(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開封誘導部が外装材を他の部分よりも脆弱化させてなるものであり、該開封誘導部が前記包装体封止部の配置されている領域まで配設されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
前記吸収性物品の衣類当接面側には、衣類へ固定するためのズレ止め部が設けられ、該ズレ止め部が離型シートによって覆われおり、前記離型シートが前記外装材の内側面に前記固定部によって固定されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る吸収性物品の包装体の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、
図1を参照しながら、以下に説明する。
本明細書の吸収性物品の包装体20では、「前方」とは吸収性物品を着用したときの下腹部方向をいい、「後方」とは吸収性物品を着用したときの臀部方向をいう。また、本明細書では、衣類に装着した状態において、着用者と接する面を着用者当接面もしくは肌当接面といい、相対的に反対側に位置する面、すなわち、装着した衣類に接する側の面を衣類当接面もしくは非肌当接面という。また、相対的に着用者に近い側の面を着用者当接面側もしくは肌当接面側、衣類に近い側の面を衣類当接面側もしくは非肌当接面側という。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の包装体20に包まれる縦長の吸収性物品10は、例えば生理用ナプキン(以下、ナプキンとも言う)である。以下、ナプキンの包装体について詳細に説明する。したがって、縦長の吸収性物品10をナプキン10として説明する。またナプキン10の長手方向が縦長方向(以下、縦方向ともいう。)になる。以下、縦長方向ないし縦方向とは、ナプキン10の縦長方向ないし縦方向またはこの方向と平行方向をいう。
【0012】
ナプキン10は、着用者当接面側に配置される液透過性の表面シート1と、衣類当接面側に配置される液不透過性の裏面シート2と、表面シート1と裏面シート2との間に介在される液保持性を有する吸収体3と、を有する縦長の本体(吸収性本体ともいう。)4と、この本体4の両側部に外方に延出するウイング5を備えている(
図2参照)。
裏面シート2の衣類接触面には、ナプキン10を衣類に固定するズレ止め部13が設けられている。このズレ止め部13を被覆するように、ズレ止め部13から剥離可能な離型シート14が配されている。さらに、上記外装材11の内側面に離型シート14を固定する離型シート固定部15が配され、上記外装材11が離型シート14に固定されている。したがって、固定部12は、ナプキン10の衣類当接面10swを衣類に固定するズレ止め部13と、外装材11の内側面に離型シート14を固定する離型シート固定部15とを有する。なお、離型シート14を有する場合において、外装材11の内側面と吸収性物品(ナプキン10)の衣類当接面10sw側との固定部とは、狭義には、離型シート固定部15を意味する。
【0013】
吸収性物品の包装体20は、外装材11を吸収性物品としてのナプキン10と共にその縦方向に折り畳み、外装材11で封止してなる。具体的には、包装体20は、ナプキン10の着用者当接面10sm側を内側にして、ナプキン10の縦長方向に少なくとも2回折りたたまれている。図示例では、第1折り部L1と第2折り部L2の2箇所で折り畳まれることで、2回折り畳まれて、いわゆる3つ折り構造となっている。そして、外装材11の一端部11a側と他端部11b側とが折り重ねられ包装体封止部26で封止されてなる。このようにナプキン10は外装材11によって個別に包装されており、ナプキン10の衣類当接面側が外装材11の内側面に固定部15(以下、離型シート固定部15ともいう。)によって接着固定されている。図示例では、3か所に配設されている(固定部15A、15B、15C)。なお、この固定部15の配置や個数、範囲は、
図1(a)に示す本実施形態のものに限らず、後述の開封誘導部25と包装体封止部26とによる作用を阻害しない範囲で適宜設定することができる。
【0014】
本実施形態のナプキン10においては、衣類当接面10swに、衣類へ固定するためのズレ止め部13が設けられ、該ズレ止め部13が離型シート14で覆われている。この場合の衣類当接面側とは離型シート14の外側面側を意味する。すなわち、ナプキン10の衣類当接面側である離型シート14が外装材11の内側面に剥離シート固定部15によって接着固定されている。一方、衣類当接面10swに設けられたズレ止め部13と離型シート14とは、ナプキン10の使用時に分離することができるよう、剥離可能な固定状態である。
なお、本明細書では、「剥離」とは、指で摘まんで簡単に剥がすことができることをいい、「接着」ないし「接合」は指で摘まんで簡単に剥がすことができないことをいう。
【0015】
外装材11は、離型シート14やナプキン10とともに折り畳んだ場合に、それらを包含する大きさを有している。また折り畳んだ状態において、上記縦方向における外装材11の一端部11aは、ナプキンの一端部10aから外方へ延在して配されている。
【0016】
包装体20では、第1折り部L1より外方の、外装材11の一端部11aを含む領域が包装体20の外側表面となる第1露出領域21をなしている。また包装体20は、第1折り部L1と第2折り部L2との間の中央領域23と、第2折り部L2より外方の、外装材11の他方端部11bを含む領域22を備える。第1露出領域21と他方端部11bを含む領域22とが重なり、この部分が重複領域24をなす。上記の各領域には、その領域で区分される外装材11及びナプキン10の部分が含まれる。重複領域24では、第1露出領域21及び他方端部11bを含む領域22の双方の重なりにおける外装材11及びナプキン10の部分が含まれる。
【0017】
なお、本実施形態の包装体20では2回折り畳みする形態を示したが、この折り畳み回数はこれに限定されず、後述の包装体封止部26及び開封誘導線25の作用が阻害されない範囲で、適宜設定できる。例えば、図示しないが、他端部11bを含む領域22がさらに延出して2つ折りにされ全体として3回折り畳まれている、いわゆる4つ折り構造となっている形態であってもよい。この場合、後述の包装体封止部26及び開封誘導線25は、他端部11bを含む領域22のうち第1露出領域21と接する外表面側の領域に配設される。したがって、重複領域24は、他端部11bを含む領域22のうち外表面側にある部分である内側重複領域と第1露出領域21とが重複する部分である。
また、吸収性物品や外装材の長さも、後述の包装体封止部26及び開封誘導線25の機能が発揮される限りにおいて、適宜変更できる。
【0018】
重複領域24には、第1露出領域21の外装材11と他端部11bを含む領域22の外装材11とを接合する包装体封止部26が配設されている。さらに重複領域24において、他端部11bを含む領域22には、包装体封止部26よりも一端部11a側に開封誘導部25が配設されている。本実施形態の包装体20では、開封誘導部25は内側重複領域に存在し、第1露出領域21の外装材11に覆われている。
また、外装材11の一端部11aは、前述のとおり、ナプキン10の端部10aを越えて延在している。その延出した部分で包装体封止部26よりも外方の部分は、包装体20とは接合されない自由端となっている。この自由端部分は、後述する開封時の持ち手部11Gとなる。
【0019】
包装体封止部26は、外装材11の一端部11a側と他端部11b側とを折り重ねた部分で外装材同士を接合する。包装体封止部26は、
図1(b)に示されるように、外装材11の幅全体に亘って帯状に形成されている。併せて、包装体20には幅方向両側にサイド封止部27,27が配され(
図1(b)参照)、包装体封止部26とともに包装体20を封止している。これらにより、外部からの粉塵等の混入を防止し内部の吸収性物品の清浄性を維持するという包装体本来の機能が発揮される。
【0020】
包装体20では、包装体封止部26と開封誘導部25とを分離して設けたことで、開封時の剥離強度を考慮せずに、包装体封止部26における外装材同士の接合強度を高めることができる。包装体封止部26の接合強度Gは、包装体20の開封時にも耐え得る接合強度を有することが好ましい。具体的には、包装体封止部26の接合強度Gは、100g/10mm以上が好ましく、300g/10mm以上がより好ましく、500g/10mm以上がさらに好ましい。当該範囲であると開封誘導部からの開封がし易く、使用前に包装体封止部26の接合が解離され密封性が損なわれるなどの不具合が生じ難い。
この包装体封止部26が、後述のとおり、開封時に第1露出領域21の持ち手部11Gと共に他端部11bを含む領域22の外装材の包装体封止部下部分11Pを引き上げ、その引き上げる力を開封誘導部25へ伝える起点となる。
【0021】
(包装体封止部26の接合強度Gの測定方法)
ナプキンの縦方向すなわち包装体封止部が連続する方向と直交する方向に帯状で、且つ包装体封止部が中央を横切って位置するように、幅20mmで外装材を切り出す。次いで、20℃、65%RHの環境下にて、テンシロン引っ張り試験機(オリエンテック社製、商品名「RTA−100」)を用いて、下部チャックに他方端部を含む領域の外装材端部を、上部チャックに第1露出領域側の外装材端部を固定し、剥離速度300mm/minの速さで180°方向に引き剥がす。そのときの最大値5点の平均をとり、更に3サンプルの平均をとり、これを包装体封止部26の接合強度Gとする。
【0022】
包装体封止部26の形成材料や形成方法は、前述の接合強度Gが得られる限り、特に制限なく種々のものを用いることができる。例えばホットメルト接着剤の塗布膜によりなされている。このホットメルト接着剤としては、ゴム系、オレフィン系、EVA系のホットメルト等を用いることができる。ホットメルト接着剤を用いる場合の塗布坪量は、上記の接合強度とするため、20g/m
2以上が好ましく、50g/m
2以上がより好ましく、100g/m
2以上がさらに好ましい。その上限は、500g/m
2以下が好ましく、300g/m
2以下がより好ましく、200g/m
2以下がさらに好ましい。さらに上記の範囲のなかでも、20g/m
2以上500g/m
2以下、特に50g/m
2以上300g/m
2以下、更には100g/m
2以上200g/m
2以下であることが好ましい。前記の坪量が下限値以上であると 十分な接合強度Gを得やすくなる。上限値については、原材料のコストを勘案して検討すればよいが、500g/m
2程度であると、第1露出領域の個装端部がホットメルトで大きく浮くことから、開封操作時の個装端部のつまみやすさが向上するというメリットもある。
【0023】
また、前述したサイド封止部27は、例えばホットメルト接着剤の塗布膜による接着、外装材11同士の熱融着やエンボス加工による接合、等の手段による。
【0024】
一方、開封誘導部25は、第1露出領域21よりも内側、すなわち外表面である第1露出領域21の下側の、他端部11bを含む領域22の外装材11に配設されている。開封誘導部25と包装体封止部26とは、
図1(b)に示されるように包装体20を平面視したときに、互いに所定間隔で離間しながら並行して配設されている。
この開封誘導部25は、外力によって外装材11を分離できる部分である。その具体的構成は、例えば、線状に配されたミシン目、所定の幅で線状に配されたミシン目の集合体、線状に配された外装材11の厚み方向に切断に至らない切れ目、所定の幅で線状に配された外装材11の厚み方向に切断に至らない切れ目の集合体、外装材11の引張強度を線状に弱めた溝、外装材11の引張強度を点状に弱めた穴の集合体が所定の幅で線状に配されたもの等が挙げられる。これに限らず、外力により開封誘導部25で外装材が破れ、そこを境にして、他端部11bを含む領域22の外装材11が2つに分離して包装体20が開封する構成で、未開封時には包装体20の内部に塵埃等が入り込まずその内部の清浄性が維持できる構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0025】
開封誘導部25の外装材11を分離する剥離強度Hは、上記接合強度より小さいことが好ましく、具体的には、500g/10mm未満が好ましく、300g/10mm未満がより好ましく、100g/10mm未満がさらに好ましい。またその下限は、30g/10mm以上が好ましく、50g/10mm以上がより好ましく、70g/10mm以上がさらに好ましい。さらに上記の範囲のなかでも、剥離強度Hは、30g以上500g未満、特に50g以上300g未満、更に70g以上100g未満であることが好ましい。剥離強度Hが当該範囲であると、開封操作が容易となり、生産時の搬送や販売店への製品輸送の際、または、店頭において連続包装体形態を個別に分離して販売する際に開封されにくく、使用直前まで密封性を保つことが容易となる。
上記の範囲とすることで、開封誘導部25は、後述のとおり、未開封時の封止性を確保しながら、より小さな力で開封を円滑に素早く行うことができる。
【0026】
(開封誘導部25の剥離強度Hの測定方法)
ナプキンの縦方向すなわち開封誘導部の連続する方向と直交する方向に帯状で、且つ包装体封止部が中央を横切って位置するように、幅20mmで外装材を切り出す。幅20mmで帯状に且つ開封誘導部が中央を横切って位置するように外装材を切り出す。次いで、20℃、65%RHの環境下にて、テンシロン引っ張り試験機(オリエンテック社製、商品名「RTA−100」)を用いて、下部チャックに他方端部を含む領域の外装材端部を、上部チャックに第1露出領域側の外装材端部を固定し、剥離速度300mm/minの速さで180°方向に引き剥がす。そのときの最大値5点の平均をとり、更に3サンプルの平均をとり、これを開封誘導部25の接合強度Hとする。
【0027】
前記開封方法の一例について
図3を参照して説明する。なお、
図3(a)は包装体20全体の断面を示しており、
図3(b)は、開封時の外装材11と包装体封止部26及び固定部15Aとの関係を部分的に示す断面図である。まず、
図3(a)に示されるように、包装体20において、第1露出部21の持ち手部11Gを片手で摘まんで引き上げる(例えば、矢印S1の方向)。その引き上げる力は、包装体封止部26を介して下側の他端部11bを含む領域22に伝わり、外装材11の包装体封止部下部分11Pが持ち上がる。また、その持ち上がる力が包装体封止部26を起点としてこれと並行な開封誘導部25に伝わる。その結果、
図3(b)に示されるように、外装材11について、包装体封止部下部分11Pとナプキン10が固定された固定部分11Qとが分離し、包装体20が開封される。
あるいは、持ち手部11Gを引き上げながら包装体封止部26を軸として回転するように第1折り部L1方向へ(例えば、矢印S2の方向)引っ張る。この回転による引張り力は、包装体封止部下部分11Pと固定部分11Qとのより強い分離力として開封誘導部25に伝わり、
図3(b)に示される包装体20が円滑に素早く開封される。すなわち、より小さな力で外装材11が分離され、包装体20が円滑に素早く開封される。
【0028】
このように包装体20では、包装体封止部26と開封誘導部25とを組み合わせたことで、例えば、片手で持ち手部11Gを摘まみ、従来よりも小さな力で引き上げるだけで円滑に素早く開封できる。また開封時に、包装体には大きな力が加わらず、内部のナプキン10の損傷を防止することができる。同時に、包装体封止部26の高い強度を確保して、包装体20内部の清浄性が高められる。
【0029】
このような包装体封止部26及び開封誘導部25の作用を奏するため、包装体封止部26の接合強度Gは開封誘導部25の剥離強度Hよりも高くされている。包装体封止部26の接合強度Gと開封誘導部25の剥離強度Hとの強度の差(G−H)は、開封誘導部からの引き剥がし易さの観点から、100g/10mm以上が好ましく、300g/10mm以上がより好ましく、500g/10mm以上がさらに好ましい。
【0030】
本実施形態の包装体20において、
図1に示されるように、開封誘導部25は、包装体封止部26と固定部(離型シート固定部)15Aとの間に配設されていることが好ましい。ここでいう固定部(離型シート固定部)と開封誘導部との関係は、包装体20を平面視したときの配置関係である。また、この関係は、他端部11bを含む領域22にあるものを意味し、その他の領域にある固定部(例えば、
図1(a)で例示されている固定部15B及び15C)と開封誘導部25との関係ではない。
上記の配置関係により、他端部11bを含む領域22では、外装材11の包装体封止部下部分11Pが引き上げられるときに、残された外装材11の固定部分11Qが浮き難くなり、外装材11を分離する力が開封誘導部25に集中する。この外力の集中により、包装体全体が崩れ難く内部のナプキン10へのダメージが防止される。またその結果、包装体はさらに円滑に素早く開封される。
【0031】
なお、他端部11bを含む領域22において、外装材11の包装体封止部下部分11Pの引き上げを妨げないよう、固定部(離型シート固定部)15は包装体封止部下部分11Pないしそれよりも他端部11b側にないことが好ましい。
【0032】
上記の作用の観点から、固定部15Aの接合強度Jは、100g/10mm以上が好ましく、300g/10mm以上がより好ましく、500g/10mm以上がさらに好ましい。
固定部15Aの接合強度Jは、前述の(包装体封止部26の接合強度Gの測定方法)と同様の方法により測定できる。
【0033】
離型シート固定部15の形成材料や形成方法は、前記の接合強度が得られる限り、特に制限なく種々ものを用いることができる。例えばホットメルト接着剤の塗布膜によりなされている。このホットメルト接着剤としては、ゴム系、オレフィン系、EVA系のホットメルト等を用いることができる。固定部15Aがホットメルト接着剤により形成される場合、その塗布坪量は、上記の接合強度とするため、5g/m
2以上が好ましく、10g/m
2以上がより好ましく、30g/m
2以上がさらに好ましい。その上限は、200g/m
2以下が好ましく、100g/m
2以下がより好ましく、70g/m
2以下がさらに好ましい。
【0034】
さらに本実施形態の包装体20において、
図1に示されるように、開封誘導部25は重複領域24内に配設され、第1露出領域21の外装材11に覆われていることが好ましい。これにより、開封誘導部25の外部への直接的な露出が回避され、未開封時の開封誘導部25の僅かな隙間からの内部への塵埃等の異物混入までもが抑えられる。また、仮に使用前に何らかの外力で開封誘導部25の一部が破れても、第1露出領域21の外装材11が保護しているので、異物混入の被害が低く抑えられる。これにより、包装体20の内部の清浄性が高められる。
【0035】
以上のとおり、本実施形態の包装体20は、包装体封止部分の高い強度を確保しつつ、容開封を円滑に素早く行うことができる。
包装体20を前述のように開封誘導部25に沿って円滑に素早く開封した後、さらに持ち手部11Gを第1折り部L1側へ引っ張ることで包装体20の幅方向両側のサイド封止部27,27にも剥離が生じる。すなわち、サイド封止部27,27で固定された第1露出領域21が、他端部11bを含む領域22及び中央領域23から剥離される。これにより、第1露出領域21が折り畳まれていたナプキン10の一端部10a側とともに展開され、大きな開口が形成される。その後、外装材11を離型シート14とともにナプキン10から剥がし取るとともに、離型シート14を剥がした部分からナプキン10をショーツ(図示せず)の所定の位置に貼り付けていく。最終的には、ナプキン10から離型シート14とともに外装材11を完全に剥がし取り、ナプキン10のズレ止め部13の全域をショーツに貼り付ける。
【0036】
前述の開封誘導部25、包装体封止部26、固定部(離型シート固定部)15Aの配意関係、及び持ち手部11Gの長さは、前述の作用を好適に発現するよう適宜変更することができる。ここで別の好ましい一実施形態(第2〜第5実施形態)について、
図4〜7を参照して以下に説明する。なお、第1実施形態から第5実施形態として示した吸収性物品の包装体の構成は、上述の作用を奏する限り、適宜互いに組み合わせることできる。
【0037】
まず、第2実施形態の包装体30は、
図4に示されるように、開封誘導部25及び固定部15Aが、他端部11bを含む領域22と中央領域23とを区分する第2折り部L2寄りに配置されている。すなわち、包装体封止部26よりも第2折り部L2側における重複領域24に固定部15A及び破断誘導部25が存在していない。
これは、開封誘導部25と包装体封止部26との離間距離M2が第1実施形態の包装体20よりも広がった形態である。このような形態は、持ち手部11Gの引き上げ力が、包装体封止部26を介して開封誘導部25に有効に波及する範囲であれば可能である。それは、例えば、包装体の大きさが十分小さい場合(包装体自体の折り畳み方向における長さM1が短い場合、包装体の厚みN1が薄い場合)などである。この場合、離間距離M2の長さによる開封力低減作用は小さくなり、開封は比較的円滑に素早く行い得る。
このような形態においては、開封場所が第2折り部L2寄りなので、そのから第2折り部L1へとサイド封止部27,27の外層材11を剥離していくと、大きな開口部が形成され、内部のナプキン10から外装材11を剥がし易くなる。
【0038】
また第3実施形態の包装体40は、
図5に示されるように、第2実施形態の包装体30における固定部15Aが中央領域23の第2折り部L2寄りに移動したものである。すなわち、包装体封止部26よりも第2折り部L2側における重複領域24に固定部15A及び破断誘導部25が存在していない。
この場合も、開封誘導部25と包装体封止部26との離間距離M2が第1実施形態の包装体20よりも広がった形態である。したがって、第2実施形態と同様に、包装体の大きさが十分小さいなど、引き上げ力が開封誘導部25に有効に波及する場合であれば可能である。また第2実施形態と同様に、開封後の開口部が大きくなりナプキン10から外装材を剥がし易くなり好ましい。
さらに第3実施形態の包装体40では、包装体30における固定部15Aが中央領域23の第2折り部L2寄りに移動しており、これにより開封後に離型紙を持ちやすくする効果が発現することができる。
【0039】
次に第4実施形態の包装体50は、
図6に示されるように、開封誘導部25、包装体封止部26及び固定部15Aの全てが第2折り部L2寄りに移動したものである。すなわち、包装体封止部26よりも第2折り部L2側における重複領域24に固定部15Aが存在していない。
この場合、開封誘導部25、包装体封止部26及び固定部15Aの双方の位置関係は、第1実施形態と同様に近い位置にある。そのため、持ち手部11Gによる引き上げ力は開封誘導部25へ直接的に伝わり、第1実施形態と同様に円滑に素早い開封がなされる。また、この場合、第2及び第3実施形態と同様に、開封後の開口部が大きくなりナプキン10から外装材を剥がし易くなり好ましい。
【0040】
最後に第5実施形態の包装体60は、
図7に示されるように、第1露出部21の持ち手部11G(外装材)が、他方端部を含む領域を越えて配されている。この場合、持ち手部11Gがつかみ易く、開封が容易になる。また持ち手部11Gが、開封誘導部25を有する、他端部11bを含む領域22をその全面で広く覆うので、異物混入の抑制が高められる。
【0041】
さらに、上記の各実施形態において、開封誘導部25の配置の別の例について
図8を参照して説明する。
図8に示された開封誘導部25は、包装体封止部26に接しているか近傍に配設配されている。この「接している」とは、包装体封止部26の付け根に外接しているないしは重なっている状態であり、「近傍」とは離間していてもその距離が5mm以下の位置をいう。これにより、包装体封止部26を介した引き上げ力は、直接的に開封誘導部25に伝わり、この部分に力が集中する。これにより、包装体が崩れ難く、円滑で素早い開封がより確実になされて好ましい。
また、図示しないが、開封誘導部25が固定部15Aの近傍に配されることも好ましい。この「接している」とは、固定部15Aの付け根に外接しているないしは重なっている状態であり、「近傍」とは離間していてもその距離が5mm以下の位置をいう。これにより、開封時の外装材11の分離の際、外装材11のナプキン10が固定された固定部分11Qが浮くようなあそびがない。そのため、固定部分11Qがしっかりと固定されて、外装材11の包装体封止部下部分11Pの分離及びそれによる開封がさらに円滑に素早くなされて好ましい。
加えて、図示しないが、開封誘導部25が包装体封止部26及び固定部15Aの両方の近傍に配されていることも好ましい。すなわち、前記2つの例を合わせたものである。この「接している」及び「近傍」は上記2つの例で定義したものと同義である。この場合は、前記2つの例の作用を有し、開封が極めて円滑に素早くなされて好ましい。
【0042】
さらに、上記の各実施形態において、開封誘導部の別の態様について、
図9を参照して説明する。
図9に示された開封誘導部25は、外装材を他の部分よりも脆弱化させてなるものであり、この開封誘導部25が包装体封止部26の配置されている領域まで配設されている。すなわち、他端部11bを含む領域22で包装体封止部26と重なる外装材11の包装体封止部下部分11Pまでが、脆弱化による開封誘導部25とされている。言い換えると、外装材11の包装体封止部下部分11Pにある脆弱化領域が第1折り部L1および第2折り部L2の方向の所定幅全体が開封誘導部25とされている。
この脆弱化とは、部材の強度が低下した状態をいい、例えば、前記の領域に複数の細孔を設ける方法、非常に強い押圧をかけてプレカットする方法や、エンボス加工による方法で設けることができる。構成として、線状に配されたミシン目、所定の幅で線状に配されたミシン目の集合体、線状に配された外装材11の厚み方向に切断に至らない切れ目、所定の幅で線状に配された外装材11の厚み方向に切断に至らない切れ目の集合体、外装材11の引張強度を線状に弱めた溝、外装材11の引張強度を点状に弱めた穴の集合体が所定の幅で線状に配されたもの、等、開封誘導部25を境にしてその両側の外装材11を指等で押圧もしくは引っ張ることで開封誘導部25から外装材が破断して包装体が開封する構成であり、包装体の内部に塵埃等が入り込まずその内部の清浄性が維持できる構成であれば、如何なる構成であってもよい。
この開封誘導部25は、包装体封止部26の底部である包装体封止部下部分11Pにかかるせん断力を利用でき、外装体11の素早い分離が可能となる。また、引き上げ力の波及が開封誘導部25に集中するので、包装体全体が崩れ難く内部のナプキン10へのダメージが防止される。
【0043】
また、上記の各実施形態において、
図10に示されるように、第1露出領域21の外装材11に開封補助片90が設けられている態様も好ましい。開封補助片90は、第1露出領域21に接着固定されている開封基部91と、そこから延出して自由端であるつまみ部92とからなる。延出したつまみ部92があることで外装材11をつかみ易く、開封がより円滑に素早くすることができる。
このような開封補助片90は、典型的にはタブテープである。タブテープからなる開封補助片90は、つまみ部92の裏面に粘着剤が塗布され、未開封時にはその粘着面を外装材11に剥離可能に固定する。これにより開封誘導部25が蓋をされたような状態となり、内部のナプキン10の清浄性をさらに高めることができる。
【0044】
以下に、上述した各実施形態に適宜適用できる構成について説明する。
ナプキン10の衣類当接面側において、前述のとおり離型シート固定部15Aの接合強度に対し、ズレ止め部13はこれよりも弱い剥離可能な固定状態である。このズレ止め部13は、剥離可能であっても、包装体内部でナプキン10の位置ズレを防止する固定強度を有することが、包装体の円滑な開封の観点から好ましい。またズレ止め部13は、ナプキン10の位置ズレが防止される限り、離型シート固定部15Aと同じ位置に無くてもよい。
ズレ止め部13の形成材料及び形成方法は、上記の剥離可能な固定を生じる限り、特に制限なく種々のものを用いることができる。例えば、ホットメルト接着剤によりなされている。このホットメルト接着剤としては、ゴム系、オレフィン系、EVA系等を用いることができる。ズレ止め部13は、面状等、連続的に塗工される、いわゆるベタ塗りでもよいが、塗工された領域のショーツへの粘着材残りや、外装材11からの取り出しやすさを考慮すると、間欠的に塗工されていることが好ましい。間欠的な塗工形態としては、スパイラル状、幅方向又は長手方向に延びるストライプ状、Ω字状、ドット状、等が挙げられる。ズレ止め部13はナプキン10の非肌当接面側の本体部前後左右方向においてほぼ中央に位置し、幅は35mm以上70mm以下、長さは、ナプキン10の長さに対して65%以上95%以下の範囲であることが好ましく、使用時のナプキン10のヨレ、ズレ防止の観点から、ズレ止め部13の全ての粘着部を含み且つ平面視においてナプキン10と略同じかやや小さめの幅、長さがよい。
【0045】
ズレ止め部13は、ナプキン10の縦方向中央より第1折り部L1および第2折り部L2を超えて、ナプキン10の先端付近まで存していてもよい。ズレ止め部13を覆う離型シート14は、ズレ止め部13を覆うことができる大きさを有し、外装材11に離型シート固定部15で接着して用いる。
【0046】
上記離型シート14は、一般のナプキンの剥離シートと同様な材料のものを用いることができ、具体的には、グラシン紙、ポリエチレンフィルム、シリコーン処理剤の塗工量が例えば0.1ないし5g/m
2の剥離処理した上質紙、それらの複合物等が挙げられる。この剥離処理は、公知の手法を用いて行うことができる。さらに離型シート14は、その外形がズレ止め部13を被覆する大きさであればよく、その形状は問わない。
【0047】
外装材11の材料は、ナプキン等の吸収性物品の包装に、従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の樹脂フィルムや不織布等を用いることができ、適宜選択して用いることができる。不織布の場合、シート強度、耐液性(ホットメルトの染みだし抵抗性)、密封性の点からは、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)との複合不織布(SM、SMS、SMMS等)が好ましい。外装材11に直接鮮明な印刷を施す観点からは、フィルム材料又はフィルムのラミネート構造も好ましく用いられる。特に、連続包装体の連続方向の引き裂き強度が幅方向より低い、配向性のある材料を用いることで、開封誘導部の開封強度を適宜低くすることができ、開封容易性を高めることができる。
【0048】
第一露出領域21の縦方向における長さと、他方端部11bを含む領域22との縦方向における長さとは、第一露出領域21の方が長い方が好ましい。これは、開封誘導部25を破断して開封し、ナプキン10を展開する際に、まず、第一露出領域21を展開した後に、他方端部11bを含む領域22を展開することになるが、その展開操作の容易性が高まるためである。第一露出領域21のナプキン10の第一露出領域側の端部10aと、他方端部11bとの間は適度な距離で離間していると、開封する際の両手の動作に干渉が生じ難くなるため好ましい。具体的に当該距離は、5mm以上20mm以下、更には7mm以上18mm以下であることが好ましい。
【0049】
ナプキン10では、他方端部11bを含む領域22の外装材11が、第一露出領域21側に折り返された状態で、その外装材端部11bが第一折り部L1より外面側に露出した状態で存在し(すなわち、
図1(b)で第1折り線L1よりも上側に位置)、かつ第一露出領域21内の外装材端部11aも第一折り部L1より外面側に露出しており、端部同士が接合している。この構成は、熱シールによる封止を行いやすいという観点で好ましい構成である。
【0050】
ナプキン10が長手方向の両側端から延出する一対のウイング部5を有する場合、ウイング部5の長手方向端部は、第一折り部L1または第二折り部L2で折り畳まれていたほうが良い。これは、折り畳まれている状態において、展開状態に戻ろうとする復元力がナプキン10に貯蔵され、展開するために必要な外力が小さくても開封容易性が高まるからである。
【0051】
ウイング部5にズレ止め部が設けられている場合(図示せず)、ズレ止め部を保護、被覆しておくために、別途ウイング用離型シートが使用される。この場合、ウイング用離型シートが第一折り部L1及び第二折り部L2で折られていないほうが、安定してズレ止めホットメルトを保護、被覆する観点で好ましい。ウイング用離型シートの長手方向端部を基点にナプキンが折り畳まれているほうが、ナプキンの折り畳み状態における剛性が高く、使用前の予期しない動作負荷(製品の梱包、販売)における、形状安定性が担保される。
【0052】
ナプキン10が折り畳まれている状態で、離型シート14の長手方向の一端部と、他方端部が重複した状態になっていることが好ましい。このような形態となることで、重複した部分において、ナプキンの折り畳み状態における剛性が高くなり、使用前の予期しない動作負荷における、形状安定性が担保される。
【0053】
離型シート固定部15は、製品の全体にわたって離間した形で複数箇所存在することが、離型シート14と外装材11とが確実に、しわやたるみなく接着させる点で好ましい。その複数箇所のうち、長手方向のもっとも端部側に位置する離型シート固定部15の接着強度は、他の箇所より高いことが好ましい。このようにすることで、開封誘導部25を開封する際や、ナプキン10を離型シート14からはがす際に、部材やナプキン10への損傷がなく、かつ離型シート14が外装材11から取れることがないという観点で好ましい。接着強度を高くするための方法として、塗布面積を上げるということが考えられる。塗布面積を高くすることで、接着材と外装材との接着面積が増え、接着強度を高めることができる。
【0054】
包装体封止部26には例えばホットメルト材料が使われるが、このホットメルト材料は着色されていることが好ましい。着色されていることで、第一露出領域の外装材端部を明示することができ、製品としての密封度合いが担保されていることを、使い手に訴求しやすいという効果がある。着色ホットメルトは、インクや顔料を添加する系もあるが、ホットメルト成分元来の可視吸収領域に大きな吸光スペクトルが特徴的に存在するものを選定してもよい。例えば、ホットメルトの一主成分であるスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ポリマーの水添率を低くする等の手段で、黄味がかったホットメルトを使うことが考えられる。
【0055】
包装体封止部26がホットメルト材料である場合、包装体封止部はいかなる形状であってもよく、ある一定の幅を有する直線(コーター塗布)であることが多いが、スパイラル塗布、サミット塗布、Ω塗布等の、曲線から構成されるパターンであってもよい。曲線で構成されるパターンであることで、少ない量で効率的に接着することができる点で好ましい。
【0056】
包装体封止部26とサイド封止部27が重複する領域は、きわめて封止強度が高くなる傾向があり、開封容易性を著しく損なう可能性があるため、封止強度を一定以上上昇しない工夫を施すことが肝要である。包装体封止部26をサイド封止部27を避ける形で設ける、包装体封止部26上にあるサイド封止部27の幅を小さくするなどが、例として挙げられるが、いずれも重複領域の寸法を小さくすることで、封止強度の著しい上昇を抑制することができる。
【0057】
また、包装体封止部26又はサイド封止部27を熱シール加工による場合、外装材11の形成材料として、融点の異なる2種類の樹脂を層構造としたものを使うことが好ましい。これにより、シール加工設備に触れる面(外側面)を高融点層側、ナプキン10が当接する面(内側面)を低融点側とする(すなわち、外装材11の外側面をナプキン10が当接する内側面より高融点とする)ことで、材料溶融によるシール加工設備の汚染を抑えながら、低融点層によるシール接着性確保が可能であり、シール接着性と加工安定性の両立を図ることができる。重複領域24においては高融点層の厚みを小さくする又は設けないことで、更なるシール接着性と加工安定性の両立を図ることができる。
【0058】
第1露出領域21における外装材11の端部は、開封動作の際に持つ部分であるので、包装体封止部26、サイド封止部27によって封止されていない方が好ましい。そのための手段として、包装体封止部26を外装材11の端部には設けない、サイド封止部27の寸法を小さくする、外装材11の形成材料として融点の異なる2種類の樹脂を層構造としたものを使い端部のみ高融点層の厚みを設ける又は大きくする、等の方法で、封止されていない又は封止強度を弱くすることが、開封容易性の観点で好ましい。
【0059】
ナプキン10(吸収性物品)の衣類接触面10sには、衣類との固定目的のズレ止め部13が配されている。固定部においてこのズレ止め部13によって外装材11と直接固定することもできる。このような形態では、ズレ止め部13に離型シート固定部15の機能を併せ持たせ離型シート14を省略できるので、材料コストや製造コストの低減が図れるとともに、構造を簡単にでき好ましい。
【0060】
本発明は、ナプキン10を3つ折りのした包装形態を説明したが、ナプキン10を四つ折りにした場合の包装体にも適用できる。
図11に示すように、包装体20(20b)は、第1実施形態の包装体20が縦方向に四つ折りにした包装形態のものである。折り方以外は、基本的には前述の三つ折りのナプキン10の包装形態と同様である。具体的には、ナプキン10の着用者当接面10sm側を内側にして、第1折り部L1と第2折り部L2と第3折り部L3の3箇所で折り畳まれることで、3回折り畳まれている。
すなわち、ナプキン10の衣類当接面10swが外装材11の内側面に固定部12によって固定されている。なお、ナプキン10と離型シート14とは剥離可能な固定状態であり、離型シート14と外装材11との固定はナプキン10と離型シート14との固定よりも強い固定状態であり、例えば剥離困難な固定状態であることが好ましい。
外装材11は、離型シート14やナプキン10とともに折り畳んだ場合に、それらを包含する大きさを有している。また折り畳んだ状態において、上記縦方向における外装材11の一端部11a側は、生理用ナプキンの一端部10aから外方へ延在して配されて、外装材延出領域を形成している。
【0061】
この包装体20bにおいては、第1折り部L1より外方の、外装材11の一端部11aを含む領域が包装体20の外側表面となる第1露出領域21をなしている。また、この場合の重複領域24は、前述のとおり、第2折り部L2より外方の、外装材11の他端部11bを含む領域22のうち外表面側にある部分と第1露出領域21とが重複する領域である。すなわち、他端部11bを含む領域22のうち、第2折り部L2と第3折り部L3との間の領域と第1露出領域とが重複する領域が、重複領域24である。
【0062】
この包装体20bも前述の
図1等に示した包装体20と同様に、包装体封止部26と開封誘導部25との組み合わせで、包装体封止部分の高い強度を確保しつつ、開封を円滑に素早く行うことができる。また、
図11で示した四つ折りの形態は、前述の第2〜第5実施形態に適用して同様の作用効果を得ることができる。
【0063】
上記ナプキン10はウイング(図示せず)の有無にかかわらず、同様の包装形態とすることができる。また、上記のナプキン10の他、尿漏れパッドやパンティライナーなども吸収性物品として外装材に包装され前述と同様の包装形態とすることができる。
【0064】
前述したナプキン10などの吸収性物品の包装体は複数連接されて、該包装体間に配設された切り離し誘導部に沿って前記包装体毎に切り離し可能にされた連続包装体とすることもできる。
具体的は、
図12に示されるように、包装体は開封誘導部25の配設方向と同じ方向に連続的に複数存在する。すなわち個々の包装体は連続して連なって配された連続包装体であり、サイド封止部27に配された切り離し誘導部28によって個々の包装体20が切り離し自在にされている。
連続包装体から個々の包装体を切り離すには、通常の切り離し動作によって切り離す。例えば、切り離し誘導部28の両側を指で摘まみ持ち、切り離し誘導部28に対して直角方向に引っ張るもしくは切り離し誘導部を境にしてちぎるようにすれば、切り離せる。
このように、開封誘導部25の配置方向に対して直角方向に切り離し誘導部28が配されているので、開封誘導部25の開封時に必要な引張力に影響されずに切り離し誘導部28の切り離しに必要な引張力を設計することができる。
また、開封誘導部25の配置方向に対して直角方向に切り離し誘導部28が配されているので、切り離し誘導部28から個々の包装体20を切り離す時にかかる引張力は、個々の包装体20の開封誘導部25を開封する引張力の方向とは異なるので、切り離し時に開封誘導部25が破けにくくなる。
【0065】
連続包装体の外装材11には、任意の印刷を施すことが、審美性および商品特長の認識の観点で好ましい。さらには連続包装体の連続方向における印刷パターンには一定の周期性を有することが製造上好ましい。連続包装体の連続方向において、ある印刷位置から、同じ印刷が現れるまでの最短の長さを印刷ピッチと呼ぶことにする。印刷ピッチは、連続包装体の連続方向においてナプキン10と隣接する別のナプキン10との間隔と合致させた場合、ナプキン10の1つ毎に、同じパターン印刷を施すことができ好ましい。この場合、印刷ピッチとナプキン間隔を同期させるための目印となるアイマークと称される矩形状の黒色マーク等を施すことが好ましい。ナプキン10と隣接する別のナプキン10との間隔と印刷ピッチとを合致させない場合、アイマークを施す必要がない代わりに、連続包装体の連続方向にランダムに印刷パターンが現れることになる。この場合は、印刷ピッチをナプキン10と隣接する別のナプキン10との間隔より小さくする。これにより、印刷ピッチ内に存在する全情報をナプキン10の1枚当りに必ず1以上は記載することができる点で好ましい。
【0066】
ただし、印刷ピッチをナプキン10と隣接する別のナプキン10との間隔より2倍以上に大きくすることで、互いに隣接する2以上のナプキン10に異なる情報を記載することができる。こうすることで、製品を購入するときの印刷パターンの変化を楽しむことができ、嗜好性の観点から好ましい。
【0067】
連続包装体のナプキン10と隣接する別のナプキン10との間には、個々の包装体20を1個1個ちぎった後に内部のナプキン10を使用できるよう、開封目的とは異なる切り離し誘導部28を備えている。この切り離し誘導部28の形態は、前述の開封誘導部25と同様に、線状に配されたミシン目、所定の幅で線状に配されたミシン目の集合体、線状に配された外装材11の厚み方向に切断に至らない切れ目、所定の幅で線状に配された外装材11の厚み方向に切断に至らない切れ目の集合体、外装材11の引張強度を線状に弱めた溝、外装材11の引張強度を点状に弱めた穴の集合体が所定の幅で線状に配されたもの、等、切り離し誘導部28を境にしてその両側を引っ張ることで切り離し誘導部28から外装材11が破断して切り離せる構成であり、搬送は販売場所における陳列時に想定される動作負荷程度では切り離されることがない物性であれば、如何なる構成であってもよい。ただし、連続包装体において切り離し誘導部を交互に折り畳み蛇腹状にして保管する場合や、また、切り離し誘導部で折って、水平方向に張った紐や棒に掛けて陳列する場合に、切り離し誘導部が折れた状態で維持されやすいという観点で、切り離し誘導部の端部を切り欠いた状態や一部のみ切断した状態にしておくことが好ましい。
【0068】
上述した実施形態等に関し、本発明はさらに以下の吸収性物品の包装体を開示する。
【0069】
<1>縦長の吸収性物品が外装材で個別に包装されており、前記吸収性物品の衣類当接面側が前記外装材の内側面に固定部によって固定されている包装体であって、前記包装体は、前記吸収性物品の着用者当接面側を内側にして、前記縦長方向に少なくとも2回折りたたまれ、前記外装材の一端部側及び他方端部側が折り重ねられてなり、前記外装材の前記一端部は、前記吸収性物品の縦長方向の端部から外方へ延在しており、前記包装体は、前記一端部を含む領域でかつ包装体の外側表面となる第1露出領域と、該第1露出領域よりも内側に配される前記他方端部を含む領域と、前記第1露出領域と前記他方端部を含む領域とが重なる重複領域とを備え、前記重複領域には、前記第1露出領域の外装材と前記他方端部を含む領域の外装材とを接合する包装体封止部が配設されており、前記他方端部を含む領域の外装材には、前記包装体封止部よりも前記一端部側に開封誘導部が配設されている吸収性物品の包装体。
<2>前記開封誘導部は、前記包装体封止部と前記固定部との間に配設されている前記<1>記載の吸収性物品の包装体。
<3>前記開封誘導部は、前記重複領域内に配設され、前記第1露出領域の外装材に覆われている前記<1>又は<2>記載の吸収性物品の包装体。
<4>前記第1露出領域の外装材が、前記他方端部を含む領域を越えて配されている前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<5>前記開封誘導部が前記包装体封止部又は前記固定部に接しているか又はその近傍に配設されている前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<6>前記開封誘導部が外装材を他の部分よりも脆弱化させてなるものであり、該開封誘導部が前記包装体封止部の配置されている領域まで配設されている前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<7>前記第1露出領域の外装材には、開封補助片が設けられている前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<8>前記包装体封止部の接合強度よりも前記開封誘導部の剥離強度が弱い前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<9>前記吸収性物品の衣類当接面側には、衣類へ固定するためのズレ止め部が設けられ、該ズレ止め部が離型シートによって覆われおり、前記離型シートが前記外装材の内側面に前記固定部によって固定されている前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<10>前記包装体封止部は着色されたホットメルト材料である前記<1>〜<9>の何れか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<11>前記包装体の幅方向両側にサイド封止部が配され、前記包装体封止部とともに包装体を封止している前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<12>サイド封止部が熱シールによるものであって、外装材の形成材料として、外側面を、吸収性物品が当接する内側面より高融点のものとなされている前記<11>記載の吸収性物品の包装体。
<13>第一露出領域の縦方向における長さが、他方端部を含む領域の縦方向の長さよりも長い、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<14>第一露出領域における吸収性物品の縦方向端部と、他方端部との間が5mm以上20mm以下で離間している前記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<15>前記第1露出領域における外装材の端部は、前記包装体封止部及び前記サイド封止部によって封止されていない前記<11>〜<14>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<16>前記ズレ止め部は吸収性物品の衣類当接面側に間欠的に塗工されている前記<9>〜<15>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<17>前記ズレ止め部は、衣類当接面側の本体部前後左右方向においてほぼ中央に位置し、幅方向又は長手方向に延びるストライプ状に設けられている前記<16>記載の吸収性物品の包装体。
<18>前記包装体封止部の接合強度Gが100g/10mm以上である前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<19>前記開封誘導部の剥離強度Hは、30g/10mm以上500g/10mm未満である前記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<20>前記包装体封止部の接合強度Gが開封誘導部の剥離強度Hより大きい前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の吸収性物品の包装体。
<21>前記包装体封止部の接合強度Gと前記開封誘導部の剥離強度Hとの強度の差G−Hが、100g/10mm以上である前記<20>記載の吸収性物品の包装体。
<22> 前記<1>〜<21>のいずれかの前記包装体が複数連続し、該包装体間に配設された切り離し誘導部に沿って前記包装体毎に切り離し可能にされた連続包装体。
<23>前記連続包装体の外装材には、連続包装体の連続方向において一定の周期性を有する印刷が施されている前記<22>記載の連続包装体。
<24>前記連続包装体の連続方向において、ある印刷位置から、同じ印刷が現れるまでの最短の長さを印刷ピッチとしたとき、該印刷ピッチは、連続包装体の連続方向において吸収性物品の配置位置と隣接する別の吸収性物品の配置位置との間隔と合致し、吸収性物品の配置位置の1つ毎に、同じパターン印刷が施されている前記<23>記載の連続包装体。
<25>前記各包装体には、前記印刷ピッチと吸収性物品の間隔を同期させるための目印となるマークが施されている前記<24>記載の連続包装体。