特許第6204540号(P6204540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社小山工務店の特許一覧

特許6204540端太材および型枠構造体並びにコンクリート構造物の製造方法
<>
  • 特許6204540-端太材および型枠構造体並びにコンクリート構造物の製造方法 図000002
  • 特許6204540-端太材および型枠構造体並びにコンクリート構造物の製造方法 図000003
  • 特許6204540-端太材および型枠構造体並びにコンクリート構造物の製造方法 図000004
  • 特許6204540-端太材および型枠構造体並びにコンクリート構造物の製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6204540
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】端太材および型枠構造体並びにコンクリート構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 17/00 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   E04G17/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-137613(P2016-137613)
(22)【出願日】2016年7月12日
【審査請求日】2016年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】516210230
【氏名又は名称】有限会社小山工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 義一
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−069347(JP,U)
【文献】 実開昭53−029126(JP,U)
【文献】 特開平09−184286(JP,A)
【文献】 実公昭52−023385(JP,Y2)
【文献】 特開平05−179802(JP,A)
【文献】 特開昭62−059737(JP,A)
【文献】 特開2000−336930(JP,A)
【文献】 実開昭61−181450(JP,U)
【文献】 特開昭51−078030(JP,A)
【文献】 実開昭49−087618(JP,U)
【文献】 実開平06−022455(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第02646005(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠に重ねられる平板と、
前記平板から連続して前記平板の第1辺で折り曲げ加工され、前記型枠に前記平板を重ねた際に前記型枠から立ち上がって、前記第1辺に平行な上端を有する第1壁体と、
前記第1壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記平板に平行に広がって外端太材を受け止める第1受け板と、
前記平板の前記第1辺に平行な前記平板の第2辺で折り曲げ加工され、前記型枠に前記平板を重ねた際に前記型枠から立ち上がって、前記第2辺に平行な上端を有する第2壁体と、
前記第2壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記第1受け板から離れた位置で前記平板に平行に広がって前記外端太材を受け止める第2受け板と、
前記平板に区画されて、コーン部材から延びる軸部材を受け入れ、前記コーン部材に連結される外端太材用座金を通過させる広がりを有する開口と、
を備えることを特徴とする端太材。
【請求項2】
請求項に記載の端太材において、前記開口は、前記第1辺および前記第2辺に平行な方向に、前記第1辺および前記第2辺の間隔よりも大きい長さで延びる長孔であることを特徴とする端太材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の端太材において、前記第1受け板および前記第2受け板の間隔は前記開口よりも大きいことを特徴とする端太材。
【請求項4】
コンクリート材の流動空間を区画する内面、および、その裏側の外面を有する型枠と、
前記型枠に固定されるコーン部材と、
前記コーン部材に連結されて、前記型枠の前記外面に接する空間に配置される座金と、
前記型枠の前記外面に重ねられる平板を有する内端太材と、
前記座金に係り合って、外側から前記型枠に向かって前記内端太材を押しつける外端太材と、を備え、前記内端太材は、
前記平板から連続して前記平板の第1辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第1辺に平行な上端を有する第1壁体と、
前記第1壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記平板に平行に広がって前記外端太材を受け止める第1受け板と、
前記平板の前記第1辺に平行な前記平板の第2辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第2辺に平行な上端を有する第2壁体と、
前記第2壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記第1受け板から離れた位置で前記平板に平行に広がって前記外端太材を受け止める第2受け板と、
前記平板に区画されて、前記コーン部材から延びる軸部材を受け入れ、前記座金を通過させる広がりを有する開口と、
を備えることを特徴とする型枠構造体。
【請求項5】
コンクリート材の流動空間を区画する内面、および、その裏側の外面を有する型枠を立てる工程と、
前記型枠に固定されるコーン部材に座金を連結し、前記型枠の前記外面に接する空間に前記座金を配置する工程と、
前記型枠の前記外面に重ねられる平板、前記平板から連続して前記平板の第1辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第1辺に平行な上端を有する第1壁体、および、前記平板の前記第1辺に平行な前記平板の第2辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第2辺に平行な上端を有する第2壁体を有する内端太材を前記型枠に取り付ける工程と、
前記内端太材の取り付けにあたって、前記平板に区画される開口に、前記座金、および、前記コーン部材から延びる軸部材を通す工程と、
前記内端太材の一部であって前記第1壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記平板に平行に広がる第1受け板、および、前記内端太材の一部であって前記第2壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記第1受け板から離れた位置で前記平板に平行に広がる第2受け板に外端太材を押し当てて前記型枠に前記外端太材を取り付ける工程と、
前記流動空間にコンクリート材を流し込んで固める工程と
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠工事に用いられる端太材および型枠構造体、並びに、コンクリート構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は合板製の型枠に平坦面で重ねられる縦端太材を開示する。こうした縦端太材は円筒管形状のものに比べて広い面積で型枠に接触することから、型枠に対する接触圧は広い面積に分散し、型枠の変形は抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3204900号公報
【特許文献2】特開平5−222837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、1つのフォームタイ(登録商標)に対して両側にそれぞれ縦端太材が配置される。型枠の組み立てにあたって、いちどに2本の縦端太材が型枠に押し付けられなければならず、組み立て作業が面倒である。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、型枠の変形を抑制しつつ型枠の組み立て性を向上することができる端太材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、型枠に重ねられる平板と、前記平板から連続して前記平板の第1辺で折り曲げ加工され、前記型枠に前記平板を重ねた際に前記型枠から立ち上がって、前記第1辺に平行な上端を有する第1壁体と、前記第1壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記平板に平行に広がって外端太材を受け止める第1受け板と、前記平板の前記第1辺に平行な前記平板の第2辺で折り曲げ加工され、前記型枠に前記平板を重ねた際に前記型枠から立ち上がって、前記第2辺に平行な上端を有する第2壁体と、前記第2壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記第1受け板から離れた位置で前記平板に平行に広がって前記外端太材を受け止める第2受け板と、前記平板に区画されて、コーン部材から延びる軸部材を受け入れ、前記コーン部材に連結される外端太材用座金を通過させる広がりを有する開口とを備える端太材が提供される。
【0007】
端太材は平板で型枠に接触することから、型枠に対する接触圧は広い面積で分散し、型枠の変形は抑制される。コーン部材から延びる軸部材は開口を通過することから、1つのフォームタイに対して1つの端太材が配置されればよく、いちどに1本の端太材が型枠に押し付けられるだけで、組み立て作業が比較的に簡単である。しかも、第1受け板および第2受け板の間には間隔が確保されることから、平板の開口は作業者から確実に視認され、開口内に確実にコーン部材の軸部材は受け入れられることができる。第1受け板および第2受け板の間に十分に間隔が確保される限り、第1受け板および第2受け板は第1壁体および第2壁体から相互に近づくように広がってもよく相互に遠ざかるように広がってもよい。
【0008】
型枠に端太材を組み付ける際にコーン部材に座金が連結される。座金の連結後に端太材は平板で型枠に重ねられる。このとき、開口は、コーン部材に連結される外端太材用座金を通過させる広がりを有することから、座金は平板の開口を通過する。事前に座金が連結されていても端太材の取り付けは妨げられない。
【0009】
前記開口は、前記第1辺および前記第2辺に平行な方向に、前記第1辺および前記第2辺の間隔よりも大きい長さで延びる長孔であればよい。開口は第1辺および第2辺の間に収まるので、第1辺および第2辺の方向に折り曲げ加工の湾曲や稜線の連続性は維持され、端太材の剛性は維持される。
【0010】
前記第1受け板および前記第2受け板の間隔は前記開口よりも大きければよい。型枠に平板を重ねる作業にあたって、平板の開口は作業者から簡単に視認され、開口内に確実にコーン部材の軸部材は受け入れられることができる。
【0011】
第1壁体および第2壁体は平板に直交すればよい。第1受け板および第2受け板に外端太材が受け止められる際に第1壁体および第2壁体は壁面に沿って外端太材の押し付け力を支持することから、第1壁体および第2壁体の変形は抑制される。
【0012】
本発明の第2側面によれば、コンクリート材の流動空間を区画する内面、および、その裏側の外面を有する型枠と、前記型枠に固定されるコーン部材と、前記コーン部材に連結されて、前記型枠の前記外面に接する空間に配置される座金と、前記型枠の前記外面に重ねられる平板を有する内端太材と、前記座金に係り合って、外側から前記型枠に向かって前記内端太材を押しつける外端太材とを備え前記内端太材は、前記平板から連続して前記平板の第1辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第1辺に平行な上端を有する第1壁体と、前記第1壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記平板に平行に広がって前記外端太材を受け止める第1受け板と、前記平板の前記第1辺に平行な前記平板の第2辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第2辺に平行な上端を有する第2壁体と、前記第2壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記第1受け板から離れた位置で前記平板に平行に広がって前記外端太材を受け止める第2受け板と、前記平板に区画されて、前記コーン部材から延びる軸部材を受け入れ、前記座金を通過させる広がりを有する開口とを備える型枠構造体は提供される。
【0013】
本発明の第3側面によれば、コンクリート材の流動空間を区画する内面、および、その裏側の外面を有する型枠を立てる工程と、前記型枠に固定されるコーン部材に座金を連結し、前記型枠の前記外面に接する空間に前記座金を配置する工程と、前記型枠の前記外面に重ねられる平板、前記平板から連続して前記平板の第1辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第1辺に平行な上端を有する第1壁体、および、前記平板の前記第1辺に平行な前記平板の第2辺で折り曲げ加工され、前記型枠から立ち上がって、前記第2辺に平行な上端を有する第2壁体を有する内端太材を前記型枠に取り付ける工程と、前記内端太材の取り付けにあたって、前記平板に区画される開口に、前記座金、および、前記コーン部材から延びる軸部材を通す工程と、前記内端太材の一部であって前記第1壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記平板に平行に広がる第1受け板、および、前記内端太材の一部であって前記第2壁体の前記上端から連続して前記上端で折り曲げ加工され、前記第1受け板から離れた位置で前記平板に平行に広がる第2受け板に外端太材を押し当てて前記型枠に前記外端太材を取り付ける工程と、前記流動空間にコンクリート材を流し込んで固める工程とを備えるコンクリート構造物の製造方法は提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る型枠構造体の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1の2−2線に沿って内端太材の構成を概略的に示す拡大水平断面図である。
図3】内端太材の平面図である。
図4図2に対応し、他の実施形態に係る内端太材の構成を概略的に示す拡大水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る型枠構造体の構成を概略的に示す。型枠構造体11は、コンクリートの土台(基礎)12上に組み立てられる複数の型枠13を備える。型枠13は例えば木製の合板その他の板材から形成される。型枠構造体11はコンクリートの土台12上にコンクリート構造物の形状を象った空間(コンクリート材の流動空間)14を区画する。個々の型枠13は、コンクリート材の流動空間14を区画する内面13aと、その裏側の外面(外向きの面)13bとを有する。
【0017】
型枠構造体11はセパレーター15を備える。セパレーター15は地面に平行に水平方向(重力方向に直交する方向)に延びる例えば金属製のロッドで形成される。コンクリート材の流動空間14を挟んで向き合う型枠13同士はセパレーター15で相互に連結される。セパレーター15の一端は一方の型枠13に結合され、他端は他方の型枠13に結合される。セパレーター15は例えば鉛直方向に等間隔で配置される。個々のセパレーター15は1垂直面内に軸心を有すればよい。セパレーター15は、型枠13同士が相互に離れる際に生じる引っ張り力を支持する。流動空間14にコンクリート材が流し込まれた際に型枠13の倒れを防止する程度の強度がセパレーター15に付与されればよい。
【0018】
型枠構造体11は、型枠13の外面13bに重ねられる複数の内端太材16を備える。内端太材16は、重力方向すなわち縦方向に延びる長尺材で形成される。内端太材16の下端は例えば土台12に接触して土台12で支持されればよい。内端太材16の上端は型枠13の上端まで延びればよい。ここでは、内端太材16は鉛直方向に延びる姿勢で型枠13に取り付けられる。内端太材16の詳細は後述される。
【0019】
内端太材16には特定の水平位置で座金17が関連づけられる。個々の座金17はセパレーター15の一端に連結される。個々の内端太材16で座金17は等間隔に配置されればよい。座金17は、型枠13の外面13bに接する空間に配置される。
【0020】
型枠構造体11は、外側から型枠13に向かって内端太材16を押しつける外端太材18を備える。外端太材18は地面に平行に水平方向に延びる長尺材で形成される。個々の外端太材18は座金で対応の内端太材16に連結される。外端太材18は例えば円筒形の管材で形成されればよい。個々の座金17は1本の内端太材16に対して2つの外端太材18を結合する。外端太材18は、座金17に係り合って、外側から型枠13に向かって内端太材16を押しつける。こうしてセパレーター15に連結される座金17で内端太材16および外端太材18は型枠13に固定される。
【0021】
図2に示されるように、型枠13にはコーン部材21が固定される。コーン部材21には例えばPコーン(プラスチックコーン)が用いられればよい。コーン部材21はセパレーター15の一端に結合される。セパレーター15の外周に刻まれる雄ねじがコーン部材21の雌ねじ孔にねじ込まれる。コーン部材21は軸部材22を備える。軸部材22は型枠13を貫通して型枠13の外面13bから突き出る。軸部材22の外周には雄ねじが刻まれる。
【0022】
コーン部材21にはフォームタイ23が連結される。フォームタイ23はコーン部材21の軸部材22に結合される軸体24を備える。軸体24の一端にはフランジ25が形成される。フランジ25は型枠13の外面13bに重ねられる。フランジ25は型枠13に対して直交姿勢に軸体24の軸心を保持する。コーン部材21の軸部材22に刻まれる雄ねじが軸体24の雌ねじ孔にねじ込まれる。
【0023】
フォームタイ23の軸体24には座金17が装着される。座金17は軸体24の軸方向に変位自在に軸体24に支持される。座金17は、軸体24の軸心に直交する仮想面に沿って軸心から相反する方向に延びる第1押さえ体26aおよび第2押さえ体26bを備える。第1押さえ体26aおよび第2押さえ体26bにはそれぞれ窪み27が形成される。窪み27は中心角180度未満の部分円筒面に形成される。部分円筒面の中心軸は水平方向に配置される。窪み27はそれぞれ外端太材18の外周面に倣う。
【0024】
フォームタイ23にはナット28が結合される。ナット28は、軸体24の外周に刻まれる雄ねじにかみ合う雌ねじを有する。ナット28が軸体24の軸心回りに回転すると、ねじ結合の働きでナット28は軸体24の軸方向に変位する。ナット28は外側から座金17に掛かる。座金17はナット28とフランジ25との間で軸体24上に保持される。ナット28がフランジ25に向かって前進すると、ナット28に押されて座金17はフランジ25に向かって前進する。ナット28は座金17に係り合って軸体24から座金17の離脱を阻止する。こうしてフォームタイ23を介して座金17はコーン部材21に連結される。
【0025】
内端太材16は、型枠13の外面13bに重ねられる平板31を備える。平板31には、コーン部材21から延びる軸部材22を受け入れる開口32が区画される。開口32には、軸部材22に連結されるフォームタイ23のフランジ25が併せて収容される。
【0026】
内端太材16は、平板31から連続して平板31の第1辺33aで折り曲げ加工され、型枠13から立ち上がって、第1辺33aに平行な上端を有する第1壁体34と、平板31の第1辺33aに平行な平板31の第2辺33bで折り曲げ加工され、型枠13から立ち上がって、第2辺33bに平行な上端を有する第2壁体35とを備える。第1壁体34および第2壁体35は平板31に直交する。第1壁体34の上端には第1受け板36が連続する。第1受け板36は、第1壁体34の上端で折り曲げ加工され、平板31に平行に広がって外端太材18を受け止める。第2壁体35の上端には第2受け板37が連続する。第2受け板37は、第2壁体35の上端で折り曲げ加工され、第1受け板36から離れた位置で平板31に平行に広がって外端太材18を受け止める。ここでは、第1受け板36および第2受け板37は第1壁体34の上端および第2壁体35の上端から相互に近づくように折れ曲がる。言い換えると、平板31、第1壁体34、第2壁体35、第1受け板36および第2受け板37はいわゆるC型チャンネルを構成すればよい。このとき、C型チャンネルは、ステンレス鋼板といった金属板から折り曲げ成形されてもよく、アルミニウムといった金属材料から例えば押し出し成型されてもよい。
【0027】
図3から明らかなように、第1受け板36および第2受け板37の間隔Gは開口32よりも大きい。開口32は、コーン部材21に連結される座金17を通過させる広がりを有する。ここでは、開口32は、第1辺33aおよび第2辺33bに平行な方向に、第1辺33aおよび第2辺33bの間隔よりも大きい長さLで延びる長孔である。
【0028】
次にコンクリート構造物の製造方法を説明する。作業者は土台12上に型枠13を立てる。型枠13の内面13aおよび外面13bは土台12の水平面に直交する。型枠13の内面13aは土台12上でコンクリート材の流動空間14に面する。複数枚の型枠13が流動空間14に沿って並べられる。
【0029】
型枠13の内面13aから型枠13にコーン部材21を嵌め込む。コーン部材21の軸部材22は型枠13の貫通孔を通過する。型枠13には予め1鉛直線上で等間隔に軸部材22用の貫通孔が形成される。コーン部材21の軸部材22にはフォームタイ23の軸体24が連結される。軸体24には予め座金17が装着される。フランジ25およびナット28の働きで軸体24から座金17の離脱は防止される。型枠13の外面13bに接する空間に座金17は配置される。フランジ25は型枠13の外面13bに対して直交姿勢に軸体24を保持する。
【0030】
作業者は型枠13に内端太材16を取り付ける。例えば1枚の型枠13ごとに1つの内端太材16は取り付けられる。内端太材16の平板31は型枠13の外面13bに重ねられる。このとき、作業者は、平板31に区画される開口32に座金17およびフォームタイ23を順番に通す。第1受け板36および第2受け板37の間には間隔Gが確保されることから、平板31の開口32は作業者から確実に視認され、開口32内に確実にコーン部材21の軸部材22は受け入れられる。特に、第1受け板36および第2受け板37の間隔Gは開口32よりも大きいことから、平板31の開口32は作業者から簡単に視認され、開口32内に確実に座金17およびフォームタイ23は受け入れられることができる。
【0031】
作業者はフォームタイ23の上下で内端太材16に外端太材18を押し当てる。外端太材18は第1受け板36および第2受け板37に受け止められる。その後、外端太材18には座金17が押し当てられる。座金17は型枠13に向かってナット28で締め付けられる。座金17は型枠13の外面13bに外端太材18および内端太材16を押しつける。
【0032】
こうして立てられた型枠13に向き合う型枠13がさらに土台12上に立てられる。このとき、型枠13同士はセパレーター15で相互に接続される。セパレーター15の一端にはコーン部材21が連結される。型枠13の内面13aおよび外面13bは土台12の水平面に直交する。型枠13の内面13aは土台12上でコンクリート材の流動空間14に面する。こうしてコンクリート材の流動空間14は型枠13で囲まれる。
【0033】
流動空間14が型枠13の組み合わせで閉じられると、作業者は流動空間14にコンクリート材を流し込んで固める。コンクリート材が固化すると、型枠構造体11は分解される。コンクリート構造物は完成する。
【0034】
型枠構造体11の構成にあたって内端太材16は利用される。内端太材16は、型枠13に重ねられる平板31を備える。内端太材16は平板31で型枠13に接触することから、型枠13に対する接触圧は広い面積で分散し、流動空間14に流し込まれたコンクリートの流動体から型枠13に大きな力が加わっても、型枠13の変形は抑制される。型枠13は平面性を維持する。加えて、フォームタイ23は開口32を通過することから、1つのフォームタイ23に対して1つの内端太材16が配置されればよく、いちどに1本の内端太材16が型枠13に押し付けられるだけで、組み立て作業が比較的に簡単である。しかも、第1受け板36および第2受け板37の間には間隔Gが確保されることから、平板31の開口32は作業者から確実に視認され、開口32内に確実にコーン部材21の軸部材22およびフォームタイ23は受け入れられる。
【0035】
内端太材16では、第1受け板36および第2受け板37の間隔Gは開口32よりも大きい。型枠13に平板31を重ねる作業にあたって、平板31の開口32は作業者から確実に視認され、開口32内に確実にコーン部材21の軸部材22は受け入れられることができる。特に、開口32は、コーン部材21に連結される座金17を通過させる広がりを有する。型枠13に内端太材16を組み付ける際にコーン部材21に座金17が連結される。座金17の連結後に内端太材16は平板31で型枠13に重ねられる。このとき、座金17は平板31の開口32を通過することから、事前に座金17が連結されていても内端太材16の取り付けは妨げられない。
【0036】
開口32は、第1辺33aおよび第2辺33bに平行な方向に、第1辺33aおよび第2辺33bの間隔よりも大きい長さLで延びる長孔である。開口32は第1辺33aおよび第2辺33bの間に収まるので、第1辺33aおよび第2辺33bの方向に折り曲げ加工の湾曲や稜線の連続性は維持され、内端太材16の剛性は維持される。
【0037】
第1壁体34および第2壁体35は平板31に直交する。第1受け板34および第2受け板35に外端太材18が受け止められる際に第1壁体34および第2壁体35は壁面に沿って外端太材18の押し付け力を支持することから、第1壁体34および第2壁体35の変形は抑制される。
【0038】
図4に示されるように、第1受け板36および第2受け板37は第1壁体34の上端および第2壁体35の上端から相互に遠ざかるように折れ曲がってもよい。こうすることで、第1壁体34および第2壁体35の間隔を狭めながらも第1受け板36および第2受け板37の間に間隔Gは確保されることができる。
【符号の説明】
【0039】
11…型枠構造体、13…型枠、13a…内面、13b…外面、14…流動空間(空間)、16…端太材(内端太材)、17…座金、18…外端太材、21…コーン部材、22…軸部材、31…平板、32…開口、33a…第1辺、33b…第2辺、34…第1壁体、35…第2壁体、36…第1受け板、37…第2受け板、G…間隔。
【要約】
【課題】型枠の変形を抑制しつつ型枠の組み立て性を向上することができる端太材を提供する。
【解決手段】端太材16は、第1壁体34の上端から連続して上端で折り曲げ加工され、平板31に平行に広がって外端太材18を受け止める第1受け板36と、平板31の第1辺33aに平行な平板31の第2辺33bで折り曲げ加工され、型枠13に平板31を重ねた際に型枠13から立ち上がって、第2辺33bに平行な上端を有する第2壁体35と、第2壁体35の上端から連続して上端で折り曲げ加工され、第1受け板36から離れた位置で平板31に平行に広がって外端太材18を受け止める第2受け板37と、平板31に区画されて、コーン部材21から延びる軸部材22を受け入れる開口32とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4