特許第6204319号(P6204319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204319
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20170914BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170914BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G03G21/00 388
   B41J29/38 Z
   B41J29/42 F
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-198878(P2014-198878)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-71056(P2016-71056A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 貴宣
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−333799(JP,A)
【文献】 特開2010−023391(JP,A)
【文献】 特開2014−011530(JP,A)
【文献】 特開2002−333970(JP,A)
【文献】 特開2003−241876(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0231965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を有する画像形成装置であって、
静電潜像にトナーを供給することにより前記静電潜像をトナー像に現像し、前記トナー像を用紙に印刷する印刷部と、
前記印刷部により印刷された印刷枚数の累積値である累積枚数をカウントし、カウント枚数が所定枚数に達すると、前記複数の機能のうち使用が制限されている機能である所定機能の使用制限を解除する制御部と、を備える前記画像形成装置を複数台備え、
複数台の前記画像形成装置と通信可能に接続され、複数台の前記画像形成装置から、印刷枚数を示す情報を取得するサーバーをさらに備え、
複数台の前記画像形成装置は、それぞれ、情報を表示する表示部を含み、
前記サーバーは、印刷枚数を判定する期間として予め設定された判定期間内における複数台の前記画像形成装置の各印刷枚数を判定し、前記判定期間内における印刷枚数が多い前記画像形成装置ほど順位が高くなるように、複数台の前記画像形成装置に順位を付与するとともに、複数台の前記画像形成装置の順位を示す順位情報を複数台の前記画像形成装置に送信し、
複数台の前記画像形成装置は、前記サーバーから前記順位情報を受信すると、前記順位情報に基づく順位表を前記表示部に表示させ、
前記サーバーは、予め設定された閾値順位よりも高い順位を付した前記画像形成装置に対して、予め定められたプレゼント機能を実行するためのプログラムを送信することを特徴とする画像形成システム
【請求項2】
前記所定機能は複数有り、
前記制御部は、前記累積枚数が前記所定枚数増加するごとに、複数の前記所定機能のうち未だ使用制限を解除していない前記所定機能の使用制限を1つずつ解除することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記累積枚数が前記所定枚数増加するごとに、複数の前記所定機能のうち使用制限を解除する前記所定機能の選択をユーザーから受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記累積枚数が前記所定枚数増加すると、複数の前記所定機能のうちユーザーにより選択された前記所定機能の使用制限を解除することを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を用紙に印刷する画像形成装置およびそれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲を増進させることが可能な画像形成装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、画像形成手段により印刷が実行されると、抽選手段により抽選を実行するか否かが決定される。このとき、印刷枚数が多いほど、抽選の実行確率が高くなる。そして、抽選が実行され、抽選に当選した場合には、プレゼント引換券が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−123169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、抽選に当選したユーザーに対して、プレゼント引換券と交換にプレゼント(景品)が渡される。これにより、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲が増進する。
【0006】
しかしながら、画像形成装置の設置者からすると、抽選に当選したユーザーに渡すプレゼント(景品)を準備したり、そのプレゼントをプレゼント引換券と交換したりする作業が必要となるので、煩わしく利便性が悪い。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置の設置者の手を煩わせることなく、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲を増進させることが可能な画像形成装置およびそれを備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、複数の機能を有する画像形成装置であって、静電潜像にトナーを供給することにより静電潜像をトナー像に現像し、トナー像を用紙に印刷する印刷部と、印刷部により印刷された印刷枚数の累積値である累積枚数をカウントし、カウント枚数が所定枚数に達すると、複数の機能のうち使用が制限されている機能である所定機能の使用制限を解除する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の構成では、累積枚数が所定枚数に達すると、所定機能の使用制限が解除され、所定機能の使用が可能となる。言い換えると、累積枚数が所定枚数に達した場合には、画像形成装置のユーザーに対して、今まで使用できなかった所定機能の使用が可能になるという特典が与えられる。これにより、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲を増進させることができる。また、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲を増進させるために、従来のようにプレゼント(景品)の準備や引き渡しを行う必要が無いので、画像形成装置の設置者の手を煩わせることもない。
【0010】
なお、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲が増進し、それによって画像形成装置の使用頻度が高くなると、トナーの消費量が多くなる。したがって、この構成では、トナーの販売促進を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の構成では、画像形成装置の設置者の手を煩わせることなく、ユーザーの画像形成装置に対する使用意欲を増進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による複合機の概略図
図2】本発明の一実施形態による複合機のハードウェア構成を説明するためのブロック図
図3】本発明の一実施形態による複合機の操作パネルに表示する設定画面の一例を示した図(所定機能の使用制限を解除する前と解除した後の図)
図4】本発明の一実施形態による複合機の操作パネルに表示する選択受付画面の一例を示した図
図5】本発明の一実施形態による複合機が有する所定機能の使用制限を解除するときの制御の流れを説明するためのフローチャート
図6】本発明の一実施形態による複合機の操作パネルに表示する順位画面の一例を示した図
図7】本発明の一実施形態よる複合機に対してプレゼント機能を提供するときの制御の流れを説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、プリンタージョブやコピージョブなどの実行が可能な複合機を例にとって説明する。
【0014】
<複合機の全体構成>
図1に示すように、複合機100(「画像形成装置」に相当)は、画像読取部1および印刷部2(給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5、転写部6および定着部7)を備える。画像読取部1は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する。印刷部2は、用紙搬送路21に沿って用紙Pを搬送するとともに、搬送中の用紙Pに対して画像データに基づく画像を印刷し、印刷済みの用紙Pを排出トレイ22に排出する。
【0015】
なお、用紙搬送路21は、メイン搬送路23および反転搬送路24を含む。メイン搬送路23は、片面印刷時および両面印刷時の両方で使用されるものであり、転写ニップおよび定着ニップを経由して排出トレイ22に至る。反転搬送路24は、両面印刷時に使用されるものであり、後述する定着ローラー対71の搬送方向下流側においてメイン搬送路23から分岐し、後述するレジストローラー対42の搬送方向上流側においてメイン搬送路23に接続される。
【0016】
給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙Pを用紙搬送路21(メイン搬送路23)に供給する。用紙搬送部4は、複数の搬送ローラー対41を含み、用紙搬送路21に沿って用紙を搬送する。なお、複数の搬送ローラー対41のうち、転写ニップの搬送方向上流側に位置する搬送ローラー対41がレジストローラー対42である。
【0017】
画像形成部5は、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色にそれぞれ対応する機構部50Bk、50Y、50Cおよび50Mに分類される。各機構部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、それぞれ、感光体ドラム51、帯電装置52、現像装置53およびドラム清掃装置54を1つずつ含み、後述する中間転写ベルト61の周面に感光体ドラム51の周面が接するように配置される。また、画像形成部5は、各色共通で使用する露光装置55を含む。なお、各色のトナーは、それぞれ、トナーコンテナー46Bk、46Y、46Cおよび46Mに収容される。
【0018】
画像形成時には、感光体ドラム51が回転し、その感光体ドラム51の周面を帯電装置52が帯電させる。また、露光装置55は、感光体ドラム51の周面を露光し、感光体ドラム51の周面上に静電潜像を形成する。そして、現像装置53は、感光体ドラム51の周面上に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する。ドラム清掃装置54は、感光体ドラム51の周面上に残留するトナーなどを除去する。
【0019】
転写部6は、中間転写ベルト61、1次転写ローラー62および2次転写ローラー63を含む。中間転写ベルト61は、駆動ローラー64および従動ローラー65によって張架される。1次転写ローラー62は、中間転写ベルト61の内側に配置され、感光体ドラム51との間で中間転写ベルト61を挟み込む。2次転写ローラー63は、中間転写ベルト61を挟んで駆動ローラー64と対向するように配置され、中間転写ベルト61との間で転写ニップを形成する。
【0020】
そして、転写部6は、画像形成部5により形成された各色のトナー像(感光体ドラム51の周面上のトナー像)が重なるように各色のトナー像を中間転写ベルト61の周面上に1次転写する。その後、転写部6は、転写ニップに進入した用紙Pに対して、中間転写ベルト61の周面上のトナー像を2次転写する。
【0021】
定着部7は、定着ニップを形成する定着ローラー対71を含む。定着ローラー対71のうち、一方ローラーは発熱源を内蔵し、他方ローラーは一方ローラーに圧接する。この定着部7は、定着ニップに進入した用紙Pを加熱および加圧し、用紙Pにトナー像を定着させる。
【0022】
ところで、片面印刷の場合には、片面印刷された用紙P(定着ニップを抜けた用紙P)は、そのまま排出トレイ22に排出される。一方で、両面印刷の場合には、片面印刷された用紙Pは、反転搬送路24に送られ、表裏が反転される。
【0023】
具体的には、両面印刷の場合、片面印刷された用紙Pは、排出トレイ22に向けて一旦搬送された後、最下流側の搬送ローラー対41(43)を通過し切る前に逆方向に搬送され、反転搬送路24に送られる。そして、片面印刷された用紙Pは、反転搬送路24に沿って搬送されることにより、メイン搬送路23のうち転写ニップの位置よりも用紙搬送方向上流側の位置に戻される。その後、片面印刷された用紙Pは、メイン搬送路23に沿って搬送され、転写ニップおよび定着ニップを再び通過する。このときには、用紙Pの表裏が反転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して印刷が行われる。
【0024】
また、複合機100は、操作パネル8を備える。操作パネル8は、タッチパネル付きの液晶表示パネル81を含む。液晶表示パネル81は、各種設定などを受け付けるためのソフトキーやメッセージを表示する。この操作パネル81には、スタートキーやテンキーなどのハードキー82も設けられる。なお、操作パネル8は、「受付部」および「表示部」に相当する。
【0025】
また、複合機100は、図2に示すように、制御部110を備える。制御部110は、CPU111および画像処理部112を含む。そして、制御部110は、画像読取部1の読取動作や印刷部2の印刷動作を制御する。また、制御部110は、操作パネル8の表示動作を制御したり、操作パネル8に対して行われた操作を検知したりする。さらに、制御部110(画像処理部112)は、画像データに対して各種画像処理を行う。
【0026】
制御部110には、記憶部120および通信部130が接続される。記憶部120は、制御用のプログラムやデータを記憶する。そして、制御部110は、記憶部120に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、複合機100の各部の動作を制御する。
【0027】
通信部130は、ユーザー端末200と通信可能に接続される。たとえば、ユーザー端末200からは、印刷画像の基データとなる画像データが送信される。
【0028】
また、通信部130は、サーバー300と接続される。サーバー300は、複合機100の製造者や販売者により設置されるものである。そして、たとえば、通信部130は、制御部110から指示を受け、サーバー300に対して、複合機100の装置状態を示す装置情報を送信する。この装置情報には、印刷枚数を示す情報などが含まれる。
【0029】
ここで、サーバー300は、複数台の複合機100と通信可能に接続され、複数台の複合機100と共に画像形成システム100Sを構成する。そして、サーバー300は、複数台の複合機100のそれぞれから、各装置の装置状態を示す装置情報(印刷枚数を示す情報など)を取得する。
【0030】
画像形成システム100Sに含まれる複数台の複合機100の各構成は同じであってもよいし、異なっていてもよい。以下の説明では、画像形成システム100Sに含まれる複数台の複合機100の各構成が同じであるとする。なお、画像形成システム100Sにユーザー端末200を含めてもよい。
【0031】
<所定機能の使用制限の解除>
複合機100は、複数の機能を有する。たとえば、印刷に関する機能としては、画像を拡大または縮小して印刷する機能、複数ページを1ページに集約して印刷する機能、画像の濃度を調整する機能、および、用紙サイズを任意に設定する機能などがある。なお、ここで挙げた機能は一例であり、複合機100が有する機能は他にも多数ある。
【0032】
ここで、本実施形態では、複数の機能のうち所定数の機能(以下、所定機能と称する)の使用を制限し、所定機能に使用制限をかけた状態で複合機100を出荷する。これにより、複合機100の出荷時点では、複合機100が有する複数の機能のうち所定機能が使用できない状態(所定機能以外の機能は使用できる状態)となっている。
【0033】
たとえば、複合機100が有する複数の機能のうち、用紙Pの両面に画像を印刷する両面印刷機能、用紙Pの搬送速度を高速にして印刷する高速印刷機能、バーコードやQRコード(登録商標)を読み取るバーコード読取機能、および、外部機器との通信を無線で行う無線通信機能などが所定機能(使用制限をかける機能)とされる。なお、複合機100の出荷時に使用制限をかける機能は特に限定されず、ここで挙げた機能とは別の機能に使用制限をかけてもよいし、より多くの機能に使用制限をかけてもよい。
【0034】
そして、本実施形態では、ユーザーの複合機100に対する使用意欲を増進させるために、印刷部2によって印刷された印刷枚数の累積値(以下、累積枚数と称する)をカウントし、そのカウント枚数が所定枚数に達すると、所定機能の使用制限を解除する。なお、所定枚数を何枚にするかは特に限定されないが、数千枚〜数万枚(たとえば、1万枚)とされる。
【0035】
たとえば、累積枚数のカウントは制御部110が行う。そして、累積枚数が所定枚数に達していないとき、制御部110は、所定機能を使用するための設定の受け付けを操作パネル8に行わせない。すなわち、このときには、所定機能を使用するための設定を行えないので、所定機能を使用することができない。一方で、累積枚数が所定枚数に達すると、制御部110は、所定機能を使用するための設定の受け付けを操作パネル8に行わせることにより、所定機能の使用が可能な状態とする(所定機能の使用制限を解除する)。以下に、所定機能の一つである両面印刷機能を例にとって説明する。
【0036】
まず、操作パネル8は、印刷に関する複数の機能の設定を受け付けるとき、図3に示すような設定画面SSを表示する。設定画面SSには、印刷に関する複数の機能にそれぞれ対応する複数の機能キーFKが配置される。複数の機能キーFKには、それぞれ、対応する機能の機能名および現在の設定値が表記される。そして、設定画面SSの表示中に、複数の機能キーキーFKのうちいずれかに対するタッチ操作を受けると、操作パネル8は、タッチ操作を受けた機能キーFKに対応する機能の設定を受け付けるための設定受付画面(図示せず)を表示する。この設定受付画面では、現在表示中の設定受付画面に対応した機能を使用するか否かの設定などを行える。すなわち、設定受付画面に対する入力操作により、現在表示中の設定受付画面に対応した機能の使用が可能となる。
【0037】
この構成において、累積枚数が所定枚数に達していないとき、制御部110は、操作パネル8に指示し、両面印刷機能(所定機能)に対応する機能キーFKへのタッチ操作を無効化させる。たとえば、操作パネル8は、両面印刷機能に対応する機能キーFKをグレーアウト表示する。このとき、両面印刷機能に対応する機能キーFKをタッチしても、操作パネル8の表示画面は設定受付画面に遷移しない。すなわち、両面印刷機能を使用できない。なお、累積枚数が所定枚数に達していないときに、両面印刷機能に対応する機能キーFKが非表示となっていてもよい。
【0038】
この後、累積枚数が所定枚数に達すると、制御部110は、操作パネル8に指示し、両面印刷機能に対応する機能キーFKへのタッチ操作を有効化させる。すなわち、操作パネル8は、両面印刷機能に対応する機能キーFKの表示をグレーアウト表示から通常表示に切り替える。このときには、両面印刷機能に対応する機能キーFKをタッチすることにより、操作パネル8の表示画面が設定受付画面に遷移する。したがって、両面印刷機能を使用するための設定を行える(両面印刷機能を使用できる)。ここで、累積枚数に応じて使用制限を解除する機能を予め設定しておき、累積枚数が所定枚数に達する毎に現状の累積枚数に応じて使用できる機能に対応する機能キーFKを通常表示させ、現状の累積枚数では使用制限を解除しない機能に対応する機能キーFKをグレーアウト表示あるいは非表示とするようにしてもよい。
【0039】
なお、複合機100の出荷時に複数の機能に使用制限をかける場合には、制御部110によりカウントされる累積枚数が所定枚数増加するごとに、所定機能の使用制限を1つずつ解除してもよい。そして、この場合には、累積枚数が所定枚数増加するごとに、複数の所定機能のうち使用制限を解除する所定機能の選択をユーザーから受け付けるようにしてもよい。ここで、機能毎に使用制限を解除する累積枚数を予め設定しておき、累積枚数が所定枚数に達する毎に現状の累積枚数で使用制限を解除する機能の中から所定機能の選択をユーザーから受け付けるようにしてもよい。
【0040】
たとえば、制御部110は、累積枚数が所定枚数増加するごとに、操作パネル8に指示し、複数の所定機能のうち使用制限を解除する所定機能の選択の受け付けを行わせる。このとき、操作パネル8は、図4に示すような選択受付画面ASを表示する。この選択受付画面ASには、複数の所定機能の一覧表TAが配される。なお、操作パネル8は、選択受付画面ASを表示するとき、複数の所定機能のうち現時点で未だ使用制限が解除されていない所定機能のみを一覧表TA内に表記する。また、複数の所定機能のうち現時点で未だ使用制限が解除されていない所定機能のみを一覧表TA内に表記するとき、現状の累積枚数に応じて使用できる機能に対応する表示を通常表示とするとともに、現状の累積枚数では使用制限を解除できない機能に対応する表示をグレーアウト表示とし、通常表示された機能に対して選択の受け付けを行わせるようにしてもよい。
【0041】
選択受付画面ASを操作パネル8に表示させて以降、一覧表TA内のいずれかの欄がタッチされると、制御部110は、タッチ操作を受けた欄に対応する所定機能がユーザーにより選択されたと認識する。図4では、一例として、両面印刷機能が選択された状態を図示している。その後、確定キーK1に対するタッチ操作を検知すると、制御部110は、複数の所定機能のうちユーザーにより選択された所定機能の使用制限を解除する。
【0042】
なお、図示しないが、選択受付画面AS内に、使用制限が既に解除されている所定機能を表示してもよい。また、一覧表TA内のいずれかの欄がタッチされたときに、タッチ操作を受けた欄に対応する所定機能がどのような機能であるかを示すガイダンスを表示してもよい。
【0043】
以下に、図5に示すフローチャートを参照して、所定機能の使用制限を解除するときの制御の流れを説明する。なお、図5に示すフローチャートのスタートは、複合機100が出荷され、出荷先にて複合機100に電源が投入されたとき(複合機100が起動したとき)である。そして、出荷先にて複合機100に電源が投入されて以降、最初の印刷ジョブの実行時から累積枚数のカウントが開始される。
【0044】
ステップS1において、制御部110は、累積枚数が所定枚数増加したか否かを判断する。その結果、累積枚数が所定枚数増加していれば、ステップS2に移行する。一方で、累積枚数が所定枚数増加していなければ、制御部110は、ステップS1の判断を繰り返す。
【0045】
ステップS2に移行すると、制御部110は、使用制限を解除していない所定機能が存在するか否かを判断する。その結果、使用制限を解除していない所定機能が存在すれば、ステップS3に移行し、使用制限を解除していない所定機能が存在しなければ、本フローは終了する。
【0046】
ステップS3に移行すると、制御部110は、操作パネル8に指示し、選択受付画面ASを表示させる。すなわち、操作パネル8は、複数の所定機能のうち使用制限を解除する所定機能の選択をユーザーから受け付ける。そして、ステップS4において、制御部110は、操作パネル8が所定機能の選択をユーザーから受け付けたか否かを判断する。その結果、所定機能の選択をユーザーから受け付けていれば、ステップS5に移行し、制御部110は、ユーザーにより選択された所定機能の使用制限を解除する。ここで、使用制限を解除する所定機能の選択を受け付けるとき、操作パネル8に表示された全ての機能を選択肢とするのではなく、1つあるいは所定数の機能を選択肢としてもよい。その後、ステップS1に移行し、制御部110は、累積枚数のカウントを続ける。
【0047】
ステップS4において、所定機能の選択をユーザーから受け付けていないと制御部110が判断した場合には、ステップS6に移行する。ステップS6に移行すると、制御部110は、所定機能の使用制限を非解除とする旨(所定機能の使用制限を解除しない旨)の指示をユーザーから受け付けたか否かを判断する。その結果、所定機能の使用制限を非解除とする旨の指示が有れば、ステップS1に移行する。すなわち、この場合、制御部110は、所定機能の使用制限を解除せず、累積枚数のカウントを続ける。一方で、所定機能の使用制限を非解除とする旨の指示が無ければ、ステップS4に戻る。たとえば、選択受付画面ASには、所定機能の使用制限を解除しない旨の指示を受け付けるためのソフトキーK2が配される(図4参照)。そして、制御部110は、ソフトキーK2に対するタッチ操作を検知すると、所定機能の使用制限を解除しない旨の指示をユーザーから受け付けたと判断する。
【0048】
<プレゼント機能の提供>
本実施形態では、画像形成システム100S内の複数台の複合機100のうち、印刷枚数が比較的多い複合機100に対して、プレゼント機能を提供する。なお、どのような機能をプレゼント機能とするかは特に限定されない。一例を挙げると、操作パネル8の表示画面の背景に壁紙を表示する壁紙機能や、ジョブ実行中に音楽を流す音楽機能などがプレゼント機能とされる。なお、壁紙機能や音楽機能の提供を既に受けている複合機100に対しては、従前に提供した壁紙データ(音楽データ)とは異なる壁紙データ(音楽データ)がプレゼント機能として提供されてもよい。
【0049】
プレゼント機能の提供対象を決定するため、サーバー300は、画像形成システム100S内の複数台の複合機100から、各装置の印刷枚数を示す情報を取得する。そして、サーバー300は、複数台の複合機100の各印刷枚数を判定する時点である判定時点になったとき、判定時点から一定期間遡った期間を判定期間(たとえば、数カ月)とし、判定期間内における複数台の複合機100の各印刷枚数を判定する。なお、判定時点および判定期間は、サーバー300の管理者(複合機100の製造者や販売者など)により予め任意に設定される。
【0050】
その後、サーバー300は、判定期間内における印刷枚数が多い複合機100ほど順位が高くなるように、複数台の複合機100に順位を付与する。また、サーバー300は、複数台の複合機100の順位を示す順位情報を複数台の複合機100に送信する。サーバー300からの順位情報を複合機100が受信すると、制御部110は、操作パネル8に指示し、順位情報に基づく順位表LTを配した順位画面LS(図6参照)を表示させる。たとえば、順位表LTには、図6に示すように、自機(本機)および他機の各順位が示されるとともに、自機(本機)および他機の各印刷枚数が示される。
【0051】
そして、サーバー300は、複数台の複合機100のうち、予め設定された閾値順位よりも高い順位を付したランキング上位の複合機100(たとえば、3位以内の複合機100)に対して、プレゼント機能を実行するためのプログラムを送信する。これにより、ランキング上位の複合機100では、プレゼント機能の実行が可能となる。
【0052】
以下に、図7に示すフローチャートを参照して、複合機100にプレゼント機能を提供するときの制御の流れを説明する。なお、図7に示すフローチャートのスタートは、判定時点になったときである。
【0053】
ステップS11において、サーバー300は、判定期間内における複数台の複合機100の各印刷枚数を判定する。続いて、ステップS12において、サーバー300は、判定期間内における印刷枚数が多い複合機100ほど順位が高くなるように、複数台の複合機100に順位を付与する。
【0054】
そして、ステップS13において、サーバー300は、複数台の複合機100の順位を示す順位情報を複数台の複合機100に送信する。また、ステップS14において、サーバー300は、複数台の複合機100のうち、閾値順位よりも高い順位を付した複合機100に対して、プレゼント機能を実行するためのプログラムを送信する。
【0055】
本実施形態の複合機100(画像形成装置)は、上記のように、静電潜像にトナーを供給することにより静電潜像をトナー像に現像し、トナー像を用紙に印刷する印刷部2と、印刷部2により印刷された印刷枚数の累積値である累積枚数をカウントし、カウント枚数が所定枚数に達すると、複数の機能のうち使用が制限されている機能である所定機能の使用制限を解除する制御部110と、を備える。
【0056】
本実施形態の複合機100では、累積枚数が所定枚数に達すると、所定機能の使用制限が解除され、所定機能の使用が可能となる。言い換えると、累積枚数が所定枚数に達した場合には、複合機100のユーザーに対して、今まで使用できなかった所定機能の使用が可能になるという特典が与えられる。これにより、ユーザーの複合機100に対する使用意欲を増進させることができる。また、ユーザーの複合機100に対する使用意欲を増進させるために、従来のようにプレゼント(景品)の準備や引き渡しを行う必要が無いので、複合機100の設置者の手を煩わせることもない。
【0057】
なお、ユーザーの複合機100に対する使用意欲が増進し、それによって複合機100の使用頻度が高くなると、トナーの消費量が多くなる。したがって、この構成では、トナーの販売促進を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態の複合機100では、制御部110は、累積枚数が所定枚数増加するごとに、複数の所定機能のうち未だ使用制限を解除していない所定機能の使用制限を1つずつ解除する。これにより、継続的に(長期間にわたって)、ユーザーの複合機100に対する使用意欲を増進させることができる。
【0059】
また、本実施形態の複合機100では、操作パネル8(受付部)は、累積枚数が所定枚数増加するごとに、複数の所定機能のうち使用制限を解除する所定機能の選択をユーザーから受け付ける。そして、制御部110は、累積枚数が所定枚数増加すると、複数の所定機能のうちユーザーにより選択された所定機能の使用制限を解除する。これにより、ユーザーからすると、使用制限を解除したい所定機能(使用したい所定機能)を選択できるので、利便性が良い。
【0060】
また、本実施形態の画像形成システム100Sは、上記のように、複数台の複合機100と、複数台の複合機100と通信可能に接続され、複数台の複合機100から、印刷枚数を示す情報を取得するサーバー300と、を備える。そして、サーバー300は、印刷枚数を判定する期間として予め設定された判定期間内における複数台の複合機100の各印刷枚数を判定し、判定期間内における印刷枚数が多い複合機100ほど順位が高くなるように、複数台の複合機100に順位を付与するとともに、複数台の複合機100の順位を示す順位情報を複数台の複合機100に送信する。複数台の複合機100は、サーバー300から順位情報を受信すると、その順位情報に基づく順位表LTを操作パネル8(表示部)に表示させる。
【0061】
本実施形態の画像形成システム100Sでは、複数台の複合機100の各操作パネル8に順位表LTを表示することにより、ユーザーの競争意識を高めることができるので、ユーザーの複合機100に対する使用意欲がより増進する。
【0062】
また、本実施形態の画像形成システム100Sでは、サーバー300は、閾値順位よりも高い順位を付した複合機100に対して、プレゼント機能を実行するためのプログラムを送信する。これにより、ユーザーが自機の順位を上げようとするので、複合機100の使用回数が多くなる。
【0063】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0064】
2 印刷部
8 操作パネル(受付部、表示部)
100 複合機(画像形成装置)
100S 画像形成システム
110 制御部
300 サーバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7