特許第6204486号(P6204486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204486
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】部品実装ライン管理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H05K13/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-544687(P2015-544687)
(86)(22)【出願日】2013年10月30日
(86)【国際出願番号】JP2013079383
(87)【国際公開番号】WO2015063880
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】飯阪 淳
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−64902(JP,A)
【文献】 特開2004−47572(JP,A)
【文献】 特開2013−201425(JP,A)
【文献】 特開2006−108138(JP,A)
【文献】 特開2007−19320(JP,A)
【文献】 特開2003−273596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装機が複数配設された部品実装ラインと、
通信回線を介して各前記部品実装機と接続され、前記部品実装機の搭載位置に着脱可能に装着される複数の搭載機器をそれぞれ識別する搭載機器識別情報と前記搭載機器の前記部品実装機における搭載位置を示すロケーション情報とを対応づけて記憶する構成管理装置と、
を備え、
前記構成管理装置は、前記搭載機器が前記搭載位置に装着されたときの当該搭載機器の前記搭載機器識別情報および当該搭載位置の前記ロケーション情報が前記部品実装機から送信され、当該送信された前記搭載機器識別情報および前記ロケーション情報と、前記構成管理装置に記憶している当該搭載機器の前記搭載機器識別情報および対応づけられた前記ロケーション情報とを比較して、当該搭載機器の使用の可否を判別する通信正常時搭載機器判別部を有する部品実装ライン管理装置であって、
各前記部品実装機または各前記搭載機器は、前記搭載位置に装着される前記搭載機器の前記搭載機器識別情報と当該搭載位置の前記ロケーション情報とを対応づけて記憶する搭載機器情報記憶装置を有し、
各前記部品実装機は、前記構成管理装置との間の通信が不能なときに、前記搭載位置に装着された前記搭載機器の前記搭載機器識別情報および当該搭載位置の前記ロケーション情報と、前記搭載機器情報記憶装置に記憶している当該搭載機器の前記搭載機器識別情報および対応づけられた前記ロケーション情報とを比較して、当該搭載機器の使用の可否を判別する通信異常時搭載機器判別部を有する部品実装ライン管理装置。
【請求項2】
前記搭載機器情報記憶装置は、前記部品実装機の生産ジョブ毎に前記搭載位置に装着される前記搭載機器の前記搭載機器識別情報と当該搭載位置の前記ロケーション情報とを対応づけて記憶し、
前記通信異常時搭載機器判別部は、前記通信が不能になったときに実行中の生産ジョブに対応する前記搭載機器情報記憶装置に記憶している前記搭載機器の前記搭載機器識別情報および対応づけられた前記ロケーション情報を用いて、当該搭載機器の使用の可否を判別する請求項1に記載の部品実装ライン管理装置。
【請求項3】
前記搭載機器情報記憶装置は、前記基板の生産に使用可能な前記搭載機器の使用期限を前記搭載機器識別情報と対応づけて記憶し、
前記通信異常時搭載機器判別部は、前記使用期限を経過した前記搭載機器の使用を不可と判断する請求項1または2に記載の部品実装ライン管理装置。
【請求項4】
前記搭載機器情報記憶装置は、前記搭載機器に設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品実装ライン管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装機に着脱可能に装着される搭載機器の使用の可否を判別する部品実装ライン管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搭載機器が生産開始前や生産中に部品実装機に装着されると、当該搭載機器の使用の可否が判別される。これにより、搭載機器の不適合による生産品質の低下を防止している。このような部品実装ライン管理装置の一例として、特許文献1または2に記載の発明が挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、部品を収容するパーツフィーダに内蔵された区分データ記憶部から、パーツフィーダの種類や区分を含む分類区分データを読み取る。そして、特許文献1に記載の発明は、読み取られた分類区分データと、正しい分類区分を示すフィーダデータとを比較して、パーツフィーダの正否を判定している。
【0004】
特許文献2に記載の発明では、ロケーションデータおよび保守管理データをデータベースに記録している。ロケーションデータは、部品を収容するパーツカセットの所在を示しており、パーツカセット毎の保管位置と部品実装機における搭載位置とが含まれる。保守管理データには、パーツカセットの履歴を示す履歴データが含まれる。特許文献2に記載の発明は、パーツカセットを移動する度に、携帯端末でパーツカセットのバーコードを読み取り、ロケーションデータと共にパーツカセットの保守管理データを、データベースに送信している。これにより、特許文献2に記載の発明は、パーツカセットの所在と共に、保守管理データを管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−204190号公報
【特許文献2】特開2008−60610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
部品実装機が複数配設された部品実装ラインでは、搭載機器に関する搭載機器情報を構成管理装置において一元管理している。生産開始前や生産中に搭載機器が装着されると、構成管理装置は、部品実装機との間で通信を行い、当該搭載機器の使用の可否を判別する。そして、構成管理装置によって搭載機器が使用可能であると判断されると、部品実装機は、当該搭載機器を使用して生産を開始する。
【0007】
しかしながら、構成管理装置と部品実装機との間の通信が不能になると、構成管理装置は、搭載機器の使用の可否を確認することができず、生産を中断しなければならなくなる。部品実装ラインでは、1つの部品実装機と構成管理装置との間の通信が不能になっても、構成管理装置が管理する部品実装ライン全体の生産を中断しなければならないので、配設される部品実装機の数が多くなればなるほど、生産を中断する時間が長くなり、部品実装ラインにおける生産効率が低下する。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みて為されたものであり、構成管理装置と部品実装機との間の通信が不能なときに、部品実装機に着脱可能に装着される搭載機器の使用の可否を判別可能な部品実装ライン管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の部品実装ライン管理装置は、基板に部品を実装する部品実装機が複数配設された部品実装ラインと、通信回線を介して各前記部品実装機と接続され、前記部品実装機の搭載位置に着脱可能に装着される複数の搭載機器をそれぞれ識別する搭載機器識別情報と前記搭載機器の前記部品実装機における搭載位置を示すロケーション情報とを対応づけて記憶する構成管理装置と、を備え、前記構成管理装置は、前記搭載機器が前記搭載位置に装着されたときの当該搭載機器の前記搭載機器識別情報および当該搭載位置の前記ロケーション情報が前記部品実装機から送信され、当該送信された前記搭載機器識別情報および前記ロケーション情報と、前記構成管理装置に記憶している当該搭載機器の前記搭載機器識別情報および対応づけられた前記ロケーション情報とを比較して、当該搭載機器の使用の可否を判別する通信正常時搭載機器判別部を有する部品実装ライン管理装置であって、各前記部品実装機または各前記搭載機器は、前記搭載位置に装着される前記搭載機器の前記搭載機器識別情報と当該搭載位置の前記ロケーション情報とを対応づけて記憶する搭載機器情報記憶装置を有し、各前記部品実装機は、前記構成管理装置との間の通信が不能なときに、前記搭載位置に装着された前記搭載機器の前記搭載機器識別情報および当該搭載位置の前記ロケーション情報と、前記搭載機器情報記憶装置に記憶している当該搭載機器の前記搭載機器識別情報および対応づけられた前記ロケーション情報とを比較して、当該搭載機器の使用の可否を判別する通信異常時搭載機器判別部を有する。
【0010】
本発明の部品実装ライン管理装置は、各部品実装機または各搭載機器に搭載機器情報記憶装置を有し、各部品実装機に通信異常時搭載機器判別部を有している。そのため、部品実装ライン管理装置は、構成管理装置と部品実装機との間の通信が不能なときに、搭載機器情報記憶装置に記憶している搭載機器の搭載機器識別情報と搭載機器識別情報に対応づけられたロケーション情報とを用いて、当該搭載機器の使用の可否を判別することができる。そのため、部品実装ラインは、構成管理装置と部品実装機との間の通信が不能なときにも生産を継続することができ、部品実装ラインの停止による生産効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】部品実装ライン1Lの全体構成の一例を示す斜視図である。
図2図1のシステムベース2S4の部品実装機27、28を示す斜視図である。
図3】構成管理装置1H、部品実装機21〜28の制御装置7およびフィーダ41の接続状態を模式的に示す構成図である。
図4】フィーダ識別情報と部品識別情報の対応例を説明する説明図である。
図5】基板種と生産ジョブの対応例を説明する説明図である。
図6】生産ジョブJA1の一例を説明する説明図である。
図7】部品実装ライン管理装置1の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図8】生産ジョブ、フィーダ識別情報、ロケーション情報および使用期限の一例を説明する説明図である。
図9】通信異常時搭載機器判別部12がフィーダ41の使用の可否を判別する手順の一例を示すフローチャートである。
図10】通信正常時搭載機器判別部14がフィーダ41の使用の可否を判別する手順の一例を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係り、部品実装ライン管理装置1の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態について共通する箇所には、共通の符号を付して対応させることにより重複する説明を省略する。なお、各図は概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
【0013】
<第1実施形態>
(部品実装ライン1Lおよび構成管理装置1H)
図1は、部品実装ライン1Lの全体構成の一例を示す斜視図である。図2は、図1のシステムベース2S4の部品実装機27、28を示す斜視図である。部品実装ライン1Lは、2台の同一構造の部品実装機を搭載したシステムベース2S1〜2S4が列設されている。したがって、部品実装ライン1Lは、8台の部品実装機21〜28が直列に配設されている。
【0014】
図1の紙面左方向奥側の部品実装機21を上流側、紙面右方向手前側の部品実装機28を下流側とすると、基板は、上流側の部品実装機21から搬入されて、下流側の部品実装機28から搬出される。部品実装機21〜28において基板が順次搬送される間に基板に部品が実装される。同図では、基板の搬送方向をX軸方向とし、水平面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。以下、部品実装機28を例に部品実装機の構成について詳説するが、部品実装機21〜27は、部品実装機28と同様の構成を有している。
【0015】
図2に示すように、部品実装機28は、基板搬送装置3、部品供給装置4、部品移載装置5、部品カメラ6および制御装置7を有しており、これらは基台8に組み付けられている。基板搬送装置3は、部品実装機28の長手方向(Y軸方向)の中央付近に配設されており、第1搬送装置31および第2搬送装置32が並設された、いわゆるダブルコンベアタイプの搬送装置である。
【0016】
第1搬送装置31は、基台8上にX軸方向と平行に並設される一対のガイドレールと、一対のガイドレールに案内され基板を載置して搬送する一対のコンベアベルトと、を有している。また、第1搬送装置31には、実装位置まで搬送された基板を基台8側から押し上げて位置決めするクランプ装置が設けられている。なお、第2搬送装置32は、第1搬送装置31と同様の構成を有している。
【0017】
部品供給装置4は、部品実装機28の長手方向の前部(図2の紙面左方向前側)に設けられており、カセット式の複数のフィーダ41が本体部上に着脱可能に取り付けられている。フィーダ41は、本発明の搭載機器に相当する。フィーダ41は、フィーダ本体42と、フィーダ本体42に回転可能かつ着脱可能に装着された供給リール43と、フィーダ本体42の先端側(部品実装機28の中央寄り)に設けられた部品供給部44と、を備えている。なお、本実施形態では、フィーダ41は、不揮発性の記憶装置であるメモリ45を備えており、種々の電子情報を記憶することができる。
【0018】
供給リール43は部品を供給する媒体であり、所定個数の部品を一定の間隔で保持したキャリアテープが巻回されている。キャリアテープの先端が部品供給部44まで引き出されて、キャリアテープごとに異なる部品が供給される。フィーダ41は、例えば、チップ部品などの比較的小型の部品を供給することができる。なお、部品供給装置4は、フィーダ41以外にも、例えば、トレイユニットを部品収容部として用いることができる。トレイユニットは、例えば、IC素子やLSI素子などの比較的大型の部品をトレイに収容した状態で供給することができる。トレイユニットは、本発明の搭載機器に相当する。
【0019】
部品移載装置5は、X軸方向およびY軸方向に移動可能ないわゆるXYロボットタイプの移載装置であり、部品実装機28の長手方向の後部(図2の紙面右方向奥側)から前部の部品供給装置4の上方にかけて配設されている。部品移載装置5は、ヘッド駆動機構51および部品装着ヘッド52を備えている。部品装着ヘッド52は、本発明の搭載機器に相当する。
【0020】
ヘッド駆動機構51は、X軸方向に延びる一対のガイドレールに案内されるX軸テーブルと、Y軸方向に延びる一対のガイドレールに案内されるY軸テーブルとを備えている。Y軸テーブルは、Y軸サーボモータによりY軸方向に移動することができ、Y軸テーブルには、Y軸方向と直交するX軸方向にX軸テーブルが移動可能に案内されている。X軸テーブルには、部品装着ヘッド52が着脱可能に装着されており、部品装着ヘッド52は、ヘッド駆動機構51によって、X軸方向およびY軸方向に移動することができる。なお、部品実装機28は、第1搬送装置31および第2搬送装置32で基板を搬入および搬出して、部品移載装置5で部品の実装を行うことができる。
【0021】
部品装着ヘッド52には、部品を吸着保持する吸着ノズル53が設けられている。吸着ノズル53は、部品供給部44で部品を吸着保持して、部品の実装位置で部品を基板に装着する。吸着ノズル53は、1つであっても複数であっても良い。また、吸着ノズル53は、同心円周上に複数配設することもでき、直線上に複数配設することもできる。吸着ノズル53は、本発明の搭載機器に相当する。
【0022】
部品カメラ6は、部品供給部44と第1搬送装置31との間の基台8上に配設されている。部品カメラ6は、吸着ノズル53に吸着保持される複数の部品を一度に撮像することができる。部品カメラ6には、公知の画像処理装置が設けられている。部品カメラ6の画像処理装置は、撮像された画像から部品の適否を判定することができ、部品の良否を含む部品の吸着状態を判定することができる。例えば、部品カメラ6の画像処理装置は、吸着ノズル53に対する部品の位置ずれ及び角度ずれを検出することができ、検出結果は、部品の実装位置を補正する際に用いることができる。
【0023】
図3は、構成管理装置1H、部品実装機21〜28の制御装置7およびフィーダ41の接続状態を模式的に示す構成図である。制御装置7は、図2に示すカバー81の前側上部に配設されており、図3に示すように、公知のマイクロコンピュータ71を有している。マイクロコンピュータ71は、CPU72、メモリ73および通信インターフェース74を備えている。
【0024】
CPU72は、中央演算装置であり、種々の演算を行うことができる。メモリ73は、読み出しおよび書き込み可能な記憶装置であり、種々の電子情報を記憶することができる。通信インターフェース74は、構成管理装置1Hとの間で通信を行うインターフェースであり、例えば、公知のLANインターフェースを用いることができる。なお、通信インターフェース74は、搭載機器との間で通信を行うこともできる。
【0025】
部品実装ライン1Lには、各部品実装機21〜28を制御する構成管理装置1Hが設けられている。図3に示すように、構成管理装置1Hは、公知のマイクロコンピュータ1H1を有している。マイクロコンピュータ1H1は、CPU1H2、メモリ1H3および通信インターフェース1H4を備えている。CPU1H2は、中央演算装置であり、種々の演算を行うことができる。メモリ1H3は、読み出しおよび書き込み可能な記憶装置であり、種々の電子情報を記憶することができる。通信インターフェース1H4は、各部品実装機21〜28との間で通信を行うインターフェースであり、例えば、公知のLANインターフェースを用いることができる。なお、通信インターフェース1H4は、端末機91との間で通信を行うこともできる。
【0026】
構成管理装置1Hと、各部品実装機21〜28の制御装置7との間は、有線または無線の通信回線1C1で通信可能に接続されている。通信方法は、特に限定されるものではなく、電子的方法、磁気的方法その他の種々の方法を用いることができる。例えば、通信回線1C1は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を用いることができ、通信回線1C1を介して、各種データおよび制御信号を送受信することができる。各種データは、例えば、基板に実装する部品の部品情報、部品収容情報、部品の実装順序、部品の実装位置などが挙げられる。また、各種データには、例えば、フィーダ41、トレイユニット、部品装着ヘッド52、吸着ノズル53等の搭載機器に関する情報が含まれる。
【0027】
部品実装ライン1Lには、作業スペースである治具台9が併設されている。治具台9では、例えば、フィーダ41に供給リール43を装着することができる。フィーダ41には、フィーダ識別情報を表すバーコードが貼付されている。また、供給リール43には、部品識別情報を表すバーコードが貼付されている。フィーダ識別情報は、複数のフィーダ41を識別する識別情報であり、部品識別情報は、供給リール43に巻回された部品テープに収容される部品の部品種を識別する識別情報である。これらのバーコードは、端末機91によって読み取られる。端末機91は、バーコードの読み取り機能を備えた公知のバーコードリーダまたは携帯情報端末機等を用いることができる。なお、フィーダ識別情報や部品識別情報の呈示方法は、バーコードに限定されるものではなく、例えば、公知のICタグなどを用いることもできる。
【0028】
図3に示すように、端末機91は、液晶表示器等の表示部911と、タッチキー等の入力部912と、光学式の読み取り部913とを備えている。端末機91は、通信回線1C1と同等の通信回線1C2を介して構成管理装置1Hと通信可能に接続されている。端末機91は、フィーダ41のバーコードを読み取り部913で読み取り、フィーダ識別情報を取得することができる。また、端末機91は、供給リール43のバーコードを読み取り部913で読み取り、部品識別情報を取得することができる。取得されたフィーダ識別情報および部品識別情報は、通信回線1C2を介して構成管理装置1Hに送信されて、メモリ1H3に記憶される。
【0029】
図4は、フィーダ識別情報と部品識別情報の対応例を説明する説明図である。構成管理装置1Hは、端末機91からフィーダ識別情報および部品識別情報を受信すると、フィーダ41を識別するフィーダ識別情報と、当該フィーダ41に収容される部品の部品識別情報とを対応づけて、メモリ1H3に記憶する。これにより、フィーダ41のフィーダ識別情報と当該フィーダ41に収容される部品の部品識別情報とが関連づけられる。同図は、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41には、部品識別情報P1で示される部品種の部品が収容されていることを表している。他のフィーダ41についても同様である。
【0030】
図5は、基板種と生産ジョブの対応例を説明する説明図である。構成管理装置1Hは、生産計画に基づいて、生産する基板種毎に生産ジョブを生成する。生産ジョブは、各部品実装機21〜28で使用する生産プログラムであり、同図は生産ジョブの一例を示している。例えば、基板種Aの基板を生産する場合は、部品実装機21、27、28を使用し、部品実装機22〜26は使用しない。このとき、基板種Aの基板は、部品実装機21に搬入されて所定部品が実装され、部品実装機27、28に搬送される。そして、部品実装機27、28においても同様に所定部品が実装される。
【0031】
同図では、部品実装機21で部品を実装する際に使用する生産プログラムを生産ジョブJA1で示し、部品実装機27で部品を実装する際に使用する生産プログラムを生産ジョブJA7で示し、部品実装機28で部品を実装する際に使用する生産プログラムを生産ジョブJA8で示している。他の生産ジョブについても同様である。なお、部品実装ライン1Lが複数配設される場合は、同様にして、部品実装ライン1L毎に生産ジョブを生成することができる。また、複数の部品実装ライン1Lや複数の部品実装機21〜28の生産プログラムを所定単位にまとめて、生産ジョブを生成することもできる。
【0032】
図6は、生産ジョブJA1の一例を説明する説明図である。同図は、基板種Aの基板の生産において、部品実装機21で部品を実装する際に使用する生産ジョブJA1の一例を示しており、部品実装機21で実装する実装部品の一部と実装順序の一部が記載されている。例えば、生産ジョブJA1では、部品識別情報P1〜P3で示される部品種の部品が使用される。図4に示すように、部品識別情報P1で示される部品種の部品は、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41に収容されている。部品識別情報P2、P3で示される部品種の部品についても同様である。
【0033】
構成管理装置1Hは、部品実装機21〜28のタクトタイムが最短となるように生産ジョブを最適化する。タクトタイムは、基板に複数の部品を実装して基板の生産を行う際の部品実装機21〜28における所要時間をいう。生産ジョブを最適化する方法は限定されないが、例えば、構成管理装置1Hは、フィーダ41の配置、部品の実装順序等を変更して、部品実装機21〜28のタクトタイムを最適化することができる。
【0034】
例えば、上流側の部品実装機(部品実装機21)に小型の部品を収納するフィーダ41を配置し、下流側の部品実装機(部品実装機28)につれて徐々に大型の部品を収納するフィーダ41を配置することができる。これにより、下流側の部品実装機で部品を実装する際に、既に実装されている部品と干渉することを回避することができる。よって、部品装着ヘッド52が部品を採取する際の移動距離および移動時間が干渉回避のために増大することを抑制できる。
【0035】
また、同一種類の部品を複数実装する場合、当該部品を収容するフィーダ41を部品カメラ6に近い装着スロット46に配置することができる。部品装着ヘッド52は、部品供給部44、部品カメラ6および実装位置を経路として移動する。そのため、同一種類の部品を複数実装する部品を収容するフィーダ41を部品カメラ6に近い装着スロット46に配置することにより、部品装着ヘッド52が部品を採取する際の移動距離および移動時間を低減することができる。
【0036】
さらに、各部品実装機21〜28のタクトタイムが均等になるように、各部品実装機21〜28に配置されたフィーダ41の交換を行うこともできる。例えば、タクトタイムが最も長い部品実装機に配置されたフィーダ41と、タクトタイムが最も短い部品実装機に配置されたフィーダ41と、を交換する。これを繰り返すことにより、各部品実装機21〜28のタクトタイムを均等化することができる。なお、タクトタイムが均等であるか否かは、各部品実装機21〜28のタクトタイムの差が所望の範囲にあるか否かによって判定することができる。これにより、特定の部品実装機がボトルネックとなり、部品実装ライン1L全体としてタクトタイムが増大することを回避できる。
【0037】
このようにして、例えば、部品識別情報P1で示される部品種の部品は、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41から供給し、当該フィーダ41は、部品実装機21のスロット番号S3の装着スロット46に装着することが決定される。構成管理装置1Hは、部品識別情報P2、P3で示される部品種の部品についても同様にして、供給するフィーダ41、41および当該フィーダ41、41を装着する装着スロット46のスロット番号S2、S1を決定する。
【0038】
また、図6に示すように、構成管理装置1Hによって、部品の実装順序が決定される。例えば、シーケンス番号0001において、部品識別情報P1で示される部品種の部品を部品番号PA1の実装位置に実装する。実装位置は、X軸方向の実装位置XA1、Y軸方向の実装位置YA1およびθ方向(実装位置における回転方向)の装着角度θA1で表すことができる。シーケンス番号0002以降についても同様である。
【0039】
各部品実装機21〜28の制御装置7は、通信回線1C1を介して構成管理装置1Hが作成した生産ジョブをダウンロードする。各部品実装機21〜28は、自己の部品実装機に割り当てられた生産ジョブに従って、部品を実装することにより、他の部品実装機と協働して部品を実装することができる。
【0040】
各部品実装機21〜28は、生産ジョブに基づいて、基板搬送装置3、部品供給装置4、部品移載装置5および部品カメラ6を駆動させて、基板に部品を実装する。具体的には、生産ジョブに基づいて、部品移載装置5の部品装着ヘッド52は、部品供給装置4に移動して部品を吸着保持する。そして、部品装着ヘッド52は、部品カメラ6の撮像部に移動して、部品カメラ6は、吸着ノズル53に吸着保持された部品を撮像する。
【0041】
部品カメラ6は、吸着ノズル53に対する部品の位置ずれ及び角度ずれを検出して、部品の実装位置を補正する。また、部品装着ヘッド52は、検出された角度ずれ分、吸着ノズル53を回転させて部品の実装角度を補正する。そして、部品装着ヘッド52は、基板搬送装置3によって実装位置に搬入位置決めされた基板の部品の実装位置に移動して部品を実装し、部品供給装置4に戻る。部品実装ライン1Lは、この一連の動作を各部品実装機21〜28で繰り返すことによって、基板に複数の部品を実装することができる。
【0042】
(部品実装ライン管理装置1)
図7は、部品実装ライン管理装置1の制御ブロックの一例を示すブロック図である。同図に示すように、部品実装ライン管理装置1は、部品実装ライン1Lと構成管理装置1Hとを備えている。同図では、部品実装ライン1Lは、部品実装機21のみを記載しているが、部品実装機22〜28についても同様の構成を備えている。
【0043】
制御ブロックとして捉えると、各搭載機器(同図ではフィーダ41、41、41)は、搭載機器情報記憶装置11を有しており、各部品実装機21〜28は、通信異常時搭載機器判別部12を有している。構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときは、通信異常時搭載機器判別部12が搭載機器の使用の可否を判別する。
【0044】
(搭載機器情報記憶装置11)
搭載機器情報記憶装置11は、各搭載機器について、搭載機器識別情報とロケーション情報とを対応づけて記憶している。搭載機器識別情報は、部品実装機21〜28の搭載位置に着脱可能に装着される複数の搭載機器をそれぞれ識別する識別情報をいう。本明細書では、搭載機器はフィーダ41を例に説明するが、搭載機器は、フィーダ41に限定されるものではない。搭載機器は、トレイユニットや部品装着ヘッド52、吸着ノズル53をはじめとした部品実装機21〜28の搭載位置に着脱可能に装着される種々の機器を示している。なお、フィーダ識別情報は、搭載機器識別情報に相当する。
【0045】
ロケーション情報は、搭載機器の部品実装機21〜28における搭載位置を示している。例えば、フィーダ41の部品実装機21における搭載位置は、当該フィーダ41が装着される装着スロット46のスロット番号で示すことができる。よって、フィーダ41のロケーション情報は、フィーダ41が装着される部品実装機21〜28の識別番号と、当該フィーダ41が装着される装着スロット46のスロット番号とによって表すことができる。なお、部品実装ライン1Lが複数配設される場合は、部品実装ライン1Lを識別するライン番号を付加する。
【0046】
また、搭載機器情報記憶装置11は、部品実装機21〜28の生産ジョブ毎に、搭載位置に装着される搭載機器の搭載機器識別情報と、当該搭載位置のロケーション情報とを対応づけて記憶していると好適である。生産ジョブが異なると、同じ搭載機器であっても部品実装機21〜28における搭載位置が異なる場合がある。生産ジョブ毎に搭載位置に装着される搭載機器の搭載機器識別情報と当該搭載位置のロケーション情報とを対応づけて記憶することにより、複数種類の基板の生産を行う場合など複数の生産ジョブに対応することができる。
【0047】
さらに、搭載機器情報記憶装置11は、基板の生産に使用可能な搭載機器の使用期限を搭載機器識別情報と対応づけて記憶していると好適である。例えば、搭載機器情報記憶装置11は、フィーダ41の使用期限をフィーダ識別情報と対応づけて記憶することができる。例えば、実装部品の湿度を管理する必要がある場合がある。この場合、搭載機器情報記憶装置11は、当該部品を収容するフィーダ41について使用期限を記憶する。そして、通信異常時搭載機器判別部12は、使用期限を経過したフィーダ41の使用を不可と判断して、当該フィーダ41の部品を実装に使用しないことにより、基板の生産品質を高めることができる。これらのことは、トレイユニットについても同様である。
【0048】
また、搭載機器情報記憶装置11は、部品装着ヘッド52の使用期限を部品装着ヘッド52の識別情報と対応づけて記憶することもできる。部品装着ヘッド52の使用期限は、部品装着ヘッド52を使用して実装した実装回数、実装回数のうち正しく実装することができた割合である装着率などに基づいて設定することができる。そして、通信異常時搭載機器判別部12は、使用期限を経過した部品装着ヘッド52の使用を不可と判断して、オペレータは、当該部品装着ヘッド52の保守を行う。これにより、部品装着ヘッド52の保守管理を適切なタイミングで行うことができ、部品装着ヘッド52の信頼性を確保することができる。これらのことは、吸着ノズル53についても同様である。
【0049】
図8は、生産ジョブ、フィーダ識別情報、ロケーション情報および使用期限の一例を説明する説明図である。同図は、部品実装機21の生産ジョブJA1〜JC1毎に、フィーダ識別情報、ロケーション情報および使用期限の一例を示している。ロケーション情報は、フィーダ41が装着される部品実装機21〜28の識別番号(この場合は21)と、フィーダ41が装着される装着スロット46のスロット番号(この場合はS1〜S3)とによって表している。使用期限(日時)は、年、月、日、時刻の順に表している。例えば、生産ジョブJA1で使用されるフィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41は、部品実装機21のスロット番号S3の装着スロット46に装着され、2013年10月1日午前9時まで使用可能であることを示している。なお、フィーダ41に使用期限を設定しない場合は、「−」で示している。
【0050】
本実施形態では、搭載機器情報記憶装置11は、搭載機器であるフィーダ41のメモリ45に設けられており、図8に示す情報のうち自己のフィーダ41に関する情報が格納されている。例えば、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41には、図8に示す情報のうちフィーダ識別情報F1で示される情報が格納されている。他のフィーダ41についても同様である。
【0051】
図3に示す治具台9において、フィーダ41のフィーダ識別情報と当該フィーダ41に収容される部品の部品識別情報とが関連づけられると、構成管理装置1Hによって生産ジョブJA1〜JC1が生成される。構成管理装置1Hは、通信回線1C2を介して、図8に示す情報を端末機91に送信する。受信した情報は、公知の書き込み装置によって搭載機器情報記憶装置11(本実施形態ではフィーダ41のメモリ45)に書き込まれて、これらの情報が搭載機器情報記憶装置11に記憶される。
【0052】
例えば、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41は、生産ジョブJA1では、部品実装機21のスロット番号S3の装着スロット46に装着される。生産ジョブJB1では、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41が記載されておらず、当該フィーダ41を使用しない。生産ジョブJC1では、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41は、部品実装機21のスロット番号S1の装着スロット46に装着される。これらの情報が、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41のメモリ45に書き込まれる。他のフィーダ41や使用期限(日時)についても同様である。
【0053】
このように、フィーダ41が部品実装機21の装着スロット46に装着される前に、フィーダ41は、装着先(スロット番号S1〜S3)を知得することができる。よって、例えば、液晶表示器などの表示部をフィーダ41に設けて、装着するスロット番号S1〜S3を表示部に表示することもできる。これにより、フィーダ41は、オペレータに対して、フィーダ41の装着先を案内することもできる。
【0054】
(通信異常時搭載機器判別部12)
生産開始前や生産中に搭載機器が装着されると、装着された搭載機器の使用の可否を判別する必要がある。通信異常時搭載機器判別部12は、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときに、搭載機器の使用の可否を判別する。
【0055】
通信異常時搭載機器判別部12は、部品実装機21〜28の搭載位置に装着された搭載機器の搭載機器識別情報および当該搭載位置のロケーション情報と、搭載機器情報記憶装置11に記憶している当該搭載機器の搭載機器識別情報および対応づけられたロケーション情報とを比較して、当該搭載機器の使用の可否を判別する。
【0056】
例えば、生産ジョブJA1で使用するフィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41について説明する。治具台9で準備されたフィーダ41がオペレータによって装着スロット46に装着されると、通信異常時搭載機器判別部12は、装着されたフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報を取得する。装着スロット46は、通信回線1C1、1C2と同等の通信回線1C3を介して制御装置7と通信可能に接続されており、フィーダ41が装着スロット46に装着されたときの当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報が制御装置7に送信される。
【0057】
また、通信異常時搭載機器判別部12は、搭載機器情報記憶装置11に記憶している当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報を読み出す。この場合、搭載機器識別情報としてフィーダ識別情報F1が搭載機器情報記憶装置11から読み出され、対応づけられたロケーション情報として部品実装機21のスロット番号S3が搭載機器情報記憶装置11から読み出される。
【0058】
通信異常時搭載機器判別部12は、両者の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報を比較して、当該フィーダ41の使用の可否を判別する。図9は、通信異常時搭載機器判別部12がフィーダ41の使用の可否を判別する手順の一例を示すフローチャートである。通信異常時搭載機器判別部12はプログラムとしてメモリ73に記憶されており、生産開始前にメモリ73から読み出される。通信異常時搭載機器判別部12は、同図に示すフローに従ってプログラムを実行することにより、フィーダ41の使用の可否を判別する。
【0059】
まず、通信異常時搭載機器判別部12は、構成管理装置1Hと部品実装機21との間の通信が可能であるか否かを確認する(ステップS11)。構成管理装置1Hと部品実装機21との間の通信が可能な場合(Yesの場合)は、一旦、本ルーチンを終了する。この場合は、後述する通信正常時搭載機器判別部14がフィーダ41の使用の可否を判別する。
【0060】
構成管理装置1Hと部品実装機21との間の通信が不能な場合(Noの場合)は、ステップS12に進む。そして、通信異常時搭載機器判別部12は、実行中の生産ジョブ名(この場合は生産ジョブJA1)を取得する。また、通信異常時搭載機器判別部12は、部品実装機21の装着スロット46に装着されたフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報を取得する(ステップS12)。
【0061】
次に、通信異常時搭載機器判別部12は、生産ジョブJA1に対応する搭載機器情報記憶装置11に記憶している当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報、使用期限を読み出す(ステップS13)。この場合、フィーダ識別情報F1と、フィーダ識別情報F1に対応づけられたロケーション情報(部品実装機21のスロット番号S3)と、フィーダ識別情報F1に対応づけられた使用期限(2013年10月1日午前9時)とが搭載機器情報記憶装置11から読み出される。なお、ステップS12およびステップS13は、ステップS13、ステップS12の順に実行しても良い。
【0062】
通信異常時搭載機器判別部12は、取得したフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報と、搭載機器情報記憶装置11から読み出した当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報とを比較する(ステップS14)。当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報が一致する場合(Yesの場合)は、ステップS15に進み、当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報が一致しない場合(Noの場合)は、ステップS17に進む。
【0063】
ステップS15では、通信異常時搭載機器判別部12は、当該フィーダ41の使用期限が経過していないか否かを判断する。当該フィーダ41の使用期限が経過していない場合(Yesの場合)は、ステップS16に進み、当該フィーダ41の使用期限が経過している場合(Noの場合)は、ステップS17に進む。
【0064】
ステップS16では、通信異常時搭載機器判別部12は、照合したフィーダ41を使用可と判断する。一方、ステップS17では、通信異常時搭載機器判別部12は、照合したフィーダ41を使用不可と判断する。そして、一旦、本ルーチンを終了する。なお、本ルーチンは所定間隔で繰り返し実行されており、生産中にフィーダ41が装着された場合は、通信異常時搭載機器判別部12は、適宜、フィーダ41の使用の可否を判別することができる。
【0065】
本実施形態では、部品実装ライン管理装置1は、各フィーダ41(本発明の搭載機器に相当)に搭載機器情報記憶装置11を有し、各部品実装機21〜28に通信異常時搭載機器判別部12を有している。そのため、部品実装ライン管理装置1は、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときに、搭載機器情報記憶装置11に記憶しているフィーダ41のフィーダ識別情報(本発明の搭載機器識別情報に相当)とフィーダ識別情報に対応づけられたロケーション情報とを用いて、当該フィーダ41の使用の可否を判別することができる。そのため、部品実装ライン1Lは、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときにも生産を継続することができ、部品実装ライン1Lの停止による生産効率の低下を抑制することができる。
【0066】
図8に示すように、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41は、生産ジョブJA1では、部品実装機21のスロット番号S3の装着スロット46に装着され、生産ジョブJC1では、部品実装機21のスロット番号S1の装着スロット46に装着される。そのため、生産ジョブJA1〜JC1毎にフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)とロケーション情報とが対応づけて記憶されていない場合は、当該フィーダ41の装着先が確定しない。他のフィーダ41についても同様である。
【0067】
本実施形態では、搭載機器情報記憶装置11は、部品実装機21〜28の生産ジョブ毎に装着スロット46(本発明の搭載位置に相当)に装着されるフィーダ41(本発明の搭載機器に相当)の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)と当該装着スロット46のロケーション情報とを対応づけて記憶している。また、通信異常時搭載機器判別部12は、通信が不能になったときに実行中の生産ジョブに対応する搭載機器情報記憶装置11に記憶しているフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報を用いて、当該フィーダ41の使用の可否を判別する。
【0068】
例えば、部品実装機21で生産ジョブJA1の実行中に、構成管理装置1Hと部品実装機21との間の通信が不能になったとする。このとき、図8に示す対応づけに基づいて、通信異常時搭載機器判別部12は、搭載機器情報記憶装置11に記憶しているロケーション情報を読み出す。この場合、通信異常時搭載機器判別部12は、フィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41のロケーション情報として、部品実装機21、スロット番号S3を用いて、当該フィーダ41の使用の可否を判別する。他のフィーダ41についても同様であり、フィーダ41の使用期限についても同様である。
【0069】
これにより、複数の生産ジョブを実行する部品実装ライン1Lにおいて、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときに、フィーダ41の使用の可否を判別することができる。特に、通信異常時搭載機器判別部12は、通信が不能になったときに実行中の生産ジョブJA1に合わせて、フィーダ41の使用の可否を判別することができる。そのため、部品実装ライン1Lは、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときにおいても、実行中の生産ジョブJA1から生産を開始することができる。
【0070】
また、本実施形態では、搭載機器情報記憶装置11は、基板の生産に使用可能なフィーダ41(本発明の搭載機器に相当)の使用期限を搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)と対応づけて記憶している。そして、通信異常時搭載機器判別部12は、使用期限を経過したフィーダ41の使用を不可と判断する。そのため、部品実装ライン管理装置1は、実装部品の品質を管理することが容易であり、基板の生産品質を高めることができる。また、部品実装ライン管理装置1は、搭載機器の保守管理を適切なタイミングで行うことができ、搭載機器の信頼性を確保することができる。
【0071】
仮に、搭載機器情報記憶装置11が各部品実装機21〜28に設けられる場合は、搭載機器の搭載機器識別情報および対応づけられたロケーション情報は、通信回線1C1を介して各部品実装機21〜28の各制御装置7に送信される。そして、これらの情報はメモリ73に記憶される。この場合、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときに、搭載機器の搭載機器識別情報およびロケーション情報を対応づけて、搭載機器情報記憶装置11に記憶することは困難である。
【0072】
本実施形態では、搭載機器情報記憶装置11は、フィーダ41(本発明の搭載機器に相当)に設けられている。そのため、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときにも、部品実装ライン管理装置1は、フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報を、搭載機器情報記憶装置11に記憶することができる。
【0073】
(構成記憶部13および通信正常時搭載機器判別部14)
制御ブロックとして捉えると、構成管理装置1Hは、構成記憶部13および通信正常時搭載機器判別部14を有している。構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が可能なときは、通信正常時搭載機器判別部14が搭載機器の使用の可否を判別する。
【0074】
構成記憶部13は、搭載機器情報記憶装置11に相当する構成を有しており、通信正常時搭載機器判別部14は、通信異常時搭載機器判別部12に相当する構成を有している。本明細書では、搭載機器情報記憶装置11および通信異常時搭載機器判別部12と異なる点を中心に説明し、共通する構成、作用および効果については、その説明を省略する。
【0075】
構成記憶部13は、部品実装機21〜28の搭載位置に着脱可能に装着される複数のフィーダ41(本発明の搭載機器に相当)をそれぞれ識別する搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)とフィーダ41の部品実装機21〜28における搭載位置を示すロケーション情報とを対応づけて記憶している。構成記憶部13は、例えば、メモリ1H3に設けることができ、データベースを構成することもできる。
【0076】
生産開始前や生産中にフィーダ41が装着されると、フィーダ41が装着スロット46(本発明の搭載位置に相当)に装着されたときの当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および当該装着スロット46のロケーション情報が部品実装機から構成管理装置1Hに送信される。例えば、生産ジョブJA1の実行中に、部品実装機21のフィーダ41が装着されると、装着されたフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報が部品実装機21から構成管理装置1Hに送信される。
【0077】
通信正常時搭載機器判別部14は、送信された搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報と、構成管理装置1H(本実施形態では構成記憶部13)に記憶しているフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報とを比較して、当該フィーダ41の使用の可否を判別する。
【0078】
例えば、生産ジョブJA1で使用するフィーダ識別情報F1で示されるフィーダ41について説明する。通信正常時搭載機器判別部14は、構成記憶部13に記憶している当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報を読み出す。この場合、搭載機器識別情報としてフィーダ識別情報F1が構成記憶部13から読み出され、ロケーション情報として部品実装機21のスロット番号S3が構成記憶部13から読み出される。
【0079】
通信正常時搭載機器判別部14は、両者の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報を比較して、当該フィーダ41の使用の可否を判別する。図10は、通信正常時搭載機器判別部14がフィーダ41の使用の可否を判別する手順の一例を示すフローチャートである。通信正常時搭載機器判別部14はプログラムとしてメモリ1H3に記憶されており、生産開始前にメモリ1H3から読み出される。通信正常時搭載機器判別部14は、同図に示すフローに従ってプログラムを実行することにより、フィーダ41の使用の可否を判別する。
【0080】
まず、通信正常時搭載機器判別部14は、部品実装機21〜28からフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報の送信要求の有無を確認する(ステップS21)。部品実装機21〜28から送信要求がある場合(Yesの場合)は、部品実装機21〜28からフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報を受信する(ステップS22)。このとき、通信正常時搭載機器判別部14は、実行中の生産ジョブ名(例えば生産ジョブJA1)を併せて受信する。部品実装機21〜28から送信要求がない場合(Noの場合)は、一旦、本ルーチンを終了する。
【0081】
次に、通信正常時搭載機器判別部14は、生産ジョブJA1に対応する構成記憶部13に記憶している当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報、使用期限を読み出す(ステップS23)。なお、ステップS22およびステップS23は、ステップS23、ステップS22の順に実行しても良い。通信正常時搭載機器判別部14は、部品実装機21〜28から送信されたフィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報と、構成記憶部13から読み出した当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)および対応づけられたロケーション情報とを比較する(ステップS24)。
【0082】
当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報が一致する場合(Yesの場合)は、ステップS25に進み、当該フィーダ41の搭載機器識別情報(フィーダ識別情報)およびロケーション情報が一致しない場合(Noの場合)は、ステップS27に進む。ステップS25では、通信正常時搭載機器判別部14は、当該フィーダ41の使用期限が経過していないか否かを判断する。当該フィーダ41の使用期限が経過していない場合(Yesの場合)は、ステップS26に進み、当該フィーダ41の使用期限が経過している場合(Noの場合)は、ステップS27に進む。
【0083】
ステップS26では、通信正常時搭載機器判別部14は、照合したフィーダ41を使用可と判断する。一方、ステップS27では、通信正常時搭載機器判別部14は、照合したフィーダ41を使用不可と判断する。そして、一旦、本ルーチンを終了する。なお、本ルーチンは所定間隔で繰り返し実行されており、生産中にフィーダ41が装着された場合は、通信正常時搭載機器判別部14は、適宜、フィーダ41の使用の可否を判別することができる。
【0084】
本実施形態では、部品実装ライン管理装置1は、構成管理装置1Hに構成記憶部13および通信正常時搭載機器判別部14を有している。そのため、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が可能なときは、通信正常時搭載機器判別部14がフィーダ41の使用の可否を判別することができる。よって、部品実装ライン管理装置1は、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信の可否に合わせて、通信異常時搭載機器判別部12または通信正常時搭載機器判別部14がフィーダ41の使用の可否を判別することができる。したがって、部品実装ライン管理装置1は、搭載機器に関する情報を構成管理装置1Hにおいて一元管理しつつ、一元管理に伴う弊害(部品実装ライン1Lの停止)を低減させることができる。
【0085】
<第2実施形態>
本実施形態は、搭載機器情報記憶装置11が各部品実装機21〜28に設けられている点で第1実施形態と異なる。図11は、部品実装ライン管理装置1の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【0086】
同図に示すように、搭載機器情報記憶装置11は、制御装置7に設けられている。これにより、搭載機器毎に搭載機器情報記憶装置11を設けることなく、制御装置7において、各搭載機器の搭載機器識別情報とロケーション情報とを対応づけて記憶することができる。そのため、各搭載機器に搭載機器情報記憶装置11を設ける場合と比べて、工数の増加およびコストアップを抑制することができる。また、例えば、吸着ノズル53など搭載機器自体に記憶装置を設けることが困難な搭載機器にも適用することができ、搭載機器の適用範囲を拡大することができる。
【0087】
なお、各部品実装機21〜28の制御装置7は、通信回線1C2と同等の通信回線を介して端末機91と通信可能に接続されていると好適である。これにより、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときに、各搭載機器の搭載機器識別情報とロケーション情報とを対応づけて搭載機器情報記憶装置11に記憶することが容易になる。
【0088】
本実施形態では、部品実装ライン管理装置1は、各部品実装機21〜28に搭載機器情報記憶装置11および通信異常時搭載機器判別部12を有している。本実施形態においても、部品実装ライン管理装置1は、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときに、搭載機器情報記憶装置11に記憶しているフィーダ41のフィーダ識別情報(本発明の搭載機器識別情報に相当)とフィーダ識別情報に対応づけられたロケーション情報とを用いて、当該フィーダ41の使用の可否を判別することができる。そのため、部品実装ライン1Lは、構成管理装置1Hと部品実装機21〜28との間の通信が不能なときにも生産を継続することができ、部品実装ライン1Lの停止による生産効率の低下を抑制することができる。
【0089】
<その他>
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、第1実施形態および第2実施形態を組み合わせた実施形態とすることもできる。具体的には、一部の搭載機器(例えばフィーダ41など)については、搭載機器に搭載機器情報記憶装置11を設けて、他の搭載機器(例えば吸着ノズル53など)については、部品実装機21〜28の制御装置7に搭載機器情報記憶装置11を設けることもできる。
【符号の説明】
【0090】
1:部品実装ライン管理装置、
11:搭載機器情報記憶装置、
12:通信異常時搭載機器判別部、
14:通信正常時搭載機器判別部、
1L:部品実装ライン、1H:構成管理装置、1C1:通信回線、
21〜28:部品実装機、
4:部品供給装置、41:フィーダ(本発明の搭載機器に相当)、
5:部品移載装置、52:部品装着ヘッド(本発明の搭載機器に相当)、53:吸着ノズル(本発明の搭載機器に相当)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11