(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係る画像形成システム10の概略を示す図である。画像形成システム10は、画像形成装置20とPC60(パーソナルコンピューター)がLAN12で通信可能に接続されている。PC60は、LAN12経由で画像形成装置20に対して印刷処理やFAX送信処理等を指示することができる。画像形成装置20を利用する端末装置(外部端末)としてPC60の他に携帯端末やタブレット型端末等がある。
【0012】
画像形成装置20は、プリンターや複合機であって、PC60の指示を受けデータを取得して刷処理等を実行する。画像形成装置20は、ボックス機能を有する。そのため、PC60からボックス機能を用いた印字処理を行う場合、PC60で印字実行を指示した後、画像形成装置20において所定の選択ボタンが押下されることで、画像形成装置20は印字出力処理を行う。以下では、主にボックス機能を用いた印刷出力処理に関して説明し、画像形成装置20やPC60の一般的な構成・機能については適宜説明を省略する。
【0013】
図2は、画像形成装置20の概略構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置20は、主制御部22と、画像出力処理部24と、画像取得処理部26と、LANインターフェイス30と、USBインターフェイス32と、操作部40と、PrintBox処理部50とを備える。
【0014】
主制御部22は、RAMやROM等の記憶手段や及びMPU(Micro Processing Unit)等を備え、画像形成装置20の各構成要素を統括的に制御するとともに、各構成要素とともに協働でそれらの機能を実現する。
【0015】
画像出力処理部24は、一般的な印刷出力機能を有し、主制御部22からの指示により印刷動作を実行する。具体的には、画像出力処理部24は、原稿給送・載置機構、用紙供給機構、印字機構等を備える。原稿給送機構は、印刷をする対象となる原稿がセットされる原稿載置部や、原稿を印字機構まで搬送する原稿搬送機構を有する。
【0016】
画像取得処理部26は、一般的な構成であって、スキャナー、プラテンガラス、原稿読取スリット等を備える。
【0017】
LANインターフェイス30は、有線LANや無線LANによる通信用のインターフェイスであり、LAN12を介してPC60と通信可能に接続される。
【0018】
USBインターフェイス32は、USB接続するためのインターフェイスであって、所定のUSBケーブルでPC60と接続されたり、USBメモリー90と接続されたりする。
【0019】
操作部40は、一般的な構成の操作パネルを備えたもので、テンキーボタンや各種操作用のボタン、表示パネル等を備えている。また、操作部40は、ボックス機能に関連したボタンとして、PrintBox1_ボタン41、PrintBox2_ボタン42及びPrintBox3_ボタン43を備える。なお、本実施形態では、ボックス機能として「PrintBox1」、「PrintBox2」、「PrintBox3」の3つのプリントボックスが利用可能となっている。
【0020】
これらのボタンは、独立して設けられてもよいし、所定のボタンに関連づけられてボックス機能を選択的に実行可能に構成されてもよいし、また、タッチ操作可能な表示パネル上に選択可能に表示されるボタンであってもよい。
【0021】
PrintBox処理部50は、ボックス機能の実行するものであって、PrintBox設定部52、PrintBox実行部54及びアドレスバッファー部56を備える。
【0022】
従来のボックス機能であれば、上述の様に、画像形成装置20に内蔵されるHDD等の大容量記憶装置にPC60から取得した印刷用のデータを一旦保持して、画像形成装置20の前に移動したユーザーがボックス機能のためのボタン(本実施形態のPrintBox1_ボタン41等)を押下することで、実際に印刷出力処理がなされた。
【0023】
しかし、本実施形態では、画像形成装置20にHDD等を備えない構成を想定する。従来では、そのような構成の画像形成装置20では、従来技術だけではボックス機能を利用できなかったが、本実施形態では、PC60の記憶領域を活用することで、ボックス機能を実現する。
【0024】
PrintBox設定部52は、ボックスの名称、PC60との接続がUSB接続であるかネットワーク接続であるかの接続態様、PC60のIPアドレスを保持する。
【0025】
PrintBox実行部54は、PC60からボックス機能を用いて印刷出力処理の指示を受けると、後述するフローによってボックス機能による印刷出力処理を実行する。
【0026】
アドレスバッファー部56は、ボックス機能による印刷出力処理する場合に、処理中に一時的にIPアドレスが記録される認証作業用領域として機能する。初期設定の状態では、アドレスバッファー部56には何も書かれていない状態である。
【0027】
図3はPCの機能ブロック図である。PC60は、主制御部62と、ユーザーインターフェイス64と、表示出力制御部66と、LANインターフェイス68と、USBインターフェイス69と、印刷処理部70と、記憶部80とを備える。
【0028】
主制御部62は、RAMやROM等の記憶手段や及びMPU等を備え、PC60の各構成要素を統括的に制御するとともに、各構成要素とともに協働でそれら機能を実行する。
【0029】
ユーザーインターフェイス64は、キーボードやマウス等の入力手段である。表示出力制御部66は、表示画面及び表示出力処理部等を有し、表示画面に所望の画像を表示出力する。
【0030】
LANインターフェイス68は、有線LANや無線LANによる通信用のインターフェイスであり、LAN12を介して画像形成装置20と通信可能に接続される。
【0031】
USBインターフェイス69は、USB接続するためのインターフェイスであって、所定のUSBケーブルで画像形成装置20と接続されたりする。
【0032】
印刷処理部70は、スプロール部72及びクライアントツール部74を備える。この印刷処理部70は、画像形成装置20を用いた一般的な印刷出力処理を行うとともに、画像形成装置20のボックス機能による印刷出力処理を補完的に実行する。
【0033】
スプロール部72は、画像形成装置20に対して印刷用のデータを送信する際に、画像形成装置20と対話し、画像形成装置20の印刷出力処理準備が完了するまで、一時的に保存する処理を実行する。
【0034】
クライアントツール部74は、画像形成装置20のいわゆるプリンタードライバーやFAXドライバーであって、PC60で実行される各種アプリケーションにおける印刷出力処理を実行したり、画像形成装置20の設定を行ったりする。また、本実施形態において特徴的なボックス機能を用いた印刷出力処理を行う場合に、あらかじめ設定を行う。
【0035】
記憶部80は、HDD等の大容量記憶装置で構成され、一般的な記録領域として機能するとともに、画像形成装置20のボックス機能を用いた印刷出力処理を行う場合の一時保存領域として機能する。すなわち、従来であれば画像形成装置20側に設けられていたボックス機能用の記憶領域として、記憶部80は、PrintBox1用記憶部81、PrintBox2用記憶部82、PrintBox3用記憶部83とを備える。
【0036】
PrintBox1用記憶部81は、画像形成装置20のPrintBox1_ボタン41に対応した記憶領域である。PrintBox2用記憶部82は、画像形成装置20のPrintBox2_ボタン42に対応した記憶領域である。PrintBox3用記憶部83は、画像形成装置20のPrintBox3_ボタン43に対応した記憶領域である。
【0037】
以上の構成の画像形成システム10(画像形成装置20及びPC60)によるボックス機能を用いた出力処理について具体的に説明する。
【0038】
ボックス機能を用いるための事前環境設定について説明する。PC60のユーザーは、クライアントツール部74を起動し、画像形成装置20のPrintBox1_ボタン41、PrintBox2_ボタン42、PrintBox3_ボタン43に対する情報を設定する。画像形成装置20のPrintBox設定部52に記憶される情報として、ボックスの名称、PC60との接続がUSB接続であるかネットワーク接続であるかの接続態様、PC60のIPアドレスを保持する。また、PC60のクライアントツール部74の所定の設定記憶領域に保持されるものとして、ジョブ保存先パスである。
【0039】
ボックスの名称は、デフォルトでは、PrintBox1_ボタン41、PrintBox2_ボタン42、PrintBox3_ボタン43にそれぞれ対応して、「PrintBox1」、「PrintBox2」、「PrintBox3」、となっている。そして、それらの名称はユーザーによって所望に変更可能になっている。
【0040】
ジョブ保存先パス(フォルダー)は、「PrintBox1」、「PrintBox2」、「PrintBox3」のそれぞれに対して設定される。例えば、「PrintBox1」に対して、「<UserApplicationData>\Rrinter_A\PRTBOX\1」というジョブ保存先パス(フォルダー)が設定される。
【0041】
つづいて、ボックス機能を用いた印刷出力の場合の操作シーケンスを
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
ユーザーは、プリンタードライバー(クライアントツール部74)を起動させて(S10)、その詳細出力設定画面等において、所望のプリンターボックス番号(「PrintBox1」、「PrintBox2」、「PrintBox3」のいずれか)を選択し(S12)、印刷実行処理を行う(S14)。
【0043】
印刷実行処理によるプリントジョブは、あらかじめ設定した「ジョブ保存先パス」に保存される(S16)。例えば、「PrintBox1」が選択された場合、PrintBox1用記憶部81である「<UserApplicationData>\Rrinter_A\PRTBOX\1」に保存される。
【0044】
つぎに、ユーザーは、画像形成装置20において、PC60で選択したプリンターボックス番号に対応するボタンを押下する(S18)。ここでは「PrintBox1」が選択されているので、ユーザーは、操作部40のPrintBox1_ボタン41を押下する。押下すると、PrintBox実行部54は、PrintBox設定部52を参照して、押下されたボタンに関連づけられているボックスの名称を操作部40の表示パネルに表示する(S20)。
【0045】
つぎに、PrintBox実行部54は、PrintBox設定部52を参照して、PC60との接続態様を判断する(S22)。ここでは、画像形成装置20とPC60とはLAN12を介して接続されているので、接続態様は「ネットワーク接続」である。
【0046】
つづいて、PrintBox実行部54は、PrintBox設定部52を参照して、押下されたボタンに関連づけられて設定されているIPアドレスを取得し、アドレスバッファー部56にコピーする(S24)。
【0047】
PC60では、
クライアントツール部74が、ポーリング処理を行って、LAN12を介してアドレスバッファー部56にアクセスし、アドレスバッファー部56にPC60のIPアドレスが存在するか否かを判断する(S26)。所定期間存在しない場合は、エラー処理となる。
【0048】
アドレスバッファー部56にPC60のIPアドレスが書かれていることを確認すると、クライアントツール部74は指定された印刷ジョブをジョブ保存先パスから取り出してスプロール部72に渡す(S28)。
【0049】
その後、一般的な印刷出力処理と同様に、印刷ジョブがPC60のスプロール部72から画像形成装置20に送信される。画像形成装置20の画像出力処理部24は、PC60から取得した印刷ジョブの印刷出力処理を行う(S30)。
【0050】
なお、画像形成装置20とPC60とがUSB接続されている場合は次の通りである。すなわち、PC60との接続態様の判断において(S22)、PrintBox実行部54が、「USB接続」であると判断すると、PrintBox実行部54は、プリンタージョブ言語コマンド(PJLコマンド)を用いて、PC60のクライアントツール部74にプリンターボックス番号及びジョブ印刷命令を通知する。例えば、「@PJL USTATUS DEVICE<CR><LF>CODE=8800X」(XがBox番号1〜3)のようなコマンドを用いることができる。クライアントツール部74は、プリンターボックス番号及びジョブ印刷命令を画像形成装置20から取得すると、指定された印刷ジョブをジョブ保存先パスから取り出してスプロール部72に渡す。
【0051】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、画像形成装置20とPC60とがネットワーク接続される場合の認証のIDにIPアドレスを用いたが、MACアドレス等の機器固有のIDが用いられてもよい。また、画像形成装置20とPC60の接続態様として、ブルートゥース(登録商標)接続等の近距離無線通信規格が用いられてもよい。