特許第6204321号(P6204321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シィップの特許一覧

<>
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000002
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000003
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000004
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000005
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000006
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000007
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000008
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000009
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000010
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000011
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000012
  • 特許6204321-移動体及びそれを用いた昇降台装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204321
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】移動体及びそれを用いた昇降台装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 15/00 20060101AFI20170914BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B62D15/00
   B61B13/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-201292(P2014-201292)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-68825(P2016-68825A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】597048986
【氏名又は名称】株式会社シィップ
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義信
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−095235(JP,A)
【文献】 特開平10−119764(JP,A)
【文献】 特開平07−156804(JP,A)
【文献】 特開2010−083467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 15/00
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を支持する支持用車輪と、駆動手段を有する駆動用車輪と、前記駆動用車輪の方向を変換する方向変換装置とを備えた移動体であって、
前記方向変換装置は、前記駆動用車輪を着床及び離床させる昇降手段を備え
前記昇降手段は、前記駆動用車輪を水平方向に回転させる回転機構と、傾斜部を有する案内部とを備え、
前記駆動用車輪は、前記案内部に案内される被案内部を備え、
前記駆動用車輪の水平方向の回転に伴い、前記被案内部を前記傾斜部に沿って昇降させて、前記駆動用車輪の昇降を行うことを特徴とする移動体。
【請求項2】
前記被案内部を転動部材とすることを特徴とする請求項記載の移動体。
【請求項3】
前記回転機構は、前記駆動用車輪が所定の走行方向で回転を停止するブレーキ手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の移動体の上部に作業台を昇降可能に備えたことを特徴とする昇降台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を備えた移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輪を備えた移動体として、車輪を備えた台車本体上に、昇降装置を介して受け治具を昇降可能に備えた作業台車がある。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−246017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の移動体では、車輪の進行方向の向きをその場で任意の方向へ変えるためには、作業台車全体をジャッキなどで持ち上げて回転させる必要があり、非常に手間がかかるという問題点があった。また、このように移動体全体を回転させてしまうと、移動体の向きが変わってしまうという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、車輪の走行方向を容易に変更させることができる移動体及びそれを用いた昇降台装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、移動体を支持する支持用車輪と、駆動手段を有する駆動用車輪と、前記駆動用車輪の方向を変換する方向変換装置とを備えた移動体であって、前記方向変換装置は、前記駆動用車輪を着床及び離床させる昇降手段を備え、前記昇降手段は、前記駆動用車輪を水平方向に回転させる回転機構と、傾斜部を有する案内部とを備え、前記駆動用車輪は、前記案内部に案内される被案内部を備え、前記駆動用車輪の水平方向の回転に伴い、前記被案内部を前記傾斜部に沿って昇降させて、前記駆動用車輪の昇降を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項記載の本発明は、前記被案内部を転動部材とすることを特徴とする。
【0008】
請求項記載の本発明は、前記回転機構は、前記駆動用車輪が所定の走行方向で回転を停止するブレーキ手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項記載の本発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の移動体の上部に作業台を昇降可能に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、移動体の走行方向をその場で容易に変更することができる。また、昇降手段によって駆動用車輪を離床させて駆動用車輪の方向変換を行うことにより、方向変換時の移動体の位置ずれを防止することができる。また、簡単な構成で駆動用車輪の昇降を容易に行うことができる。
【0011】
請求項の発明によれば、駆動用車輪の昇降を円滑に行うことができる。
【0012】
請求項の発明によれば、駆動用車輪の走行方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0013】
請求項の発明によれば、走行方向を容易に変更することができる昇降台装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1を示す作業台を上昇させた状態を示す昇降台装置の斜視図である。
図2】同上、昇降台装置の断面図である。
図3】同上、作業台を省略した昇降台装置の平面図である。
図4】同上、取付枠付近の断面図である。
図5】同上、駆動用車輪の走行方向が昇降台装置の左右方向と平行な状態を示す駆動用車輪装置の説明図である。
図6】同上、駆動用車輪の走行方向が昇降台装置の左右方向及び前後方向の中間を向いた状態を示す駆動用車輪装置の説明図である。
図7】同上、駆動用車輪の走行方向が昇降台装置の前後方向と平行な状態を示す駆動用車輪装置の説明図である。
図8】同上、支持用車輪の斜視図である。
図9】同上、昇降手段の別の実施形態を示す斜視図である。
図10】同上、昇降手段の更に別の実施形態を示す斜視図である。
図11】同上、昇降手段の更に別の実施形態を示す斜視図である。
図12】同上、昇降手段の更に別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の移動体及びそれを用いた昇降台装置の実施形態の一例について、図1図12を参照しながら説明する。本実施例の昇降台装置としての自走式昇降台装置1は、車輪2を備えた移動体としての基台3と、基台3に備えた昇降装置4と、昇降装置4を介して基台3の上部に昇降自在に備えた作業台としての載置台5とを備えている。
【0017】
昇降装置4は、基台3の上部に備えた一対の下側ガイドレール6と、載置台5の下部に備えた一対の上側ガイドローラ7と、下側ガイドローラ6と上側ガイドローラ7との間に設置されたシザースリンク式のリンク機構8と、リンク機構8を伸縮させるシリンダ機構9と、シリンダ機構9を駆動させるシリンダ駆動手段(図示せず)とを備えている。
【0018】
リンク機構8は、左右一対の外側リンクアーム11と、外側リンクアーム11の内側に配置された左右一対の内側リンクアーム12とを備えており、外側リンクアーム11と内側リンクアーム12は互いの中央部分を回動自在に連結されている。
【0019】
内側リンクアーム12の下端は下側ガイドレール6の前方に回動自在に連結されており、外側リンクアーム11の下端には下側ガイドレール6を転動する下側ガイドローラ13を回動自在に備えている。
【0020】
外側リンクアーム11の上端は上側ガイドレール7の前方に回動自在に連結されており、内側リンクアーム12の上端には上側ガイドレール7を転動する上側ガイドローラ14を回動自在に備えている。
【0021】
尚、基台3と載置台5の左右には、リンク機構8の昇降動作に対応して、リンク機構8を外部から隠匿するカバー部材15を備えている。カバー部材15は、複数の板部材を上下方向に展開可能に基台3と載置台5の左右を連結したものである。
【0022】
シリンダ機構9としては、基台3の上部の四カ所にそれぞれ載置台5の四隅下部を支持可能に配置された複数の油圧シリンダを備えている。
【0023】
自走式昇降台装置1の車輪2としては、基台3の四隅下部に支持用車輪16を複数備えるとともに、基台3の中央下部には駆動用車輪装置17を備えている。
【0024】
支持用車輪16は、多方向移動ホイールを用いており、駆動用車輪装置17の走行方向に追従可能としている。ここで図8に示すように、多方向移動ホイールは、駆動軸16Aを中心にして回転する2枚のホイール18A、18Bと、各ホイール18の外周に駆動軸16Aと直交する軸16Bを中心として回転可能に設けられた複数の樽型のローラ19とを有する車輪であり、2枚のホイール18は位相を45度ずらして設けられており、車輪本体の回転により前後方向に移動し、樽型のローラ19の回転により左右方向に移動可能な構成となっている。尚、支持用車輪16は、上記の多方向移動ホイールに限定されるものではなく、キャスター等の自在車輪やボールキャスター等としてもよいものとする。
【0025】
駆動用車輪装置17は、一対の駆動用車輪20を備えた車輪ユニット21を軸部材22に対してそれぞれ対称に配置して、軸部材22に対して上下方向に揺動可能に備えたものである。軸部材22は、基台3の下部中央において後述する回転駆動機構95によって水平方向に回動可能に備えている。
【0026】
車輪ユニット21は、基端側を軸部材22に上下方向に揺動可能に接続された一対のアーム部材23と、一対のアーム部23の先端側に架設され、垂直方向と平行に設置された板材からなり、一対の駆動用車輪20を取り付けた側壁部材24と、一対のアーム部材23の下部に架設され、水平方向と平行に設置された板材からなる床面部材25と、床面部材25に載置された車輪側減速機構26と、アーム部材23の基端側から外向きに突設され、水平方向と平行に設置された板材からなる駆動装置取付部材27と、駆動装置取付部材27に設置された駆動用車輪20の駆動手段であるモータ28とを備えている。
【0027】
尚、一対の駆動用車輪20の車軸29は車輪側減速機構26に連結され、この車輪側減速機構26とモータ側の駆動側減速機構31はチェーン又はベルト等の伝達手段(図示せず)によって連結されている。これによって、モータ28からの回転駆動力は各減速機構26、31を介して各駆動用車輪20に伝達される構成としている。
【0028】
側壁部材24は、一対の駆動用車輪20の車軸29を挿通可能な複数の駆動用ベアリング33を備えており、この駆動用ベアリング33によって駆動用車輪20の車軸29を側壁部材24で軸承している。
【0029】
軸部材22の中央部分には、軸部材22の軸心方向と直交し、垂直方向と平行に設置された板材からなる垂壁部材34を備えている。垂壁部材34の両端には、水平方向と平行に設置された板材からなる押え部材35を備えている。
【0030】
尚、押え部材35と床面部材25との間には、コイルスプリング等の弾性部材からなる付勢手段36を備えている。この付勢手段36によって床面部材25を下方へ押し付ける方向に付勢力が働いている。
【0031】
垂壁部材34の中央部分上部には、上方に突設された突設部37を備えている。この突設部37の中央部分には、下方に凹設された凹設部38を備えている。この凹設部38には、円筒形状の円筒部材39の下部が嵌合している。
【0032】
円筒部材39の外周下部には、外周方向に突設された外向き突条部40を備えている。外向き突条部40の上部には、第1のリング部材41が載置される。この第1のリング部材41には、その内周下部に半径方向内向きに突設された内向き突条部42を備えている。
【0033】
円筒部材39の外周面、第1のリング部材41の内周面及び内向き突条部42によって囲まれた空間には、第1のベアリング43の下側軌道輪44が設置される。また、第1のベアリング43の上側軌道輪45には、第2のリング部材46が設置されている。
【0034】
第2のリング部材46は、内周上部に半径方向内向きに突設された内向き突条部47を備えている。第2のリング部材46の内向き突条部47が、第1のベアリング43の上部に設置されている。第2のリング部材46の外周上部には、外向きに突設された外向き突条部48を備えている。第2のリング部材46の外向き突条部48は、基台3に設けた第3のリング部材49にボルト50を介して固定されている。
【0035】
第3のリング部材39は、基台3の天面部51における中央部分の下部に下向き突設された後述する回転駆動機構95を収容するスペース52を画設する取付枠53の床面部54に設けた開口部55の縁部分に嵌合させて設置されたものである。
【0036】
第2のリング部材46の上部には、第4のリング部材56がボルト57で固定されている。第4のリング部材56の内周上部には、半径方向内向きに突設された内向き突条部58を備えている。
【0037】
第2のリング部材46の上部、第4のリング部材56の内周面及び内向き突条部58によって囲まれた空間には、第2のベアリング59の外側軌道輪60が設置される。第2のベアリング59の内部には、円筒部材39の上部に載置された第5のリング部材61が挿入されている。
【0038】
第5のリング部材61の上部には、第5のリング部材61とボルト62を介して固定された第6のリング部材63を備えている。第6のリング部材63の外周中間には、外向きに突設された外向き突条部64を備えている。第6のリング部材63の外向き突条部64は、第2のベアリング59の内側軌道輪65の上部に載置されている。また、第6のリング部材63の外向き突条部64の上部には、外向きに突設された先端側突条部66を備えている。第6のリング部材63の先端側突条部66の下部は、第4のリング部材56の内向き突条部58とは非接触状態にある。第6のリング部材63の先端側突条部66の上部には、第7のリング部材67がボルト68で固定される。
【0039】
第7のリング部材67は、第6のリング部材63の外周に嵌合される。第7のリング部材67の外周下部には、外向きに突設された外向き突条部69を備えている。第7のリング部材67の上部には、第8のリング部材70がボルト71で固定されている。
【0040】
第8のリング部材70の外周上部には、外向きに突設された外向き突条部72を備えている。そして、第7のリング部材67の外周及び外向き突条部69、第8のリング部材70の外周及び外向き突条部72によって形成される凹溝部73には、リングギア74が嵌合されている。
【0041】
リングギア74の外周には、リングギア74の半径方向外向きに放射状に配置された複数の周知のマグネットブレーキ75のブレーキギア76が噛合している。マグネットブレーキ75は、取付枠53の床面部54に複数設けた凹部77に嵌合された軸受部78に設置されている。
【0042】
複数のマグネットブレーキ75のうちの一部、つまり本実施例では8個のマグネットブレーキ75の内の2個には、マグネットブレーキ75の駆動軸79を複数のギア群からなる減速機構80を介してモータ等の駆動手段81に連結されている。ここでマグネットブレーキ75は、通電が断たれたときにマグネットブレーキ75の駆動軸79が制動状態となり、ブレーキギア76と噛合するリングギア74の回転を制動して、リングギア74を所定の回転角度にて停止状態に保持するものである。
【0043】
また、リングギア74の回転時に、軸部材22の軸方向Aが自走式昇降台装置1の前後方向X又は左右方向Yのいずれかと平行となるように、マグネットブレーキ75を制御してリングギア74の回転を制動する制御手段(図示せず)を備えている。
【0044】
取付枠53は、床面部54と、床面部54の周縁に立設された側壁部82を備えている。床面部54は、中央部分に開口部55を備え、対向する一対の直線状の辺83とこの一対の直線状の辺83と直交する向きに備えた対向する一対の円弧状の辺84からなる平面形状を有している。
【0045】
床面部54の一対の直線状の辺83から立設された一対の側壁部82には、側壁部82の外周面に沿って形成された一対の直線状の案内部85を備えている。直線状の案内部85は、水平方向と平行に設けた水平部86と、水平部86の両端を下向きに傾斜して形成した傾斜部87を備えた板部材からなる。
【0046】
床面部54の一対の円弧状の辺84から立設された一対の側壁部82には、側壁部82の外周面に沿って形成された一対の円弧状の案内部88を備えている。円弧状の案内部88は、水平方向と平行に設けた水平部89と、水平部89の両端を下向きに傾斜して形成した傾斜部90を備えた板部材からなる。
【0047】
隣接する直線状の案内部85の傾斜部87と円弧状の案内部88の傾斜部90との間には、隙間91が形成されている。隙間91は、少なくとも車輪ユニット21の側壁部材24に備えた案内用車輪92の直径以上の大きさに形成されている。
【0048】
案内用車輪92は、側壁部材24の両端から外向き斜め方向に備えた延設片93の端部に回動自在に備えたシャフト付きベアリングであるカムフォロアからなる。案内用車輪92のシャフト94は、取付枠53の床面部54の中心方向に向けて延設片93に装着されている。そのため、各車輪ユニット21が後述する回転軸部96を回転軸として水平方向に回動すると、案内用車輪92が取付枠53の側壁部82の外周に沿って移動可能に設けられている。
【0049】
車輪ユニット21を水平方向に回転させる回転駆動機構95において、円筒部材39、第1のリング部材41、第5のリング部材61、第6のリング部材63、第7のリング部材67及び第8のリング部材70からなる回転軸部96は、第2のリング部材46、第3のリング部材49及び第4のリング部材56からなる軸受部97に、第1のベアリング43及び第2のベアリング59を介して水平方向に回動自在に軸支されている。
【0050】
尚、98は自走式昇降台装置1の電源のオン/オフ、載置台5の昇降及び自走式昇降台装置1の方向転換等の各種操作を行うコントローラ(図示せず)を基台3に電気的に接続するコードである。尚、コントローラは、基台3に対して有線式に限らず無線式としてもよい。
【0051】
基台3の上部の前後には、自走式昇降台装置1の存在を周囲に報知する警告灯やスピーカ等の報知手段99を備えている。基台3の外周下部には、ゴム製のバンパー部材3Aを備えたスカート部材3Bを備えており、車輪の露出を防止して、周囲の人や物への接触時の衝撃を軽減するものである。また、基台3には緊急時に自走式昇降台装置1の動作を停止させる緊急停止用スイッチ(図示せず)も備えていてもよい。
【0052】
以上の構成の自走式昇降台措置1の使用方法について説明する。載置台5を昇降させるには、コントローラを操作してシリンダ駆動手段を制御し、シリンダ機構9を伸縮させてリンク機構8を伸縮させると載置台5が昇降する。ここで、リンク機構8が伸長するとき、上側ガイドローラ14は上側ガイドレール7を前方に転動するとともに、下側ガイドローラ13は下側ガイドレール6を前方に転動する。また、リンク機構8が収縮するとき、上側ガイドローラ14は上側ガイドレール7を後方に転動するとともに、下側ガイドローラ14は下側ガイドレール6を後方に転動する。
【0053】
自走式昇降台装置1の走行方向を変換する方法について説明する。まず、駆動用車輪20の走行方向、つまり車軸部の軸方向Aを自走式昇降台装置1の前後方向Xから自走式昇降台装置1の左右方向Yへ変換する場合は、コントローラを操作して駆動手段81を起動させて、駆動手段81からの回転駆動力を減速機構80を介してマグネットブレーキ75の駆動軸79に伝達させて、マグネットブレーキ75の駆動軸79に装着されたブレーキギア76に噛合するリングギア74を回転させる。そして、リングギア74の回転により回転駆動機構95の回転軸部96が回転して車輪ユニット21が回転する。
【0054】
軸部材22の軸方向Aが自走式昇降台装置1の左右方向Yと平行となると、マグネットブレーキ75が作動してリングギア74を制動し、駆動用車輪20の走行方向Aは自走式昇降台装置1の左右方向Yと平行な状態で位置決めされる。
【0055】
ここで、駆動用車輪20の走行方向Aが自走式昇降台装置1の前後方向Xから左右方向Yへ変換する途中、駆動用車輪20が床面Fから最大で隙間Dだけ有して離間しているため、方向変換中の駆動用車輪20は床面Fと摩擦が生じず、容易に自走式昇降台装置1の走行方向Aを変換することができる。
【0056】
また、駆動用車輪20の走行方向、つまり軸部材22の軸方向Aを自走式昇降台装置1の左右方向Yから自走式昇降台装置1の前後方向Xへ変換する場合は、コントローラを操作して駆動手段81を起動させて、駆動手段81からの回転駆動力を減速機構80を介してマグネットブレーキ75の駆動軸79に伝達させて、マグネットブレーキ75の駆動軸79に装着されたブレーキギア76に噛合するリングギア74を回転させる。そして、リングギア74の回転により回転駆動機構95の回転軸部96が回転して車輪ユニット21が回転する。
【0057】
軸部材22の軸方向Aが自走式昇降台装置1の前後方向Xと平行となると、マグネットブレーキ75が作動してリングギア74を制動し、駆動用車輪20の走行方向Aは自走式昇降台装置1の前後方向Xと平行な状態で位置決めされる。
【0058】
ここで、駆動用車輪20の走行方向Aが自走式昇降台装置1の左右方向Yから前後方向Xへ変換する途中、駆動用車輪20が床面Fから最大で隙間Dだけ有して離間しているため、方向変換中の駆動用車輪20は床面Fと摩擦が生じず、容易に自走式昇降台装置1の走行方向Aの変換を行うことができる。
【0059】
このように、駆動用車輪20の走行方向Aを変換する際、各車輪ユニット21の駆動用車輪20は、リングギア74の回転による回転軸部96を回転軸とした回転駆動機構95の水平方向の回動に伴い、案内用車輪92が隙間91に位置して駆動用車輪20が床面Fに接地している着床状態から、案内用車輪92が各案内部85、88の傾斜部87、90の傾斜を上っていき水平部86、89へと転動すると、駆動用車輪20が付勢手段36からの付勢力に抗して床面Fから隙間Dを有して完全に離間した離床状態まで上昇する。
【0060】
そのため、軸部材22の軸方向Aが基台3の前後方向X又は左右方向Yを向いた状態では、車輪ユニット21の駆動用車輪20は床面Fに接地した着床状態にある。そして、軸部材22の軸方向Aが基台3の前後方向Xと左右方向Yの中間にある状態では、車輪ユニット21の駆動用車輪20は床面Fから隙間Dを有して離間した離床状態にある。
【0061】
尚、駆動用車輪20の回転機構としては、上述の取付枠53に備えた板状の案内部に駆動用車輪側の案内用車輪が乗り上がると、基台に対して駆動用車輪が上昇する機構以外にも、図9に示すように基台3側に設けた凹部200の下面部に、水平部201と、水平部201の両端に設けた傾斜部202とを備えた案内部203を備え、案内用車輪92が案内部203を乗り上がると駆動用車輪20が上昇する機構や、図10に示すように駆動用車輪20側に設けた凸部204の底面部に、水平部205と、水平部205の両端に設けた傾斜部206を備えた案内部207を備え、案内部207が基台3側の案内用車輪208を乗り上げると駆動用車輪20が上昇する機構や、図11に示すように基台3側に複数の車輪209を連続して備え、中間部分の複数の車輪209を水平に並設した水平部210と、水平部210の両端に複数の車輪209を下向きに傾けて並設した傾斜部211を設けた案内部212を備え、案内用車輪92が案内部212を乗り上がると駆動用車輪20が上昇する機構や、図12に示すように図11に図示する案内部212を駆動用車輪20側に備え、案内部212が基台3側の案内用車輪213を乗り上がると駆動用車輪20が上昇する機構や、これら図9図12に図示する機構を適宜組み合わせたものでもよいし、駆動用車輪20が回転に伴い基台3に対して昇降する機構であればこれらに限定されるものではない。
【0062】
また、駆動用車輪20の走行方向Aが自走式昇降台装置1の前後方向X及び左右方向Yにある場合には、付勢手段36からの下向きの付勢力によって駆動用車輪20が床面Fに押圧されているため、駆動用車輪20の駆動力を床面Fへ効率的に伝達させることができる。
【0063】
以上のことから本実施例では、移動体である基台3を支持する支持用車輪16と、駆動手段としてのモータ28を有する駆動用車輪20と、前記駆動用車輪20の方向を変換する方向変換装置として回転駆動機構95を備えた移動体としての基台3であって、回転駆動機構95は、駆動用車輪20を着床及び離床させる昇降手段として案内用車輪92及び案内部85、88を備えたことにより、ジャッキなどを用いることなく、駆動用車輪20の走行方向を変更させて、昇降台装置1の走行方向をその場で容易に変更することができる。また、駆動用車輪20を持ち上げながら回転させることにより、載置台5の積載重量が大きくても容易に駆動用車輪20の回転を行うことができる。また、昇降手段によって駆動用車輪20を離床させて駆動用車輪20の方向変換を行うことにより、方向変換時の基台3の位置ずれを防止することができる。
【0064】
また、昇降手段は、駆動用車輪20を水平方向に回転させる回転機構として回転駆動機構95と、前記基台3及び前記駆動用車輪20のいずれか一方に傾斜部87、90を有して備えた案内部85、88と、前記基台3及び前記駆動用車輪20のいずれか他方に前記案内部85,88に案内される備えた被案内部としての案内用車輪92とを備え、前記駆動用車輪20の水平方向の回転に伴い、前記案内部85、88及び前記案内用車輪92のいずれか一方を前記傾斜部87、90に沿って昇降させて、駆動用車輪20の昇降を行うものとすることで、簡単な構成で駆動用車輪20の昇降を容易に行うことができる。
【0065】
さらに、前記被案内部を転動部材である案内用車輪92とすることにより、案内部85、88の傾斜部87、90への乗り上げが容易となり、駆動用車輪20の昇降を円滑に行うことができる。
【0066】
また、回転駆動機構95は、駆動用車輪20が所定の走行方向で回転を停止するブレーキ手段としてマグネットブレーキ75を備えたことにより、駆動用車輪20の走行方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0067】
さらに、自走式昇降台装置1は基台3に載置台5を昇降可能に備えたものとすることで、走行方向を容易に変更することができる自走式昇降台装置1を提供することができる。
【0068】
また、駆動用車輪装置17は、一対の車輪ユニット21と、一対の車輪ユニット21を揺動自在に連結する揺動軸である軸部材22と、一対の車輪ユニット21をそれぞれ着床方向に付勢する付勢手段36とを備えたことにより、駆動用車輪20の駆動力を床面Fへ効率的に伝達させることができる。
【0069】
尚、本発明は本実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明の作業台としては、本実施例の載置台に限られるものではなく、作業台本体の周囲に手摺りを立設した作業台でもよいものとする。また本実施例の基台3の上部構造は、昇降装置4を介した作業台5に限らず、例えば貨物運搬用や乗用としてもよく、また基台3自体を作業台としてもよく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 自走式昇降台装置
2 車輪
3 基台(移動体)
5 載置台(作業台)
16 支持用車輪
20 駆動用車輪
75 マグネットブレーキ(ブレーキ手段)
85 案内部
87 傾斜部
88 案内部
90 傾斜部
92 案内用車輪(転動部材)
95 回転駆動機構(回転機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12