(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉛直方向に細長の断面形状を有して水平方向に延在する鉄筋コンクリート製の壁部を有し、前記壁部の厚さ方向の一方の面は地中に埋設されているコンクリート構造物の補強方法であって、
前記壁部の前記一方の面で前記壁部の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、前記壁部の前記一方の面に沿って鉛直方向に延在する作業用孔部を掘削する孔部掘削工程と、
前記作業用孔部内で、前記複数箇所において前記壁部の内部と前記壁部の外方とにわたるようにアンカー筋を前記一方の面の上端から下端まで間隔をおいて複数配筋する配筋工程と、
前記作業用孔部内で、前記複数箇所においてそれぞれ前記壁部の外方に露出する複数の前記アンカー筋を囲むようにコンクリート型枠を組む型枠組み付け工程と、
前記各コンクリート型枠の内部にコンクリートを打設することにより前記壁部の一方の面に前記アンカー筋を介して一体的に結合された補強支柱を前記壁部の高さ方向の全長にわたって構築するコンクリート打設工程と、
を含むことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
鉛直方向に細長の断面形状を有して水平方向に延在する鉄筋コンクリート製の壁部を有し、前記壁部は、その厚さ方向の両面側に埋設された鉄筋を有し、前記壁部の厚さ方向の一方の面は地中に埋設されているコンクリート構造物の補強方法であって、
前記壁部の前記一方の面で前記壁部の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、前記壁部の前記一方の面に沿って鉛直方向に延在する作業用孔部を掘削する孔部掘削工程と、
前記作業用孔部内で、前記複数箇所において前記壁部の前記一方の面の上端から下端まで間隔をおいて複数のアンカー筋用孔を穿孔する穿孔工程と、
前記作業用孔部内に、複数のアンカー筋がその側面から突設されたプレキャストコンクリート製の補強支柱を吊り下ろし、各アンカー筋を前記複数のアンカー筋用孔に挿通し充填剤で前記壁部に結合すると共に、前記一方の面と前記側面との間にモルタルを充填し、前記補強支柱を前記壁部の高さ方向の全長にわたって構築する補強支柱結合工程と、
を含むことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態では、コンクリート構造物が、多数のボックスカルバート10がその軸方向に接続された状態で地中に埋設されることにより構成された鉄道用の地下トンネル2である場合について説明する。
まず、ボックスカルバート10について説明する。
多数のボックスカルバート10がその軸方向に接続された状態で地中に埋設されることにより鉄道用の地下トンネル2が構成されている。
多数のボックスカルバート10からなる地下トンネル2の内部空間は、2つの空間に区画されており、それぞれの空間において鉄道用車両Aが走行するように構成されている。
図中、符号Hはボックスカルバート10の上方に位置する地面に設けられた自動車用の車道を示し、符号Bは車道Hを走行する自動車を示す。
【0009】
各ボックスカルバート10は、矩形板状の底壁12と、底壁12の幅方向両端から起立する2つの側壁14と、底壁12の幅方向の中央から起立し2つの側壁14と平行する隔壁16と、2つの側壁14および隔壁16の上端を接続する矩形板状の天井壁18とを備えている。
そして、2つの側壁14および隔壁16は、鉛直方向に細長の断面形状を有して水平方向に延在する壁部を構成している。
また、各側壁14の厚さ方向の一方の面14Aは地中に埋設され、他方の面14Bは、前記内部空間に面している。
なお、
図3(A)に示すように、側壁14の内部には鉄筋20が埋設され、図中では一方の面14A側に位置する鉄筋20を示している。それら鉄筋20は、例えば、鉛直方向に延在する複数の鉛直筋20Vと、水平方向に延在する複数の水平筋20Hとが格子状に配筋されて構成されている。
これら底壁12、側壁14、隔壁16、天井壁18は、鉄筋コンクリートで一体的に構成されている。
隔壁16は、地下トンネル2の内部空間を2つの空間に区画しており、底壁12には、鉄道車両走行用のレールRが敷設されている。
【0010】
次に、このような地下トンネル2を構成するボックスカルバート10の補強方法について説明する。
まず、
図3(A)に示すように、地中に埋設された側壁14の一方の面14Aで側壁14の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁14の一方の面14Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する(孔部掘削工程)。
作業用孔部22の掘削は、
図1に示すように、2つの側壁14の直上に相当する地上からバックフォーやハンマーグラブなどの建機24を用いて、あるいは、手掘りにより行なう。
なお、この作業用孔部22は、前記複数の箇所毎に設けてもよく、あるいは、前記複数の箇所を同時に露出させるように水平方向に延在させたものであってもよい。
【0011】
次に、コンクリートハンマやウォータジェット切削装置などのコンクリートはつり装置を用いて一方の面14Aの表面を目荒らしする。このような目荒らしを行なうことにより、後述する補強支柱30を構築するコンクリートと一方の面14Aとの結合の強化が図られている。
そして、作業用孔部22内で、前記複数箇所において側壁14の一方の面14Aの上端から下端まで間隔をおいて複数のアンカー筋用孔15を穿孔したのち、前記複数箇所において側壁14の内部と側壁14の外方とにわたるようにアンカー筋26を一方の面14Aの上端から下端まで間隔をおいて複数配筋する(配筋工程)。なお、アンカー筋26は、アンカー筋用孔15に挿通して充填剤で側壁14に結合する。
本実施の形態では、
図3(B)に示すように、配筋工程において、アンカー筋26に結合させて補強支柱用の支柱用鉄筋28を組み付ける。
支柱用鉄筋28は、鉛直方向に延在する複数の主筋28Aと、それら主筋28Aの周囲を囲む複数の帯筋28Bとを含んで構成されている。
そして、支柱用鉄筋28の部分を、側壁14の外方に露出するアンカー筋26の部分に結合させる。
この結合は、例えば、結束線(針金)を用いてもよく、あるいは、溶接を用いてもよい。
このように支柱用鉄筋28の部分を、側壁14に配筋されたアンカー筋26に結合させると、補強支柱30を側壁14に強固に一体化させる上でより有利となる。
【0012】
次に、
図3(B)に示すように、作業用孔部22内で、前記複数箇所においてそれぞれ側壁14の外方に露出する複数のアンカー筋26および支柱用鉄筋28を囲むようにコンクリート型枠32を組む(型枠組み付け工程)。
より詳細には、側壁14の外方に露出する複数のアンカー筋26および支柱用鉄筋28を囲んで側壁14の高さ方向の全長にわたって延在する空間部を仕切るようにコンクリート型枠32を組む。
空間部は、断面がほぼ矩形で上下に延在する直方体状を呈している。
【0013】
次に、
図3(C)に示すように、各コンクリート型枠32の内部にコンクリート34を打設することにより側壁14の一方の面14Aにアンカー筋26を介して一体的に結合された補強支柱30を側壁14の高さ方向の全長にわたって構築する(コンクリート打設工程)。本実施の形態では、補強支柱30は鉄筋コンクリート柱(RC柱)で構成されている。
図2は、補強支柱30により補強された地中トンネル2を構成するボックスカルバート10の斜視図を示している。
なお、コンクリート34の硬化後、コンクリート型枠32は撤去してもよく、あるいは、そのまま残しておいてもよく、
図3(C)はコンクリート型枠32を撤去した状態を示している。
【0014】
以上説明したように、本実施の形態によれば、地中に埋設されたボックスカルバート10の側壁14の一方の面14Aで側壁14の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁14の一方の面に沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、配筋工程、型枠組み付け工程を行ない、側壁14の一方の面14Aの地上からコンクリート打設工程を行ない、側壁14に補強支柱30を構築することで地下トンネル2を補強するようにした。
したがって、地下トンネル2の内部から施工する必要がなく、側壁14の側方と上方に作業スペースを確保すれば足りるため、車両を従来と同様に運行させつつ地下トンネル2の補強工事を行なえ、交通機関の機能を損なわずに補強工事を完了できる。
また、車両を従来と同様に運行させつつ補強工事を行なえるため、施工は、車両の走行がない夜間に限定されることはなく、日中でも行なえ、施工効率を向上する上で有利である。
【0015】
また、アンカー筋26は、補強支柱30と側壁14とが一体として働くように、補強支柱30が側壁から剥離しないでせん断力が伝達されるように機能するため、地下トンネル2の補強性能を確保する上で有利となる。
また、補強支柱30を構築するにあたって、側壁14の一方の面14Aにアンカー筋26を配筋するための複数のアンカー筋用孔15を穿孔するのみで足りるため、側壁14に対する損傷が最小限で済み、地下トンネル2の補強性能を確保する上で有利となる。
【0016】
また、補強支柱30の延在方向が鉛直方向であるため、地震時に想定される様々な方向のせん断破壊線をカバーする上で有利となり、地下トンネル2の補強性能を確保する上で有利となる。
例えば、せん断破壊線が側壁14の厚さ方向に延びる場合、従来技術では、補強部材が側壁14の厚さ方向に延在するため、補強部材の延在方向とせん断破壊線とが交差しにくく、補強部材が機能しにくくなる。
これに対して本発明では、補強支柱30が側壁14の鉛直方向に延在するため、補強支柱30の延在方向とせん断破壊線とが確実に交差することになり補強支柱30が機能しやすくなる。
また、従来技術では、補強部材が側壁14の厚さ方向に延在する構成上、側壁14のせん断補強としては特に靱性補強が主な効果となっており、曲げ補強の効果は奏さない。
これに対して本発明では、補強支柱30が側壁14の鉛直方向に延在するため、側壁14のせん断補強として曲げ補強の効果を奏する上で有利となる。
【0017】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について
図4(A)〜(C)を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の部材、箇所には同一の符号を付しその説明を省略し、差異について重点的に述べる。
図4(A)〜(C)に示すように、第2の実施の形態では、補強支柱30が鉄骨コンクリート柱から構成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
【0018】
まず、
図4(A)に示すように、第1の実施の形態と同様に、作業用孔部22を掘削する(孔部掘削工程)。
そして、第1の実施の形態と同様に作業用孔部22内で、側壁14の一方の面14Aの表面を目荒らしたのち、作業用孔部22内で、複数のアンカー筋26を一方の面14Aの上端から下端まで間隔をおいて複数配筋する(配筋工程)。この場合、側壁14の外方に露出するアンカー筋26の先端部分に雄ねじ部が形成されている。
第2の実施の形態では、
図4(B)に示すように、配筋工程において、アンカー筋26に結合させて補強支柱用のH型鋼36を組み付ける。
H型鋼36は、ウェブ3602の両側にフランジ3604を有し、一方のフランジ3604にはアンカー筋26の雄ねじ部2602が挿通される不図示の孔が形成されている。
一方の面14Aにフランジ3604を対向させてH型鋼36がその長手方向を鉛直方向に向けて作業用孔部22に吊り下ろされ、アンカー筋26は、雄ねじ部2602がフランジ3202の前記孔に挿通されナット38に螺合されることによりフランジ3602に締結される。
第2の実施の形態では、H型鋼36は、一方のフランジ3604と側壁14の一方の面14Aとの間に間隔をおいてアンカー筋26に締結されている。
このようにH型鋼36のフランジ3604を、側壁14に配筋されたアンカー筋26に結合させると、補強支柱30を側壁14に強固に一体化させる上でより有利となる。
【0019】
次に、
図4(B)に示すように、作業用孔部22内で、前記複数箇所においてそれぞれ側壁14の外方に露出する複数のアンカー筋26およびH型鋼36を囲むようにコンクリート型枠32を組む(型枠組み付け工程)。
より詳細には、側壁14の外方に露出する複数のアンカー筋26およびH型鋼36を囲んで側壁14の高さ方向の全長にわたって延在する空間部を仕切るようにコンクリート型枠32を組む。
空間部は、断面がほぼ矩形で上下に延在する直方体状を呈している。
【0020】
次に、
図4(C)に示すように、第1の実施の形態と同様のコンクリート打設工程を行なう。
なお、コンクリート34の硬化後、コンクリート型枠32は撤去してもよく、あるいは、そのまま残しておいてもよいことは第1の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の作用効果に加え、補強支柱30がH型鋼36を用いた鉄骨コンクリート柱で構成されるため、補強用鉄筋を配筋する場合に比較して配筋工程を簡素化する上で有利となる。
【0021】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について
図5(A)〜(C)を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、H型鋼36の配置のみが第2の実施の形態と異なっている。
すなわち、
図5(B)に示すように、第2の実施の形態では、配筋工程において、H型鋼36は、一方のフランジ3604を側壁14の一方の面14に当接させてアンカー筋26に締結されている。
なお、
図5(A)、(C)に示すように、孔部掘削工程、型枠組み付け工程、コンクリート打設工程は、第2の実施の形態と同様である。
第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様の効果が奏され、また、H型鋼36のウェブ3602方向における補強支柱30の寸法を小さくする上で有利となる。
【0022】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について
図6(A)〜(C)を参照して説明する。
第4の実施の形態は、プレキャストコンクリート製の補強支柱40を側壁14に結合する点が第1〜第3の実施の形態と異なっている。
【0023】
まず、
図6(A)に示すように、地中に埋設された側壁14の一方の面14Aで側壁14の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁14の一方の面14Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する(孔部掘削工程)。
次に、第1の実施の形態と同様に、作業用孔部22内で、側壁14の一方の面14Aの表面を目荒らしする。このような目荒らしを行なうことにより、後述するモルタル46による一方の面14Aと補強支柱40との結合の強化が図られている。
【0024】
次に、作業用孔部22内で、複数箇所において側壁14の一方の面14Aの上端から下端まで間隔をおいて複数のアンカー筋用孔15を穿孔する(穿孔工程)。
【0025】
次に、作業用孔部22内に、プレキャストコンクリート製の補強支柱40を吊り降ろして側壁14に結合する(補強支柱結合工程)。
すなわち、補強支柱40は、四角柱状を呈し、支柱用鉄筋42と、複数のアンカー筋とを含んで構成されている。
支柱用鉄筋42は、補強支柱40の長手方向に延在する複数の主筋42Aと、それら主筋42Aの周囲を囲む複数の帯筋42Bとを含んで構成されている。
複数のアンカー筋44は、支柱用鉄筋42に結合されており、補強支柱40の長手方向に間隔をおいて1つの側面4002から突出している。
補強支柱結合工程では、補強支柱40を吊り下ろしたのち、各アンカー筋44を複数のアンカー筋用孔15に挿通し充填剤で側壁14に結合し補強支柱40を側壁14の高さ方向の全長にわたって構築する。
また、アンカー筋44を複数のアンカー筋用孔15に挿通し充填剤で側壁14に結合する際に、補強支柱40の1つの側面4002を側壁14の一方の面14Aに対向させそれら面の間にモルタル46を充填する。
【0026】
次に、モルタル46の硬化後、補強支柱40と作業用孔部22との隙間に土砂を埋め戻し、側壁14および補強支柱40を地中に埋設して作業を終了する。
【0027】
第4の実施の形態によれば、地中に埋設された側壁14の一方の面14Aで側壁14の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁14の一方の面14Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、穿孔工程、補強支柱結合工程を行ない、側壁14にプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築することで地下トンネル2を補強するようにした。
したがって、第1の実施の形態の作用効果に加え、プレキャストコンクリート製の補強支柱40を用いるため、型枠組み付け工程、コンクリート打設工程を省略できるので、工期を短縮しコストを低減する上で有利となる。
【0028】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について説明する。
図7に示すように、第5の実施の形態では、コンクリート構造物が、掘割道路4である場合について説明する。
堀割道路4は、地盤Gに掘削された溝に、場所打ちコンクリートにより、あるいは、プレキャスト部材を並べることで構築されている。
図7、
図8に示すように、堀割道路4は、路盤を構成する底壁50と、底壁50の幅方向の両端から起立する2つの側壁52とを備え、底壁50の下面および側壁52の外面は埋設されている。
そして、2つの側壁52は、鉛直方向に細長の断面形状を有して水平方向に延在する壁部を構成している。
これら底壁50、側壁52は、鉄筋コンクリートで一体的に構成されている。
【0029】
次に、このような掘割道路4の補強方法について
図3(A)〜(C)を流用して説明する。
図3(A)に示すように、第1の実施の形態と同様に、地中に埋設された側壁52の一方の面52Aで側壁52の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁52の一方の面52Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する(孔部掘削工程)。
【0030】
次に、作業用孔部22内で、側壁52の一方の面52Aの表面を目荒らしを行ない、前記複数箇所において側壁52の一方の面52Aの上端から下端まで間隔をおいて複数のアンカー筋用孔15を穿孔したのち、前記複数箇所において側壁52の内部と側壁52の外方とにわたるようにアンカー筋26を一方の面52Aの上端から下端まで間隔をおいて複数配筋する(配筋工程)。なお、アンカー筋26は、アンカー筋用孔15に挿通して充填剤で側壁52に結合する。
また、配筋工程において、アンカー筋26に結合させて補強支柱用の支柱用鉄筋28を組み付ける。
【0031】
次に、
図3(B)に示すように、作業用孔部22内で、前記複数箇所においてそれぞれ側壁52の外方に露出する複数のアンカー筋26および支柱用鉄筋28を囲むようにコンクリート型枠32を組む(型枠組み付け工程)。
【0032】
次に、
図3(C)に示すように、各コンクリート型枠32の内部にコンクリート34を打設することにより側壁52の一方の面52Aにアンカー筋26を介して一体的に結合された補強支柱30を側壁52の高さ方向の全長にわたって構築する(コンクリート打設工程)。
図8は、補強支柱30により補強された掘割道路4の斜視図を示している。
なお、第2、第3の実施の形態と同様に、鉄骨コンクリート柱からなる補強支柱30を用いてもよいことは無論である。
【0033】
第5の実施の形態によれば、地中に埋設された堀割道路4の側壁52の一方の面52Aで側壁52の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁52の一方の面52Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、配筋工程、型枠組み付け工程を行ない、側壁52の一方の面52Aの地上からコンクリート打設工程を行ない、側壁52に補強支柱30を構築することで、堀割道路4を補強するようにした。
したがって、側壁52の側方と上方に作業スペースを確保することで足り、堀割道路4の内側、すなわち、車道側から施工する必要がないため、第1の実施の形態と同様に、車両の通行の規制を行なうことなく堀割道路4の補強工事を行なえ、交通機関の機能を損なわずに補強工事を完了できる。
また、車両の通行の規制を行なうことなく補強工事を行なえるため、施工は、車両の走行が少ない夜間に限定されることはなく、日中でも行なえ、施工効率を向上する上で有利である。
また、第1の実施の形態と同様に、補強支柱30の延在方向が鉛直方向であるため、地震時に想定される様々な方向のせん断破壊線をカバーする上で有利となり、堀割道路4の補強性能を確保する上で有利となる。
【0034】
また、第4の実施の形態と同様に、補強支柱30に代えてプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築してもよいことは無論である。
その場合は、地中に埋設された堀割道路4の側壁52の一方の面52Aで側壁52の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、側壁52の一方の面52Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、穿孔工程、補強支柱結合工程を行ない、側壁52にプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築することで堀割道路4を補強すればよく、上記と同様の効果が奏される。
【0035】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について説明する。
図9に示すように、第6の実施の形態では、コンクリート構造物が擁壁6である場合について説明する。
図9、
図10に示すように擁壁6は、矩形板状の床版54と、床版54の一側から起立された縦壁56とを備え、断面がL字状を呈している。
縦壁56は、鉛直方向に細長の断面形状を有して水平方向に延在する壁部を構成している。
これら床版54および縦壁56は、鉄筋コンクリートで一体的に構成されている。
擁壁6の床版54の上面および縦壁56の背面に盛土が行なわれている。
擁壁6は、場所打ちコンクリートにより構築され、あるいは、プレキャスト部材を並べることで構築されている。
図中、符号60は、縦壁56の前方に設けられた自動車道路、あるいは、鉄道線路である。
【0036】
次に、このような擁壁6の補強方法について
図3(A)〜(C)を流用して説明する。
図3(A)に示すように、第1の実施の形態と同様に、地中に埋設された縦壁56の一方の面56Aで縦壁56の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、縦壁56の一方の面56Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する(孔部掘削工程)。
【0037】
次に、作業用孔部22内で、縦壁56の一方の面56Aの表面を目荒らしを行ない、前記複数箇所において縦壁56の一方の面56Aの上端から下端まで間隔をおいて複数のアンカー筋用孔15を穿孔したのち、前記複数箇所において縦壁56の内部と縦壁56の外方とにわたるようにアンカー筋26を一方の面56Aの上端から下端まで間隔をおいて複数配筋する(配筋工程)。なお、アンカー筋26は、アンカー筋用孔15に挿通して充填剤で縦壁56に結合する。
また、配筋工程において、アンカー筋26に結合させて補強支柱用の支柱用鉄筋28を組み付ける。
【0038】
次に、
図3(B)に示すように、作業用孔部22内で、前記複数箇所においてそれぞれ縦壁56の外方に露出する複数のアンカー筋26および支柱用鉄筋28を囲むようにコンクリート型枠32を組む(型枠組み付け工程)。
【0039】
次に、
図3(C)に示すように、各コンクリート型枠32の内部にコンクリート34を打設することにより縦壁56の一方の面56Aにアンカー筋26を介して一体的に結合された補強支柱30を縦壁56の高さ方向の全長にわたって構築する(コンクリート打設工程)。
図10は、補強支柱30により補強された擁壁6の斜視図を示している。
なお、第2、第3の実施の形態と同様に、鉄骨コンクリート柱からなる補強支柱30を用いてもよいことは無論である。
【0040】
第6の実施の形態によれば、地中に埋設された擁壁6の縦壁56の一方の面56Aで縦壁56の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、縦壁56の一方の面56Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、配筋工程、型枠組み付け工程を行ない、側壁52の一方の面52Aの地上からコンクリート打設工程を行ない、側壁52に補強支柱30を構築することで擁壁6を補強するようにした。
したがって、縦壁56の側方と上方に作業スペースを確保することで足り、縦壁56の前方、すなわち、自動車道路(鉄道線路)60の側から施工する必要がないため、第1の実施の形態と同様に、車両の通行の規制を行なうことなく擁壁6の補強工事を行なえ、交通機関の機能を損なわずに補強工事を完了できる。
また、車両の通行の規制を行なうことなく補強工事を行なえるため、施工は、車両の走行が少ない夜間に限定されることはなく、日中でも行なえ、施工効率を向上する上で有利である。
また、第1の実施の形態と同様に、補強支柱30の延在方向が鉛直方向であるため、地震時に想定される様々な方向のせん断破壊線をカバーする上で有利となり、擁壁6の補強性能を確保する上で有利となる。
【0041】
また、第4の実施の形態と同様に、補強支柱30に代えてプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築してもよいことは無論である。
その場合は、地中に埋設された擁壁6の縦壁56の一方の面56Aで縦壁56の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、縦壁56の一方の面56Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、穿孔工程、補強支柱結合工程を行ない、縦壁56にプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築することで擁壁6を補強すればよく、上記と同様の効果が奏される。
【0042】
(第7の実施の形態)
次に第7の実施の形態について説明する。
図11に示すように、第7の実施の形態では、コンクリート構造物が橋梁アバット8である場合について説明する。
図11、
図12に示すように橋梁アバット8は、自動車が走行する橋梁9の一部を構成するものであり、橋台躯体60と、橋台壁部62とを備えている。
橋台躯体60は、高さと、橋梁9の幅方向に延在する幅を有している。
橋台躯体60の背面には盛土が行なわれている。
橋台躯体60の上部には、橋桁64の端部が設置される座面6002が形成され、また、座面6002に隣接した箇所から橋台壁部62が起立され、橋台壁部62の上端面6202は橋桁64の上面と高さがほぼ一致している。
橋台壁部62は、鉛直方向に細長の断面形状を有して水平方向に延在する壁部を構成している。
これら橋台躯体60、橋台壁部62の背面は盛土で覆われている。
【0043】
次に、このような橋梁アバット8の補強方法について
図3(A)〜(C)を流用して説明する。
図3(A)に示すように、第1の実施の形態と同様に、地中に埋設された橋台壁部62の一方の面62Aで橋台壁部62の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、橋台壁部62の一方の面62Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する(孔部掘削工程)。
【0044】
次に、作業用孔部22内で、橋台壁部62の一方の面62Aの表面を目荒らしを行ない、前記複数箇所において橋台壁部62の一方の面62Aの上端から下端まで間隔をおいて複数のアンカー筋用孔15を穿孔したのち、前記複数箇所において橋台壁部62の内部と橋台壁部62の外方とにわたるようにアンカー筋26を一方の面62Aの上端から下端まで間隔をおいて複数配筋する(配筋工程)。なお、アンカー筋26は、アンカー筋用孔15に挿通して充填剤で橋台壁部62に結合する。
また、配筋工程において、アンカー筋26に結合させて補強支柱用の支柱用鉄筋28を組み付ける。
【0045】
次に、
図3(B)に示すように、作業用孔部22内で、前記複数箇所においてそれぞれ橋台壁部62の外方に露出する複数のアンカー筋26および支柱用鉄筋28を囲むようにコンクリート型枠32を組む(型枠組み付け工程)。
【0046】
次に、
図3(C)に示すように、各コンクリート型枠32の内部にコンクリート34を打設することにより橋台壁部62の一方の面62Aにアンカー筋26を介して一体的に結合された補強支柱30を橋台壁部62の高さ方向の全長にわたって構築する(コンクリート打設工程)。
図12は、補強支柱30により補強された橋梁アバット8の斜視図を示している。
なお、第2、第3の実施の形態と同様に、鉄骨コンクリート柱からなる補強支柱30を用いてもよいことは無論である。
【0047】
第7の実施の形態によれば、地中に埋設された橋梁アバット8の橋台壁部62の一方の面62Aで橋台壁部62の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、橋台壁部62の一方の面62Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、配筋工程、型枠組み付け工程を行ない、橋台壁部62の一方の面62Aの地上からコンクリート打設工程を行ない、橋台壁部62に補強支柱30を構築することで、橋梁アバット8を補強するようにした。
したがって、橋梁9が複数の車線を有する場合、橋台壁部62のうち一部の車線に対応する橋台壁部62の部分についてのみ通行規制を行なって施工すると共に、残りの車線について通行規制を行なわないようにすれば、交通機関の機能を損なわずに補強工事を完了できる。
また、車両の通行を全面的に禁止することなく橋梁アバット8の補強工事を行なえるため、施工は、車両の走行が少ない夜間に限定されることはなく、日中でも行なえ、施工効率を向上する上で有利である。
また、第1の実施の形態と同様に、補強支柱30の延在方向が鉛直方向であるため、地震時に想定される様々な方向のせん断破壊線をカバーする上で有利となり、橋梁アバット8の補強性能を確保する上で有利となる。
【0048】
また、第7の実施の形態においても、第4の実施の形態と同様に、補強支柱30に代えてプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築してもよいことは無論である。
その場合は、地中に埋設された橋台壁部62の一方の面62Aで橋台壁部62の延在方向に間隔をおいた複数箇所を露出させるように、橋台壁部62の一方の面62Aに沿って鉛直方向に延在する作業用孔部22を掘削する孔部掘削工程を行ない、作業用孔部22内で、穿孔工程、補強支柱結合工程を行ない、橋台壁部62にプレキャストコンクリート製の補強支柱40を構築することで橋梁アバット8を補強すればよく、上記と同様の効果が奏される。