(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第1のしきい値以上と判定されたとき、前記カラー領域の大きさが、前記第1のしきい値よりも大きい予め定められた第2のしきい値より大きいか否かを判定する第2の判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記第2の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第2のしきい値より大きいと判定されたとき、前記印刷部に、フルカラー印刷で前記印刷ジョブを実行させ、
前記原稿読取部によって生成された前記画像データを基にして、前記原稿の画像を構成する色の数を算出する第2の算出部と、
前記第2の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第2のしきい値以下と判定されたとき、前記色の数が、予め定められた第3のしきい値より大きいか否かを判定する第3の判定部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第3の判定部によって前記色の数が前記第3のしきい値より大きいと判定されたとき、前記印刷部に、前記フルカラー印刷で前記印刷ジョブを実行させ、前記第3の判定部によって前記色の数が前記第3のしきい値以下と判定されたとき、前記印刷部に、前記2色印刷で前記印刷ジョブを実行させる請求項1に記載の画像形成装置。
前記原稿読取部によって生成された前記画像データで示される前記原稿の画像について、前記フルカラー印刷と前記2色印刷とのいずれかを自動的に選択するモードを設定する操作がされる操作部をさらに備え、
前記モードが設定されていることを条件にして、前記第1の算出部は、前記カラー領域の大きさを算出し、前記第1の判定部は、前記カラー領域の大きさが前記第1のしきい値より小さいか否かを判定し、前記第2の算出部は、前記色の数を算出し、前記第2の判定部は、前記カラー領域の大きさが前記第2のしきい値より大きいか否かを判定し、前記第3の判定部は、前記色の数が前記第3のしきい値より大きいか否かを判定する請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザーは、2色コピーを選択したが、印刷された画像に違和感があるので(言い換えれば、画像の見た目が想定より悪いので)、同じ原稿をフルカラーコピーすることがある。特に、2色コピーの知識に乏しいユーザーであれば、その可能性が高い。このように、ユーザーは、2色コピーとフルカラーコピーとの選択を間違うことがあるので、2色コピーとフルカラーコピーとの選択に迷うことがある。
【0007】
また、2色コピーとフルカラーコピーとをユーザーに選択させる場合、ユーザーは、トナー消費量やコストを下げるために、2色コピーを選択したいが、2色コピーの選択をし忘れ、フルカラーコピーされることがある。
【0008】
本発明は、原稿をカラー画像として読み取り、その画像を印刷する際に、2色印刷するか否かを自動的に判断できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、原稿をカラー画像として読み取り、前記原稿の画像を示す画像データを生成する原稿読取部と、前記原稿読取部によって生成された前記画像データを基にして、前記原稿のカラー領域の大きさを算出する第1の算出部と、前記第1の算出部によって算出された前記カラー領域の大きさが、予め定められた第1のしきい値より小さいか否かを判定する第1の判定部と、前記原稿読取部によって生成された前記画像データで示される前記原稿の画像を印刷する印刷ジョブを実行する印刷部と、前記第1の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第1のしきい値より小さいと判定されたとき、前記印刷部に、2色印刷で前記印刷ジョブを実行させる制御部と、を備える。
【0010】
本発明は、原稿のカラー領域の面積が小さければ、原稿の画像を2色印刷しても、画像の違和感が小さく、画像の見た目が、フルカラー印刷とあまり変わらないことに着目している。カラー領域とは、原稿において、有彩色で表現された箇所である。本発明に係る画像形成装置によれば、原稿のカラー領域の大きさが、予め定められた第1のしきい値より小さいとき、原稿の画像を2色印刷する。従って、原稿をカラー画像として読み取り、その画像を印刷する際に、2色印刷するか否かを自動的に判断できる。第1のしきい値は、上記着目の観点から定められる。例えば、A4原稿において、カラー領域の大きさが、30mm四方より小さいとき、2色印刷をする。
【0011】
上記構成において、前記第1の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第1のしきい値以上と判定されたとき、前記カラー領域の大きさが、前記第1のしきい値よりも大きい予め定められた第2のしきい値より大きいか否かを判定する第2の判定部をさらに備え、前記制御部は、前記第2の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第2のしきい値より大きいと判定されたとき、前記印刷部に、前記フルカラー印刷で前記印刷ジョブを実行させ、前記原稿読取部によって生成された前記画像データを基にして、前記原稿の画像を構成する色の数を算出する第2の算出部と、前記第2の判定部によって前記カラー領域の大きさが前記第2のしきい値以下と判定されたとき、前記色の数が、予め定められた第3のしきい値より大きいか否かを判定する第3の判定部と、をさらに備え、前記制御部は、前記第3の判定部によって前記色の数が前記第3のしきい値より大きいと判定されたとき、前記印刷部に、前記フルカラー印刷で前記印刷ジョブを実行させ、前記第3の判定部によって前記色の数が前記第3のしきい値以下と判定されたとき、前記印刷部に、前記2色印刷で前記印刷ジョブを実行させる。
【0012】
この構成は、原稿のカラー領域の面積に加えて、原稿の画像を構成する色の数が、2色印刷において、画像に大きな違和感が生じる原因となることに着目している。カラー領域が小さければ、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、2色印刷であっても画像の違和感は小さい。逆に、カラー領域が大きければ、2色印刷をすれば、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、画像の違和感は大きい。また、カラー領域が小さくもなく、かつ、大きくもなければ、原稿の画像を構成する色の数が少なければ、2色印刷であっても画像の違和感は小さく、原稿の画像を構成する色の数が多ければ、2色印刷をすれば、画像の違和感は大きい。
【0013】
そこで、この構成によれば、カラー領域が小さいときには、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、2色印刷を実行し、カラー領域が大きいときには、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、フルカラー印刷を実行する。カラー領域が小さくもなく、かつ、大きくもないときには、原稿の画像を構成する色の数が少なければ、2色印刷を実行し、原稿の画像を構成する色の数が多ければ、フルカラー印刷を実行する。
【0014】
上記構成において、前記第2の算出部は、カラーを表現する複数の色のそれぞれの階調の範囲を複数に分割し、同じ分割範囲に属する階調を同じと見なし、前記複数の色のそれぞれの前記分割範囲で規定される複数の領域を設定する設定部と、前記原稿の画像を構成する全画素のそれぞれが、前記複数の領域のいずれの領域に属するかをカウントし、前記複数の領域のそれぞれに属する画素の数を示すヒストグラムを作成する作成部と、前記ヒストグラムを参照して、前記複数の領域のうち、画素数が予め定められた数より少ない第1の領域、及び、無彩色を示す第2の領域の画素数を0と見なし、前記第1の領域及び前記第2の領域以外の残りの領域について、連続する領域どうしを比較し、連続する領域のうち、画素数が一番多い領域以外の領域の画素数を0と見なし、前記複数の領域の中で画素数が0でない領域の数を、前記色の数と決定する決定部と、を備える。
【0015】
この構成は、原稿の画像を構成する色の数を算出する方法の一例である。
【0016】
上記構成において、前記原稿読取部によって生成された前記画像データで示される前記原稿の画像について、前記フルカラー印刷と前記2色印刷とのいずれかを自動的に選択するモードを設定する操作がされる操作部をさらに備え、前記モードが設定されていることを条件にして、前記第1の算出部は、前記カラー領域の大きさを算出し、前記第1の判定部は、前記カラー領域の大きさが前記第1のしきい値より小さいか否かを判定し、前記第2の算出部は、前記色の数を算出し、前記第2の判定部は、前記カラー領域の大きさが前記第2のしきい値より大きいか否かを判定し、前記第3の判定部は、前記色の数が前記第3のしきい値より大きいか否かを判定する。
【0017】
この構成によれば、ユーザーによって、フルカラー印刷と2色印刷とのいずれかを自動的に選択するモードを選択する操作がされている場合に、フルカラー印刷と2色印刷とのいずれかが自動的に選択される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、原稿をカラー画像として読み取り、その画像を印刷する際に、2色印刷するか否かを自動的に判断できる画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1として、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機を例に説明する。画像形成装置1は、カラーコピー機能を有する装置であればよく、デジタル複合機に限定されない。例えば、カラーコピー機を画像形成装置1としてもよい。画像形成装置1は、印刷部100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500、及び、通信部600を備える。
【0021】
原稿給送部300は、原稿給送部300に設けられた原稿載置部に1枚の原稿が置かれている場合、その原稿を原稿読取部200に送り、原稿載置部に複数枚の原稿が置かれている場合、複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送る。
【0022】
原稿読取部200は、原稿台に載置された原稿や、原稿給送部300から給送された原稿を読み取り、その原稿の画像データを出力する。原稿読取部200は、カラースキャン機能を有しており、原稿をカラー画像として読み取り、原稿の画像を示す画像データを生成する。
【0023】
印刷部100は、印刷ジョブを実行する。印刷ジョブとは、画像を示すデータ(例えば、原稿読取部200から出力された画像データ、不図示のパソコンから送信されてきた印刷データ、ファクシミリ受信の画像データ)について、そのデータで示される画像を印刷した印刷物を生成するジョブである。
【0024】
操作部400は、操作キー部401と表示部403を備える。表示部403は、タッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは、画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0025】
操作キー部401には、ハードキーからなる操作キーが設けられている。操作キーは、例えば、スタートキー、テンキー、リセットキー、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キーである。
【0026】
制御部500は、CPU、ROM、及び、RAMを備える。CPUは、画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、画像形成装置1の上記構成要素(例えば、印刷部100)に対して実行する。ROMは、画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMは、ソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。
【0027】
制御部500は、機能ブロックとして、第1の算出部501、第1の判定部503、第2の算出部505、第2の判定部507、及び、第3の判定部509を備える。これらのブロックの詳細は、後で説明する。
【0028】
通信部600は、ファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は、相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は、電話回線605に接続される。
【0029】
ネットワークI/F部603は、LAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603は、LAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0030】
コピーの対象となる原稿には、無彩色だけで表現されている原稿と、これ以外の原稿とがある。前者は、モノクロ原稿と称される。後者は、カラー原稿と称され、カラー領域(すなわち、有彩色で表現された箇所)を含む原稿である。
【0031】
カラー原稿であっても、原稿の画像を構成する色の数が少ない場合(例えば、モノクロ文書中に赤の印影が含まれる原稿、ヘッダーやフッターに青のコーポレートマークを含む原稿、モノクロ文書中に赤で強調された文字が含まれる原稿)、2色コピーをしても、画像の違和感が小さく、画像の見た目が、フルカラーコピーとあまり変わらない。このような原稿は、フルカラーコピーをせずに、2色コピーをすれば、トナー消費量が少なく、かつ、課金が少ないので、ユーザーにとって有益である。
【0032】
しかしながら、原稿の画像を構成する色の数が少ないカラー原稿であっても、カラー領域の面積が大きい場合、2色コピーをすれば、画像の違和感が大きく、画像の見た目が想定より大きく異なることがある。例えば、青色の写真が大部分である原稿を2色コピーした場合、青色の写真が青色以外の色で表現されるので、違和感が大きな画像となる。
【0033】
原稿の画像を構成する色の数が多いカラー原稿であっても、カラー領域の面積が小さい場合、2色コピーをしても、画像の違和感が小さく、画像の見た目が、フルカラーコピーとあまり変わらない。例えば、モノクロ文書を大部分とし、多数の色で構成されるカラー領域を一部とする原稿であれば、2色コピーをしても、画像の違和感は小さい。
【0034】
このように、原稿中のカラー領域の大きさ、及び、原稿の画像を構成する色(言い換えれば、カラー領域を構成する色)の数に応じて、フルカラーコピーをせずに2色コピーをしてもよい場合と、フルカラーコピーをする必要がある場合とがある。本実施形態に係る画像形成装置1は、原稿のカラー領域の大きさ、及び、原稿の画像を構成する色の数を基にして、2色コピーをするか否かを自動的に判断する。
【0035】
本実施形態に係る画像形成装置1の動作を、1枚の原稿の片面コピーを例にして、
図1〜
図3を主に用いて説明する。
図2及び
図3は、その動作を説明するフローチャートである。
【0036】
ユーザーは、原稿を原稿読取部200又は原稿台(不図示)にセットし、操作部400を操作して、コピーに必要な設定をする(ステップS1)。これには、コピー枚数及び用紙サイズの設定に加えて、カラーコピーモード、モノクロコピーモード、及び、ACS(Auto Color Select)モードのいずれかを選択する設定が含まれる。
【0037】
ACSモードでは、制御部500が、コピーの対象となる原稿がカラー原稿か否かを判定し、カラー原稿と判定すれば、カラーコピーモードとなり、カラー原稿でないと判定すれば、モノクロコピーモードとなる。
【0038】
カラーコピーモードでは、フルカラーコピー又は2色コピーが実行される。モノクロコピーモードでは、モノクロコピーが実行される。
【0039】
フルカラーコピーは、カラーを構成する複数の色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を利用して、原稿をコピーすることである。2色コピーは、カラーを構成する複数の色のうち、2つの色(例えば、ブラックとブラック以外の1色)を選択して、原稿をコピーすることである。モノクロコピーは、ブラックを利用して、原稿をコピーすることである。
【0040】
制御部500は、原稿が原稿読取部200又は原稿台(不図示)にセットされた状態で、操作キー部401のスタートキーが押下されたか判断する(ステップS2)。制御部500が、スタートキーが押下されていないと判断したとき(ステップS2でNo)、ステップS2の処理が繰り返される。
【0041】
制御部500が、スタートキーが押下されたと判断したとき(ステップS2でYes)、制御部500は、原稿読取部200に原稿をカラー画像として読み取らせ、原稿読取部200は、原稿の画像を示す画像データを生成する(ステップS3)。1枚の原稿の片面コピーなので、1ページの画像データが生成されることになる。
【0042】
制御部500は、ステップS1でカラーコピーモードが選択されているか否かを判断する(ステップS4)。制御部500が、カラーコピーモードが選択されていないと判断したとき(ステップS4でNo)、制御部500は、ステップS1でACSモードが選択されているか否かを判断する(ステップS5)。
【0043】
制御部500が、ACSモードが選択されていないと判断したとき(ステップS5でNo)、すなわち、ステップS1でモノクロコピーモードが選択されていると判断したとき、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像をモノクロ印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS6)。
【0044】
制御部500が、ACSモードが選択されていると判断したとき(ステップS5でYes)、制御部500は、ステップS3で生成された画像データを利用して、コピーの対象となる原稿が、カラー原稿か否かを判定する(ステップS7)。制御部500は、ACSの一般的な方法を利用して、その判定をする。
【0045】
制御部500が、コピーの対象となる原稿がカラー原稿でないと判定したとき(ステップS7でNo)、制御部500は、モノクロコピーモードとなる。これにより、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像をモノクロ印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS6)。
【0046】
制御部500が、コピーの対象となる原稿がカラー原稿と判定したとき(ステップS7でYes)、又は、ステップS1でカラーコピーモードが選択されていると判断したとき(ステップS4でYes)、制御部500は、節約コピーモードが設定されているか否かを判断する(ステップS8)。節約コピーモードは、カラーコピーモードにおいて、コピーの対象となる原稿が、所定の条件を満たせば、2色コピーが実行され、所定の条件を満たさなければ、フルカラーコピーが実行される。
【0047】
節約コピーモードは、ユーザーが、操作部400を操作して、設定及びその設定の解除をすることができる。ユーザーに、コピー毎に、節約コピーモードの設定を要求すれば、ユーザーがその設定をし忘れる可能性がある。このため、本実施形態では、節約コピーモードが、デフォルトで設定されている。
【0048】
節約コピーモードは、原稿読取部200によって生成された画像データで示される原稿の画像について、フルカラー印刷と2色印刷とのいずれかを自動的に選択するモードである。ユーザーは、操作部400を操作してそのモードを設定することができる。
【0049】
制御部500が、節約コピーモードでないと判断したとき(ステップS8でNo)、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像をフルカラー印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS9)。
【0050】
制御部500が、節約コピーモードであると判断したとき(ステップS8でYes)、第1の算出部501は、ステップS3で生成された画像データを基にして、原稿のカラー領域の大きさを算出する(ステップS10)。これについて詳しく説明する。
【0051】
第1の算出部501は、ステップS3で生成された1ページの画像データで示されるカラー画像を構成する各画素について、例えば、以下に示す式1を用いて、彩度を求める。
【0052】
彩度:MAX(C,M,Y)−MIN(C,M,Y)・・・式1
第1の算出部501は、彩度が、予め定められたしきい値T1より大きいとき、その画素をカラー画素と判定する。各画素について、例えば、シアン、マゼンタ、イエローがそれぞれ8ビットの階調で表現されるとする。しきい値T1は、例えば、20〜30の範囲のいずれかの値であるが、これに限定されない。
【0053】
例えば、ある画素において、シアンの階調が0、マゼンタの階調が30、イエローの階調が150とする。MAX(0,30,150)は、150であり、MIN(0,30,150)は、0である。従って、その画素の彩度は、150となる。この画素の彩度は、しきい値T1より大きいので、この画素は、カラーの画素となる。
【0054】
第1の算出部501は、1ページの画像データで示されるカラー画像を構成する全画素について、カラーの画素か否かを判定した後、カラーの画素の数をカウントし、カラーの画素の合計値を、原稿のカラー領域の大きさとする。
【0055】
原稿サイズがA4、解像度が600dpiを例にして、カラー領域の大きさを具体的に説明する。原稿サイズがA4、解像度が600dpiの場合、画素数は、35000000(=約7000×約5000)となる。カラーの画素の合計値が、518400のとき、原稿のカラー領域の大きさは、約30mm四方である。カラーの画素の合計値が、17500000のとき、原稿のカラー領域の大きさは、原稿の半分である。
【0056】
第1の判定部503は、ステップS10で算出されたカラー領域の大きさが、予め定められたしきい値T2より小さいか否かを判定する(ステップS11)。しきい値T2は、第1のしきい値であり、原稿のカラー領域の面積が小さければ、2色コピーしても、画像の違和感が小さく、画像の見た目が、フルカラーコピーとあまり変わらない観点から定められる。本実施形態では、上記518400を、しきい値T2とするが、しきい値T2はそれに限定されない。
【0057】
第1の判定部503によってカラー領域の大きさがしきい値T2より小さいと判定されたとき(ステップS11でYes)、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像を2色印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS12)。
【0058】
第1の判定部503によってカラー領域の大きさがしきい値T2以上と判定されたとき(ステップS11でNo)、第2の判定部507は、ステップS10で算出されたカラー領域の大きさが、しきい値T3より大きいか否かを判定する。しきい値T3は、第2のしきい値であり、しきい値T2より大きい。しきい値T3は、原稿のカラー領域の面積が比較的大きいので、2色コピーをすれば、画像の違和感の大きくなる観点から定められる。本実施形態では、原稿の半分がカラー領域となる値を、しきい値T3とするが、しきい値T3はそれに限定されない。
【0059】
第2の判定部507によって、カラー領域の大きさが、しきい値T3より大きいと判定されたとき(ステップS13でYes)、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像をフルカラー印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS9)。
【0060】
第2の判定部507によって、カラー領域の大きさが、しきい値T3以下と判定されたとき(ステップS13でNo)、第2の算出部505は、ステップS3で生成された1ページの画像データを基にして、コピーの対象となる原稿の画像を構成する色(有彩色)の数を算出する(ステップS14)。これについて詳しく説明する。
【0061】
シアン、イエロー、マゼンタを、それぞれ、例えば、8ビットの階調で表現すれば、シアン、イエロー、マゼンタをそれぞれ、0〜255の情報で示すことができる。よって、色の組み合わせは、約1677万通りとなる(=256×256×256)。これでもよいが、色の組み合わせが多すぎるため、本実施形態では、0〜255を均等に、例えば、16分割し、色の組み合わせを、4096(=16×16×16)通りとする。
【0062】
図4は、互いに直交する第1の軸、第2の軸、第3の軸において、シアンの階調を第1の軸、マゼンタの階調を第2の軸、イエローの階調を第3の軸とする色モデルを説明する説明図である。第1の軸において、階調が、0〜15の範囲をC(1)、16〜31の範囲をC(2)、32〜47の範囲をC(3)、48〜63の範囲をC(4)、64〜79の範囲をC(5)、80〜95の範囲をC(6)、96〜111の範囲をC(7)、112〜127の範囲をC(8)、128〜143の範囲をC(9)、144〜159の範囲をC(10)、160〜175の範囲をC(11)、176〜191の範囲をC(12)、192〜207の範囲をC(13)、208〜223の範囲をC(14)、224〜239の範囲をC(15)、240〜255の範囲をC(16)とする。
【0063】
同様に、第2の軸において、階調が、0〜15の範囲をM(1)、16〜31の範囲をM(2)、32〜47の範囲をM(3)、48〜63の範囲をM(4)、64〜79の範囲をM(5)、80〜95の範囲をM(6)、96〜111の範囲をM(7)、112〜127の範囲をM(8)、128〜143の範囲をM(9)、144〜159の範囲をM(10)、160〜175の範囲をM(11)、176〜191の範囲をM(12)、192〜207の範囲をM(13)、208〜223の範囲をM(14)、224〜239の範囲をM(15)、240〜255の範囲をM(16)とする。
【0064】
第3の軸において、階調が、0〜15の範囲をY(1)、16〜31の範囲をY(2)、32〜47の範囲をY(3)、48〜63の範囲をY(4)、64〜79の範囲をY(5)、80〜95の範囲をY(6)、96〜111の範囲をY(7)、112〜127の範囲をY(8)、128〜143の範囲をY(9)、144〜159の範囲をY(10)、160〜175の範囲をY(11)、176〜191の範囲をY(12)、192〜207の範囲をY(13)、208〜223の範囲をY(14)、224〜239の範囲をY(15)、240〜255の範囲をY(16)とする。
【0065】
C(1)〜C(16)、M(1)〜M(16)、Y(1)〜Y(16)の組み合わせにより、領域R1〜領域R4096の4096個の領域Rが規定されている。例えば、領域R1は、C(1)、M(1)、Y(1)で規定されている。領域R2は、C(2)、M(1)、Y(1)で規定されている。領域R4096は、C(16)、M(16)、Y(16)で規定されている。同じ領域Rに属する画素を同じ色と見なす。
【0066】
以上の処理は、第2の算出部505に含まれる設定部511が実行する。すなわち、設定部511は、カラーを表現する複数の色のそれぞれの階調の範囲を複数に分割し、同じ分割範囲に属する階調を同じと見なし、複数の色のそれぞれの分割範囲で規定される複数の領域Rを設定する。本実施形態において、カラーを表現する複数の色は、シアン、マゼンタ、イエローであり、階調の範囲は、0〜255であり、複数に分割は、16分割である。同じ分割範囲は、例えば、C(1)であり、複数の領域Rは、4096個の領域Rである。
【0067】
第2の算出部505は、さらに、作成部513及び決定部515を含む。作成部513は、4096個の領域Rのそれぞれに対応するカウンターを備えており、ステップS3で生成された1ページの画像データで示されるカラー画像を構成する全画素のそれぞれが、4096個の領域Rのいずれの領域に属するかをカウントし、4096個の領域Rのそれぞれに属する画素の数を示すヒストグラムを作成する。
図5は、そのヒストグラムの一例の概要を示す概要図である。横軸は、領域Rを示し、縦軸は、画素数を示している。
【0068】
決定部515は、4096個の領域Rのうち、画素数が予め定められた数より少ない領域R(第1の領域)については、その領域Rに対応するカウンターを0にする(すなわち、その領域の画素数を0と見なす)。ノイズ等の影響を抑えるために、画素数の少ない色については、色でないと見なす。
【0069】
決定部515は、領域Rに属する画素数が、予め定められたしきい値T4より小さければ、画素数が少ない領域Rと判定する。しきい値T4は、原稿のサイズに依存する。原稿サイズがA4、解像度が600dpiを例にすれば、ステップS3で生成された1ページの画像データで示されるカラー画像を構成する画素の数が、35000000(=約7000×約5000)である。しきい値T4は、例えば、1000に設定される。
【0070】
次に、決定部515は、無彩色を示す領域R(第2の領域)については、その領域Rに対応するカウンターを0にする(すなわち、その領域Rの画素数を0にする)。無彩色については、色でないと見なす。
【0071】
例えば、以下に示す式2で示す値が予め定められたしきい値T5より小さいとき、領域Rは、無彩色と判定される。しきい値T5は、例えば、1又は2に設定されるが、それに限定されない。
【0072】
MAX(Cnum,Mnum,Ynum)−MIN(Cnum,Mnum,Ynum)・・・式2
ここで、「num」は、(1)〜(16)のいずれかを示している。例えば、領域R2において、MAX(C(2),M(1),Y(1))は、2であり、MIN(C(2),M(1),Y(1))は、1である。従って、MAX(C(2),M(1),Y(1))−MIN(C(2),M(1),Y(1))=1である。また、例えば、C(1),M(4),Y(15)で規定される領域Rは、MAX(C(1),M(4),Y(15))−MIN(C(1),M(4),Y(15))=15−1=14となる。
【0073】
次に、決定部515は、上記画素数が少ない領域R(第1の領域)、及び、無彩色を示す領域R(第2の領域)以外の残りの領域Rについて、連続する領域Rどうしを比較し、連続する領域Rのうち、画素数が一番多い領域R以外の領域Rについては、その領域Rに対応するカウンターを0にする(すなわち、その領域Rの画素数を0にする)。連続する領域Rどうしは同じ色と見なして、画素数が少ない領域Rを間引くのである。
【0074】
例えば、領域R1999及び領域R2002の画素数は、0とする。領域R2000の画素数と領域R2001の画素数とが比較され、画素数が少ない領域R2000の画素数が、0とされる。
【0075】
決定部515は、領域R1〜領域R4096のそれぞれに対応するカウンターのうち、1以上の値を示すカウンターの数をカウントし、その値を色の数と決定する。例えば、1以上の値を示すカウンターの数(すなわち、画素数が0でない領域Rの数)が1であれば、原稿の画像を構成する色(有彩色)の数は一つである。白黒にさらに1色を加えた原稿がこれに該当する。
【0076】
第3の判定部509は、ステップS14で算出された色の数が予め定められたしきい値T6より大きいか否かを判定する(ステップS15)。しきい値T6は、第3のしきい値であり、カラー領域の面積が小さくなく、かつ、大きくない場合において(ステップS11でNo、ステップS13でNo)、2色コピーをしても、画像の違和感が小さくない観点から定められる。本実施形態では、しきい値T6を3とするが、しきい値T6はそれに限定されない。
【0077】
ステップS14で算出された色の数がしきい値T6より大きいと判定されたとき(ステップS15でYes)、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像をフルカラー印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS9)。
【0078】
ステップS14で算出された色の数がしきい値T6以下と判定されたとき(ステップS15でNo)、制御部500は、ステップS3で生成された画像データで示される画像を2色印刷する印刷ジョブを、印刷部100に実行させる(ステップS12)。
【0079】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態は、原稿のカラー領域の面積が小さければ、原稿の画像を2色印刷しても、画像の違和感が小さく、画像の見た目が、フルカラー印刷とあまり変わらないことに着目している。本実施形態によれば、原稿のカラー領域の大きさが、しきい値T2(第1のしきい値)より小さいとき(ステップS11でYes)、原稿の画像を2色印刷する(ステップS12)。従って、原稿をカラー画像として読み取り、その画像を印刷する際に、2色印刷するか否かを自動的に判断できる。
【0080】
本実施形態は、原稿のカラー領域の面積に加えて、原稿の画像を構成する色の数が、2色印刷において、画像に大きな違和感が生じる原因となることに着目している。カラー領域が小さければ、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、2色印刷であっても画像の違和感は小さい。逆に、カラー領域が大きければ、2色印刷をすれば、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、画像の違和感は大きい。また、カラー領域が小さくもなく、かつ、大きくもなければ、原稿の画像を構成する色の数が少なければ、2色印刷であっても画像の違和感は小さく、原稿の画像を構成する色の数が多ければ、2色印刷をすれば、画像の違和感は大きい。
【0081】
そこで、カラー領域が小さいとき(ステップS11でYes)、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、2色印刷を実行し(ステップS12)、カラー領域が大きいとき(ステップS13でYes)、原稿の画像を構成する色の数を問わずに、フルカラー印刷を実行する(ステップS9)。カラー領域が小さくもなく、かつ、大きくもないとき、原稿の画像を構成する色の数が少なければ(ステップS15でNo)、2色印刷を実行し(ステップS12)、原稿の画像を構成する色の数が多ければ(ステップS15でYes)、フルカラー印刷を実行する(ステップS9)。
【0082】
このように、本実施形態によれば、カラー領域を含む原稿(カラー原稿)をコピーするとき、原稿に応じて、自動的に、フルカラーコピーと2色コピーとのいずれかが選択される。2色コピーが選択された場合、コピーした画像の違和感を少なくしつつ、トナー消費量及び課金を節約することができる。フルカラーコピーが選択された場合、コピーした画像の違和感をなくすことができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、ステップS8で説明したように、節約コピーモードがデフォルトで設定されている。すなわち、制御部500は、原稿読取部200によって生成された画像データで示される原稿の画像について、フルカラー印刷と2色印刷とのいずれかを自動的に選択するモードを予め設定している。よって、ユーザーは、コピーをするに毎に、上記モードを設定する必要がない。