特許第6204225号(P6204225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204225
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/06 20060101AFI20170914BHJP
   F16K 17/04 20060101ALI20170914BHJP
   B60K 15/04 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   F16K15/06
   F16K17/04 C
   !B60K15/04 C
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-31100(P2014-31100)
(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公開番号】特開2015-155728(P2015-155728A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 純平
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−290188(JP,A)
【文献】 特開2010−260425(JP,A)
【文献】 実開昭58−112633(JP,U)
【文献】 特表2009−531225(JP,A)
【文献】 特開2000−016098(JP,A)
【文献】 米国特許第06056029(US,A)
【文献】 米国特許第06575190(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00−15/20
F16K 17/00−17/168
B60K 11/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁であって、
内部に形成された通路、及び下方を向く側部に形成された吐出口を含む管体と、
前記管体の内壁の前記吐出口よりも上流側に設けられ、前記通路の下流側を向く弁座と、
前記通路の前記弁座よりも下流側に変位可能に設けられ、前記弁座に着座可能な本体部を含む弁体と、
前記弁体を前記弁座側に付勢する付勢部材とを有し、
前記弁体は、前記通路内を前記吐出口側に流れる液体の圧力が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記弁座から離れ、かつ前記弁座に着座した着座姿勢に対して傾斜した開位置に移動し、前記本体部が前記通路内を流れる液体の流れを前記吐出口側に導く壁を構成し、
前記管体は、前記弁体に当接することによって、前記弁体の開位置を定める規制部を有することを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記本体部は、板状をなし、その主面が前記弁座に着座した閉位置において前記管体の軸線に直交することを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記付勢部材は圧縮コイルばねであり、前記管体の軸線と同軸となるように前記管体と前記弁体との間に介装され、前記弁体を前記管体の軸線方向に沿って前記弁座側に付勢することを特徴とする請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記本体部は、板状をなし、その主面が開位置において上下方向に延在することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記弁体は、前記管体の軸線に沿う方向に変位可能であると共に、前記管体の軸線に対して傾斜可能であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記弁体が開位置にあるときに、前記本体部の縁部は前記吐出口の縁部に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記管体は、前記吐出口の縁部から、開位置にある前記弁体の前記本体部の主面と平行な方向に突出する鍔部を有することを特徴とする請求項6に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記管体は、前記管体の軸線方向に延びる第1係合部を有し、
前記弁体は、前記管体の軸線方向に摺動可能に前記第1係合部に係合する第2係合部を有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つの項に記載の逆止弁。
【請求項9】
前記弁体は、前記本体部の前記弁座側と相反する側から突出した軸部を有し、
前記管体は、前記弁体の傾斜方向に前記軸部を傾斜可能に受容する受容孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つの項に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁に関し、例えば燃料タンクと給油管との接続部に使用される。
【背景技術】
【0002】
自動車用の燃料タンクにおいて、給油口と燃料タンクとを繋ぐ給油管の先端を燃料タンク内に突入させ、その突入端に逆止弁(ICV: Inlet Check Valve)を設け、燃料タンク内の燃料液体及び燃料蒸気の給油口側への逆流を抑制する技術が公知である(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1に係る逆止弁は、給油管の軸線方向に沿って往復動可能なピストンと、ピストンを給油管の給油口側に付勢する付勢部材とを有する。給油管の吐出口は、給油管の端部又は側部に形成され、供給される燃料液体の圧力によってピストンが付勢部材に抗して後退したときに開かれる。この逆止弁では、給油管から燃料タンク内に吐出される燃料を広範囲に分散させ、温度が比較的低い燃料で燃料タンク内の温度を低下させ、燃料蒸気の発生を抑制することを目的としている。そのため、吐出口を給油管の端部に形成する場合には、ピストンが後退することによって、周方向にわたって連続した環状の吐出口が形成されるようにし、吐出口を給油管の側部に形成する場合には、周方向にわたって複数の吐出口を形成し、燃料を給油管の径方向に分散して吐出させるようにしている。しかしながら、燃料を給油管から燃料タンク内に分散して吐出すると、燃料液体の一部が液滴状となると共に、燃料液体が空気中に滞留する時間が長くなるため、燃料蒸気が発生し易くなるという問題がある。
【0004】
特許文献2に係る逆止弁は、給油管の燃料タンクへの突入端に形成された吐出口と、給油管の突入端に回動可能に支持され、吐出口を開閉するフラップと、フラップを吐出口側に付勢する捩じりばねとを有する。吐出口は、供給される燃料の圧力によってフラップが付勢部材に抗して回動したときに開かれる。この逆止弁では、燃料蒸気や燃料の気泡の発生を抑制するために、給油管の突入端を湾曲させて吐出口が鉛直下方を向くようにし、吐出口から吐出される燃料の空気中での滞在時間を短くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3244008号公報
【特許文献2】特許3603688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に係る逆止弁は、フラップの回動軸が給油管の外部に設けられるため、給油管の外形寸法が大きくなるという問題がある。また、給油管の外部にフラップの回動可能空間を確保しなければならないため、比較的大きな取り付けスペースを必要とする。また、捩じりばねによって付勢されたフラップ弁は、弁座に対して均一な圧力をもって当接することが困難であるため、閉時のシール性が悪い。また、捩じりばねを介装しつつ、フラップを給油管に回動可能に組み付ける作業は、比較的複雑であり、機械による自動組立も困難であるため、生産性が悪い。
【0007】
本発明は、以上の背景を鑑み、逆止弁において、流通する液体の気化を抑制すると共に、小型かつ簡素な構造にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、逆止弁(1)であって、内部に形成された通路(5)、及び下方を向く側部に形成された吐出口(23)を含む管体(2)と、前記管体の内壁の前記吐出口よりも上流側に設けられ、前記通路の下流側を向く弁座(20)と、前記通路の前記弁座よりも下流側に変位可能に設けられ、前記弁座に着座可能な本体部(36)を含む弁体(35)と、前記弁体を前記弁座側に付勢する付勢部材(40)とを有し、前記弁体は、前記通路内を前記吐出口側に流れる液体の圧力が加わったときに、前記付勢部材に抗して前記弁座から離れ、かつ前記弁座に着座した着座姿勢に対して傾斜した開位置に移動し、前記本体部が前記通路内を流れる液体の流れを前記吐出口側に導く壁を構成することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、管体の下方を向く側部に形成された吐出口から吐出されるため、液体は下方の一方向に流れ、液体の粒子化が抑制されると共に、空気中での滞留時間が短くなるため、液体の気化が抑制される。また、弁体の本体部が、開位置において通路内を流れる液体の流れを吐出口側に導く壁を構成するため、通路から吐出口への液体の流れが円滑になり、圧力損失が低減される。
【0010】
上記の発明において、前記本体部は、板状をなし、その主面が前記弁座に着座した閉位置において前記管体の軸線に直交するとよい。
【0011】
この構成によれば、弁体は管体の軸線方向から弁座に着座するため、弁体と弁座とを安定性良く接触させることができ、弁体及び弁座のシール性が向上する。
【0012】
上記の発明において、前記付勢部材は圧縮コイルばねであり、前記管体の軸線と同軸となるように前記管体と前記弁体との間に介装され、前記弁体を前記管体の軸線方向に沿って前記弁座側に付勢するとよい。
【0013】
この構成によれば、開閉可能かつ管体に対して傾斜可能な弁体の支持構造を簡素にすることができ、組み付けが容易になる。また、圧縮コイルばねで管体の軸線方向に沿って弁体を弁座側に付勢する構成としたため、弁体と弁座との接触圧分布が均質化し、弁体及び弁座のシール性が向上する。
【0014】
上記の発明において、前記本体部は、板状をなし、その主面が開位置において上下方向に延在するとよい。
【0015】
この構成によれば、開位置において本体部が液体を鉛直下方に導くガイドになり、液体は鉛直下方に導かれて空気中での滞留時間が短くなる。
【0016】
上記の発明において、前記弁体は、前記管体の軸線に沿う方向に変位可能であると共に、前記管体の軸線に対して傾斜可能であるとよい。
【0017】
この構成によれば、弁体が管体の軸線に沿う方向に変位可能であるため、弁体が弁座から離れる方向に吐出口を越えて変位することによって、吐出口に繋がる通路の流路断面積を大きくすることができる。すなわち、弁体に起因した圧力損失を抑制することができる。
【0018】
上記の発明において、前記管体は、前記弁体に当接することによって、前記弁体の開位置を定める規制部(24)を有するとよい。
【0019】
この構成によれば、開位置における弁体の傾斜姿勢が定まる。
【0020】
上記の発明において、前記弁体が開位置にあるときに、前記本体部の縁部は前記吐出口の縁部に配置されるとよい。
【0021】
この構成によれば、弁体は吐出口に連続する通路壁の一部を構成し、液体は弁体に導かれて通路から吐出口に円滑に流れるようになる。
【0022】
上記の発明において、前記管体は、前記吐出口の縁部から、開位置にある前記弁体の前記本体部の主面と平行な方向に突出する鍔部(26)を有するとよい。
【0023】
この構成によれば、弁体の本体部が形成する通路の壁を鍔部が延長することになるため、吐出口から吐出される流体は本体部の主面に沿う方向に流れるようになる。
【0024】
上記の発明において、前記管体は、前記管体の軸線方向に延びる第1係合部(45)を有し、前記弁体は、前記管体の軸線方向に摺動可能に前記第1係合部に係合する第2係合部(46)を有するとよい。
【0025】
この構成によれば、第1係合部と第2係合部との係合によって、弁体の管体に対する姿勢が規制され、弁体の閉位置から開位置への変位態様が安定する。また、弁体の管体に対する脱離が抑制される。
【0026】
上記の発明において、前記弁体は、前記本体部の前記弁座側と相反する側から突出した軸部(37)を有し、前記管体は、前記弁体の傾斜方向に前記軸部を傾斜可能に受容する受容孔(31)を有するとよい。
【0027】
この構成によれば、軸部と受容孔との係合によって弁体の傾斜可能な方向が規制され、弁体の姿勢が安定する。
【発明の効果】
【0028】
以上の構成によれば、逆止弁において、流通する液体の気化を抑制すると共に、小型かつ簡素な構造にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る逆止弁の閉状態を示す断面斜視図
図2】実施形態に係る逆止弁の分解斜視図
図3】実施形態に係る逆止弁の半開状態を示す断面斜視図
図4】実施形態に係る逆止弁の全開状態を示す断面斜視図
図5】実施形態に係る逆止弁を備えた燃料タンク及び給油管を示す断面図
図6】変形実施例に係る逆止弁の断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明に係る逆止弁の実施形態について説明する。本実施形態に係る逆止弁は、自動車用の燃料タンクと給油管との接続部に設けられる。
【0031】
図1及び図2に示すように、逆止弁1は、その外殻を構成する管体2を有する。管体2は、それぞれ筒形の第1部材3及び第2部材4を組み合わせて形成され、内部に通路5を有する。第1部材3は、長手方向における一端である第1端及び他端である第2端が開口した円筒であり、第2部材4は長手方向における一端である第1端が開口し、長手方向における他端である第2端に底部4Aを有する有底の円筒である。第1部材3の第2端と第2部材4の第1端とが互いに結合されることによって、内部に連続した通路5を有する管体2が構成される。第1部材3及び第2部材4は略直線状に延び、管体2及び通路5は略直線状に延びる。管体2の軸線をAとする。逆止弁1は、第1部材3の第1端から第2部材4の第2端に向う液体の流れを許容するため、第1部材3の第1端が上流端、第2部材4の第2端が下流端といえる。
【0032】
第1部材3は、第1端の外周部に径方向外方に突出すると共に周方向に延在した第1係止部11を有し、第2端の外周部に凹部である第2係止部12を有する。第2係止部12は、第1部材3の周方向に間隔をおいて複数形成されている。第1部材3の長手方向における中間部の外周部には、径方向外方に突出すると共に周方向に延在した円板状のフランジ13が設けられている。
【0033】
第2部材4は、第1端に他の部分に対して段違いに拡径された拡径部16を有している。拡径部16は、第1部材3の第2端を受容可能な大きさに形成されている。第2部材4の内面側であって拡径部16と他の部分との境界には、軸線Aに直交し、かつ第2部材4の第1端側を向く環状の肩面17が形成されている。肩面17は、第2部材4の拡径部16に第1部材3の第2端が挿入された状態において、第1部材3の第2端の端面の外周部分と対向する。肩面17は、その外径が第1部材3の第2端の外径と略同一の大きさに設定され、その内径が第1部材3の第2端の内径よりも大きく設定されている。拡径部16の内周面には、径方向内側に向けて弾性爪18が突設されている。弾性爪18は、第2部材4の外端部内に第1部材3の内端部が挿入されたときに、第1部材3の第2係止部12を係止する。弾性爪18が第2係止部12に係止することによって、第1部材3と第2部材4とが同軸に連結される。
【0034】
第1部材3の第2端の端面と、第2部材4の肩面17との間には、弁座部材20が介装される。弁座部材20は、樹脂やゴム等の可撓性部材から形成され、横断面が四角形に形成されたリング状の基部20Aと、基部20Aの内縁から径方向内側かつ軸線A方向において基部20Aの外方に延出すると共に、周方向に延在した環状かつ薄片状のリップ部20Bとを有する。弁座部材20は、基部20Aの外周部において第1部材3の第2端の端面と第2部材4の肩面17とに挟持され、リップ部20Bの先端が第2部材4の底部4A側に向けて突出するように配置される。
【0035】
弁座部材20の基部20Aの外径は、第1部材3の第2端の端面の外径、及び肩面17の外径と略同一の大きさに設定され、基部20Aの内径は、第1部材3の第2端の端面の内径より大きく、かつ肩面17の内径よりも小さく形成されている。これにより、弁座部材20の基部20Aの内周部は、第2部材4の肩面17の内縁よりも径方向内方に突出し、第2部材4側を向く環状の弁座を形成する。
【0036】
第2部材4の軸線A方向における中間部の側部には、内部から外部に径方向に貫通する開口である吐出口23が形成されている。吐出口23は1つであることが好ましく、吐出口23の周方向幅は、軸線Aを中心とした角度範囲で規定した場合に、180°以下であることが好ましい。吐出口23の開口面積は、通路5の内で断面積が最も小さくなる部分の断面積よりも大きいことが好ましい。
【0037】
第2部材4の内面には、径方向内方に突出する規制部24が形成されている。本実施形態では、規制部24は第2部材4の内周の周方向にわたって延在し、連続した環状に形成されている。規制部24は、第1部材3側を向き、かつ軸線Aと直交する面に対して傾斜した平面である規制面24Aを形成する。規制面24Aは、軸線Aを基準とした場合に、吐出口23が形成された一側部側が、相反する他側部側に対して底部4A側に配置されるように傾斜している。また、規制面24Aは、吐出口23の底部4A側の縁部を通るように形成されている。
【0038】
第2部材4の外周部であって、吐出口23の底部4A側の縁部には、外方に向けて鍔部26が突設されている。鍔部26の第1部材3側を向く面は、規制面24Aと同一の平面上に配置され、規制面24Aを第2部材4の外方に延長している。
【0039】
第2部材4において吐出口23が形成された側部と相反する側の側部は、拡径部16側に内径が一定の等径部28を有し、規制部24側に拡径部16側から規制部24側に進むにつれて内径が漸減する縮径部29を有している。縮径部29は、第2部材4の内面を等径部28の内面から規制面24Aにかけて滑らかに繋ぐように形成されている。
【0040】
第2部材4の底部4Aの中央部には、底部4Aの内側から外側に軸線A方向に貫通する受容孔31が形成されている。受容孔31は、横断面が長孔形状に形成されており、吐出口23が形成された一側部側から相反する他側部側に延在している。また、受容孔31の底部4Aの外側に開口する部分であって、吐出口23と相反する側の部分には、受容孔31を吐出口23と相反する側に拡張する切欠部31Aが形成されている。
【0041】
第2部材4の底部4Aの内側部分には、後述する付勢部材としてのばねの一端を支持するばね座32が形成されている。ばね座32は、底部4Aの内面における受容孔31の周囲に凹設された環状の有底孔であり、第1部材3側に向けて開口している。
【0042】
第2部材4の内部には、弁体35が変位可能に受容される。弁体35は、平面である主面36Aを有する円板状の本体部36と、本体部36の裏面に突設された断面円形状の軸部37とを有する。軸部37は、中空の円筒や、中実の円柱であってよい。軸部37は、本体部36の中心に対して偏倚した位置から本体部36に対して垂直に突出している。本体部36の裏面には、ばね係止部38が形成されている。ばね係止部38は、本体部36の中心の周りに環状に形成された溝であり、軸部37を囲むように配置されている。
【0043】
弁体35は、本体部36の主面36Aが弁座部材20側(第1部材3側)を向き、軸部37が受容孔31に突入するように配置される。弁体35と第2部材4の底部4Aとの間には、付勢部材としての圧縮コイルばね40が介装される。圧縮コイルばね40は、一端がばね座32に支持され、他端が弁体35のばね係止部38に支持される。弁体35は、圧縮コイルばね40によって弁座部材20側に付勢され、弁座部材20に着座する。弁体35は、本体部36の主面36Aの外周部において弁座部材20の基部20Aに当接する。弁体35が弁座部材20に着座するとき、弁座部材20のリップ部20Bは、変形して本体部36に密着し、弁体35及び弁座間のシール性を高める。弁体35が弁座部材20に着座することによって通路5が閉じられ、弁体35が圧縮コイルばね40の付勢力に抗して弁座部材20から離れることによって通路5が開かれる。
【0044】
受容孔31は、弁座部材20の軸部37を軸線A方向にスライド移動(進退)可能かつ、軸線Aを含む所定の傾動平面に沿って傾動(傾斜)可能に受容する。これにより、弁体35は、管体2に対して、軸線Aに沿ってスライド移動可能かつ傾斜平面に沿って傾動(傾斜)可能となっている。なお、弁体35が弁座部材20に着座した閉位置においても、軸部37は受容孔31に突入した状態を維持する。
【0045】
第2部材4は、その内面に軸線A方向に延びる第1係合部45を有し、弁体35は軸線A方向に摺動可能に第1係合部45に係合する第2係合部46を有する。本実施形態では、第1係合部45は、第2部材4の内面に第2部材4の軸線A方向に延設された溝であり、第2係合部46は本体部36の縁部に突設された凸部である。第2係合部46は第1係合部45に遊びをもって係合し、弁体35は第2係合部46を中心として第2部材4に対して傾動可能になっている。本実施形態では、第1係合部45及び第2係合部46は2つずつ設けられており、軸線Aを中心として180°対称となる位置であって、かつ所定の平面を対称面として互いに対称となる位置に設けられている。これにより、弁体35は、2つの第2係合部46を結ぶ直線を中心として傾動平面に沿って傾動可能になる。すなわち、2つの第2係合部46は第1係合と係合することによって、弁体35の傾動(回転)中心を定めると共に、弁体35のスライド可能方向を定めている。
【0046】
図3に示すように、弁体35が閉位置から開方向に開くときには、弁体35は規制部24に当接するまで、第1係合部45及び第2係合部46の係合を維持しながら、軸線Aの直交面に対して任意の傾斜姿勢で、軸線A方向にスライド移動することができる。弁体35の開方向への移動が進み、本体部36の吐出口23側と相反する側の縁部が規制部24に当接すると、この部分が規制部24によって軸線A方向への移動が規制される。これにより、弁体35が開方向に更に移動すると、弁体35は、傾動平面に沿って傾動し、最終的に本体部36の縁部が全周にわたって規制部24に当接した傾斜姿勢をとる。図4に示すように、本体部36の縁部が全周にわたって規制部24に当接する位置を、弁体35の最開位置とする。弁体35が最開位置にあるときに、本体部36は受容孔31及びばね座32を閉塞すると共に、吐出口23側の縁部が吐出口23の縁部に配置され、主面36Aが通路5の壁面を構成する。すなわち、本体部36の主面36Aは、通路5を流れる流体を吐出口23側に導くべく、軸線Aの直交面に対して傾斜した壁面を形成する。
【0047】
第1部材3、第2部材4及び弁体35は、樹脂から形成されるとよい。第1部材3は、単一の樹脂から成形されてもよいし、異なる2種以上の樹脂を組み合わせて成形されてもよい。例えば、第1部材3の内側部分を、ガソリン等の燃料蒸気に対して高い不透過性を有するポリアミドによって形成し、外側部分をポリエチレンによって形成するとよい。
【0048】
上記のように構成される逆止弁1は、図2に示すように軸線Aに沿って、第1部材3、弁座部材20、弁体35、圧縮コイルばね40、第2部材4を順に配置し、各部材を軸線A方向に移動させ、第1部材3と第2部材4との間に弁座部材20、弁体35、圧縮コイルばね40を介装させながら第1部材3と第2部材4とを互いに結合することによって各部材の組み付けを行うことができる。そのため、組み付けが容易であり、機械を利用した自動組立を適用することができる。
【0049】
次に、上述した逆止弁1の燃料タンク50への取付構造を説明する。図5に示すように、燃料タンク50は、側壁部51と上壁部52との境界に外面が水平面Hに対して傾斜した傾斜壁部53を有する。傾斜壁部53には、傾斜壁部53を貫通する取付孔54が形成されている。取付孔54の周囲には、外部に向けて突出する筒状のボス55が形成されている。逆止弁1は、管体2の第2部材4側からボス55及び取付孔54に挿入され、フランジ13がボス55の端面に当接するように配置される。フランジ13とボス55の端面とは、振動溶着によって互いに結合される。このとき、軸線Aが水平面Hに対して傾斜し、吐出口23が下方を向いて開口するように、逆止弁1の姿勢が定められる。また、最開位置にある弁体35の本体部36の主面36Aが水平面Hと直交するように、逆止弁1の姿勢が定められる。逆止弁1の姿勢は、傾斜壁部53や、ボス55、逆止弁1のフランジ13の角度を変更することによって変化させることができる。
【0050】
逆止弁1が燃料タンク50に取り付けられた状態で、第1部材3の第1端は燃料タンク50の外部に突出する。第1部材3の第1端には、給油口に繋がる給油管60の一端が接続される。第1部材3の第1端は、給油管60の端部に挿入され、第1係止部11は給油管60の内面に係合する。この状態で、給油管60の外面に環状の締結部材61を装着することによって、第1部材3及び給油管60の接続が一層強固になる。
【0051】
以上のように構成された逆止弁1の作用及び効果について説明する。逆止弁1は、弁座部材20が燃料タンク50側を向き、弁体35が燃料タンク50側から給油管60側に向けて弁座部材20に着座する構成であり、給油が行われていない通常状態において、弁体35が圧縮コイルばね40に付勢されて弁座部材20に着座するため、燃料蒸気及び燃料液体を含む流体の燃料タンク50側から給油管60側への流れが阻止される。
【0052】
給油管60を通して給油が行われると、燃料液体が圧縮コイルばね40の付勢力に抗して弁体35を第2部材4の底部4A側に押し、弁体35が弁座部材20から離れて通路5が開かれる。弁体35は、最開位置への移動の初期(図3参照)において第2部材4の底部4A側に軸線Aに沿ってスライド移動すると共に、終期において規制部24に当接して傾動(傾斜)し、最終的に本体部36の主面36Aが水平面Hと直交するように延びる最開位置に到達する(図4及び図5参照)。弁体35が最開位置にあるときに、吐出口23は全開になり、通路5を軸線Aに沿って流れる燃料液体は本体部36にガイドされて下方に向かう流れとなり、吐出口23から略鉛直下方に吐出される。
【0053】
本実施形態では、逆止弁1は、管体2の下方を向く側部に形成された吐出口23から一方向に燃料液体を吐出するため、吐出される燃料液体が粒子化し難くなる。また、燃料液体が吐出口23から鉛直下方に吐出されるため、燃料タンク50内の燃料液面Lまでの距離が最短となり、空気中での滞留時間が短くなるため、燃料液体の気化が抑制される。また、弁体35の本体部36が、開位置において通路5内を流れる液体の流れを吐出口23側に導くガイド壁として機能するため、通路5から吐出口23への液体の流れが円滑になり、圧力損失が低減される。また、本実施形態では、吐出口23が管体2の側部に設けられるため、逆止弁1の大型化を招くことなく、吐出口23の開口面積を通路5の内で流路断面積が最も小さくなる部分の断面積よりも大きく設定することができ、吐出口23部分における圧力損失を低減することができる。
【0054】
本実施形態では、軸線Aに対して直交する平面上に弁座部材20を設け、軸線Aに沿って配置された圧縮コイルばね40によって、弁体35を軸線Aに沿って弁座部材20側に付勢する構成としたため、弁体35と弁座部材20との接触圧分布が均質化し、弁体35及び弁座部材20のシール性が向上する。
【0055】
また、弁体35は、最開位置において軸線Aの直交面に対して傾斜することによって、通路5内を軸線Aに沿って流れる燃料流体の流れを吐出口23側に湾曲させるガイド壁として機能することができる。これにより、燃料流体が逆止弁1を通過するときの圧力損失が低減される。また、第2部材4の縮径部29の内面は、最開位置にある本体部36に連続するガイド壁として機能し、通路5内の燃料流体の流れを本体部36に沿う方向に円滑に湾曲させる効果を奏する。鍔部26は、本体部36によって形成されるガイド壁を延長する効果があり、吐出口23を通過する燃料液体の流れを一層確実に鉛直下方に導くことができる。
【0056】
弁体35は、傾斜するだけでなく、軸線Aに沿って第2部材4の底部4A側に変位することによって、軸線A方向に底部4A側に吐出口23を通過することができるため、弁体35が吐出口23に流れる燃料液体の抵抗となることが避けられ、圧力損失が低減される。
【0057】
弁体35は、軸部37及び受容孔31の係合と、第1係合部45及び第2係合部46の係合とによって、閉位置から最開位置へ移動するときの姿勢が安定すると共に、管体2からの脱離が抑制される。
【0058】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では第1係合部45を溝とし、第2係合部46を溝に係合する凸部としたが、他の実施形態では第1係合部45を軸線Aに沿って延在する突条とし、第2係合部46を軸線A方向に摺動可能に第1係合部45に係合する溝部(凹部)としてもよい。また、上記実施形態では規制部24を環状に連続した形状としたが、他の実施形態では第2部材4の内面から径方向内方に突出する少なくとも3つの凸部によって構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、弁体35の本体部36が規制部24に当接することによって、最開位置の姿勢が定まる構成としたが、図6に示すように受容孔31の内面31Bを傾斜面(カム面)とし、軸部37が底部4A側に進むほど軸部37を傾斜させる構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、本体部36を円板状としたが、他の実施形態では本体部36
の中央部に凹部や凸部を設け、凹部や凸部によって流体を吐出口23側にガイドするようにしてもよい。この場合には、本体部36の周縁部が弁座部材20と密着可能な形状を有するとよい。
【0061】
また、上記実施形態では、弁体35は、軸線Aに沿った方向にスライド移動可能であると共に、軸線Aに対して傾斜(回動)可能であるが、他の実施形態では弁体35のスライド移動を規制し、傾斜(回動)のみを可能にしてもよい。
【0062】
また、弁体35の変位方向は、軸線Aに沿った方向だけでなく、軸線Aの径方向も含んでもよい。例えば、弁体35を径方向にも変位させ、本体部36の縁部の一部を吐出口23内に突入させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…逆止弁、2…管体、3…第1部材、4…第2部材、4A…底部、5…通路、20…弁座部材、20A…基部、20B…リップ部、23…吐出口、24…規制部、24A…規制面、26…鍔部、28…等径部、29…縮径部、31…受容孔、35…弁体、36…本体部、36A…主面、37…軸部、40…圧縮コイルばね、45…第1係合部、46…第2係合部、50…燃料タンク、53…傾斜壁部、54…取付孔、60…給油管、A…管体の軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6