にも共通の基板5a及びキャップ5fを用いることが可能とされる。従って、コストアップの防止を図ることができる。
【0028】
また、車両用灯具1Aにおいては、基板5a及びキャップ5fの形状又は大きさが異なる有機EL発光ユニット5,5,・・・が設けられている。図1に示した車両用灯具1のように全ての有機EL発光ユニット5,5,・・・の基板5a及びキャップ5fの形状及び大きさが同じとされる場合には、同じ形状及び大きさの基板5aに対して有機発光層5bを形成しなければならないことからデザイン上や配光パターンの設計上の制約を受け得る。これに対し、上記のように異なる形状又は大きさの基板5a及びキャップ5fを有する有機EL発光ユニット5,5,・・・の混在を許容した車両用灯具1Aによれば、形状や大きさの異なる基板5aに対して有機発光層5bを形成できることから、デザインのバリエーションを向上でき、また配光パターンの設計自由度も向上できる。
さらに、隙間を減らしスペース効率を高めることもできる。
【0029】
ここで、本発明の車両用灯具は、有機発光層5b,5b,・・・の形状又は大きさが異なる複数の有機EL発光ユニット5,5,・・・からの光の重ね合わせにより配光パターンが形成されるように構成することもできる。このとき、複数の有機EL発光ユニット5,5,・・・からの光を重ね合わせるためには、例えば個々の有機EL発光ユニット5の配置間隔や設置角度を調整するなどして、個々の有機EL発光ユニット5からの光を制御すればよい。
【0030】
有機発光層5b,5b,・・・の形状又は大きさが異なれば、有機EL発光ユニット5,5,・・・による個々の配光の光度分布が異なる。このため、上記のように有機発光層5b,5b,・・・の形状又は大きさが異なる複数の有機EL発光ユニット5,5,・・・からの光の重ね合わせにより配光パターンを形成すれば、光度分布の異なる複数の配光の重ね合わせによって配光パターンが形成される。従って、配光パターンの設計自由度を向上でき、所望の配光パターンを形成し易くなる。
【0031】
このとき、複数の有機EL発光ユニット5,5,・・・からの光によって配光パターンを形成するにあたっては、有機EL発光ユニット5,5,・・・の有機発光層5b,5b,・・・を例えば図4の上段に示すように形成することもできる。
図4の上段に示す例では、五つの有機EL発光ユニット5,5,・・・が左右方向に一列に配列され、それらのうちの中央に位置する有機EL発光ユニット5の有機発光層5bの面積が最大とされ、中央に位置する有機EL発光ユニット5から離れた有機EL発光ユニット5,5,・・・ほど有機発光層5b,5b,・・・の面積が小さくされている。
【0032】
有機発光層5b,5b,・・・の面積を上記のように設定することで、五つの有機EL発光ユニット5,5,・・・からの光で形成される配光パターンの光度分布として図4の下段に示すような光度分布Tが実現される。すなわち、中央部の光度が最大で中央から離れるに連れて光度が徐々に低下する光度分布である(以下「山なりの光度分布」と表記)。
【0033】
このような山なりの光度分布を有する配光パターンが実現されることで、特に車両用灯具をテール/ストップランプとして適用した場合において周辺車両への注意喚起機能を向上できる。
なお、山なりの光度分布を有する配光パターンを形成するにあたっては、有機EL発光ユニット5の数は五つに限らず少なくとも三つあればよい。
【0034】
また、本発明の車両用灯具は、図5に示す車両用灯具1Bのように有機EL発光ユニット5,5,・・・の一部同士を奥行き方向において重ねた構成とすることもできる。
図5の例では、灯室4内において、四つの有機EL発光ユニット5,5,・・・が奥行き方向に配列された第一の列R1と、三つの有機EL発光ユニット5,5,・・・が奥行き方向に配列された重ねられた第二の列R2と、二つの有機EL発光ユニット5,5が奥行き方向において重ねられた第三の列R3が車両中央側から順に形成されている。これらの各列において、奥行き方向に並んで配置されている2つの有機EL発光ユニット5,5は、図中に拡大して示すように互いの一部同士が奥行き方向において重なっている。そして、奥側に位置する有機EL発光ユニット5の有機発光層5bは、手前側に位置する有機EL発光ユニット5の有機発光層5bと重ならない領域にのみ形成されている。
【0035】
有機EL発光ユニット5,5,・・・の一部同士を奥行き方向において重ねた構成とすることで、外観上の奥行き感を演出することができる。そして、上記のように奥行き方向に並んで配置されている二つの有機EL発光ユニット5,5のうち奥側に位置する有機EL発光ユニット5の有機発光層5bが手前側に位置する有機EL発光ユニット5の有機発光層5bと重ならない領域にのみ形成されていることで、奥側に位置する有機EL発光ユニット5においては、手前側に位置する有機EL発光ユニット5の有機発光層5bにより遮蔽された無駄な領域に有機発光層5bが形成されない。そのため、有機発光層5bの形成材料の無駄な消費が抑えられ、コストアップの防止を図ることができる。
【0036】
なお、本発明は上記により説明した具体例に限定されるべきものではなく、多様な変形例が考えられる。
例えば、有機発光層5b,5b,・・・の厚さ(積層数)を異ならせることもできる。有機発光層5b,5b,・・・の厚さを異ならせることで、有機EL発光ユニット5,5,・・・の発光量を異ならせることができ、複数の有機EL発光ユニット5,5,・・・からの光によって形成される配光パターンの設計自由度を向上できる。
【0037】
また、上記では、陰極層5dを透明な層として形成する例を挙げたが、陰極層5dは例えばアルミ層等による不透明層として形成することもできる。
【0038】
さらに、上記では、本発明の車両用灯具をリアコンビネーションランプに適用する場合を例示したが、本発明は、例えばDRL(Daytime Running Lamps)やCLL(Clearance Lamp)等の他の車両用灯具にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1,1A,1B…車両用灯具、4…灯室、5…有機EL発光ユニット、5a…基板、5b…有機発光層、4e…有機EL素子、5f…キャップ
図1
図2
図3
図4
図5