特許第6204399号(P6204399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204399通信装置、通信方法、および通信用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204399
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、および通信用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/02 20090101AFI20170914BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20170914BHJP
   H04W 8/18 20090101ALI20170914BHJP
【FI】
   H04W76/02
   H04W92/08
   H04W8/18
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-62947(P2015-62947)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-184804(P2016-184804A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智志
【審査官】 吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−518949(JP,A)
【文献】 特開2012−119965(JP,A)
【文献】 特開2002−216270(JP,A)
【文献】 特開2007−245912(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0376403(US,A1)
【文献】 特表2008−511203(JP,A)
【文献】 特開2011−239272(JP,A)
【文献】 特開2013−21453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報が記憶されている記憶媒体を装着可能な保持手段と、
前記識別情報に応じて提供される前記移動体通信サービスに基づく通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記通信を行うための設定情報が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記設定情報を読み出す制御手段とを備え、
前記記憶手段には、前記移動体通信サービスの提供元ごとに前記設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブルが記憶され、
前記制御手段は、前記保持手段に装着されている前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に基づいて、前記識別情報が示す前記移動体通信サービスの提供元に応じた、前記記憶手段の前記提供元別設定情報登録テーブルから前記設定情報を読み出し、
前記通信手段は、前記制御手段が読み出した前記設定情報に基づい前記通信の開始を試み、
前記制御手段は、試みられた前記通信の開始に失敗した場合に、前記提供元別設定情報登録テーブルから他の設定情報を読み出す
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報は、前記移動体通信サービスの加入者を識別可能な情報を含み、
前記制御手段は、
前記記憶手段から読み出した前記設定情報に基づいて前記通信手段が前記移動体通信サービスに基づく前記通信を行った場合に、前記設定情報を、前記保持手段に装着されている前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に対応付けて、前記記憶手段に記憶されている総合設定情報登録テーブルに登録し、
以後、前記通信手段が前記通信を行う場合に、前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に基づいて前記総合設定情報登録テーブルから前記設定情報を読み出す
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報は、前記移動体通信サービスの加入者を識別可能な情報を含み、
前記制御手段は、
操作手段が操作されて入力された設定情報に基づいて前記通信手段が前記移動体通信サービスに基づく前記通信を行った場合に、前記設定情報を、前記保持手段に装着されている前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に対応付けて、前記記憶手段に記憶されている総合設定情報登録テーブルに登録し、
以後、前記通信手段が前記通信を行う場合に、前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に基づいて前記総合設定情報登録テーブルから前記設定情報を読み出す
請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記総合設定情報登録テーブルにおいて前記識別情報に対応付けられている設定情報を、前記識別情報によって識別される前記移動体通信サービスの提供元に応じた前記提供元別設定情報登録テーブルに登録する
請求項2または請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、他の通信装置から送信された前記設定情報を記憶手段に記憶させる
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
記憶手段から、通信を行うための設定情報を読み出す制御ステップと、
保持手段に装着された記憶媒体に記憶されている、移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報に応じて提供される前記移動体通信サービスに基づく通信を行う通信ステップとを含み、
前記記憶手段には、前記移動体通信サービスの提供元ごとに前記設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブルが記憶され、
前記制御ステップで、前記保持手段に装着されている前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に基づいて、前記識別情報が示す前記移動体通信サービスの提供元に応じた、前記記憶手段の前記提供元別設定情報登録テーブルから前記設定情報を読み出し、
前記通信ステップで、前記制御ステップで読み出した前記設定情報に基づい前記通信の開始を試み、
前記制御ステップで、前記通信ステップで試みられた前記通信の開始に失敗した場合に、前記提供元別設定情報登録テーブルから他の設定情報を読み出す
ことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
コンピュータに、
記憶手段から、通信を行うための設定情報を読み出す制御処理と、
保持手段に装着された記憶媒体に記憶されている、移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報に応じて提供される前記移動体通信サービスに基づく通信を行う通信処理とを実行させ、
前記記憶手段には、前記移動体通信サービスの提供元ごとに前記設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブルが記憶され、
前記制御処理で、前記保持手段に装着されている前記記憶媒体に記憶されている前記識別情報に基づいて、前記識別情報が示す前記移動体通信サービスの提供元に応じた、前記記憶手段の前記提供元別設定情報登録テーブルから前記設定情報を読み出させ、
前記通信処理で、前記制御処理で読み出した前記設定情報に基づい前記通信の開始を試みさせ、
前記制御処理で、前記通信処理で試みられた前記通信の開始に失敗した場合に、前記提供元別設定情報登録テーブルから他の設定情報を読み出す
ための通信用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信サービスに基づく通信を行う通信装置、通信方法、および通信用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の事業者が、様々な移動体通信サービスを提供している。それら事業者は、移動体通信サービスの提供を受けるユーザとサービス内容に応じた契約をして、当該契約によるサービスの提供先を識別可能な識別情報が記憶されたSIM(Subscriber Identity Module)カードを当該ユーザに提供する。移動体通信サービスのユーザは、利用する移動体通信サービスに応じたSIMカードを通信装置に装着して当該移動体通信サービスの提供を受ける。
【0003】
また、通信装置が携帯電話通信網等の移動体通信ネットワークを介して通信を行うためには、当該通信装置は、当該移動体通信ネットワークに接続するためのAPN(Access Point Name)等を設定される必要がある。なお、APNは、移動体通信サービスの提供元を示す情報である。
【0004】
通信装置は、装着されたSIMカードに記憶されている識別情報を含む設定情報をAPNによって示されている提供元の事業者に送信することによって、当該事業者による移動体通信サービスの提供を受けて、移動体通信ネットワークを介して通信を行うことができるようになる。したがって、事業者による移動体通信サービスの提供を受けて、通信装置が移動体通信ネットワークを介して通信を行うためには、APN等の設定情報に基づくAPN設定が行われなければならない。
【0005】
近年、移動体通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者:Mobile Virtual Network Operator)が増加している。各MVNOによる移動体通信サービスの提供を受ける場合に、ユーザは、通信装置に当該移動体通信サービス用のAPN設定を行う。
【0006】
特許文献1には、ルックアップテーブルから読み出したAPN等を設定して、移動体通信ネットワークに接続する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2012−518949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、MVNOおよび移動体通信サービスの増加に伴って、それらに応じたAPN設定を行うために、通信装置の製造時に記憶手段に記憶される設定情報の数が増加している。そうすると、ユーザが通信装置に装着するSIMカードを交換して他の事業者から移動体通信サービスの提供を受ける場合に、記憶手段に記憶されている多くの設定情報から適切な設定情報を選択する作業に手間がかかる。
【0009】
具体的には、ユーザが、誤った設定情報を選択して通信装置に設定した場合に、移動体通信サービスの提供を受けることができない。したがって、そのような場合に、ユーザは、他の設定情報を選択して通信装置に設定するという試行錯誤を繰り返すことになる。そして、通信装置の製造時に記憶手段に記憶されている設定情報が増加すると、試行錯誤の回数も増加し、ユーザが移動体通信サービスの提供を受けるための手間がかかるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、ユーザが容易にAPN設定を行うことができる通信装置、通信方法、および通信用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による通信装置は、移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報が記憶されている記憶媒体を装着可能な保持手段と、識別情報に応じて提供される移動体通信サービスに基づく通信を行う通信手段と、通信手段が通信を行うための設定情報が記憶された記憶手段と、記憶手段に記憶されている設定情報を読み出す制御手段とを備え、記憶手段には、移動体通信サービスの提供元ごとに設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブルが記憶され、制御手段は、保持手段に装着されている記憶媒体に記憶されている識別情報に基づいて、記憶手段の提供元別設定情報登録テーブルから設定情報を読み出し、通信手段は、制御手段が読み出した設定情報に基づいて通信を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明による通信方法は、記憶手段から、通信を行うための設定情報を読み出す制御ステップと、保持手段に装着された記憶媒体に記憶されている、移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報に応じて提供される移動体通信サービスに基づく通信を行う通信ステップとを含み、記憶手段には、移動体通信サービスの提供元ごとに設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブルが記憶され、制御ステップで、保持手段に装着されている記憶媒体に記憶されている識別情報に基づいて、記憶手段の提供元別設定情報登録テーブルから設定情報を読み出し、通信ステップで、制御ステップで読み出した設定情報に基づいて通信を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明による通信用プログラムは、コンピュータに、記憶手段から、通信を行うための設定情報を読み出す制御処理と、保持手段に装着された記憶媒体に記憶されている、移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報に応じて提供される移動体通信サービスに基づく通信を行う通信処理とを実行させ、記憶手段には、移動体通信サービスの提供元ごとに設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブルが記憶され、制御処理で、保持手段に装着されている記憶媒体に記憶されている識別情報に基づいて、記憶手段の提供元別設定情報登録テーブルから設定情報を読み出させ、通信処理で、制御処理で読み出した設定情報に基づいて通信を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが容易にAPN設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態の通信装置の接続例を示す概念図である。
図2】本発明の第1の実施形態の通信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】SIMカードに記憶されている識別情報に含まれるIMSI番号の構成を示す説明図である。
図4】本発明の第1の実施形態の通信装置がAPN設定を行う動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態の通信装置がAPN設定を行う動作を示すフローチャートである。
図6】APN設定テーブルの例を示す説明図である。
図7】APN設定テーブルの例を示す説明図である。
図8】他のタイミングで設定情報を記憶部に記憶される例を示す説明図である。
図9】本発明の第2の実施形態の通信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態1.
本発明の第1の実施形態の通信装置100について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の通信装置100の接続例を示す概念図である。図1に示すように、本発明の第1の実施形態の通信装置100は、携帯電話通信網等の移動体通信ネットワーク200の基地局300と情報を送受信する。
【0017】
なお、通信装置100は、例えば、携帯電話機や可搬型コンピュータ等の通信装置に接続されて、それら装置と移動体通信ネットワーク200の基地局300との間の通信を中継するモバイルルータや、携帯電話機等である。
【0018】
図2は、本発明の第1の実施形態の通信装置100の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の第1の実施形態の通信装置100は、SIMカードスロット110、記憶部120、通信部130、表示部140、操作部150、および制御部160を含む。
【0019】
SIMカードスロット110には、SIMカード400が装着される。記憶部120には情報が記憶される。なお、記憶部120に記憶される情報には、通信装置100の制御に必要なソフトウェアや、各移動体通信サービスを提供する事業者に応じたAPN等を含む設定情報が記憶されている。
【0020】
通信部130には、アンテナ170が接続されている。そして、通信部130は、アンテナ170を介して無線通信で情報を送受信する。具体的には、通信部130は、LTE(Long Term Evolution)等の通信方式に従って、移動体通信ネットワーク200の基地局300と情報を送受信する。また、通信部130は、通信装置100が基地局300と他の通信装置との間の通信を中継するモバイルルータ等の中継装置である場合に、当該他の通信装置と近距離無線通信で情報を送受信する。
【0021】
表示部140は、情報を表示する。操作部150は、情報を入力する。制御部160は、通信装置100の全体を制御する。なお、制御部160は、例えば、プログラム制御に従って処理を実行するCPU(Central Processing Unit)によって実現される。
【0022】
図3は、SIMカード400に記憶されている識別情報に含まれるIMSI(International Mobile Subscriber Identity)番号の構成を示す説明図である。図3に示すように、IMSI番号は、MCC(Mobile Country Code)、MNC(Mobile Network Code)、およびMSIN(Mobile Station Identification Number)を含む。
【0023】
MCCは、例えば、ユーザにSIMカード400を提供した移動体通信サービス事業者の運用地域(例えば、国)を3桁の数字で示す情報である。例えば、ユーザにSIMカード400を提供した事業者の運用地域が日本であれば、MCCは、例えば、440である。
【0024】
MNCは、例えば、ユーザにSIMカード400を提供した事業者を2桁または3桁の数字で識別する情報である。図3に示す例では、MNCは2桁の数字である。
【0025】
MSINは、例えば、ユーザを識別する9桁または10桁の数字である。図3に示す例では、MSINは10桁の数字である。
【0026】
そして、図3に示す例では、IMSI番号において、MCCは第1〜3桁目の数字、MNCは第4,5桁目の数字、MSINは第6〜15桁目の数字である。
【0027】
次に、本発明の第1の実施形態の通信装置100の動作について説明する。図4,5は、本発明の第1の実施形態の通信装置100がAPN設定を行う動作を示すフローチャートである。制御部160は、例えば、ユーザによって操作部150になされた操作によって、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に基づく通信を開始する場合に、図4,5のフローチャートに示す以下の処理を行う。
【0028】
すなわち、制御部160は、記憶部120に記憶されているAPN設定テーブルを読み出す(ステップS101)。なお、SIMカード400に基づく通信とは、例えば、SIMカード400に記憶されている識別情報に基づいて提供される移動体通信サービスに応じた通信をいう。
【0029】
ここで、APN設定テーブルについて説明する。図6,7は、APN設定テーブルの例を示す説明図である。図6,7に示すように、APN設定テーブルは、APN設定メインテーブルと、APN設定サブテーブルとを含む。図6には、APN設定メインテーブルが示されている。また、図7には、APN設定サブテーブルが示されている。
【0030】
図6に示すように、APN設定メインテーブルには、IMSI番号と設定情報(図6において、APN情報と示す)とが互いに対応付けられて登録されている。そして、APN設定サブテーブルは、移動体通信サービスの事業者ごとに用意され、各事業者から移動体通信サービスの提供を受けるための設定情報が登録されている。なお、設定情報は、例えば、移動体通信サービスの提供を受けるための、APNや、ユーザ名、パスワード、認証タイプ等を示す情報である。
【0031】
図7に示すように、APN設定サブテーブルには、図6に示すAPN設定メインテーブルに登録されている設定情報が、移動体通信サービスの提供事業者ごとに登録されている。具体的には、APN設定サブテーブルAには、事業者Aによる移動体通信サービスの提供を受けるための設定情報(図7において、APN情報と示す。以下同じ)がそれぞれ登録されている。また、APN設定サブテーブルBには、事業者Bによる移動体通信サービスの提供を受けるための設定情報がそれぞれ登録されている。APN設定サブテーブルCには、事業者Cによる移動体通信サービスの提供を受けるための設定情報がそれぞれ登録されている。
【0032】
制御部160は、図6に示すAPN設定メインテーブルに登録されている設定情報を、当該設定情報に対応付けられているIMSI番号に含まれるMCCおよびMNC(図3に示す例では、第1〜5桁目の数字)に基づいて、事業者ごとのサブテーブルに登録する。具体的には、制御部160は、例えば、図6に示すAPN設定メインテーブルにおいて、第1〜5桁目の数字が「44010」であるIMSI番号に対応づけられている設定情報を、事業者Aを示す契約SIM名に対応付けてAPN設定サブテーブルAに登録する。また、制御部160は、例えば、図6に示すAPN設定メインテーブルにおいて、第1〜5桁目の数字が「44020」であるIMSI番号に対応づけられている設定情報を、事業者Bを示す契約SIM名に対応付けてAPN設定サブテーブルBに登録する。さらに、制御部160は、例えば、図6に示すAPN設定メインテーブルにおいて、第1〜5桁目の数字が「44050」であるIMSI番号に対応づけられている設定情報を、事業者Cを示す契約SIM名に対応付けてAPN設定サブテーブルCに登録する。
【0033】
なお、設定情報は、APN設定サブテーブルに登録されていてもよいが、APN設定サブテーブルに、記憶部120において設定情報が記憶されているアドレス等が登録されてもよい。そして、制御部160が、例えば、APN設定サブテーブルから、または当該アドレス等に基づいて記憶部120から、設定情報を読み出すように構成されている。
【0034】
制御部160は、ステップS101の処理で、具体的には、APN設定メインテーブルに登録されているIMSI番号を読み出す。そして、制御部160は、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号と合致するIMSI番号がAPN設定メインテーブルに登録されている場合に(ステップS102のY)、ステップS103の処理に移行する。また、制御部160は、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号と合致するIMSI番号がAPN設定メインテーブルに登録されていない場合に(ステップS102のN)、ステップS104の処理に移行する。
【0035】
制御部160は、ステップS103の処理で、APN設定メインテーブルにおいて、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号に対応付けられている設定情報を記憶部120から読み出す(ステップS103)。
【0036】
制御部160は、読み出した設定情報に基づいて、APN設定を行う。具体的には、制御部160は、例えば、読み出した設定情報に含まれているAPNや、ユーザ名、パスワード、認証タイプ等を設定する。制御部160は、行ったAPN設定に基づいて、移動体通信ネットワーク200の基地局300に接続する。そして、制御部160は、処理を終了する。
【0037】
また、制御部160は、ステップS104の処理で、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号におけるMCCおよびMNCが、図6に示すAPN設定メインテーブルに登録されているいずれかのIMSI番号におけるMCCおよびMNCと合致する場合に(ステップS104のY)、ステップS109の処理に移行し、そうでない場合に(ステップS104のN)、ステップS105の処理に移行する。
【0038】
制御部160は、ステップS105の処理で、ユーザに、APN設定を手動で行うように通知する(ステップS105)。具体的には、制御部160は、ステップS105の処理で、例えば、APNや、ユーザ名、パスワード、認証タイプ等のAPN設定に必要な情報の入力を促す画面を表示部140に表示させる。そして、制御部160には、表示部140に表示された画面に応じて、ユーザによって操作部150になされた操作に応じた情報が入力される。
【0039】
制御部160は、ユーザによって入力された情報に応じて、APN設定を行う(ステップS106)。そして、制御部160は、ステップS106の処理で行ったAPN設定に基づいて、移動体通信ネットワーク200の基地局300に接続する(ステップS107)。
【0040】
制御部160は、移動体通信ネットワーク200の基地局300との接続に成功したときのAPN設定に用いた設定情報と、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号とを対応付けてAPN設定メインテーブルに登録する(ステップS108)。そして、制御部160は、処理を終了する。
【0041】
制御部160は、ステップS109の処理で、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号に基づいて、参照するAPN設定サブテーブルを決定し(ステップS109)、ステップS110の処理に移行する。具体的には、制御部160は、例えば、当該IMSI番号の第1〜5桁目の数字が「44010」であれば、APN設定サブテーブルAを参照すると決定する。また、制御部160は、例えば、当該IMSI番号の第1〜5桁目の数字が「44020」であれば、APN設定サブテーブルBを参照すると決定する。制御部160は、例えば、当該IMSI番号の第1〜5桁目の数字が「44050」であれば、APN設定サブテーブルCを参照すると決定する。なお、各APN設定サブテーブルは、IMSI番号の第1〜5桁目の数字と互いに対応付けられて記憶部120に記憶されているとする。
【0042】
制御部160は、ステップS110の処理で、ステップS109の処理で決定したAPN設定サブテーブルから設定情報を読み出す(ステップS110)。なお、制御部160は、ステップS110の処理で、APN設定サブテーブルに設定情報が登録されていれば当該APN設定サブテーブルから設定情報を読み出す。また、制御部160は、ステップS110の処理で、APN設定サブテーブルに記憶部120における設定情報が記憶されているアドレスが登録されていれば当該アドレスに基づいて記憶部120から設定情報を読み出す。
【0043】
そして、制御部160は、ステップS110の処理で読み出した設定情報に基づいて、APN設定を行う(ステップS111)。制御部160は、ステップS111の処理で行ったAPN設定に基づいて、移動体通信ネットワーク200の基地局300への接続を試みる(ステップS112)。
【0044】
制御部160は、ステップS112の処理で移動体通信ネットワーク200の基地局300への接続に成功した場合に(ステップS113のY)、ステップS108の処理に移行し、当該接続に失敗した場合に(ステップS113のN)、ステップS114の処理に移行する。
【0045】
制御部160は、ステップS114の処理で、APN設定サブテーブルを参照して、記憶部120に、今回以前の一連のステップS110等の処理で既に読み出した設定情報以外の設定情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS114)。制御部160は、記憶部120に、ステップS110の処理で読み出した設定情報以外の設定情報が記憶されていないと判定した場合に(ステップS114のN)、ステップS105の処理に移行する。また、制御部160は、記憶部120に、今回以前の一連のステップS110の処理で読み出した設定情報以外の設定情報が記憶されていると判定した場合に(ステップS114のY)、再度ステップS110の処理に移行し、今回以前の一連のステップS110の処理で読み出した設定情報以外の設定情報を読み出す(ステップS110)。
【0046】
本実施形態によれば、制御部160が、ステップS103,S110の処理で読み出した設定情報に基づいて、自動的にAPN設定を行う。よって、ユーザによるAPN設定の手間を省くことができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、制御部160が、ステップS109の処理で決定した、SIMカード400に応じて事業者ごとに用意されたAPN設定サブテーブルに基づいて、ステップS110〜S114の処理で、記憶部120に記憶されている設定情報に応じたAPN設定と基地局300への接続とを繰り返し試みる。したがって、SIMカード400の提供元とは異なる事業者から移動体通信サービスの提供を受けるための設定情報に応じたAPN設定や、当該APN設定に基づく基地局300への接続試行等は行われない。よって、制御部160が、事業者ごとに用意されたAPN設定サブテーブルに基づいて設定情報を読み出すので、基地局300への接続の試みに用いる設定情報の数を削減することができる。そして、基地局300への接続に要する時間を短縮することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、制御部160は、ステップS108の処理で、基地局300との接続に成功したときのAPN設定に用いた設定情報を、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号と対応付けてAPN設定メインテーブルに登録する(ステップS108)。そして、制御部160は、次回以降のAPN設定および基地局300への接続に、APN設定メインテーブルに登録された設定情報を活用する(ステップS102)。よって、基地局300への接続に1回成功した移動体通信サービスに応じた基地局300への次回以降の接続に要する時間を短縮することができる。この効果は、複数のSIMカード400を適宜使い分ける場合に特に顕著である。
【0049】
なお、制御部160は、ステップS108の処理で、移動体通信ネットワーク200の基地局300との接続に成功したときのAPN設定に用いた設定情報を、対応するAPN設定サブテーブルにも登録するように構成されていてもよい。具体的には、制御部160は、移動体通信ネットワーク200の基地局300との接続に成功したときのAPN設定に用いた設定情報を、SIMカードスロット110に装着されているSIMカード400に記憶されているIMSI番号に基づいて、移動体通信サービスの提供事業者に応じたAPN設定サブテーブルにも登録する。
【0050】
そのような構成によれば、当該移動体通信サービスの提供事業者から提供された別のSIMカードをSIMカードスロット110に装着した場合に、当該移動体通信サービスの提供事業者に応じたAPN設定サブテーブルから設定情報が検索されて読み出される。したがって、当該SIMカードに記憶されているIMSI番号のうち、MSINが異なっていても、APN設定サブテーブルに登録されている設定情報を活用して通信を行うことができる。よって、ユーザによる設定情報の手入力等の手間を省くことができる。
【0051】
本例では、設定情報は、記憶部120に、通信装置100の製造時、またはステップS108の処理で記憶される。しかし、設定情報は、他のタイミングで記憶部120に記憶されるように構成されていてもよい。図8は、他のタイミングで設定情報を記憶部120に記憶される例を示す説明図である。図8に示す例では、通信装置100は、設定情報を、基地局300を介して他の通信装置(図示せず)から受信して記憶部120に記憶させる。また、図8に示す例では、通信装置100は、通信装置500に記憶されている設定情報を、当該通信装置500から受信して記憶部120に記憶させる。なお、通信装置100(より具体的には、制御部160)は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルや、近距離無線通信で接続された通信装置500から送信された設定情報を受信して記憶部120に記憶させる。
【0052】
そのような構成によれば、例えば、通信装置100のファームウェアの更新とともに、新たな設定情報を記憶部120に記憶させることができる。そうすると、通信装置100の製造後に開始された移動体通信サービスの提供を受けるための設定情報を記憶部120に記憶させることができる。そして、通信装置100の製造後に開始された移動体通信サービスの提供を受けることが容易に可能になる。
【0053】
なお、本例では、通信装置100は、表示部140および操作部150を含むとして説明したが、通信装置100は、表示部140および操作部150のうちいずれか一方または両方を含んでいなくてもよい。そして、通信装置100の制御部160は、当該通信装置100が、例えば、モバイルルータである場合に、近距離無線通信で接続された通信装置の表示手段に、表示部140が表示すべき情報を表示させ、当該通信装置の操作手段に、操作部150に入力すべき情報を入力させるように構成されていてもよい。
【0054】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態の通信装置10について、図面を参照して説明する。図9は、本発明の第2の実施形態の通信装置10の構成例を示すブロック図である。図9に示すように、本発明の第2の実施形態の通信装置10は、保持部11、記憶部12、通信部13、および制御部16を含む。
【0055】
保持部11は、図2に示す本発明の第1の実施形態におけるSIMカードスロット110に相当する。通信部13は、図2に示す本発明の第1の実施形態における通信部130に相当する。記憶部12は、図2に示す本発明の第1の実施形態における記憶部120に相当する。制御部16は、図2に示す本発明の第1の実施形態における制御部160に相当する。
【0056】
保持部11は、移動体通信サービスの提供元を識別可能な識別情報が記憶されている記憶媒体(図1に示すSIMカード400に相当)を装着可能である。通信部13は、識別情報に応じて提供される移動体通信サービスに基づく通信を行う。記憶部12には、通信部13が通信を行うための設定情報が記憶されている。制御部16は、記憶部12に記憶されている設定情報を読み出す。
【0057】
そして、記憶部12には、移動体通信サービスの提供元ごとに設定情報が登録された提供元別設定情報登録テーブル(図7に示すAPN設定サブテーブルに相当)が記憶される。
【0058】
また、制御部16は、保持部11に装着されている記憶媒体に記憶されている識別情報に基づいて、記憶部12の提供元別設定情報登録テーブルから設定情報を読み出す。
【0059】
そして、通信部13は、制御部16が読み出した設定情報に基づいて通信を行う。
【0060】
本実施形態によれば、ユーザが容易にAPN設定を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
10、100、500 通信装置
11 保持部
12、120 記憶部
13、130 通信部
16、160 制御部
110 SIMカードスロット
140 表示部
150 操作部
170 アンテナ
200 移動体通信ネットワーク
300 基地局
400 SIMカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9