(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
膠芽腫の処置への使用のための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を含む組成物。
前記抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/または前記同族体および/もしくは断片が強化された食物および/または食物サプリメントの状態で提供される、請求項1に記載の組成物。
膠芽腫の処置で、さらなる医薬物質および/もしくは製剤の送達および/もしくは細胞による取込みならびに/または遺伝子送達を最適化するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
前記第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、抗がん薬、細胞増殖抑制薬、遺伝物質、放射線治療薬、抗菌物質、抗生物質、抗ウイルス物質、免疫活性化合物、および外傷後の傷害、神経変性または炎症状態を標的とする薬物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
2つまたはそれ以上の抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/もしくは前記同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を含む医薬組成物の状態で製剤化される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
前記医薬組成物は、噴霧剤、煙霧剤としておよび/またはインヘラーもしくはネブライザーにより投与するために製剤化される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の組成物。
前記抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/またはその同族体および/もしくは断片の強化された前記食物および/または食物サプリメントは、抗分泌性因子が強化された卵黄として提供される、請求項2に記載の組成物。
抗分泌性因子(AF)タンパク質、同等の作用を有するその誘導体、同族体および/または断片は、抗分泌性因子(AF)タンパク質の取込み、生成および/または放出を誘導する特別食用の食物および/または食物の摂取後に患者により内因的に産生される、請求項1に記載の組成物。
配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、テモゾロミドとの組合せで含む、膠芽腫の処置のための医薬組成物。
配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩が強化された食物および/または食物サプリメントを、テモゾロミドとの組合せで含む、膠芽腫の処置のための医薬組成物。
膠芽腫の根治、対症および/または緩和療法で使用するための医薬組成物および/または医用食物の製造のための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパ
ク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩の使用。
【背景技術】
【0003】
多形膠芽腫(GBM)は、ヒトにおいて最も一般的かつ最も侵襲性の高い悪性原発性脳腫瘍であり、グリア細胞の関与を伴い、また全頭蓋内腫瘍のうちの大部分を占める。これは約120の異なる型の原発性脳腫瘍のうちで、最も有病率の高い新生物の形態である。GBMの年間発生数は、ヨーロッパおよび北アメリカで100,000人あたり2〜3例である。この脳腫瘍の標準名は、中枢神経系腫瘍のWHO分類によれば「膠芽腫」であり、これは数種の異型として現れる。
【0004】
多形膠芽腫(GBM)は最も一般的かつ致死的な形態の中枢神経系がんとして認知されている。現在用いられている外科的手法、化学療法剤、免疫療法および放射線治療の戦略は、GBMと診断された患者の余命を延ばすにあたってほとんど何も成していない。この悪性疾患を処置する上で困難な点は、それ固有の複雑さ、およびその込み入った薬物抵抗性機構の両方にある。
【0005】
膠芽腫は、腫瘍を外科的に可能な限り切除しきると同時にまたは順次に化学療法、放射線治療、抗血管新生療法、免疫療法、ガンマナイフ放射線手術、およびコルチコステロイドにより対症管理することからなる集学的治療にもかかわらず、あらゆる中枢神経系(CNS)悪性病変のなかで予後は最悪である。予後は非常に悪く、生存期間中央値は約1年であり、またこの疾患は、約3%のみが3年を超えて生存することから、ほぼ常に致死的である。
【0006】
グレードIVとも称する多形膠芽腫の腫瘍は、多数の有糸分裂および内皮増殖を伴う未分化細胞に囲まれた壊死性組織領域の存在により特徴付けられる。この特徴、および過形成された異常血管の存在により、この腫瘍は、これらの特性を有していないグレードIII星細胞腫から区別される。
【0007】
膠芽腫には数種の亜型がある。「古典的」亜型の腫瘍のうち97パーセントは余分なコピーの上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子を保有し、ほとんどでEGFR発現が正常より高い。一方、膠芽腫でしばしば変異している遺伝子、TP53は、この亜型ではめったに変異していない。対照的に、前神経の亜型ではしばしば、TP53、および血小板由来増殖因子受容体のα型をコードする遺伝子のPDGFRα、およびイソクエン酸脱水素酵素1をコードする遺伝子のIDH1中の変化の率が高い。間葉系の亜型は、神経線維腫症1型をコードする遺伝子のNF1中における高い率での変異または他の変化、EGFR遺伝子中のより少ない変化、および他の型よりも低いEGFR発現により特徴付けられる。
【0008】
GBM腫瘍は大抵、大脳白質内に出現し、急速に増殖し、症状を引き起こすようになる前に非常に大きくなっていることがある。10%未満は、低グレード星細胞腫または退形成星細胞腫の脱分化後に、よりゆっくりと形成される。これらは二次性GBM腫瘍と称し、より若い患者(平均年齢45歳対62歳)でより一般的である。この腫瘍は髄膜または心室壁まで進展し、脳脊髄液(CSF)中のタンパク質含量の増加(>100mg/dL)、および10〜100個の細胞、主にリンパ球、の偶発的な髄液細胞増多をもたらすことがある。CSFで運ばれる悪性細胞は、脊髄に広がることや、髄膜神経膠腫症を引き起こすことは(まれにしかないが)ある。しかし、GBMが中枢神経系を超えて転移することは極めて珍しい。GBM腫瘍の約50%は、半球において、1つを超える個数の脳葉を占めるか、または両側性である。この型の腫瘍は通常、大脳から発生する。この型の腫瘍が脳梁を超える古典的浸潤を示して、蝶形(butterfly)(両側性)神経膠腫を生ずることはほとんどない。
【0009】
この腫瘍は、出血量、壊死および/またはその古さに応じて様々な外見を示すことがある。通常はCTスキャンで、低密度な中心部と、浮腫に囲まれ強調された多様な環状部とを有する不均一な塊が見られることになる。腫瘍および浮腫からの圧迫効果により脳室が圧縮され、例えば水頭症ならびに機械的歪みおよびヘルニア形成が引き起こされることがある。
【0010】
異常で機能不全な腫瘍の血管構造および膠芽腫幹様細胞(GSC)の形成は、GBM腫瘍を有効に処置できないことの主な要因を構成すると考えられている。さらに腫瘍細胞は糖衣の保護被覆に包み込まれており、これにより例えば薬物のアクセスが妨げられ、腫瘍細胞に到達して作用を及ぼすことができない。
【0011】
原発性脳腫瘍および脳転移の処置は、根治、対症および緩和療法からなる。
【0012】
対症療法のための主要な補助剤は、抗痙攣薬およびコルチコステロイドである。
【0013】
根治および緩和処置には、手術、放射線治療、免疫療法および化学療法が含まれる。実現可能な最大限の切除が、放射線および化学療法とともに通常実行される。腫瘍の肉眼的全摘出は、より良好な予後に関連する。
【0014】
GBM腫瘍は残念ながら、放射線治療に対し高度に抵抗性の、低酸素を示す組織区画を含むことが知られている。腫瘍幹細胞は優勢であることが実証されており、利用できる治療に対し抵抗性である。化学療法、免疫療法および放射線増感剤に対する様々なアプローチが追求されてきたが、これまでのところ成果は限定的である。
【0015】
さらには、他の処置のうち、遺伝子導入およびタンパク質治療処置も現在試されている。
【0016】
全く処置しない場合、診断された時点からの生存期間中央値は3ヶ月で、今日用いられている最大限の治療の場合、約1年である。5人に1人のみが、最新の広範な治療後2年間生存する。年齢が高くなると(>60歳の年齢)、予後リスクはより悪くなる。死亡は通常、大脳浮腫および/または頭蓋内圧亢進により、さらには、血液循環を妨げ、脳ヘルニアを引き起こす圧迫効果による。
【0017】
したがってGBM腫瘍に対する、改善および/または最適化された処置が必要であると長らく感じられてきた。
【0018】
抗分泌性因子(AF)は、もともとは下痢疾患および小腸炎を防ぐと記述されていた、41kDaのタンパク質である(総説については、非特許文献1を参照されたい)。抗分泌性因子(AF)タンパク質は配列決定され、そのcDNAはクローニングされている。抗分泌作用は、分泌性因子(AF)タンパク質配列のアミノ酸位置35から50の間に位置し、コンセンサス配列の少なくとも4〜16アミノ酸、例えば4、6、7、8または16アミノ酸などを含むペプチドにより主に及ぼされるようである。免疫化学的および免疫組織化学的研究から、抗分泌性因子(AF)タンパク質は体内のほとんどの組織および器官に存在しており、そこで合成されている可能性もあることが明らかにされた。止痢配列(antidiarrhoeic sequence)を含む合成ペプチドは既に特徴付けられている(特許文献1;特許文献2)。抗分泌性因子(AF)タンパク質およびペプチドは、コレラ毒素に曝露後の腸および中枢神経系脈絡叢におけるような病的体液輸送(fluid transport)および/または炎症反応を正常化するために、過去に開示されている(特許文献1)。AFの内因的合成または添加したAFの取込みのいずれかを誘導する能力を有する食物および飼料はしたがって、浮腫、下痢、脱水および炎症の処置に有用であると、特許文献1で提案された。特許文献3は、抗分泌性因子(AF)タンパク質の生成を誘導する食物を製造するための酵素活性を有する製品の使用を開示している。特許文献4はさらに、天然に備わっていたそのような抗分泌性因子(AF)タンパク質の強化された食物製品を開示している。
【0019】
抗分泌性因子(AF)タンパク質およびその断片は、神経組織修復、ならびに幹細胞および前駆細胞ならびにそれらに由来する細胞の増殖、アポトーシス、分化および/または移動を改善することも、細胞の減少および/または増加に関連する状態の処置において示されており(特許文献2)、また眼内圧上昇の処置および/または防止において同程度に有効であることが(特許文献5)、コンパートメント症候群の処置および/または防止において(特許文献6)と同様に、示されている。
【0020】
さらには、本発明者らは最近、AFが、膜における脂質ラフト、受容体および/またはカベオラの構造、分布および複数の機能を監視し、かつ/または有利な影響をそれらに与えることができ、したがって、細胞膜における脂質ラフトおよび/またはカベオラの構造の崩壊および機能不全を処置および/または防止するためにAFを利用し得ることを示した(特許文献7)。
【0021】
本発明者らは、この同じ分泌性因子(AF)タンパク質、そのペプチドおよび断片は、例えばNKCC1からFAKおよびCAPまでなどの膜貫通タンパク質の生物学的活性化を妨げ得ることと、これらはしたがって、病的および/または異常をきたした細胞でのイオンチャネルの病的作用を直接制御して、該細胞の細胞内圧および膜貫通タンパク質機能を有効に正常化し、こうして、例えばがん治療などに使用される薬物の取込み改善を可能とし得ることとを、さらに証明することができた(特許文献8)。
【0022】
本出願は、抗分泌性因子(AF)タンパク質、そのペプチド、同族体および/または断片がさらに、膠芽腫の対症、根治および緩和療法のいずれにも使用できることを初めて開示する。特に、これらは膠芽腫の処置でアジュバントとして、ならびに/または薬物送達および遺伝子送達ならびに化学療法、免疫療法および放射線治療を最適化するために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義および略語
略語
IFP:間質液圧;
PBS:リン酸緩衝食塩水;
AF:抗分泌性因子、
全長AFタンパク質(配列番号1に示したもの)
AF−6:ヘキサペプチド、CHSKTR(配列番号2に示したもの);
AF−16:アミノ酸、VCHSKTRSNPENNVGLからなるペプチド(配列番号3に示したもの);
AF−8:セプタペプチド、VCHSKTR(配列番号4に示したもの);
オクタペプチド、IVCHSKTR(配列番号5に示したもの);
ペンタペプチド、HSKTR(配列番号6に示したもの)。
SPC:特別加工の穀類
RTT:AF(ASP)含量を測定するためのSE9000028−2(公開番号466331)に公開されている、ラット小腸内の標準化した分泌応答を測定するための方法。
【0033】
定義
タンパク質は、ペプチド結合で互いに繋がれたアミノ酸諸残基から構成される生体高分子である。タンパク質は、アミノ酸の直鎖ポリマーとして、ポリペプチドとも呼ばれる。タンパク質は通常、50〜800アミノ酸残基を有し、したがって約6,000から約数十万ダルトンの範囲内、またはそれを超える分子量を有する。小さなタンパク質は、ペプチド、ポリペプチドまたはオリゴペプチドと呼ばれる。「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」という用語は、本文脈では互換的に使用されることがある。ペプチドは、2〜50の間のアミノ酸残基(aa)など、非常にわずかな数のアミノ酸残基を有することがある。
【0034】
本文脈では「医薬組成物」とは、治療作用のある量の抗分泌性因子(AF)タンパク質を、場合により担体またはビヒクルのような医薬活性添加剤との組合せで含む組成物を指す。前記医薬組成物は、患者の状態、および年齢または好みの選択のような他の因子に応じて異なることのある適切な投与経路のために、製剤化される。抗分泌性因子(AF)タンパク質を含む医薬組成物は、薬物送達システムとして役立ち得る。医薬組成物は投与されると、ヒトまたは動物の体に活性物質を供給する。前記医薬組成物は、例えば錠剤、丸剤、トローチ剤(lozenge)、カプセル剤、スツールピル(stool pill)、ゲル剤、液剤などの形態であってもよいが、これらに限定されない。
【0035】
「医薬活性塩」という用語は、いわゆるホフマイスター系列に基づく、抗分泌性因子(AF)タンパク質、そのペプチドもしくはポリペプチド、または同族体および/もしくは断片の塩、これらに由来するいかなる塩であってもよい、を指す。医薬活性塩の他の例としては、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩およびリシンクロリド(lysine chloride)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
「抗分泌」という用語は、本文脈では、分泌および/または体液移動を阻害する、または減少させることを指す。したがって、「抗分泌性因子(AF)タンパク質」という用語は、体内での体液移動および分泌を阻害する、もしくは減少させる、またはそうでなければ調節することのできるタンパク質のクラスを指す。
【0037】
本文脈では「同等の作用」とは、抗分泌性因子(AF)タンパク質、そのペプチドもしくはポリペプチド、または同族体、誘導体および/もしくは断片の生物学的効果、すなわち、膠芽腫の処置における治療および/または使用を改善するためのその能力に関する。このような能力を試験および/または測定するための標準化された例は、当技術分野でよく知られている。例を本出願の実験の部、例えば実施例1〜4中に与える。
【0038】
本文脈では、「抗分泌性因子タンパク質」、「抗分泌性因子(AF)タンパク質」、「AFタンパク質」、AFまたはその同族体、誘導体もしくは断片という用語は、WO97/08202に規定されている「抗分泌性因子」または「抗分泌性因子タンパク質」という用語と互換的に使用されることがあり、抗分泌機能および/もしくは同等な機能活性ならびに/または類似(analogue)活性を有する抗分泌性因子(AF)タンパク質、もしくはそのペプチドもしくは同族体、誘導体および/もしくは断片を、またはそのポリペプチドの機能が変化していないその修飾体を指す。したがって本文脈では「抗分泌性因子」、「抗分泌性因子タンパク質」、「抗分泌性ペプチド」、「抗分泌性断片」または「抗分泌性因子(AF)タンパク質」とは、その誘導体、同族体または断片を指すこともあると、理解されたい。これらの用語は全て、本発明の文脈では互換的に使用されることがある。さらには、本文脈では「抗分泌性因子」という用語は「AF」と略すことがある。抗分泌性因子(AF)タンパク質は、本文脈では、過去にWO97/08202およびWO00/38535に規定されている抗分泌特性を有するタンパク質をも指す。抗分泌性因子は、例えばWO05/030246にも開示されている。抗分泌性因子という用語は、以下にさらに記述するように、SE900028−2およびWO00/38535に開示されている、抗分泌性因子の強化された卵黄中に天然に備わっていた抗分泌性因子のことも意図する。
【0039】
本文脈では「医用食物」とは、抗分泌性因子(AF)タンパク質を用いて製造してあるか、または代わりに、内在性AFの合成および/もしくは活性化を誘導する能力を有する食物、食物サプリメントまたは特別食用の食物を指す。前記食物は、液体もしくは粉末のような流体もしくは固体の形態の、適切ないかなる食物であっても、または適切な他のいかなる食糧でもよい。このようなものの例は、WO0038535またはWO91/09536に見出すことができる。
【0040】
本文脈では「ネブライザー」とは、液状薬剤を霧の形で気道に送達する医療装具を指す。
【0041】
本文脈では「煙霧剤」という用語は、微細な固体粒子または液体粒子のガス状浮遊物を指す。
【0042】
本文脈では「細胞増殖抑制薬」という用語、および「細胞増殖阻害薬」、「細胞増殖抑制薬」、「細胞増殖阻害剤」または「細胞増殖阻害化合物」が使用されている。これらの用語は互換的であり、がん治療に使用しかつ化学療法を受けている患者に通常投与する薬物に関する(細胞増殖阻害剤はいわゆる抗がん薬である)。細胞増殖阻害剤は、病的細胞の増殖、そして正常細胞の増殖をも停止させる物質である。このような物質はしたがって、腫瘍の化学療法処置に使用するが、腫瘍除去後に、手術後の処置および/または放射線後の処置のためにも使用する。細胞増殖阻害剤は、液体、散剤または顆粒の形態を取ることもあり、場合により超低温凍結されていることもある。当業者であるなら、市販されている極めて多くの細胞増殖阻害剤からの、細胞増殖阻害剤の選択および投与量を調整するはずである。
【0043】
本文脈では「細胞毒性」という用語、および「細胞毒性薬」、「細胞傷害薬(cytotoxica)」、「細胞毒性薬」または「細胞毒性化合物」が使用されている。これらの用語は互換的であり、がん治療に使用しかつ化学療法を受けている患者に通常投与する薬物に関する(細胞毒性薬はいわゆる抗がん薬である)。細胞毒性薬は、細胞に対し毒性で、したがって病的細胞の増殖を、そして正常細胞の増殖をも停止させ得る物質である。このような物質はしたがって、腫瘍の化学療法処置に使用するが、腫瘍除去後に手術後の処置のため、または放射線後の治療のためにも使用する。細胞毒性薬は、液体、散剤または顆粒の形態を取ることもあり、場合により超低温凍結されていることもある。当業者であるなら、市販されている極めて多くの細胞傷害薬からの、細胞傷害薬の選択および投与量を調整するはずである。
【0044】
本文脈では「アジュバント」という用語は、他の薬剤の効果を修飾する薬理学的および/または免疫学的薬剤を記述するために使用される。本出願でのアジュバントは、投与される活性物質の受容者による使用を促進または最適化し、そうすることにより該物質の必要量を最小にする。
【0045】
多形膠芽腫の腫瘍は、本文脈では、巨細胞膠芽腫または膠肉腫のいずれかの可能性がある。
【0046】
発明の詳細な説明
本発明は、膠芽腫(GBM腫瘍)を処置するため、ならびに/または抗がん薬のような医薬物質および/もしくは製剤の送達および/もしくは細胞による取込み、放射線治療を最適化し、そうすることにより免疫機構を頼みとするため、もしくは膠芽腫の腫瘍細胞への遺伝子送達を最適化するための、抗分泌性因子(AF)タンパク質、同等の機能活性を有するそのペプチド、誘導体、同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩の使用に関する。
【0047】
本出願は、長らく探し求められていた、GBM腫瘍を処置するための有効な手段および/またはアプローチを初めて開示する。抗分泌性因子が、膠芽腫の対症、根治および緩和療法のいずれにも使用できることを、本出願は驚くべきことに開示する。特に、これらは膠芽腫の処置でアジュバントとして、ならびに/または薬物送達および遺伝子送達ならびに化学療法、免疫療法および放射線治療を最適化するために使用することができる。
【0048】
特に、抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/もしくはその同族体および/もしくは断片、ならびに/もしくはその医薬活性塩、ならびに/または該AFタンパク質ならびに/もしくはその同族体および/もしくは断片の強化された食物および/もしくは食物サプリメントは、本明細書では、GBM腫瘍における血液循環および/または酸素分圧を最適化して、放射線治療ならびに免疫療法および/または化学療法の効果を促進するために使用する。
【0049】
本発明はしたがって、膠芽腫(GBM腫瘍)の処置に使用するための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩に関する。一実施形態では本発明は、膠芽腫(GBM腫瘍)の処置に使用するための、前記抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/またはその同族体および/もしくは断片の強化された食物および/または食物サプリメントに関する。
【0050】
別の態様では本発明は、膠芽腫を患う対象における膠芽腫(GBM腫瘍)の治療制御を監視および/または検証および/または促進するための、新しい信頼できる診断および/または予後予測手段の設計に関する。配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩は、本明細書では、GBM腫瘍細胞への医薬物質および/または製剤の送達および/または細胞による取込みを最適化するために使用する。前記医薬物質および/または製剤は、本文脈では、抗がん薬、抗腫瘍薬、放射線治療薬、免疫学的な物質および/または細胞ならびに抗生物質、外傷後の傷害(posttraumatic injury)を標的とする薬物、神経変性を標的とする薬物ならびに炎症状態に対する薬物からなる群から選択される。
【0051】
当技術分野でよく知られている例は、それらだけに限らないが、テモゾロミド、および埋込型アルキル化剤のカルムスチンウェファーであるグリアデル(登録商標)のようなアルキル化剤を含む群から選択してある。加えて、血管内皮増殖因子に対する抗体も組み込んである。
【0052】
膠芽腫治療に関する最良の長期的結果は、これまでのところ、テモゾロミドおよび放射線の組合せを使用することにより達成されている。放射線の効能は、組織中の高酸素分圧、これはフリーラジカル生成を促進する、により向上することを強調する必要がある。したがって本発明は、テモゾロミドの送達および/または細胞による取込みを最適化するのに使用するための、別の選択肢としてはGBM腫瘍細胞に対する放射線と組合せて使用するための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩に関する。
【0053】
本発明は同様に、膠芽腫の処置に使用するための、場合により放射線と組合せて使用するための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩、ならびにテモゾロミドを含む医薬製剤の製造に関する。
【0054】
化学療法および放射線の双方にとって障害となっているのは、各GBM腫瘍細胞が被覆、それは最も明らかには細胞の細胞外表面を覆う糖衣から構成される、に取り囲まれていることである。それにより、短期および長期効果が限定的になる程までに、療法の効能はしばしば妨げられる。膠芽腫の腫瘍は、非常に豊富で入組んだ血管網を有するが、腫瘍細胞が取り囲まれているために、化学療法剤および例えば酸素の腫瘍細胞内への送達が強く低減されてしまう。
【0055】
本発明は、化学療法剤および酸素がその標的である各GBM腫瘍細胞に到達する上での障害を克服するのに使用するための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩に関する。
【0056】
本発明は同様に、化学療法剤および酸素がその標的である各GBM腫瘍細胞に到達する上での障害を克服するのに使用するための、抗分泌性因子(AF)タンパク質、同等の機能活性を有するそのペプチド、誘導体、同族体および/もしくは断片、もしくはそのポリペプチドの機能が変化していないその修飾体、ならびに/またはその医薬活性塩を含む医薬製剤の製造に関する。
【0057】
脳浮腫は、膠芽腫の増殖における初期イベントであり、ある程度は時を経るほどに、通常は腫瘍領域に限定されるのではなく、脳全体に徐々に現れる。これは堅い頭蓋の中身が、腫瘍増殖および大量出血の発生によってのみでなく、浮腫形成によっても膨張していることを意味する。堅い頭蓋は膨張に抵抗するので頭蓋内圧は増加していき、そのため血液循環は制限され、また脳組織は変形し、かつ歪んでしまう。頭蓋内圧上昇は患者において、重症度の増加していく神経症状および精神症状を引き起こすことになる。膠芽腫の処置における重要な目的はしたがって脳浮腫を、ひいては頭蓋内圧を低減して、例えば血液循環などを促進し、腫瘍細胞に対する化学療法剤および例えば酸素の、したがってフリーラジカルのアクセスを試験的に改善することである。さらに有益な効果は、膠芽腫を患う患者の健康状態を、脳浮腫および頭蓋内圧を低減することにより改善することである。
【0058】
抗分泌性因子(AF)は、異常をきたした病的細胞の特定のイオンチャネルおよび/または流体チャネルの異常な活性を有効に制御および/または正常化し、それによって細胞の容積および細胞内圧を有効に正常化する。これはひいては、異常をきたした組織での間質圧の正常化へとつながることもあり、そうすると場合により、膠芽腫の処置に使用される薬物のような医薬物質の細胞による取込みの改善が可能となる。
【0059】
実験の部に示すように、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質の断片であって、同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含む前記断片、AF−16は、実験的に誘導した膠芽腫を有する動物の頭部内にわたって上昇した頭蓋内圧を低下させることを実証できた。この高度に有益な効果は、AF−16の投与により再現性よく誘導された。AF−16が、腫瘍を有する半球のみでなく、いかなる腫瘍も含まないにも関わらず浮腫状の対側半球でも、頭蓋内圧を低減したことは強調する必要がある。さらには、AF−16 hの投与による決定的効果は、腫瘍細胞核による、マーカー物質のドキソルビシン取込みを有効に改善させた。これら2つの有益な効果は、やはり配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質の断片であって、同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含む前記断片、物質AF−6を用いて達成されることも実証できた。さらなる実験から、AF−16は、実験的に誘導した膠芽腫を有するマウスでの高い頭蓋内圧を低減したこと、ならびに腫瘍細胞核へのドキソルビシン取込みおよび結合を促進もしたこと、の両方が示された。
【0060】
本発明はしたがって、膠芽腫の対症、根治および/または緩和処置のいずれかで使用するための、膠芽腫(GBM腫瘍)の処置に使用するための医薬組成物および/または医用食物の製造のための、配列番号1(AF)に示されたAFタンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩の使用を初めて開示する。
【0061】
本発明は、膠芽腫の処置に使用するための、第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤の送達および/または細胞による取込みを最適化するための医薬組成物の製造のための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を含む医薬組成物の使用に関する。通常、前記第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、抗がん薬、放射線治療薬、抗菌物質、抗生物質、ならびに/または外傷後の傷害、神経変性および/もしくは炎症状態を標的とする薬物を含む。
【0062】
さらに別の態様では本発明は、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、膠芽腫を処置するための第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤との組合せで含む医薬組成物であって、ここで、該第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、抗がん薬、放射線治療薬、抗生物質、および外傷後の傷害、神経変性または炎症状態を標的とする薬物からなる群から選択される、前記医薬組成物と、そういうものであるから、医療でのその使用と、特に膠芽腫の処置でのその使用とに関する。
【0063】
さらには、前記医薬組成物は当然、薬学的に許容できる添加剤をさらに含むのみならず、2つまたはそれ以上の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その断片、誘導体または組合せを含むこともできる。
【0064】
特に、AFタンパク質ならびに/もしくはその同族体および/もしくは断片、ならびに/もしくはその医薬活性塩、ならびに/または該AFタンパク質ならびに/もしくはその同族体および/もしくは断片の強化された食物および/もしくは食物サプリメントは、膠芽腫(GBM腫瘍)の処置で、ナノ粒子および/またはその製剤の形態のさらなる医薬物質の送達および/または細胞による取込みを最適化するのに使用する。
【0065】
例えば、前記第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、抗がん薬、細胞増殖抑制薬、遺伝物質、放射線治療薬、抗菌物質、抗生物質、抗ウイルス物質、免疫学的に活性な化合物、および外傷後の傷害、神経変性または炎症状態を標的とする薬物からなる群から選択することができる。
【0066】
さらに、前記医薬組成物は、2つまたはそれ以上の抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/もしくはその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩、ならびに薬学的に許容できる添加剤を含むことができる。
【0067】
現時点で好ましい一実施形態では、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩は、糖衣の保護被覆のような、膠芽腫での悪性および/または病的細胞における細胞障壁(cellular barriers)を乗り越えることができるのが示され、したがって、必要とされる薬物投与量を低下させるため、または代わりに、前記医薬物質および/もしくは製剤の用量効果を最大化するためのアジュバントとして使用することができる。結果として、上述した前記の、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/もしくはその医薬活性塩、ならびに/またはそれを含む医薬組成物は、膠芽腫の処置で、前記医薬物質および/または製剤の毒性副作用または望ましくない副作用を最小にするために使用することができる。
【0068】
さらには、本明細書に記述する、抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/またはその同族体および/もしくは断片の強化された食物および/または食物サプリメントは、好ましくは天然の抗分泌性因子の強化された卵黄として提供する。
【0069】
このように本発明は、天然の抗分泌性因子が、テモゾロミドのような抗がん薬との組合せで強化された卵黄のような、本明細書に記述する抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/またはその同族体および/もしくは断片の強化された食物および/または食物サプリメントを含む医薬組成物と、医療でのその一般的使用と、特に膠芽腫(GBM腫瘍)の処置でのその使用とにも関する。
【0070】
同程度に好ましい別の実施形態では、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩は、抗分泌性因子(AF)タンパク質の取込み、生成および/または放出を誘導する特別食用の食物および/または食物サプリメントの摂取後に患者により内因的に産生され得る。
【0071】
本発明は、膠芽腫を処置するための、第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤の送達および/または細胞による取込みを最適化するための医薬組成物の製造のための、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を含む医薬組成物の使用に関する。AFならびに第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、一緒に投与することも、または交互に続けて投与することもできる。これらは共製剤化することも、または別個の製剤として投与することもできる。
【0072】
本発明の現時点で好ましい一実施形態はさらに、膠芽腫の処置で放射線治療を最適化するための医薬組成物の製造のための、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片を含む医薬組成物の使用である。
【0073】
さらには、細胞IFPを低下させることの一過的および可逆的性質に基づき、臨床医は容易に日常の投与手順を想定することができ、ここでこの手順では、膠芽腫患者用処置レジメンの間、標的細胞におけるIFPがちょうど、第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤を投与するのに間に合う形で低下されるように調節した最適の時間間隔で、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片を投与する。
【0074】
したがって、同程度に好ましい別の実施形態は、第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤の、最適化された送達および/または細胞による取込みのための方法または投与レジメンに関し、ここで、該第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、膠芽腫を処置するのに適した抗がん薬、放射線治療薬、抗生物質、および/または外傷後の傷害、神経変性もしくは炎症状態を標的とする薬物を含む。
【0075】
本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片、ならびに第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、一緒に投与することも、または交互に続けて投与することもできる。これらは共製剤化することも、または別個の製剤として投与することもできる。
【0076】
本発明の医薬組成物は、眼内投与、鼻腔内投与、経口投与、局所投与、皮下投与および/または全身投与するために製剤化することができ、噴霧剤、煙霧剤としての、および/またはインヘラーもしくはネブライザーによる投与を意図することができる。本発明の医薬組成物は、ある1つの文脈では、局部適用により、インサイチュで局所的に、経口的に、鼻内に、皮下に、および/または血管経由もしくは気道経由で全身に投与することができる。
【0077】
前記医薬組成物および/または医用食物を、血液に全身投与するために製剤化するなら、投与レジメンは、例えばAF−16(配列番号3)等価用量で、1回の適用および体重1kgおよび1日あたり0.1μgから10mg、好ましくは1回の適用および体重1kgおよび1日あたり1〜1000μgで選択し、該投与は単回用量としてまたは1日複数回の適用としてのいずれかで実行される。
【0078】
結果として本発明は、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、例えば配列番号1(AF)、配列番号2(AF−6)、配列番号3(AF−16)など、ならびに/またはテモゾロミドのような抗がん薬と組合せたその医薬活性塩を含む医薬組成物と、医療でのその一般的使用と、特に膠芽腫(GBM腫瘍)の処置でのその使用とにも関する。
【0079】
別の態様では本発明は、膠芽腫の処置および/または防止のための、第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤の送達および/または細胞による取込みを最適化するための医薬組成物の製造のための、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/もしくは断片、またはその医薬活性塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0080】
やはり、様々な投与用量および経路が、意図する処置目的、および患者の年齢、性別、状態などに適していると想定される。
【0081】
利用される有効な用量レジメンが非常に広範なことから、副作用のリスクおよび予想外な合併症が最小限であることが示される。したがって本発明により、細胞および組織に対する過剰負荷の処置と、各反応、ならびに病気の重症度、および/または不快感に合わせた広範囲の用量で患者を処置することとが可能となる。
【0082】
本発明はさらに、現時点で好ましい一実施形態では、改良された薬物設計のための方法であって、膠芽腫の処置を受けさせ、本出願で言及する物質または医薬製剤に曝した細胞または組織の反応を吟味することと、該物質または製剤の細胞による取込みに対する、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/もしくは断片、またはその組合せの影響を、例えばリン酸化FAK量を測定することにより推定することとを特徴とする前記方法に関する。
【0083】
上記方法はいずれも通常、代わりに細胞系または供試生物において実行してもよい。この方法はインビボ、インサイチュおよびインシリコ系でも等しく適用可能である。
【0084】
標準法:
− 改良された薬物設計のための、
− AF抑制性および/または増強性の可能性のある物質をスクリーニングおよび/または評価するための、
− 新しいまたは既知の抗分泌性因子(AF)タンパク質、同等の機能活性を有するそのペプチド、誘導体、同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩の効能を評価および/または機能活性を検証するための、
は当技術分野で周知である。
【0085】
抗分泌性因子
抗分泌性因子は、体内に天然にあるタンパク質の一クラスである。ヒト抗分泌性因子AFタンパク質は脳下垂体から単離した場合、382〜288アミノ酸を含む41kDaのタンパク質である。膠芽腫の処置に対する本発明の有益な効果に関する活性部位はこのタンパク質に、そのN末端に近い領域内において特定することができ、特に配列番号1のアミノ酸1〜163、より具体的には抗分泌性因子(AF)タンパク質配列のアミノ酸位置35〜50に特定することができる。AFの生物学的効果は、前記コンセンサス配列の6アミノ酸である、配列番号2(AF−6)を少なくとも含むいずれのペプチドもしくはポリペプチドによっても、またはそのポリペプチドおよび/もしくはペプチドの機能が変化していないその修飾体によっても及ぼされる。
【0086】
本発明者らは、抗分泌性因子はタンパク質S5a、およびRpn10、これは全細胞に広く一般に存在する構成成分のサブユニットである26Sプロテアソームを構成し、より詳細には19S/PA700キャップ中にあるのだが、とある程度相同性があることを示した。本発明では、抗分泌性因子(AF)タンパク質を、同じ機能特性を有する同族タンパク質のクラスとして規定する。抗分泌性因子は、トロンボスポンジン−1に結合し、がんの進行に関連することが知られている別のタンパク質アイソフォームであるアンギオシジン(angiocidin)とも極めて類似する。
【0087】
本発明の、抗分泌性因子(AF)タンパク質の同族体、誘導体および断片、ならびに/またはペプチドは全て、類似の生物学的作用を有する。同族体、誘導体および断片は本文脈では、天然の抗分泌性因子(AF)タンパク質の6アミノ酸に対応する6アミノ酸(配列番号2に示したもの)を少なくとも含み、この6アミノ酸は、そのポリペプチドおよび/またはペプチドの必須機能を変化させることなく抗分泌性因子の生物学的作用を最適化するために、1つまたはそれ以上のアミノ酸を変えることによりさらに修飾してもよい。
【0088】
本文脈での誘導体とは、本明細書に規定する抗分泌性因子と同等の作用および/または同等の機能活性を有し、直接かまたは修飾もしくは部分置換によるかのいずれかで別の物質に由来するタンパク質のことを意図し、この修飾または部分置換では、1つまたはそれ以上のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されており、この別のアミノ酸は修飾アミノ酸であっても、非天然アミノ酸であってもよい。例えば、本発明の抗分泌性因子誘導体は、N末端保護基および/またはC末端保護基を含んでもよい。N末端保護基の一例としてはアセチルが挙げられる。C末端保護基の一例としてはアミドが挙げられる。
【0089】
さらには、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、ペプチド、同族体、誘導体および/または断片のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性、例えば少なくとも72%、75%、77%、80%、82%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性など、を示すいかなるアミノ酸配列も、本発明の範囲内であると判断される。
【0090】
参照アミノ酸配列と少なくとも例えば95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するタンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片とは、例えばそのペプチドのアミノ酸配列が、参照アミノ酸配列の各100アミノ酸あたり5つまでの点変異を含むことがある点以外は、参照配列と同一であることを意図する。換言すれば、参照アミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、参照配列中の5%までのアミノ酸を欠失させたり、別のアミノ酸で置換してもよく、または参照配列中の全アミノ酸の5%までの数のアミノ酸を参照配列に挿入してもよい。参照配列のこれらの変異は、参照アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端の位置で起こることも、またはこれら末端の位置の間のどこかで、参照配列のアミノ酸中にそれぞれ点在するか、もしくは参照配列内に1つもしくはそれ以上の連続したグループとして散在するかのいずれかで起きることもある。
【0091】
本発明では、局所アルゴリズム(local algorithm)プログラムが同一性の決定に最適である。局所アルゴリズムプログラム(スミス・ウォーターマンのような)はある配列中の部分配列を、第2の配列中の部分配列と比較し、最大の総類似性スコアを与える部分配列の組合せおよびそれら部分配列のアライメントを探し出す。内部のギャップは、許容する場合はペナルティを与える。局所アルゴリズムは、単一のドメインを、または1つの結合部位のみを共通に持つ2つのマルチドメインタンパク質を比較するのに、よく機能する。
【0092】
同一性および類似性を決定する方法は、公的に利用できるプログラムとしてコード化されている。2つの配列間の同一性および類似性を決定するための、好ましいコンピュータプログラム法としては、それらだけに限らないが、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J他(1994))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul,S.F.他(1990))が挙げられる。BLASTXプログラムは、NCBIおよび他の供給元から公的に利用できる(BLASTマニュアル、Altschul,S.F.他、Altschul,S.F.他(1990))。各配列解析プログラムはデフォルトのスコアリングマトリックスおよびデフォルトのギャップペナルティを有する。一般に分子生物学者は、使用するソフトウェアプログラムによって確立されたデフォルトの設定を使用するものと期待されている。
【0093】
本明細書に規定する同等な作用を有する抗分泌性因子(AF)タンパク質、またはそのペプチドもしくは同族体、誘導体および/もしくは断片は、6アミノ酸またはそれ以上、例えば6〜16アミノ酸、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20アミノ酸またはそれ以上など、を含むことができる。他の好ましい実施形態では、抗分泌性因子は42、43、45、46、51、80、128、129または163アミノ酸からなる。好ましい実施形態では、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片は6、7、8または16アミノ酸からなる。
【0094】
好ましい別の実施形態では、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片は以下の式のアミノ酸配列からなる:
X1−V−C−X2−X3−K−X4−R−X5、ここで、X1はI、配列番号6のアミノ酸1〜35、またはなしであり、X2はH、RまたはKであり、X3はSまたはLであり、X4はTまたはAであり、X5は配列番号6のアミノ酸43〜46、43〜51、43〜80もしくは43〜163、またはなしである。
【0095】
本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片は、インビボもしくはインビトロで、例えば組換え、合成および/もしくは化学合成などにより産生することも、ならびに/またはブタ脳下垂体もしくはトリの卵のような、抗分泌性因子の天然供給源から単離することもできる。産生後、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片は、例えばより小さな抗分泌作用断片への化学的もしくは酵素的切断またはアミノ酸の修飾などによって、さらに加工してもよい。現時点では、抗分泌性因子(AF)タンパク質を精製により純粋な形態で得ることは可能ではない。しかし生物学的作用を有する抗分泌性因子タンパク質を組換えにより、または合成により産生することは、過去にWO97/08202およびWO05/030246に開示されているように、可能である。WO97/08202は、7〜80アミノ酸の、生物学的作用を有する、このタンパク質の断片の産生も開示している。
【0096】
本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片は、N末端保護基および/またはC末端保護基をさらに含んでもよい。N末端保護基の一例としてはアセチルが挙げられる。C末端保護基の一例としてはアミドが挙げられる。
【0097】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の抗分泌性因子(AF)タンパク質、その同族体、誘導体、ペプチドおよび/または断片は、一般的なアミノ酸一文字略記を使用すると、配列番号1〜6、すなわちVCHSKTRSNPENNVGL(配列番号3、この文脈ではAF−16とも称する)、IVCHSKTR(配列番号5)、VCHSKTR(配列番号4)、CHSKTR(配列番号2)、HSKTR(配列番号6)、または配列番号1の抗分泌性因子(AF)タンパク質のアミノ酸配列の中から選択される。これらは過去に、例えばWO05/030246に開示されている。付随する配列リストで特定したように、上に特定した配列中のアミノ酸のいくつかは、他のアミノ酸で置換してもよい。本段落の以下では、特定のアミノ酸配列中の特定のアミノ酸の位置は、その特定の配列において最もN末端にあるアミノ酸を位置1として表示し、左から数える。以下に特定するいずれのアミノ酸置換(複数可)も、その配列中の他のいずれのアミノ酸置換(複数可)からも独立に実行することができる。配列番号3では、位置2のCをSで置換してもよく、位置3のHはRもしくはKで置換してもよく、位置4のSはLで置換してもよく、および/または位置6のTはAで置換してもよい。配列番号5では、位置3のCをSで置換してもよく、位置4のHはRもしくはKで置換してもよく、位置5のSはLで置換してもよく、および/または位置7のTはAで置換してもよい。配列番号4では、位置2のCをSで置換してもよく、位置3のHはRもしくはKで置換してもよく、位置4のSはLで置換してもよく、および/または位置6のTはAで置換してもよい。配列番号2では、位置1のCをSで置換してもよく、位置2のHはRもしくはKで置換してもよく、位置3のSはLで置換してもよく、および/または位置5のTはAで置換してもよい。配列番号6では、位置1のHはRもしくはKで置換してもよく、位置2のSはLで置換してもよく、および/または位置4のTはAで置換してもよい。
【0098】
本発明はまた、配列番号1〜6の断片のいずれか2つまたはそれ以上の組合せをも意図する。
【0099】
本発明に従って使用するための、および/または本発明に含まれる特定の抗分泌性因子(AF)タンパク質またはペプチドは、配列番号1に示されたアミノ酸配列を含む抗分泌性因子(AF)タンパク質、配列番号2に示されたアミノ酸配列を含む抗分泌性因子(AF)タンパク質、配列番号3に示されたアミノ酸配列を含む抗分泌性因子(AF)タンパク質、配列番号4に示されたアミノ酸配列を含む抗分泌性因子(AF)タンパク質、および配列番号5に示されたアミノ酸配列を含む抗分泌性因子(AF)タンパク質からなる群から選択される。
【0100】
さらには、別のもう1つの実施形態では本発明は、配列番号1に示されたアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号1のアミノ酸37〜42を含むその同族体、誘導体および/もしくは断片、である抗分泌性因子(AF)タンパク質の使用に関する。
【0101】
さらに別の実施形態では本発明は、配列番号1〜6に開示するタンパク質、ならびに配列番号1、もしくは配列番号1のアミノ酸37〜42を含むその同族体、誘導体および/もしくは断片、または本明細書に記述される一般式により開示する配列から選択される2つまたはそれ以上の抗分泌性因子(AF)タンパク質を含む、本明細書に開示する医薬組成物の使用に関する。前記配列は全て、本発明において、同程度に好んで使用する。
【0102】
WO00/038535は、そのような抗分泌性因子(AF)タンパク質の強化された食物製品を開示しており、これは本文脈で使用するための適切な食物、食糧および/または食物サプリメントの例である。
【0103】
医薬組成物
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる添加剤をさらに含む。本発明に従って使用するための、薬学的に許容できる添加剤およびその最適濃度の選択は、当業者ならば実験を通して容易に決定できる。本発明に従って使用するための、薬学的に許容できる添加剤としては、溶媒、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤、ならびに安定剤、乳化剤、懸濁剤および/または賦形剤が挙げられる。本発明の医薬組成物は、通常の薬剤業務に従って、例えば「Remington:The science and practice of pharmacy」、第21版、ISBN 0−7817−4673−6または「Encyclopedia of pharmaceutical technology」、第2版、Swarbrick J.編、ISBN:0−8247−2152−7に従って製剤化することができる。薬学的に許容できる添加剤は、前記組成物を投与予定の個人に対し、実質的に無害な物質である。このような添加剤は通常、国立保健当局により課される要件を満たす。例えば英国薬局方、アメリカ合衆国薬局方および欧州薬局方のような公の薬局方が、薬学的に許容できる添加剤のための基準を設ける。
【0104】
以下は、本発明の医薬組成物中で任意選択により使用するための妥当な組成物の概説である。この概説は、特定の投与経路に基づいている。しかし薬学的に許容できる添加剤が、異なる剤形または組成物中で使用され得る場合には、薬学的に許容できる特定の添加剤の利用は、特定の剤形に限定されたり、添加剤の特定の機能について限定されたりはしないことが理解される。本発明が、以下に言及される組成物の使用に限定されるわけではないことは、強調すべきである。
【0105】
非経口組成物:
全身適用するためには、本発明の組成物は、微小球およびリポソームを含めた通常の薬学的に許容できる無毒性担体および添加剤を含むことができる。
【0106】
本発明に従って使用するための組成物としては、全ての種類の固体、半固体および流体組成物を挙げることができる。
【0107】
薬学的に許容できる添加剤としては、溶媒、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤、ならびに安定剤、乳化剤、懸濁剤および/または賦形剤を挙げることができる。各種薬剤の例を下に示す。
【0108】
様々な薬剤の例:
溶媒の例としては、それらだけに限らないが、水、アルコール、血液、血漿、髄液、腹水液およびリンパ液が挙げられる。
【0109】
緩衝剤の例としては、それらだけに限らないが、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リン酸水素酸(hydrogen phosphoric acid)、重炭酸、リン酸、ジエチルアミドなどが挙げられる。
【0110】
キレート剤の例としては、それらだけに限らないが、EDTAおよびクエン酸が挙げられる。
【0111】
抗酸化剤の例としては、それらだけに限らないが、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、システイン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0112】
賦形剤および崩壊剤の例としては、それらだけに限らないが、ラクトース、サッカロース、エムデックス(emdex)、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、デンプンおよび微結晶セルロースが挙げられる。
【0113】
結合剤の例としては、それらだけに限らないが、サッカロース、ソルビトール、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、キトサン、デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコール(polyetyleneglycol)が挙げられる。
【0114】
本発明の医薬組成物は、ある1つの文脈では、局所的に、もしくは末梢静脈内輸注で、もしくは筋肉内もしくは皮下注射で患者に、または頬側、肺、鼻、皮膚もしくは経口経路で投与することができる。さらには、医薬組成物を、外科的に挿入したシャントにより患者の脳室内に投与することも可能である。
【0115】
一実施形態では、本発明に従って使用する医薬組成物は眼内、局所、鼻腔内、経口、皮下および/または全身投与するために製剤化する。選択する投与経路は、処置予定の患者の状態ならびに患者の年齢および性別などに応じて様々となる。
好ましい実施形態では、本発明の組成物を懸濁剤として、またはさらにより好ましくは噴霧剤、エアゾール剤、インヘラーもしくはネブライザーにより経鼻的におよび/もしくは気道へと吸入するための散剤として適用することにより投与する。
【0116】
抗分泌性因子を含む散剤の投与には、安定性および投与量の点でさらなる利点がある。本発明の医薬組成物は局所的に適用することもでき、血管経由で眼球に、経鼻的に、経口的に、皮下におよび/または全身に投与することもできる。好ましい実施形態では、医薬組成物は静脈内、筋肉内の、局所、経口または経鼻投与するために製剤化する。通常は、眼への局所適用のために使用する場合、本発明の組成物中での適用濃度は、1日あたり単回用量としてか、または1日あたり数回繰り返すか(多回用量)のいずれかで、1回の適用あたり1μgから1mg、好ましくは50〜500μgであるが、これに限定されない。
【0117】
血液への全身投与では、用量は、1回の適用および体重1kgあたり0.1μgから10mg、例えば1回の適用および体重1kgあたり0.1μgから1mg、好ましくは1〜500μg/kg体重、例えば1〜1000μg/kg体重の範囲内である。抗分泌性因子の強化された卵黄を本発明に従って使用する場合、この製剤は好ましくは経口投与する。
【0118】
本発明の一実施形態では、前記医薬組成物は、薬学的に許容できる添加剤をさらに含む。このような添加剤は、特定の目的に適しているものとして選択されるいかなる好ましい添加剤であってもよい。添加剤の例は本明細書に開示されている。
【0119】
膠芽腫を処置するための方法
一実施形態では本発明は、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、膠芽腫を処置するための方法に関する。前記方法は、本発明の一実施形態では、さらなる医薬物質の、最適化された薬物取込みおよび送達を促進するために使用することができる。
【0120】
膠芽腫を患う哺乳動物を処置するための前記方法は、現時点で好ましい一実施形態では、食物、食糧および/または食物サプリメントを該患者に与え、そうすることにより、さらなる医薬物質の、最適化された薬物取込みおよび送達を促進するためにAFの内因的産生を誘導することを含むことができる。
【0121】
前記医薬物質および/または製剤は、本文脈では、抗がん薬、抗腫瘍薬、放射線治療薬、免疫学的な物質および/または細胞ならびに抗生物質、外傷後の傷害を標的とする薬物、神経変性を標的とする薬物ならびに炎症状態に対する薬物からなる群から選択される。前記さらなる医薬物質は、膠芽腫(GBM腫瘍)の処置では、ナノ粒子および/またはその製剤の形態であってよい。
【0122】
当技術分野でよく知られている例は、それらだけに限らないが、テモゾロミド(Maity他、2008年;Kaye and Laws、2012年)、および埋込型アルキル化剤のカルムスチンウェファーであるグリアデル(登録商標)のようなアルキル化剤を含む群から選択してある。加えて、血管内皮増殖因子に対する抗体も組み込んである。
【0123】
同程度に好ましい別の実施形態では、膠芽腫を患う哺乳動物を処置するための前記方法は、抗分泌性因子の強化された卵黄を該患者に与え、そうすることにより、さらなる医薬物質の薬物取込みおよび送達を最適化することを含むことができる。
【0124】
本発明は、膠芽腫(GBM腫瘍)の処置、ならびに/または抗がん薬のような医薬物質および/もしくは製剤の送達および/もしくは細胞による取込み、放射線治療を最適化し、そうすることにより免疫機構を頼みとするため、もしくは膠芽腫の腫瘍細胞への遺伝子送達を最適化するための処置であって、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする前記処置に関する。
【0125】
本出願は、長らく探し求められていた、GBM腫瘍を処置するための有効な手段および/またはアプローチを初めて開示する。本出願は驚くべきことに、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする、膠芽腫の対症、根治および緩和療法を開示する。特に、これらは膠芽腫の処置で、薬物送達および遺伝子送達ならびに化学療法、免疫療法および放射線治療を最適化するために使用することができる。
【0126】
特に、GBM腫瘍における血液循環および/または酸素分圧を最適化して、放射線治療および免疫療法の効果を促進するための方法と、場合によりGBM腫瘍細胞に対する放射線と組合せたテモゾロミドの、最適化された薬物取込みおよび送達を促進するための方法とを開示する。
【0127】
必要とされる薬物投与量を低下させるための、あるいは前記医薬物質および/もしくは製剤の用量効果を最大化するための方法であって、膠芽腫の処置で、該医薬物質および/または製剤の毒性副作用または望ましくない副作用を最小にするために使用する、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする前記方法を開示する。
【0128】
本明細書に記述する、抗分泌性因子(AF)タンパク質ならびに/またはその同族体および/もしくは断片の強化された食物および/または食物サプリメントは、好ましくは天然の抗分泌性因子の強化された卵黄として提供する。
【0129】
AFならびに第2のまたはさらなる医薬物質および/または製剤は、一緒に投与することも、または交互に続けて投与することもできる。これらは共製剤化することも、または別個の製剤として投与することもできる。
【0130】
膠芽腫の処置で放射線治療を最適化するための方法であって、配列番号1(AF)に示された抗分泌性因子(AF)タンパク質、ならびに/もしくは同等の作用を有し、配列番号2(AF−6)に示されたアミノ酸配列を含むその同族体および/もしくは断片、ならびに/またはその医薬活性塩を、それを必要とする患者に投与することを特徴とする前記方法が想定される。
【実施例1】
【0131】
実験の部
AF−16(配列番号3)
この実験の目的は、ペプチドAF−16の投与が、膠芽腫を有する脳内にわたる高い頭蓋内圧を低下させたのかを調べることであった。低下させていた場合、腫瘍により誘導される脳浮腫および高い頭蓋内圧の有害な効果が相殺される可能性があり、これは高度に有益な所望の効果である。
【0132】
成体フィッシャー344雄性ラットをチャールズリバー、ドイツから購入した。実験時の体重は230〜250gであった。これらの動物には水およびペレット状飼料を随意に摂取させた。この実験は地域動物実験倫理委員会(Regional Animal Experiments Ethical Committee)により承認され、国およびEUのルールに従った。
【0133】
樹立された神経膠腫細胞株RG2の培養細胞、クローンN32、を成体フィッシャー344ラットの脳の右線条体内に定位的に注入した(A.T.Aas、A Brun、C.Blennow、S.Stromblad and L.G.Salford(1995).The RG2 glioma model.J.Neuro−Oncology 23、175〜183頁;R.F.Barth and B.Kauer(299).Rat brain tumor models in experimental neuro−oncology:the C6, 9L, T9, RG2, F98, BT4C, RT−2 and CNS−1 gliomas.(J Neuro−Oncology 94、299〜312頁)。18〜22日後、膠芽腫について確立された基準を満たす腫瘍が右半球において実証可能で、隣接する脳実質に浸潤していた(
図1、2)。甚だしい血管新生を伴う腫瘍中の細胞は、
図3で明らかなように、糖衣、すなわち多糖およびプロテオグリカンの薄い層により区切られることが、開示された。膨張していく腫瘍により脳組織は肥大化し、骨性の頭蓋はわずかな容量増大も許容しなかったために、頭蓋内圧亢進が引き起こされた。
図4に、各半球に1つずつの圧力センサ(Samba3200;Samba Sensors AB、V.Frolunda、スウェーデン)埋込を示す。頭蓋内圧は25〜50mmHg(
図4)の範囲内であると測定されたが、これは、正常の5.3±2.1mmHgと比べ著しく上昇していることを意味する(H.−A.Hansson、M.Al−Olama、E.Jennische、K.Gatzinsky and S.Lange(2012).The peptide AF−16 and the AF protein counteract intracranial hypertension.Acta Neurochir.Suppl.114、377〜382頁)。最終的に頭蓋内圧は50〜60mmHgを超え、その結果、脳はヘルニア形成を起こし、位置がずれ、血液循環は障害を来たし、死に至った(
図5)。
【0134】
ペプチドAF−16(1〜4mg/kg体重)水溶液10μLを1回経鼻滴下したところ、15〜30分のうちに、高かった頭蓋内圧が約20mmHg以下の許容し得るレベルに低減された(
図6)。頭蓋内圧は腫瘍に冒されていた右側でも、また対側である左側でも上昇していたのだが、いずれの半球でも同程度に低下した。同時に、実証可能ないずれの神経学的障害も消散した。
【0135】
本発明者らは、ペプチドAF−16が15〜30分以内に、実験的に誘導した膠芽腫の腫瘍を有する成体ラットにおいて、ペプチドがなかったなら実証可能であったはずの頭蓋内圧上昇を相殺したと結論する。この有益な効果は少なくとも4〜6時間持続した。
【実施例2】
【0136】
AF−6(配列番号2)
この実験の目的は、ペプチドAF−6の投与が、膠芽腫を有する脳内にわたる高い頭蓋内圧を低下させたのかを調べることであった。低下させていた場合、腫瘍により誘導される脳浮腫および高い頭蓋内圧の有害な効果が相殺される可能性があり、これは高度に有益な所望の効果である。
【0137】
成体フィッシャー344雄性ラットをチャールズリバー、ドイツから購入した。実験時の体重は230〜250gであった。これらの動物には水およびペレット状飼料を随意に摂取させた。この実験は地域動物実験倫理委員会により承認され、国およびEUのルールに従った。
【0138】
実施例1に記述したように、樹立された神経膠腫細胞株RG2の培養細胞、クローンN32、を成体フィッシャー344ラットの脳の右線条体内に定位的に注入した。18〜22日後、膠芽腫について確立された基準を満たす腫瘍が右半球において実証可能で、隣接する脳実質に浸潤していた。
【0139】
ペプチドAF−6(1〜2mg/kg体重、水に溶解)の単回用量を、移植後第21日に、RG2−N32由来の実験的膠芽腫の腫瘍を有するフィッシャーラット鼻内に滴下した。約15分後、頭蓋内圧は25〜27mmHgから17.7mmHgへと低下し始めた(
図7)。
【0140】
本発明者らは、ペプチドAF−6が、移植膠芽腫の腫瘍のために上昇していた頭蓋内圧を、約20mmHg以下の許容できるレベルにまで低下させたと結論する。開示し得る副作用はなかった。
【実施例3】
【0141】
AF−6(配列番号2)
この実験の目的は、ペプチドAF−16の投与が、膠芽腫を有するマウス脳内にわたる高い頭蓋内圧を低下させたのかを調べることであった。低下させていた場合、腫瘍により誘導される脳浮腫および高い頭蓋内圧の有害な効果が相殺される可能性があり、これは高度に有益な所望の効果である。
【0142】
成体C57/Bl/6マウスをB & K、Sollentuna、スウェーデンから購入した。体重は23gで、これらの動物には水およびペレット状飼料を随意に摂取させた。この実験は地域動物実験倫理委員会により承認され、国およびEUのルールに従った。
【0143】
GL261マウス神経膠腫細胞株はC57Bl/6由来で、Rausing研究室、BMC、Lund大学で、確立されたプロトコールに従って培養した(K.Enell Smith、S.Fritzell、W.Badn、S.Eberstal、S.Janelidze、E.Visse、A.Darabi and P.Siesjo(2008).Cure of established GL261 mouse gliomas after combined immunotherapy with GM−CSF and IFNγ is mediated by both CD8
+ and CD4
+ T−cells.Int.J.Cancer 124、630〜637頁)。
【0144】
C57/Bl/6マウスにそれぞれ、組織培養液5μL中のGL261神経膠腫細胞5,000個を、右脳半球の脳深部構造内に定位的に注入した。膨張していく腫瘍が形成され、22日後には直径は3〜5mmであった。この動物は、実験に使用するために選択した際には、病気または運動障害の明らかな徴候は示さなかった。
【0145】
6AAペプチドAF−6(配列番号2)(KJロス−ピーターセン(Ross−Petersen)ApS、コペンハーゲンにより、>95%の純度で、TFAを対イオンとして固相合成で製造された)を選択して、このステージの腫瘍形成では不可避的に発展する頭蓋内圧亢進(ICP)を低減するその能力について調べた。
【0146】
右脳半球にGL261腫瘍を有するマウスをイソフルランで麻酔し、定位ホルダ中に位置させた。頭蓋冠上の皮膚に切り込みを入れ、軟部組織を除去した。それぞれが直径1mmの2つの孔を右および左の頭頂骨に開けた。小型光ファイバ圧力変換器を、頭蓋骨の各孔を通じて脳組織に挿入し、Samba3200圧測定器(Samba Samba Sensors AB、V.Frolunda、スウェーデン)およびコンピュータに接続した。センサは各回の測定前および後に校正した。
【0147】
麻酔したマウスは仰向けにしたまま、蒸留水に溶解させた6アミノ酸ペプチド、AF−6を5μL、各鼻孔に滴下した。用量は体重1kgあたり5mgだった。その後、両半球内の圧力について連続的記録を開始した。腫瘍を有する右半球内の初期間質液圧(IFP)は23mmHg、左半球内のICPは19mmHgで、これは正常対照マウスでのICP、約6mmHgと対照的だった。IFPおよびICPは両方とも、約15分後に減少し始めた。AF−6の経鼻滴下後45分で、腫瘍を有する右半球内のIFPは7mmHg、一方、脳の左半分内ではIFPは4〜5mmHgであった。副作用は認めなかった。
【0148】
ペプチドAF−6の経鼻滴下は、実験的片側脳腫瘍において発展する上昇した頭蓋内圧を、腫瘍を有する半球のみでなく、対側半球でも低下させたと結論する。これは、膨張していく腫瘍を有する脳で発展する複雑な圧力上昇パターンを相殺するのに、AF−6が有効だったことを意味する。
【実施例4】
【0149】
AF−16(配列番号3)
この実験の目的は、AF−16により処置すると、マーカーの腫瘍細胞膜を通過しての浸透、ならびにそれに続く腫瘍細胞核内への侵入および分布が増加するのかを調べることであった。ドキソルビシンは、分子量543.52g/molの、すなわちかなりの低分子量物質と考えられる、確立された細胞毒性薬であるという理由から、トレーサとして選択した。さらにドキソルビシンは赤色で、光に曝露すると赤色蛍光を発する。ドキソルビシンは、細胞核内でDNAに強くインターカレートする。これは、赤色蛍光が細胞核内に観察されたら、マーカーがその標的である腫瘍細胞に到達しているということを意味する。膠芽腫細胞は、動物においてと同様にヒトにおいて、化学療法物質が腫瘍細胞内へと入るのを防ぎ、その結果、有益な効果が得られないことが知られている。薬物にたいする最も重要な障壁は、腫瘍細胞表面に広がっている。
【0150】
成体フィッシャー344雄性ラットをチャールズリバー、ドイツから購入した。実験時の体重は230〜250gであった。これらの動物には水およびペレット状飼料を随意に摂取させた。この実験は地域動物実験倫理委員会により承認され、国およびEUのルールに従った。
【0151】
実施例1に記述したように、樹立された神経膠腫細胞株RG2の培養細胞、クローンN32、を成体フィッシャー344ラットの脳の右線条体内に定位的に注入した。20日後、膠芽腫について確立された基準を満たす腫瘍が、いずれのラットの右半球内にも存在した。
【0152】
水に溶解させ、単回用量として体積10μLで投与するAF−16を体重1kgあたり1mg、麻酔したフィッシャーラットの鼻孔に滴下した。1時間後、各動物にトレーサのドキソルビシン(シグマ)を体重1kgあたり用量10mgで静脈内注射し、最終的には30分後に屠殺した。クリオスタットミクロトーム切片を脳から作製し、蛍光顕微鏡を使用して検査した。
【0153】
膠芽腫を有し、トレーサのドキソルビシン注射前に、ビヒクルである水の経鼻投与により処置したラット脳切片の蛍光顕微鏡観察から、わずかに散在するのみの赤色核が示された(
図8)。これは、非常にわずかなドキソルビシン分子しか腫瘍細胞に入らなかったことを意味する。
【0154】
対照的に、膠芽腫を有するラットを、ドキソルビシン投与前にAF−16により前処置すると、腫瘍細胞核が赤色に強く染色されることになり、さらには、これら細胞の大部分が標識された(
図9)。
【0155】
AFペプチドの投与は、細胞毒性薬についてのマーカーの取込みを劇的に改善し、細胞内への分布、およびこの化合物のDNAへのインターカレートまたは結合を促進したと結論する。したがってAFペプチドは、化学療法剤のその標的、腫瘍細胞に対するアクセスを改善した。
【0156】
(参考文献)
1. Lange, S., and Lonnroth, I. 2001. The antisecretory factor: synthesis, anatomical and cellular distribution, and biological action in experimental and clinical studies. Int. Rev. Cytol. 210, 39−75.2. H.−A. Hansson, M. Al−Olama, E. Jennische, K. Gatzinsky and S. Lange (2012). The peptide AF−16 and the AF protein counteract intracranial hypertension. Acta Neurochir. Suppl. 114, 377−382).
3. K.Enell Smith, S. Fritzell, W. Badn, S.Eberstal, S. Janelidze, E. Visse, A. Darabi and P.Siesjo (2008). Cure of established GL261 mouse gliomas after combined immunotherapy with GM−CSF and IFNγ is mediated by both CD8
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+ T−cells. Int. J. Cancer 124, 630−637).
4. A.T. Aas, A Brun, C. Blennow, S.Stromblad and L.G. Salford (1995). The RG2 glioma model. J. Neuro−Oncology 23, 175−183;
5. R. F. Barth and B. Kauer (2009). Rat brain tumor models in experimental neuro−oncology: the C6, 9L, T9, RG2, F98, BT4C, RT−2 and CNS−1 gliomas. J Neuro−Oncology 94, 299−312.
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7. WO 97/08202;
8. WO 05/030246
9. WO 97/08202
10. WO 97/08202
11. WO 98/21978
12. WO 00/038535.
13. WO 05/030246
14. WO 07/126364
15. WO 07/126363
16. WO 07/126365
17. WO 2010/093324