特許第6204500号(P6204500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204500
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】単結晶成長装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/14 20060101AFI20170914BHJP
   C30B 29/20 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C30B15/14
   C30B29/20
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-555091(P2015-555091)
(86)(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公表番号】特表2016-504266(P2016-504266A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】KR2013011886
(87)【国際公開番号】WO2014115969
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0007353
(32)【優先日】2013年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0148984
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511097289
【氏名又は名称】エルジー・シルトロン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】リー,チャン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ド ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジュン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョル ホワン
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−301581(JP,A)
【文献】 特開平11−189487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバーの内部に設けられ、単結晶成長原料である溶融液を収容する坩堝と、
前記坩堝と前記チャンバーの側壁との間に配置され、前記坩堝を加熱する発熱体と、
前記坩堝の上端に配置される坩堝スクリーンと、
を備え、
前記坩堝スクリーンは、前記坩堝中に収容されている前記溶融液から発生する輻射熱を前記坩堝の内部側壁に反射する折り曲げ部を有し、
前記坩堝スクリーンは、中央に開口部を有する円板状であり、
外周面に隣接し、前記坩堝の上端によって支持される外側部分、及び内周面に隣接し、前記折り曲げ部を有する内側部分を含み、
前記外側部分の下面を基準に、前記内側部分の下面は前記坩堝に向かう方向に傾斜し、前記内側部分は、前記内周面から前記外周面に向かって厚さが減少している、
単結晶成長装置。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、前記坩堝スクリーンの一部が前記坩堝に向かう方向に折り曲がっている部分である、請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項3】
前記坩堝スクリーンは、前記坩堝の上端と接触し、前記坩堝の上端によって支持されている、請求項1または2に記載の単結晶成長装置。
【請求項4】
前記内側部分は、前記外側部分を基準に、前記坩堝に向かう方向に折り曲がっている、請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項5】
前記内側部分の上面と前記外側部分の上面は互いに平行であり、同一平面をなす、請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項6】
前記坩堝スクリーン上に配置される少なくとも一つの上部断熱材をさらに備え、
前記少なくとも一つの上部断熱材は、複数の層が積層された構造である、請求項1に記載の単結晶成長装置。
【請求項7】
チャンバーと、
前記チャンバーの内部に設けられ、単結晶成長原料である溶融液を収容する坩堝と、
前記坩堝の上端に配置され、前記坩堝中に収容されている前記溶融液から発生する輻射熱を前記坩堝の内部側壁に反射する折り曲げ部を有する反射部と、
前記反射部上に配置され、前記溶融液の表面から放出される輻射熱を前記溶融液に反射させる坩堝スクリーンと、
を備える、単結晶成長装置。
【請求項8】
前記反射部は、中央に開口部を有する円板状である、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項9】
前記反射部は、
前記坩堝スクリーンを支持する支持部と、
前記支持部から折り曲がっており、前記溶融液から発生する輻射熱を前記坩堝の内部側壁に反射する折り曲げ部と、を有する、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項10】
前記支持部は、一端が前記坩堝スクリーンの下部面の周縁と接触し、他端は、前記坩堝の上端と接触する、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項11】
前記折り曲げ部の長さは、前記坩堝スクリーンの半径の長さよりも短い、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項12】
前記反射部の長さは、前記支持部の高さをcosθ1で割った値より小さい又は等しく、θ1は、前記折り曲げ部と前記支持部とがなす角度であることを特徴とする、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項13】
前記折り曲げ部の上面は、前記坩堝スクリーンの下部面と接触し、前記折り曲げ部の上面を基準に、前記折り曲げ部の下面は傾斜している、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項14】
前記折り曲げ部は、前記支持部と接する境界面から先端に向かって厚さが増加する、請求項13に記載の単結晶成長装置。
【請求項15】
前記反射部は、モリブデンからなる、請求項に記載の単結晶成長装置。
【請求項16】
前記坩堝スクリーン上に配置される少なくとも一つの上部断熱材をさらに備え、
前記少なくとも一つの上部断熱材は、複数の層が積層された構造である、請求項に記載の単結晶成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
単結晶を成長させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サファイア単結晶を成長する代表的な技術には、チョクラルスキー(Czochralski)方法及びカイロポーラス(Kyropulous)方法がある。カイロポーラス方法は、坩堝に原料を充填し、融点以上に加熱した後、適度なシーディング(seeding)温度で、上部に位置する種結晶を坩堝中の溶融液に接触させてシーズニング(seasoning)を形成し、一定の勾配でパワー(power)を減少させながら成長に必要な温度勾配を維持し、ボディー(body)を成長させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実施例は、単結晶の横成長時に発生するサイドスティッキング(side sticking)を抑制することができる単結晶成長装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施例に係る単結晶成長装置は、チャンバーと、前記チャンバーの内部に設けられ、単結晶成長原料である溶融液を収容する坩堝と、前記坩堝と前記チャンバーの側壁との間に配置され、前記坩堝を加熱する発熱体と、前記坩堝の上端に配置される坩堝スクリーンとを備え、前記坩堝スクリーンは、前記坩堝中に収容されている前記溶融液から発生する輻射熱を前記坩堝の内部側壁に反射する折り曲げ部を有することができる。
【0005】
前記折り曲げ部は、前記坩堝スクリーンの一部が前記坩堝に向かって折り曲がっている部分であってもよい。
【0006】
前記坩堝スクリーンは、前記坩堝の上端と接触し、前記坩堝の上端に支持されてもよい。
【0007】
前記坩堝スクリーンは、中央に開口部を有する円板状であってもよく、前記坩堝スクリーンは、外周面に隣接し、前記坩堝の上端によって支持される外側部分、及び内周面に隣接し、前記折り曲げ部を有する内側部分を含むことができる。
【0008】
前記外側部分の下面を基準に、前記内側部分の下面は前記坩堝に向かう方向に傾斜していてもよい。
【0009】
前記内側部分は、前記外側部分を基準に、前記坩堝に向かう方向に折り曲がってもよい。前記内側部分の厚さは前記外側部分の厚さと同一であってもよい。
【0010】
前記内側部分は、前記内周面から前記外周面に向かって厚さが減少してもよい。
【0011】
前記内側部分の上面と前記外側部分の上面は互いに平行であり、同一平面を成してもよい。
【0012】
前記単結晶成長装置は、前記坩堝スクリーン上に配置される少なくとも一つの第1上部断熱材をさらに備えることができ、前記第1上部断熱材は、複数の層が積層された構造であってもよい。
【0013】
他の実施例に係る単結晶成長装置は、チャンバーと、前記チャンバーの内部に設けられ、単結晶成長原料である溶融液を収容する坩堝と、前記坩堝の上端に配置され、前記坩堝中に収容されている前記溶融液から発生する輻射熱を前記坩堝の内部側壁に反射する折り曲げ部を有する反射部と、前記反射部上に配置され、前記溶融液の表面から放出される輻射熱を前記溶融液に反射させる坩堝スクリーンとを備える。
【0014】
前記反射部は、中央に開口部を有する円板状であってもよい。
【0015】
前記反射部は、前記坩堝スクリーンを支持する支持部、及び前記支持部から折り曲がっており、前記溶融液から発生する輻射熱を前記坩堝の内部側壁に反射する折り曲げ部を有することができる。
【0016】
前記支持部は、一端が前記坩堝スクリーンの下部面の周縁と接触し、他端は前記坩堝の上端と接触してもよい。
【0017】
前記折り曲げ部の長さは、前記坩堝スクリーンの半径の長さより短くてもよい。
【0018】
前記反射部の長さは、前記支持部の高さをcosθ1で割った値より小さい又は等しく、θ1は、前記折り曲げ部と前記支持部とがなす角度であってもよい。
【0019】
前記折り曲げ部の上面は、前記坩堝スクリーンの下部面と接触してもよく、前記折り曲げ部の上面を基準に、前記折り曲げ部の下面は傾斜していてもよい。
【0020】
前記折り曲げ部は、前記支持部と接する境界面から先端に向かって厚さが増加してもよい。
【0021】
前記反射部は、モリブデンで形成することができる。
【0022】
前記単結晶成長装置は、前記坩堝スクリーン上に配置される少なくとも一つの上部断熱材をさらに備えることができ、前記上部断熱材は、複数の層が積層された構造であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
実施例は、サイドスティッキング(side sticking)を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例に係る単結晶成長装置を示す図である。
図2a図2aは、図1に示した坩堝スクリーンの平面図である。
図2b図2bは、図2aに示した坩堝スクリーンをAB方向に切断した断面図である。
図3図3は、一般的な坩堝スクリーンの構造を示す図である。
図4図4は、実施例に係る坩堝スクリーン構造によるサイドスティッキングの防止を説明するための概念図である。
図5図5は、他の実施例に係る単結晶成長装置に追加されるスペーサを示す図である。
図6図6は、図5に示したスペーサの配置を示す図である。
図7図7は、他の実施例に係る第1上部断熱材の断面図である。
図8図8は、他の実施例に係る単結晶成長装置を示す図である。
図9図9は、図8に示した反射部の平面図である。
図10図10は、図9に示した反射部をAB方向に切断した断面図である。
図11図11は、図8に示した反射部によるサイドスティッキングの防止を説明するための概念図である。
図12図12は、他の実施例に係る反射部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施例は、添付の図面及び実施例に関する説明から明らかになるだろう。実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターン又は構造物が、基板、各層(膜)、領域、パッド又はパターンの「上/上部(on)」に又は「下/下部(under)」に形成されると記載される場合において、「上/上部(on)」と「下/下部(under)」は、「直接に(directly)」形成される場合も、「他の層を介在して(indirectly)」形成される場合も含む。また、各層の上/上部又は下/下部は図面を基準にして説明する。
【0026】
図面で、大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張又は省略されたり、又概略的に示される。また、各構成要素の大きさは、実際の大きさを必ずしも反映しない。また、同一の参照番号は、図面の説明を通じて同一の要素を指す。以下、添付の図面を参照しつつ、実施例に係る単結晶成長装置を説明する。
【0027】
図1は、実施例に係る単結晶成長装置100を示す。図1を参照すると、単結晶成長装置100は、チャンバー(chamber)101、坩堝(crucible)110、坩堝支持台120、発熱体(heater)130、側部断熱材135、下部断熱材140、上部断熱材150、及び移送手段170を備える。
【0028】
チャンバー101は、単結晶Iを成長させる成長環境を提供する空間とすることができる。
【0029】
坩堝110は、チャンバー101の内部に設けられ、単結晶を成長させるための原料溶融液を収容することができる。坩堝110の材質はタングステンであってもよいが、これに限定されない。
【0030】
坩堝支持台110は、坩堝110の下部に配置され、坩堝110を支持することができる。坩堝支持台110は、熱伝導性及び耐熱性に優れ、熱膨張率が低いため、熱に変形しにくく、熱衝撃に強い材質、例えば、モリブデンで形成することができるが、これに限定されない。
【0031】
発熱体130は、坩堝110の外周面から一定間隔離隔するようにチャンバー101の内部に設けることができる。発熱体130は坩堝110を加熱することができる。発熱体130は、タングステンで形成することができるが、これに限定されない。
【0032】
発熱体130は、坩堝110の側面及び下面を取り囲むように配置されているが、これに限定されず、坩堝110の側面の周囲にのみ配置されてもよい。
【0033】
発熱体130は坩堝110を加熱することができ、発熱体130の加熱によって、坩堝110中に収容された高純度の多結晶の塊は溶融しうる。
【0034】
側部断熱材135は坩堝110の側部に配置されており、チャンバー101中の熱がチャンバー101の側部から放出されることを防ぐことができる。
【0035】
例えば、側部断熱材135は、発熱体130とチャンバー101側壁との間に位置して、発熱体130の熱がチャンバー101の外部に放出されないように遮断することができる。
【0036】
下部断熱材140は、坩堝110の下部に配置されており、チャンバー101中の熱がチャンバー101の下部から放出されることを防ぐことができる。例えば、下部断熱材140は、発熱体130とチャンバー101の底との間に位置して、発熱体130の熱がチャンバー101の底から放出されないように遮断することができる。
【0037】
上部断熱材150は、坩堝110の上部に配置されており、坩堝110の上部から熱が放出されないように遮断することができる。
【0038】
移送手段170は、成長する単結晶を支持し、且つ成長する単結晶を上昇又は下降させることができる。
【0039】
移送手段170は、坩堝110の上部に配置されており、一端には種子結晶162が固定されるシード連結部172、及びシード連結部172の一端と連結され、シード連結部172を上昇又は下降させる昇降部174を有することができる。シード連結部172はシャフト(shaft)タイプであってもよい。
【0040】
上部断熱材150は、成長する単結晶Iに整列又は対応する開口部190を中央に有することができる。
【0041】
上部断熱材150は、坩堝110内の溶融液(M)から発生する輻射熱を坩堝110の内部側壁に反射する折り曲げ部219(図2a及び図2b参照)を有することができる。坩堝スクリーン152の折り曲げ部219(図2a及び図2b参照)は、上部断熱材150の一部が内側方向又は坩堝110の方向に折り曲がっている部分であってもよい。
【0042】
上部断熱材150は、坩堝スクリーン152、第1上部断熱材154、及び第2上部断熱材156を有することができる。
【0043】
坩堝スクリーン152は、坩堝110の上端に配置され、坩堝110の上端に支持されてもよい。坩堝スクリーン152は、断熱効果に優れたモリブデン(Molybden)、又はタングステン(W)からなる単一層であってもよい。坩堝スクリーン152の厚さは、5mm〜10mmであってもよい。
【0044】
坩堝スクリーン152は、坩堝110中の溶融液(M)から発生する輻射熱を坩堝110の内部側壁に反射する折り曲げ部を有することができる。
【0045】
第1上部断熱材154は、坩堝スクリーン152の上部に配置され、第2上部断熱材156は第1上部断熱材154の上部に配置されてもよい。第1上部断熱材154、及び第2上部断熱材156は、断熱効果を向上させるために複数の層が積層された構造であってもよく、隣接する層の間にはエアーギャップ(air gap)が設けられてもよい。
【0046】
例えば、第1及び第2上部断熱材154,156はそれぞれ、最下端に位置する第1層及び第1層上に積層される複数の第2層を有することができる。第1層はタングステンで形成され、第2層はモリブデンで形成されてもよい。断熱効果を向上させるために、第2上部断熱材156に含まれる第2層の数は、第1上部断熱材154に含まれる第2層の数より多くてもよい。第1及び第2上部断熱材154,156は、発熱体130の上端に支持されてもよいが、これに限定されない。坩堝スクリーン152、第1上部断熱材154、及び第2上部断熱材156はそれぞれ、成長した単結晶Iに整列又は対応する開口部190を有することができる。成長する単結晶Iは開口部190を通して出入りしてもよいが、これに限定されない。
【0047】
図2aは、図1に示した坩堝スクリーン152の平面図であり、図2bは、図2aに示した坩堝スクリーン152をAB方向に切断した断面図である。
【0048】
図2a及び図2bを参照すると、坩堝スクリーン152は、坩堝110中の溶融液Mから発生する輻射熱を坩堝110の内部側壁に反射する折り曲げ部219を有することができる。折り曲げ部219は、坩堝スクリーン152の一部が坩堝110に向かって折り曲がっている部分であってもよい。
【0049】
坩堝スクリーン152は、中央に開口部190−1を有する円板状であってもよく、外周面208から第1距離a1以内の領域である外側部分218、及び内周面207から第2距離a2以内の領域である内側部分219を有することができる。
【0050】
外周面208と内周面207との間に位置する内側部分219の一端は、外周面208と内周面207との間に位置する外側部分218の一端に接してもよい。
【0051】
坩堝スクリーン152の外側部分218の一端は、坩堝110の上端に支持されてもよい。
【0052】
坩堝スクリーン152の内側部分219は、外側部分218を基準に、坩堝110に向かう方向に一定の角度θで折り曲がっている折り曲げ部を有することができる。
【0053】
坩堝スクリーン152の外側部分218の下面411を基準に、内側部分219の下面412は坩堝110の方向に一定の角度θで傾斜してもよい。また、外側部分218の上面422を基準に、内側部分219の上面422は一定の角度θで傾斜してもよい。すなわち、図2bでは、内側部分219の全体が折り曲げ部であってもよい。内側部分219の厚さは外側部分219の厚さと同一であってもよい。
【0054】
外側部分218の幅a1と内側部分a2の幅との比率は1:2であってもよく、角度θは5゜〜10゜であってもよい。
【0055】
一般に、単結晶の成長過程において、単結晶の横成長速度と溶融液の表面が低くなる速度によって、サイドスティッキング(side sticking)が発生しうる。
【0056】
サイドスティッキングとは、単結晶が横成長するにつれて、坩堝の温度変化によって坩堝の内壁に多結晶物質が形成され、このような多結晶物質に、成長した単結晶がくっつくことをいう。多結晶物質は、坩堝中の残留溶融液、又は溶融液から蒸発した物質が、温度の低くなった坩堝の内壁に固化しながら形成されうる。単結晶の横成長速度が速く、溶融液の表面が低くなる速度が遅くなる場合にサイドスティッキングが発生しうる。
【0057】
発熱体から坩堝に供給される熱のバランスが取れない場合又はシード(seed)と溶融液の対流点間の整列が歪む場合にも、サイドスティッキングか発生しうる。サイドスティッキングが発生すると、所望する品質の単結晶を成長させることができず、単結晶を坩堝からリフトオフ(LIFT OFF)する際、単結晶が破損したり、単結晶にクラック(CRACK)が発生しうる。
【0058】
図3に、一般的な坩堝スクリーン10の構造を示す。
【0059】
図3を参照すると、一般に、坩堝110の上端に配置される坩堝スクリーン10は、溶融液Mの表面301と平行な構造を有する。このような坩堝スクリーン10の構造では、溶融液Mの表面301から放出される輻射熱302を溶融液Mに反射することができ、坩堝スクリーン10は単に断熱の役割しか果たすことができない。図3に示した坩堝スクリーン10の構造の下では、上述した理由から発生するサイドスティッキング20を防止することができない。
【0060】
図4は、実施例に係る坩堝スクリーン152構造によるサイドスティッキングの防止を説明する概念図である。
【0061】
図4を参照すると、実施例に係る坩堝スクリーン152は、内側部分219が一定の角度θで折り曲がっている構造を有するため、溶融液Mの表面301から放出される輻射熱302が坩堝110の内壁に反射され、これによって、坩堝110内側の温度を上昇させることができる。
【0062】
坩堝110内側の温度が上昇すると、坩堝110内に残留する溶融液M、又は溶融液Mから蒸発した物質が固化して坩堝110の内壁に多結晶(poly crystal)20を形成することを防止することができる。したがって、実施例は、溶融液Mの表面が低くなるにつれて坩堝110の温度が下がることを防止し、坩堝110の内壁における多結晶の形成を防止することができ、結果として、サイドスティッキングが発生することを抑制することができる。
【0063】
輻射熱303が到達する坩堝110の内壁の一領域112は、坩堝スクリーン152の内側部分219が折り曲がった角度θによって決定することができる。このため、坩堝スクリーン152の内側部分219の折り曲がった角度θを調節することによって、反射された輻射熱303を、溶融液Mが減少するにつれて露出される坩堝110内壁の一領域112に伝達することができる。そして、伝達される輻射熱303によってサイドスティッキングを抑制することができる。
【0064】
図1に示した実施例では、坩堝スクリーン152の外側部分218が坩堝110の上端に直接支持されているが、他の実施例では、坩堝110の上端と坩堝スクリーン152の外側部分218との間にスペーサ(spacer)を介在してもよい。
【0065】
図5は、他の実施例に係る単結晶成長装置に追加されるスペーサ210−1を示し、図6は、図5に示したスペーサ(210−1乃至210−n、n>1の自然数)の配置を示す図である。
【0066】
図5及び図6を参照すると、坩堝110の上端と坩堝スクリーン152の外側部分218との間に複数のスペーサ(210−1乃至210−n、n>1の自然数)が互いに離隔して配置されてもよい。複数のスペーサ(210−1乃至210−n、n>1の自然数)の間には、坩堝110中のガスが放出され得るような空間が形成されてもよい。複数のスペーサ(210−1乃至210−n、n>1の自然数)の材質はモリブデンであってもよい。
【0067】
図7は、他の実施例に係る坩堝スクリーン710の断面図である。
【0068】
図7を参照すると、坩堝スクリーン710は、外側部分701及び内側部分701で構成されてもよい。
【0069】
坩堝スクリーン710は、中央に開口部を有する円板状であってもよい。
【0070】
坩堝スクリーン710の外側部分701は外周面708から第3距離b1以内の領域であり、内側部分702は内周面707から第4距離b2以内の領域であってもよく、外周面708と内周面707との間に位置する内側部分702の一端は、外周面708と内周面707との間に位置する外側部分701の一端と接してもよい。第3距離b1は第1距離a1と同一であり、第4距離b2は第2距離a2と同一であってもよい。
【0071】
坩堝スクリーン710の内側部分702は外側部分701を基準に、坩堝110に向かう方向に一定の角度θで折り曲がる折り曲げ部を有することができる。
【0072】
坩堝スクリーン710の外側部分701の下面711を基準に、内側部分702の下面712は坩堝110方向に一定の角度θで傾斜してもよい。外側部分701の上面721と内側部分702の上面722は互いに平行であり、面一になってもよい。
【0073】
図7に示す坩堝スクリーン710の内側部分702は、下面712のみが折り曲がっている構造であり、内側部分702の上面は折り曲がっていない。内側部分702は内周面707から外周面708に行くほど厚さが減少してもよい。
【0074】
坩堝スクリーン710は、内側部分702の下面712が傾斜した構造となっているため、溶融液から放出される輻射熱を坩堝110の側壁に反射させることができ、これによって、実施例はサイドスティッキングを抑制することができる。
【0075】
図8は、他の実施例に係る単結晶成長装置200を示す図である。図1と同一の図面符号は同一の構成を示し、同一の構成については説明を簡略にしたり省略する。
【0076】
図8を参照すると、単結晶成長装置200は、チャンバー101、坩堝110、坩堝支持台120、発熱体130、側部断熱材135、下部断熱材140、上部断熱材150−1、反射部160、及び移送手段170を備える。
【0077】
上部断熱材150−1は、坩堝110上に配置され、坩堝110上部から熱が放出されないように遮断することができる。
【0078】
上部断熱材150−1は、坩堝スクリーン(crucible screen)153、第1上部断熱材154、及び第2上部断熱材156を有することができる。
【0079】
図1に示した坩堝スクリーン152は折り曲げ部を有するが、図8に示す坩堝スクリーン153は扁平なリング状であってもよい。
【0080】
反射部160は、坩堝110の上端と坩堝スクリーン153との間に配置され、坩堝110中の溶融液Mから発生する輻射熱を坩堝110の内部側壁に反射する。
【0081】
例えば、反射部160は、坩堝110の上端に接し、坩堝110の上端に支持されてもよく、上部断熱材150−1は反射部160上に配置されてもよい。
【0082】
反射部160及び上部断熱材150−1は、成長する単結晶Iに整列又は対応する開口部390を中央に有することができる。
【0083】
坩堝スクリーン153は、反射部160の上部に配置されてもよく、溶融液Mの表面から放出される輻射熱を再び溶融液Mに反射させる。坩堝スクリーン153は、反射部160によって支持されてもよい。
【0084】
坩堝スクリーン153は、断熱効果に優れたモリブデン(Molybden)、又はタングステン(W)からなる単一層であってもよい。例えば、坩堝スクリーン153の厚さは、5mm〜10mmであるが、これに限定されない。
【0085】
第1上部断熱材154は坩堝スクリーン153の上部に配置され、第2上部断熱材156は第1上部断熱材154の上部に配置されてもよい。
【0086】
坩堝スクリーン153、第1上部断熱材154、及び第2上部断熱材156は、成長する単結晶Iに整列又は対応する開口部390を有することができる。
【0087】
反射部160は、坩堝110中の溶融液Mから発生する輻射熱を坩堝110の内部側壁に反射する折り曲げ部を有することができる。ここで、折り曲げ部は、反射部160の一部が内側方向又は坩堝110の方向に折り曲がっている部分であってもよい。
【0088】
図9は、図8に示した反射部160の平面図であり、図10は、図9に示した反射部160をAB方向に切断した断面図である。
【0089】
図9及び図10を参照すると、反射部160は、中央に開口部390−1を有する円板状、例えば、リング(ring)状であってもよい。
【0090】
反射部160は<坩堝スクリーン153の下部面の周縁と接触し、坩堝スクリーン153を支持する支持部318、及び支持部318から折り曲がっており、坩堝110中の溶融液Mから発生する輻射熱を坩堝110の内部側壁112に反射する折り曲げ部319を有することができる。
【0091】
支持部318は、一端が坩堝スクリーン153の下部面の周縁と接触し、他端は坩堝110の上端と接触してもよい。
【0092】
支持部318の高さHは25mm〜35mmであるが、これに限定されない。支持部318の厚さtは、折り曲げ部319の厚さと同一であるが、これに限定されない。
【0093】
折り曲げ部319は、中央に開口部390−1を有する円板状、例えば、リング状であってもよい。折り曲げ部319の長さL1は、坩堝スクリーン153の半径の長さL2より短くてもよい。このとき、坩堝スクリーン153の半径の長さL2は、開口部390−1を除いた坩堝スクリーン153の半径の長さであってもよい。
【0094】
折り曲げ部319は、支持部318を基準に一定の角度θで傾斜してもよい。折り曲げ部319と支持部318とがなす角度θは、30゜〜45゜であってもよい。
【0095】
反射部160の長さL1は、支持部318の高さHをcosθ1で割った値より小さい又は等しくてもよい(L1≦H/cosθ1)。ここで、θ1は、折り曲げ部319と支持部318とがなす角度であってもよい。
【0096】
反射部160の長さL1がH/cosθ1を超えると、成長する単結晶をプーリング(pulling)できる距離が減少するため、成長した単結晶を坩堝110から分離するリフトオフ工程が不可能になりうる。
【0097】
反射部160は、熱伝導性及び耐熱性に優れ、熱膨張率が低いため、熱に変形しにくく、熱衝撃に強い材質、例えば、モリブデンで形成することができるが、これに限定されない。
【0098】
一般に、単結晶の成長過程において単結晶の横成長速度と溶融液の表面が低くなる速度によって、サイドスティッキング(side sticking)が発生しうる。例えば、単結晶の横成長速度が速く、溶融液の表面が低くなる速度が遅くなる場合にサイドスティッキングが発生しうる。また、発熱体から坩堝に供給される熱のバランスが取れない場合又はシード(seed)と溶融液の対流点間の整列が歪む場合にもサイドスティッキングが発生しうる。
【0099】
このようなサイドスティッキングが発生すると、単結晶にクラックができ、所望する品質の単結晶を成長させることができず、収率が減少し、サイドスティッキングを除去しなければならず、単結晶成長時間が増加しうる。
【0100】
図11は、図8に示した反射部160によるサイドスティッキングの防止を説明するための概念図を示す。
【0101】
図11を参照すると、反射部160の折り曲げ部319によって、溶融液Mの表面401から放出される輻射熱402を坩堝110の内壁112に反射することができる。
【0102】
折り曲げ部319によって坩堝110の内壁に反射される熱403は、坩堝110内壁112又は坩堝110内側の温度を上昇させることができる。坩堝110内壁112又は坩堝110内側の温度が上昇すると、坩堝110内壁に多結晶(poly crystal)21が形成されることを防止することができる。
【0103】
したがって、実施例は、反射部160によって反射される輻射熱が、溶融液Mの表面が低くなるにつれて坩堝110の温度が下がることを防止することから、坩堝110の内壁に多結晶が形成されることを防止することができ、よって、サイドスティッキングの発生を抑制することができる。
【0104】
輻射熱403が到達する坩堝110の内壁112の範囲は、折り曲げ部319の長さL1、及び折り曲がった角度θ1によって決定することができ、サイドスティッキングの発生を抑制することができる。
【0105】
図5に示したスペーサ210−1乃至210−6間の空間から、溶融液Mの表面301から放出される輻射熱302及び坩堝110の内壁に反射される熱303が漏れることがあり、これにより、単結晶の異常成長が発生したり、サイドスティッキング防止効果が低減したりしうる。
【0106】
しかしながら、図11に示す反射部160は、坩堝スクリーン153と坩堝110の上端間の空間を密閉しているため、反射部160は溶融液Mの表面401から放出される輻射熱402及び坩堝110の内壁に反射される熱403が、坩堝スクリーン153と坩堝110上端との間の空間から漏れることを防ぐことができる。図1に比べて、図11に示す実施例の方が、サイドスティッキングをより效率的に防止することができる。
【0107】
図12に、他の実施例に係る反射部160−1を示す。
【0108】
図10と同一の図面符号は同一の構成を表し、同一の構成については説明を簡略にしたり省略する。
【0109】
図12を参照すると、反射部160−1は、支持部318及び折り曲げ部319−1を有することができる。
【0110】
図12に示す折り曲げ部319−1は、外周面308から内周面307の方向に行くほど厚さt2が増加している。例えば、折り曲げ部319−1と支持部318とが接する境界面から折り曲げ部319−1の先端に行くほど折り曲げ部319−1の厚さt2は増加してもよい。
【0111】
折り曲げ部319−1の上面は平行であり、坩堝スクリーン153の下部面と接触してもよい。折り曲げ部319−1の上面が坩堝スクリーン153の下部面と接触することから、坩堝スクリーン153を安定して支持することができる。
【0112】
折り曲げ部319−1の下面601は、折り曲げ部319−1の上面を基準に傾斜してもよく、折り曲げ部319−1の下面601と支持部318とがなす角度θ2は10゜〜40゜であってもよい。
【0113】
図12に示す折り曲げ部319−1の下面によって、溶融液Mから放出される輻射熱を坩堝110の側壁、又は坩堝110内周に反射させることができ、実施例は、サイドスティッキングを抑制することができる。
【0114】
以上、実施例に説明された特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例に限定されるわけではない。さらに、各実施例に例示された特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者にとっては他の実施例に組合せ又は変形して実施することもできる。したがって、このような組合せや変形に関する内容も、本発明の範囲に含まれるものとして解釈しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
実施例は、ウエハー製造工程において単結晶成長工程に用いることができる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B