【実施例】
【0064】
実施例1
静脈アクセス圧力比試験用の基準
アクセス障害の予測に有用なVAPRのカットオフ値を判定するべく、1999年1月において3つの血液透析施設において血液透析治療を受けたグラフトを伴う117人の患者からの試験データ及びフォローアップデータを分析した。これらの患者におけるVAPRをアクセス機能障害の存在又は発生、アクセス開存率を維持するべく血管形成又は外科的修復による介入を必要としている狭窄、又は6ヶ月のフォローアップ観察期間内における血栓症の発生と相関させた。6ヶ月の観察期間が選択されており、その理由は、6ヶ月におけるグラフトの一次非支援開存率が64%であり、6ヶ月における二次支援開存率が70%であり、これは、7ヶ月のメジアンにおいて64%のグラフトの一次開存率を示すSparks(15)からのデータに準拠していることを、報告されたデータが示していたからである。これらの研究からのデータは、任意の6ヶ月の期間において、すべてのグラフトのうちの30〜36%に障害が発生しうることを示している。VAPRTは、障害が発生する前に、このグループ内のグラフトを試行及び識別するべく使用されている。
【0065】
その他の試験パラメータが一定に保持された状態において、0.2、0.3、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、及び0.8のカットオフ比により、VAPRTの受信者操作者曲線(Receiver Operator Curve:ROC)を生成した。それぞれのVAPRカットオフレベルにおいて、個々の感度及び特異度を算出した。Mathcad Plus 6.0(MathSoft Inc.,Cambridge,Mass.,U.S.A.)を使用することにより、レシーバ操作者(ROC)曲線下におけるエリアを算出した。StatView for Windows v.5.0(SAS Institute,Inc.,Cary,N.C.,U.S.A.)及びDeltaGraph 4.0(SPSS,Inc.,Chicago,III,U.S.A.)により、臨床結果を分析した。ペア化されていないt−試験用のグルーピング変数は、真陽性(TP:試験が介入又はアクセス凝固を予測した)、真陰性(TN:試験がアクセスイベントの欠如を正しく予測した)、偽陽性(FP:試験がアクセスイベントの発生を誤って予測した)、及び偽陰性(FN:試験がアクセスイベントが発生しないと誤って予測した)であった。すべての比較用のグループの間の仮定された差は、ゼロであった。
【0066】
静脈アクセス圧力比試験の臨床適用
最適なVAPR=0.55の判定に後続する3ヶ月のインターバルにわたって、3つのGreenfield Health System血液透析ユニットにおいて、ESRD患者から、合計で359個のVAPRTを取得した。同一の母集団のデータを1999の1月(n=112)、2月(n=113)、及び3月(n=134)から過去に遡って分析した。狭窄又は血栓症から、明らかに低いアクセス流量(<250ml/mm)、規定の治療時間内において十分な透析を提供することができないこと、或いは、アクセス開存率を維持するための外科的な又は血管形成による介入として定義されるアクセスイベントに対する介入を必要としている人々を識別するべく、医療記録を調査した。
【0067】
結果
VAP
0の生体外モデル化
数学的モデルの逸脱
図2には、模擬透析研究の結果が示されている。
図2には、VDP
0データの数学的モデル化が示されている。それぞれの個々の曲線を次式の形態の式とフィッティングすることにより、
図2のデータを分析した。
VDP
0=A*Qb
2+B*Qb+C 式(1a)
【0068】
定数Cは、Qb=0である際のVDPの値を表しており、且つ、データの更なる分析の際に−17.325mmHgの平均値を使用した。係数Aが、0.0004232から0.0004327まで最小限に変化しており、Qb=400におけるVDPQのわずかに1.5mmHgの増大であることから、0.00042329の平均値を使用した。係数Bは、0.145289から0.231968へのヘマトクリットに伴って最も変化した。次いで、式(2a)により、未加工データをフィッティングした。
VDP
0=0.00042329*Qb
2+B*Qb−17.325 式(2a)
【0069】
それぞれのヘマトクリット値について、B係数を取得した。
図6は、係数B対ヘマトクリットのプロットを表示しており、且つ、式(3a)をこのデータに対してフィッティングした。
B=0.62116*Hct
2+0.01203*Hct+0.12754 式(3a)
【0070】
式(2a)及び式(3a)を組み合わせることにより、VDP
0をQb及びHctに関係づける式(4a)が得られた。
VDP
0=0.00042*Qb
2+(0.62116*Hct
2+0.01203*Hct+0.12754)*Qb−17.32509 式(4a)
【0071】
非線形回帰プログラム(DataFit,Oakdale Engineering,Oakdale,Pa.,U.S.A.)を使用することにより、式(4a)の精度について評価した。複数判定の調節された係数r
2=0.99982は、式(4a)が、動的なVAPRTによるアクセス監視のための圧力データの正確な数学的モデルを表していることを検証している。
【0072】
数学的モデルの適用
血液透析装置の回路用の実験データの分析は、式(3)と以下において呼称される次の2次多項式をもたらした。
VDP
0=0.00042*Qb
2+(0.62116*Hct
2+0.01203*Hct+0.12754)*Qb−17.32509 式(3)
【0073】
共通平均切片−17.35を経験的に確立したが、これは、Qb=0における針とドリップチャンバトランスデューサの間の17cmの高さの差と関係付けられている。圧力が、針の近傍のトランスデューサから計測された際に、オフセットは、ゼロになり、且つ、圧力と流量の間の関係は、曲線状に留まっている(
図2、Hct=29.1における静脈針圧力)。従って、VDP
0は、Qb及びヘマトクリットの増大との関係において増大する。
【0074】
式(3)を使用し、既知のHctにおける任意のQbについてVDP
0を算出することができる。例えば、Qb=500ml/分であり、且つ、Hctが18.2%である際に、VDP
0は、163mmHgであり、且つ、Hct=38.4%である際には、200mmHgに増大する。VAPは、式(1)により、HDにおいて記録されたVDPから算出することが可能であり、且つ、VAPRは、式(2)によって算出される。Hctが38.4%であり、Qbが500ml/分であり、VDPが265mmHgであり、VDP
0が200mmHgであり、且つ、MAPが100mmHgである際に、VAPR=0.65=(265―200)/100である。血液流量(Qb)が式(3)においてゼロに等しい場合には、以下の状態が発生する。
VDP
0=0.00042*Qb
2+(0.62116*Hct
2+0.01203*Hct+0.12754)*Qb−17.32509
【0075】
Qb=0である際には、静脈アクセス圧力(VAP)は、式(1)を使用することにより、算出される。
VDP
0=0+0−17.32509=−17.32509
VAP=VDP−VDP
0
VAP=VDP−(−17.32509)
VAP=VDP+17.32509
【0076】
定数−17.32509は、透析装置のタイプ及び患者のアクセス部位の高さによって判定される。装置によって記録されると共にドリップチャンバトランスデューサと患者のアクセスの間の高さの差について補正された静脈ドリップチャンバ圧力は、静脈アクセス圧力について正確な値を付与することを臨床研究が示している。従って、アルゴリズムを透析装置に内蔵することができる。従って、透析装置は、読取値を自動的に取得することができる。更には、静脈ドリップチャンバトランスデューサと患者のアクセス部位の間における高さの差を判定するべく、センサを装置上に配置することもできる。
【0077】
レシーバ操作者曲線(ROC)の評価
1999年1月の試験期間に含まれていると共にそのデータがROC分析のために使用されたグラフトを伴う患者(N=117)は、438±61ml/mmの平均治療血液流量、34.0±4.2%のヘマトクリット、102±14mmHgのMAP、48〜430mmHgの範囲のVDP値(平均214±43mmHg)、及び0.64±0.35の平均VAPRを有していた。
【0078】
図3には、レシーバ操作者曲線(ROC)が示されている。曲線下のエリアは、2つの試験代替肢、アクセス開存率の持続性、又は6ヶ月以内のアクセス障害の発生を正しくランク付けする確率(0.82)に対応している(16、17)。0.55のVAPRカットオフを更なる臨床試験のために選択したが、その理由は、これが、感度(75%)と特異度(83%)の間の合理的な妥協を提供するからである。
【0079】
図4は、1999年1月におけるグラフトを伴うすべての患者観察結果における個々の治療の平均VAPR値の分布を示している。それぞれの治療において得られたVAPR値から、それぞれの患者ごとの月当たりの平均VAPRを算出した。VAPRTによるTP試験を有していた患者は、0.89というメジアンVAPRを有していた(平均は、0.91±0.24である)。この値は、FP、TN、及びFNというその他の3つの可能性(表1)とは大幅に異なっていた。TN試験を有する患者は、0.48というメジアンVAPRを有しており(平均は、0.52±0.15である)、これは、FPとは異なっていたが(メジアンVAPRが0.70であり、平均が0.70±0.13であり、P<0.0001である)、FNとは異なっていなかった(メジアンVAPRが0.57であり、平均が0.62±0.23ある)。すべての試験グループは、1.0超のVAPR値を有しており、この場合には、VAP−VDP
0は、治療の際に得られたデータにおいては、平均動脈圧力を超過しており、且つ、針の配置又は針の反転に伴う問題を通知することができる。
【0080】
VAPRTの評価
図5は、1999年の1月、2月、及び3月におけるVAPRTの3ヶ月の研究結果を示している。1月においては、112人の患者のうちの26人(23%)が陽性のVAPRTを有していた。次の3ヶ月においては、これらの患者のうちの13人(50%)がアクセス障害を経験しており、6の月までに、この数は、陽性試験グループにおいて、19人(73%)に増大した。1月の試験の場合には、試験結果が陰性であった8人の患者が、アクセス障害を経験することになった(FN、試験された母集団の7%)。VAPRTの統計的分析が、表2に示されており、且つ、それぞれの試験後の3ヶ月及び6ヶ月における平均値を表している。3ヶ月のフォローアップ期間の場合には、VAPRTの平均試験感度は、70%±8%であり、特異度は、88±2%であった。これらは、6ヶ月のフォローアップ期間において、74±5%の平均感度及び96±3%の特異度に改善された。6ヶ月のフォローアップ期間の場合には、VAPRTの陽性予測値は、84±10%であり、陰性予測値は、92±3%であった。
【0081】
議論
アクセス狭窄の場所は、部分的に、監視システムが病変を検出する能力を決定する。大部分のグラフトにおいては、狭窄病変は、静脈吻合の領域において発生する(10、11、12、13)。この領域内の又は中心静脈内の狭窄は、アクセスを通じた血流を妨げ、且つ、VAPを増大させるが、これは、VDPの増大として観察される。治療の際に計測されたVDPは、管及び針を通じて流れる血液によって生成される圧力(VAP
0)、アクセス部位と透析装置内の静脈圧力トランスデューサの間の高さの差によって生成される静圧、及びVAPという3つの成分の合計である。VDPは、治療のQb、VAP、及びヘマトクリットに伴って変化する。又、アクセス部位と静脈圧力トランスデューサの間の高さの差も変化するが、大部分の場合に、モデルにおいて使用されている17cmの値とは、5cm超だけ、異なってはいない。これは、VAPの±5.1mmHgの変動と、MAP100mmHgにおけるVAPRの±0.05の変動と、を結果的にもたらす。又、VAPは、MAPに伴って変化し、且つ、MAPの変化は、VDPにおいて反映される。動脈から静脈吻合へのアクセス圧力勾配のマッピングは、中間グラフト圧力勾配のスロープが狭窄の発生に伴って増大することを示している(11)。従って、VDPは、静脈針と静脈吻合の間の距離の増大に伴って増大する。
【0082】
まず、1.0を超過するVAPRの値は、生物学的に不可能であるが、すべての試験グループは、>1.0のなんらかのVAPR値を有しており、これは、生理学的に算出されたVAPがMAPを超過していたことを反映するものと思われる。
図4に提示されているVAPRデータの場合には、すべての値の9.8%が>1.0であり、これらのうちの27.9%がTPグループに含まれていた。いくつかの条件が、予想よりも大きなVAPR値をもたらす。恐らくは、動脈及び静脈針の反転が最も一般的であり、且つ、治療のうちの25%程度において発生している(18)。患者の治療データの変化を通知することなしに、相対的に小さな直径の針が使用される場合には、VAPR値は、誤って上昇することになる。又、静脈針の小さな直径は、アクセスを通じて流れるための抵抗力を増大させる乱流をアクセス内に生成することにも留意されたい。乱流の程度は、アクセスの流れが静脈狭窄に起因して低減された際に増大し、且つ、流れ抵抗力の増大及びVAPの増大を結果的にもたらす。アクセス壁に圧接状態における又は部分的にその内部に存在する(針のオリフィスを低減する)静脈針の配置又は静脈ラインの妨害は、計測されるVDPの増大を生成し、且つ、一時的な大きなVAPR値を結果的にもたらす。最後に、血液透析の際に血圧を監視するべく通常使用されているアクセスに利用されていない腕のものとの間のアクセス先端におけるMAPの差は、VAPRの増大を結果的にもたらす。
【0083】
VAPRTにおける誤りを低減するには、患者のVAPR値は、3回の連続的な治療において、0.55を超過しなければならない。Schwabによって開発された初期動的アクセス圧力試験は、陽性試験を通知するべく、予め定義された限度を超過した3つの連続的な治療を使用している。評価のために、月の末尾における透析治療を選択しており、その理由は、試験結果が毎月の透析患者報告に含まれており、且つ、患者は、月の早い部分においてアクセス介入を有しうるからである。目的は、患者のアクセスの不必要な更なる評価を防止するべく、最小限の偽陽性レートを維持するというものであった。
【0084】
図2は、アクセス圧力を監視するべくVDPの動的計測値を使用する際に、解決を要する問題点を示している。血流の増大に伴って、VDPが増大し、これは、主には、静脈針によって生成される抵抗力の増大に帰される。又、ヘマトクリットの上昇もVDPを増大させる。Qb及びヘマトクリットからのVDP値の可変性は、Schwabら(1)によって実証されているように、計測が固定された相対的に小さな血液流量において実施される場合に、低減することができる。但し、VDPの適切な警告レベルは、MAP及びヘマトクリットに応じて、個々の患者の間において変化する。例えば、15ゲージの針とQb=200ml/mmにより、VDPQは、ヘマトクリット20%において33mmHgであり、且つ、36%のヘマトクリットにおいては、42mmHgである。アクセス圧力比が>0.55である際に患者はリスク状態にあるという基準を使用することにより、120mmHgのMAPを有する患者は、その治療の警告を受け取るには、>66mmHg(66/120=0.55)のアクセス圧力を必要とする。従って、Qb=200ml/mmにおいて、ヘマトクリットが20%と36%の間において変化する患者の場合に、VDP警告レベルは、99(=33+66)mmHgと108(=42+66)mmHgの間である。同一の基準を適用することにより、75mmHgのMAPを有する患者は、74〜83mmHgのVDPの警告レベルを必要としている。この結果、74〜108mmHgのVDPについてリスク状態にある患者のために単一のVDP警告値を選択することが困難になる。式(2)を使用してVAPRを算出することにより、VAPRTは、Qb、ヘマトクリット、及びMAPとの関係において、それぞれのアクセス圧力計測ごとに、VDP警告レベルを調節する。74〜108mmHgのこの絶対圧力範囲は、Schwabら(1)によって元々報告されているものよりも格段に小さいことに留意されたい。この差の主要な理由は、針のゲージであり、本発明は、15ゲージであるのに対して、Schwabの調査の場合には、16ゲージである。針を通じた流れに起因したVDPの成分が、16ゲージの針の場合には、格段に大きくなるものと予想される(6)。現時点においては、アルゴリズムは、その他の針ゲージの調査の実施が完了する時点まで、挿管の場合に、1インチの15ゲージの針に制限されている。
【0085】
VAPRを判定する一代替方法は、機能的に有意な狭窄について試験するべく、静的静脈圧力を監視すると共に静的静脈アクセス圧力比(Static Venous Access Ratio:SVPR)を算出するというものである(8)。SVPRは、アクセス監視のための高精度の方法であるが、この方法は、データの有効性を保証するべく、血液透析スタッフの訓練と、継続的な監視と、を必要としている。VAPRTは、特定の訓練を必要としておらず、且つ、アルゴリズムは、患者データベースに現時点において入力されているデータを調査し、且つ、それぞれの透析治療ごとに患者のアクセスを評価している。最後に、別の方法は、疎水性フィルタを使用することにより、血液透析の前に、静的アクセス内圧力を直接的に計測している(22)。
【0086】
アクセスの動脈入力側における又はアクセス自体の内部の狭窄は、VAPRTによっては検出されず、その理由は、このタイプの病変がアクセスの流量と静脈アクセス圧力を同時に低減するからである。通常よりも陰性である値についてポンピング前の動脈ドリップチャンバ圧力(Arterial Drip chamber Pressure:ADP)を調査するモデルを開発することにより、動脈狭窄を検出することができる。又、動脈アクセス内圧力及びVAPを判定することができる場合には、アクセス内病変の存在を判定することもできる。この観点において、Polaschegg及び同僚研究者(20)は、動的動脈及び静脈アクセス圧力計測値を使用することにより、アクセス狭窄を検出すると共に位置を見出す方法について記述している。
【0087】
透析ユニット内において実行されるアクセス流量計測は、介入の必要性を通知するアクセス流量の臨床的に有意な低減が存在しているかどうかを判定することができる。但し、流れ妨害の場所は、明確に識別することができない。流れ計測の欠点は、そのために高価な機器、訓練された要員、及びセットアップ及び計測のための透析時間が必要とされるという点にある。Paulsonら(17、21)による研究は、単一のアクセス流量計測が、グラフト障害の相対的に不良なインジケータであることを示している。血栓症を予測する80%の感度を実現するには、58%という受入不能なほどに大きなFPレートを必要とする。FPレートがこのように大きい理由は、グラフト障害を予測するべく使用される閾値アクセス血液流量が、しばしば、低血液流量において機能する多くのグラフトを含んでおり、その一方で、良好な流量を有するいくつかのグラフトは、説明不能ではあるが、なんらの警告をも伴うことなしに、血栓症化するからである。
【0088】
データの分析は、80%の感度において、グラフトを試験するためのFPレートは、34%であることを実証している。血管外科医又は介入する放射線医師による介入を結果的にもたらす多数の評価を生成しないように、低FPレート(グラフの場合に、20%)を維持した。アクセス流量を使用する際に、傾向分析は、アクセス障害の相対的に良好な予測指標でありうることが示唆されている。傾向分析は、相対的に頻繁な流量計測を必要としており、且つ、アクセス流量計測の費用を大幅に増大させる。VAPRTは、それぞれの透析治療ごとにVAPRを算出し、これにより、VAPRTは、傾向分析にとって理想的なものとなる。現在のVAPRTは、月の8度目の治療の後のVAPRの傾向をモデル化している。偽のアラームを極小化するべく、3つで一組のルールが課せられており、これにより、切迫するグラフト障害の警告を引き出すには、>0.55のVAPRを有する3回の連続的な治療が必要とされ、且つ、このルールは、現在、機能障害のリスク状態にあるグラフトを有する患者を識別する際に臨床医を支援するべく、月末報告を生成するために適用されている。すべてのデータの傾向分析がアルゴリズムに含まれている場合には、VAPRT試験を改善することができる。誤った計測を明瞭に排除するべく課せられる時間的な傾向又はデータフィルタに対して相対的に大きな力点を配置することができる。更には、2つ以上の連続した月からのデータの分析により、アクセスの機能異常を検出する能力を増大させることができる。
【0089】
この研究の結果は、VAPRTが、アクセス障害のリスク状態にある透析患者の母集団を識別する有用な非侵襲的スクリーニング試験であることを実証している。このシステムを実装する際の主要なコンポーネントは、必要とされる治療及びラボラトリデータに対するコンピュータアクセスである。血液透析データを分析するためのソフトウェアアルゴリズムは、標準月末報告として、且つ、インターネットに基づいたアクセス可能な血管アクセス監視システムとして、内蔵される。警告状態を有するすべての患者には、フラグが付与され、且つ、任意の場所又は期間について報告を生成するべく、データベーストリガがオンデマンドで利用可能である。警告状態と共に、アクセス介入を追跡することにより、即座のフォローアップとタイムリーな費用節約介入を実現することができる。
【0090】
実施例2
患者の血管系に流体接続されたアクセス針を通じてアクセス圧力を計測するための代替方法が提供される。方法は、膜が、空気の圧力ゲージへの通過を許容しつつ、血液の流れを遮断した状態において、圧力管の一端をアクセス針の管の外側端部に接続するステップを有する。膜は、管を通じた圧力パルス又は発振を抑圧するか又は減衰させる。従って、アクセス針の管を血管系に対して開放した際に、接続されたゲージに加えて、管に流入する血液が圧力管の内部の空気を圧縮し、これにより、圧力パルスが簡単で非電子的な方式によって減衰されている間に、血管系からの圧力がゲージによって読み取られることになる。
【0091】
上述の「膜」は、微細多孔性膜であってもよく、通常は、圧力管内において又はこれに隣接して位置決めされると共にゲージにおいて患者の心血管系からの圧力の脈打つ特性の制動又は減衰を提供する能力を有する微細多孔性ブロック又はプラグである。
【0092】
本発明の一態様によれば、圧力管の内部容積は、アクセス針管の内部容積未満である。この結果、圧力の読取りに伴って空のアクセス針管に進入する加圧された血液は、膜レベルまで完全に進行することなしに、管内の初期空気の圧縮のみならず、圧力ゲージ内の空気の残留容積により、停止する。これは、それぞれの端部にコネクタを有する圧力管を設けることにより、実現することが可能であり、この管は、通常の曲がりやすい管からの低減された直径の単一の管腔を有しており、この管腔直径は、通常、管の外径の約3分の1を上回ってはいない。従って、圧力管の内部容積は、圧力管の長さが第1チューブの長さを上回っている場合にも、第1チューブの内部容積未満であることが可能であり、この状況は、圧力ゲージを便利に保持すると共に圧力ゲージをほぼ患者の心臓のレベルにおいて位置決めし、且つ、圧力ゲージを容易に読み取るべく、且つ、更には、圧力ゲージが接続及び操作されるのに伴って患者のアクセスに対するアクセス針の接続が妨げられる可能性を低減するべく、十分なチューブの長さが存在するようにするのに好ましい。
【0093】
圧力管を定義しているセットは、バクテリアの通過を防止する能力を有する微細多孔性部材を担持してもよい。これは、必要に応じて、圧力管を通じた圧力発振を抑制することによって圧力パルスを減衰させる上述の微細多孔性プラグの上方の又はその上部の第2微細多孔性部材であってもよい。従来の0.2ミクロンのバクテリアフィルタを使用することができる。これは、市販の材料による流れの遮断及び無菌状態の両方を独自に提供する。
【0094】
或いは、この代わりに、微細多孔性部材は、従来の0.2ミクロンのバクテリアフィルタに類似したバクテリア遮断能力を有するプラグであってもよい。又、膜タイプのバクテリアフィルタは、ゲージの読取りを促進するために、圧力管を通じた圧力パルスの望ましい減衰を提供するべく十分に小さい孔を有することもできる。
【0095】
又、必要に応じて、圧力管は、通常、非無菌状態の圧力ゲージに対する接続によるバクテリア汚染から患者を保護するために、必要に応じて、バクテリア遮断フィルタ膜のみが提供されるように、多孔性プラグに対するニーズを伴うことなしに、管を通じた望ましい圧力パルスの減衰を提供するための十分な狭さと長さを有する孔を有することもできる。
【0096】
装置の更なる発展形は、圧力計測値を計測及び記録するハンドヘルド型マイクロプロセッサによって制御された装置による圧力ゲージの置換を含む。装置内のアルゴリズムにより、既定のサンプリング期間における平均圧力を算出する。又、装置は、個々の患者情報を呼び出すと共に現在の圧力計測値を患者のデータベースレコード内において記録するべく、コンピュータデータベースを収容している。装置からのデータは、通信ポートを介して、相対的に広範な患者データベースを有する相対的に大きなコンピュータシステムに転送することができる。
【0097】
実施例3
この例は、血液流量(Qb)が式(3)においてゼロに等しいケースを実証している。静脈ドリップチャンバと患者のアクセス部位のレベルの間の高さの差について補正するべく必要とされる定数項(式(3)の−17.32509)を3つの異なる透析装置について算出し、且つ、システムの有効性を実証するべく、臨床データを評価した。
【0098】
平均動脈血圧(MAP)によって正規化された静脈アクセス内圧力(VAP)の計測は、静脈出口の狭窄の検出を促進し、且つ、アクセスの血液流量と相関している。VAP/MAPの一般的な使用は、時間及び空間的な機器の費用によって制限されている。ベルヌーイの式は、VAP(PTとして外部トランスデューサによって記録されるもの)とゼロの血液ポンプ流量における静脈ドリップチャンバ圧力(VDP)の間の差を関係付けており、計測サイトと流体密度の間の高さの差(ΔH)は、高さの差ΔPH−VAP−VDPに起因した圧力を判定する。従って、これらは、3つの異なる透析装置のうちの1つをそれぞれが使用する6つの異なる透析ユニットにおける相関されたVDP及びPT計測値であった。動的(即ち、血流を伴う)圧力と静的圧力の両方を計測した。平均血圧の変化、ゼロ較正誤差、及びトランスデューサとドリップチャンバの間の静水力学的高さが、ΔPH=−1.6+0.74*ΔH(r=0.88、p<0.001)により、VDPの変動の90%を占めていることを検証研究が示している。静的VAP/MAPの主要な決定因子は、アクセスタイプ及び静脈流出の問題であった。グラフトにおいては、流量は、VAP/MAP>0.5の場合に、555±45mL/分と平均化され、且つ、VAP/MAP<0.5の場合に、1229±112mL/分と平均化された。ΔPHは、6つの中心の間において、9.4から17.4mmHgに変化しており、且つ、ドリップチャンバと透析椅子のアームレストの間のΔHと関係付けられている。PT及びVDP+PHから算出されたVAP/MAPの値の間における一致が優れていた。適切なΔPHによって補正された静的VDP計測値を使用することにより、狭窄について補綴ブリッジグラフトを遠近法によって監視することができると結論付けられた。
【0099】
本出願の全体を通じて、米国特許を含む様々な刊行物が、著者及び年度により、引用され、且つ、特許が、番号により、引用されている。引用されたすべての刊行物が以下に列挙されている。本発明が属する技術分野の状態について更に十分に記述するべく、これらの刊行物及び特許の開示内容は、そのすべてが、引用により、本出願に包含される。
【0100】
例示用の実施形態について記述されているが、これらの実施形態は、本発明のすべての可能な形態を記述することを意図したものではない。むしろ、本明細書において使用されている言葉は、限定ではなく、説明を目的とした言葉であり、且つ、本発明の精神及び範囲を逸脱することなしに、様々な変更が実施されてもよいことを理解されたい。更には、様々な実装する実施形態の特徴を組み合わせることにより、本発明の更なる実施形態を形成してもよい。
【0101】
参考文献
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