特許第6204216号(P6204216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204216
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】半導体上の酸素単原子層
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20170914BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20170914BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20170914BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20170914BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/316 S
   H01L21/316 X
   H01L21/205
   C23C16/40
   C23C16/44 A
   C23C16/42
   H01L29/78 301G
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-23297(P2014-23297)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2014-165494(P2014-165494A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年8月2日
(31)【優先権主張番号】13156397.5
(32)【優先日】2013年2月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591060898
【氏名又は名称】アイメック
【氏名又は名称原語表記】IMEC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】アンネリース・デラビー
(72)【発明者】
【氏名】マティ・カイマックス
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/103845(WO,A1)
【文献】 特開2003−203924(JP,A)
【文献】 特開2004−303894(JP,A)
【文献】 特開平09−129632(JP,A)
【文献】 特開2008−085090(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0111408(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0188778(US,A1)
【文献】 Lauren Webb et al,High-Resolution Soft X-ray Photoelectro Spectroscopy Studies and Scanning Auger Microscopy Studies of Air Oxidation of Alkilated Silicon(111)Surfaces,J.Phys.Chem.B,ACS Publications,2006年10月31日,110,23450-23459
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C23C 16/40
C23C 16/42
C23C 16/44
H01L 21/205
H01L 21/336
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に酸素単原子層を有するSiまたはGe半導体基板であって、
前記酸素単原子層は、部分的なものまたは完全なものであり、
前記酸素単原子層の存在から生ずる、SiまたはGe基板の前記表面のSi4+またはGe4+酸化状態は、XPSで測定した場合、Si1+,Si2+,Si3+およびSi4+酸化状態の合計、またはGe1+,Ge2+,Ge3+およびGe4+酸化状態の合計の50%未満をし、
前記酸素単原子層は、エリプソメトリーで測定した場合、0.30〜0.38nmの厚さを有する、半導体基板。
【請求項2】
前記酸素単原子層の存在から生ずる、前記基板の前記表面でのSiまたはGeの最も頻繁な酸化状態は、XPSで測定した場合、Si1+またはGe1+である、請求項1記載の半導体基板。
【請求項3】
前記酸素単原子層は、Si封入SIMSで測定した場合、4×1014atoms/cm〜10×1014atoms/cm有する、請求項1または2に記載の半導体基板。
【請求項4】
前記単原子層と接触した、半導体誘電体材料、または高誘電率(high-k)誘電体材料からなる上部層をさらに備える、請求項1〜のいずれかに記載の半導体基板。
【請求項5】
前記上部層は、エピタキシャル半導体層である、請求項記載の半導体基板。
【請求項6】
少なくとも第2の二重層が前記上部層を覆っており、
前記二重層は、請求項4または5で定義したような上部層によって覆われた、請求項1で定義したような酸素単原子層からなる、請求項4または5記載の半導体基板。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の半導体基板を備えたデバイス。
【請求項8】
半導体デバイスを製造する方法であって、
(a)酸素汚染が無いSiまたはGeの半導体基板を、30℃〜90℃の温度で用意するステップと、
(b)前記半導体基板を、気相のOと、50〜400g/mの濃度、0.005〜0.12Torrの分圧、100sccm〜800sccmの流量、0.02〜1.5秒の持続時間で反応させ、これにより部分的または完全な酸素単原子層をその表面に設けるステップと、を含む方法。
【請求項9】
半導体層または誘電体層を前記単原子層の上に直接設けるステップ(c)をさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項10】
前記誘電体層は、原子層堆積法によって堆積される、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記誘電体層は、高誘電率(high-k)誘電体層である、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記高誘電率(high-k)誘電体層は、金属の前駆体のパルスと水のパルスとを交互に供給する原子層堆積プロセスによって堆積した金属酸化物層である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
半導体層または誘電体層を前記単原子層の上に直接設けるステップ(c)は、低圧化学気相成長により、前記酸素単原子層を前記半導体層の前駆体と反応させ、これによりエピタキシャル半導体層をその上に設けることを含む、請求項記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(b)(c)は、ステップ(c)を行った後、少なくとも1回繰り返すようにした、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果トランジスタなどの半導体デバイスの製造のための半導体基板の分野に関する。本発明または、こうした基板の準備のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの次世代は、低い等価換算膜厚(Equivalent Oxide Thickness)を達成するために、薄い誘電体を必要とする。しかしながら、薄い誘電体は、漏れ電流の増加をもたらす。高誘電率(high-k)誘電体が、二酸化シリコンと置換される有望な候補として考えられている。こうした高誘電率誘電体の堆積のために広く研究されている手法が、原子層堆積法(ALD)である。ALDは、誘電体厚の制御を単一原子層レベルで可能にするという利点を有する。
【0003】
GeおよびSiは、空気中で酸化する傾向があり、これらの表面にいわゆる自然酸化物層を形成する。しかしながら、この自然酸化物は、比較的貧弱な品質の絶縁体であり、その厚さは変化しやすい。従って、高誘電率堆積前の典型的な操作が、この自然酸化物層の除去である。Siでは、これは、典型的にはHF溶液中のクリーニング工程によって行われる。得られた表面は、水素終端しており、よって疎水性である。
【0004】
高誘電率誘電体材料は、疎水性表面上において適切に核生成(nucleate)しない傾向がある。例えば、文献(Gusev et al., Microelec. Eng., 69, 145 (2003))は、HfOが、H終端したSi基板上で貧弱に核生成し、その結果、高いゲート漏れ電流が生ずることを論証している。より反応性の表面が、高誘電率誘電体のALD前駆体の化学吸着を可能にするために必要になる。化学吸着反応が表面部位の反応性および数に依存している。誘電体層の品質に対して可能な限り限定された影響を有する完全な親水性表面を得ることは、かなり要望されている目標である。当面は、Si基板を親水性にする一般的な手法が、汚染の除去後、急速熱酸化法によってSi基板を酸化することである。得られる親水性層の厚さは、制御するのが困難であり、典型的には比較的厚い。文献(M. Meuris et al., Solid State Technology, 38, 109 (1995))は、Si基板が、2%HF溶液に30秒間曝すことを含むウェットプロセスによって清浄化される方法を開示している。これにより、自然SiO層の除去と、Si基板を疎水性にすることになる。自然SiO層の除去後、基板は、20ppm O/HOの中で再酸化され、1nmの親水性SiO層が得られる。得られた酸化シリコン層の厚さは、約1nmであり、不必要に等価換算膜厚を増加させる。文献(B. Onsia et al., UCPSS VII, Solid State Phenomena, 103-104, 19 (2005))は、O濃度が1〜5ppm O/HOまで減少した類似の手法を開示している(鱗状ウェット酸化物)。これにより、酸化物の厚さを0.3nmに、即ち、単原子層(単分子層)の厚さに減少させることが可能になる。
【0005】
しかしながら、親水性層は不完全と思われものであった。HfOが、ALDによってこの基板上で成長し、RBS測定が、あるレベルの基板阻害(inhibition)を示した。また、HfO層の上に成長したポリSiゲート電極層が、基板との幾つかの結晶粒のエピタキシャル・アライメントを示し、鱗状ウェット酸化物およびHfO層において孔の存在を示した。さらに、文献(L; Nyns et al., J. Electrochem. Soc., 155, G269 (2008))で行われた実験は、鱗状ウェット酸化物がアイランドに成長することを確認した( FIG. 2BとFIG. 3を参照)。従って、この手法に伴う問題が、これによって生成されたSi−OH部分(moieties)(良好なALD核生成部位)が、基板上の小さな酸化物アイランドにだけ存在することであり、大部分の基板表面をSi−H部分(悪いALD核生成部位)にすることである。このことは、高誘電率無しの基板エリアで包囲された高誘電率誘電体ALD材料のアイランドを生じさせる。
【0006】
従って、Si基板またはGe基板の上で良好な高誘電率核生成を可能にする方法について該分野でのニーズが存在し、これは、等価換算膜厚を最小に維持する。
【0007】
さらに、国際半導体技術ロードマップによれば、従来のSiチャネルと置換する高移動度材料が、12nmノードからのCMOSのスケーリングを続けるために必要になるであろう。GeおよびIII−Vチャネルを希求して主要な問題が生じており、その最も困難なものは、重大な欠陥密度であり、そして、ゲートスタック界面を不動態化することが極めて困難であることである(文献: M. Heyns and W.Tsai, MRS Bulletin 34, 485-492, 2009)。代替物が、シリコン原子と、例えば、O,NまたはCの原子などの外来原子との交互配列した周期からなるシリコン/誘電体超格子(superlattice)によって提供できる。これらの超格子は、垂直方向で減少したゲート漏れとの組合せで、横方向で増強した移動度を提供することが確認された。こうした超格子は、エピタキシャル成長時の大きな格子不整合の問題を回避し、ゲートスタック・パッシベーションに適した通常のSi表面を提供する。しかしながら、エピタキシャルシリコン材料からなる2つの層の間にある外来原子からなる中間層は、可能な限り薄く良好に維持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、SiまたはGe基板上に、良好なSiまたはGeエピタキシャル成長を可能にする方法について該分野でのニーズが存在し、これは、外来原子中間層を可能な限り薄く維持する。
【0009】
本発明は、上記の問題の両方に対する解決法を提供する。
【0010】
本発明の目的は、シリコンまたはゲルマニウムの基板上に酸素単原子層(monolayer)を設けるための良好な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態の利点は、親水性表面基(group)の連続的な分布を有する基板が提供できることである。
【0012】
本発明の実施形態の他の利点は、表面上に可能な限り薄い親水性層を有する基板が提供できることである。
【0013】
本発明の実施形態の他の利点は、親水性表面基(group)の連続した単原子層(monolayer)を有する基板が提供できることである。
【0014】
本発明の実施形態の更なる利点は、疎水性Si−H部位(例えば、H不動態化されたSi表面上)より高い反応性を有する親水性反応性酸素部位の単原子層を有する基板が提供できることである。これにより、ランダム堆積またはアイランド成長の代わりに、2次元成長を得ることができる。
【0015】
第1態様において、本発明は、表面に酸素単原子層を有するSiまたはGe半導体基板に関する。前記酸素単原子層は、部分的なものまたは完全なものであり、前記酸素単原子層の存在から生ずる、SiまたはGe基板の前記表面のSi4+またはGe4+酸化状態は、XPSで測定した場合、Si1+,Si2+,Si3+およびSi4+酸化状態の合計、またはGe1+,Ge2+,Ge3+およびGe4+酸化状態の合計の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満を表す。
【0016】
これは、反応性部位を表面に導入し、これによりALD前駆体の化学吸着を可能にするため、好都合である。これにより、基板エンハンスメントを観測しなければ、少なくともALD層のサイクル当りの着実な成長が得られることになる。その結果、基板上で行われたALDは、ランダム堆積のアイランド成長を生じさせない。さらに、単原子層は、理想的である。理由は、それは最も薄い可能な層であり、これにより等価換算膜厚に関与するものが可能な限り少なくなるからである。
【0017】
完全な単原子層は、その上に完全なALD層を形成するのが可能になるため、好都合である。これにより前記基板の表面全体に渡って均一な電子的特性を可能にする。
【0018】
SiまたはGe基板は、こうした基板のいずれでもよい。実施形態では、それは、Si(100)基板またはGe(100)基板でもよい。
【0019】
ここで使用したように、他に言及していない限り、用語「酸素単原子層」は、基板表面と化学的に結合した酸素原子の層であって、前記基板表面を全体的に覆うのに理論的に必要とされる最小数の原子の少なくとも半分、そして、せいぜい前記最小数の1.5倍に対応した数の酸素原子で前記基板を覆う酸素原子の層を参照している。基板としてSi(100)の場合、これは、SiキャップのSIMSで決定したように、3.39×1014〜1.02×1015at/cmに対応している。3.39×1014は、単原子層の半分に正確に対応しており、6.78×1014at/cmは、1つの単原子層に正確に対応しており、1.02×1015at/cmは、1.5倍の単原子層に対応している。
【0020】
完全な単原子層が、それが覆うエリア全体に渡って単一の厚さを有し、それが完全な基板表面を覆う。部分的な単原子層が、半導体基板を露出した孔を有する層である。本発明では、部分的な酸素単原子層は、その原子が基板表面の50〜99.9%を覆う層である。これは、Si(100)表面上で3.39×1014〜6.7×1014at/cmを表す。完全な単原子層が、孔を有しておらず、その原子が基板表面の100〜150%を覆う層である。これは、6.8×1014〜1.0×1015at/cmを表す。これは、単原子厚さの完全な第1酸素層が形成され、最終的に、第1層のせいぜい50%を覆う第2酸素層がその上に形成されることを意味する。実施形態では、酸素単原子層は、50%〜150%の完全さでもよい。50%完全さとは、例えば、孔の存在に起因して、前記単原子層によって範囲が定まる、基板面積の50%だけを覆う層を参照している。
【0021】
酸素単原子層は、酸素を含む単原子層である。実施形態では、それは、本発明の第3態様に係る方法によって得られる単原子層でもよい。実施形態では、それは、第3態様の方法の条件で、オゾンと半導体基板との反応から得られる単原子層でもよい。化学的には、この単原子層は、基板と直接に化学結合した酸素種からなるものでもよい。従って、単原子層は、前記酸素種と結合した基板原子の酸化レベルによって特徴付けが可能である。酸素単原子層の良好な特徴付けが、前記基板原子の多くがSi4+またはGe4+の酸化状態でないことである。これは、典型的には従来の(より高温の)酸化条件で見つかる酸化状態とは極めて相違している。このことは図16に示している。より厚い酸素(多)層が、典型的にはSiまたはGeの酸化物で構成され、酸素原子は、多くは、(4+)酸化状態にあるSiまたはGeを持つSiまたはGeの骨格(例えば、Si−O−SiまたはGe−O−Ge)の中にある。典型的には、先行技術において、多量のSiまたはGeが、より高い酸化状態、例えば、2+,3+または4+の酸化状態にある。
【0022】
実施形態において、前記酸素単原子層の存在から生ずる、前記表面上でのSiまたはGeの基板の最も頻繁な酸化状態は、XPSで測定した場合、Si1+であろう。これは、単原子層を形成するこうしたSiと結合した酸素種のタイプは、例えば、Si−OH,Si−OまたはSi−O−Siの形態のものであるという効果を有する。これは、極めて親水性の表面を提供するという利点を有し、2次元成長を促進する(図2参照)。実施形態において、HfCl4化学吸着で決定した場合、酸素単原子層の少なくとも5at%、好ましくは10at%がヒドロキシル基の形態をとる。例えば、そうして決定されたヒドロキシル基の量は、5〜15at%の範囲内である。
【0023】
実施形態において、前記酸素単原子層は、完全な原子層でもよい。部分的な原子層が達成できるが、最も実用的な用途(例えば、高誘電率誘電体材料の核生成など)が、完全な原子層での存在から利益を受ける。その上に後続の層が覆われて完全なものになるものでもよい。
【0024】
実施形態において、酸素単原子層は、エリプソメトリー(ellipsometry)で測定した場合、0.30〜0.38nmの厚さを有してもよい。これは、第1態様に係る酸素単原子層の存在について制御する1つの手法である。
【0025】
実施形態において、酸素単原子層は、厚さが均一であってもよい。
【0026】
実施形態において、前記単原子層を形成する全ての酸素原子が、SiまたはGeの半導体基板の一部を直接覆うものでもよい。従って、単原子層は、例えば、SiOアイランドなどの酸素多層構造で構成されていない。本発明の実施形態が、酸素多層を容易に実現でき、制御した方法で作成する可能性を排除していないが、最も最新の用途では、単原子層が、酸素層にとって最も有望な厚さであるように思われており、例えば、最小の等価換算膜厚を許容するからである。
【0027】
実施形態において、前記酸素単原子層は、Si封入SIMSで測定した場合、4×1014atoms/cm〜10×1014atoms/cm、好ましくは、5×1014atoms/cm〜9×1014atoms/cmを有する。
【0028】
実施形態において、基板は、前記単原子層と接触した、半導体または誘電体材料、好ましくは、高誘電率(high-k)誘電体材料からなる上部層をさらに備えてもよい。単原子層の効果は、ALD前駆体の核生成を促進することによって、ALDによるこうした上部層の形成が可能になることである。
【0029】
実施形態において、前記半導体層は、アモルファスまたはエピタキシャルの半導体層でもよい。
【0030】
実施形態において、少なくとも第2の二重層(bilayer)が前記上部層を覆ってもよい。前記二重層は、上記で定義したような上部層によって覆われた、上記で定義したような酸素単原子層からなる。二重層が、エピタキシャル半導体層で覆われた酸素単原子層にある場合、こうした二重層の少なくとも2つのスタックが、いわゆる超格子に対応しており、FET内のチャネルとして機能するのに有望な材料である。
【0031】
第2態様において、本発明は、前述の請求項のいずれか1つの半導体基板を備えたデバイスに関する。こうしたデバイスの例は、電界効果トランジスタでもよい。
【0032】
第3態様において、本発明は、下記のステップを含む半導体デバイスを製造する方法に関する。
(a)酸素汚染が実質的に無いSiまたはGeの半導体基板を、30℃〜90℃の温度で用意するステップ。
(b)前記半導体基板を、気相のOと、50〜400g/mの濃度、0.005〜0.12Torrの分圧、100sccm〜800sccmの流量、0.02〜1.5秒の持続時間で反応させ、これにより部分的または完全な酸素単原子層をその表面に設けるステップ。
【0033】
この方法は、真の酸素単原子層が得られ、SiOまたはSiOのアイランド形成がない。
【0034】
実施形態において、該方法は、半導体層または誘電体層を前記単原子層の上に直接設けるステップ(c)をさらに含んでもよい。
【0035】
実施形態において、前記誘電体層は、原子層堆積法によって堆積してもよい。
【0036】
実施形態において、前記誘電体層は、高誘電率(high-k)誘電体層であってもよい。
【0037】
実施形態において、前記高誘電率(high-k)誘電体層は、金属の前駆体のパルスと水のパルスとを交互に供給する原子層堆積プロセスで堆積した金属酸化物層であってもよい。
【0038】
水のパルスの使用は、オゾンのパルスを使用するのと比較して、極めて有利である。実際、追加のオゾンパルスが、酸素単原子層に侵入して、その厚さを増加させ、厚いSiOまたはSiO(多)層を形成するであろう。一方、水は、酸素単原子層の真の単一層の性質を保存する。
【0039】
実施形態において、半導体層または誘電体層を前記単原子層の上に直接設けるステップ(c)は、低圧化学気相成長により、前記酸素単原子層を前記半導体層の前駆体と反応させ、これによりエピタキシャル半導体層をその上に設けることを含んでもよい。
【0040】
実施形態において、半導体前駆体のフローは、0.44nm/分より低くてもよく、より好ましくは、0.1nm/分〜0.4nm/分でもよい。
【0041】
エピタキシャル半導体層が設けられる実施形態において、酸素単原子層は、好ましくは、前記半導体基板を気相のOと、50〜150g/mの濃度、100〜300sccmの流量、0.02秒〜0.10秒の持続時間で反応させることによって得てもよい。
【0042】
実施形態において、前記ステップ(b)(c)は、ステップ(c)を行った後、少なくとも1回繰り返してもよい。
【0043】
実施形態において、酸素汚染が実質的に無いSiまたはGeの半導体基板を用意することは、SiまたはGeの半導体基板を用意することと、それにHF処理を適用することとを含む。実施形態において、HF処理は、少なくとも1%の濃度を有するHF溶液を用いて、少なくとも20秒の時間で行ってもよい(例えば、2%,30秒)。
【0044】
実施形態において、前記クリーニングは、還元雰囲気中での加熱工程を含んでもよい(例えば、H,850℃,2分,40torr,20slm)。
【0045】
実施形態において、反応中の基板温度は、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは40℃〜60℃でもよい。温度は、例えば、ALDチャンバ内のチャックのレベルで測定した場合の基板温度である。
【0046】
実施形態において、前記Oは、0.02〜30秒、好ましくは0.02〜1.0秒、より好ましくは0.02〜0.7秒の時間、前記基板と反応してもよい。完全な酸素単原子層では、0.1秒以上を用いることが好ましい。部分的な単原子層では、0.5秒以下を用いることが好ましい。
【0047】
実施形態において、ステップ(b)は、ALDチャンバ内で行ってもよい。
【0048】
実施形態において、ステップ(b)は、1〜4torrの全圧で行ってもよい。
【0049】
実施形態において、Oは、好ましくは10〜30%のOを有するO/O混合物として供給してもよい。
【0050】
実施形態において、O/O混合物は、不活性ガスで搬送してもよい。
【0051】
実施形態において、反応ガスは、200〜600sccmの速度で供給してもよい。
【0052】
実施形態において、Oの分圧が、0.01〜0.12Torr、好ましくは0.03〜0.11Torrでもよい。
【0053】
更なる態様において、本発明は、第3態様の方法のステップを含む任意の方法によって得られる半導体デバイスに関する。
【0054】
本発明の特定の好ましい態様は、添付した独立請求項および従属請求項に記述されている。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と、適切に請求項に明示的に記述されていなくても組み合わせてもよい。この分野においてデバイスについての一定の改善、変化および進化があったとしても、本概念は、先行の実践からの発展を含む実質的に新しい新規な改善を表すと考えられ、その結果、より効率的で安定した信頼性のあるこの種のデバイスの提供が実現する。
【0055】
本発明の上記および他の特性、特徴および利点は、本発明の原理を例として示す添付図面に関連して下記の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、例示のためだけに供与される。下記に引用した参考図面は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体基板の概略図である。
図2】表面機能付与に応じて異なるALD成長モードを示す概略図である。
図3】先行技術に係る半導体基板の概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る方法を実施するために適合した装置のダイアグラム図である。
図5】本発明の一実施形態に係る方法を実施するために適合した装置の概略図である。
図6】本発明の一実施形態において、XPSで測定した場合、シリコン原子と結合した酸素原子の濃度対オゾン処理時間のグラフである。
図7】本発明の一実施形態において、XPSで測定した場合、異なる酸化状態を有するシリコン原子の濃度対オゾン処理時間のグラフである。
図8】O原子、C原子および、本発明の実施形態に係る基板前処理手順に応じて種々の酸化状態を有するSi原子の濃度のグラフである。
図9】本発明の実施形態において、種々の温度における酸素層厚対オゾン露出時間のグラフである。
図10】本発明の実施形態において、種々の圧力における酸素層厚対オゾン露出時間のグラフである。
図11】本発明の一実施形態に係る半導体基板の透過型電子顕微鏡画像である。
図12図11の拡大部分である。
図13】本発明の一実施形態に係る半導体基板の透過型電子顕微鏡画像である。
図14図13の拡大部分である。
図15】本発明の種々の実施形態についてHf表面被覆率(coverage)のグラフである。
図16】実施形態および比較例において、GeO厚さ(nm)の関数としてのGe4+(%)の割合のグラフである。
図17】本発明の実施形態において、オゾン露出時間の関数としての酸素GeおよびSi表面被覆率のグラフである。
図18】本発明の一実施形態に係る酸素単原子層の上に成長したエピタキシャルシノコン層を示すTEM顕微鏡画像である。
図19図18の拡大図である。
図20】先行技術のプロセスおよび本発明の一実施形態に係るプロセスについて、サイクル数の関数としてHf被覆率を示すグラフである。
【0057】
異なる図面において、同じ参照符号は、同じまたは類似の要素を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、一定の図面を参照して特定の実施形態に関して説明しているが、本発明はこれに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は、概略的に過ぎず、非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の実施化に必ずしも対応していない。
【0059】
さらに、説明および請求項での用語、「第1」、「第2」、「第3」などは、類似の要素を区別するための使用しており、必ずしも時間的、空間的、ランキングまたは他の方法での順番を記述するためではない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここで説明した本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
【0060】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0061】
請求項で用いた用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された要素またはステップに限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していないことに留意すべきである。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。こうして表現「手段A,Bを備えるデバイス」の範囲は、構成要素A,Bのみから成るデバイスに限定すべきでない。本発明に関して、デバイスの関連した構成要素だけがA,Bであることを意味する。
【0062】
同様に、用語「結合」は、請求項でも用いられ、直接接続だけに限定されるものとして解釈すべきでないことに留意すべきである。用語「結合した」「接続した」は、これらの派生物とともに用いてもよい。これらの用語は、互いに同義語として意図していないことと理解すべきである。こうして表現「デバイスBと結合したデバイスA」の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力と直接に接続されたデバイスまたはシステムに限定すべきでない。デバイスAの出力とデバイスBの入力との間に経路が存在し、それは他のデバイスまたは手段を含む経路でもよいことを意味する。「結合した」は、2つ以上の要素が直接の物理的または電気的接触していること、あるいは、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、互いに協力または相互作用することを意味することがある。
【0063】
本明細書を通じて「一実施形態」または「実施形態」への参照は、該実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。こうして本明細書を通じて種々の場所での用語「一実施形態において」または「実施形態において」の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照していないが、そういうこともある。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ又はそれ以上の実施形態において、当業者に明らかなように本開示からいずれか適切な方法で組み合わせてもよい。
【0064】
同様に、本発明の例示の実施形態の説明において、本開示を合理化し、種々の発明の態様の1つ以上の理解を支援す目的で、本発明の種々の特徴が単一の実施形態、図面またはその説明において時には一緒にグループ化されることを理解すべきである。しかしながら、この開示方法は、請求項の発明が、各請求項に明示的に記載されたものより多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈すべきでない。むしろ、下記の請求項が反映しているように、発明の態様が、単一の前述した実施形態の全ての特徴より少ない点にある。こうして詳細な説明に続く請求項は、ここではこの詳細な説明に明示的に組み込まれており、各請求項は本発明の別個の実施形態としてそれ自体に立脚している。
【0065】
さらに、ここで説明した幾つかの実施形態が他の実施形態に含まれる幾つかの別でない特徴を含むとともに、異なる実施形態の特徴の組合せが、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内にあって異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、下記の請求項において、請求した実施形態のいずれもがいずれの組合せで使用できる。
【0066】
さらに、実施形態の幾つかが、コンピュータシステムのプロセッサによって、またはその機能を実行する他の手段によって実装できる方法または方法の要素の組合せとして、ここでは説明されている。こうした方法または方法の要素を実行するための必要な命令は、該方法または方法の要素を実行するための手段を意味する。さらに、装置の実施形態のここで説明した要素が、本発明を実行する目的で、要素によって実施される機能を実行するための手段の一例である。
【0067】
ここに用意した説明において、多数の特定の詳細が記述されている。しかしながら、本発明の実施形態が、これらの特定の詳細なしで実施できることは理解されよう。例えば、本説明の理解を曖昧にしないように、周知の方法、構造および手法は詳細には示していない。
【0068】
下記の用語は、本発明の理解を助けるためだけに提供されている。
【0069】
本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明によって、本発明について説明する。本発明の他の実施形態が、本発明の真の精神または技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成できることは明らかである。本発明は、添付の請求項の用語によってのみ限定される。
【0070】
トランジスタを参照することにする。これらは、ドレインなどの第1主電極、ソースなどの第2主電極、および第1主電極と第2主電極との間の電荷の流れを制御するためのゲートなどの制御電極を有する3端子デバイスである。
【0071】
図2は、本発明の利点を示す。3つのコラム(A,B,C)を示す。コラムAは、本発明の実施形態によって実現できるものとして2次元成長を描写する。コラムBは、アイランド成長を描写する。コラムCは、ランダム堆積を描写する。上向き矢印は、増加するサイクル数の方向を示す。各状況では、その上にALD層(白四角)が成長する基板1を表している。上述のように、状況Aは、本発明の実施形態によって実現できる状況である。下部の基板は、基板1と反応した数個のALD前駆体を有するように描写され、これにより極めて不完全なALD層を提供する。低いサイクル数では、この状況は、3つ全ての状況A,B,Cにおいて見られることが注目に値する。中間の基板は、その上にALD材料の第1層を有するように描写される。この層は完全で均一であり、新しいALD材料が最も低い未充填材料層に常に堆積することが注目に値する。上部の基板は、サイクル数がさらに増加した場合の状況を示す。第2層が第1層の上に構築され、それ自体が完全になるまで行われる。従って、真の2次元成長が得られ、その場合、2つの異なる厚さのALD材料の最大値だけが測定でき、厚さの差が1つの単原子層の厚さである。
【0072】
状況Bは、先行技術の試行に典型的には遭遇した状況である。この状況では、ALD前駆体の化学吸着を実現するために用いられる酸化物(Si4+またはGe4+の高い割合を持つSiOまたはGeO)親水性材料の比較的低い反応性は、以前に堆積したALD材料の上に、新しいALD材料の優先的成長をもたらす。その結果、いわゆるアイランド成長が得られ、多層のALD材料アイランドがALD材料無しの基板エリアで包囲される。
【0073】
状況Cは、親水性表面上での堆積確率が、以前に堆積したALD材料の上での堆積確率と等しいフロンティア状況である。この場合の堆積はランダムである。
【0074】
(例1:酸素単原子層によって覆われたSi基板)
200mm Si(100)基板を、2%HF(aq)溶液に30秒間接触させることによってクリーニングを行った。その後、基板は、40Torrの圧力で、Epsilon Poly Si CVDによって供給されるHフロー(20slm(Standard Liter per Minute)下で、2分間、850℃の温度に加熱した。そして、基板をH雰囲気で350℃に冷却した。その後、得られた基板は、疎水性のH終端表面を有し、下記のように、O(ALCVD Pulsar 2000で供給される)と反応した。基板は、50℃で、最大30秒までの間、Nフロー(2.4slm)およびO/Oフロー(600sccm,350g/m(約20% O))の下で、1Torrの圧力で維持した。この処理は、単一の酸素単原子層をその上に堆積することによって、基板の表面を親水性にした。本発明の説明した実施形態において使用したO処理のハードウエア構成を図4に示す。反応炉ユニット(R.U.)の温度は、50℃〜80℃の範囲内であった(例1では50℃)。O露出時間は、50ミリ秒〜1秒の範囲に設定した。全圧は、1Torrに設定され、O分圧は、0.01〜0.08の範囲に設定した。温度、全圧、O分圧、露出時間、および描写した他のパラメータについて他の値も使用可能であるが、図4に描写した値が典型的である。
【0075】
5slmのOがO発生器ユニット(G.U.)に供給され、これにより100〜350g/mの濃度のOを発生した。そして、Oガスは、ALD反応炉ユニット(R.U.)に2バールの圧力、200〜600sccmの流量で供給した。Oガスとともに、NをALD R.U.の中に750sccmの流量で供給した。ALD反応炉ユニットは、ポンプPの使用により1Torrの圧力に維持した。O破壊ユニット(D.U.)が、背圧レギュレータ(B.R.)を介してシステムの供給源に接続される。使用した実際のハードウエア構成を図5に示す。それは、Epsilon Poly Si CVD、ALCVD Puslar 2000、およびEpsilon Nitride CVDによって囲まれた配送センタを備える200MM Polygon clusterである。各ユニットで典型的に使用可能なガスは、図面に記述している。
【0076】
下記の表は、類似の手法で実施した他の実験を示す。HFクリーニングは、各サンプルについて行った。幾つかのサンプルは、上記と同様に850℃まで加熱し、H中で350℃に冷却し、他のサンプルは、N中で350℃に冷却した(裸のSi表面を提供する)。さらに他のサンプルは焼成しなかった。各サンプルについて実験直後にXPSを実施した。
【0077】
【表1】
【0078】
図6は、3つの異なる基板前処理について、酸素被覆率(coverage)をO露出時間の関数として示す。酸素被覆率は、外部(ex-situ)XPSで評価した。こうして決定した酸素被覆率は、外部(ex-situ)実験に関与する空気への露出に起因して、定量的でなかった。
【0079】
それでも、これらの実験によって、最短のOパルス時間では、Si1+が、はるかにSi基板の最も頻繁な酸化状態であり、約50%のSiカチオン酸化状態に500ミリ秒で到達する(最大で9 Si1+/nm図7参照)ことを論証できた。O露出時間を増加させることは、Si2+を増加させることなく、Si3+およびSi4+を増加させることも判明した。図8において、ハッシュ棒は、O露出前のHFクリーニングだけを受けた基板を表す。黒い棒は、HFクリーニング、H焼成、H中での冷却を受けた基板を表す。白い棒は、O露出前のHFクリーニングだけを受けた基板を表す。黒い棒は、HFクリーニング、H焼成、N中での冷却を受けた基板を表す。図8は、他のSi酸化状態に対するSi1+の頻度が、基板前処理から大きく独立していることを示す。実際の酸素層厚の決定は、例5において行った。
【0080】
(例2:酸素単原子層に対する温度の影響)
4つの実験を行った。各実験では、酸素分圧を0.08Torr(155g/m)に固定し、温度を下記の温度:40℃,50℃,60℃および80℃のうちの1つに設定したこと以外は、例1を繰り返した。
【0081】
得られた基板−酸素層アセンブリは、時間協調した(<10分)外部エリプソメトリーで分析した(9ポイントで平均した)。その結果を図9に示す。1ML水平ラインは、1つの単原子層の厚さに対応しており、Si封入SIMSで決定した(例4参照)。これらの実施形態から、より低い温度についてオゾン露出時間を増加させることによって(例えば、最大で700ミリ秒)、より高い温度についてはオゾン露出時間を減少させることによって(例えば、最小で200ミリ秒)、1つの単原子層対応した酸素厚さが、テストした温度(40〜80℃)の各々について得られことが判る。
【0082】
(例3:酸素単原子層に対するO分圧の影響)
3つの実験を行った。各実験では、酸素分圧を下記の値:0.01Torr(22g/m),0.02Torr(44g/m)および0.08Torr(155g/m)のうちの1つに設定したこと以外は、例1を繰り返した。
【0083】
得られた基板−酸素層アセンブリは、時間協調した(<10分)外部エリプソメトリーで分析した(9ポイントで平均した)。その結果を図10に示す。1ML水平ラインは、1つの単原子層の厚さに対応しており、Si封入SIMSで決定した(例5参照)。誤差棒は、観測した厚さの最小値および最大値を示す。これらの実施形態は、1つの単原子層対応した酸素厚さが、試行した分圧の各々を包囲するO分圧の範囲内で得られることを示唆している。0.02Torrおよび0.01Torrの値では、50℃で1秒より長い時間が必要なようである。0.08Torrの値では、50℃で500msが充分であるようである。より低いオゾン分圧が、より長いオゾン露出時間を必要とし、一方、より高いオゾン分圧が、より短い露出時間を必要とする。
【0084】
(例4:HfCl化学吸着による、例1で得られた基板の化学的特性評価)
例1で得られた基板を、ALD反応炉において300℃でHfClに露出し、これによって得られたHf被覆率をラザフォード後方散乱分光によって評価し、これをシリカ表面でのOH密度と関連付けた。この解析手法の背景となる理論的解釈は、文献(L. Nyns et al, J. Electrochem. Coc. 155, G269, 2008)によって開発されている。図15は、得られた結果を示す。棒Aは、クリーニングし、ALDチャンバ中に搬送したが、オゾンに露出しなかった基板に対応する(本発明の実施形態と異なる)。棒Bは、O処理前に基板をH雰囲気中で350℃に冷却したこと以外は、例1に類似した実験の終わりに得られた基板に対応し、即ち、その上に酸素単原子層を有する。
【0085】
棒Cは、500℃でアニールを行った後、棒Bのサンプルに対応する。棒Dは、例1の終わりに得られた基板に対応し、即ち、その上に酸素単原子層を有し、O処理前に基板をN雰囲気中で350℃に冷却した。棒Eは、500℃でアニールを行った後、棒Dのサンプルに対応する。
【0086】
実施できた最初の観測結果は、サンプルBおよびサンプルDは類似していることである。また、サンプルCおよびサンプルEも類似している。実施できた最初の観測結果は、O未処理サンプルと比較した場合、Hf被覆率は、O処理した基板において3〜4倍大きいことである。このHf被覆率は、O処理したサンプルについて、0.10〜0.15単原子層に対応したOH被覆率に変換できる。例1のO処理したサンプルにおける酸素単原子層の厚さは、SIMS(下記の例5を参照)によって幾分1.2未満の単原子層の量に評価したため、85〜95%の酸素単原子層がSi骨格内で酸素の形態をとり、一方、5〜15%の酸素単原子層がヒドロキシル基の形態をとることが結論できる。さらに、500℃のアニールは、これらの結果にあまり影響しないようである。従って、酸素単原子層の化学組成は、少なくとも500℃までは安定している。
【0087】
この実験は、酸素単原子層に存在する酸素の化学的性質の指標を示すだけでなく、酸素単原子層を含むSi基板の上でHfOを成長させる可能性も論証している。Hf被覆率は、O処理無し基板(棒A)と比較した場合、最大0.8Hf at/nmまで増強されることは注目に値する。0.8Hf at/nmは、1.2Hf at/nmであるHfOのサイクル当りの安定した成長に近い。増強は、3〜4倍である。酸素単原子層を含むSi基板上でのHfOの成長は、下記の例10の主題である。
【0088】
(例5:酸素単原子層によって覆われたGe基板)
下記以外は、例1を繰り返した。
・200mm Si基板の代わりに、100mm Ge(100)基板を使用した。
・H焼成は、850℃、2分間の代わりに、650℃、10分間で行った。
【0089】
図17は、例1と例4でそれぞれ得られた等価のSi基板およびGe基板について、酸素被覆率をO露出時間の関数として示す。酸素被覆率は、外部(ex-situ)XPSで評価した。こうして決定した酸素被覆率は、外部(ex-situ)実験に関与する空気への露出に起因して、定量的でなかった。
【0090】
それでも、これらの実験によって、O含量は、相当な値であり、Si基板およびGe基板の両方について極めて類似した様式で、O露出時間の関数として変化することを論証できた。図16は、温度をかなり高く設定したこと(225℃(四角)、300℃(菱形)、370℃(三角))、またはOの代わりにOを使用したこと(450℃でO(クロス))以外は、類似した条件で実施した例4(星)および比較例について、界面層においてXPSによって観測されたGe4+酸化状態の割合を示す。本発明の一実施形態に係る例5の場合だけ、他のGe酸化状態と比較して低い割合の酸化状態を観測した。Ge4+/(Ge1++Ge2++Ge3++Ge4+)<30%。全ての比較例において、この割合は60%超である。
【0091】
(例6:アモルファスSiで被覆した酸素単原子層)
例6a:N冷却の基板上でのアモルファスSiで被覆した酸素単原子層
例1で得られた親水性基板の上で、下記のようなSiの化学気相成長(CVD)を行った。基板は、40Torrの圧力下で、Epsilon Poly Si CVDによって供給される75sccm(standard cubic centimeter per minute)のSiHフロー下および20slmの窒素フロー下で、500℃にした。SiHフローへの露出時間は、180分であった。得られたSiキャップ層の厚さは80nmであった。成長レートは、約0.44nm/分であった。
【0092】
例6b:H冷却の基板上でのアモルファスSiで被覆した酸素単原子層
処理前に、基板をH雰囲気で350℃に冷却したこと以外は、例1と類似した方法で得られた基板について例6aを繰り返した。
【0093】
(例7:例6のサンプルについてSIMS分析)
サンプル6a,6bについてSIMS分析を行った。これにより測定した酸素および炭素の被覆率を下記の表に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
上記表の第1ラインは、O露出前で、ALD反応炉の中に搬送する前に測定した基板について行ったSIMS分析に対応する。
【0096】
上記表の第2ラインは、O露出前で、ALD反応炉の中に搬送した後に測定した、H雰囲気で350℃に冷却した基板について行ったSIMS分析に対応する。
【0097】
上記表の第3ラインは、O露出前で、ALD反応炉の中に搬送した後に測定した、N雰囲気で350℃に冷却した基板について行ったSIMS分析に対応する。
【0098】
上記表の第4ラインは、例6aのサンプルについて行ったSIMS分析に対応する。
【0099】
上記表の第5ラインは、例6bのサンプルについて行ったSIMS分析に対応する。
【0100】
これらのSIMS結果は、例1に示したような500ミリ秒のO露出が、サンプル6a(8.73 O atoms/nmは、理想的な単原子層の理論被覆率の1.29倍に対応する)およびサンプル6b(7.80 O atoms/nmは、理想的な単原子層の理論被覆率の1.15倍に対応する)の両方について酸素単原子層をもたらすことを示す。Si(100)上の1つの酸素単原子層が、理論的には6.78×1014at/cmに対応する。
【0101】
それはまた、基板をクラスタを通じて搬送することは、単原子層よりかなり低い酸素レベルをもたらすことを示す。
【0102】
図11は、例6aで得られた基板のTEM画像を示す。TEM画像は、150nm CVD SiO層をSiキャップ層の上に堆積した後、300kVで動作するTecnai F30で撮影した。集束イオンビーム・リフトアウトを使用した。図12の拡大図において、酸素単原子層を覆うSi層がアモルファスであることが明瞭に見える。
【0103】
図13は、例6bで得られた基板のTEM画像を示す。図14の拡大図においても、酸素単原子層を覆うSi層がアモルファスであることが明瞭に見える。
【0104】
図11図14においてエピタキシャル領域の完全な不存在は、酸素単原子層が連続的で完全であることを示す。
【0105】
(例8:エピタキシャルSiで被覆した酸素単原子層)
下記以外は、例6を繰り返した。
・最初に、Si CVDプロセスでのSiHフローを10分間、10sccmに減少させることによってSi堆積レートを減少させ、そして、SiHフローを180分間、75sccmに再び増加した。
・100g/mのOガスの200sccmに対して50ミリ秒の露出を用いることによって、酸素堆積をより低い酸素被覆率に向けて調整した。
【0106】
これによって得られる酸素含量は、例6より少し低くなった(約1.2単原子層の代わりに0.92単原子層)。TEM画像は、150nm CVD SiO層をSiキャップ層の上に堆積した後、300kVで動作するTecnai F30で撮影した。
【0107】
図18は、2つのSi領域、即ち、画像の下部におけるより暗い結晶性エピタキシャルSi領域と、画像の上部におけるより明るいアモルファス領域とに明瞭に分離しているSi層を示すTEM画像である。これは、図19に示した図18の拡大部分においてより明瞭である。堆積したSiの全体厚さは、88.5〜90.9nmであり、予想した80nmより僅かに厚い。エピタキシャルSi領域は、粗く、23.4〜43.4nmの範囲で厚さが変化している。従って、その上にあるアモルファスSiは、45.7〜65.9nmの範囲の厚さである。エピタキシャルSiは、平均で、堆積したSiの50%未満を表す。両方の図において、エピタキシャルSiとSi基板との間の界面は、ダークラインとして明瞭に見えている。このダークラインは、おそらく酸素単原子層によって生じた界面での応力から由来している。この界面は、部分的な酸素単原子層の存在と相互に関連し得る。従って、これらの図から、Siエピタキシャル層が酸素単原子層の上に成長できることは明確である。エピタキシャルSiの上部に存在するアモルファスSiは、幾つかの場所で、数ナノメータと測定される結晶粒を伴って実際に多結晶のように見えることも観測できる。しかしながら、アモルファス/多結晶の比率は決定できなかった。幾つかの{III}欠陥(ナノ双晶、積層欠陥)もエピタキシャルSiの至る所で観測できた。
【0108】
(例9:2次元超格子の製造)
例9a:第1手順
例8に示したように、表面にある部分的な酸素単原子層と、前記酸素単原子層を覆うエピタキシャルSi層とを備えたSi基板を用意する。この手順では、Si CVDプロセスでのSiHフローを、最初に10分間、10sccmに設定し、その直後に180分間、75sccmに増加している。酸素単原子層堆積/SiH(10sccm)/SiH(75sccm)のサイクルを4回以上繰り返して全部で5サイクルとし、これにより超格子を生産する。
【0109】
例9b:第2手順
例9aに示したように、表面にある部分的な酸素単原子層と、前記酸素単原子層を覆うエピタキシャルSi層とを備えたSi基板を用意するが、本手順では、Si CVDプロセスでのSiHフローを、最初に10分間、10sccmに設定し、そして10分間の遅延を見て、この遅延後に、180分間、75sccmに増加している。酸素単原子層堆積/SiH(10sccm)/遅延/SiH(75sccm)のサイクルを4回以上繰り返して全部で5サイクルとし、これにより超格子を生産する。
【0110】
例9c:第3手順
例9aに示したように、表面にある部分的な酸素単原子層と、前記酸素単原子層を覆うエピタキシャルSi層とを備えたSi基板を用意するが、本手順では、Si CVDプロセスでのSiHフローを、最初に10分間、10sccmに設定し、そして550℃のアニールを5分間行い、このアニール後に、SiHフローを180分間、75sccmに増加している。酸素単原子層堆積/SiH(10sccm)/アニール/SiH(75sccm)のサイクルを4回以上繰り返して全部で5サイクルとし、これにより超格子を生産する。
【0111】
例9d:第4手順
例9aに示したように、表面にある部分的な酸素単原子層と、前記酸素単原子層を覆うエピタキシャルSi層とを備えたSi基板を用意するが、本手順では、Si CVDプロセスでのSiHフローを、最初に10分間、10sccmに設定し、そして650℃のアニールを5分間行い、このアニール後に、SiHフローを180分間、75sccmに増加している。酸素単原子層堆積/SiH(10sccm)/アニール/SiH(75sccm)のサイクルを4回以上繰り返して全部で5サイクルとし、これにより超格子を生産する。
【0112】
例9e:第5手順
例9aに示したように、表面にある部分的な酸素単原子層と、前記酸素単原子層を覆うエピタキシャルSi層とを備えたSi基板を用意するが、本手順では、Si CVDプロセスでのSiHフローを、最初に、10分間の代わりに60分間、10sccmに設定し、そして180分間、75sccmに増加している。酸素単原子層堆積/SiH(10sccm)/遅延/SiH(75sccm)のサイクルを4回以上繰り返して全部で5サイクルとし、これにより超格子を生産する。
【0113】
例9f:第6手順
例9a〜例9eのいずれか1つを、例1と例5でそれぞれ用意したような表面に完全な酸素単原子層を備えた、SiまたはGeの基板上で繰り返すことができる。前記完全な酸素単原子層を覆うエピタキシャルSi層が用意でき、酸素単原子層堆積/Si前駆体のサイクルの繰り返しが超格子を生産する。
【0114】
(例10:酸素単原子層上での高誘電率(high-k)誘電体の堆積)
ここで図1を参照する。例1で得られた基板(1,2)を、ALDプロセスにおいて、ALD反応炉に300℃でHfClパルスとHOパルスを300℃で交互に供給して反応させた。ALD HfO層3堆積サイクルにおいて、酸化剤としてHOの使用は、Si基板の更なる酸化を防止することによって、酸素単原子層2の厚さを不変に維持することを可能にする。層閉鎖は、約40サイクル(約2nm)で観察した。このことは図20に示しており、RBSで決定した成長カーブが、Hf含量(at/cm)を、先行技術の方法(菱形、Meuris et alで得られた1nmの化学的に酸化したSi;四角、0.4nm厚の化学的に酸化したSi;黒三角、HF処理したSi)および例10の方法(白三角)でのサイクル数の関数として示す。この成長カーブから、カーブは、例10および0.4nm厚の化学的に酸化したSiについて類似していることが判る。
【0115】
ここでは、好ましい実施形態、特定の構造および構成、材料を本発明に係るデバイスについて議論したが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、形態および詳細について種々の変化または変更が可能であることは理解すべきである。例えば、上記のいずれの式は、使用できる手順の代表的なものに過ぎない。機能性をブロック図に追加または削除してもよく、動作を機能ブロック間で交換してもよい。本発明の範囲内に記載した方法にステップを追加または削除してもよい。
図1
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