【実施例】
【0015】
図面を参照して、実施例の電子部品装着機10について説明する。電子部品装着機10は、回路基板2に電子部品4を装着する装置である。電子部品装着機10は、表面実装機やチップマウンタとも称される。電子部品装着機10は、はんだ印刷機、他の電子部品装着機及び基板検査機といった他の基板作業機とともに併設され、一連の装着ラインを構成する。
【0016】
図1、
図2に示すように、電子部品装着機10は、複数の部品フィーダ12を備える。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容しており、電子部品4を順次供給する。なお、部品フィーダ12の構成は特に限定されない。例えば、部品フィーダ12は、巻テープに複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダであってもよいし、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダであってもよい。複数の部品フィーダ12は、X方向に沿って配列されている。
【0017】
電子部品装着機10は、装着ヘッド14とヘッド移動装置16とを備える。装着ヘッド14は、複数のノズル6を有しており、各々のノズル6において電子部品4を吸着保持することができる。装着ヘッド14は、各々のノズル6を上下方向に移動することによって、部品フィーダ12が供給する電子部品4を取り上げる。ヘッド移動装置16は、二軸のロボットであり、部品フィーダ12及びその他の構成装置に対して、装着ヘッド14をX方向及びY方向に移動させる。装着ヘッド14は、ヘッド移動装置16によって、部品フィーダ12から電子部品4を取り上げる位置と、回路基板2へ電子部品4を装着する位置との間を移動する。なお、ヘッド移動装置16の構成は特に限定されず、例えば複数の関節を有するアーム式のロボットであってもよい。
【0018】
電子部品装着機10は、基板搬送装置18と基板センサ20とを備える。基板搬送装置18は、回路基板2を搬送する装置である。回路基板2は、基板搬送装置18によって、装着ヘッド14の可動範囲内である所定の位置に搬入され、予定された電子部品4が装着された後、基板搬送装置18によって、電子部品装着機10の外部へ搬出される。本実施例の基板搬送装置18は、ベルトコンベアであるが、基板搬送装置18の構成は特に限定されない。本明細書では便宜上、基板搬送装置18の搬送方向をX方向とし、当該搬送方向に垂直な方向をY方向とし、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向としている。X方向とY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。基板センサ20は、基板搬送装置18による回路基板2の搬入及び搬出を検出する。
【0019】
図3に示すように、電子部品装着機10は、負圧供給装置50を備えている。負圧供給装置50は、真空ポンプ30とポンプドライバ40とを備えている。真空ポンプ30は、管路32を通じて、装着ヘッド14の各々のノズル6に接続されており、各々のノズル6に電子部品4を吸着するための負圧を供給する。真空ポンプ30は、原動機として、直流式のモータ30aを備えている。ポンプドライバ40は、真空ポンプ30に供給する電力を調整する。ポンプドライバ40の構成は特に限定されない。
【0020】
一例ではあるが、本実施例におけるポンプドライバ40は、スイッチング素子42と平滑回路44とを備えており、スイッチング素子42のオンオフをPWM制御することによって真空ポンプ30(正確にはモータ30a)に印加する電圧を調整し、それによって真空ポンプ30に供給する電力を調整する。
【0021】
図4は、ポンプドライバ40が用いるPWM制御波形の一例を示す。詳しくは後述するが、本実施例の電子部品装着機10は、真空ポンプ30の運転モードを、通常運転と節電運転との間で切り替えることができる。通常運転では、ポンプドライバ40は、
図4の波形S1を用いて、スイッチング素子42を断続的にターンオンする。一方、節電運転では、ポンプドライバ40は、
図4の波形S2を用いて、スイッチング素子42を断続的にターンオンする。
図4から明らかなように、通常運転よりも節電運転の方が、デューティ比(スイッチング素子42がオンする期間の割合)は小さくなる。その結果、
図5に示すように、真空ポンプ30に印加される電圧についても、通常運転(V1)よりも節電運転(V2)の方が、小さくなる。
【0022】
図3に戻り、負圧供給装置50はさらに、第1圧力スイッチ51と、第2圧力スイッチ52と、第3圧力スイッチ53とを備えている。これらの圧力スイッチ51〜53は、真空ポンプ30によって装着ヘッド14に供給される負圧を監視するためのセンサである。第1圧力スイッチ51は、真空ポンプ30による負圧の大きさ(大気圧との差の絶対値)が第1閾値を上回るとオンし、真空ポンプ30による負圧の大きさが第1閾値を下回るとオフする。同様に、第2、第3圧力スイッチ52、53は、真空ポンプ30による負圧の大きさが第2閾値、第3閾値をそれぞれ上回るとオンし、真空ポンプ30による負圧の大きさが第2閾値、第3閾値をそれぞれ下回るとオフする。ここで、第1閾値は第2閾値よりも大きく、第2閾値は第3閾値よりも大きい。即ち、第1閾値>第2閾値>第3閾値である。なお、ここでいう「負圧の大きさ」とは、大気圧との差の絶対値を意味する。即ち、「負圧の大きさ」が大きいときほど、絶対圧は小さくなることを意味する。
【0023】
次に、
図6を参照して、電子部品装着機10の電気的な構成について説明する。
図6に示すように、電子部品装着機10は制御装置60を備える。制御装置60は、予め記憶している動作プログラムに基づいて、複数の部品フィーダ12、装着ヘッド14、ヘッド移動装置16、基板搬送装置18、ポンプドライバ40といった、電子部品装着機10の各部の動作を制御する。それにより、回路基板2に一又は複数の電子部品4を装着するための一連の動作を実行する。また、
図6に示すように、基板センサ20及び第1〜第3圧力スイッチ51〜53は制御装置60に接続されており、それらの出力信号が制御装置60へ入力される構成となっている。
【0024】
電子部品装着機10が実行する一連の動作について簡単に説明する。先ず、基板搬送装置18が回路基板2を所定の位置へ搬入する。それと並行して、装着ヘッド14は、部品フィーダ12から一又は複数の電子部品4を吸着保持する。装着ヘッド14が電子部品4の吸着保持を完了すると、ヘッド移動装置16が装着ヘッド14を回路基板2に向けて移動する。装着ヘッド14は、回路基板2の上方からノズル6を下降させ、回路基板2上に電子部品4を装着する。装着ヘッド14は、部品フィーダ12と回路基板2との間を繰り返し往来し、部品フィーダ12からの電子部品4を回路基板2へ装着する動作を繰り返す。回路基板2に予定された全ての電子部品4が装着されると、回路基板2は基板搬送装置18によって機外へ搬出される。回路基板2の搬出後、基板搬送装置18は、次の回路基板2を搬入する。
【0025】
上記した一連の動作において、例えば同じ生産ラインに配置された他の装置の遅れにより、基板搬送装置18が回路基板2の搬入を時間通りに完了できないときがある。このような場合、電子部品装着機10は、装着ヘッド14が一又は複数の電子部品4の吸着を完了した後に、基板搬送装置18が回路基板2の搬入を完了するまで、一連の動作を中断する。このとき、本実施例の電子部品装着機10は、真空ポンプ30による消費電力を抑制するために、真空ポンプ30の節電運転を実行することができる。
【0026】
図7を参照して、真空ポンプ30の節電運転について説明する。
図7は、真空ポンプ30の節電運転に関して、制御装置60が実行する処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、制御装置60は、装着ヘッド14が電子部品4の吸着を完了する一方で(S12でYES)、基板搬送装置18が回路基板2の搬入を完了していない場合(S14でYES)、ヘッド移動装置16の動作を停止する(S16)。その結果、基板搬送装置18による回路基板2の搬入が完了するまで、電子部品装着機10は一連の動作を中断し、装着ヘッド14は一又は複数の電子部品4を吸着保持したまま静止する。装着ヘッド14が静止しているので、ノズル6に供給される負圧の大きさが比較的に小さくても、各々のノズル6は電子部品4を吸着保持し続けることができる。従って、制御装置60は、ポンプドライバ40に指令を与え、真空ポンプ30の節電運転を開始する(S18)。前述したように、真空ポンプ30の節電運転では、通常運転よりも、真空ポンプ30に印加される電圧が小さくなり、それによって、真空ポンプ30に供給される電力が削減される。
【0027】
なお、制御装置60は、節電運転を開始する前に(即ち、S18の前に)、第1圧力スイッチ51の出力信号を確認してもよい。第1圧力スイッチ51がオンのときは、真空ポンプ30による負圧が第1閾値を超えているので、真空ポンプ30の節電運転を開始しても、真空ポンプ30による負圧が直ちに不足することはない。従って、制御装置60は、第1圧力スイッチ51がオンのときに、即ち、真空ポンプ30による負圧が第1閾値を超えているときに、真空ポンプ30の節電運転を開始してもよい。
【0028】
真空ポンプ30の節電運転が開始されると、真空ポンプ30による負圧の大きさが徐々に低下することがある。そこで、制御装置60は、第2圧力スイッチ52がオフとなったときに(S20でYES)、ポンプドライバ40へ指令を与えて、真空ポンプ30の通常運転を開始する(S22)。即ち、負圧の大きさが第2閾値を下回ったときは、真空ポンプ30の節電運転が中断される。その後、制御装置60は、第1圧力スイッチ51がオンとなったときに(S24でYES)、真空ポンプ30の節電運転を再開する(S18)。即ち、負圧の大きさが第1閾値を上回るレベルまで回復すると、真空ポンプ30の節電運転が再開される。このような構成によると、負圧の大きさを適正範囲に維持しながら、真空ポンプ30の節電運転を適切に実行することができる。
【0029】
なお、制御装置60は、通常運転中と節電運転中のいずれであっても、第3圧力スイッチ53がオフとなったときは、真空ポンプ30による負圧が異常に低下していると判断して、一連の動作を中止する。このような場合は、真空ポンプ30又はそれに関連する部分に、異常が生じていると推定されるためである。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0031】
上記した実施例では、真空ポンプ30による負圧の大きさに応じて、真空ポンプ30の節電運転を中断及び再開する。それに対して、
図8に示すように、制御装置60は、タイマによる計測時間に応じて、真空ポンプ30の節電運転を中断及び再開してもよい。即ち、制御装置60は、真空ポンプ30の節電運転を開始してから第1所定時間後に(S120でYES)、節電運転を中断してもよい(S22)。また、制御装置60は、当該節電運転を中断してから第2所定時間後に(S124でYES)、真空ポンプ30の節電運転を再開してもよい。なお、制御装置60は、真空ポンプ30による負圧の大きさと、タイマによる計測時間との両者に応じて、真空ポンプ30の節電運転を中断及び再開してもよい。
【0032】
制御装置60は、真空ポンプ30の節電運転について、異なる態様の節電運転を選択的に実行可能であることも好ましい。例えば、制御装置60は、通常運転と、第1態様の節電運転と、第1の節電運転よりも電力供給の少ない第2態様の節電運転とを、選択的に実行可能であってもよい。この場合、制御装置60は、装着ヘッド14が吸着している電子部品4の数と種類の少なくとも一方に基づいて、第1態様の節電運転と第2態様の節電運転とのいずれかを選択的に実行することが好ましい。
【0033】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。