【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、添付の特許請求の範囲を参照することにより理解することができる。
【0008】
この発明の、保護を求める一の側面では、原動機手段と、一個以上の車輪の第一グループと、一個以上の車輪の第二グループと、ドライブラインであって、該ドライブラインが第一モードの作動にあるときに、前記原動機手段により一個以上の車輪の前記第一グループが駆動され、該ドライブラインが第二モードの作動にあるときに、前記原動機手段により一個以上の車輪の第二グループが追加されて駆動されるべく、前記原動機手段を、一個以上の車輪の前記第一グループ及び第二グループに連結するドライブラインとを備え、前記ドライブラインが補助部分を含み、該補助部分が、補助ドライブシャフトと、該補助ドライブシャフトと車輪の前記第二グループとの間の駆動手段とを備える自動車であって、前記駆動手段が、
入力部と、
車輪の前記第二グループのそれぞれ異なる車輪を駆動するべくそれぞれ作動可能な複数の出力部と、
前記入力部を前記出力部に解除可能に連結するべく作動可能であり、それにより、前記入力部が前記出力部を駆動することを可能にするとともに、前記入力部及び出力部の相互のスリップを許容し、それにより、前記入力部から前記出力部へと伝達されるトルクの大きさを変化させる第一の解除可能なトルク伝達手段と、それぞれの前記出力部が異なるそれぞれの速度で回転することを許容するディファレンシャルと
を備える自動車を提供する。
【0009】
この発明のいくつかの実施形態は、前記駆動手段内に設けられる単一の解除可能なトルク伝達手段(前記第一の解除可能なトルク伝達手段)が、車輪の前記第二グループから前記補助ドライブシャフトを分離させるために採用されるものとすることができる。
【0010】
補助ドライブ
シャフトが常にドライブラインによって駆動されるような自動車では、この構成は、車輪の第二グループが補助ドライブシャフトから切断されることを可能にする。
【0011】
たとえば、動力伝達装置(PTU)等によって、補助ドライブ
シャフトがドライブラインから切断されることのあるような自動車では、駆動手段の存在は、補助ドライブシャフトが、ドライブライン及び後輪から切断されることを可能にし、ドライブラインが第一モードの作動にあるときに、補助ドライブ
シャフトを停止状態にすることができる。
【0012】
解除可能なトルク伝達手段は、少なくとも第一、第二及び第三の値で、入力部に加えられたトルクの、出力部に伝達される割合を変化させるよう作動することができ、これの使用により、トルクの大きさを調整することができる。いくつかの実施形態では、解除可能なトルク伝達手段のクラッチ手段のスリップが生じることを許容し、それにより、これを実現することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記の駆動手段は、単一の解除可能なトルク伝達手段
が解除されることを許容するべく構成されており、駆動手段は、解除可能なトルク伝達手段なしで作動することができる。このことは、異なるタイプの駆動手段を設けることができるという利点がある。いくつかのタイプでは、(単一の解除可能なトルク伝達手段によって)補助ドライブシャフトを、車輪の第二グループから切断することが可能であり、また、いくつかのタイプでは、補助ドライブシャフトを切断することができる。これらのうちの後者は、解除可能なトルク伝達手段を有しないものである。
【0014】
第一の解除可能なトルク伝達手段は、クラッチ手段を備えるものとすることが有利である。
【0015】
ある実施形態では、上記のクラッチ手段が、摩擦クラッチ手段を備える。
【0016】
さらに、上記のクラッチ手段が、湿式摩擦クラッチ装置を備えることが有利である。
【0017】
選択的に、駆動手段の出力部は、自動車の一対のサイドシャフトの一つずつにトルクを付与するべく構成されるものであり、当該サイドシャフトは、車輪の第二グループの異なる車輪のそれぞれにトルクを付与するべく構成される。
【0018】
駆動手段は、補助ドライブシャフトによって駆動されるべく構成されたリングギヤを備え、そして、このリングギヤは、第一の解除可能なトルク伝達手段の入力部に連結されるものとし、第一の解除可能なトルク伝達手段の入力部は、ディファレンシャルの箱体を駆動するよう作動可能なものとすることが有利である。
【0019】
この構成は、ドライブラインが第一モードの作動にあるときに、リングギヤが停止状態になるという利点がある。それ故に、ドライブラインが第一モードにあるときは、リングギヤの回転に伴う損失を実質的に取り除くことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、リングギヤの回転に伴う損失は、些細なものではないことがあると理解される。この理由の少なくとも一つは、いくつかの構成で、リングギヤが、補助ドライブシャフトの、対応するベベルギヤと噛合することにある。リングギヤとベベルギヤとの間には、比較的大きな予荷重が存在し得る。
【0021】
ある実施形態では、駆動手段が、補助ドライブシャフトによって駆動されるよう構成されたリングギヤを備える。このリングギヤは、ディファレンシャルの箱体を駆動するよう構成されるものであり、ディファレンシャルの二つの出力のうちの第一の出力は、第一の解除可能なトルク伝達手段の入力に連結される。
【0022】
選択的に、第一の解除可能なトルク伝達手段は、駆動手段の第一出力部を与えるとともに、車輪の第二グループの車輪を駆動するべく構成されるものとし、ディファレンシャルの二つの出力のうちの第二の出力は、駆動手段の第二出力部を与えるとともに、車輪の第二グループの他の車輪を駆動するべく構成されるものとする。
【0023】
選択的に、第一の解除可能なトルク伝達手段は、外板キャリヤ及び内板キャリヤを備え、第一の解除可能なトルク伝達手段の出力は、外板キャリヤによって駆動されるものとする。
【0024】
従って、いくつかの実施形態では、ドライブラインが第一モードにある状態で自動車が動きながら、一個以上の第二グループが旋回しているとき、第一の解除可能なトルク伝達手段の出力が、外板キャリヤを駆動すると理解される。
【0025】
この構成は、摩擦クラッチ手段が、湿式摩擦クラッチ装置を備える場合において、第一の解除可能なトルク伝達手段が開いた状態にあるとき、車輪の第二のグループの対応する車輪が回転する際に外板キャリヤが回転し、それにより、内板及び外板キャリヤのプレート間からの流体の排出を促進するという利点がある。このことは、第一の解除可能なトルク伝達手段が開いた状態にあるときに、抵抗を減少させるという利点がある。いくつかの実施形態では、流体が内板及び外板キャリヤのプレート間で維持されるように、自動車が動いている際のリングギヤの回転が、(たとえば「攪拌」等によって)駆動手段内での潤滑油の分散をもたらすと理解される。リングギヤが停止しているときは、外板キャリヤが内板キャリヤに対して回転する際に、この流体を、上記のプレート間から排出することができ、それにより、外板キャリヤ上の抵抗力を、それが回転するにつれて減少させる。
【0026】
ある実施形態では、駆動手段は、ドライブラインが第一モードの作動にある際に、リングギヤを停止させるべく作動することができる。
【0027】
ある実施形態では、自動車は、その自動車の走行時に、駆動手段の複数の出力部にトルクを非対称に分配するための手段を備える。
【0028】
この構成は、車輪の第二グループの左右の各車輪が、車輪への牽引トルクがそれぞれ異なる最大値を示す表面上にある場合に、トルクの異なる大きさを各車輪に適用して、ホイールスリップのリスクを軽減できるという利点がある。
【0029】
ある実施形態では、複数の出力部にトルクを非対称に分配するための手段が、入力部及び出力部を有する第二の解除可能なトルク伝達手段を備えるものとすることができる。
【0030】
選択的に、第二の解除可能なトルク伝達手段は、リングギヤに連結される。
【0031】
さらに選択的に、第二の解除可能なトルク伝達手段は、ディファレンシャルの第二出力部に連結される。
【0032】
選択的に、第二の解除可能なトルク伝達手段は、ディファレンシャルの箱体に連結される。
【0033】
さらに選択的に、第二の解除可能なトルク伝達手段は、ディファレンシャルの出力に連結される。
【0034】
ある実施形態では、第二の解除可能なトルク伝達手段は、摩擦クラッチ手段を備える。
【0035】
かかるクラッチ手段は、湿式摩擦クラッチ装置を備えることができる。
【0036】
選択的に、駆動手段の複数の出力部にトルクを非対称に分配するための手段は、リングギヤの一方側に設けられ、また、第一の解除可能なトルク伝達手段は、リングギヤの他方側に設けられる。
【0037】
ある実施形態では、駆動手段が、該駆動手段の複数の出力部にトルクを非対称に分配するための手段を備える。
【0038】
この構成は、トルクを非対称に分配する手段を駆動手段に実装することができ、必要となる全体の実装スペースの縮小を可能にすることができる。
【0039】
ある実施形態では、駆動手段は、駆動手段ハウジング内に設けられる。
【0040】
この構成は、第一の解除可能なトルク伝達手段及び、トルクを非対称に分配する手段に共通のハウジングを設けることができるという利点がある。ディファレンシャルもまた、上記の駆動手段ハウジング内に設けることができる。
【0041】
ある実施形態では、自動車が、原動機手段を補助ドライブシャフトに解除可能に連結するべく作動可能な動力伝達装置(PTU)をさらに備えるものとすることができ、ここでは、ドライブラインは、第一モードにあるとき、原動機手段が車輪の第一グループを駆動している際に補助ドライブシャフトが停止状態になることを許容する。
【0042】
ある実施形態では、PTUは、自動車のトランスミッションのハウジングに組み込まれるものとすることができる。
【0043】
この構成は、いくつかの実施形態で、必要な実装スペースの大きさを縮小させることができるという利点がある。
【0044】
ある実施形態では、PTUは、トランスミッションのパワーサプライで動くアクチュエーター手段により作動されるよう構成されるものとすることができる。なおここで、上記の電力供給は選択的に、油圧油及び電流から選択される一つによって与えられる。
【0045】
選択的に、原動機手段は、第一原動機と第二原動機を備える。
【0046】
さらに選択的に、第一原動機は、一個以上の車輪の第一グループを駆動するべく構成されるものとし、また、第二原動機は、一個以上の車輪の第二グループを駆動するべく構成されるものとする。なおここでは、PTUは、一個以上の第二グループを第二原動機に連結するべく作動可能なものとする。
【0047】
第一原動機はさらに、一個以上の車輪の第二グループを駆動するべく作動可能なものとすることができる。
【0048】
第二原動機はさらに、一個以上の第一グループを駆動するべく作動可能なものとすることができる。
【0049】
自動車は有利に、原動機手段を補助ドライブシャフトに
連結するべく解除可能に作動することのできる動力伝達装置を有し、ここでは、ドライブラインは、第一モードにあるとき、原動機手段が車輪の第一グループを駆動している際に、補助ドライブ
シャフトが停止状態になることを許容する。
【0050】
ある実施形態では、駆動手段は、補助ドライブシャフトによって駆動されるべく構成されるリングギヤをさらに備え、この駆動手段は、ドライブラインが第一モードの作動にあるときに、リングギヤを停止状態にするべく作動可能なものである。
【0051】
この構成は、ドライブラインが第一モードの作動にあるときに、リングギヤの回転に伴う損失を、実質的に取り除くことができるという利点がある。
【0052】
ある実施形態では、駆動手段は、駆動手段ハウジング内に設けられる。
【0053】
選択的に、解除可能なトルク伝達手段は、入力部に加えられたトルクの、出力部へと伝達される割合を、第一の値と第二の値の間の実質的に連続な範囲の一つとするべく作動可能なものとする。
【0054】
ある実施形態では、前記第一の値は、入力部と出力部との間に伝達されるトルクが実質的にゼロであることに対応し、また、前記第二の値は、入力部と出力部との間の、実質的に100%のトルク伝達に対応する。
【0055】
この発明の更なる側面では、自動車のドライブラインを制御する方法であって、該方法が、
前記ドライブラインの第一モードの作動で、前記ドライブラインの一個以上の第一グループを駆動するステップと、
前記ドライブラインの第二モードの作動で、前記ドライブラインの補助部分を、二個以上の車輪の第二グループに連結し、前記第一グループに加えて、二個以上の車輪の前記第二グループを駆動するステップと
を備え、
補助部分を車輪の第二グループに連結する前記ステップが、第一の解除可能なトルク伝達手段及びディファレンシャルにより、補助ドライブラインの補助ドライブシャフトを車輪の前記第二グループに連結することを備え、前記解除可能なトルク伝達手段が、前記補助ドライブラインに連結される
入力部と、二個以上の車輪の前記第二グループのそれぞれの異なる車輪を駆動する、少なくとも複数の出力部とを有するものであり、前記ディファレンシャルが、車輪の前記第二グループの少なくとも二個の車輪の、それぞれ異なる速度での回転を許容するべく構成されるものであり、該方法が、前記補助ドライブシャフトにより、前記解除可能なトルク伝達手段の入力部にトルクを加えること、及び、前記入力部に加えられたトルクの、前記出力部に伝達される割合を変化させるべく、前記解除可能なトルク伝達手段を制御することを備える方法を提供する。
【0056】
ある実施形態では、上記の方法は、前記解除可能なトルク伝達手段によって伝達されるトルクの割合を、前記第一の値及び、前記第二の値を含む第三の値の間の値の実施的に連続な範囲の一つに変化させるステップを備える。
【0057】
またさらに有利には、前記第一の値は、前記入力部と前記出力部との間に伝達されるトルクが実質的にゼロであることに対応するものとし、前記第二の値は、前記入力部と前記出力部との間の、実質的に100%のトルク伝達に対応するものとする。
【0058】
選択的に、前記解除可能なトルク伝達手段は、単一の湿式クラッチを備える。
【0059】
ある実施形態では、前記解除可能なトルク伝達手段が、単一の湿式多板クラッチを備える。
【0060】
この発明の更なる側面では、自動車のドライブラインを駆動する方法であって、該方法が、前記ドライブラインにより、一個以上の車輪の第一グループを駆動するステップと、前記ドライブラインの補助部分を二個以上の車輪の第二グループに連結して、前記補助部分により車輪の前記第二グループを駆動するステップとを備え、前記補助部分を車輪の前記第二グループに連結する前記ステップが、単一の解除可能なトルク伝達手段及びディファレンシャルにより、前記補助部分の補助ドライブシャフトを、車輪の前記第二グループに連結することを備え、前記解除可能なトルク伝達手段が、前記補助部分に連結される入力部と、二個以上の車輪の前記第二グループの異なるそれぞれの車輪を駆動するべく構成される少なくとも複数の出力部とを有するものであり、前記ディファレンシャルが、車輪の前記第二グループの少なくとも二個の車輪の、異なるそれぞれの速度での回転を許容するものであり、該方法が、前記補助ドライブシャフトにより、前記解除可能なトルク伝達手段の入力部にトルクを加えること、及び、前記入力部に加えられたトルクの、前記出力部に伝達される割合を、少なくとも第一の値、第二の値及び第三の値の間で変化させるべく、前記解除可能なトルク伝達手段を制御することを備える方法を提供する。
【0061】
この出願の範囲内において、先述の段落、特許請求の範囲、並びに/又は、後述の説明及び図面に明確に記載した様々な側面、実施形態、実施例及び代替手段、並びに、特にその構成は、それぞれ独立して、又は、それらの任意の組合せとして解釈され得ることが想定されている。たとえば、ある実施形態に関連して説明した構成は、構成間での矛盾のない限り、他の全ての実施形態に適用することができる。
【0062】
動力伝達装置
この発明の、保護を求める一の側面によれば、トランスミッションの出力から、自動車の補助ドライブシャフトにトルクを伝達するべく作動可能な、自動車のドライブライン用の装置であって、該装置が、トルク入力部と、トルク出力部と、前記出力部の回転速度を前記入力部の回転速度に同期させるための解除可能なシンクロナイザー手段と、前記入力部及び前記出力部を連結して、前記入力部から前記出力部へ駆動トルクが伝達されることを可能にする解除可能なトルク伝達手段と
を備える装置を提供する。
【0063】
いくつかの構成では、補助ドライブシャフトは、プロップシャフトと称することができると理解される。
【0064】
限定されない一の実施形態では、上記の装置は、動力伝達装置(PTU)を備える。この発明の実施形態は、前記解除可能なトルク伝達手段が閉じるとともに、駆動トルクが前記入力部から前記出力部へ伝達される前に、前記入力部及び前記出力部の回転速度を、(前記シンクロナイザー手段により)一致させることができるという利点があると理解される。
【0065】
それにより、解除可能なトルク連結手段が、前記入力部及び前記出力部を連結させる前に、PTUの前記出力部に連結された補助ドライブシャフト(又はプロップシャフト)の回転速度は、PTUの前記入力部の回転速度と一致させることができる。
【0066】
シンクロナイザー手段は、PTUのトルク入力部からトルク出力部へと駆動トルクを伝達させることができないと理解される。すなわち、シンクロナイザー手段が伝達させることのできるトルクは、補助ドライブシャフトに伝達されることが要求されるものよりも小さくなり得る。従って、解除可能なトルク連結手段は、入力部と出力部を連結させるために設けられ、それにより、トルク入力部からトルク出力部へのトルクの伝達を可能にする。
【0067】
この構成は、比較的単純な設計を可能にし、又は、たとえば、噛み合いクラッチ構造等の、干渉タイプの解除可能な駆動トルク伝達手段のような解除可能な駆動トルク伝達手段を採用することを可能にする。そのような設計は、シャフトをともに連結することが要求された際に、ともに連結されるシャフト間の速度の比較的小さな差を許容することができる。またここでは、いくつかの実施形態で、より小型のPTUの製造が可能になる。これは、いくつかの実施形態では、解除可能な駆動トルク伝達手段と組み合わされるシンクロナイザー手段を、湿式多板クラッチが設けられる構成よりも小さくすることができるからである。
【0068】
いくつかの実施形態では、PTUとともに用いることが望ましい解除可能なトルク伝達手段は、入力部と出力部との間に速度差が生じると、それらをともに連結することができないと理解される。これは、噛み合いクラッチやその他のノンスリップ・クラッチには、閉じた際に入力及び出力シャフト間のスリップが許容されないものがあるからである。そのようなクラッチは一般に、摩擦ではなく干渉によって、入力及び出力シャフトを連結する。シンクロナイザー手段の使用は、かかる速度差を、ゼロ又は、実質的にゼロに減少させることを可能にし、それにより、解除可能なトルク伝達手段が、入力部と出力部を連結することを可能にする。
【0069】
また、いくつかの構成では、入力部と出力部がともに連結される際に、自動車の騒音、振動及びハーシュネス(NVH)性能が損なわれるリスクは、シンクロナイザー手段の使用により軽減される。
【0070】
例として、従来の摩擦コーンシンクロナイザー(たとえば、シングルコーンシンクロナイザー、デュアルコーンシンクロナイザー又は、マルチコーンシンクロナイザー等)の形態をなすシンクロナイザー手段は、本発明に従う構成では、噛み合いクラッチのようなノンスリップ干渉型連結器と組み合わせて用いることができ、これは、等しいトルク伝達能力の従来の湿式多板クラッチよりも小さな体積で実装することができる。
【0071】
上記のシンクロナイザー手段は、解除状態で、解除可能な駆動トルク伝達手段の入力部と出力部が、それぞれ異なる速度で回転することができるように、解除可能に構成されると理解される。
【0072】
ある実施形態では、駆動トルク伝達手段は、上記のシンクロナイザー手段と平行に連結されるべく構成される。従って、いくつかの実施形態では、シンクロナイザー手段は、駆動トルク伝達手段が係合されて、入力部から出力部へトルクを伝達しているときに、それを通して実質的にトルクを伝達することを要しない。
【0073】
シンクロナイザー手段は、前記入力部とともに回転するよう構成された第一表面と、前記出力部とともに回転するよう構成された第二表面とを備えることができ、当該装置は、解除可能に、第一表面と第二表面を互いに対向させるべく作動することができ、それにより、それらの間にトルクを伝達するとともに、入力部と出力部との回転速度を同期させることができる。
【0074】
選択的に、一以上の中間要素は、上記の第一表面と第二表面が互いに対向さ
せられた際に、第一表面と第二表面の間に捕捉されるべく構成し、それにより、前記入力部と出力部との間にトルクを伝達することができる。
【0075】
第一表面及び第二表面は、相補的な円錐部分もしくは円錐台部分を有するものとすることができる。一以上の中間要素が、第一表面と第二表面との間に捕捉されるよう構成される場合、その一以上の中間要素は、対応する円錐もしくは円錐台形状をなすものとすることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、シンクロナイザーは、シングルコーン、デュアルコーン又は、マルチコーンのタイプのものとすることができる。
【0077】
解除可能なトルク伝達手段は、前記入力部とともに回転するべく構成された第一部分と、前記出力部とともに回転するべく構成された第二部分とを備えるものとすることができ、当該装置は、前記入力部及び出力部をともに連結し、それにより、相対回転を防止することができる。
【0078】
上記の第一部分及び第二部分は、相補的に相互係合する構造を有するものとすることができる。ここでは、第一部分及び第二部分がともに連結されて、駆動トルクを、干渉により、それらの間に伝達することができる。
【0079】
上記の第一部分及び第二部分は、それらの間の物理的接触により、互いに直接的に連結されるよう構成することができる。
【0080】
第一部分及び第二部分は、連結部材によって、ともに連結されるべく構成することが有利である。
【0081】
この連結部材は、スリーブ、カラー又はリングの中から選択される一つを備えるものとすることができる。
【0082】
ある実施形態では、連結部材は、軸方向にスライド可能なものとし、それにより、第一部分と第二部分を連結する。
【0083】
ある実施形態では、連結部材は、その連結部材によって入力部と出力部がともに連結されていないときに、入力部から切り離されるように構成されるものである。
【0084】
この構成は、自動車が動いている間に出力部材が停止する場合において、連結部材に対する出力部の回転に起因する摩擦損失が生じないという利点がある。いくつかの実施形態では、出力部材は、ドライブシャフトが駆動トルクを与えるよう要求されていないときに、停止状態になることのできる補助ドライブシャフトに連結することができる。たとえば、ドライブシャフトは、PTUによって自動車のトランスミッションから、また後輪駆動装置(RDU)によって自動車の後輪から切り離されるものとすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、第一部分及び第二部分は、連結部材に対応する相補的な形状をなすものとすることができ、それにより、従来の噛み合いクラッチのように、第一部分及び第二部分と連結部材との間の連結が可能になる。
【0086】
選択的に、上記の部分の、相補的に相互係合する構造はそれぞれ、突起と窪みで与えられる。
【0087】
相補的に相互係合する構造は、少なくとも一部が、「ドグ(“dogs”)」と称され得る歯付き要素で与えることができる。
【0088】
解除可能なトルク伝達手段は、噛み合いクラッチを備えることが有利であると理解される。
【0089】
この発明の、保護を求める更なる側面では、原動機手段と、一個以上の車輪の少なくとも第一グループ及び第二グループと、ドライブラインであって、該ドライブラインが第一モードの作動にあるときに、前記原動機手段により一個以上の車輪の前記第一グループが駆動され、また、該ドライブラインが第二モードの作動にあるときに、前記原動機手段により一個以上の車輪の前記第二グループが追加的に駆動されるように、前記原動機手段により、一個以上の車輪の前記第一グループ及び前記第二グループを連結するためのドライブラインとを備え、前記ドライブラインが、解除可能なトルク伝達手段を備える補助ドライブラインを含むものとし、前記解除可能なトルク伝達手段が、前記ドライブライン
が前記第一モードと前記第二モードとの間を
移行する際に、一個以上の車輪の前記第二グループを、前記原動機手段に連結するべく作動可能なものであり、前記解除可能なトルク伝達手段が、先述の側面に従うPTUを備える自動車を提供する。
【0090】
補助ドライブラインは、補助ドライブシャフト及び、該補助ドライブシャフトを前記原動機手段に連結するべく構成されるPTUを備えるものとすることができる。上述したように、補助ドライブシャフトは、いくつかの実施形態において、プロップシャフト
と称することもある。
【0091】
ある実施形態では、解除可能なトルク伝達手段は、PTUの下流側に設けられる駆動装置をさらに備え、この駆動装置は、補助ドライブシャフトを、一個以上の車輪の前記第二グループから切り離すべく作動可能なものである。
【0092】
上記の駆動装置は、補助ドライブシャフトを、一個以上の車輪の前記第二グループから切り離すべく作動可能なクラッチ手段を備えるものとすることができる。
【0093】
選択的に、原動機手段は、第一原動機及び第二原動機を備える。
【0094】
さらに選択的に、第一原動機は、一個以上の車輪の第一グループを駆動するべく構成されるものとし、また、第二原動機は、一個以上の車輪の第二グループを駆動するべく構成されるものとする。
【0095】
PTUは、一個以上の車輪の第二グループを第二原動機に連結するべく作動可能なものとすることができる。
【0096】
これに代えて、又は加えて、PTUは、一個以上の車輪の第二グループを第一原動機に連結するべく作動可能なものとすることができる。
【0097】
第一原動機は、一個以上の車輪の第二グループを駆動するべく作動可能なものとすることができる。
【0098】
第二原動機はさらに、一個以上の車輪の第一グループを駆動するべく作動可能なものとすることができる。
【0099】
かかる自動車は、原動機手段の少なくとも一部から、一個以上の車輪の第一グループにトルクを伝達するべく構成された出力手段を有するトランスミッションを備えるものとすることができ、ここでは、PTUのトルク入力部が、トランスミッションの出力手段に連結される。
【0100】
選択的に、PTUの少なくとも一部は、トランスミッションに組み込まれる。
【0101】
さらに選択的に、PTUの略全体は、トランスミッションに組み込まれる。
【0102】
PTUの少なくとも一部を、トランスミッションに組み込むことにより、製造業者は、PTUを有しない従来の自動車、たとえば常に四輪もしくは前輪駆動の自動車等に用いる一以上のドライブラインコンポーネントを採用することが可能になると理解される。いくつかの実施形態では、従来の自動車と、トランスミッションに組み込まれたPTUを有する本発明の実施形態に従う自動車との両方において、プロップシャフトをトランスミッションに駆動可能に連結するため、共通のリングギヤ・パッケージを採用することができる。いくつかの実施形態では、リングギヤ・パッケージとトランスミッションとの間の共通のコネクターを用いることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、PTUの出力軸の位置は、PTUを有しないトランスミッションの出力軸と実質的に同じとすることができる。PTUの少なくとも一部は、トランスミッションのハウジング内に設けることができる。
【0104】
PTUは、トランスミッションの上記の出力手段に組み込むことができる。
【0105】
この出力手段は、たとえば、出力軸を備えるものとすることができる。
【0106】
PTUは、トランスミッションのパワーサプライで動くアクチュエーターによって作動するよう構成されるものとすることが有利である。
【0107】
このパワーサプライは、アクチュエーター手段に、加圧された油圧油及び、電流の中から選択される一つを与えるべく構成することができ、それにより、アクチュエーター手段を動かすことができる。
【0108】
この発明の、保護を求める更なる側面では、動力伝達装置(PTU)により、自動車の一個以上の車輪の第一グループを、自動車の一個以上の車輪の第二グループに連結する方法であって、シンクロナイザー手段により、PTUの入力部の回転速度を、PTUの出力部に同期させるステップと、
その後、駆動トルク連結手段により、前記入力部及び前記出力部を平行に、シンクロナイザーに解除可能に連結し、それにより、前記入力部から前記出力部へ駆動トルクが伝達されることを可能にするステップとを備える方法を提供する。
【0109】
この方法は、駆動トルク連結手段により、前記入力部及び前記出力部を平行に、シンクロナイザー部分に解除可能に連結するステップを備えるものとすることができる。このステップは、噛み合いクラッチにより、前記入力部及び前記出力部を平行に解除可能に連結することを備える。
【0110】
この出願の範囲内において、先述の段落、特許請求の範囲、並びに/又は、後述の説明及び図面に明確に記載した様々な側面、実施形態、実施例及び代替手段、並びに、特にその構成は、それぞれ独立して、又は、それらの任意の組合せとして解釈され得ることが想定されている。たとえば、ある実施形態に関連して説明した構成は、構成間での矛盾のない限り、他の全ての実施形態に適用することができる。