(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された蓋センサの取付構成では、蓋センサの先端部が、蓋体に対して着脱可能である内蓋に取り付けられたカバー部材で包囲されている。蓋体に対する内蓋の付け忘れが起こった場合、蓋センサの先端部の周囲にはカバー部材が配設されない状態になってしまう。そのため、内蓋が蓋体に対して取り付けられているか否かによって、蓋センサによって測定される内鍋内の測定温度が変動してしまい、調理性能にも好ましくない影響を及ぼしてしまう。
【0005】
また、内蓋が蓋体から取り外されて清掃される場合、蓋体の放熱板から突出する蓋センサの先端部が、蓋体の清掃の妨げになり、蓋センサの破損を引き起こしてしまう恐れもある。
【0006】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、内蓋が蓋体に装着されているか否かにかかわらず、内蓋近傍での蒸気温度を安定して測定するとともに、蓋体の清掃を容易に行える加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下の加熱調理器が提供される。
【0008】
すなわち、この発明に係る加熱調理器は、
鍋を収容する調理器本体と、
前記鍋の上部を覆って、前記調理器本体に開閉可能に配設される蓋体と、
前記蓋体に対して着脱可能に取り付けられる内蓋と、
前記蓋体に配設されて、前記鍋から発生した蒸気の前記内蓋の近傍での温度を測定する蒸気センサと、を備え、
前記蓋体は、前記内蓋の側に開口を有する凹状のセンサ収容空間を前記蓋体の下面の側に有し、
前記蒸気センサの少なくとも一部は、前記センサ収容空間内に配設され、前記蒸気センサの先端側にある先端温度検出部は、前記内蓋に向けて延在していることを特徴とする。
【0009】
この発明では、蒸気センサの少なくとも一部は、センサ収容空間内に配設され、蒸気センサの先端側にある先端温度検出部は、内蓋に向けて延在しているので、先端温度検出部が鍋からの蒸気に直接的に接し、蓋体に対する内蓋の着脱の影響を受けることなく、内蓋近傍での蒸気温度を安定して測定することができる。また、蒸気センサの先端側にある先端温度検出部が蓋体から突出することがほとんど無いため、蓋体の清掃の妨げにはならず、清掃性が向上するという効果を奏する。
【0010】
先端温度検出部は、蓋体の下面と内蓋の上面との間に形成される隙間空間まで延在していることが好ましい。このようにすれば、先端温度検出部が延在する長さが長くなるため、温度測定の応答性が向上する。しかしながら、先端温度検出部が内蓋から突出することが無いため、内蓋を付けた状態での蓋体の清掃の妨げにはなりにくい。
【0011】
蒸気センサの隙間空間における長さは、センサ収容空間における長さよりも短いことが好ましい。このようにすれば、温度測定の応答性と清掃性とが両立することができる。
【0012】
蓋体は、内蓋の上面に対して全周で当接して、センサ収容空間及び隙間空間を構成する内側パッキンを備えていることが好ましい。このようにすれば、蓋体からの熱の影響を低減して、蒸気温度測定の応答性及び精度を高めることができる。
【0013】
蓋体は、内側パッキンの外側において、内蓋の上面に対して全周で当接する外側パッキンを備えていることが好ましい。このようにすれば、異物等により内側パッキンがうまく機能していない場合であって、外側パッキンが内側パッキンの機能を果たすため、蒸気温度を迅速に且つ安定して測定することができる。
【0014】
蓋体は、鍋内の圧力を検出する圧力センサを、センサ収容空間に連通するように配置していることが好ましい。このようにすれば、省スペース化と、パッキンの共有化による低コスト化とを図ることができる。
【0015】
内側パッキンは、内蓋に設けられた蒸気導入孔を通じて鍋側に突出する面状の舌状部を有することが好ましい。このようにすれば、鍋からの蒸気をセンサ収容空間等に導入しやすくなり、蒸気温度測定の応答性及び精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の加熱調理器では、蒸気センサの先端側にある先端温度検出部が内蓋に向けて延在しているので、内蓋近傍での蒸気温度を安定して測定することができ、また、蓋体の清掃性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の一実施形態に係る圧力炊飯器1について、
図1乃至7を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、一実施形態に係る圧力炊飯器(加熱調理器)1を示し、蓋体20を開放して内蓋30を取り外した状態を示す斜視図である。
【0020】
図1に示した圧力炊飯器1は、誘導加熱によって加熱される調理鍋である鍋3を着脱可能に収容する炊飯器本体10と、該炊飯器本体10に対して開閉可能に配設された蓋体20と、を備えている。
【0021】
炊飯器本体10は、筒形状をなす胴体12と、該胴体12の下端開口を閉塞する底体13と、胴体12の上端開口を覆うように取り付ける肩体14と、を有する外装体を備えている。肩体14の下部外周面には、鍋3の下部を加熱する加熱手段(例えば、誘導加熱コイル)と、鍋3の温度を検出するための鍋温度センサと、が配設されている。肩体14には、正面側で蓋体20のフック81と係合する係合穴82が設けられている。さらに、肩体14の正面上側には、複数の入力スイッチと、動作状況や操作状況を表示するための液晶表示パネルと、を有する表示・操作パネル15が配設されている。炊飯器本体10内には、制御基板(不図示)が配設され、この制御基板に実装されたマイコン(制御手段)によって、加熱手段の加熱(通電)が制御されている。
【0022】
蓋体20は、炊飯器本体10に対して閉じられたとき、炊飯器本体10の開口部を閉塞し、炊飯器本体10の外装体と共に外表面材を構成する上板21と、該上板21の底を閉塞する下板22と、を備えている。そして、下板22には、放熱板24と、蓋ヒータ(不図示)と、鍋3の上端開口を閉塞する内蓋30とが配設されている。また、蓋体20の内部には、鍋3内の温度を検出する蓋体温度センサ(不図示)が配設されている。
【0023】
蓋体20は、上板21と下板22とを有する外装体を備え、鍋3の上部を覆っている。上板21の正面側には、蓋体20を開放するための開放操作部材23が配設され、その内部に炊飯器本体10への閉塞状態を維持するためのロック機構(不図示)が配設されている。下板22は、炊飯器本体10の背部に形成されたヒンジ接続部に回転可能に装着されている。閉塞状態で鍋3の側に位置する下板22の下(内)側面には放熱板24が配設されている。そして、放熱板24の上側面には、鍋3内を加熱する蓋ヒータ(不図示)が配設されている。蓋ヒータは、各構成部品を配設するために形成された各種の孔を避けて迂回するように配設されている。
【0024】
鍋3に対面する放熱板24の下(内)側面には、鍋3の上端開口を閉塞する内蓋30が着脱可能に配設されている。この内蓋30は、プレート34を備え、プレート34の外周には枠部材32が取り付けられている。鍋3の上端開口の内周部を密閉するシール部材33が枠部材32の下(内)側面に配設されている。下板22に設けられた被係合部23A,23Bと係合する係合部33A,33Bが、枠部材32に設けられていて、内蓋30が蓋体20に対して着脱可能になる構成になっている。なお、内蓋30が蓋体20に対して着脱可能となる構成に限られず、内蓋30が蓋体20に対して離脱不可となる構成であってもよい。
【0025】
図1及び
図2に示すように、内蓋30には、放熱板24に設けられた蒸気温度測定部27に対応する位置に蒸気導入孔39が配設されている。内蓋30の上面側には、第1調圧弁35および第2調圧弁36が配設され、当該調圧弁35,36によって鍋3内の圧力を大気圧よりも高い圧力に設定することを可能にしている。
【0026】
第1調圧弁35および第2調圧弁36は、蒸気通路中に設けられた調圧機構である。第1調圧弁35および第2調圧弁36は、蓋体20の下板22に形成された第1調圧弁収容部25,第2調圧弁収容部26にそれぞれ収容されている。第1調圧弁35および第2調圧弁36は、内蓋30に対して鍋3の側である下側から配設される弁座をそれぞれ備えている。各弁座には、蒸気通路の入口となる連通孔がそれぞれ設けられている。また、各弁座の下端には、円環状をなすように径方向外向きに突出する第1調圧弁フランジ45,第2調圧弁フランジ46が設けられている。内蓋30の上側に配設される第1調圧弁35,第2調圧弁36の各本体部と、内蓋30の下側に配設される各弁座の第1調圧弁フランジ45,第2調圧弁フランジ46とが、内蓋30のプレート34を介して、内蓋30に固定される。第1調圧弁35および第2調圧弁36の本体部には、第1調圧弁収容部25及び第2調圧弁収容部26のそれぞれと連通する通気孔がそれぞれに設けられている。
【0027】
第1調圧弁35には、本体部の内部に連通孔を開放可能に閉塞する球状部材が転動可能に配設されている。球状部材は、鍋3内の圧力が、例えば1.30atmに上昇すると、その蒸気の圧力で連通孔上から転動することにより離れる重量のものを使用している。また、球状部材がソレノイド(不図示)で転動するように駆動されることにより、球状部材の状態は、連通孔から離れた開放状態と、連通孔の上に位置する閉塞状態と、に切り換えることができる。
【0028】
第2調圧弁36には、本体部に形成された連通孔を閉塞するための弁体と、この弁体を閉塞位置(下向き)に移動させる作動受部材と、これらの間に配設したスプリングとを備えている。弁体は、ステッピングモータ(不図示)の駆動により作動受部材が下向きに移動すると、スプリングの付勢力が付加されながら、連通孔を閉塞する。また、作動受部材の移動量(付勢力)を調節することにより、1.00〜1.30atmの範囲で、鍋3内の圧力を制御することができる。
【0029】
蓋体20の内部には、調理中に鍋3から発生した蒸気を外部に排気するための蒸気通路が形成されている。内蓋30に配設した第1調圧弁35および第2調圧弁36のそれぞれに形成された各連通孔が、蒸気通路における蒸気の入口となる。鍋3からの蒸気は、第1調圧弁35および第2調圧弁36の内に流入した後、第1調圧弁収容部25,第2調圧弁収容部26の下端開口から放熱板24と内蓋30の間に形成された空隙部に流入する。そして、鍋3からの蒸気は、空隙部を通って上板21に着脱可能に配設された蒸気ユニット29に流入する。そして、鍋3からの蒸気は、蒸気ユニット29内を通って、蒸気ユニット29に形成された排気部から外部へ排出される。
【0030】
図4,5に示すように、蓋体20の下板22には、蒸気温度測定部27を設置するための蒸気温度測定部設置空間70が形成されている。蒸気温度測定部27は、蒸気センサ50と、蒸気センサパッキン60と、を備える。蒸気センサ50は、熱電対式温度センサであり、鍋3に向けて下(内)側に延在し、その先端側に先端温度検出部51を有し、その基端側に支持部50Aを有する。先端温度検出部51は、調理中に鍋3から発生した蒸気の温度を直接的に測定するための部分であり、熱電対が内部に埋設されている。なお、蒸気温度測定部設置空間70は、後述するような、パッキン内部空間71のセンサ収容空間72を含んでいる。
【0031】
蒸気センサパッキン60は、内側パッキン61と、外側パッキン65と、シール体84と、を備える。
【0032】
図7に示すように、内側パッキン61は、ベース部63と、スカート部62と、側周部66と、有する。ベース部63は、略円柱形状をしており、その中央部に挿通穴64を有する。スカート部62は、ベース部63から末広がりに外側に拡径しながら下方に延びる略円筒形状をしている。側周部66は、ベース部63の下側外周において下方に延びて下側周壁を形成する。なお、
図6に示すように、スカート部62の先端部分の全周がプレート34の膨出部37の当接面38に接すると、スカート部62が外側に広がるように弾性的に湾曲変形して、気密のシール状態になる。なお、プレート34の膨出部37における当接面38は、内蓋30の上面である。
【0033】
図5に示すように、内側パッキン61の外側には、外側パッキン65が配設されている。外側パッキン65は、断面視で、基端部分が上下方向に延びたあと、中央部分が左右方向に屈曲し、先端部分が末広がりに外側に拡径しながら下方に延びる略円筒形状をしている。シール体84は、中央部分が上下方向に延びるとともに、基端部分及び先端部分が外側に折り返された形状をしている。内側パッキン61の側周部66とスカート部62とで囲まれた空間には、外側パッキン65の基端部分とシール体84の基端部分とが配置されている。放熱板24と下板22のリブ22Cとによって、ベース部63の肩部とシール体84の基端部分とが挟持されると、外側パッキン65の基端部分が気密にシールされる。また、外側パッキン65の先端部分の全周がプレート34の膨出部37の当接面38に接すると、外側に広がるように弾性的に湾曲変形して、気密のシール状態になる。当該構成によれば、異物等により内側パッキン61がうまく機能していない場合であって、外側パッキン65が内側パッキン61の機能を果たすため、蒸気温度を迅速に且つ安定して測定することができる。
【0034】
図5,6に示すように、下板22のセンサ取付部22Bは、挿通穴22Aを有し、挿通穴22Aが、ベース部63の挿通穴64と、シール板67の挿通穴67Aとに対して一直線上に整列するように配置されている。挿通穴22A,挿通穴64及び挿通穴67Aは、蒸気センサ50の先端温度検出部51及び支持部50Aが挿入可能な大きさに寸法構成されている。
【0035】
先端温度検出部51は、蒸気センサパッキン60の内側パッキン61の下端から露出状態で鍋3に向けて下(内)側に延在している。したがって、先端温度検出部51は、調理中に鍋3から発生した蒸気と直接的に接することができる。これに対して、蒸気センサ50の支持部50Aは、内側パッキン61のベース部63の挿通穴64と、下板22のセンサ取付部22Bの挿通穴22Aとの中にそれぞれ埋設されているため、非露出の状態になっている。したがって、蒸気センサ50の支持部50Aが、調理中に鍋3から発生した蒸気と直接的に接することは無い。
【0036】
内側パッキン61のスカート部62が、放熱板24に形成された取付穴24Aに挿入された状態で放熱板24に取り付けられる。内側パッキン61のベース部63の上には、下板22のセンサ取付部22B及びリブ22Cが配設される。組立時には、センサ取付部22Bがベース部63の上面を押圧し、リブ22Cがベース部63の肩部の上面を押圧する。センサ取付部22Bの基端側に形成された段差部には、Oリング58が装着される。Oリング58の上は、挿通穴67Aを有するシール板67で覆われている。
【0037】
当該状態において、挿通穴22A,挿通穴64及び挿通穴67Aに対して蒸気センサ50の先端温度検出部51及び支持部50Aが挿入される。そのあと、シール板67の外周部分には、押圧部材68の押圧リブ69が配置される。そして、押圧部材68を下板22に対してネジ止めすると、押圧リブ69の押圧力がシール板67を介してOリング58に伝わり、Oリング58が弾性的に変形する。その結果、蒸気センサ50が、押圧部材68と放熱板24との間で気密のシール状態で挟持される。蒸気センサ50の支持部50Aの基端側は、センサ取付部22Bの段差部に装着されたOリング58によって気密にシールされている。
【0038】
図6に示すように、内蓋30が蓋体20に取り付けられると、内側パッキン61のスカート部62及び外側パッキン65のそれぞれが、プレート34の膨出部37の当接面38に接すると、外側に広がるように弾性的に湾曲変形して、気密のシール状態になる。蒸気センサ50の先端温度検出部51は、プレート34の蒸気導入孔39を臨むように位置決めされている。
【0039】
ベース部63の下面と、スカート部62の内面と、プレート34の当接面38とで囲まれた内側パッキン61のパッキン内部空間71は、センサ収容空間72と隙間空間73とによって構成されている。センサ収容空間72は、ベース部63の下面と、スカート部62の内周面の一部分と、放熱板24の下面と、によって囲まれた空間である。センサ収容空間72は、蓋体の側に形成された凹状の空間であり、内蓋30の側が開口している。隙間空間73は、放熱板24の下面と、スカート部62の内周面の他部分と、当接面38(内蓋30の膨出部37の上面)と、によって囲まれた空間である。蒸気センサ50の先端温度検出部51は、パッキン内部空間71において、スカート部62の内周面から離間している。センサ収容空間72及び隙間空間73を有する内側パッキン61を介して蒸気センサ50が配設されていることにより、蓋体20からの熱の影響を低減して、蒸気温度測定の応答性及び精度を高めることができる。
【0040】
図6に示した構成において、蒸気センサ50の先端温度検出部51が、露出しながら、内側パッキン61のベース部63の下面から、鍋3に向けて下(内)側に延在している。蒸気センサ50の先端温度検出部51は、少なくともセンサ収容空間72内を延在している。当該構成によれば、蒸気センサ50の先端温度検出部51が鍋3からの蒸気に直接的に接し、蓋体20に対する内蓋30の着脱の影響を受けることなく、内蓋30近傍での蒸気温度を迅速に且つ安定して測定することができる。また、蒸気センサ50の先端温度検出部51が蓋体20から突出することがほとんど無いため、蓋体20の清掃の妨げにはならず、清掃性が向上する。なお、蒸気センサ50の先端温度検出部51は、
図6に示すように、隙間空間73にも延在することもできる。
【0041】
蒸気センサ50がベース部63の下面から放熱板24の下面まで延在する第1延在長さをAとする。蒸気センサ50が放熱板24の下面から先端温度検出部51の先端まで延在する第2延在長さをBとする。全長A+Bが長くなると、温度測定の応答性が向上する。しかしながら、先端温度検出部51が内蓋30から鍋3の側に突出することが無いため、先端温度検出部51が蓋体20の清掃の妨げにはなりにくい。
【0042】
第1延在長さA及び第2延在長さBの大小は、調理中に鍋3から発生した蒸気についての温度測定の応答性に影響を及ぼす。そこで、この発明を限定しない具体的な数値を例示すれば、先端温度検出部51の全長A+Bは、3乃至10mmである。第2延在長さBを例示すると、0.5乃至5mmである。第1延在長さAが少なくとも3mm程度であり、第2延在長さBが2mm程度であることが好ましい。また、第2延在長さBと第1延在長さAとの間には、B<Aであることが好ましく、B<A/2となる関係であることがさらに好ましい。当該構成によれば、温度測定の応答性と清掃性とが両立することができる。なお、先端温度検出部51の先端からプレート34の膨出部37の当接面38までの隙間長さをGとすると、隙間長さGは例えば1mmである。
【0043】
次に、
図8を参照しながら、圧力炊飯器1の変形例を説明する。
図8に示すように、鍋3内の圧力を測定するための圧力センサPが、蒸気温度測定部27に一体的に設けられている。蒸気温度測定部27を構成する内側パッキン61のベース部63には、上下方向に延びる貫通した連通孔86が形成されている。連通管85の一端がベース部63の上面の接続部に対して気密状態で接続され、連通管85の他端が圧力センサPの接続部に対して気密状態で接続されている。当該構成によれば、圧力センサPが蒸気温度測定部27の近くに配設されているので、省スペース化に寄与する。また、蒸気温度を測定するための内側パッキン61を共用しているので、低コスト化に寄与する。
【0044】
図9を参照しながら、圧力炊飯器1の他の変形例を説明する。
図9に示すように、面状の舌状部87が内側パッキン61に設けられている。舌状部87が、内側パッキン61のベース部63の下面から、鍋3に向けて下(内)側に延在しているが、舌状部87の下側への延在長さは、スカート部62の延在長さよりも大きい。すなわち、舌状部87が、内蓋30に設けられた蒸気導入孔39を通じて鍋3側に露出して突出するように構成されている。舌状部87は、好適には、水平断面が半円弧の形状をしており、半円弧の内周面側が鍋3の中央部を向くように配置されて、
図9に図示した例では、面状の舌状部87が、全周の右半分に形成されている。当該構成によれば、鍋3からの蒸気をセンサ収容空間72等に導入しやすくなり、蒸気温度測定の応答性及び精度を高めることができる。
【0045】
なお、この発明の理解を容易にするために、具体的な構成や数字を用いて説明したが、この発明は、上述した各実施形態の具体的な構成や数字に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない範囲で考えられる各種の変形例を含むことができる。例えば、内蓋30は、内蓋30の鍋3の側に対して着脱可能に又は固定的に取り付けられる内蓋カバー等を備える構成であってもよい。第1調圧弁35,第2調圧弁36という2つの調圧弁が内蓋30に搭載されているが、一方の調圧弁だけが内蓋30に搭載された構成とすることもできる。上記実施形態では、加熱調理器としてお米を炊飯する圧力炊飯器を例に挙げて説明したが、他の調理物(例えば、ケーキ生地、パン、ヨーグルト、蒸し物)を加熱して調理する加熱調理器にも適用可能であり、同様の作用および効果を奏することができる。