(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顧客のICカードが挿入されると前記ICカードの排出がロックされるカードロック機構を備えたハンディ端末と、商品比較装置とからなるシステムにおけるハンディ端末自動決済方法であって、
前記ハンディ端末が、
商品に付与された商品識別情報を非接触で読み取るステップと、
前記商品比較装置が、前記ハンディ端末と通信により取得される購入希望商品リストと、顧客の買物カゴ又は買物カートに入っている商品に付与された前記商品識別情報を非接触で読み取ることにより得られた商品リストとがすべて一致した場合に、前記ICカードによる決済を実行し、前記ハンディ端末のカードロックを解除する制御信号を生成するステップとを有することを特徴とするハンディ端末自動決済方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0020】
図1は、本実施形態に係るハンディ端末自動決済システム(以下、本システムと呼ぶ)の基本概念を示す図である。本システムは、商品のそれぞれに付与された商品識別情報(以下、商品に装着されたものを商品タグ又はRFタグと呼ぶ)を非接触で読み取るハンディ端末10と、商品比較装置20とが近距離無線通信により交信可能に接続されたシステムである。ハンディ端末10は、更に、中・長距離無線通信により、店舗内、又はセンターに設置された商品管理装置40にも接続されている。
【0021】
なお、ハンディ端末10には、後述するように、一旦、顧客のクレジットカードや電子マネーのような電子決済機能を有したICカードが挿入されると商品比較装置20から解除信号が送信されるまでそのICカードが排出できないようにするカードロック機構が内蔵されている。
【0022】
顧客は、スーパマーケット、ホームセンタ、倉庫店、ショッピングモール等の店舗に買物に行くと、まず、店舗内入口に複数設置されているハンディ端末10をとり、クレジットカード等の決済用カードを挿入して携行する(ステップS1)。次に、顧客は、購入したい商品を手に取り、所持しているハンディ端末10で商品コード(商品識別情報)を読み取り、買物カゴ30a又は買物カート30b(以下、両者を区別する必要がないときは、まとめて「買物カゴ等30」という)に購入希望商品を入れる。購入を取り消したい場合は、ハンディ端末10の取消ボタン等を押せばよい。
【0023】
ハンディ端末10は、購入希望商品の商品コードに基づき商品情報を商品管理装置40から受信して(ステップS2)、自身のディスプレイに表示する(ステップS3)。続いて、顧客は、表示された商品情報が購入希望商品であることを確認し、買物が終了するまでステップS2からステップS3の手順を繰り返す。
【0024】
顧客は、買物が終了すると、購入希望商品が入った買物カゴ等30を店内の出口付近に設置されている商品比較装置20に載せるか近接させる。商品比較装置20は、買物カゴ等30に入っている購入希望商品のそれぞれに付与された商品タグを一括して読み取る。続いて、商品比較装置20は、ハンディ端末10との近距離無線通信により取得される購入希望商品リストと、買物カゴ等30に入っている商品のそれぞれに付与された商品タグを一括して非接触で読み取ることにより取得される商品リストとを比較する。そして、両者の商品リストが一致した場合に、ICカードによる決済要求を送信し、決済が完了すれば、ハンディ端末10にロック解除の制御信号を送信してカードロック機構のロックを解除する(ステップS4)。
【0025】
顧客は、ロック解除後、ICカードを抜き取り、ハンディ端末10を返却棚に返却することで買物が終了する。なお、返却棚にはハンディ端末10の充電機能を備えてもよく、新たに来店した顧客は、この返却棚から直接、ハンディ端末10を取りだせるようにしてもよい。このようにすることで、顧客は、商品購入時にレジを通る必要がなくなるため、スムーズな決済が可能になり、また、店舗側では、店員による決済処理が不要になるため、レジの無人化を実現することができる。また、仮に、顧客が何も買わずに店を出る場合であっても、ハンディ端末10にカードが挿入された状態で商品情報を取得できるようにすることで、顧客が商品にいったんは興味を持ったことが分るので、店舗側が商品販売の参考情報としたり、顧客が店舗側からの何らかの提案を受けられたりできる。逆に、カードが挿入された状態でなければ、商品情報の取得や商品比較ができないようにしてもよい。
【0026】
図2にハンディ端末の外観構造が示されている。ハンディ端末10の前面には、顧客が操作する操作部17と、商品情報、在庫情報、買廻り情報、アレルギー成分情報、要望・コメント情報等の各種表示情報が表示される表示部18とを備えている。操作部17には購入ボタンが実装されており、顧客が購入ボタンを押すことで、その商品の購入希望を確定する。また、購入ボタンを押すことで、商品を仮押さえしたとみなし、その時点で商品の在庫数を更新する。これは、買物カゴや買物カートでは持ち運べないような商品の場合(大型商品や、同じ商品を大量に買う場合等)、決済するときまでに在庫がなくなってしまうことを避けるためである。
【0027】
操作部17には、購入ボタンの他、後述する各種要求ボタンが実装されており、これらボタンを押下することにより、商品の詳細情報(例えば産地やアレルギー成分情報)、在庫情報、買廻り情報等の取得、店舗や商品に対する要望・コメントの送信等の各種情報サービスの提供を受けることができる。表示部18は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display Device)や有機EL(Organic Electro-Luminescence)を表示デバイスとして持つ。これらの各種情報提供サービスについて詳しくは後述の具体例で説明する。
【0028】
ハンディ端末10の上面又は側面に、ICカード50(以降、代表例としてクレジットカードとする)のカード挿入・排出機構部13を備えている。また、ハンディ端末10の上面には、商品購入時に商品購入情報が印字されるレシート印字機能を備えている。さらにハンディ端末10の背面には、商品に装着された商品識別情報(商品ID)又はその商品が置かれている商品棚に貼付されている商品識別情報を読み取る商品ID読取部16を備えている。商品ID読取部16は、典型的には、電波による個体識別の技術であるRFID(Radio Frequency IDentification)が用いられる。商品には、RFタグ(ID情報を埋め込んだ情報媒体)が付着されているものとし、商品棚には、同様にRFタグを付着させてもよいが、従来型のバーコードを貼付けてもよい。
【0029】
次に、本システムを利用した買物カゴ等30と商品比較装置20の外観図について説明する。買物カゴ30aには買物カゴ30aの下部に買物カゴ30aを識別するプレート34を有し、買物カート30bには買物カート30bの両側面に買物カート30bを識別するプレート34を有する。商品比較装置20は、買物カゴ30aの下部又は買物カート30bの側面に装着されたプレート34を、買物カゴプレート検出部33a又は買物カートプレート検出部33bによって検出し、検出された買物カゴ30a又は買物カート30bに入っている購入希望商品のそれぞれに付与された商品タグを読み取る。買物カゴ等30にプレート34を有することで、商品比較装置20が比較処理を開始するタイミングを制御でき、他の買物カゴ等30の中の商品を誤認識してしまうことを避けることができる。
【0030】
図3は、本発明の第1実施形態に係るハンディ端末自動決済システム(以下、本システム1と呼ぶ)の構成を示す機能ブロックを示す図である。本システム1は、既に述べたように、ハンディ端末10と、商品比較装置20と、商品管理装置40と、から構成される。
【0031】
(ハンディ端末の構成)
ハンディ端末10は、商品のそれぞれに付与された商品タグ(RFタグ)を非接触で読み取る機能を有し、典型的には、通信部11と、買物情報データベース(以下、買物情報DBと呼ぶ)12と、カード挿入・排出機構部13と、カードロック機構部14と、カードロック解除部15と、商品ID読取部16と、操作部17と、表示部18と、制御部19とから構成される。
【0032】
通信部11は、商品比較装置20及び商品管理装置40と通信を行う際の通信インタフェースを司り、商品比較装置20との間では、例えば、ISO/IEC18000通信仕様、商品管理装置40との間では、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に準拠した通信を行う。
【0033】
買物情報DB12は、買物時の購入希望商品を記憶するデータベースである。顧客がハンディ端末10で商品コードを読み取り、操作部17の購入ボタンを押すことを契機に商品情報を記憶する。
【0034】
カード挿入・排出機構部13は、顧客が所持するクレジットカード50を挿入及び排出する機構を有し、更にカード読取部13aが備えられ、クレジットカード50を読み取り、電子決済処理に必要な情報を制御部19に送信する。
【0035】
カードロック機構部14は、制御部19の指令の元、クレジットカード50が挿入されると商品比較装置20から解除信号が送信されるまでそのクレジットカード50が排出できないようにカードをロックする機構である。
【0036】
カードロック解除部15は、商品比較装置20からハンディ端末10に記憶された購入希望商品のリストと買物カゴ等30に入っている商品リストとの比較が一致し、決済が完了したことを受信した場合に、カードロック機構部のロックを解除する制御信号を生成し、カードロックの解除を行う。
【0037】
商品ID読取部16は、商品31の商品タグ、又は商品31が陳列された商品棚自体に貼付けられているバーコード等を読み取り、商品31の商品コードを取得する。ハンディ端末10は、商品棚から商品コードを読み取り、ハンディ端末10の例えば「在庫・商品場所確認ボタン」を押下することで、商品管理装置40に商品の購入希望要求を送信し、商品がたとえその場になくても、在庫を調べてもらったり、商品が実際に置かれている場所を通知してもらうことができる。
【0038】
操作部17には、購入ボタンの他、後述する各種要求ボタンが実装されており、これらボタンを押下することにより、購入希望商品の購入を確定し、あるいは、在庫情報、買廻り情報、アレルギー成分情報、要望・コメント情報取得等の各種情報サービスの提供を受けることができる。
【0039】
表示部18は、例えば、LCDや有機ELを表示デバイスとして持ち、商品情報、在庫情報、買廻り情報、アレルギー成分情報、要望・コメント情報等の各種表示情報が表示される。
【0040】
制御部19は、購入を希望する商品のそれぞれに付与された商品タグを非接触で読み取って購入希望商品リストを生成する。また、制御部19は、商品比較装置20と近距離無線通信を行い、商品比較装置20から、カードロックを解除する制御信号を受信した場合に、カードロック解除部15へカードロック機構部14によるカードロックの解除指令(制御信号)を送信する。更に、制御部19は、操作部17に割り当てられたボタンの押下を検出して商品管理装置40と通信を行うことにより、商品管理装置40でそれぞれのボタンに割り当てられた機能を実行して得られる結果を表示部18に表示する。このため、制御部19は、上記した通信部11、買物情報DB12、カード挿入・排出機構部13、カードロック機構部14、カードロック解除部15、商品ID読取部16、操作部17、表示部18のそれぞれのシーケンス制御を行う。
【0041】
(商品比較装置の構成)
商品比較装置20は、ハンディ端末10との通信により取得される購入希望商品リストと、買物カゴ等30に入っている商品に付与された商品タグを非接触でそれぞれ読み取ることにより取得される商品リストとが一致した場合に、ハンディ端末10のカードロックを解除する制御信号を生成する。このため、商品比較装置20は、通信部21と、比較部22と、商品ID読取部23とから構成される。
【0042】
通信部21は、ハンディ端末10と通信を行う際の通信インタフェースを司り、例えば、TCP/IPに準拠した通信を行う。
【0043】
比較部22は、商品ID読取部23によって順次読み出される、買物カゴ等30に入っている商品の商品コードと、比較部22により生成される商品リストに含まれる商品コードとを逐次比較する。比較部22は、商品比較装置20が、ハンディ端末10との通信により取得される購入希望商品リストと、買物カゴ等30に入っている商品に付与された商品タグを非接触で読み取ることにより取得される商品リストとが一致した場合に、ハンディ端末10のカードロックを解除する制御信号を生成する。
【0044】
商品ID読取部23は、買物カゴプレート検出部33a、買物カートプレート検出部33bから商品31の商品タグを読み取り、商品コードを取得する。
【0045】
なお、買物カゴ等30には、自身を識別するプレート34が設けられている。商品31のそれぞれには、商品タグ(商品ID32)が貼付され、その商品ID32には、商品に固有の商品コードが記憶されている。なお、商品ID32は、商品31だけでなく、商品棚(図示せず)にも貼付されていてもよい。
【0046】
(商品管理装置の構成)
商品管理装置40は、ハンディ端末10と無線ネットワーク経由で接続され、商品情報として、商品に固有の商品コードと商品名に加え、商品の原材料、商品の産地名、商品の在庫数のうち、少なくとも一つを含んだデータベースとして有する。
【0047】
商品管理装置40は、ハンディ端末10から、読み取った商品コードに基づく商品情報取得要求を受信すると、対応する商品の商品情報を要求のあったハンディ端末10に送信する「商品情報提供機能」を有する。また、商品管理装置40は、ハンディ端末10から商品に基づくアレルギー情報(アレルギー成分情報)取得の要求を受信すると、要求のあったハンディ端末に、対応する商品のアレルギー情報を送信する「アレルギー情報提供機能」を有する。
【0048】
商品管理装置40は、ハンディ端末10により入力されるコメント情報を受信すると、顧客を識別する顧客IDとコメント情報と紐付けて記憶する「要望・コメント入力機能」を有する。商品管理装置40は、ハンディ端末10から商品購入プラン要求を受信すると、過去の履歴を参照して顧客の嗜好を分析し、店舗が推奨する商品との突合により一致した商品のリストからなる商品購入プランを生成し、要求のあったハンディ端末10へ送信する「商品購入プラン推奨機能」を有する。
【0049】
このため、商品管理装置40は、商品情報データベース42(以下、商品情報DBと呼ぶ)と、顧客情報データベース43(以下、顧客情報DB43と呼ぶ)と、アレルギー情報データベース44(以下、アレルギー情報DB44と呼ぶ)と、コメント情報データベース45(以下、コメント情報DB45と呼ぶ)が割り当てられ、それぞれ記憶される。
【0050】
商品情報DB42は、
図4(a)にそのデータ構造の一例が示されているように、1つのエントリが、商品コードと、商品名と、在庫数と、原材料/詳細情報と、原産地の各フィールドにより構成される。例えば、“00000100”の商品コードが付与された商品は、牛乳であって、200個の在庫を有し、北海道産であることを示している。また、顧客情報DB43は、
図4(b)にそのデータ構造の一例が示さているように、1つのエントリが、顧客ID、来店日、お買い上げ情報の各フィールドにより構成れる。例えば、顧客IDとして“000010”が付与された顧客は、直近で2014年1月1日に来店し、牛乳、りんごジュース・・・の買物をしたことが記憶されている。
【0051】
アレルギー情報DB44は、
図4(c)にそのデータ構造の一例が示されているように、商品に表示が義務づけられた特定原材料7品目の他に表示が奨励されている18品目等が格納される。また、コメント情報DB45は、
図4(d)にそのデータ構造の一例が示されているように、顧客IDとコメントの各フィールドにより構成される。例えば、“000020”のユーザIDが付与された顧客が「品薄の食品が多かった」というコメントを投稿したことが記憶されている。
【0052】
商品管理装置40は、上記した、「商品情報提供機能」、「アレルギー情報提供機能」、「要望・コメント入力機能」、「購入プラン推奨機能」を実現するために、通信部41と、商品情報DB42と、顧客情報DB43と、アレルギー情報DB44と、コメント情報DB45と、制御部46とから構成される。
【0053】
通信部41は、ハンディ端末10と通信を行う際の通信インタフェースを司り、例えば、TCP/IPに準拠した通信を行う。
【0054】
制御部46は、商品管理装置40が、ハンディ端末10から、読み取った商品コードに基づく商品情報取得要求を受信すると、対応する商品の商品情報を要求のあったハンディ端末10に送信する「商品情報提供機能」を実行できるように、また、ハンディ端末10から商品に基づくアレルギー情報取得要求を受信すると、要求のあったハンディ端末10に、対応する商品のアレルギー情報を送信する「アレルギー情報提供機能」を実行できるように、また、ハンディ端末10により入力されるコメント情報を受信すると、顧客を識別する顧客IDとコメント情報と紐付けて記憶する「要望・コメント入力機能」を実行できるように、また、ハンディ端末10から商品購入プラン要求を受信すると、過去の履歴を参照して顧客の嗜好を分析し、店舗が推奨する商品との突合により一致した商品のリストからなる推奨商品購入プランを生成し、要求のあったハンディ端末10へ送信する「商品購入プラン推奨機能」を実行できるように、上記した通信部41と、商品情報DB42、顧客情報DB43、アレルギー情報DB44、コメント情報DB45の読み取り、若しくは書き込みのためのシーケンス制御を行う。
【0055】
上記の本システム1の機能、及び構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インタフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベースは、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係るハンディ端末自動決済システムの処理シーケンス図である。また、
図6は、ハンディ端末10を操作して商品を読み取ったときの画面の一例、
図7、
図8は、ハンディ端末10のメニュー画面とそのメニュー展開画面の一例を示す図であり、
図9は、ハンディ端末10のメニュー画面から買い廻り情報を選択した場合に生成される画面の一例を示す図である。
【0057】
以下、
図5〜
図9を参照しながら、
図3のハンディ端末自動決済システムの動作について詳細に説明する。
図5において、顧客がスーパマーケット等に買物に出向き、まず、店舗内入口に複数設置されているハンディ端末10をとり、ハンディ端末10に例えばクレジットカード50を挿入して店内を携行する(ステップS101)。ハンディ端末10のカード読取部13aは、クレジットカード50が挿入されるとそのカード情報を読み取り(ステップS102)、ハンディ端末10の制御部19にカード情報である顧客情報を送信する。
【0058】
ハンディ端末10の制御部19は、クレジットカード50が挿入されたことをカード読取部13aより受信すると、カードロック機構部14に対しクレジットカード50をロックするためのロック指令を送信する(ステップS103)。ロック指令を受信したカードロック機構部14は、カード挿入・排出機構部13をロックし、クレジットカード50の排出を禁止するように制御する。
【0059】
顧客は、商品購入のため、ハンディ端末10を操作して商品31の商品タグ又は、商品棚に貼付けられたバーコード等を商品ID読取部16(スキャナ)により読み取る(ステップS104)。制御部19は、バーコード等から商品コードを読み取ると通信部11を介して、商品管理装置40へその商品コードに基づく商品情報取得要求を送信する(ステップS105)。
【0060】
商品管理装置40の制御部46は、商品情報取得要求を受信すると、予め紐付けられている商品コードと商品情報が記憶されている商品情報DB42を参照して、受信した商品コードから商品情報を特定し(ステップS106)、特定した商品情報を通信部41経由で商品情報取得要求のあったハンディ端末10へ送信する(ステップS107)。商品情報を受信したハンディ端末10の制御部19は、その商品情報を買物情報DB12に記憶する(ステップS108)。制御部19は、商品情報を記憶すると同時に表示部18に商品情報を表示する。
【0061】
表示部18は、例えば、
図6(a)に示すように、商品情報の商品名、原産地、金額を表示する。また、
図6(b)に示すように、商品31を読み取ることで、商品の購入リストが一覧で表示される。読み取った商品でよければ、ハンディ端末10の操作部17に割り当てられた「購入ボタン」を押下することで、購入希望商品リストを生成し、買物情報DB12として登録する。
図6(b)の例では、複数の商品を1度にカゴに入れ、まとめて「購入ボタン」を押下する場合を示しているが、商品を1個ずつカゴに入れ、そのたびに「購入ボタン」を押下するようにしても当然よい。ハンディ端末10の制御部19は、ステップS104〜ステップS108の一連の処理を買物が終了するまで続ける(ステップS109)。
【0062】
顧客は、ハンディ端末10の操作部17に割り当てられたメニューボタンを押下すると、制御部19による制御の下で表示部18にメニューの一覧が表示される。メニューとして、例えば、「購入希望商品リスト」と、「在庫・商品場所確認」と、「買い廻り情報」と、「アレルギー情報」と、「要望・コメント入力」とが用意され、表示される。なお、メニューの一覧には言語選択が可能なアイコンが表示され、各言語にあわせて文面が変換される。例えば、日本語、英語、中国語、韓国語によるメニューが表示される。
【0063】
「購入希望商品リスト」メニューとは、顧客がハンディ端末10によって、読み取られた商品が一覧として表示される機能である。すなわち、顧客がハンディ端末10を操作して店舗内で購入希望商品の商品タグを読み取り、商品管理装置40からその商品タグに記録された商品コードに対応する商品情報を取得することにより、その商品情報が表示部18に表示される。顧客は、その内容で問題ないとき、ハンディ端末10の操作部17に割り当てられた購入ボタンを押下することによって、表示部18に購入希望商品が一覧表示される。購入希望商品リストには、少なくとも商品名、購入数、金額、合計金額が表示される。
【0064】
「在庫・商品場所確認」メニューは、顧客が購入希望商品のある場所が分からないときに使用する機能である。例えば、牛乳が置いてある位置が分からないときに本機能を使用すると、商品名と商品の在庫数の他に、その商品が載置されている場所が表示される。なお、「在庫・商品場所確認」メニューを選択して商品名の入力が行われると、店舗内の地図が表示され、その地図上に、該当する商品31が載置されている場所が点滅し、あるいは矢印により誘導してもよい。
【0065】
顧客がメニューの中から「買い廻り情報」を選択すると、例えば、
図7に示すように、推奨される商品購入プラン、例えば、「オススメプラン」と、「節約プラン」と、「贅沢プラン」とにメニュー展開され、ハンディ端末10の表示部18に表示される。購入プランとは、例えば、顧客が何を買うか迷ったときに、あるいは買う物の種類がある程度決まっているときに、店舗側から推奨する商品の情報を提供する手段である。ここでは、オススメプランを例示し、
図9を参照して説明する。オススメプランが選択されると商品購入プラン取得要求が送信され、これを受信した商品管理装置40は、顧客情報DB43から取得される顧客IDに基づき過去の購入履歴から顧客の嗜好を分析し、店舗が推奨する商品との突合により一致した商品のリストからなる商品購入プランを生成する。購入プランの生成には、顧客の購入履歴でなく、顧客がハンディ端末10から明示的に入力した購入予定情報(又は購入希望情報)を参照するようにしてもよい(例えば、「今日の夕飯は、すき焼!」等の献立情報や「今日は、ビールとワインどちらにしようか!?」等の商品範囲の指定情報)。ここで作成した商品購入プランは、
図9に示すように、表示部18に商品一覧として表示され、更に、ピックアップされた商品の保管場所が地図上にアイコンで表示される。
【0066】
節約プランが選択されると、商品管理装置40は、店舗側の割安な商品(例えば、チラシ等に記載されている商品)と、顧客の過去の購入履歴や購入予定情報(以下、購入履歴等と呼ぶ)を参照して顧客の嗜好を分析して節約プランを作成する。贅沢プランが選択されると、商品管理装置40は、店舗側の割高ではあるがオススメの商品(例えば、新鮮な肉、魚)と、顧客の過去の購入履歴等を参照して顧客の嗜好を分析し、贅沢プランを作成する。例えば、献立情報が「すき焼き」であれば、「肉は○○産和牛、豆腐は△△製品、しらたきは□□製品」等のブランド品の高級食材を推奨する贅沢プランを作成する。
【0067】
「アレルギー情報」は、顧客が購入する商品の原材料にアレルギー反応の可能性がある材料/成分がないか確認をする機能である。
図8のメニュー画面から「アレルギー成分情報」を選択すると、ハンディ端末10は、読み取った商品コードに基づくアレルギー情報取得要求を生成し商品管理装置40に送信する。商品管理装置40は、アレルギー情報取得要求を受信すると、その商品コードに基づきアレルギー情報DB44を参照して記憶されている原材料にアレルギー成分が含まれているか確認をする。原材料にアレルギー成分が含まれているときは、その内容をハンディ端末10の表示部18に表示する。例えば、
図8に示すように、商品名と原材料が表示され、アレルギー成分が含まれていることを表示する。
【0068】
「要望・コメント入力」は、顧客が店舗側への意見又は要望を入力する機能である。
図8のメニュー画面から「要望・コメント入力」を選択すると、ハンディ端末10は、
図8に示すように、表示部18に、要望・コメント入力画面と、例えば、タッチパネルを使用して入力するためのソフトウエアキーボードを表示する。ここで入力された情報は、商品管理装置40により取り込まれ、コメント情報DB45に、顧客IDと紐付けて記憶される。
【0069】
「他のハンディ端末に連絡」は、ハンディ端末10に通話機能(オプションであってもよい)を備え、他のハンディ端末10を所持している顧客と直接会話ができる機能である。例えば、夫婦で一緒に来店し、店内を別々のルートで買物を分担しているような場合、妻の端末から夫の端末に連絡し、特定の商品を探すように指示したり、重い商品等はそちらで購入するように、などを指示することができる。それぞれのハンディ端末10に家族カードが挿入されていればデータを交換でき、それぞれの端末から購入希望商品リストを確認できる。このようにすることで、例えば、妻が夫に頼んだ物が確かに購入希望商品リストに入っているか、又は余計な物まで買っていないかを、妻が店内の離れた場所からでも容易にチェックすることができる。
【0070】
顧客は、買物が終了すると、商品比較装置20に備えられている商品ID読取部23の近傍(通信可能距離範囲)に買物カゴ等30を移動する。商品比較装置20は、商品ID読取部23によって、買物カゴ等30を検出すると(ステップS110)、ハンディ端末10から買物により読み取られた商品リストを送信する指令を送信する(ステップS111)。ハンディ端末10の制御部19は、買物情報DB12から商品コードを取得し、商品比較装置20に商品コードを送信する(ステップS112)。
【0071】
続いて、商品比較装置20の比較部22は、買物カゴ等30に入っている商品31の商品タグから商品ID読取部23によって順次読み取られる商品コードを取得する(ステップS113)。商品比較装置20の比較部22は、順次取得した商品コードから購入商品リストを生成し、その購入商品リストと、ハンディ端末10の買物情報DB12に記憶されてある購入商品リストの両者に差異がないか比較する(ステップS114)。
【0072】
比較部22は、両者が全て一致した場合(ステップS115“YES”)は、ハンディ端末10(通信部11)に決済に必要な情報(購入希望商品及び金額)を送信する(ステップS116)。決済情報を受信したハンディ端末10(制御部19)は、電子決済処理を行うため、表示部18に購入希望商品の一覧、及び金額を表示し(ステップS117)、顧客に確認を求める。ハンディ端末10は、顧客の確認完了を示す決済要求を商品管理装置40へ送信する(ステップS118)。商品管理装置40は、ハンディ端末10から受信後、電子決済を実行する(ステップS119)。
【0073】
商品管理装置40(制御部46)は、電子決済処理が完了した通知を通信部41経由で商品比較装置20に送信する(ステップS120)。電子決済処理が完了した通知を受信した商品比較装置20(比較部22)は、クレジットカード50のロックを解除する解除信号指令(制御信号)をハンディ端末10に通信部21を介して送信する(ステップS121)。
【0074】
ロック解除指令を受信したハンディ端末10の制御部19は、カードロック解除部15にロック解除命令を送信し、カードロック解除部15によってクレジットカード50のロックが解除される(ステップS122)。このことにより、クレジットカード50の取り出し(排出)が可能になる(ステップS123)。なお、比較部22は、両者の少なくとも一部商品に差異が生じた場合(ステップS115“NO”)は、その商品31の商品情報を通信部21を介して、ハンディ端末10にその情報を送信する。
【0075】
ハンディ端末10の制御部19は、表示部18に該当する商品31の情報を表示し(ステップS124)、問題があれば、買物カゴ等30にある該当商品をハンディ端末10の商品ID読取部16で読み取り、再度、商品比較装置20による比較を行う。
【0076】
以上説明のように本システム1の第1実施形態によれば、商品比較装置20が、ハンディ端末10との通信により取得される購入希望商品リストと、買物カゴ等30に入っている商品に付与された商品タグを非接触で読み取ることにより取得される商品リストとが一致した場合に、ハンディ端末10のカードロックを解除する。したがって、顧客は、商品購入時にレジを通る必要がなくなるため、スムーズな決済が可能になり、また、店舗側では、店員による決済処理が不要になるため、レジの無人化が可能となり、人件費の削減、及び大きな投資効果が得られる。さらにハンディ端末10内にクレジットカード50を挿入し決済終了まで排出をロックすることでハンディ端末10の盗難防止にもつながる。また、顧客が何も買わずに店を出る場合であっても、ハンディ端末10にカードが挿入された状態で商品情報を取得することで、顧客が興味をもった商品が分るので、店舗側の商品販売のための参考情報としたり、顧客が店舗側からの何らかの提案を受けられたりできる。
【0077】
また、商品管理装置40にアレルギー情報を記憶しておくことで、商品情報の原材料とアレルギー情報とを紐付けてアレルギー情報の提供が可能になる。したがって、アレルギーがある疑いのある顧客は商品毎にアレルギー情報が表示部18に表示され、これを閲覧することにより安心して商品購入が可能となる。このとき、顧客情報DB43に顧客のアレルギー体質の情報を記憶しておき、そのアレルギー体質に反応するアレルギー成分を含んだ商品のみ、アレルギー情報を表示することもできる。また、商品管理装置40は、顧客IDと顧客の要望に対するコメント情報とを紐付けて記憶することで、顧客毎の要望、あるいはコメント管理が可能となり、これを店舗運営に反映することで顧客満足度が向上し、集客効果も向上し、販売促進にも寄与する。
【0078】
また、商品管理装置40は、顧客の購入情報履歴を記憶することで、過去の購入情報履歴を参照することが可能となり、顧客の嗜好を算出して商品購入プランを推奨することができる。したがって、顧客は、毎回買物の際に献立を考えることなく推奨プランに沿って買物ができる。その結果、店舗への顧客の集客率が高まる。
【0079】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るハンディ端末自動決済システムの構成を示す機能ブロックを示す図である。第2実施形態では、第1実施形態の商品比較装置20が有する比較部22の機能を商品管理装置40が有する。各種機能については、第1の実施形態と同様の機能を有するため説明は省略する。
【0080】
システムの処理シーケンスについては図示を省略するが、第1実施形態における
図5と異なる点について以下説明する。商品比較装置20は、買物カゴ等30を検出すると、ハンディ端末10から買物により読み取られた商品リストを商品管理装置40に送信する。ハンディ端末10は、買物情報DB12から商品コードを取得し、商品比較装置20に商品コードを送信する。
【0081】
続いて、商品比較装置20は、買物カゴ等30に入っている商品31の商品タグから商品コードを取得し、ハンディ端末10から受信した商品コードと自身が取得した商品コードを商品管理装置40に送信する。商品管理装置40の比較部47は、商品比較装置20から取得した商品コードに基づいて購入商品リストを生成し、その購入商品リストと、ハンディ端末10の買物情報DB12の購入商品リストと比較する。商品管理装置40の比較部47は、両者が全て一致した場合は、決済処理手続きに移行させるため、決済情報をハンディ端末10へ送信する。
【0082】
以降は第1実施形態と同様に、決済情報を受信したハンディ端末10は、購入希望商品の一覧、及び金額を表示し、顧客は、表示された内容で問題がなければ、決済の実行を許可する。電子決済完了を受信した商品管理装置(比較部47)は、クレジットカード50のロックを解除する解除信号指令をハンディ端末10に送信する。
【0083】
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、商品リストの比較を商品管理装置40が行う構成とし、商品情報及び商品比較装置20を集中管理させることで、ハンディ端末10や商品比較装置20の利用状況を店舗側が迅速に把握することができる。
【0084】
(変形例)
なお、第2の実施形態のさらなる変形例として、商品管理装置40の比較部47をハンディ端末10側に備えるようにしてもよい。この実施形態では、商品比較装置20は、買物カゴ等30を検出したときに、顧客が買物を終了し、クレジットカードで決済することを求めていると判断し、ハンディ端末10に確認要求を送信する。確認要求を受信したハンディ端末10は、端末内に記憶された購入希望の商品リストと、買物カゴ等30に入っている商品の商品IDを一括して検索した結果の商品リストとを比較し、全てが一致しているかどうかを示す情報を表示部18に表示する。ただし、この比較は、商品比較装置20からの確認要求を介さずに、ハンディ端末10で顧客が所定の操作ボタン(例えば、比較確認ボタン)を押下したタイミングで行ってもよい。
【0085】
顧客は、表示部に示された比較結果を確認し、OKであれば所定の操作ボタン(例えば、決済要求ボタン)を押下し、商品管理装置40に決済要求を送信する。商品管理装置40は、この決済要求を受け、顧客のクレジットカード会社のシステムから決済の承認が完了したことを受けて、ハンディ端末10に対してカードロック解除信号を送信する。ハンディ端末10は、この解除信号を受けてカードを排出可能とし、顧客は、カードをハンディ端末10から取り出して店舗を出ることができる。上記の処理を、ハンディ端末10の機能部としてまとめると以下のようになる。
【0086】
店舗内で顧客が使用するハンディ端末であって、商品代金の決済のための前記顧客のICカードを挿入及び排出する機構を有するカード挿入・排出機構部と、前記ICカードが挿入されると、前記ICカードの排出をロックするカードロック機構部と、商品に付与された商品識別情報を非接触で読み取る商品ID読取部と、前記商品ID読取部が前記商品を個別に読み取った商品識別情報を、所定の操作により購入希望商品リストとして記憶する記憶部と、前記顧客の買物カゴ又は買物カートに入れられた商品の商品識別情報を、前記商品ID読取部が一括して読み取ることにより得られた商品リストと、前記記憶された購入希望商品リストとがすべて一致した場合に、前記ICカードによる決済要求を送信する制御部と、前記決済要求が承認されたことに応じて、前記カードロック機構部のロックを解除するカードロック解除部と、を備える。
【0087】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明と捉え、ハンディ端末自動決済システムとして説明したが、本発明は、方法の発明(ハンディ端末自動決済方法)としても捉えることもできる。