(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置には、ユーザーが操作する操作ボタンや表示部を有する操作パネルが設けられている。操作パネルは画像形成装置本体に固定されるものが一般的であるが、固定式の操作パネルでは角度調節ができないので、ユーザーが例えば背の高い人、背の低い人、車椅子を利用する人である場合、ユーザーの視認性および操作性が低下する。
【0003】
そこで、操作パネルを上下方向に回動可能にした画像形成装置が提案されている。このような画像形成装置としては、例えば、レバー部材を解除して操作パネルの角度を数段階に固定できるものや、操作パネルを任意の角度に保持する、所謂フリーストップ機能を有するものが知られている。フリーストップ機能を有する画像形成装置は、操作パネルの角度を数段階にしか固定できない画像形成装置に比べて、ユーザーの視認性および操作性を向上させることが可能である。
【0004】
なお、レバー部材を解除して操作パネルの角度を数段階に固定できる画像形成装置は、例えば特許文献1に開示されており、操作パネルを任意の角度に保持する、所謂フリーストップ機能を有する画像形成装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1〜
図9を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100について説明する。
図1に示すように、画像形成装置100は、装置本体1と、装置本体1の前面側に取り付けられる操作パネル3と、を備える。
【0013】
装置本体1の上部の画像読取装置2内には、コンタクトガラス2a上の原稿の画像情報を読み取る画像読取部が設けられている。画像読取部は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0014】
操作パネル3は、ユーザーが操作する操作ボタンや表示部を有するとともに、画像読取装置2の正面部に設けられている。なお、画像読取装置2の上部には、コンタクトガラス2a上に載置された原稿を押えるプラテン(図示せず)が開閉可能に設けられている。プラテン上には、原稿束から1枚ずつの原稿を自動的に順次コンタクトガラス2a上に送る自動原稿搬送装置(図示せず)が設けられていてもよい。
【0015】
画像読取装置2の下方には、左側面及び正面に向けて大きく開放された胴内排紙空間4が設けられている。
【0016】
装置本体1の正面部には、用紙(記録媒体)を収納する複数(ここでは2つ)の給紙カセット5が装置本体1に対して着脱可能に設けられている。
【0017】
装置本体1の内部には、図示しない画像形成部、定着部、用紙搬送部などが設けられている。画像形成部は、画像読取装置2により読み込んだ画像データに基づいて、供給される用紙にトナー像を転写して画像を形成するものである。画像形成部は、静電潜像を担持する感光体ドラム、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電ユニット、原稿画像に対応する静電潜像を感光体ドラムの表面にレーザービーム等によって形成する露光ユニット、形成された静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像ユニット、トナー像を用紙に転写する転写ローラー、感光体ドラム表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード等を含んでいる。また、定着部は、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧することにより、用紙上にトナー像を定着させる。用紙搬送部(図示せず)は装置本体1の右側面に沿って上方に向かって延びており、給紙カセット5から画像形成部に用紙を搬送する。
【0018】
また、装置本体1の内部の右側下部には、給紙カセット5から用紙を送り出し、上方に配置された用紙搬送部(図示せず)に用紙を搬送する給紙部(図示せず)が設けられている。また、装置本体1の右側面には、用紙搬送部の右側を覆う右側カバー部材8が、前面には前側カバー部材9が開閉可能に設けられている。
【0019】
次に、操作パネル3の装置本体1に対する取付構造について説明する。
【0020】
操作パネル3は
図2に示すように、装置本体1に操作パネル支持機構10を用いて取り付けられている。操作パネル支持機構10は、装置本体1に固定される第1支持部材11と、操作パネル3に固定される第2支持部材12と、第2支持部材12を上下方向に回動可能に支持する回動機構20と、第2支持部材12を第1支持部材11に対して上下方向に平行移動可能に支持する移動機構30と、によって構成されている。
【0021】
第1支持部材11は、板金を折り曲げ加工することにより形成されており、ビス等を用いて装置本体1に固定されている。第2支持部材12は
図2および
図3に示すように、板金を折り曲げ加工することにより形成されており、ビス等を用いて操作パネル3に固定されている。
【0022】
回動機構20は、第2支持部材12の折り曲げ部の挿入孔に挿入され水平方向に延びる軸部21と、板金を折り曲げ加工することにより形成され軸部21が貫通される軸部支持部材22と、を含む。第2支持部材12が軸部21を中心として上下方向に回動することによって、操作パネル3が上下方向に回動する。操作パネル3は、鉛直に起立した位置(
図4の位置)から、装置奥側に75度倒れた位置(
図5の位置)までの範囲内で回動可能である。
【0023】
操作パネル3は、装置本体1の前面(
図1の左側手前の面)から前方に飛び出ないように配置されており、例えば起立した状態(
図4の状態)で装置本体1の前面と面一に配置されている。
【0024】
また、回動機構20は、第2支持部材12を回動可能な範囲で任意の角度に保持する、所謂フリーストップ機能を有するように構成されている。例えば、第2支持部材12の折り曲げ部と軸部支持部材22の折り曲げ部とを近づけて形成し、その隙間にウェーブワッシャーを挟み込めば、ウェーブワッシャーによる摩擦力によって、容易に第2支持部材12を任意の角度に保持することができる。
【0025】
また、回動機構20は、操作パネル3の操作面(タッチ面)に対して垂直方向に加わる荷重が第1の値(ユーザーが操作パネル3の操作面にタッチする際の荷重であり、例えば100N〜150N)以下の場合には第2支持部材12を所定角度に保持する。また、回動機構20は、操作パネル3の操作面(タッチ面)に対して垂直方向に加わる荷重が第1の値よりも大きい場合には第2支持部材12を回動させる。これにより、ユーザーによる通常の入力操作(タッチ)では、操作パネル3の角度は変更されず、操作パネル3の角度を変更したいとき(操作パネル3に第1の値よりも大きい荷重を加えたとき)だけ、操作パネル3の角度を変更することができる。なお、第1の値の設定荷重は、例えばウェーブワッシャー等の厚みや大きさを変更することによって、容易に調整可能である。
【0026】
移動機構30は
図3に示すように、第2支持部材12と共に上下方向に所定距離(例えば0mm以上40mm以下)移動するラック部材31と、第1支持部材11に支持されラック部材31に係合する駆動ギア32と、を含む。ラック部材31は、軸部支持部材22の下面に固定されている。また、ラック部材31は
図6および
図7に示すように、ラックギア部31aと、ラックギア部31aの一方側(
図6の右側)からラック部材31に対し垂直方向(
図6の紙面表方向)に突出するように設けられ一定の厚みで上下方向に延びるように形成された一方端片31bと、ラックギア部31aの他方側(
図6の左側)からラック部材31の延在方向(
図6の左方向)に突出するように設けられ一定の厚みで上下方向に延びるように形成された他方端片31cと、を有する。
【0027】
駆動ギア32は、ラックギア部31aに係合し、ラック部材31の上下方向の移動に伴って回転する。第1支持部材11(
図2参照)には、一方端片31bおよび他方端片31cに沿って上下方向に延びるガイドレール部材(図示せず)が設けられており、一方端片31bおよび他方端片31cは、ガイドレール部材に沿って上下方向に移動する。なお、駆動ギア32および後述する下降停止機構40は、ガイドレール部材等を介して第1支持部材11に取り付けられている。
【0028】
また、移動機構30は、第2支持部材12を平行移動可能な範囲で任意の高さに保持する、所謂フリーストップ機能を有するように構成されている。例えば、ウェーブワッシャー等を用いて駆動ギア32の回転を規制すれば、容易に第2支持部材12を任意の高さに保持することができる。
【0029】
また、移動機構30は、操作パネル3に上下方向に加わる荷重が第2の値(ユーザーが操作パネル3の操作面にタッチする際の荷重であり、例えば100N〜150N)以下の場合には第2支持部材12を所定高さに保持する。また、移動機構30は、操作パネル3に上下方向に加わる荷重が第2の値よりも大きい場合には第2支持部材12を上下方向に移動させる。これにより、ユーザーによる通常の入力操作(タッチ)では、操作パネル3の高さは変更されず、操作パネル3の高さを変更したいとき(操作パネル3に第2の値よりも大きい荷重を加えたとき)だけ、操作パネル3の高さを変更することができる。なお、第2の値の設定荷重は、例えばウェーブワッシャー等の厚みや大きさを変更することによって、容易に調整可能である。
【0030】
移動機構30の近傍には、第2支持部材12が第1支持部材11に対して所定速度以上で下降した場合に第2支持部材12の下降を停止させる下降停止機構40が設けられている。具体的には、下降停止機構40は、ラック部材31の下降速度を検知する検知機構41(
図8参照)と、検知機構41の検知結果に基づいて駆動されるソレノイド42、ストッパー43およびアクチュエーター部44と、を含む。
【0031】
図8に示すように、検知機構41は、駆動ギア32の軸部に固定され駆動ギア32と一体で回転するスリット盤41aと、センサー41bと、によって構成されている。スリット盤41aには、一定の角度毎にスリット(孔)が形成されており、センサー41bには、スリット盤41aを挟むように発光素子および受光素子が設けられている。スリット盤41aの回転に伴ってセンサー41bがオンオフされ、センサー41bのオンオフの切替速度に基づいてスリット盤41aおよび駆動ギア32の回転速度が検知される。そして、駆動ギア32の回転速度に基づいてラック部材31の下降速度が検知される。なお、ラック部材31には、駆動ギア32の軸部が挿入される上下方向に細長形状の貫通穴31d(
図8参照。
図6、
図9等では図示せず)が形成されている。
【0032】
ソレノイド42は
図6に示すように、ラック部材31の下降速度が所定値未満の場合に伸長せず、ストッパー43から所定の距離を隔てて配置される。その一方、
図9に示すように、ソレノイド42は、ラック部材31の下降速度が所定値以上の場合に伸長して、ストッパー43を下方向に押圧する。
【0033】
ストッパー43は
図6に示すように、回動軸43aを中心として回動するように構成されている。また、ストッパー43は、通常時には付勢部材(図示せず)によって反時計回り方向に付勢されており、アクチュエーター部44を押圧しない。
【0034】
アクチュエーター部44は、回動軸44aを中心として回動するように構成されている。また、アクチュエーター部44は、通常時には付勢部材(図示せず)によって反時計回り方向に付勢されており、ラック部材31のラックギア部31aに係合していない。
【0035】
ラック部材31が所定値以上の速度で下降した場合、
図9に示すように、ソレノイド42は伸長してストッパー43を下方向に押圧し、ストッパー43は、時計回り方向に回動してアクチュエーター部44を下方向に押圧する。これにより、アクチュエーター部44は、時計回り方向に回動し、ラック部材31のラックギア部31aに係合してラック部材31の下降を停止させる。
【0036】
本実施形態では、上記のように、第2支持部材12を任意の角度に保持する回動機構20と、第2支持部材12を第1支持部材11に対して上下方向に平行移動可能に支持するとともに任意の高さに保持する移動機構30と、を備える。これにより、操作パネル3を、任意の角度に保持することができることに加え、装置本体1に対して上下方向に平行移動させ、任意の高さに保持することができる。このため、操作パネル3をユーザーの背の高さや目線高さに幅広く対応させることができるので、ユーザーの視認性および操作性をより向上させることができる。
【0037】
また、上記のように、第2支持部材12が第1支持部材11に対して所定速度以上で下降した場合に第2支持部材12の下降を停止させる下降停止機構40を備える。これにより、例えばユーザーがつまずいて操作パネル3に手を掛けた場合に、操作パネル3の下降がすぐに停止してユーザーを支えることができるので、安全性を向上させることができる。
【0038】
また、上記のように、ラック部材31の下降速度が所定値以上の場合に、アクチュエーター部44がラック部材31に係合してラック部材31の下降を停止させる。これにより、第2支持部材12の下降速度が所定値以上の場合に、容易に第2支持部材12の下降を停止させることができる。
【0039】
また、上記のように、検知機構41は、駆動ギア32の回転速度に基づいてラック部材31の下降速度を検知する。これにより、ラック部材31の下降速度を容易に検知することができる。
【0040】
また、上記のように、回動機構20は、操作パネル3の操作面に対して垂直方向に加わる荷重が第1の値以下の場合には第2支持部材12を所定角度に保持し、操作パネル3の操作面に対して垂直方向に加わる荷重が第1の値よりも大きい場合には第2支持部材12を回動させる。これにより、操作パネル3に第1の値よりも大きい荷重をかければ操作パネル3の角度を変更することができるので、操作パネル3の角度を変更する際に例えば従来の画像形成装置のようにレバー部材を解除したりする必要がない。このため、操作パネル3の角度調整を容易に行うことができる。
【0041】
また、上記のように、移動機構30は、操作パネル3に上下方向に加わる荷重が第2の値以下の場合には第2支持部材12を所定高さに保持し、操作パネル3に上下方向に加わる荷重が第2の値よりも大きい場合には第2支持部材12を上下方向に移動させる。これにより、操作パネル3に第2の値よりも大きい荷重をかければ操作パネル3の高さを変更することができるので、操作パネル3の高さ調整を容易に行うことができる。
【0042】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
例えば、上記実施形態では、操作パネル支持機構10を画像形成装置に用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、操作パネル支持機構10を画像形成装置以外の装置に用いてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、下降停止機構40を、ソレノイド42を用いて構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、例えばカム機構やその他の装置等を用いて構成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、検知機構41を、スリット盤41aとセンサー41bとを用いて構成し、駆動ギア32の回転速度を検知するようにした例について示したが、本発明はこれに限らない。検知機構41を、例えばラック部材31の下降速度を直接検知するセンサー等を用いて構成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、回動機構20および移動機構30にフリーストップ機能を持たせるために、例えばウェーブワッシャーを用いる例について示したが、本発明はこれに限らない。所定の摩擦力(保持力)を発生させることができる種々の部材を用いることが可能である。