(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に配設される車室内熱交換器と、車室外に配設される車室外熱交換器と、膨張弁と、上記車室外熱交換器に送風する室外送風機とを含み、上記圧縮機、上記車室内熱交換器、上記膨張弁及び上記車室外熱交換器を冷媒配管により接続してなるヒートポンプ装置と、
上記ヒートポンプ装置を制御する空調制御装置と、
上記車室外熱交換器の着霜状態を検出する着霜状態検出手段とを備え、
上記ヒートポンプ装置は、上記空調制御装置により暖房運転モードと、除霜運転モードとを含む複数の運転モードに切り替えられるように構成された車両用空調装置であって、
上記車室外熱交換器は、所定方向に並ぶように配置された複数の伝熱管と、該伝熱管の端部に接続されて該伝熱管の並び方向に延びるヘッダタンクとを備え、該伝熱管の並び方向及び該ヘッダタンクの延びる方向は、水平方向とされ、
上記ヘッダタンクには、該ヘッダタンクの長手方向に互いに離れて設けられた冷媒入口部及び冷媒出口部と、上記伝熱管を、上記冷媒入口部から上記冷媒出口部に向かう冷媒流れを形成するように複数のパスに分けるための仕切部とが設けられ、
上記室外送風機は、上記車室外熱交換器の空気通過面に沿って冷媒出口側と冷媒入口側とに水平方向に並ぶようにそれぞれ配置された第1ファン及び第2ファンを備え、上記車室外熱交換器における冷媒入口側のパスを通過する上記室外送風機の送風量が、上記車室外熱交換器における冷媒出口側のパスを通過する上記室外送風機の送風量よりも多くなるように、該第2ファンの風量が、該第1ファンの風量よりも多く設定され、
上記空調制御装置は、暖房運転モード中に、上記着霜状態検出手段により上記車室外熱交換器の着霜が検出された場合に上記ヒートポンプ装置の運転モードを除霜運転モードに切り替えて除霜運転モードの開始時に上記第1ファン及び上記第2ファンを停止させ、除霜運転モード中に、上記車室外熱交換器の除霜状態に応じて上記第1ファン及び上記第2ファンを独立して作動させるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車室外熱交換器では、全体が均一に着霜することは殆どなく、暖房運転中、着霜しやすい領域とそうでない領域とが存在する。そして、ヒートポンプ装置の構成や運転状態によっては、車室外熱交換器における冷媒出口側の放熱量が冷媒入口側の放熱量に比べて多く、車室外熱交換器における冷媒出口側が冷媒入口側に比べて着霜し易い場合がある。
【0006】
車室外熱交換器の一部にでも着霜が起こると、そこから霜が全体に成長しやすくなるので、着霜しやすい領域の着霜をできるだけ遅らせることができれば、暖房能力の向上が図られる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、暖房運転時に車室外熱交換器における冷媒出口側が冷媒入口側に比べて着霜し易い場合に、冷媒出口側の着霜をできるだけ遅らせることができるようにして暖房能力の向上を図り、もって、乗員の快適性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、車室外熱交換器の冷媒出口側が冷媒入口側に比べて着霜し易い場合に、暖房運転時に車室外熱交換器の冷媒入口側のパスへの送風量が多くなるようにした。
【0009】
第1の発明は、
冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に配設される車室内熱交換器と、車室外に配設される車室外熱交換器と、膨張弁と、上記車室外熱交換器に送風する室外送風機とを含み、上記圧縮機、上記車室内熱交換器、上記膨張弁及び上記車室外熱交換器を冷媒配管により接続してなるヒートポンプ装置と、
上記ヒートポンプ装置を制御する空調制御装置と
、
上記車室外熱交換器の着霜状態を検出する着霜状態検出手段とを備え、
上記ヒートポンプ装置は、上記空調制御装置により暖房運転モードと、除霜運転モードとを含む複数の運転モードに切り替えられるように構成された車両用空調装置であって、
上記車室外熱交換器は、所定方向に並ぶように配置された複数の伝熱管と、該伝熱管の端部に接続されて該伝熱管の並び方向に延びるヘッダタンクとを備え、
該伝熱管の並び方向及び該ヘッダタンクの延びる方向は、水平方向とされ、
上記ヘッダタンクには、該ヘッダタンクの長手方向に互いに離れて設けられた冷媒入口部及び冷媒出口部と、上記伝熱管を、上記冷媒入口部から上記冷媒出口部に向かう冷媒流れを形成するように複数のパスに分けるための仕切部とが設けられ、
上記室外送風機は、上記車室外熱交換器の空気通過面に沿って冷媒出口側と冷媒入口側とに水平方向に並ぶようにそれぞれ配置された第1ファン及び第2ファンを備え、上記車室外熱交換器における冷媒入口側のパスを通過する上記室外送風機の送風量が、上記車室外熱交換器における冷媒出口側のパスを通過する上記室外送風機の送風量よりも多く
なるように、該第2ファンの風量が、該第1ファンの風量よりも多く設定され、
上記空調制御装置は、暖房運転モード中に、上記着霜状態検出手段により上記車室外熱交換器の着霜が検出された場合に上記ヒートポンプ装置の運転モードを除霜運転モードに切り替えて除霜運転モードの開始時に上記第1ファン及び上記第2ファンを停止させ、除霜運転モード中に、上記車室外熱交換器の除霜状態に応じて上記第1ファン及び上記第2ファンを独立して作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、暖房運転モードで車室外熱交換器が吸熱して車室外熱交換器に霜が付着するとき、ヒートポンプ装置の構成や運転状態により、車室外熱交換器における冷媒出口側のパスが冷媒入口側のパスに比べて着霜し易い場合がある。暖房運転モード時には、車室外熱交換器における冷媒入口側のパスを通過する室外送風機の送風量が冷媒出口側に比べて多いので、車室外熱交換器における冷媒入口側のパスでの熱交換量が多くなり、車室外熱交換器における冷媒出口側のパスの着霜を遅らせることが可能になる。これにより、霜が車室外熱交換器の広い範囲に成長するのが抑制される。
【0011】
車室外熱交換器の冷媒入口側のパスと冷媒出口側のパスとで送風量を変化させる手段としては、例えば車室外熱交換器が設置される部分の車体構造や、室外送風機のレイアウト、室外送風機の送風能力等がある。
【0012】
また、第1ファン及び第2ファンの送風量を変えることで、両ファンの共振を抑制して騒音低減が図られる。第1ファン及び第2ファンの送風量を変える手段としては、例えば、ファンの羽根数や、ファン直径等を変化させてもよい。
【0013】
また、除霜運転モード時に車室外熱交換器における冷媒入口側のパスの外部に溜まった水を早期に排水することが可能になる。
【0014】
また、除霜運転モード中に車室外熱交換器の除霜状態に応じて第1ファン及び第2ファンを独立して作動させることで、車室外熱交換器の外部に存在する水を効果的に排水することが可能になり、着霜、除霜の繰り返し運転時の暖房性能が高くなる。
【0015】
第
2の発明は、第
1の発明において、
上記着霜状態検出手段は、上記車室外熱交換器の冷媒入口側の冷媒温度状態を検出する入口側冷媒温度検出手段であり、
上記空調制御装置は、上記入口側冷媒温度検出手段により検出された冷媒温度が第1の所定温度を超えた場合、上記第2ファンを作動させた後、停止させ、上記入口側冷媒温度検出手段により検出された冷媒温度が第1の所定温度よりも高い第2の所定温度を超えた場合、上記第1ファンを作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、車室外熱交換器の冷媒入口側の冷媒温度状態を検出する入口側冷媒温度検出手段を用いることで、車室外熱交換器の着霜も同検出手段で検出することが可能になるので、安価なシステムを構築することが可能になる。
【0017】
第
3の発明は、第
1の発明において、
上記着霜状態検出手段は、上記車室外熱交換器の冷媒出口側の冷媒温度状態を検出する出口側冷媒温度検出手段であり、
上記空調制御装置は、上記出口側冷媒温度検出手段により検出された冷媒温度が第1の所定温度を超えた場合、上記第2ファンを作動させた後、停止させ、上記出口側冷媒温度検出手段により検出された冷媒温度が第1の所定温度よりも高い第2の所定温度を超えた場合、上記第1ファンを作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、車室外熱交換器の冷媒出口側の冷媒温度状態を検出することで、車室外熱交換器のパスの着霜状態を正確に推定することが可能になる。
【0019】
第
4の発明は、第
1発明において、
上記着霜状態検出手段は、除霜運転モード開始からの経過時間を計測する計時手段であり、
上記空調制御装置は、上記計時手段により除霜運転モード開始からの経過時間が第1の所定時間を超えた場合、上記第2ファンを作動させた後、停止させ、上記計時手段により除霜運転モード開始からの経過時間が第1の所定時間よりも長い第2の所定時間を超えた場合、上記第1ファンを作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
すなわち、除霜運転モード開始からの経過時間が長ければ長いほど、車室外熱交換器のパス毎の着霜量が減少していくので、車室外熱交換器のパス毎の着霜状態と、除霜運転モード開始からの経過時間とは相関性がある。除霜運転モード開始からの経過時間を計測する計時手段を用いることにより、冷媒温度等を検出することなく、上記相関関係に基づく着霜状態を得て、着霜状態に適するように第1ファン及び第2ファンを安価に制御することが可能になる
。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、車室外熱交換器における冷媒入口側のパスを通過する室外送風機の送風量が、冷媒出口側のパスを通過する送風量よりも多く設定され、暖房運転モード時に室外送風機を作動させるようにしたので、暖房運転時に車室外熱交換器における冷媒出口側が冷媒入口側に比べて着霜し易い場合に、冷媒出口側の着霜を遅らせて暖房能力の向上を図ることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0022】
また、第1ファン及び第2ファンを設ける場合に、車室外熱交換器の冷媒入口側のパスを通過する送風量が多くなるようにすることで、両ファンの共振を抑制して低騒音化を図りながら、車室外熱交換器の冷媒入口側のパスの外部に存在する水を飛ばして除霜時間を短くできる。
【0023】
また、車室外熱交換器の除霜状態に応じて第1ファン及び第2ファンを独立して作動させるようにしたので、車室外熱交換器の外部に存在する水を効果的に排水することができる。これにより、着霜、除霜の繰り返し運転時の暖房性能が高くなるので、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
【0024】
第
2の発明によれば、車室外熱交換器の冷媒入口側の冷媒温度状態を検出する入口側冷媒温度検出手段を使用して安価なシステムとしながら、第1ファン及び第2ファンを適切に作動させることができる。
【0025】
第
3の発明によれば、車室外熱交換器の冷媒出口側の冷媒温度状態を検出するようにしたので、車室外熱交換器のパスの着霜状態を正確に推定することができ、第1ファン及び第2ファンをより一層適切に作動させることができる。
【0026】
第
4の発明によれば、除霜運転モード開始からの経過時間を計測する計時手段を用いることにより、冷媒温度等を検出することなく、車室外熱交換器の着霜状態に適するように第1ファン及び第2ファンを安価に制御することができる
。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る車両用空調装置1の概略構成図である。車両用空調装置1が搭載された車両は、走行用バッテリ(図示せず)及び走行用モーター(図示せず)を備えた電気自動車である。
【0030】
車両用空調装置1は、ヒートポンプ装置20と、車室内空調ユニット21と、ヒートポンプ装置20及び車室内空調ユニット21を制御する空調制御装置22(
図2に示す)とを備えている。
【0031】
ヒートポンプ装置20は、冷媒を圧縮する電動コンプレッサ30と、車室内に配設される下流側車室内熱交換器(第1車室内熱交換器)31と、車室内において下流側車室内熱交換器31の空気流れ方向上流側に配設される上流側車室内熱交換器(第2車室内熱交換器)32と、車室外に配設される車室外熱交換器33と、アキュムレータ34と、これら機器30〜34を接続する第1〜第4主冷媒配管40〜43と、第1〜第3分岐冷媒配管44〜46と、室外送風機を構成する第1及び第2クーリングファン37a、38aとを備えている。
【0032】
電動コンプレッサ30は、従来から周知の車載用のものであり、電動モーターによって駆動される。電動コンプレッサ30の回転数を変更することによって単位時間当たりの吐出量を変化させることができる。電動コンプレッサ30は、空調制御装置22に接続されてON及びOFFの切り替えと、回転数が制御されるようになっている。電動コンプレッサ30には、走行用バッテリから電力が供給される。
【0033】
車室外熱交換器33は、車両の前部に設けられたモータルーム(エンジン駆動車両におけるエンジンルームに相当)において該モータルームの前端近傍に配設され、走行風が当たるようになっている。
【0034】
図3に示すように、車室外熱交換器33は、複数本の伝熱管33aと、複数のフィン33bと、上側ヘッダタンク33cと、下側ヘッダタンク33dとを備えている。伝熱管33aは、上下方向に延びており、車両の左右方向(水平方向)に並ぶように配置されている。各伝熱管33aは、外部空気の通過方向(車両前側から後側)に長い断面形状を有している。水平方向に隣合う伝熱管33a、33aは、フィン33bを配設するために水平方向に間隔をあけて配置されており、伝熱管33a、33aの間にフィン33bが設けられている。フィン33bは、伝熱管33bの上端近傍から下端近傍に亘って延びるコルゲートフィンである。
【0035】
上側ヘッダタンク33cは、伝熱管33aの上端部に連通している。上側ヘッダタンク33cは、伝熱管33aの並び方向に沿って車両の左右方向に延びる形状とされている。上側ヘッダタンク33cの内部において長手方向の中央部には、第1仕切板(仕切部)33eが設けられている。この第1仕切板33eは、上側ヘッダタンク33cの内部を長手方向一側の空間と他側の空間とに仕切るためのものである。
【0036】
下側ヘッダタンク33dは、伝熱管33aの下端部に連通している。下側ヘッダタンク33dも上側ヘッダタンク33cと同様に車両の左右方向に延びる形状とされている。下側ヘッダタンク33dの内部において長手方向の中央部よりも右側には、第2仕切板(仕切部)33fが設けられ、また、中央部よりも左側には、第3仕切板(仕切部)33gが設けられている。第2仕切板33f及び第3仕切板33gは、下側ヘッダタンク33dの内部を長手方向に3つの空間に仕切るためのものである。
【0037】
また、下側ヘッダタンク33dには、冷媒を下側ヘッダタンク33dに流入させるための冷媒入口管(冷媒入口部)33hと、下側ヘッダタンク33dの冷媒を外部に流出させるための冷媒出口管(冷媒出口部)33iとが下側ヘッダタンク33dの長手方向に離れて設けられている。冷媒入口管33hは、下側ヘッダタンク33dの第2仕切板33fよりも右側の空間に連通している。冷媒出口管33iは、下側ヘッダタンク33dの第3仕切板33gよりも左側の空間に連通している。
【0038】
上記第1仕切板33e、第2仕切板33g及び第3仕切板33fにより、車室外熱交換器33には、第1〜第4パスP1〜P4が形成される。第1パスP1は、下側ヘッダタンク33dの第2仕切板33fよりも右側の空間に連通する伝熱管33a群で構成されている。第2パスP2は、下側ヘッダタンク33dの第2仕切板33fよりも左側の空間及び上側ヘッダタンク33cの第1仕切板33eよりも右側の空間に連通する伝熱管33a群で構成されている。第3パスP3は、下側ヘッダタンク33dの第3仕切板33gよりも右側の空間及び上側ヘッダタンク33cの第1仕切板33eよりも左側の空間に連通する伝熱管33a群で構成されている。第4パスP4は、下側ヘッダタンク33dの第3仕切板33gよりも左側の空間に連通する伝熱管33a群で構成されている。
【0039】
そして、第1パスP1が冷媒流れ方向最上流のパスとなり、以下、冷媒流れ方向に順に、第2パスP2、第3パスP3及び第4パスP4が連なる。つまり、上記第1仕切板33e、第2仕切板33g及び第3仕切板33fは、伝熱管33aを、冷媒入口管33hから冷媒出口管33iに向かう冷媒流れを形成するように複数のパスP1〜P4に分けるためのものである。
【0040】
図1に示すように、第1及び第2クーリングファン37a、38aは車両の前部において車室外熱交換器33の車両後側、即ち、走行風の下流側に、空気通過面に沿って車両左右方向に並ぶように設けられている。第1及び第2クーリングファン37a、38aは、それぞれ第1及び第2ファンモーター37b、38bによって駆動され、車室外熱交換器33に対し、車両前側から後側に向けて空気を送風するように構成されている。
【0041】
図3に示すように、第1クーリングファン37aは、第1クーリングファン37aの中心部が車室外熱交換器33の左右方向の中心部よりも左側にオフセットするように配置されている。第2クーリングファン38aは、第2クーリングファン38aの中心部が車室外熱交換器33の左右方向の中心部よりも右側にオフセットするように配置されている。
【0042】
第2クーリングファン38aによる送風量は、同回転数の第1クーリングファン37aによる送風量に比べて多く設定されている。これにより、車室外熱交換器33における冷媒入口側のパスP1、P2を通過する第2クーリングファン38aによる送風量が、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4を通過する第1クーリングファン37aの送風量よりも多く設定されることになる。
【0043】
具体的には、この実施形態では、第2クーリングファン38aの直径を第1クーリングファン37aの直径よりも大きくしている。これにより、上述のような風速分布を実現しながら、第1クーリングファン37aと第2クーリングファン38aとを同時に作動させたときに共振しにくくなるので騒音が低減される。
【0044】
尚、第1クーリングファン37aと第2クーリングファン38aの送風量を変える構成は、上記した直径を変えることに限られるものではない。第1クーリングファン37aと第2クーリングファン38aの羽根数を変えても送風量を変えることができる。また、第2クーリングファン38aに比べて第1クーリングファン37aの方に空気が流入しにくい、または空気が流出しにくいような車体構造とすることによっても、第1クーリングファン37aと第2クーリングファン38aの送風量を変えることができる。これら構成は任意に組み合わせて用いることもできる。
【0045】
第1及び第2ファンモーター37b、38bは、空調制御装置22に接続され、各々独立してON及びOFFの切り替えと、回転数が制御されるようになっている。回転数は、Lo(低速回転)、Mi(中速回転)、Hi(最大回転)の3段階に切り替えられる。尚、回転数の切替は2段階であってもよいし、4段階以上であってもよいし、無段階であってもよい。
【0046】
第1及び第2ファンモーター37b、38bにも走行用バッテリから電力が供給される。尚、第1及び第2ファンモーター37b、38bは、例えば走行用インバータ等を冷却するためのラジエータ(図示せず)に空気を送風することもできるものであり、空調の要求時以外にも作動させることが可能である。
【0047】
図1に示すように、第1主冷媒配管40は、電動コンプレッサ30の吐出口と下流側車室内熱交換器31の冷媒流入口とを接続するものである。また、第2主冷媒配管41は、下流側車室内熱交換器31の冷媒流出口と車室外熱交換器33の冷媒入口管33hとを接続するものである。第3主冷媒配管42は、車室外熱交換器33の冷媒出口管33gと上流側車室内熱交換器32の冷媒流入口とを接続するものである。第4主冷媒配管43は、上流側車室内熱交換器32の冷媒流出口と電動コンプレッサ30の吸入口とを接続するものである。
【0048】
アキュムレータ34は、第4主冷媒配管43の中途部において電動コンプレッサ30の吸入口近傍に配設されている。
【0049】
また、第1分岐冷媒配管44は、第2主冷媒配管41から分岐しており、第3主冷媒配管42に接続されている。第2分岐冷媒配管45は、第2主冷媒配管41から分岐しており、第4主冷媒配管43に接続されている。第3分岐冷媒配管46は、第3主冷媒配管42から分岐しており、第4主冷媒配管43に接続されている。
【0050】
また、ヒートポンプ装置20は、第1流路切替弁50、第2流路切替弁51、第1膨張弁52、第2膨張弁53、第1逆止弁54及び第2逆止弁55を備えている。
【0051】
第1流路切替弁50及び第2流路切替弁51は電動タイプの三方弁で構成されており、空調制御装置22によって制御される。第1流路切替弁50は、第2主冷媒配管41の中途部に設けられており、第1分岐冷媒配管44が接続されている。第2流路切替弁51は、第4主冷媒配管43の中途部に設けられており、第3分岐冷媒配管46が接続されている。
【0052】
第1膨張弁52及び第2膨張弁53は、空調制御装置22によって制御される電動タイプのものであり、開方向及び閉方向に制御される。第1膨張弁52及び第2膨張弁53の開度は、通常、空調負荷の状態に応じて設定されるが、空調負荷に関わらず、任意の開度に設定することもできるようになっている。
【0053】
第1膨張弁52は、第3主冷媒配管42の第1分岐冷媒配管44との接続部位よりも上流側車室内熱交換器32側、即ち、上流側車室内熱交換器32の冷媒入口側の冷媒配管に配設されている。一方、第2膨張弁53は、第2主冷媒配管41に配設されている。
【0054】
第1逆止弁54は、第3主冷媒配管42に配設されており、第3主冷媒配管42の車室外熱交換器33側から上流側車室内熱交換器32側へ向けての冷媒の流れを許容し、逆方向への冷媒の流れを阻止するように構成されている。
【0055】
第2逆止弁55は、第2分岐冷媒配管45に配設されており、第2分岐冷媒配管45の第4主冷媒配管43側から第2主冷媒配管41側へ向けての冷媒の流れを許容し、逆方向への冷媒の流れを阻止するように構成されている。
【0056】
また、車室内空調ユニット21は、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32を収容するケーシング60と、エアミックスドア(温度調節ドア)62と、エアミックスドア62を駆動するエアミックスドアアクチュエータ63と、吹出モード切替ドア64と、送風機65と、PTCヒータ(電気式ヒータ)67とを備えている。
【0057】
送風機65は、車室内の空気(内気)と車室外の空気(外気)との一方を選択してケーシング60内に空調用空気として送風するためのものである。送風機65は、シロッコファン65aと、シロッコファン65aを回転駆動する送風モーター65bとを備えている。送風モーター65bは、空調制御装置22に接続されてON及びOFFの切り替えと、回転数が制御されるようになっている。送風モーター65bにも走行用バッテリから電力が供給される。
【0058】
送風機65には、内気を導入するための内気導入口65cと、外気を導入するための外気導入口65dとが形成されている。送風機65の内部には、内気導入口65cと外気導入口65dとの一方を開いて他方を閉じる内外気切替ドア65eが設けられている。さらに、送風機65には、内外気切替ドア65eを駆動する内外気切替ドアアクチュエータ61が設けられている。この内外気切替ドアアクチュエータ61は、空調制御装置22により制御される。送風機65の空気導入モードは、内気導入口65cを全開にして外気導入口65dを全閉にする内気導入モードと、内気導入口65cを全閉にして外気導入口65dを全開にする外気導入モードとに切り替えられるようになっている。内気導入モードと外気導入モードとの切り替えは、乗員によるスイッチ操作で行うことができるようになっている。
【0059】
ケーシング60は、車室内においてインストルメントパネル(図示せず)の内部に配設されている。ケーシング60には、デフロスタ吹出口60a、ベント吹出口60b及びヒート吹出口60cが形成されている。デフロスタ吹出口60aは、車室のフロントウインド内面に空調風を供給するためのものである。ベント吹出口60bは、車室の乗員の主に上半身に空調風を供給するためのものである。ヒート吹出口60cは、車室の乗員の足下に空調風を供給するためのものである。
【0060】
これら吹出口60a〜60cはそれぞれ吹出モード切替ドア64によって開閉される。吹出モード切替ドア64は、図示しないが、空調制御装置22に接続されたアクチュエータによって動作するようになっている。
【0061】
吹出モードとしては、例えば、デフロスタ吹出口60aに空調風を流すデフロスタ吹出モード、ベント吹出口60bに空調風を流すベント吹出モード、ヒート吹出口60cに空調風を流すヒート吹出モード、デフロスタ吹出口60a及びヒート吹出口60cに空調風を流すデフ/ヒートモード、ベント吹出口60b及びヒート吹出口60cに空調風を流すバイレベルモード等である。
【0062】
ケーシング60内に導入された空調用空気は、全量が上流側車室内熱交換器32を通過するようになっている。
【0063】
エアミックスドア62は、ケーシング60内において、上流側車室内熱交換器32と下流側車室内熱交換器31との間に収容されている。エアミックスドア62は、上流側車室内熱交換器32を通過した空気のうち、下流側車室内熱交換器31を通過する空気量を変更することによって、上流側車室内熱交換器32を通過した空気と、下流側車室内熱交換器31を通過した空気との混合割合を決定して空調風の温度調節を行うためのものである。
【0064】
PTCヒータ67は、ケーシング60内において下流側車室内熱交換器31の空気流れ方向下流側に配設されており、ケーシング60内を流れる空調用空気を加熱するためのものである。PTCヒータ67は、空調制御装置22により制御され、ON、OFFの切替及び加熱量の変更が可能となっている。この実施形態では、加熱量は、Lo(低)、Mi(中)、Hi(高)の3段階に変更できるようになっているが、これよりも多段階に変更したり、無段階に変更することも可能である。PTCヒータ67には走行用バッテリから電力が供給されるようになっている。
【0065】
車両用空調装置1は、外気温度センサ70と、車室外熱交換器温度センサ71と、車室内熱交換器温度センサ73と、内気温度センサ75と、車室外冷媒温度センサ(入口側冷媒温度検出手段)83とを備えている。これらセンサは空調制御装置22に接続されている。
【0066】
外気温度センサ70は、車室外熱交換器33よりも空気流れ方向上流側に配設されており、車室外熱交換器33に流入する前の外部空気の温度(外気温度)を検出するためのものである。一方、車室外熱交換器温度センサ71は、車室外熱交換器33の空気流れ方向下流側の面に配設されており、車室外熱交換器33の表面温度を検出するためのものである。
【0067】
車室内熱交換器温度センサ73は、上流側車室内熱交換器32の空気流れ方向下流側に配設されており、上流側車室内熱交換器32の表面温度を検出するためのものである。
【0068】
内気温度センサ75は、車室内の温度(内気温度)を検出するためのものであり、車室内の所定箇所に配設されている。内気温度センサ75は、従来から周知のものなので、詳細な説明は省略する。
【0069】
車室外冷媒温度センサ83は、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hに設けられており、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hにおける冷媒温度を検出するためのものである。
【0070】
また、図示しないが、車両用空調装置1には、日射量を検出するセンサ等も設けられている。
【0071】
空調制御装置22は、例えば、乗員による設定温度や外気温、車室内温度、日射量等の複数の情報に基づいてヒートポンプ装置20等を制御するものであり、周知の中央演算装置やROM、RAM等によって構成されている。また、空調の負荷に応じて電動コンプレッサ30や第1及び第2ファンモーター37b、38b等も制御する。
【0072】
空調制御装置22は、通常のオートエアコン制御と同様にメインルーチンにおいて、ヒートポンプ装置20の運転モードの切り替え、送風機65の風量、エアミックスドア62の開度、吹出モードの切り替え、電動コンプレッサ30、送風モーター65bの制御を行い、例えば、ファンモーター37b、38bは、電動コンプレッサ30が停止状態であっても、走行用インバーター等の冷却が必要な場合には作動するようになっている。
【0073】
ヒートポンプ装置20の運転モードは、暖房運転モード、除霜運転モードを含む複数のモードがあり、本実施形態では説明しないが、下流側車室内熱交換器31を放熱器とし、上流側車室内熱交換器32を吸熱器とし、車室外熱交換器33を放熱器として作用させる冷房運転モードもある。
【0074】
また、
図4に示す暖房運転モードは、例えば外気温度が0℃よりも低い場合(極低外気時)に選択される運転モードである。暖房運転モードでは、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32を放熱器とし、車室外熱交換器33を吸熱器として作用させる。
【0075】
すなわち、第1流路切替弁50は、下流側車室内熱交換器31から流出した冷媒を上流側車室内熱交換器32の流入口に流入させるように流路を切り替える。また、第2流路切替弁51は、車室外熱交換器33から流出した冷媒をアキュムレータ34に流入させるように流路を切り替える。第1膨張弁52は開いて非膨張状態にし、第2膨張弁53は閉じ気味にして膨張状態にする。
【0076】
この状態で電動コンプレッサ30を作動させると、電動コンプレッサ30から吐出された高圧冷媒が第1主冷媒配管40を流れて下流側車室内熱交換器31に流入し、下流側車室内熱交換器31を循環する。下流側車室内熱交換器31を循環した冷媒は、第2主冷媒配管41から第1分岐冷媒配管44を流れて上流側車室内熱交換器32に流入し、上流側車室内熱交換器32を循環する。つまり、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32に高温状態の冷媒が流入するので、空調用空気は、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32の両方によって加熱されることになり、よって、高い暖房能力が得られる。
【0077】
上流側車室内熱交換器32を循環した冷媒は、第4主冷媒配管43から第2分岐冷媒配管45を通って第2主冷媒配管41に流入する。第2主冷媒配管41に流入した冷媒は、第2膨張弁53を通過することで膨張し、車室外熱交換器33に流入する。車室外熱交換器33に流入した冷媒は、外部空気から吸熱して第3主冷媒配管42、第3分岐冷媒配管46を順に通ってアキュムレータ34を経て電動コンプレッサ30に吸入される。
【0078】
図5に示す除霜運転モードは、暖房中に車室外熱交換器33が着霜した場合に、車室外熱交換器33の霜を溶かすために選択される運転モードである。除霜運転モードでは、下流側車室内熱交換器31及び車室外熱交換器33を放熱器として作用させる。また、上流側車室内熱交換器32には冷媒を流さない。
【0079】
すなわち、第1流路切替弁50は、下流側車室内熱交換器31から流出した冷媒を上流側車室内熱交換器32の流入口に流入しないように、第2膨張弁53側へ流すように流路を切り替える。また、第2流路切替弁51は、車室外熱交換器33から流出した冷媒をアキュムレータ34に流入させるように流路を切り替える。第2膨張弁53は非膨張状態にする。
【0080】
この状態で電動コンプレッサ30を作動させると、電動コンプレッサ30から吐出された冷媒が、下流側車室内熱交換器31を循環した後、第2主冷媒配管41を通って膨張することなく、車室外熱交換器33に流入する。車室外熱交換器33に流入した冷媒は放熱して霜を溶かす。その後、第3主冷媒配管42、第3分岐冷媒配管46を順に通ってアキュムレータ34を経て電動コンプレッサ30に吸入される。
【0081】
図2に示すように、空調制御装置22は、車室外熱交換器33に霜が付着しているか否か、及び霜が付着している場合にその着霜量を検出する着霜検出部(着霜検出手段)22aを有している。着霜検出部22aは、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度を車室外冷媒温度センサ83により得ることで車室外熱交換器33の着霜を判定するように構成されている。すなわち、通常の暖房運転モードでは、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度は、例えばほぼ−5℃であるが、この実施形態では、この冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば−8℃まで低下したら車室外熱交換器33が着霜していると判定する。冷媒入口管33hの冷媒温度が低ければ低いほど着霜量が多いと判定することができる。
【0082】
尚、着霜検出部22aは、例えば、車室外熱交換器33の冷媒で出口管33iの冷媒温度を出口側温度センサ(出口側冷媒温度検出手段)68により得ることで車室外熱交換器33の着霜を判定するように構成することもできる。判定方法は車室外冷媒温度センサ83によって温度を検出する場合と同様な考え方に基づく方法で可能である。
【0083】
車室内空調ユニット21から吹き出す空気の目標吹出温度は、乗員の設定温度や外気温等に基づいて空調制御装置22で演算される。
【0084】
次に、空調制御装置22による制御手順を説明する。メインルーチンでは、図示しないが、外気温度センサ70で検出された外気温度(TG)が例えば0℃よりも低い場合には、ヒートポンプ装置20を暖房運転モードに切り替える。また、吹出空気の温度が目標温度となるように、エアミックスドア62を動作させる。
【0085】
外気温度(TG)が例えば0℃以上25℃以下である場合には、除湿を行いながら暖房が行えるようにする。また、外気温度(TG)が例えば25℃よりも高い場合には、ヒートポンプ装置20を冷房運転モードに切り替える。
【0086】
メインルーチンで暖房運転モードが選択された場合には、ヒートポンプ装置20の運転モードを暖房運転モードとする。暖房運転モードでは、
図6のタイムチャートに示すように、第1及び第2クーリングファン37a、38aの回転数は、例えば中速回転とする。第1及び第2クーリングファン37a、38aの回転数は、空調負荷に応じて変更すればよい。
【0087】
また、暖房運転モードであるため、車室外熱交換器33の冷媒流れ方向上流側に配設されている第2膨張弁53は閉じ気味にして冷媒を断熱膨張させる。このときの車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度は例えば−5℃である。
【0088】
また、電動コンプレッサ30の回転数は、空調負荷によって変化するが低速回転から中速回転の間にある。また、PTCヒータ67はOFFとしているが、これも空調状態に応じてONとしている場合もある。
【0089】
暖房運転モード中、車室外熱交換器33は着霜していく。着霜の進行はヒートポンプ装置20の構成や運転状態等に応じて異なるが、この実施形態では、冷媒出口側から冷媒入口側に向かって着霜が進行する。
【0090】
そして、暖房運転モード中に、タイムチャートに示すように車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が低下していく。暖房運転モード中では、第1及び第2クーリングファン37a、38aが回転しているが、第1及び第2クーリングファン37a、38aの送風量が上述のように設定されているので、車室外熱交換器33における冷媒入口側のパスP1、P2を通過する第2クーリングファン38aの送風量が、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4を通過する第1クーリングファン37aの送風量よりも多くなる。従って、冷媒入口側のパスP1、P2の単位時間当たりの熱交換量が冷媒出口側のパスP3、P4の単位時間当たりの熱交換量よりも多くなる。これにより、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4の着霜を遅らせることが可能になるので、霜が車室外熱交換器33の広い範囲に成長するのが抑制される。
【0091】
冷媒入口管33hの冷媒温度が着霜判定温度の−8℃になると、空調制御装置22は、車室外熱交換器33が着霜したと判定し、ヒートポンプ装置20の運転モードを暖房運転モードから除霜運転モードに切り替える。つまり、第2膨張弁53を全開にする。これにより、非膨張状態の高温冷媒が車室外熱交換器33に流入することになり、除霜が始まる。着霜判定温度は、−8℃に限られるものではない。
【0092】
また、除霜運転モードでは、空調制御装置22は、車室外熱交換器33の放熱を抑制するために第1及び第2クーリングファン37a、38aを停止する。また、除霜運転モードでは、空調制御装置22は、電動コンプレッサ30の回転数を暖房運転モードに比べて上昇させて最大回転数で運転する。さらに、空調制御装置22は、PTCヒータ67をONにして例えば中程度の加熱量として車室内への吹出空気の温度低下を抑制する。このとき、送風機65の風量を暖房運転モードに比べて低下させるようにしてもよい。
【0093】
除霜運転モードに切り替わってから車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が次第に上昇していく。冷媒入口管33hの冷媒温度が、例えば20℃(第1の所定温度)を超えると、車室外熱交換器33の冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2の霜が溶けて第1パスP1及び第2パスP2の外部に水が存在していると推定されるので、第2クーリングファン38aを所定時間だけ作動させる。第2クーリングファン38aの回転数は最大回転数とする。また、第2クーリングファン38aを作動させる時間は、例えば数秒である。第2クーリングファン38aの送風により、車室外熱交換器33の冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2の外部に存在している水が飛ばされて排水される。これにより、冷媒の熱が第1パスP1及び第2パスP2の外部の水に奪われる量を抑制できるので、冷媒流れ下流側の第3パスP3及び第4パスP4に対して高温冷媒を供給することができる。
【0094】
車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度は更に上昇していき、冷媒入口管33hの冷媒温度が、例えば28℃(第2の所定温度)を超えると、車室外熱交換器33の冷媒出口側の第3パスP3及び第4パスP4の霜が溶けて第3パスP3及び第4パスP4の外部に水が存在していると推定される。このときに第3パスP3及び第4パスP4の外部に存在している水の量は、上述のように第3パスP3及び第4パスP4の方が、第1パスP1及び第2パスP2よりも着霜し易いので多い。
【0095】
冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば28℃を超えると、第1クーリングファン37aを所定時間だけ回転させる。第1クーリングファン37aの回転数は最大回転数とする。また、第1クーリングファン37aを作動させる時間は、例えば数秒である。第1クーリングファン37aを最大回転数で作動させることで車室外熱交換器33への送風量が多くなるので、第3パスP3及び第4パスP4の外部に存在している水の量の多くても確実に飛ばして排水することができる。これにより、高温冷媒の熱が外部の水に奪われる量を抑制して除霜時間を短くすることが可能になる。
【0096】
この実施形態では、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば32℃に達すると、除霜運転モードを終了して暖房運転モードに復帰するようにしている。車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が32℃になる前、即ち、除霜運転モードを終了する前で、かつ、霜が殆ど溶けていると推定される状況(冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば31℃になったとき)には、第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aを最大回転数で作動させる。これにより、車室外熱交換器33の外部の水を全体的に飛ばすことができる。
【0097】
その後、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば32℃に達すると、暖房運転モードに復帰する。暖房運転モードでは、第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aの回転数を中速回転とする。また、第2膨張弁53を閉じ気味にする。これにより、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が低下していく。また、暖房運転モードに復帰した直後から所定期間は、電動コンプレッサ30を最大回転数で運転し、PTCヒータ67による加熱も継続する。これにより、車室への吹出空気の温度低下が抑制される。
【0098】
以上説明したように、この実施形態1に係る車両用空調装置1によれば、暖房運転モードで車室外熱交換器33が吸熱して車室外熱交換器33における冷媒出口側の第3パスP3及び第4パスP44が冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2に比べて着霜し易い場合に、第1パスP1及び第2パスP2を通過する第2クーリングファン38aの送風量が第3パスP3及び第4パスP4を通過する第1クーリングファン37aによる送風量に比べて多いので、車室外熱交換器33の冷媒出口側の第3パスP3及び第4パスP4の着霜を遅らせて暖房能力の向上を図ることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0099】
また、車室外熱交換器33における冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2の
外部の水を確実に飛ばすことが可能になる。これにより、伝熱管33a内を流れる高温冷媒の熱が外部の水に奪われる量を抑制して除霜時間を短くすることができるので、乗員の快適性を向上できる。
【0100】
また、除霜運転モード中に車室外熱交換器33の除霜状態に応じて第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aを独立して作動させるようにしているので、車室外熱交換器33の外部に存在する水を効果的に排水することが可能になり、着霜、除霜の繰り返し運転時の暖房性能を高くできる。
【0101】
また、車室外熱交換器33の冷媒入口側の冷媒温度が上昇して第1の所定温度(例えば20℃)を超えた場合は、冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2の霜が溶けた状態であると推定でき、この場合に第2クーリングファン38aを所定時間作動させることで、第1パスP1及び第2パスP2の外部に存在する水を飛ばすことができる。これにより、第3パスP3及び第4パスP44に高温冷媒を早期に供給して第3パスP3及び第4パスP44の除霜を早期に行うことが可能になる。
【0102】
そして、車室外熱交換器33の冷媒入口側の冷媒温度が第2の所定温度(例えば28℃)を超えた場合には、第3パスP3及び第4パスP44の霜も溶けた状態であると推定され、この場合に第1クーリングファン37aを所定時間作動させることで、第3パスP3及び第4パスP44の外部に存在する水を飛ばすことができる。
【0103】
また、車室外熱交換器33の冷媒入口側の冷媒温度状態を検出する車室外冷媒温度センサ83を着霜状態検出手段として利用するので、安価な構成で第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aを制御することができる。
【0104】
また、車室外熱交換器33の冷媒出口側の冷媒温度状態を出口側温度センサ68により検出するように構成することで、車室外熱交換器33の第1〜第4パスP1〜P4の着霜状態を正確に推定することが可能になる。
【0105】
また、車室外熱交換器33の各パスP1〜P4の着霜状態と、除霜運転モード開始からの経過時間とは上述したように相関性があり、除霜運転モード開始時には第1パスP1及び第2パスP2の除霜が主に進み、除霜運転モード開始から時間が経過すると、第3パスP3及び第4パスP4の除霜が進む。
図2に示すように、例えば、除霜運転モード開始からの経過時間を計測する計時手段としてのタイマ22bを空調制御装置22に設けることもできる。本発明の着霜状態検出手段は、タイマ22bとし、空調制御装置22は、タイマ22bにより除霜運転モード開始からの経過時間が第1の所定時間(第1パスP1及び第2パスP2の除霜が進むのに要する時間)を超えた場合、第1クーリングファン37aを作動させ、その後、停止させ、タイマ22bにより除霜運転モード開始からの経過時間が第1の所定時間よりも長い第2の所定時間(第3パスP3及び第4パスP4の除霜が進むのに要する時間)を超えた場合、第2クーリングファン38aを作動させるように構成する。このタイマ22bを用いることにより、冷媒温度等を検出することなく、上記相関関係に基づく着霜状態を得て、着霜状態に適するように第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aを安価に制御することができる。
【0106】
また、ヒートポンプ装置20の運転が除霜運転モードから暖房運転モードに切り替わる前で、かつ、車室外熱交換器33の霜が溶けた後に第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aを作動させるようにしているので、車室外熱交換器33の外部に存在している水を除霜運転モードの終盤で飛ばすことが可能になる。これにより、着霜、除霜の繰り返し運転時の暖房性能が高くなる。
【0107】
また、ヒートポンプ装置20の運転が除霜運転モードにあるときに、第1クーリングファン37a及び第2クーリングファン38aが最大風量となるように制御しているので、車室外熱交換器33の外部に存在している水を確実に飛ばすことができる。
【0108】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係る車両用空調装置1の概略構成を示す図である。この実施形態2は、室外送風機としてのクーリングファン39aを1つにしている点と、クーリングファン39aを1つにしたことによって制御内容が変更されている点とで実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0109】
クーリングファン39aは、該クーリングファン39aの中心が車室外熱交換器33の車両左右方向の中央よりも冷媒入口側にオフセットするように配置されている。これにより、車室外熱交換器33における冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2を通過するクーリングファン39aの送風量が、車室外熱交換器33における冷媒出口側の32パスP3及び第4パスP4を通過する送風量よりも多く設定されることになる。
【0110】
暖房運転モードは、クーリングファン39aが1つである点を除いて実施形態1と同様である。暖房運転モード中では、クーリングファン39aがオフセット配置されているので、車室外熱交換器33における冷媒入口側のパスP1、P2を通過するクーリングファン39aの送風量が、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4を通過するクーリングファン39aの送風量よりも多くなる。従って、冷媒入口側のパスP1、P2の単位時間当たりの熱交換量が冷媒出口側のパスP3、P4の単位時間当たりの熱交換量よりも多くなる。これにより、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4の着霜を遅らせることが可能になるので、霜が車室外熱交換器33の広い範囲に成長するのが抑制される。
【0111】
そして、
図9のタイムチャートに示すように、暖房運転モード中に、冷媒入口管33hの冷媒温度が着霜判定温度の−8℃になると、空調制御装置22は、ヒートポンプ装置20の運転モードを暖房運転モードから除霜運転モードに切り替える。
【0112】
また、除霜運転モードでは、空調制御装置22は、車室外熱交換器33の放熱を抑制するためにクーリングファン39aを停止する。
【0113】
除霜運転モードに切り替わってから車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が次第に上昇していく。冷媒入口管33hの冷媒温度が、例えば28℃を超えると、車室外熱交換器33の冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2の霜と、冷媒出口側の第3パスP3及び第4パスP4の霜が溶けて外部に水が存在していると推定される。このときに第3パスP3及び第4パスP4の外部に存在している水の量が第1パスP1及び第2パスP2よりも多い。
【0114】
冷媒入口管33hの冷媒温度が28℃を超えると、クーリングファン39aを所定時間だけ回転させる。クーリングファン39aの回転数は最大回転数とする。また、クーリングファン39aを作動させる時間は、例えば数秒である。クーリングファン39aを最大回転数で作動させることで、車室外熱交換器33の冷媒入口側への送風量が多くなるので、外部に存在している水の量の多くても確実に飛ばして排水することができる。これにより、高温冷媒の熱が外部の水に奪われる量を抑制して除霜時間を短くすることが可能になる。
【0115】
また、除霜運転モードを終了する前で、かつ、霜が殆ど溶けていると推定される状況(冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば31℃になったとき)には、クーリングファン39aを最大回転数で作動させる。これにより、車室外熱交換器33の外部の水を飛ばすことができる。
【0116】
その後、車室外熱交換器33の冷媒入口管33hの冷媒温度が例えば32℃に達すると、暖房運転モードに復帰する。暖房運転モードでは、クーリングファン39aの回転数を中速回転とする。
【0117】
以上説明したように、この実施形態2に係る車両用空調装置1によれば、暖房運転モードで車室外熱交換器33が吸熱して車室外熱交換器33における冷媒出口側の第3パスP3及び第4パスP44が冷媒入口側の第1パスP1及び第2パスP2に比べて着霜し易い場合に、クーリングファン39aを第1パスP1及び第2パスP2側にオフセットして設けているので、車室外熱交換器33の冷媒出口側の第3パスP3及び第4パスP4の着霜を遅らせて暖房能力の向上を図ることができ、乗員の快適性を向上させることができる。
【0118】
尚、車室外熱交換器33のパスの数は4つに限られるものではなく、2つ、3つ、5つ以上であってもよい。
【0119】
また、上記実施形態1、2では、クーリングファン37a、38a、39aの位置によって車室外熱交換器33の風速分布を設定し、これによって車室外熱交換器33における冷媒入口側のパスP1、P2への送風量が、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4への送風量よりも多くなるようにしているが、これに限らず、例えば、図示しないが導風板やダクト形状の設定により、車室外熱交換器33における冷媒入口側のパスP1、P2への送風量が、車室外熱交換器33における冷媒出口側のパスP3、P4への送風量よりも多くなるようにしてもよい。
【0120】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。