特許第6204488号(P6204488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204488
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】部分フッ素化ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/24 20060101AFI20170914BHJP
   C08F 214/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C08F2/24 A
   C08F214/18
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-546494(P2015-546494)
(86)(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公表番号】特表2015-537106(P2015-537106A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2013070886
(87)【国際公開番号】WO2014088804
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】61/732,966
(32)【優先日】2012年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヒンツァー
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト カスパー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト ケーニヒスマン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート トラウンシュプルガー
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン ツェー.チップリース
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/037880(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/001895(WO,A1)
【文献】 特開2005−320500(JP,A)
【文献】 特開2005−320499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
214/00−214/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分フッ素化ポリマー分散体を製造する方法であって、
重合性フッ素化乳化剤の存在下にて水性乳化重合で、フッ化ビニリデンと1種又は2種以上のフッ素化モノマーを重合させて部分フッ素化ポリマーを形成することを含み、前記重合性フッ素化乳化剤が、式:
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり、Mは、H、アルカリ金属、又はNHであり、mは、0〜5であり、nは、0〜5であり、pは、少なくとも1であり、qは、0〜5であり、rは、0〜5であり、sは、0〜5であり、tは、0〜5であり、uは、0〜5であり、vは、0〜5であり、wは、0又は1であり、zは、0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1である)を有し、前記重合性フッ素化乳化剤が、(a)少なくとも1つのフッ素原子を含み且つ(b)用いられるモノマーの総重量に基づいて1重量%未満であり、前記部分フッ素化ポリマーが、前記部分フッ素化ポリマーのモノマー単位に基づいて45モル%未満のモノマーフッ化ビニリデン単位を含む、方法。
【請求項2】
水性混合物であって、
フッ化ビニリデンと、
フッ素化モノマーと、
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり;mは、0〜5であり、nは、0〜5であり、pは、少なくとも1であり、qは、0〜5であり、rは、0〜5であり、sは、0〜5であり、tは、0〜5であり、uは、0〜5であり、vは、0〜5であり、wは、0又は1であり、zは、0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1であり;Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)から選択される重合性フッ素化乳化剤と、
部分フッ素化重合生成物を含み、得られるポリマーが、前記部分フッ素化ポリマーのモノマー単位に基づいて45モル%未満のフッ化ビニリデン単位を含み、前記水性混合物が、100ppm未満の前記重合性フッ素化乳化剤を含む、水性混合物。
【請求項3】
前記重合性フッ素化乳化剤が、式:
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは、独立して、H又はFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり、Mは、H、アルカリ金属、又はNHであり、mは、0〜5であり、nは、0〜5であり、pは、少なくとも1であり、qは、0〜5であり、rは、0〜5であり、sは、0〜5であり、tは、0〜5であり、uは、0〜5であり、vは、0〜5であり、wは、0又は1であり、zは、0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1である)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重合性フッ素化乳化剤が、
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは、独立して、H又はFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり;mは、0〜5であり、nは、0〜5であり、pは、少なくとも1であり、qは、0〜5であり、rは、0〜5であり、sは、0〜5であり、tは、0〜5であり、uは、0〜5であり、vは、0〜5であり、wは、0又は1であり、zは、0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1であり;Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)から選択される、請求項2に記載の水性混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
重合性フッ素化乳化剤を用いて部分フッ素化ポリマーを作製する方法について記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
フルオロポリマー、即ち、フッ素化された骨格を有するポリマーは、長い間知られており、耐熱性、耐化学性、耐候性、UV安定性等の幾つかの望ましい特性のために、種々の用途で用いられてきた。
【0003】
フルオロポリマーを生成するために頻繁に用いられる方法は、フッ素化乳化剤を用いて1つ又は複数のフッ素化モノマーを水性乳化重合させることを含む。重合中、乳化剤を用いてポリマー粒子の合体を防ぐことができる。ポリマー粒子の形成後、乳化剤を用いて分散体を安定化させ、粒子の凝集及び沈降を防ぐこともできる。
【0004】
場合によっては、これら乳化剤は、最終生成物に負の影響を与えることがあるので、取り除くことが好ましい。乳化剤を全く使用しない水性乳化重合は、一般にクロロトリフルオロエチレン(CTFE)のホモポリマー及びコポリマーを生成するものとして、米国特許第5,453,477号、国際公開第96/24622号、及び国際公開第97/17381号に記載されている。例えば、国際公開第97/17381号は、乳化剤の非存在下における水性乳化重合について開示しており、ここでは、重合を開始させるために還元剤及び酸化剤のラジカル反応開始剤系が使用され、重合中に、1回以上の追加充填で反応開始剤系が添加される。いわゆる無乳化剤重合は、更に、国際公開第02/88206号及び国際公開第02/88203号に開示されている。後者のPCT出願においては、ジメチルエーテル又はメチルt−ブチルエーテルを使用することで、フルオロポリマーから抽出可能な低分子量画分の形成を最小化することが示されている。国際公開第02/88207号は、水溶性フッ素化化合物の形成を最小化するための、特定の連鎖移動剤を使用する無乳化剤重合について教示している。ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのエラストマーコポリマーを作製するための無乳化剤重合が、更に、ロシア特許第2,158,274号に開示されている。しかし、無乳化剤重合は、例えば、粒径が大きくなる等の幾つかの不利点を有する。
【0005】
したがって、安定なフルオロポリマー粒子分散体を高収率で且つ例えば有機溶媒中で実施される重合よりも環境に優しい方法で得ることができるため、フッ素化乳化剤の存在下における水性乳化重合プロセスは依然としてフルオロポリマーを生成するために望ましいプロセスである。従来、乳化重合プロセスは、乳化剤としてペルフルオロアルカン酸又はその塩を用いて実行される。重合速度が速い、フッ素化オレフィンとコモノマーとの共重合特性が良好である、得られる分散体の粒径を小さくすることができる、重合収率が良好である(即ち、多量の固体を生成することができる)、分散安定性が良好である等の、広範な望ましい特性をもたらすので、これら非重合性乳化剤が典型的に用いられるが、これら乳化剤に関して環境への懸念が提起されている。
【0006】
したがって、改善された環境プロファイルを有する代替乳化剤でペルフルオロアルカン酸又はその塩を置き換える方策が講じられている(米国特許出願公開第2007/0015865号(Hintzerら)に開示)。しかし、このような代替乳化剤は、高価であり、製造が困難である場合がある。更に及び/又はあるいは、これら非重合性フッ素化乳化剤は、水性分散体及び廃棄物流から除去することができる(米国特許第6,833,403号(Blaedelら)に開示)。しかし、除去には、追加の処理工程及び/又はコストがかかる。
【0007】
したがって、重合後にフッ素化乳化剤を除去する必要がなく、得られる水性エマルションがフッ素化乳化剤を実質的に含まない、フッ素化乳化剤を用いる水性重合法を提供することが望まれている。1つの実施形態では、簡便及び/又は低コストの、部分フッ素化ポリマーを製造する方法を特定することが望まれている。
【0008】
1つの態様では、部分フッ素化ポリマー分散体を製造する方法であって、重合性フッ素化乳化剤の存在下において水性乳化重合で1つ又は複数のフッ素化モノマーを重合させて部分フッ素化ポリマーを形成することを含み、重合性フッ素化乳化剤が、式(I):
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは独立してH、F、又はCFから選択され;YはCOOM又はSOMであり;mは0〜5であり、nは0〜5であり、pは少なくとも1であり、qは0〜5であり、rは0〜5であり、sは0〜5であり、tは0〜5であり、uは0〜5であり、vは0〜5であり、wは0又は1であり、zは0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは少なくとも1であり;MはH、アルカリ金属、又はNHである)から選択され、重合性フッ素化乳化剤が(a)少なくとも1つのフッ素原子を含み、且つ(b)用いられるモノマーの総重量に基づいて1重量%未満であり、部分フッ素化ポリマーが、50モル%未満のフッ化ビニリデンを含む方法について記載する。
【0009】
1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤は、以下からなる群から選択される:
CX=CX−(CF−O−(CF−[O−(CF−Y (II)、
CX=CX−(CF−O−(CF−[O−(CF(CF)−CF)]−[O−CF(CF)]−Y (III)、及び
CX=CX−(CF−Y (IV)
(式中、Xは独立してH、F、又はCFから選択され;YはCOOM又はSOMであり、mは0〜5から選択される整数であり、pは少なくとも1であり、rは0〜5から選択される整数であり、sは1〜5から選択される整数であり、tは1〜5から選択される整数であり、vは1〜5から選択される整数であり、MはH、アルカリ金属、又はNHである)。
【0010】
上記の概要は、各実施形態を説明することを目的とするものではない。本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細を以下の説明文においても記載する。他の特徴、目的、及び利点は、説明文及び「特許請求の範囲」から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用するとき、用語
「a」、「an」、及び「the」は互換可能に使用され、1又はそれよりも多くを意味する。
「及び/又は」は、記載される事例の一方又は両方が起こり得ることを示すために使用され、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)と(A又はB)とを含む。
【0012】
本明細書においては更に、端点による範囲の記載には、その範囲内に含まれる全ての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98等が含まれる)。
【0013】
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100等)。
【0014】
本開示の目的は、部分フッ素化ポリマー分散体を調製することであり、分散体は、安定化されており、フッ素化乳化剤を実質的に含まない。
【0015】
本開示では、得られる最終フルオロポリマーに様々な特性を付与するのではなく、フルオロポリマー分散体を安定化するために、酸官能化モノマー(本明細書では、重合性フッ素化乳化剤と称する)を用いる。理論に束縛されるものではないが、水性フルオロポリマー重合に少量の重合性フッ素化乳化剤を添加することによって、これら酸官能化モノマーは、重合を安定化することができるが、得られるフルオロポリマーの選択特性(select properties)に影響は与えないと考えられる。更に、酸官能化モノマーは重合してフルオロポリマーになるので、水性分散体及び/又は廃水からそれを除去する必要がなくなる可能性がある。
【0016】
本開示は、フッ素化モノマーと重合性フッ素化乳化剤とを含む水性乳化重合を目的とする。式(I)の乳化剤は、フルオロポリマーの水性乳化重合の安定化に有効であることが見出された。
【0017】
本開示の重合性フッ素化乳化剤は、式(I):
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは独立してH、F、又はCFから選択され;YはCOOM又はSOMである)に対応するものであり、重合性フッ素化乳化剤は少なくとも1つのフッ素原子を含む。MはH、アルカリ金属(例えば、Na、Ca等)、又はNHである。添字mは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字nは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字pは少なくとも1、2、3、4、又は更には5であり、且つ20、10、8、又は更には6以下である。添字qは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字rは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字sは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字tは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字uは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字vは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。添字wは0又は1である。添字zは0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、又は更には0〜2である。m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1である。
【0018】
本明細書に開示する重合性フッ素化乳化剤はその酸形態であってもよく、例えばナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩を含む塩であってもよい。
【0019】
本開示で用いられる重合性乳化剤はフッ素化されるので、重合性乳化剤は少なくとも1つのフッ素原子を含んでいなくてはならない。1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤の炭素−水素結合の少なくとも50%、75%、90%、95%、又は更には99%を炭素−フッ素結合によって置き換えることが望ましい。1つの実施形態では、本開示の重合性乳化剤は、過フッ素化(即ち、完全にフッ素化)される。
【0020】
1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤は、(i)フッ素化ビニルエーテル、(ii)フッ素化アリルエーテル、及び(iii)フッ素化オレフィンからなる群から選択される。
【0021】
1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤は直鎖状分子であり、分岐を全く含まない(例えば、分子の主鎖から離れた(attached off)炭素置換基、例えば、CF=CF−O−CF(CF)−Yは、分岐している)。
【0022】
フッ素化ビニルエーテルとしては、以下の式のものが挙げられる:
CX=CX−O−(CF−O−(CF−Y
CX=CX−O−(CF−[O−CF[CF]−CF−O−CF(CF)−Y
CX=CX−O−(CF−O−CHF−CF−Y
CX=CX−O−(CF−O−CHF−Y
CX=CX−O−(CF−CH−Y 及び
CX=CX−O−(CH−(CF−CH−Y
(式中、Xは独立してH、F、又はCFから選択され;YはCOOM又はSOMである)。MはH、アルカリ金属、又はNHである。添字rは少なくとも0又は1且つ最大で6、5、4、3、又は更には2から選択される整数である。添字tは少なくとも0又は1且つ最大で6、5、4、3、又は更には2から選択される整数である。添字pは少なくとも1且つ最大で6、5、4、3、又は2から選択される整数である。1つの実施形態では、フッ素化ビニルエーテル中のXの少なくとも1つは、H原子を含む。1つの実施形態では、フッ素化ビニルエーテル中のXの少なくとも1つはF原子を含む。
【0023】
例示的なフッ素化ビニルエーテルとしては、部分フッ素化ビニルエーテル、及び過フッ素化ビニルエーテル(perfluorinated fluorinated vinyl ethers)、例えば、CF=CF−O−(CF−O−CF−COOM、CH=CF−O−(CF−O−CF−COOM、CF=CF−O−(CF−O−CF−COOM、CHF=CH−O−(CF−O−CF−COOM CF=CF−O−(CF)−(O−CF[CF]−CF)−O−CF(CF)−COOM、CF=CF−O−(CF−(O−CF[CF]−CF)−O−CF(CF)−COOM、CF=CF−O−(CF−(O−CF[CF]−CF)−O−CF(CF)−COOM、CF=CF−O−(CF−CH−COOM、CF=CF−O−(CH)−(CFCH−COOM、CF=CF−O−(CF−SOM,CH=CF−O−(CF−SOM、CHF=CH−O−(CF−SOM、並びにこれらの組み合わせ(式中、MはH、アルカリ金属、又はNHである)が挙げられる。
【0024】
フッ素化アリルエーテルとしては、以下の式のものが挙げられる:
CX=CX−(CF−O−(CF−O−(CF−Y
CX=CX−(CF−O−(CF−[O−CF[CF]−CF−O−CF(CF)−Y
CX=CX−(CF−O−(CF−O−CHF−CF−Y
CX=CX−(CF−O−(CF−O−CHF−Y
CX=CX−(CF−O−(CF−CH−Y
(式中、Xは独立してH、F、又はCFから選択され、且つ少なくとも1つのF原子を含み;Yは、COOM又はSOMである)。MはH、アルカリ金属、又はNHである。添字mは少なくとも1且つ最大で6、5、4、3、又は2から選択される整数である。添字rは少なくとも0又は1且つ最大で6、5、4、3、又は更には2から選択される整数である。添字tは少なくとも0又は1且つ最大で6、5、4、3、又は更には2から選択される整数である。添字pは少なくとも1且つ最大で6、5、4、3、又は2から選択される整数である。1つの実施形態では、フッ素化アリルエーテル中のXの少なくとも1つは、H原子を含む。1つの実施形態では、フッ素化アリルエーテル中のXの少なくとも1つは、F原子を含む。
【0025】
例示的なフッ素化アリルエーテルとしては、部分フッ素化アリルエーテル、及び過フッ素化アリルエーテル(perfluorinated fluorinated allyl ethers)、例えば、CF=CF CF−O−(CF−O−CF−COOM、CH=CF CF−O−(CF−O−CF−COOM、CF=CF CF−O−(CF−O−CF−COOM、CHF=CH−CFO−(CF−O−CF−COOM CF=CF CF−O−(CF)−(O−CF[CF]−CF)−O−CF(CF)−COOM、CF=CF CF−O−(CF−(O−CF[CF]−CF)−O−CF(CF)−COOM、CF=CF CF−O−(CF−(O−CF[CF]−CF)−O−CF(CF)−COOM、CF=CF CF−O−(CF−CH−COOM、CF=CF CF−O−(CH)−(CFCH−COOM、CF=CF CF−O−(CF−SOM,CH=CF CF−O−(CF−SOM、CHF=CH CF−O−(CF−SOM、並びにこれらの組み合わせ(式中、Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)が挙げられる。
【0026】
フッ素化オレフィンとしては、以下の式のものが挙げられる:
CX=CX−(CF−Y及び
CF=CF−(CF−Y
(式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMである)。Mは、H、アルカリ金属、又はNHである。添字mは、少なくとも1且つ最大で6、5、4、3、又は2から選択される整数である。1つの実施形態では、フッ素化オレフィン中のXの少なくとも1つは、H原子を含む。1つの実施形態では、フッ素化オレフィン中のXの少なくとも1つは、F原子を含む。
【0027】
例示的なフッ素化オレフィンとしては、部分フッ素化オレフィン、及び過フッ素化オレフィン、例えば、CH=CF−(CF)−COOM、CF=CH−(CF)−COOM、CH=CF−(CF−COOM、CF=CF−(CF)−COOM、CF=CF−(CF)−SOM、並びにこれらの組み合わせ(式中、Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)が挙げられる。
【0028】
1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤は、以下からなる群から選択される:
CF=CF−(CF−O−(CF−[O−(CF−Y (II)
CF=CF−(CF−O−(CF−[O−(CF(CF)−CF)]−[O−CF(CF)]−Y (III);及び
CX=CX−(CF−Y (IV)
(式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり、mは、0〜5から選択される整数であり、pは、少なくとも1であり、rは、0〜5から選択される整数であり、sは、1〜5から選択される整数であり、tは、1〜5から選択される整数であり、vは、1〜5から選択される整数であり、Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)。
【0029】
本開示の例示的な重合性フッ素化乳化剤としては、CF=CF−O(−CF−O−CF−COOM(式中、pは、1、2、3、4、5、又は6である);CF=CF−CF−O(−CF−[O−CF−(CF−COOM(式中、pは、1、2、3、4、5、又は6であり、uは、0又は1である);CF=CF−O−CFCOOM;CF=CF−O−(CF−O−CF(CF)−COOM(式中、pは、1、2、3、4、5、又は6である);及びCF=CF−O−(CF−SOM(式中、pは、1、2、3、4、又は5である);及びCF=CF−O−(CF−SOM(式中、pは、1、2、3、4、5、又は6であり、Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)が挙げられる。
【0030】
本開示の重合性フッ素化乳化剤は、非テロゲン活性を有し、即ち、炭素結合の50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%未満、又は更には0%が水素に対するものであることを意味する。換言すれば、重合性フッ素化乳化剤は、連鎖移動剤のように作用することはなく、したがって、得られるポリマーの分子量を低減することはない。本開示の重合性フッ素化乳化剤は、重合してポリマー骨格になり、重合を終わらせることはない。
【0031】
本開示の重合では、上述の重合性フッ素化乳化剤は、1つ又は複数のフッ素化モノマーの水性乳化重合で用いられる。1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤の全量を重合の開始時に添加してもよく、又は重合中に連続的な方式で重合に添加してもよい。あるいは、重合性フッ素化乳化剤の一部を重合の開始時に添加し、残りを、重合中に連続的に、又は一度に、若しくは別々の更なる部分に分けて添加してもよい。別の実施形態では、重合性乳化剤の非存在下で重合を開始させ、続いて、重合性フッ素化乳化剤をバッチ方式又は連続的な方式でバッチに添加する。重合性フッ素化乳化剤を重合の開始後に添加する場合、好ましくは、モノマーのポリマーへの変換が70%〜80%達成されるまで(即ち、達成される前に)重合性フッ素化乳化剤を添加する。
【0032】
用いられる重合性フッ素化乳化剤の量は、固形分の量、粒径等の望ましい特性に応じて変動し得る。一般的に、重合性フッ素化乳化剤の量は、フルオロポリマー分散体を安定化させるのに十分なレベルに維持される。典型的に、重合性フッ素化乳化剤の量は、用いられるモノマーの総量に基づいて、少なくとも50、100、200、300、400、又は更には500ppm(百万分率)である。不必要に多量のフッ素化重合性乳化剤を用いた場合、得られるフルオロポリマーの凝固及び/又は後処理が困難になる場合があり、また、例えば、熱安定性又は退色等、最終ポリマーの特性に影響を与える場合がある。典型的に、重合性フッ素化乳化剤の量は、用いられるモノマーの総量に基づいて、最大で750、1000、2000、4000、5000、又は更には10000ppmである。
【0033】
乳化剤を用いて水性乳化重合を行う場合、ポリマーの尚早な凝固を防ぐために、エマルションを安定化させるのに十分な乳化剤が必要である。本開示では、(a)廃棄物流からの除去を避けてポリマーに組み込まれるように、そして、(b)得られるポリマーの物性及び加工特性に実質的に影響を与えないように、用いられる重合性乳化剤の量を少なく保ちながら、エマルションを安定化するために十分な重合性乳化剤が存在するというバランスをとる。本開示では、過不足のない重合性乳化剤を用いて、重合中の尚早な凝固を防ぐ。当該技術分野において公知である通り、いったんポリマーが凝固すると、例えば、ポリマーの凝固などによりモノマーの取り込みが1分間に10%及び/又は可視的に減少した時の重合中に見られるように、重合が停止する。用いられる重合性乳化剤の量は、ポリマーの尚早な凝固を防ぐのに十分な程度高いが、組み込まれる乳化剤が、得られるポリマーの物性(例えば、引っ張り強度、伸び等)及び加工特性に実質的に影響を与えないように十分に低く維持されなければならない。このバランスに起因して、本開示の重合において生成されるポリマー固形分の量は、30%、29%、28%、27%、26%、又は更には25%未満であるが、15%、16%、17%、18%、19%、又は更には20%超である。
【0034】
本開示の重合は、水性乳化重合であり、即ち、乳化剤によって電子的に安定化されている水中に分散しているポリマー粒子において重合が生じる。水性乳化重合は、連続的に行うことができ、得られるエマルションを連続的に除去しながら、例えばモノマー、水、任意で更なる乳化剤、緩衝剤、及び触媒が、最適な圧力及び温度条件下で攪拌反応器に連続的に供給される。別の技術は、成分を攪拌反応器に供給し、それを設定温度で一定時間反応させるか、又は所望の量のポリマーが形成されるまで一定圧力を維持するように、成分を反応器内に充填し、モノマーを反応器に供給することを特徴とする、バッチ又は半バッチ(半連続的)重合である。重合は、ガス状フッ素化モノマーの乳化重合のために使用される標準容器又は従来型容器内で実施することができる。
【0035】
1つの実施形態では、重合中に重合性フッ素化乳化剤を連続的に添加する。理論に束縛されるものではないが、重合中に重合性フッ素化乳化剤を連続的に添加することによって、より高い固形分を得ることができると考えられる。安定化極性基が成長しているポリマー鎖によって覆われ、それによってコロイド安定性に寄与することができないため、ポリマー表面において安定化極性基を常に有することが重要であり得、したがって重合中に重合性フッ素化乳化剤を連続的に添加してよいと考えられる。1つの実施形態では、重合性フッ素化乳化剤を確実にポリマーに完全に組み込み、廃水流の処理を避けるために、重合が終わる前に重合性フッ素化乳化剤の添加を停止することが好ましい。
【0036】
1つの実施形態では、水性乳化の形態で重合に特定のモノマーを添加することが望ましい場合がある。例えば、重合条件下で液体であるフッ素化コモノマーは、水性乳化の形態で有利に添加され得る。このようなコモノマーのエマルションは、好ましくは、重合性フッ素化乳化剤を用いて調製される。重合性フッ素化乳化剤の一部が重合開始前にバッチ充填される場合、「ドープされた」重合性フッ素化乳化剤を使用することは任意である。ここで、ドープされた重合性フッ素化乳化剤は、フッ素化された、テロゲン性の低い、沸点が100℃よりも高い不活性液体とのマイクロエマルションである。このような液体の例としては、(i)フッ素化環状炭化水素、例えば、オクタフルオロナフタレン、オクタフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン、ペルフルオロペルヒドロフェナントレン(C1424)、ペルフルオロペルヒドロフルオレン(C1322)、ペルフルオロデカリン(C1018)、ペルフルオロメチルデカリン(C1120)、ペルフルオロブチルデカリン(C1426)、ペルフルオロジメチルシクロヘキサン(C16)、ペルフルオロメチルシクロヘキサン(C14)、ペルフルオロジメチルシクロブタン(C12);(ii)式CF=CF−(CF−O(RO)(RO)(式中、R及びRは、3〜6個のC原子の異なるペルフルオロアルキレン基であり、Rcfは、1〜6個のC原子のペルフルオロアルキル基であり、lは、0又は1であり、m及びnは、独立して、0〜10であり、n+mは、>2又は>3である)のフッ素化ポリオキシアルキレン(例としては、CF−CF−CF−(O−CF(−CF)−CF−O−CF=CF(PPVE−3)、CF−CF−CF−(O−CF(−CF)−CF−O−CF=CF(PPVE−4)、CHF−CF−CF−(O−CF(−CF)−CF)−O−CF=CF(HPPVE−2)、CHF−CF−CF2−(O−CF(−CF)−CF−O−CF=CF2(HPPVE−3)が挙げられる);(iii)式FC−C(R)=C(R)(R)(式中、R及びRは、互いに独立して、フッ素、又は過フッ素化若しくは部分フッ素化直鎖又は分枝鎖アルキル基、好ましくは、1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する基を表し、Rは、1〜6個の炭素原子の過フッ素化直鎖又は分枝鎖アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピル基である)のフッ素化アルケン(例としては、C(−CF)(−CF)=CF−CF−CF(HFP−二量体)、及びC(−CF=C(−CF−CF)(−CF(−CF)(HFP−三量体)が挙げられる);及び(iv)式R−O−R−O−R(式中、R及びRは、独立して、2〜5個のC原子のフッ素化アルキル基であり、Rは、2〜4個のC原子の分枝鎖過フッ素化アルキル基である)のフッ素化ポリオキシアルカン(例としては、CHF−CF−CF−O−CF(−CF)−CF−O−CFH−CF(HTFEE−2)、CHF−CF−CF−O−CF(−CF)−CF(−CF)−O−CF−CF−CHF、及びCF−CF−CF−O−CF(−CF)−CF(−CF3)−O−CF−CF−CFが挙げられる)が挙げられる。例えば、参照により本明細書に援用する、米国特許出願公開第2011/0294951号(Hintzerら)を参照。
【0037】
水性乳化重合は、10〜100℃、又は更には30℃〜80℃の温度で実施され、圧力は、典型的に、2〜50バール(0.2〜5MPa)、又は更には5〜30バール(0.5〜3kPa)である。反応温度は、重合中、分子量分布に影響を及ぼすために、即ち、広い分子量分布を得る、又は二峰性若しくは多峰性分子量分布を得るために変更してよい。
【0038】
水性乳化重合は、典型的に、フッ素化モノマーのフリーラジカル重合を開始させることが知られている任意の反応開始剤を含む反応開始剤によって開始する。重合系の反応開始剤は、ポリマーの末端基が重合性フッ素化乳化剤と同じになるように選択され;例えば、KMnOからは、COO末端基が生じ、一方、APS/亜硫酸水素塩系からは、部分的に、SO末端基が生じる。
【0039】
好適な反応開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物及びレドックス系反応開始剤が挙げられる。過酸化物反応開始剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム又は過酸化バリウム、過酸化ジアセチル等の過酸化ジアシル、過酸化ジスクシノイル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジブチリル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ベンゾイルアセチル、ジグルタル酸過酸化物、及び過酸化ジラウリル、更には、過酸及びその塩類(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩)が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に用いることができ、これらの例としては、tert−ブチルペルオキシアセテート及びtert−ブチルペルオキシピバレートが挙げられる。無機反応開始剤の例としては、例えば、過硫酸塩、過マンガン酸又はマンガン酸の、アンモニウム塩、アルカリ塩、又はアルカリ土類塩が挙げられる。過硫酸塩反応開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)は、そのままで用いてもよく、又は還元剤と組み合わせて用いてもよい。好適な還元剤としては、例えば重亜硫酸アンモニウム又はメタ重亜硫酸ナトリウム等の重亜硫酸塩、例えばチオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸カリウム、又はチオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレート、及びアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。用いることができる更なる還元剤としては、米国特許第5,285,002号(Grootaert)に開示されている通り、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(例えば、商品名「RONGALIT」として販売されている)又はフルオロアルキルスルフィナートが挙げられる。還元剤は、典型的に、過硫酸塩反応開始剤の半減期を短縮する。更に、例えば銅塩、鉄塩又は銀塩等の金属塩触媒を添加してよい。反応開始剤の量は、生成されるフルオロポリマー固体に基づいて0.01重量%〜1重量%であってよい。1つの実施形態では、反応開始剤の量は、0.05〜0.5重量%である。別の実施形態では、量は、0.05〜0.3重量%であってよい。反応開始剤の全量を重合の開始時に添加してもよく、又は反応開始剤を、重合中に連続的な方式で重合に添加してもよい。好ましくは、モノマーのポリマーへの変換が70%〜80%達成されるまで反応開始剤を添加する。また、反応開始剤の一部を開始時に添加し、重合中に残りを一度に、又は別々の更なる部分に分けて添加してもよい。
【0040】
水性乳化重合系は、更に、緩衝剤等の他の材料、及び必要に応じて錯体形成剤又は連鎖移動剤を含んでよい。用いることができる連鎖移動剤の例としては、ジメチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1〜5個の炭素原子を有するアルカン(例えば、エタン、プロパン、及びn−ペンタン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、CCl、CHCl及びCHCl)、ヒドロフルオロカーボン化合物(例えば、CHF−CF(R134a));アルコール;エステル等が挙げられる。
【0041】
本開示のポリマーは、部分的にフッ素化され、少なくとも1つのフッ素化モノマーを含む。乳化剤として重合性フッ素化乳化剤を用いて重合し得るフッ素化モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ジクロロジフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン(例えば、2ーヒドロペンタフルオロプロピレン、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、1−HPFP、2−HPFP、及び過フッ素化アルキルビニルモノマー(例えば、過フッ素化ビニルエーテル(PVE)及び過フッ素化アルキルエーテル)、ペルフルオロ−5−オキサ−ヘプタ−6−エンスルホン酸フッ化物(MV4S)、CF=CFO(CFCN(MV5CN)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
好適なペルフルオロアルキルビニルモノマーは、一般式:CF=CF−R又はCH=CH−R(式中、Rは、1〜10個、又は更には1〜5個の炭素原子のペルフルオロアルキル基を表す)に対応する。
【0043】
本開示で用いることができるペルフルオロビニルエーテルの例としては、式:CF=CF−O−R(式中、Rは、0個、1個、又はそれ以上の酸素原子及び最高12、10、8、6、又は更には4個の炭素原子を含有し得る過フッ素化脂肪族基を表す)に対応するものが挙げられる。例示的な過フッ素化ビニルエーテルは、式:CF=CFO(RO)(RO)(式中、R及びRは、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子の異なる直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキレン基であり、m及びnは、独立して、0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子のペルフルオロアルキル基である)に対応する。過フッ素化ビニルエーテルの具体例としては、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテル、及びCF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CFが挙げられる。
【0044】
本開示で用いることができるペルフルオロアルキルエーテルの例としては、式:CF=CF(CF)−O−R(式中、Rは、0個、1個、又はそれ以上の酸素原子、及び最高10、8、6、又は更には4個の炭素原子を含有し得る過フッ素化脂肪族基を表す)に対応するものが挙げられる。過フッ素化アリルエーテルの具体例としては、CF=CF−CF−O−(CFF(式中、nは、1〜5の整数である)、及びCF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F(式中、xは、2〜5の整数であり、yは、1〜5の整数である)が挙げられる。
【0045】
フッ素化モノマーに加えて、非フッ素化オレフィン性モノマー等の更なるモノマーを添加してもよい。例示的な非フッ素化オレフィン性モノマーとしては、プロピレン、エチレン、イソブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
得られる本開示のフルオロポリマーは、部分的にフッ素化される。本明細書で使用するとき、「部分的にフッ素化される」とは、得られるポリマーの繰り返しモノマー単位が、ポリマー骨格に少なくとも1つの炭素−水素結合及び少なくとも1つの炭素−フッ素結合を含むことを意味する。
【0047】
1つの実施形態では、部分フッ素化エラストマーは、(i)ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、及びフッ化ビニリデン(VDF)、(ii)ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン、(iii)フッ化ビニリデン及びペルフルオロメチルビニルエーテル、(iv)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びペルフルオロメチルビニルエーテル、(v)フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びプロピレン、(vi)テトラフルオロエチレン及びプロピレン、又は(vii)エチレン、テトラフルオロエチレン、及びペルフルオロメチルビニルエーテル由来の共重合単位を含む。
【0048】
本明細書に開示する方法によって利益を得る例示的なポリマーとしては、TFE/プロピレンコポリマー、TFE/エチレンコポリマー、TFE/プロピレン/VDFコポリマー、VDF/HFPコポリマー、TFE/VDF/HFPコポリマー、TFE/エチレン/PMVEコポリマー、TFE/エチレン/CF=CFOCコポリマー、TFE/エチルビニルエーテル(EVE)コポリマー、TFE/ブチルビニルエーテル(BVE)コポリマー、TFE/EVE/BVEコポリマー、VDF/CF=CFOCコポリマー、エチレン/HFPコポリマー、TFE/エチレン/HFPコポリマー、CTFE/VDFコポリマー、TFE/VDFコポリマー、TFE/VDF/PMVE/エチレンコポリマー、及びTFE/VDF/CF=CFO(CFOCFコポリマーが挙げられる。
【0049】
1つの実施形態では、ポリマーは、重合で用いられるモノマーの総重量に基づいて、少なくとも30、35、40、45、50、又は更には55重量%のTFE及び最高60、65、70、75、80、又は更には85重量%のTFE;少なくとも5、10、15、20、25、又は更には30重量%のVDF及び最高35、40、45、50、又は更には55重量%のVDF;並びに少なくとも5、10、15、20、25、又は更には30重量%のHFP及び最高35、40、45、50、又は更には55重量%のHFPに由来するTFE/VDF/HFPコポリマーである。
【0050】
1つの実施形態では、本開示の部分フッ素化ポリマーは、部分フッ素化ポリマーの全モノマー単位に基づいて、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%、1モル%、0.5モル%、又は更には0.1モル%未満のモノマーフッ化ビニリデン単位を含む。1つの実施形態では、部分フッ素化ポリマーは、フッ化ビニリデンの共重合単位を実質的に含まない。
【0051】
1つの実施形態では、得られる部分フッ素化ポリマーは、フッ素プラスチックであってよい。
【0052】
1つの実施形態では、本開示の重合は、非重合性フッ素化乳化剤(例えば、ペルフルオロアルカン酸、フッ素化エーテル、及びアルコキシエーテル)を実質的に含まない。換言すれば、25ppm、10ppm、1ppm、又は更には0.1ppm未満の非重合性フッ素化乳化剤が最終ラテックス中に存在する。
【0053】
水性乳化重合により、部分フッ素化ポリマーの水分散液(ラテックスとしても知られている)が得られる。一般的に、重合から直接得られる分散体中のフルオロポリマーの固形分の量は、重合条件に応じて3重量%〜約40重量%で変動する。典型的な範囲は、5〜30重量%である。フルオロポリマーの粒径(z−平均粒径)は、典型的に、50nm〜350nmであり、典型的な粒径は、100nm〜約300nmである。
【0054】
重合性フッ素化乳化剤は、重合して本開示の部分フッ素化ポリマーになるので、1つの実施形態では、得られるラテックスは、重合性フッ素化乳化剤を少量しか又は実質的に含まない。換言すれば、100ppm、50ppm、25ppm、10nm又は更には1ppm未満の重合性フッ素化乳化剤が最終ラテックス中に存在する。
【0055】
重合後、得られるラテックスは、固形分含量を増加させるために濃縮(upconcentrate)してもよい。非イオン性界面活性剤(例えば、商品名「TRITON」及び「GENAPOL」として販売されているもの)を用いて、当該技術分野において公知である通り、ラテックスを固形分含量40%〜60%に更に濃縮してもよい。
【0056】
あるいは、又はラテックスの濃縮に加えて、フルオロポリマー粒子を凝固によって分散体から単離し、乾燥させてよい。このような凝固方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、電解質又は無機塩(例えば、HCl、HSO、HNO、HPO、NaSO、MgCl、炭酸アンモニウム等)を用いる、凍結融解サイクルを用いる、高剪断を印加する、及び/又は超音波を印加する、化学的及び物理的方法が挙げられる。
【0057】
別の実施形態では、本明細書に記載するプロセスを用いて、完全に重合したポリマー粒子を生成することができ、ここでは、ポリマー粒子において更なる重合は実施しない。
【0058】
本開示の重合性フッ素化乳化剤は、少なくとも1つのイオン性基を含む。重合中、これら重合性フッ素化乳化剤は、得られるポリマーに組み込まれ、これら基の一部は定量に利用可能であり得る。イオン性基は、当該技術分野において公知である技術、例えば、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法、又は滴定によって検出することができる。
【0059】
本開示では、重合性フッ素化乳化剤を用いて、重合中の成長ポリマーを安定化させる。更に、低濃度の重合性フッ素化乳化剤が用いられ、その結果、得られる最終的な部分フッ素化ポリマーの特性は、非重合性フッ素化乳化剤を用いて重合したものと実質的に同じになる。例えば、重合性フッ素化乳化剤を用いて本明細書に開示の通り作製される部分フッ素化ポリマーは、非重合性非テロゲン性フッ素化乳化剤(例えば、ペルフルオロアルカン酸及びその塩類、又はフッ素化エトキシ化カルボン酸及びその塩類)を用いて作製される同じポリマーと実質的に同じでなければならない。例えば、引っ張り強度の差は、20%、18%、15%、12%、又は更には10%未満でなければならず、伸びの差は、20%、18%、15%、12%、又は更には10%未満でなければならない。更に、重合性フッ素化乳化剤を用いて本明細書に開示の通り作製される部分フッ素化ポリマーの加工特性は、非重合性非テロゲン性フッ素化乳化剤を用いて作製される同じポリマーと実質的に同じでなければならない。
【0060】
本開示の1つの実施形態では、本明細書に開示するプロセスによって作製される、得られる乾燥部分フッ素化ポリマーは、非重合性フッ素化乳化剤を実質的に含まない。換言すれば、部分フッ素化ポリマーは、10ppm、5ppm、1ppm、0.5ppm、0.1ppm、50ppb(十億分率)、10ppb未満の非重合性フッ素化乳化剤を含むか、又は更には含まない。ポリマー中の非重合性フッ素化乳化剤の量は、当該技術分野において公知である技術を用いて部分フッ素化ポリマーから乳化剤を蒸発又は抽出することによって決定することができる。
【実施例】
【0061】
本開示の利点及び実施形態を以下の実施例によって更に例示するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例では、比率、割合及び比は全て、特に断らないかぎり重量に基づいたものである。
【0062】
全ての材料は、特に断らない又は明らかでない限り、例えば、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から市販されているか、又は当業者には公知のものである。
【0063】
次の略語が、以下の実施例で使用される:g=グラム、kg=キログラム、min=分、mol=モル、cm=センチメートル、mm=ミリメートル、mL=ミリリットル、L=リットル、psi=平方インチ当たりの圧力、MPa=メガパスカル、及びwt=重量。
【0064】
方法
メルトフローインデックス
フルオロポリマーのメルトフローインデックス(MFI)(g/10分で報告する)を、5.0kgの支持重量でDIN EN ISO 1133に記載の方法と同様の方法に従って265℃の温度で測定した。MFIは、直径2.095mm及び長さ8.0mmの標準化押出ダイを用いて得た。
【0065】
融点
フルオロポリマーの融解ピークは、窒素流下で、10℃/分の加熱速度で、Perkin−Elmer DSC 7.0(Perkin−Elmer,Waltham,MA)を用いて、ASTM 4591に記載の方法と同様の方法に従って決定した。示された融点は、最大融解ピークに合致している。
【0066】
粒径の決定
ラテックスの粒径は、ISO/DIS 13321に記載の方法と同様の方法に従って、動的光散乱法(Malvern Zetazizer 1000 HAS,Malvern,UK)を用いて決定した。報告される平均粒度は、z−平均である。測定前に、重合から得られたポリマーラテックスを0.001mol/L KCl溶液で希釈し、測定温度は全ての場合において20℃であった。
【0067】
重合性フッ素化乳化剤の決定
BFメタノール複合体を用いて、ポリマー中のCF=CF−O−(CF−O−CF−COO分子をそのメチルエステル形態に誘導体化した。ポリマーサンプル中の重合性フッ素化乳化剤の含量は、質量分析計を備えるヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる検出によって決定した。1%ビニル/5%フェニル/94%ジメチルポリシロキサンでコーティングされた内径0.32mmの石英ガラスキャピラリーカラム(フィルム厚1.8μm)を用いた。結果は、メチルエステル形態として報告する。
【0068】
比較例A
重合実験は、インペラ撹拌器及びバッフルを備えた50Lのケトル内で行った。12gのシュウ酸アンモニウム及び2gのシュウ酸を含有する30Lの脱イオン水をケトルに供給した。交互排気によってケトルから空気を除去し、4バール(0.4MPa)以下の窒素により加圧した。空気を排気した後、8.3バール(0.83MPa)のHFP、2.3バール(0.23MPa)のVDF、1.1バール(0.11MPa)のTFE、及び0.4バール(0.04MPa)のエタン(連鎖移動剤)によってケトルを加圧し、全圧を15.5バール(1.55MPa)absにした。ケトル内の温度を60℃に調整した。30mLの脱イオン水に溶解している0.15gの過マンガン酸カリウムを含有する水溶液をケトル内に注入することによって重合を開始させた。攪拌速度は、240rpmであった。重合温度及び圧力は、1:0.335:0.379の一定比でTFE、HFP、及びVDFを供給し、0.15kg/時間の速度で1Lの脱イオン水中5gの過マンガン酸カリウムの溶液を供給することによって一定に保った。
【0069】
2.0kgのTFEが消費されたとき、TFEの取り込み減少により重合が停止した。次いで、容器を通気し、得られた分散体を排出した。このようにして得られた分散体は、9.7%の固形分含量及び302nmの平均粒径を有する。MFI(265℃/5kg)は、60g/10分であった。
【0070】
比較例B
以下を除いて比較例Aと同じ設定及び類似条件を用いた:30Lの脱イオン水は、12gのシュウ酸アンモニウム及び2gのシュウ酸と共に、米国特許第7,671,112号(Hintzerら)に記載の通り調製した23gの非重合性フッ素化乳化剤([CF−O−(CF−O−CHF−CF−C(O)ONH4+を含有していた。
【0071】
4.5kgのTFEが消費されたとき、それ以上モノマーが供給されず、攪拌速度が低下したことにより、重合が停止した。容器を通気し、得られた分散体を排出した。こうして得られた分散体は、19.6%の固形分含量及び198nmの粒径を有する。MFI(265℃/5kg)は、40g/10分であった。
【0072】
(実施例1)
以下を除いて比較例Aと同じ設定及び類似条件を用いた:30Lの脱イオン水は、12gのシュウ酸アンモニウム及び2gのシュウ酸と共に、7.3gの重合性フッ素化乳化剤CF=CF−O−(CF−O−CF−COONa(これは、Anles/St.Petersburg,Russiaからメチルエステル形態で購入し、自社でナトリウム塩形態に変換したものである)を含有していた。
【0073】
4.5kgのTFEが消費されたとき、それ以上モノマーが供給されず、攪拌速度が低下したことにより、重合が停止した。容器を通気し、得られた分散体を排出した。このようにして得られた分散体は、20.4%の固形分含量及び116nmの平均粒径を有する。MFI(265℃/5kg)は、50g/10分であった。重合性フッ素化乳化剤を得られたラテックス中で検出することはできず、これは重合性フッ素化乳化剤がポリマーに組み込まれたことを示す。
【0074】
(実施例2)
以下を除いて比較例Aと同じ設定及び類似条件を用いた:30Lの脱イオン水は、12gのシュウ酸アンモニウム及び2gのシュウ酸と共に、6.9gの重合性フッ素化乳化剤CF=CF−O−(CF−SONH(米国特許第6,624,328号(Guerra)に開示されている通り、CF=CF−O−(CFSOFから調製し、アンモニウム塩形態に変換した)を含有していた。
【0075】
4.5kgのTFEが消費されたとき、それ以上モノマーが供給されず、攪拌速度が低下したことにより、重合が停止した。容器を通気し、得られた分散体を排出した。このようにして得られた分散体は、19.8%の固形分含量及び124nmの平均粒径を有する。MFI(265℃/5kg)は、57g/10分であった。
【0076】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明に予測可能な改変及び変更を行い得ることは当業者には明らかであろう。本発明は、説明を目的として本出願に記載される実施形態に限定されるべきではない。本明細書と参照により本明細書に援用する開示との間に不一致又は矛盾が存在する場合、本明細書を優先する。
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態について列挙する。
[実施形態1]
部分フッ素化ポリマー分散体を製造する方法であって、
重合性フッ素化乳化剤の存在下にて水性乳化重合で1種又は2種以上のフッ素化モノマーを重合させて部分フッ素化ポリマーを形成することを含み、前記重合性フッ素化乳化剤が、式:
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり、Mは、H、アルカリ金属、又はNHであり、mは、0〜5であり、nは、0〜5であり、pは、少なくとも1であり、qは、0〜5であり、rは、0〜5であり、sは、0〜5であり、tは、0〜5であり、uは、0〜5であり、vは、0〜5であり、wは、0又は1であり、zは、0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1である)を有し、前記重合性フッ素化乳化剤が、(a)少なくとも1つのフッ素原子を含み且つ(b)用いられるモノマーの総重量に基づいて1重量%未満であり、前記部分フッ素化ポリマーが、50モル%未満のフッ化ビニリデンを含む、方法。
[実施形態2]
前記重合性フッ素化乳化剤が、過フッ素化されている、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記重合性フッ素化乳化剤が、テロゲン活性を実質的に有しない、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]
前記重合性フッ素化乳化剤が、
CF=CF−(CF−O−(CF−[O−(CF−Y (II)
CF=CF−(CF−O−(CF−[O−(CF(CF)−CF)]−[O−CF(CF)]−Y (III);及び
CX=CX−(CF−Y (IV)からなる群から選択され、
式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり、mは、0〜5から選択される整数であり、pは、少なくとも1であり、rは、0〜5から選択される整数であり、sは、1〜5から選択される整数であり、tは、1〜5から選択される整数であり、vは、1〜5から選択される整数であり、Mは、H、アルカリ金属、又はNHである、実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]
前記重合が、非テロゲン乳化剤を実質的に含まない、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態6]
前記重合が、非テロゲンフッ素化乳化剤を実質的に含まない、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態7]
前記重合性フッ素化乳化剤が、重合全体を通して添加される、実施形態1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態8]
前記重合性フッ素化乳化剤の量が、用いられる過フッ素化モノマーの量に基づいて、少なくとも50ppm且つ5000ppm以下である、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態9]
前記重合性フッ素化乳化剤が、水性マイクロエマルションの形態で提供される、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態10]
前記部分フッ素化ポリマーが、(i)テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンの重合モノマー;(ii)テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンの重合モノマー、並びに、ペルフルオロアルコキシアルケン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシビニルエーテル、エチレン、プロピレン、及びこれらの組み合わせから選択されるモノマー;を含む、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態11]
前記部分フッ素化ポリマー分散体が、30%未満のポリマー固形分を含む、実施形態1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態12]
水性混合物であって、
フッ素化モノマーと、
C=CX(CF(CH[O−(CX−[O−(CX−[O−(CX−CX)]−[(O)−(CX−[CH−Y
(式中、Xは、独立して、H、F、又はCFから選択され;Yは、COOM又はSOMであり;mは、0〜5であり、nは、0〜5であり、pは、少なくとも1であり、qは、0〜5であり、rは、0〜5であり、sは、0〜5であり、tは、0〜5であり、uは、0〜5であり、vは、0〜5であり、wは、0又は1であり、zは、0〜5であり;m、n、q、s、t、u、v、及びzのうちの少なくとも1つは、少なくとも1であり;Mは、H、アルカリ金属、又はNHである)から選択される重合性フッ素化乳化剤との重合生成物を含み、得られるポリマーが、50モル%未満のフッ化ビニリデンを含み、前記水性混合物が、非テロゲンフッ素化乳化剤を実質的に含まない水性混合物。
[実施形態13]
30%未満のポリマー固形分を含む、実施形態12に記載の水性混合物。
[実施形態14]
部分フッ素化ポリマーを含むポリマーであって、前記部分フッ素化ポリマーが、非重合性フッ素化乳化剤を実質的に含まない、ポリマー。