(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キー登録時に使用する登録コードを電子キーから通信マスタに送信し、当該通信マスタにおいて前記登録コードを用いてキー情報を割り出し、当該キー情報を前記通信マスタに登録することにより、前記電子キーを前記通信マスタに登録する電子キー登録システムであって、
キー登録先となる前記通信マスタの位置付けに応じて設けられた複数の前記登録コードと、
前記電子キーを前記通信マスタに登録するときのキー登録のセキュリティレベルを判定するレベル判定部と、
前記通信マスタの位置付けに応じてキー登録のセキュリティレベルが異なる当該通信マスタに対し、複数の前記登録コードを基に、前記電子キーの登録を実行する登録実行部と
を備えたことを特徴とする電子キー登録システム。
キー登録は、ネットワーク通信を通じて前記電子キーを前記通信マスタに登録するオンライン登録と、前記ネットワーク通信を介さずに前記電子キーを前記通信マスタに登録するオフライン登録とがあり、
前記レベル判定部は、キー登録のセキュリティレベルを、前記オンライン登録又はオフライン登録のいずれであるかにより判定する
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電子キー登録システム。
前記オフライン登録では、キー情報生成用コードとして設けられた第1登録コードを備えたオフライン用電子キーから当該第1登録コードを取得し、当該第1登録コードから前記キー情報を作成することにより、前記オフライン用電子キーのキー登録を行い、
前記オンライン登録では、前記キー情報生成用コードとして設けられた第2登録コードを備えたオンライン用電子キーから当該第2登録コードを取得し、当該第2登録コードから前記キー情報を作成することにより、前記オンライン用電子キーのキー登録を行い、
前記オフライン用電子キーは、前記第1登録コード及び第2登録コードの両方を備えることにより、前記オンライン登録でも前記通信マスタに登録することが可能である
請求項4に記載の電子キー登録システム。
前記オンライン登録では、キー情報生成用コードとして設けられた第1登録コード及び第2登録コードとを備えたオンライン用電子キーから、当該第1登録コード及び第2登録コードを取得し、当該第1登録コード及び第2登録コードの両方を用いて前記キー情報を作成することにより、前記オンライン用電子キーのキー登録を行い、
前記オフライン登録では、キー情報生成用コード及びチェック用コードの両方を兼ねる第1登録コードと前記キー情報生成用コードとして設けられた第2登録コードとを備えたオフライン用電子キーから、当該第1登録コード及び第2登録コードを取得し、当該第1登録コード及び第2登録コードの両方を用いて前記キー情報を作成するとともに、前記第1登録コードを用いてキー登録の正否を確認することにより、前記オフライン用電子キーのキー登録を行う
請求項4に記載の電子キー登録システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子キーをECUに登録するにあたっては、例えば任意のECUに電子キーを登録するときや、特定のECUに電子キーを登録するときなど、キー登録に必要とされる認証レベルに違いがある。よって、登録機能の認証レベルに応じた最適な登録態様をとることができる電子キー登録システムの開発ニーズがあった。
【0005】
本発明の目的は、キー登録の最適なセキュリティを実現することができる電子キー登録システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決する電子キー登録システムは、キー登録時に使用する登録コードを電子キーから通信マスタに送信し、当該通信マスタにおいて前記登録コードを用いてキー情報を割り出し、当該キー情報を前記通信マスタに登録することにより、前記電子キーを前記通信マスタに登録する構成であって、キー登録先となる前記通信マスタの位置付けに応じて設けられた複数の前記登録コードと、前記電子キーを前記通信マスタに登録するときのキー登録のセキュリティレベルを判定するレベル判定部と、前記通信マスタの位置付けに応じてキー登録のセキュリティレベルが異なる当該通信マスタに対し、複数の前記登録コードを基に、前記電子キーの登録を実行する登録実行部とを備えた。
【0007】
本構成によれば、電子キーを通信マスタに登録するキー登録を行うにあたって、キー登録で必要とされるセキュリティレベルに応じ、適切な登録コードを使用してキー登録を実施する。これにより、過剰なセキュリティを設定してしまったり、逆にセキュリティが不足したりするなどの問題が生じない。よって、キー登録の最適なセキュリティを実現することができる。
【0008】
前記電子キー登録システムにおいて、前記登録コードは、前記キー情報の元となるキー情報生成用コードと、前記キー情報を生成してもよいかどうかの確認に使用するチェック用コードとのうち、少なくとも前記キー情報生成用コードを含むものであることが好ましい。この構成によれば、キー情報生成用コードやチェック用コードを用いて、適切な態様によりキー登録を行うことが可能となる。
【0009】
前記電子キー登録システムにおいて、前記通信マスタの位置付けとは、どの前記電子キーでも登録可能であるか、又は特定の前記電子キーのみ登録可能であるかということであることが好ましい。この構成によれば、任意の通信マスタに電子キーを登録するとき、又は特定の通信マスタに電子キーを登録するときのそれぞれで、最適なセキュリティレベルでキー登録を実行することが可能となる。
【0010】
前記電子キー登録システムにおいて、キー登録は、ネットワーク通信を通じて前記電子キーを前記通信マスタに登録するオンライン登録と、前記ネットワーク通信を介さずに前記電子キーを前記通信マスタに登録するオフライン登録とがあり、前記レベル判定部は、キー登録のセキュリティレベルを、前記オンライン登録又はオフライン登録のいずれであるかにより判定することが好ましい。この構成によれば、オンライン登録及びオフライン登録のそれぞれにおいて、キー登録の最適なセキュリティを確保するのに有利となる。
【0011】
前記電子キー登録システムにおいて、前記オフライン登録では、キー情報生成用コードとして設けられた第1登録コードを備えたオフライン用電子キーから当該第1登録コードを取得し、当該第1登録コードから前記キー情報を作成することにより、前記オフライン用電子キーのキー登録を行い、前記オンライン登録では、前記キー情報生成用コードとして設けられた第2登録コードを備えたオンライン用電子キーから当該第2登録コードを取得し、当該第2登録コードから前記キー情報を作成することにより、前記オンライン用電子キーのキー登録を行い、前記オフライン用電子キーは、前記第1登録コード及び第2登録コードの両方を備えることにより、前記オンライン登録でも前記通信マスタに登録することが可能であることが好ましい。この構成によれば、オフライン用電子キーをオンライン登録でも通信マスタに登録することが可能となるので、キー登録の利便性を確保することが可能となる。
【0012】
前記電子キー登録システムにおいて、
前記登録コードは、前記キー情報の元となるキー情報生成用コードと、前記キー情報を生成してもよいかどうかの確認に使用するチェック用コードとを含むものであり、キー登録は、ネットワーク通信を通じて前記電子キーを前記通信マスタに登録するオンライン登録と、前記ネットワーク通信を介さずに前記電子キーを前記通信マスタに登録するオフライン登録とがあり、前記レベル判定部は、キー登録のセキュリティレベルを、前記オンライン登録又はオフライン登録のいずれであるかにより判定し、前記オンライン登録では、キー情報生成用コードとして設けられた第2登録コードを備えたオンライン用電子キーから当該第2登録コードを取得し、当該第2登録コードから前記キー情報を作成することにより、前記オンライン用電子キーのキー登録を行い、前記オフライン登録では、チェック用コードとして設けられた第1登録コードと前記キー情報生成用コードとして設けられた第2登録コードとを備えたオフライン用電子キーから、当該第1登録コード及び第2登録コードを取得し、当該第2登録コードから前記キー情報を作成するとともに、前記第1登録コードを用いてキー登録の正否を確認することにより、前記オフライン用電子キーのキー登録を行うことが好ましい。この構成によれば、
キー情報生成用コードやチェック用コードを用いて、適切な態様によりキー登録を行うことが可能となる。また、オンライン登録及びオフライン登録のそれぞれにおいて、キー登録の最適なセキュリティを確保するのに有利となる。さらに、オフライン登録時、第1登録コード及び第2登録コードのうち、一方の第1登録コードを用いてキー登録の可否判定を行うので、キー登録のセキュリティ性を確保するのに有利となる。
【0013】
前記電子キー登録システムにおいて、前記オンライン登録では、キー情報生成用コードとして設けられた第1登録コード及び第2登録コードとを備えたオンライン用電子キーから、当該第1登録コード及び第2登録コードを取得し、当該第1登録コード及び第2登録コードの両方を用いて前記キー情報を作成することにより、前記オンライン用電子キーのキー登録を行い、前記オフライン登録では、キー情報生成用コード及びチェック用コードの両方を兼ねる第1登録コードと前記キー情報生成用コードとして設けられた第2登録コードとを備えたオフライン用電子キーから、当該第1登録コード及び第2登録コードを取得し、当該第1登録コード及び第2登録コードの両方を用いて前記キー情報を作成するとともに、前記第1登録コードを用いてキー登録の正否を確認することにより、前記オフライン用電子キーのキー登録を行うことが好ましい。この構成によれば、キー登録時、第1登録及び第2登録コードのうち第1登録コードを用いて、キー登録の可否判定を行うので、キー登録のセキュリティ性を確保するのに有利となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、キー登録の最適なセキュリティを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、電子キー登録システムの第1実施形態を
図1〜
図6に従って説明する。
[電子キーシステム]
図1に示すように、車両1は、電子キー2の正当性を無線通信により行う電子キーシステム3を備える。電子キーシステム3は、例えば通信範囲が極めて狭い近接場型無線通信(通信距離:数〜数十cm)を使用したキーシステムである。近接場型無線通信としては、例えばRFID(Radio Frequency Identification)やNFC(Near field communication)などがある。以降は、近接場型無線通信のID照合を「イモビライザー照合」と記し、その通信を「イモビライザー通信」と記す。
【0017】
車両1は、電子キー2を認証する照合ECU4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5と、エンジン7を制御するエンジンECU6とを備える。これらECUは、車内の通信線1aを通じて接続されている。通信線1aは、例えばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)からなる。照合ECU4のメモリ9には、近接場型無線通信のID照合で使用する電子キーIDと、そのID照合時に行うチャレンジレスポンス認証で使用する暗号鍵とが書き込み保存されている。電子キーID及び暗号鍵は、車両1に登録されるキー数に応じて複数登録することが可能である。車両1は、近接場型無線通信の電波を送受信可能な通信アンテナ10を備える。通信アンテナ10は、照合ECU4に接続され、例えば車内運転席等に配置される。通信アンテナ10は、例えばLF(Low Frequency)帯の電波を送受信可能である。
【0018】
電子キー2は、電子キー2の動作を制御するキー制御部11と、近接場型無線通信の電波を送受信することが可能な通信アンテナ12とを備える。キー制御部11のメモリ13には、電子キーID及び暗号鍵が書き込み保存されている。通信アンテナ12は、LF電波を送受信することが可能である。
【0019】
ユーザ乗車時、照合ECU4は、通信アンテナ10から駆動電波SvcをLF送信する。駆動電波Svcには、電子キー2の電源となる無変調波と、通信の度に値が毎回切り換わるチャレンジコードとが含まれる。電子キー2が通信アンテナ10にかざされ、駆動電波Svcを通信アンテナ12で受信すると、電子キー2は駆動電波Svcを電源に動作し、トランスポンダ信号StrをLF返信する。トランスポンダ信号Strには、電子キー2に登録された電子キーIDと、車両1から受信したチャレンジコードを自身の暗号鍵に通すことで生成したレスポンスコードとが含まれる。
【0020】
照合ECU4は、電子キー2から送信されたトランスポンダ信号Strを通信アンテナ10で受信すると、トランスポンダ信号Str内のレスポンスコードと、自身も同様に演算したレスポンスコードとを比較することにより、チャレンジレスポンス認証を行う。また、照合ECU4は、トランスポンダ信号Str内の電子キーIDと、自身に登録された電子キーIDとを比較することにより、電子キーID認証も実行する。照合ECU4は、両認証が成立することを確認すると、イモビライザー照合を成立とし、エンジンスイッチ8による電源遷移操作(エンジン始動操作)を許可する。
【0021】
[電子キー登録システム]
図1に示すように、車両1は、電子キー2を通信マスタ14(一例は照合ECU4、以下同様)に登録するときに使用される電子キー登録システム15を備える。電子キー登録システム15は、キー情報16が暗号化された登録コードCを電子キー2から通信マスタ14(一例は照合ECU4:以下同様)に送信し、登録コードCを通信マスタ14において復号し、これを通信マスタ14に登録することにより、電子キー2を通信マスタ14に登録するものである。キー情報16は、例えば電子キーIDや暗号鍵などであることが好ましい。
【0022】
電子キー登録システム15は、キー登録先の通信マスタ14の位置付けに応じて設けられた複数の登録コードCを備え、これら登録コードCを基にキー登録を実行する。本例の登録コードCは、キー情報16の元となるキー情報生成用コードである。本例の登録コードCは、キー登録(登録命令)のセキュリティレベルに応じて、第1登録コードC1及び第2登録コードC2の2つが用意されている。本例の場合、第1登録コードC1及び第2登録コードC2の両方とも、キー情報生成用コードとなっている。
【0023】
第1登録コードC1は、いま登録しようとしている電子キー2を特定の通信マスタ14にのみ登録することが可能なコードであるので、低いセキュリティレベルの登録環境において使用される。すなわち、利用できる通信マスタ14(ECU)を限定してセキュリティレベルを確保しているので、第1登録コードC1は低いセキュリティレベルの登録環境下で使用する。第2登録コードC2は、いま登録しようとしている電子キー2を任意の通信マスタ14に登録することが可能なコードであるので、高いセキュリティレベルの登録環境において使用される。すなわち、利用できる通信マスタ14(ECU)を限定していないので、第2登録コードC2は高いセキュリティレベルの登録環境下で使用する。このように、通信マスタ14の位置付けとは、どの電子キー2でも登録可能であるか、又は特定の電子キー2のみ登録可能であるかということを意味する。
【0024】
本例の場合、キー登録には、「オンライン登録」及び「オフライン登録」がある。オンライン登録は、例えばネットワーク通信が可能な環境下において、ネットワーク通信を利用してキー登録を行う登録環境をいう。オフライン登録は、例えばネットワーク通信が不可な環境下において、ネットワーク通信を使用せずにキー登録を行う登録環境をいう。
【0025】
電子キー登録システム15は、電子キー2を通信マスタ14に登録するときのキー登録のセキュリティレベルを判定するレベル判定部17を備える。レベル判定部17は、例えば照合ECU4に設けられる。レベル判定部17は、例えば登録ツール18から入力する「登録命令」を基に、キー登録のセキュリティレベルを判定する。登録命令は、いま実行しようとしているキー登録がどのような登録なのかを通信マスタ14に指示する通知である。レベル判定部17は、例えば登録ツール18から「オンライン登録命令」を入力すると、キー登録のセキュリティレベルが高いと判定する。また、レベル判定部17は、例えば登録ツール18から「オフライン登録命令」を入力すると、キー登録のセキュリティレベルが低いと判定する。
【0026】
電子キー登録システム15は、レベル判定部17の判定結果を基にキー登録を実行する登録実行部22を備える。登録実行部22は、例えば照合ECU4に設けられる。登録実行部22は、通信マスタ14の位置付けに応じてキー登録のセキュリティレベルが異なる各通信マスタ14に対し、複数の登録コードCを使い分けることにより、電子キー2の登録を実行する。
【0027】
次に、
図2〜
図6を用いて、電子キー登録システム15の動作を説明する。
[オンライン登録]
図2に、オンライン登録の動作概要を図示する。オンライン登録は、センター27を通じた認証を課した登録のことをいう。例えば、ネットワーク通信が可能な環境下にあるディーラ21a等には、ECU製造工場23で製造されたECU25と、第2登録コード「C2−β」が書き込み保存されたオンライン用電子キー2aとがあるとする。また、図中のECU25は、第2登録コード「C2−α」でのキー登録が済んだECUとしているが、もちろん、このキー登録が済んでいないECUとしてもよい。
【0028】
ディーラ21a等でオンライン登録によりオンライン用電子キー2aをECU25に登録するにあたっては、登録ツール18を使用するとともに、センター27を通じてオンライン用電子キー2aをECU25に登録することが可能である。この場合、登録ツール18から登録命令(オンライン登録命令)をECU25に入力してオンライン登録を開始する。このとき、センター27は、いま登録対象となっているECU25の正当性を確認(センター認証)し、認証が成立すればキー登録を許可する。なお、オンライン登録で使用される登録ツール18は、ディーラ21a等に設置された市場ツールであることが好ましい。
【0029】
ところで、オンライン登録は、センター認証を課した登録であるので、キー登録のセキュリティレベルが高いといえる。よって、オンライン登録の場合は、第2登録コード「C2−β」を用いてキー登録を実行する。すなわち、第2登録コード「C2−β」は、任意キーを任意ECUへ登録可能なコードであるので、高いセキュリティレベルが確保された登録環境下において使用される。
【0030】
[オフライン登録]
図3に、オフライン登録の動作概要を図示する。オフライン登録は、センター27を通じた認証を課さないキー登録のことをいう。キー製造工場26は、オフライン登録で使用可能なオフライン用電子キー2bを製造する。オフライン用電子キー2bは、ECU25に対するキー受注を受け付けて生産される注文キーであり、第1登録コードC1のみならず第2登録コード「C2−γ」も書き込み保存されている。
【0031】
また、例えばネットワーク通信が不可な環境下にあるディーラ21b等には、ECU製造工場23で製造されたECU25と、キー製造工場26で注文製造されたオフライン用電子キー2bがあるとする。オフライン登録で使用するECU25は、ある電子キー2のみを登録することができる「特定のECU」の位置付けである。また、ECU25は、第2登録コード「C2−α」でのキー登録が済んだECUとしているが、もちろん、このキー登録が済んでいないECUとしてもよい。
【0032】
ディーラ21b等でオフライン登録によりオフライン用電子キー2bをECU25に登録するにあたっては、登録ツール18を使用してオフライン用電子キー2bを登録する。この場合、登録ツール18から登録命令(オフライン登録命令)をECU25に入力してオフライン登録を開始させ、オフライン用電子キー2bに登録されている第1登録コードC1を使用して、オフライン用電子キー2bがECU25に登録される。なお、オフライン登録で使用される登録ツール18は、ディーラ21b等に設置された市場ツールであることが好ましい。
【0033】
ところで、オフライン登録は、センター認証等を課さない登録であるので、キー登録のセキュリティレベルが低いといえる。よって、オフライン登録の場合は、第1登録コードC1を用いてキー登録を実行する。すなわち、第1登録コードC1は、特定のECUにのみ登録可能なコードであるので、低いセキュリティレベルが確保された登録環境下において使用される。これは、第1登録コードC1は、利用できるECUを限定してセキュリティ性が確保されているので、第三者等にとって入手が困難となっているからである。低いセキュリティレベルとは、オフライン登録(ネットワーク通信を介さないキー登録)のことをいう。
【0034】
図4に示すように、本例のオフライン用電子キー2bは、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」の両方が書き込まれているので、オフライン登録のみならず、オンライン登録によってもECU25に登録することが可能となっている。これにより、オンライン登録が可能な環境下にあるにもかかわらず、手元にオフライン用電子キー2bしかなくても、これをオンライン登録によってECU25に登録することが可能になる。
【0035】
[追加登録(オンライン登録)]
図5に、追加登録(オンライン登録)のサービス仕様の概略を図示する。追加登録(オンライン登録)のサービスが行われるシチュエーションは、センター接続可能な市場における、利用可能な電子キー2の追加である。
【0036】
追加登録(オンライン登録)において、キー製造工場26は、オンライン用電子キー2aを製造し、これをディーラ21aに納入する。ディーラ21aは、ユーザからキー追加登録の要求であるオーナー追加登録依頼を受け付けると、キー製造工場26から納入した又は在庫のオンライン用電子キー2aを、登録ツール18を使用してECU25に登録し、その車載ECUを搭載した車両1をユーザに納車する。このとき、登録ツール18は、センター認証を実行しながらキー登録を実行する。
【0037】
追加登録(オンライン登録)の登録手順は、登録ツール18からECU25に対し、追加オンライン登録命令が入力されるとともに、ECU25(登録実行部22)が自身に登録済み電子キーがあるか否かを確認する。登録済み電子キー有無の確認は、例えばECU25のメモリ9に暗号鍵が書き込み済みであるか否かを確認する処理であることが好ましい。
【0038】
[追加登録(オフライン登録)]
図6に、追加登録(オフライン登録)のサービス仕様の概略を図示する。追加登録(オフライン登録)のサービスが行われるシチュエーションは、センター接続不可能な市場における、利用可能な電子キー2の追加である。
【0039】
追加登録(オフライン登録)において、ディーラ21bは、オーナー追加登録依頼を受け付けると、ECU25からECU−ID(ECU25の固有ID)を読み出す。ディーラ21bは、ECU−IDでキー注文をかけた発注書33をキー製造工場26に出す。キー製造工場26は、受け付けた発注書33を基に、オフライン用電子キー2bを製造し、これをディーラ21bに納入する。ディーラ21bは、キー製造工場26から納入したオフライン用電子キー2bを、登録ツール18を使用してECU25に登録し、そのECU25を搭載した車両1をユーザに納車する。
【0040】
追加登録(オフライン登録)の登録手順は、登録ツール18からECU25に対し、追加オフライン登録命令が入力されるとともに、ECU25(登録実行部22)が自身に登録済み電子キーがあるか否かを確認する。登録済み電子キー有無の確認は、前述のように、ECU25のメモリ9に暗号鍵が書き込み済みであるか否かを確認する処理であることが好ましい。
【0041】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)電子キー2に2つの登録コードC(第1登録コードC1及び第2登録コードC2)を用意し、電子キー2を車両1(ECU25)に登録するにあたって、キー登録で必要とされるセキュリティレベルに応じ、使用する登録コードCを使い分ける。これにより、過剰なセキュリティを設定してしまったり、逆にセキュリティが不足したりするなどの問題が生じない。よって、キー登録の最適なセキュリティを実現することができる。
【0042】
(2)任意のECU25に電子キー2を登録するとき、又は特定のECU25に電子キー2を登録するときのそれぞれで、最適なセキュリティレベルによってキー登録を実行することができる。
【0043】
(3)電子キー2(オフライン用電子キー2b)に第1登録コードC1及び第2登録コードC2の両方を書き込んでおき、電子キー2をオンライン登録によって車両1に登録するときには、第1登録コードC1を使用し、電子キー2をオフライン登録によって車両1に登録するときには、第2登録コードC2を使用する。このように、電子キー2をオフライン登録のみに限らずオンライン登録でも車両1に登録することが可能となるので、キー登録の利便性を確保することができる。
【0044】
(4)登録コードCは、キー情報生成用コードである。よって、正しい登録コードCを取得しないとキー情報16を作成することができないので、キー情報16の複製に対してセキュリティ性を確保することができる。
【0045】
(5)オンライン登録とオフライン登録とでキー登録の仕方を切り替えるので、オンライン登録及びオフライン登録のそれぞれにおいて、キー登録の最適なセキュリティを確保するに有利となる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図7に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態に記載のオフライン登録の仕方を変更した実施例である。よって、第1実施形態と同じ箇所には同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。なお、本例の場合、オンライン登録は第1実施形態と同様であるので、オフライン登録についてのみ説明する。
【0047】
図7に示すように、オフライン用電子キー2bにおいて、第1登録コードC1は、キー情報16(本例は暗号鍵)を生成してもよいかどうかの確認に使用するチェック用コードとして設けられている。また、オフライン用電子キー2bにおいて、第2登録コード「C2−γ」は、キー情報16(本例は暗号鍵)の元となるキー情報生成用コードとして設けられている。
【0048】
ディーラ21b等でオフライン登録によりオフライン用電子キー2bをECU25に登録するにあたって、ECU25は、オフライン用電子キー2bから、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を入力する。ECU25は、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を、電子キーシステム3のハードを使用して取り込むことが好ましい。
【0049】
ECU25(登録実行部22)は、オフライン用電子キー2bから取得した第1登録コードC1を用いて、キー情報16(本例は暗号鍵)をECU25に登録してもよいか否かの判定を実行する。本例の場合、オフライン用電子キー2bから取得した第1登録コードC1と、ECU25が割り出した値とを比較することにより、登録可否を判定する。そして、これらの一致を確認すると、キー情報16の登録が許可される。
【0050】
ECU25(登録実行部22)は、第1登録コードC1を用いた登録可否の判定が成立することを確認すると、キー情報16(本例は暗号鍵)の生成を実行し、これを自身のメモリ13に登録する。本例の場合、第2登録コード「C2−γ」を用いて、キー情報16を作成する。以上により、キー情報16の登録が完了する。
【0051】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(5)に加え、以下の効果を得ることができる。
(6)オフライン登録時、第1登録コードC1及び第2登録コードC2のうち、一方の第1登録コードC1を用いてキー登録の可否判定を行うので、キー登録のセキュリティ性を確保するのに有利となる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を
図8及び
図9に従って説明する。なお、第3実施形態も、第1及び第2実施形態と異なる部分についてのみ詳述する。
【0053】
図8に示すように、オンライン用電子キー2aにおいて、第1登録コードC1は、キー情報作成用コードとして設けられている。また、オンライン用電子キー2aにおいて、第2登録コード「C2−γ」は、キー情報作成コードとして設けられている。
【0054】
電子キー2をオンライン登録によりECU25に登録するにあたって、ECU25は、電子キー2から、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を入力する。なお、オンライン登録においてセンター認証を課すことは、第1及び第2実施形態と同様である。
【0055】
ECU25(登録実行部22)は、オンライン用電子キー2aから第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を入力すると、これら両方を用いてキー情報16(本例は暗号鍵)の生成を実行し、これを自身のメモリ13に登録する。すなわち、本例のオンライン登録の場合、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を用いて、キー情報16を作成する。以上により、キー情報16の登録が完了する。
【0056】
図9に示すように、オフライン用電子キー2bにおいて、第1登録コードC1は、キー情報作成用コード及びチェック用コードの両方を兼ねるものとして設けられている。また、オフライン用電子キー2bにおいて、第2登録コード「C2−γ」は、キー情報作成コードとして設けられている。
【0057】
電子キー2をオフライン登録によりECU25に登録するにあたって、ECU25は、電子キー2から、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を入力する。このとき、ECU25(登録実行部22)は、電子キー2から取得した第1登録コードC1を用いて、キー情報16(本例は暗号鍵)をECU25に登録してもよいか否かの判定を実行する。本例の場合、電子キー2から取得した第1登録コードC1と、ECU25が割り出した値とを比較することにより、登録可否を判定する。そして、これらの一致を確認すると、キー情報16の登録が許可される。
【0058】
ECU25(登録実行部22)は、第1登録コードC1を用いた登録可否の判定が成立することを確認すると、キー情報16(本例は暗号鍵)の生成を実行し、これを自身のメモリ13に登録する。本例のオフライン登録の場合、第1登録コードC1及び第2登録コード「C2−γ」を用いて、キー情報16を作成する。以上により、キー情報16の登録が完了する。
【0059】
本実施形態の構成によれば、第1及び第2実施形態に記載の(1)〜(6)に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)第1登録コードC1及び第2登録コードC2の両方を用いて暗号鍵を生成するので、正しい暗号鍵を作成するのに有利となる。
【0060】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、通信マスタ14は、1つのECUから構築されてもよいし、複数のECUから構築されてもよい。
【0061】
・各実施形態において、電子キーシステム3は、車両1及び電子キー2が狭域通信によりID照合(スマート照合)を行うスマート通信システムでもよい。また、イモビライザーキーを登録するとき、スマート通信システムのハードを使用してもよい。
【0062】
・各実施形態において、キー登録のセキュリティレベル判定は、登録ツール(市場ツール)18から入力する登録命令で行う方式に限定されない。例えば、ECU25にセキュリティレベルの内容を示すフラグを立てておき、このフラグを基にレベル判定を行うなど、種々の方式が採用可能である。
【0063】
・各実施形態において、センター認証は、センター27を介して通信マスタ14や電子キー2の正当性を確認する認証であればよい。また、センター認証は、センター27がマスタとなって認証を実行するものに限らず、通信マスタ14が認証マスタとなってセンター27の正否を確認する認証としてもよい。
【0064】
・各実施形態において、キー情報16は、キー登録するときに通信マスタ14に登録されなければならない事項であれば、どのようなデータや情報であってもよい。
・各実施形態において、通信マスタ14の位置付けは、登録の限定度合い、種類、機能的な特性、利用レベル、秘匿性などの意味合いを含む。
【0065】
・各実施形態において、登録コードCは、キー登録に必要な暗号化された情報であればよい。
・各実施形態において、通信マスタ14は、ECU25(照合ECU4)に限らず、電子キー2との通信を管理する装置であればよい。
【0066】
・各実施形態において、ネットワーク通信は、インターネット通信に限らず、種々の広域通信に変更することが可能である。
・各実施形態において、電子キー登録システム15は、車両1に設けられることに限らず、種々のシステムや装置に適用可能である。
【0067】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記電子キー登録システムにおいて、前記キー登録は、前記通信マスタ及び電子キーの間に設けられた電子キーシステムのハードを利用して実行される。この構成によれば、電子キーシステムのハードを利用して電子キーを通信マスタに登録することが可能となるので、キー登録において別部品を新たに設ける必要がない。