(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート搬送路に対して一方側に配置された加熱回転体及び前記シート搬送路に対して他方側に配置され前記加熱回転体に圧接された加圧回転体を含み、予め定められた第1の線速度で回転することによりシートを挟持して搬送する定着部と、
前記定着部よりもシートの搬送方向の下流側に設けられ、互いに圧接するように前記シート搬送路を挟んで対向するように配置された一対のローラー対を含み、前記第1の線速度よりも速い第2の線速度で回転することによりシートを挟持して搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、前記定着部におけるニップ部と前記第1搬送部におけるニップ部とを通る第1基準線よりも前記加熱回転体側に設けられ、前記第1の線速度よりも速い第3の線速度でシートを搬送する第2搬送部と、
前記ローラー対のうち前記加熱回転体側に位置する一方のローラーを他方のローラーへ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材によって付勢された前記一方のローラーを前記他方のローラーから離れる離間方向へ移動可能に支持し、前記第2搬送部及び前記定着部の双方によるシートの搬送時に当該シートから前記一方のローラーに付与される前記離間方向の力を受けて前記一方のローラーを前記第1基準線よりも前記離間方向へ退避させるよう構成された離間支持機構と、を備え、
前記加圧回転体は、前記加熱回転体よりも柔軟な材質で構成されており、前記加熱回転体に圧接されたときに内側円弧状に凹まされた前記ニップ部を形成し、
前記第1搬送部は、前記第1搬送部の前記ニップ部が前記定着部の前記ニップ部における前記搬送方向の両端部を通る第2基準線よりも前記加圧回転体側に形成されるように配置されており、
前記加熱回転体及び前記加圧回転体は、前記第2基準線が鉛直方向に対して予め定められた角度θ1だけ前記加熱回転体側に傾斜するように配置されており、
前記第1搬送部は、前記第1搬送部の前記ニップ部を通り且つ前記ローラー対各々の中心を通る直線に垂直な直線が鉛直方向に対して前記角度θ1よりも小さい角度θ2だけ前記加熱回転体側に傾斜するように配置されており、
前記離間支持機構は、シートが前記第2基準線と一致する状態となるように、前記一方のローラーにおける前記他方のローラー側のローラー面を前記他方のローラーから離間させて前記第2基準線まで退避させるよう構成されている画像形成装置。
前記第2搬送部は、互いに圧接するように前記シート搬送路を挟んで対向するように配置された一対のローラー対を含み、前記第2搬送部におけるニップ部の圧接力は、前記第1搬送部における前記ニップ部の圧接力よりも大きい請求項2に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以下の説明では、本発明の実施形態に係る画像形成装置10が平坦な支持面に設置された状態(
図1に示す状態)を基準として上下方向6を定義する。また、
図1の紙面に対して左側を画像形成装置10の正面側(前面側)として前後方向7を定義する。また、
図1の画像形成装置10を正面から見て左右方向8(
図1の紙面に垂直な方向)を定義する。したがって、
図1の紙面に対して手前が画像形成装置10の右側であり奥が左側である。
【0010】
画像形成装置10は、少なくとも印刷機能を備えた装置である。
図1に示すように、画像形成装置10は、所謂タンデムタイプのカラープリンターである。この画像形成装置10は、トナーを含む現像剤を用いて、シート状の印刷用紙(シート)に画像を印刷する。なお、画像形成装置10は、印刷機能を備えたものであればよく、例えば、前記印刷機能を含む複数の機能を備えた複合機や、FAX装置、複写機などの画像形成装置であってもよい。もちろん、カラー画像を形成するものでなく、単一色の画像を形成するものであってもよい。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置10は、主として、4つの画像形成部21と、中間転写ユニット22と、給紙装置25と、定着装置26(定着部の一例)と、搬送ローラー対35(第1搬送部の一例)と、排出ローラー対37(第2搬送部の一例)と、二次転写装置27と、露光装置24と、4つのトナーコンテナ50(50A〜50D)と、を備える。これらの構成要素は、画像形成装置10の外部フレーム(不図示)や内部フレーム(不図示)などを構成する筐体としての装置本体28に取り付けられている。
【0012】
4つの画像形成部21は、装置本体28の内部において、中間転写ユニット22の下方に配置されている。各画像形成部21は、前後方向7に沿って並設されている。各画像形成部21は、所謂電子写真方式に基づいて印刷用紙に画像を形成する画像形成処理を実行する。具体的に、各画像形成部21は、不図示のネットワーク通信部を介して外部から入力された画像データに基づいて、印刷用紙に画像を印刷する。画像形成部21は、感光体ドラム11、帯電装置(不図示)、現像装置12、一次転写装置13等を備えている。画像形成部21は、感光体ドラム11にトナー像を形成し、中間転写ユニット22が備える転写ベルト23にトナー像を順次重ね合わせて転写する。転写ベルト23は、矢印19の方向へ移動しており、その移動中の転写ベルト23にトナー像が順次転写される。
図1に示す例では、装置本体28の内部において転写ベルト23の移動方向(矢印19方向)の下流側から順に、ブラック色、シアン色、マゼンタ色、イエロー色に対応する画像形成部21が一列に配置されている。
【0013】
中間転写ユニット22は、画像形成部21の上方に配置されている。中間転写ユニット22は、駆動プーリー31及び従動プーリー32それぞれに掛け渡すように支持されている。これにより、ベルト面が水平な状態で前後方向
7に延在している。また、転写ベルト23は、その表面が各感光体ドラム11の表面に接しながら矢印19の方向へ移動(走行)する。
【0014】
二次転写装置27は、転写ベルト23に転写された複数色からなるトナー像を印刷用紙に転写する。トナー像が転写された印刷用紙は、二次転写装置27から排紙トレイ29に至るシート搬送路90を通って搬送される。シート搬送路90に沿って、定着装置26、搬送ローラー対35、排出ローラー対37が順次設けられている。
【0015】
二次転写装置27によってトナー像が転写された印刷用紙は、シート搬送路90を通って定着装置26に搬送される。定着装置26は、印刷用紙に転写されたトナー像を熱と圧力によってその印刷用紙に定着させる。定着装置26は、高温に加熱される加熱ローラー26A(加熱回転体の一例)と、この加熱ローラー26Aに対向配置された加圧ローラー26B(加圧回転体の一例)とを有する。加熱ローラー26Aと加圧ローラー26Bは、互いに圧接されており、各ローラー間の圧接部であるニップ部26Cで所定の圧接力によって印刷用紙を挟持しつつ搬送する。その際に、トナー像に熱が付与され、圧力が加えられて、トナー像が印刷用紙に溶着される。本実施形態では、定着動作時のニップ部26Cにおける前記圧接力は後述のコイルバネ64の付勢力よりも十分に大きく、つまり、後述の搬送ローラー対35のニップ部35Cの圧接力よりも大きい。
【0016】
定着装置26から上方へ搬送された印刷用紙の先端が搬送ローラー対35に到達すると、搬送ローラー対3
5によって印刷用紙が挟持され
て更に搬送方向の下流側へ搬送される。そして、搬送ローラー対35によって更に下流側へ搬送された印刷用紙は、排出ローラー対37によって挟持搬送される。これにより、印刷用紙は、装置本体28の上部に設けられた排紙トレイ29に排出される。
【0017】
以下、
図2乃至
図4を参照して、シート搬送路90、定着装置26、搬送ローラー対35、排出ローラー対37の構成について詳細に説明する。
【0018】
シート搬送路90は、装置本体28において後側に形成されており、詳細には、二次転写装置27から装置本体28の後背面壁に沿って上方へ延出された後に、前方側へ湾曲されてから排紙トレイ29に至る形状に形成されている。
図2に示されるように、シート搬送路90は、当該シート搬送路90に沿って適宜配置された複数のガイド部材91〜99によって形成されている。つまり、ガイド部材91〜99によってシート搬送路90が区画されている。なお、
図2では、シート搬送路90が破線で示されているが、実際は、ガイド部材91〜99によって区画された幅のある空間がシート搬送路90である。
【0019】
シート搬送路90のうち、二次転写装置27から定着装置26に至るまでの搬送路90Aは、互いに対向配置されたガイド部材91及び92によって形成されている。ガイド部材91,92は、二次転写装置27から少し後方寄りに斜め上方へ延出している。このため、二次転写装置27から搬送路90Aを通って搬送される印刷用紙は、鉛直方向に対して斜め後方へ傾いた状態で上方へ案内される。搬送路90Aの上側端部の付近には、印刷用紙の先端を定着装置26のニップ部26Cへ案内するガイド部材93が設けられている。ガイド部材93は、搬送路90Aを境にして、装置本体28の後方側に配置されている。ガイド部材93は、印刷用紙の先端をニップ部26Cへ向くように偏向する偏向ガイドとしての役割を担う。ガイド部材93に到達した印刷用紙の先端は、ガイド部材93によってニップ部26Cへ向けられることにより、印刷用紙の先端が定着装置26に円滑に挟持される。
【0020】
定着装置26は、上述したように加熱ローラー26Aと加圧ローラー26Bとを有しており、互いに圧接されてニップ部26Cを形成している。加熱ローラー26Aは、シート搬送路90を基準にしたときに、シート搬送路90に対して一方側、具体的にはシート搬送路90よりも装置本体28の内部側に配置されている。また、加圧ローラー26Bは、シート搬送路90に対して他方側、具体的にはシート搬送路90よりも装置本体28の後方側に配置されている。つまり、
図1において、加熱ローラー26Aはシート搬送路90よりも右側に配置され、加圧ローラー26Bはシート搬送路90よりも左側に配置されている。
【0021】
加熱ローラー26Aは、筒形状に形成されており、その内部にヒーターなどの加熱装置60が設けられている。加熱ローラー26Aは、加熱装置60によって内部から所定温度に加熱される。加熱ローラー26Aは、熱伝導率の高い金属などの素材で形成されている。
【0022】
加圧ローラー26Bは、加熱ローラー26Aよりも柔軟な材質で構成されており、例えば、ウレタンゴムやシリコンゴムなどによって構成されている。加圧ローラー26Bは、図示しないバネなどの弾性部材によって加熱ローラー26Aへ向けて付勢されている。これにより、加圧ローラー26Bと加熱ローラー26Aとが圧接されて、その圧接領域にニップ部26Cが形成される。上述したように、加圧ローラー26Bは柔軟な材質で構成されているため、
図2に示されるように、加圧ローラー26Bは、加熱ローラー26Aに圧接されたときに、内側円弧状に凹まされる。つまり、ニップ部26Cは、加圧ローラー26B側に円弧状に凹んだ形状となる。
【0023】
また、定着装置26による定着動作が行われるときに、加圧ローラー26Bが回転駆動され、加熱ローラー26Aは加圧ローラー26Bとの接触摩擦によって従動するように構成されている。駆動方式としては、例えば、駆動源としてのモーターからギヤなどの駆動伝達機構を経て回転駆動力が加圧ローラー26Bに伝達される構成が適用可能である。ここで、本実施形態では、加圧ローラー26Bの外周面の周速度(線速度)が予め定められた周速度V1(第1の線速度)となるように回転駆動される。このため、定着装置26に先端が到達した印刷用紙は、定着装置26によって周速度V1で下流側へ搬送される。
【0024】
図4に示されるように、定着装置26において、加熱ローラー26Aは加圧ローラー26Bよりも下方に位置している。具体的には、加熱ローラー26Aの中心と加圧ローラー26Bの中心を通る直線L1が、加圧ローラー26Bの中心を通る水平線H1に対して角度θ1で交差するような位置に加熱ローラー26Aが配置されている。このため、ニップ部26Cにおける印刷用紙の搬送方向の両端部N1,N2を通る直線L2(第2基準線の一例)も、鉛直方向に対して角度θ1だけ傾斜している。
【0025】
図2に示されるように、定着
部26の前方斜め上方に搬送ローラー対35が設けられている。つまり、搬送ローラー対35は、定着部26よりも印刷用紙の搬送方向の下流側に設けられている。シート搬送路90のうち、定着装置26から搬送ローラー対35に至るまでの搬送路90Bは、装置本体28の後方側に配置されたガイド部材94と、このガイド部材94に対向配置されたガイド部材95,96とによって形成されている。ガイド部材95は定着装置26側に配置されており、ガイド部材96は搬送ローラー対35側に配置されている。ガイド部材95には、爪形状の分離ブレード95Aが取り付けられている。分離ブレード95Aは、加熱ローラー26Aに貼り付いた印刷用紙を分離するためのものであり、その先端が加熱ローラー26Aのローラー面近傍まで達している。分離ブレード95Aの先端は加熱ローラー26Aの表面に当接していてもよく、また、微小な間隙を隔てた状態で非接触であってもよい。これらのガイド部材94,95,96によって、印刷用紙は搬送路90Bを通って上方へ案内される。本実施形態では、後述するように、搬送路90Bは鉛直上方に延びておらず、少し前方へ傾斜している。
【0026】
搬送ローラー対35は、互いに圧接するようにシート搬送路90を挟んで対向するように配置された一対のローラー対を有する。具体的には、搬送ローラー対35は、駆動ローラー35B(他方のローラー)と従動ローラー35A(一方のローラー)とにより構成されている。駆動ローラー35Bと従動ローラー35Aとは、互いに圧接されてニップ部35C(ローラー圧接部)を形成している。従動ローラー35Aは、シート搬送路90を基準にしたときに、シート搬送路90に対して一方側、具体的にはシート搬送路90よりも装置本体28の内部側に配置されている。また、駆動ローラー35Bは、シート搬送路90に対して他方側、具体的にはシート搬送路90よりも装置本体28の後方側に配置されている。つまり、
図1において、従動ローラー35Aはシート搬送路90よりも右側に配置され、駆動ローラー35Bはシート搬送路90よりも左側に配置されている。
【0027】
図3に示されるように、駆動ローラー35Bに対して従動ローラー35Aが付勢されている。具体的には、従動ローラー35Aが支持機構62(離間支持機構)に含まれるコイルバネ64(付勢部材)によって駆動ローラー35B側へ付勢されている。これにより、駆動ローラー35Bと従動ローラー35Aとの間にニップ部35Cが形成される。
【0028】
支持機構62は、シート搬送路90よりも装置本体28の内部側に設けられている。支持機構62は、ガイド部材96と一体に構成された支持部63と、弾性部材としてのコイルバネ64とを有する。支持部63は、シート搬送路90の幅方向の両端に設けられたガイド溝65を有しており、このガイド溝65に従動ローラー35Aの回転軸66が支持されている。コイルバネ64は、一端が回転軸66に連結されており、他端が不図示のフレームに連結されており、これにより、駆動ローラー35B側へ従動ローラー35Aを弾性付勢している。なお、コイルバネ64による弾性付勢力は、定着装置26における加熱ローラー26Aと加圧ローラー26Bとの間の圧接力よりも十分に小さい。本実施形態では、支持機構62にコイルバネ64が含まれる構成について例示するが、コイルバネ64は支持機構62とは別部材として設けられていてもよい。
【0029】
駆動ローラー35Bに不図示の駆動源から回転駆動力が伝達されることにより、駆動ローラー35Bが回転駆動される。従動ローラー35Aは、駆動ローラー35Bとの接触摩擦によって従動するように構成されている。ここで、本実施形態では、駆動ローラー35Bは、その外周面の周速度(線速度)が予め定められた周速度V2(第2の線速度)となるように回転駆動される。この周速度V2は、前記周速度V1よりも速い。このため、搬送ローラー対35が単独で印刷用紙を搬送する場合は、定着装置26による搬送速度よりも速い速度で印刷用紙を搬送可能である。しかしながら、上述したように、コイルバネ64による弾性付勢力は、定着装置26における圧接力よりも十分に小さい。そのため、定着装置26及び搬送ローラー対35の両方によって印刷用紙が挟持されている場合、印刷用紙は搬送ローラー対35のよる搬送力の影響をほとんど受けず、定着装置26によって周速度V1で搬送されることになる。
【0030】
図4に示されるように、本実施形態では、搬送ローラー対35は、前記直線L2よりも装置本体28の後方側に配置されている。具体的には、搬送ローラー対35がニップ部35Cを形成している状態において、ニップ部35Cが前記直線L2よりも後方側に形成されるように、駆動ローラー35B及び従動ローラー35Aが配置されている。また、従動ローラー35Aは、駆動ローラー35Bよりも下方に位置している。具体的には、従動ローラー35Aの中心と駆動ローラー35Bの中心とを通る直線L3が、駆動ローラー35Bの中心を通る水平線H2に対して角度θ2で交差するような位置に従動ローラー35Aが配置されている。このため、ニップ部35Cを通り直線L3に垂直な直線L4も鉛直方向に対して角度θ2だけ傾斜している。なお、角度θ2は、排出ローラー対37の位置やコイルバネ64の弾性付勢力などの要素によって決定されるものである。本実施形態では、角度θ2の一例として、角度θ1に対して若干小さい角度に設定されている。
【0031】
図2に示されるように、搬送ローラー対35よりも装置本体28の前方側に排出ローラー対37が設けられている。排出ローラー対37は、搬送ローラー対35から湾曲したシート搬送路90において搬送方向の下流側に設けられている。本実施形態では、排出ローラー対37は、定着装置26のニップ部26Cと搬送ローラー対35のニップ部35Cとを通る基準線L5(第1基準線の一例)よりも加熱ローラー26A側、つまり、装置本体28の前方側に設けられている。この基準線L5は、正確には、ニップ部26Cの搬送方向下流側の端部とニップ部35Cの搬送方向上流側の端部とを通る直線である。
【0032】
排出ローラー対37は、装置本体28から印刷用紙が排出される排出口68の近傍に設けられている。排出口68には、排出される印刷用紙を押さえるフラップ69が軸支されている。搬送ローラー対35は、互いに圧接するようにシート搬送路90を挟んで対向する一対のローラー対を有する。具体的には、排出ローラー対37は、駆動ローラー37Bと従動ローラー37Aとにより構成されている。駆動ローラー37Bと従動ローラー37Aとは、互いに圧接されて、ニップ部37Cを形成している。従動ローラー37Aは、シート搬送路90を基準にしたときに、シート搬送路90に対して一方側、具体的にはシート搬送路90よりも装置本体28の内部側に配置されている。また、駆動ローラー37Bは、シート搬送路90に対して他方側、具体的にはシート搬送路90よりも装置本体28の上側に配置されている。つまり、
図1において、従動ローラー37Aはシート搬送路90よりも下側に配置され、駆動ローラー37Bはシート搬送路90よりも上側に配置されている。
【0033】
駆動ローラー37Bに不図示の駆動源から回転駆動力が伝達されることにより、駆動ローラー37Bが回転駆動される。従動ローラー37Aは、駆動ローラー37Bとの接触摩擦によって従動するように構成されている。ここで、本実施形態では、駆動ローラー37Bは、その外周面の周速度(線速度)が予め定められた周速度V3(第3の線速度)となるように回転駆動される。この周速度V3は、前記周速度V1よりも速い。
【0034】
シート搬送路90のうち、搬送ローラー対35から排出ローラー対37に至る搬送路90Cは、装置本体28の上方側に配置されたガイド部材97,98と、装置本体28の内部側に内地されたガイド部材99とによって形成されている。ガイド部材99は、搬送ローラー対3
5から排出ローラー対37へ向けて緩やかに登り傾斜するガイド面を有している。ガイド部材98は、ガイド部材99の上方において対向するように配置されている。ガイド部材98の搬送方向の上流側(つまり搬送ローラー対35側)には、所定の隙間100を隔ててガイド部材97が配置されている。ガイド部材97のガイド面は湾曲形状に形成されており、これにより、搬送ローラー対35を通過した印刷用紙は、ガイド部材97によって前方側へ向きを変えられる。なお、搬送路90Aの更に後方側には、反転搬送路89が形成されている。画像形成装置10において、両面印刷のために印刷用紙が排
出ローラー対37によってスイッチバック搬送(反転搬送)されると、隙間100から印刷用紙が反転搬送路89に案内されるようになっている。
【0035】
このように構成された画像形成装置10においては、定着装置26を通過した印刷用紙を排出ローラー対37が挟持搬送する場合に、印刷用紙から従動ローラー35Aに対して、従動ローラー35Aを駆動ローラー35Bから離間させる離間方向(
図8及び
図9の矢印D4参照)の力が付与される。印刷用紙からこの力を受けることによって、従動ローラー35Aは、コイルバネ64の付勢力に抗して前記離間方向へ移動する。これにより、従動ローラー35Aは、駆動ローラー35Bから離れて、基準線L5(
図2参照)よりも前記離間方向へ退避する。以下、
図5乃至
図9を参照して、シート搬送路90における印刷用紙の搬送動作とともに、従動ローラー35Aの離間動作について説明する。
【0036】
図5に示されるように、定着動作中に印刷用紙S1の先端が定着装置26のニップ部26Cに到達すると、印刷用紙S1が定着装置26によって挟持搬送される。このとき、印刷用紙S1は、円弧形状のニップ部26Cに沿うように変形しながら搬送される。つまり、ニップ部26Cを印刷用紙S1が通過中は、印刷用紙S1は円弧形状に変形される。これにより、ニップ部26Cを通過した印刷用紙S1の先端は、ニップ部26Cの円弧形状と同じ方向にカールする。
【0037】
また、ニップ部26Cは、加圧ローラー26Bの内側に凹んだ円弧形状であるため、その搬送方向下流側の端部N2を通過した印刷用紙S1は、直線L2の方向へ排出されずに、
図5に示される直線L6の方向(
図5の矢印D1参照)へ排出される。ここで、直線L6は、円弧形状のニップ部26Cにおいて、端部N2付近の円弧面の接線方向である。
【0038】
先端がカールした状態で、更に直線L6の方向へ印刷用紙S1が排出されると、印刷用紙S1の先端はガイド部材95,96に当接する。このとき、ガイド部材95,96からカールした方向とは逆方向の力を受ける。これにより、印刷用紙S1の先端がカールを軽減する方向へ変形されながら、ガイド部材95,96によって搬送ローラー対35のニップ部35Cへ案内される。
【0039】
印刷用紙S1の先端がニップ部35Cに到達すると、印刷用紙S1は、ニップ部35Cによって挟持搬送される。上述したように、搬送ローラー対35の周速度V2は、定着装置26の周速度V1よりも速い。そのため、搬送路90Bにおいて印刷用紙S1が撓んだ状態になっていても、
図7に示されるように、搬送ローラー対35の回転によって印刷用紙S1が搬送ローラー対35側(矢印D2参照)へ引っ張られて、その撓みが解消される。これにより、印刷用紙S1の撓みによる加熱ローラー26Aとの接触時間のばらつきに起因する定着不良や画像不良が解消される。
【0040】
また、上述したように、搬送ローラー対35は直線L2よりも装置本体28の後方側に位置している。そのため、搬送ローラー対35によって印刷用紙S1が引っ張られると、その引っ張りは、加熱ローラー26Aに貼り付こうとする印刷用紙S1に対して、それを剥がす方向に作用する。このため、印刷用紙S1が加熱ローラー26Aに貼り付いて巻き付いたり、加熱ローラー26Aへの貼り付きによるカール形成が防止される。
【0041】
ところで、搬送ローラー対35が直線L2よりも装置本体28の後方側に位置している場合、以下の問題が生じうる。つまり、
図7に示されるように搬送ローラー対35によって印刷用紙S1が引っ張られると、ニップ部26Cの端部N2に印刷用紙S1の裏面(非画像形成面)が押し付けられつつ印刷用紙S1が搬送される。このため、端部N2への押し付けによって、印刷用紙S1が装置本体28の後方側へカールすることになる。特に、印刷用紙S1の後端にそのカールが形成されると、搬送中に印刷用紙S1の後端の両角部が折れる場合がある。また、前記カールが残ったまま排紙トレイ29に排出されると、次の印刷用紙が先の印刷用紙の後端のカールの下側に入り込み、印刷用紙の積載状態が乱れたり、場合によっては、積載順序が入れ替わる場合がある。
【0042】
図8に示されるように、印刷用紙S1の先端が排出ローラー対37のニップ部37Cに到達すると、印刷用紙S1は、ニップ部37Cによって挟持搬送される。上述したように、
排出ローラー対37の周速度V3は、定着装置26の周速度V1よりも速い。このため、印刷用紙S1が排出ローラー
対37によって挟持搬送されることにより、印刷用紙S1が排出ローラー対37側へ引っ張られる。このとき、印刷用紙S1に搬送方向の張力が生じ、その張力が従動ローラー35Aを駆動ローラー35Bから離間させる力(
図8の矢印D3参照)として従動ローラー35Aに付与する。この力は、コイルバネ64の付勢力に抗して、従動ローラー35Aを装置本体28の前方側(
図8及び
図9の矢印D4参照)へ移動させるように作用する。この力によって、従動ローラー35Aは、コイルバネ64の付勢力に抗して移動する。これにより、従動ローラー35Aは、駆動ローラー35Bから離れて、基準線L5(
図2参照)よりも矢印D4に示す前記離間方向へ退避する。
【0043】
本実施形態では、
図9に示されるように、印刷用紙S1からの力を受けることにより、支持機構62は、従動ローラー35Aを直線L2まで離間(退避)させるように構成されている。具体的には、従動ローラー35Aのローラー面が直線L2の位置となるまで前記離間方向へ従動ローラー35Aを退避させる。これにより、シート搬送路90の搬送路90Bにおいて、印刷用紙S1が直線L2と一致する状態で搬送される。この場合、ニップ部26Cの端部N2に印刷用紙S1の裏面(非画像形成面)が当接しないため、搬送ローラー対35によって印刷用紙S1が引っ張られても、印刷用紙S1が端部N2に押し付けられない。このため、端部N2への押し付けによる印刷用紙S1の後方側へのカールが防止される。
【0044】
なお、上述の実施形態では、排出ローラー対37のニップ部37Cの圧接力については言及していないが、ニップ部37Cの圧接力をニップ部35
Cの圧接力よりも大きくする構成としてもよい。この場合、排出ローラー
対37による搬送力が高まり、印刷用紙S1から従動ローラー35Aへ確実に力を付与することができる。