(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係る電池スタックを構成する二次電池セル10を示す斜視図である。
図1を参照して、本実施の形態における二次電池セル10は、複数個が直列に組み合わされて組電池とされ、ハイブリッド自動車に搭載されている。その組電池は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関とともに、ハイブリッド自動車の動力源とされている。
【0016】
二次電池セル10は、電池要素Bと、ケース15と、封口体16と、正極端子11および負極端子12とを有している。電池要素Bは、正負の電極板がセパレータを介して積層されて構成されている。ケース15は、一方向に開口された略直方体のケース形状を有している。封口体16は、略矩形の平面視を有する平板形状を有している。封口体16は、ケース15の開口を塞ぐように設けられている。ケース15および封口体16は、アルミニウムに代表される金属などの導電性材料により形成されている。
【0017】
ケース15および封口体16は、密閉空間を区画形成している。ケース15および封口体16は、二次電池セル10の外装体を構成している。ケース15および封口体16は、電池要素Bを収容する筺体を構成している。二次電池セル10の筐体は、概略角型の形状を有している。筐体の内部には、電池要素Bが、電解液とともに収容されている。電解液は、所定の電池電圧を超えた際に分解してガスを発生し得るガス発生剤(過充電添加剤)を含んでいる。
【0018】
正極端子11および負極端子12は、封口体16に取り付けられている。正極端子11および負極端子12は、二次電池セル10の筐体から突出して設けられている。正極端子11および負極端子12は、二次電池セル10の筐体の外部に配置されている。正極端子11および負極端子12は、二次電池セル10の外部端子を構成している。
【0019】
二次電池セル10は、ケース15の内圧が上昇した場合に、電池要素Bと外部端子との間の電流の流れを遮断する機構(電流遮断機構100)を有している。電流遮断機構100は、正極端子11および12の少なくともいずれか一方に設けられている。
【0020】
図2は、二次電池セル10が有する電流遮断機構100を説明するための図である。電流遮断機構100は、
図1に示す二次電池セル10に搭載されている。
【0021】
電流遮断機構100は、圧力型の電流遮断機構であり、密閉型の電池に利用される。具体的に、電流遮断機構100は、電池の内圧(ケース15および封口体16により形成された筐体内の圧力)が上昇した場合に作動して、電池要素Bと外部端子(正極端子11または負極端子12)との間の電流を遮断する。
【0022】
図2に示すように、電流遮断機構100は、インシュレータ180と、導電部材130と、反転板120と、集電端子(集電板)101と、ホルダ部材160とを含んでいる。
【0023】
図2に示す端子板190は、導電性材料で形成されており、
図1に示す外部端子(正極端子11または負極端子12)に電気的に接続されている。インシュレータ180は、絶縁性材料で形成されている。インシュレータ180は、封口体16と端子板190との間に介在している。インシュレータ180は、封口体16と端子板190とを電気的に絶縁している。
【0024】
導電部材130は、たとえば銅やアルミニウムなどの導電性材料で形成されている。封口体16には、平板状の封口体16を厚み方向に貫通する貫通孔141が形成されている。導電部材130は、貫通孔141を貫通している。導電部材130は、貫通孔141に嵌め合わされている。導電部材130は、二次電池セル10の筐体の外部で端子板190に接続されており、筐体の内部で反転板120に接続されている。導電部材130は、端子板190と反転板120とを電気的に接続している。導電部材130は、二次電池セル10の筐体の内部において径が大きくなる形状を有しており、大径部分に反転板120が取り付けられている。
【0025】
反転板120および集電端子101は、二次電池セル10の筐体の内部に配置されている。反転板120は、導電材料で形成されている。反転板120は、導電部材130と集電端子101との間に配置されている。反転板120は、導電部材130および集電端子101に、たとえば溶接により固定されている。反転板120は、導電部材130と集電端子101とを電気的に接続している。反転板120は、通常、導電部材130側で凹形状になり、集電端子101側で凸形状になっている。
【0026】
反転板120は、略円板状の形状を有している。反転板120は、その中央部分に、圧力感知面121を有している。集電端子101は、その中央部分に、薄肉部分111を有している。圧力感知面121は、通常、薄肉部分111に固定されている。反転板120の縁部分は、導電部材130に固定されている。
【0027】
ホルダ部材160は、二次電池セル10の筐体の内部に設けられている。ホルダ部材160は、封口体16の直下に設けられている。ホルダ部材160は、封口体16と導電部材130との間に挟まれて配置されている。導電部材130の外周部分は、ホルダ部材160に接触している。ホルダ部材160は、集電端子101を保持している。ホルダ部材160はまた、封口体16に形成された貫通孔141を封止する機能を有している。
【0028】
ホルダ部材160は、かしめ部162を含んでいる。集電端子101は、かしめ部162に加締められ、ホルダ部材160によって保持されている。
【0029】
集電端子101は、
図1に示す電池要素Bの電極に接続されている。電流遮断機構100が作動する前には、電池要素Bからの電力(電流)が、集電端子101、反転板120、導電部材130、端子板190および外部端子(正極端子11または負極端子12)を順に流れる。これにより、二次電池セル10から外部へ電力が供給される。二次電池セル10を充電するときには、上記と逆方向に電流が流れる。
【0030】
二次電池セル10の(ケース15および封口体16により形成される筐体の)内圧が上昇すると、圧力感知面121が筐体内の気体に押圧される。集電端子101の薄肉部分111は、他の部分と比較して剛性が低い。そのため、筐体の内圧が予め定められた圧力(作動圧)以上に高くなると、集電端子101の薄肉部分111において破断が生じ、反転板120は集電端子101から離れる方向に変形する。より具体的には、反転板120は、導電部材130側で凸形状となり、集電端子101側で凹形状となるように反転する。
【0031】
集電端子101の薄肉部分111と反転板120の圧力感知面121との間の溶接部分が破断して反転板120が変形すると、導電部材130と集電端子101とが離隔する。このような原理によって、電池要素と外部端子との電気的な接続が遮断され、電池要素Bと外部端子との間を流れる電流が遮断される。
【0032】
図3は、実施の形態1の電池スタックの構成を示す側面図である。
図4は、実施の形態1の電池スタックの構成を示す平面図である。
図3および
図4に示す電池スタックは、
図1および
図2を参照して説明した二次電池セル10が、複数個接続されることにより構成されている。電池スタックでは、複数の二次電池セル10が、図中の左右方向に積層されて、積層体を構成している。二次電池セル10は、各々の筐体のうち最も面積の大きい側面が互いに対向するように、配列されている。
【0033】
二次電池セル10同士の接続は、バスバー13によって行なわれている。複数の二次電池セル10は、隣接する二次電池セル10間で正極端子11と負極端子12とが隣り合うように、交互に向きを反転させた状態で積層されている。二次電池セル10の正極端子11は、隣接する二次電池セル10の負極端子12と隣り合って配置されている。そして正極端子11と負極端子12とをバスバー13が接続している。これにより、複数の二次電池セル10が直列に接続されている。
【0034】
複数の二次電池セル10の積層体の積層方向(
図3,4中の左右方向)の両端には、エンドプレート30,40が配置されている。エンドプレート30は、二次電池セル10の積層体に対して、積層方向の一端に配置されている。エンドプレート40は、二次電池セル10の積層体に対して、積層方向の他端に配置されている。エンドプレート30,40は、各々の主表面が対向するように配置されている。複数の二次電池セル10が、エンドプレート30,40の間に配列されている。エンドプレート30,40は、二次電池セル10の積層方向の両側から、二次電池セル10の積層体を挟み込んでいる。
【0035】
隣接する二次電池セル10,10の間には、介在部材21,22が配置されている。介在部材21,22が隣接する二次電池セル10の間に介在しているために、各々の二次電池セル10は、互いに距離を隔てて配列されている。介在部材21は、絶縁材料製であり、隣接する二つの二次電池セル10同士の絶縁を確保している。介在部材22は、介在部材21と二次電池セル10との間に隙間を形成しており、二次電池セル10の冷却を促進している。
【0036】
エンドプレート30,40は、拘束部材50によって連結されている。拘束部材50は、エンドプレート30からエンドプレート40にまで亘って、二次電池セル10の積層体の積層方向に延びている。拘束部材50は、
図3に示すように、二次電池セル10およびエンドプレート30,40の高さ方向(
図3中の上下方向)において、複数設けられている。拘束部材50は、
図4に示すように、エンドプレート30,40の両方の側面に設けられている。
【0037】
複数の二次電池セル10の積層体の周囲は、エンドプレート30,40および拘束部材50によって拘束されている。二次電池セル10の積層体は、積層方向に沿って押圧されている。拘束部材50は、二次電池セル10の積層体を積層方向の両側から挟み込んで拘束する拘束荷重を、エンドプレート30,40に負荷している。
【0038】
図5は、拘束部材50の構成を示す模式図である。
図5に示すように、拘束部材50は、細長い板状の形状を有している。拘束部材50には、丸穴51および長穴52が形成されている。丸穴51および長穴52は、拘束部材50を厚み方向に貫通する貫通孔として形成されている。丸穴51は、拘束部材50の一方の端部の近傍に形成されている。長穴52は、拘束部材50の他方の端部の近傍に形成されている。長穴52は、拘束部材50の延在方向に沿って延びる形状を有している。
【0039】
拘束部材50は、たとえばピン、ネジなどの固定部材61によって、エンドプレート30,40に固定されている。固定部材61は、拘束部材50に形成された長穴52を貫通して、エンドプレート30に固定されている。固定部材61は、拘束部材50に形成された丸穴51を貫通して、エンドプレート40に固定されている。丸穴51は、拘束部材50がエンドプレート40に連結される部分に形成されている。長穴52は、拘束部材50がエンドプレート30に連結される部分に形成されている。
【0040】
拘束部材50が固定部材61によってエンドプレート30,40に連結された状態で、
図3に示す電池スタックの側方視において、丸穴51はその全体が固定部材61によって覆われている。一方、長穴52は、その一部のみが固定部材61によって覆われており、
図3に示すように長穴52の一部が側方から視認可能になっている。
【0041】
拘束部材50は、二次電池セル10の積層体の積層方向に延びている。長穴52は、拘束部材50の延在方向に沿って延びている。そのため、長穴52は、拘束部材50がエンドプレート30,40に連結された状態で、二次電池セル10の積層体の積層方向に延びている。
【0042】
図3,4に示す電池スタックは、以下のようにして製造することができる。まず、
図1に示す二次電池セル10を複数準備する。複数の二次電池セル10を一方向に積層するように配列させ、積層体の両端にエンドプレート30,40を配置し、介在部材21,22を隣接する二次電池セル10間に配置する。公知の押圧治具または押圧装置を用いて、エンドプレート30,40に対し、二次電池セル10の積層体の積層方向に沿う押圧力を印加する。
【0043】
積層体を両側から押圧した状態で、エンドプレート30,40に拘束部材50を連結する。より詳細には、拘束部材50をエンドプレート30,40の側面に配置した状態で、拘束部材50の丸穴51に固定部材61を挿通して、当該固定部材61をエンドプレート40に固定する。同様に、拘束部材50の長穴52に固定部材61を挿通して、当該固定部材61をエンドプレート30に固定する。
【0044】
このようにして、二次電池セル10の積層体に対して、積層方向の両側から積層体を挟み込む方向の拘束荷重を印加し、複数の二次電池セル10を拘束した電池スタックが得られる。
【0045】
以上の構成を備えている電池スタックにおいて、上述したように、各々の二次電池セル10は、筐体の内部に電流遮断機構100を有している。また、二次電池セル10の筐体の内部には、ガス発生剤(過充電添加剤)が収容されている。過充電時には、ガス発生剤がガスを発生することにより、筐体の内圧を上昇させ、これにより電流遮断機構100を作動させて、電流を遮断する。これにより、二次電池セル10の過充電に対する保護が行われる。
【0046】
過充電時に電流遮断機構100を確実に作動させるためには、十分なガス発生量が必要である。しかし、電池要素Bからのガス抜けが不十分であると、滞留するガスによって電解液が押し出されて反応が阻害され、ガス発生が減少する。その結果、ガス発生量が不十分となり、電流遮断機構が正常に作動しない場合がある。
【0047】
そこで、本実施の形態の電池スタックでは、拘束部材50に長穴52が形成されている。長穴52は、拘束部材50の延在方向に延びている。拘束部材50がエンドプレート30,40に取り付けられた状態で、長穴52は、複数の二次電池セル10の積層方向に延びている。エンドプレート30は、長穴52に沿って、拘束部材50に対する相対位置を変化可能に設けられている。拘束部材50がエンドプレート30,40の両方に連結された状態において、エンドプレート30は、二次電池セル10の積層方向に沿って、エンドプレート40に対して相対移動可能である。
【0048】
これにより、複数の二次電池セル10の積層体は、エンドプレート30,40によって両側から拘束された状態で、積層方向の長さを可変に構成されている。そのため、各々の二次電池セル10は、厚み方向の寸法が増大することが許容されている。過充電時に二次電池セル10の内部でガスが発生し内圧が上昇したとき、二次電池セル10が膨らんで厚み方向に広がることができるので、電池要素Bからのガス抜けが容易となっている。
【0049】
このようにすれば、過充電時に、二次電池セル10の筐体の内部において十分なガス量が得られるため、確実に電流遮断機構100を作動することができる。
【0050】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2の電池スタックの構成を示す側面図である。
図7は、実施の形態2の電池スタックの構成を示す平面図である。
図6および
図7に示す実施の形態2の電池スタックは、拘束部材50の構成において、実施の形態1の電池スタックと異なっている。
【0051】
具体的には、実施の形態2の拘束部材50は、二次電池セル10の積層方向に延びる延在部53と、延在部53の両端に設けられエンドプレート30,40に係合する係合部54とを有している。係合部54は、エンドプレート30,40の主表面のうち、二次電池セル10に対向しない側の主表面に接触している。係合部54は、
図6,7には図示しない固定部材を用いて、エンドプレート30,40に固定されている。
【0052】
延在部53、および係合部54は、いずれも平板状の部材により形成されている。一体の板状部材を機械加工して拘束部材50を成形してもよく、延在部53および係合部54をそれぞれ構成している板状部材を接合して拘束部材50を成形してもよい。
【0053】
実施の形態2の拘束部材50は、複数の二次電池セル10の積層体を両側からエンドプレート30,40で挟み込んだ構造物に対し、当該構造物を両端から挟み込むことにより、拘束荷重を負荷している。
【0054】
このような構成を備えている実施の形態2の電池スタックにおいて、拘束部材50の延在部53の材質および形状を適切に選定することにより、過充電時に二次電池セル10が厚み方向に膨らもうとする力が負荷されたとき、延在部53が変形する。これにより、拘束部材50がエンドプレート30,40の両方に連結された状態において、エンドプレート30は、二次電池セル10の積層方向に沿って、エンドプレート40に対して相対移動可能になる。
【0055】
したがって、実施の形態1と同様に、過充電時に二次電池セル10が膨らんで厚み方向に広がることができるので、電池要素Bからのガス抜けが容易となり、二次電池セル10の筐体の内部において十分なガス量が得られるため、確実に電流遮断機構100を作動することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例について説明する。以下に説明する実施例では、上述した実施の形態で説明した電池スタックに対し、二次電池セル10の内圧を上昇させる試験、および二次電池セル10を過充電する過充電試験を行なった。
【0057】
セル仕様Aおよびセル仕様Bの、二つの仕様の二次電池セル10を準備した。セル仕様Aの二次電池セル10では、正極を三元系正極とし、負極の原料をグラファイトとした。過充電添加剤としては、2wt%のシクロヘキシルベンゼン(CHB)を使用した。電池要素Bの正負の電極板を隔離するとともに電極板間に電解液を保持するセパレータとしては、PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)/PPの3層セパレータを用いた。二次電池セル10の外形寸法は、幅方向150mm、厚み方向26mm、高さ方向90mmとした。二次電池セル10の容量は30Ahとした。
【0058】
なお、二次電池セル10の厚み方向は、複数の二次電池セル10の積層される方向(
図3,4中の左右方向)に相当する。二次電池セル10の高さ方向は、
図3中の上下方向に相当する。二次電池セル10の幅方向は、
図4中の上下方向に相当する。二次電池セル10の幅方向、厚み方向および高さ方向は、互いに直交する三方向である。
【0059】
セル仕様Bの二次電池セル10では、正極を三元系正極とし、負極の原料をグラファイトとした。過充電添加剤としては、2wt%のシクロヘキシルベンゼン(CHB)を使用した。電池要素Bの正負の電極板間に設けられ、電解液を保持するセパレータとしては、PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)/PPの3層セパレータを用いた。二次電池セル10の外形寸法は、幅方向138mm、厚み方向13mm、高さ方向63mmとした。二次電池セル10の容量は4Ahとした。
【0060】
準備した二次電池セル10を積層し、積層方向の両端にエンドプレート30,40をそれぞれ配置した。積層体の積層方向に500kgfの荷重をかけた状態で、3N・mで固定部材61(ボルト)をエンドプレート30,40に締結することにより、電池スタックを拘束した。
【0061】
二次電池セル10の内圧を上昇させる試験は、電池スタックに含まれている二次電池セル10のうちの1つに穴をあけ、当該二次電池セル10に外部から0.3MPaの圧力をかけて行なった。このときの電池スタックの、積層体の積層方向における寸法(スタック全長)の変化を測定した。
【0062】
過充電試験は、内圧センサを取付けた二次電池セル10に対して、充電条件20A(SOC(State of Charge)145%まで充電)、試験温度25℃の試験条件で実施した。過充電時の二次電池セル10の内圧上昇を測定し、比較した。
【0063】
図8は、実施例1,2および比較例1,2の電池スタックの評価試験の結果を示す図である。実施例1,2では、上述した実施の形態1の電池スタックを用いて、試験を実施した。比較例1,2では、実施の形態1の拘束部材50の長穴52に替えて、丸穴51と同様の丸穴を形成した拘束部材を備えている電池スタックを用いて、試験を実施した。
【0064】
図8に示すように、実施例1,2の場合、二次電池セル10を0.3MPaに加圧した際に、スタック全長は0.2mm増加した。一方、比較例1,2では、二次電池セル10を0.3MPaに加圧した際に、スタック全長は0.04mmしか増加できなかった。
【0065】
また
図8に示すように、実施例1,2の場合、二次電池セル10の内圧上昇時にスタック全長の変化が許容されており、そのため、過充電時にそれぞれ1.1MPa、1.0MPaの内圧上昇が可能であった。一方、比較例1,2の場合、過充電時に内圧はそれぞれ0.7MPa、0.6MPaしか上昇できなかった。
【0066】
図9は、実施例3および比較例3の電池スタックの評価試験の結果を示す図である。実施例3および比較例3では、上述した実施の形態2の電池スタックを用いて、試験を実施した。実施例3では、拘束部材50の断面積を4mm
2とした。比較例3では、拘束部材50の断面積を8mm
2とした。実施例3の拘束部材50は、比較例3の拘束部材50よりも剛性が小さく、したがって変形がより容易な仕様とした。
【0067】
図9に示すように、実施例3の場合、二次電池セル10を0.3MPaに加圧した際に、スタック全長は0.1mm増加した。一方、比較例3では、二次電池セル10を0.3MPaに加圧した際に、スタック全長は0.05mmしか増加できなかった。
【0068】
また
図9に示すように、実施例3の場合、二次電池セル10の内圧上昇時にスタック全長の変化が許容されており、そのため、過充電時に1.1MPaの内圧上昇が可能であった。一方、比較例3の場合、過充電時に内圧は0.7MPaしか上昇できなかった。
【0069】
したがって、拘束部材50に長穴52を形成するか、または拘束部材50を変形容易に形成して、エンドプレート40に対してエンドプレート30を相対移動可能とすることで、過充電時に電池スタックのスタック全長を増加可能として、二次電池セル10の厚み方向への膨らみを許容することができる。その結果、過充電時に十分なガス発生量を確保でき、確実に電流遮断機構100を作動できることが示された。
【0070】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。