特許第6204546号(P6204546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉田製作所の特許一覧

<>
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000002
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000003
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000004
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000005
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000006
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000007
  • 特許6204546-歯科診療椅子 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6204546
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】歯科診療椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 15/12 20060101AFI20170914BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20170914BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61G15/12 510
   A47C7/40
   A47C7/38
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-150149(P2016-150149)
(22)【出願日】2016年7月29日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑江 裕
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−142952(JP,U)
【文献】 実開昭55−125156(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/12
A47C 7/38−7/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台となるベース部と、このベース部に支持され患者を所定の診療体位に保持するバックレストと、このバックレストに支持されたヘッドレストと、を有する歯科診療椅子であって、
昇降対象である前記バックレスト及び前記ヘッドレストの少なくとも一方を昇降自在に支持する昇降ブレーキ機構を有し、
前記昇降ブレーキ機構は、
前記昇降対象を移動自在に支持する平行に配設された一対のガイドシャフトと、
このガイドシャフトに対して相対移動自在に支持されたガイドホルダと、
前記昇降対象をバックレストとするバックレストブレーキ機構と、
を備え、
前記一対のガイドシャフトは、一方のガイドシャフトが昇降方向に対して両方向で相対移動自在に前記ガイドホルダを支持すると共に、他方のガイドシャフトには昇降方向に対して一方向で相対移動自在に前記ガイドホルダを支持し、他方向に対する前記ガイドホルダの移動を任意の位置で規制する一方向ブレーキ装置を備え
前記バックレストブレーキ機構は、
前記ベース部に対して前記バックレストを上昇方向に付勢する付勢手段と、
前記バックレストに固定された前記バックレスト用の前記ガイドホルダと、
前記バックレスト用の前記ガイドホルダの上昇方向の移動を規制する前記バックレスト用の前記一方向ブレーキ装置と、
を備えていること、
を特徴とする歯科診療椅子。
【請求項2】
前記昇降ブレーキ機構は、前記昇降対象ヘッドレストとするヘッドレストブレーキ機構を備え、
前記ヘッドレストブレーキ機構は、
記ヘッドレストに連結された前記ヘッドレスト用の前記一対のガイドシャフトと、
記バックレストに固定された前記ヘッドレスト用の前記ガイドホルダと、
前記ヘッドレスト用の前記一対のガイドシャフトの下降方向の移動を規制する前記ヘッドレスト用の前記一方向ブレーキ装置と、
を備えていること、
を特徴とする請求項1に記載の歯科診療椅子。
【請求項3】
前記一方向ブレーキ装置は、
内周部が前記ガイドシャフトに挿入された筒形状のケース体と、
前記内周部に形成されたテーパ部と、
このテーパ部と前記ガイドシャフトの外周面との間に保持されたロック用転動体を保持するリテーナと、
前記ロック用転動体が前記テーパ部に押圧されるように前記リテーナを付勢するばね部材と、
を備えたこと、
を特徴とする請求項1または請求項のいずれか1項に記載の歯科診療椅子。
【請求項4】
前記一方向ブレーキ装置は、前記ガイドホルダの移動の規制を解除するブレーキ解除部材を備えたこと、
を特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の歯科診療椅子。
【請求項5】
前記ブレーキ解除部材は、前記ガイドホルダの移動を規制する方向に押す、あるいは、引いて解除すること
を特徴とする請求項に記載の歯科診療椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科診療椅子は、楽な姿勢で治療ができるようにするために、着座する患者の体形の大きさに応じてヘッドレストを昇降可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の歯科診療椅子は、ヘッドレストに連結されてラチェット歯を有するピストン軸と、ラチェット歯に係合する戻り止め爪を有するシリンダと、ピストン軸がシリンダ内に挿入される方向の動きをロックするロック機構と、を備えている。
【0004】
ロック機構は、ピストンに形成されたラチェット歯と、ピストンを支持する上側シリンダと、上側シリンダを安頭台支柱に連結する下側シリンダと、上側シリンダに形成された傾斜面と、上側シリンダに設けられた支持柱と、支持柱にピン軸で軸支された止め爪と、止め爪を付勢するバネと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3234182号公報(請求項5、段落[0022]〜[0024]、図4及び図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の歯科診療椅子のロック機構は、多数のラチェット歯、及び、溝状に形成された1つの傾斜面と、ラチェット歯及び傾斜面に噛合する止め爪と、止め爪を付勢するバネと、止め爪を揺動自在に支持するリンクとしての支持柱と、でラチェット機構を構成している。このようなラチェット機構を使用したロック機構は、ラチェット歯の間隔に段階的にヘッドレストを調整するものであって、患者の体形に合わせて任意の位置にきめ細かに調整することができないという問題点があった。
【0007】
また、ロック機構は、ヘッドレストを上昇させて高さを調整する場合、ばねに付勢された止め爪がラチェット歯に当たるため、ラチェット音がするという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、患者の体形や体位に合わせてきめ細かな調整をすることができる歯科診療椅子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る歯科診療椅子は、基台となるベース部と、このベース部に支持され患者を所定の診療体位に保持するバックレストと、このバックレストに支持されたヘッドレストと、を有する歯科診療椅子であって、昇降対象である前記バックレスト及び前記ヘッドレストの少なくとも一方を昇降自在に支持する昇降ブレーキ機構を有し、前記昇降ブレーキ機構は、前記昇降対象を移動自在に支持する平行に配設された一対のガイドシャフトと、このガイドシャフトに対して相対移動自在に支持されたガイドホルダと、前記昇降対象をバックレストとするバックレストブレーキ機構と、を備え、前記一対のガイドシャフトは、一方のガイドシャフトが昇降方向に対して両方向で相対移動自在に前記ガイドホルダを支持すると共に、他方のガイドシャフトには昇降方向に対して一方向で相対移動自在に前記ガイドホルダを支持し、他方向に対する前記ガイドホルダの移動を任意の位置で規制する一方向ブレーキ装置を備え、前記バックレストブレーキ機構は、前記ベース部に対して前記バックレストを上昇方向に付勢する付勢手段と、前記バックレストに固定された前記バックレスト用の前記ガイドホルダと、前記バックレスト用の前記ガイドホルダの上昇方向の移動を規制する前記バックレスト用の前記一方向ブレーキ装置と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る歯科診療椅子は、バックレスト及びヘッドレストの少なくとも一方を昇降自在に支持する一対のガイドシャフトを備えていることで、バックレスト及びヘッドレストを安定した状態に昇降・支持させることができる。
本発明に係る歯科診療椅子は、昇降ブレーキ機構において、他方のガイドシャフトに、昇降方向に対して一方向で相対移動自在にガイドホルダを支持し、他方向に対するガイドホルダの移動を任意の位置で規制する一方向ブレーキ装置を備えていることで、バックレスト及びヘッドレストの少なくとも一方の高さを患者の体形や体位に合わせて任意の位置に無段階にきめ細かな調整をすることができる。
また、本発明に係る歯科診療椅子は、バックレストを上昇方向に付勢する付勢手段を備えたことで、バックレストを上昇方向に移動させる際の使用者の負担を軽減することができる。
本発明に係る歯科診療椅子は、一方向ブレーキ装置によって、バックレストに固定されたガイドホルダの上昇方向の移動を規制することで、一方向ブレーキ装置のブレーキを解除すれば、バックレストの下降方向の移動を許容すると共に、付勢手段の付勢力で重力に抗してバックレストを支持しながら上昇方向に移動させることができる。
これにより、バックレストの自重によってバックレストが不用意に下降してしまうことを抑制することができるため、バックレストの高さ調整を容易にして操作性を向上させることができる。
一方、一方向ブレーキ装置のブレーキを作用させれば、バックレストの下降方向の移動を自由に移動可能にして、任意の位置で停止させることができる。
【0011】
また、前記昇降ブレーキ機構は、前記昇降対象ヘッドレストとするヘッドレストブレーキ機構を備え、前記ヘッドレストブレーキ機構は、前記ヘッドレストに連結された前記ヘッドレスト用の前記一対のガイドシャフトと、前記バックレストに固定された前記ヘッドレスト用の前記ガイドホルダと、前記ヘッドレスト用の前記一対のガイドシャフトの下降方向の移動を規制する前記ヘッドレスト用の前記一方向ブレーキ装置と、を備えていることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、歯科診療椅子は、一方向ブレーキ装置によって、ヘッドレストに固定されたガイドホルダの下降方向の移動を規制することで、ヘッドレストの上昇方向の移動を可能にして高さ調整を行うと共に、下降方向の移動に対してはブレーキがかかり不用意な移動を規制する。これにより、シンプルな構造で、かつ操作性を向上させることができる。
【0013】
また、前記一方向ブレーキ装置は、内周部が前記ガイドシャフトに挿入された筒形状のケース体と、前記内周部に形成されたテーパ部と、このテーパ部と前記ガイドシャフトの外周面との間に保持されたロック用転動体を保持するリテーナと、前記ロック用転動体が前記テーパ部に押圧されるように前記リテーナを付勢するばね部材と、を備えたことが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、歯科診療椅子は、一方向ブレーキ装置によって、ばね部材に付勢されたリテーナが、テーパ部とガイドシャフトの外周面との間に保持されたロック用転動体を保持している。ロック用転動体は、テーパ部を押圧する方向の力が作用した場合、転がり接触による食い込み作用でケース体が動かないように保持し続ける。ロック用転動体は、テーパ部から離間する方向の力が作用した場合、ロック用転動体がテーパ部に当接しないため、ケース体が動いてガイドシャフトの摺動を許容する。本発明に係る歯科診療椅子は、テーパ部とロック用転動体というシンプルな構造によって、バックレスト及びヘッドレストの少なくとも一方の高さを患者の体形や体位に合わせて任意の位置に無段階にきめ細かな調整をすることができる。また、特許文献1に記載されているようなラチェット機構を使用したものと比較して、ラチェット音が発生しないため、静かである。
【0015】
また、前記一方向ブレーキ装置は、前記ガイドホルダの移動の規制を解除するブレーキ解除部材を備えたことが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、一方向ブレーキ装置は、ブレーキ解除部材を備えたことによって、ガイドホルダの移動を規制する方向に押す、あるいは、引いて解除するので、バックレストあるいはヘッドレストを動作させたい方向と同じ方向に動かして解除操作することができる。このため、ブレーキ解除部材は、感覚的な操作でわかり易くし、誤操作を防ぐことができる
【0017】
また、前記ブレーキ解除部材は、前記ガイドホルダの移動を規制する方向に押す、あるいは、引いて解除することが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、ブレーキ解除部材は、バックレストあるいはヘッドレストを動作させたい方向と同じ方向に動かして解除操作することができるので、感覚的な操作でわかり易くし、誤操作を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、患者の体形や体位に合わせてきめ細かな調整をすることができる歯科診療椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る歯科診療椅子を示す斜視図である。
図2】歯科診療椅子のバックレスト及びヘッドレストの駆動部を示す背面図である。
図3】歯科診療椅子のバックレスト及びヘッドレストの昇降ブレーキ機構を示す拡大斜視図である。
図4】歯科診療椅子のバックレスト及びヘッドレストの側面図である。
図5図2のV−V断面図である。
図6】バックレスト用の一方向ブレーキ装置を示す図であり、(a)はロック時の状態を示す要部概略拡大断面図、(b)はフリー時の状態を示す要部概略拡大断面図である。
図7】ヘッドレスト用の一方向ブレーキ装置を示す図であり、(a)はロック時の状態を示す要部概略拡大断面図、(b)はフリー時の状態を示す要部概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図7を参照して、本発明の実施形態に係る歯科診療椅子を説明する。
なお、本実施形態では、図1に示す歯科診療椅子DCにおいて、座部11側を前方向、背板支柱21側を後方向として説明する。また、各部品においても同様とする。
【0022】
≪歯科診療椅子≫
図1に示す歯科診療椅子DCは、歯科の治療時に使用される医療用椅子である。歯科診療椅子DCは、基台となるベース部1と、ベース部1に支持されたバックレスト2と、バックレスト2に支持されたヘッドレスト3と、昇降対象であるバックレスト2及びヘッドレスト3を昇降自在に支持する昇降ブレーキ機構BMと、を有している。
【0023】
≪ベース部≫
ベース部1は、例えば、患者M(図2参照)が着座する座部11である。ベース部1(座部11)は、台座10上に支持されている。
【0024】
≪バックレスト≫
バックレスト2は、座部11に着座した患者Mの背部を支えて、患者Mを所定の診療体位に保持するために部位である(図2参照)。バックレスト2は、背板支柱21及び背板翼部22から成る背板部23と、背板部23を覆うように配設されたクッション部24と、クッション部24を覆う表皮25と、背板支柱21に設けられた前記昇降ブレーキ機構BMと、を備えている。バックレスト2は、背面視して略矩形の厚板状に形成されている。バックレスト2は、左右方向において背板支柱21から遠い方が前方へ向かうように湾曲して形成された湾曲部2aと、上部左右の隅に患者Mの肩Maを支持する部分をえぐるように切り欠いた切欠部2bと、を有している(図2参照)。
【0025】
図5に示すように、湾曲部2aは、平面視して中央部が窪んで、左右両端部が前方向に膨出した状態に略円弧状に形成された部位である。湾曲部2aは、患者Mの背中部分を支持した状態で、患者Mの体形に応じて前後方向に撓む可撓性を有している(図2参照)。
【0026】
図2に示すように、切欠部2bは、着座した患者Mの肩甲骨Mbが重なる位置に、半径R1の円弧状に切欠形成された部位である。切欠部2bは、下方に向かうに連れてバックレスト2の幅L1(バックレスト2の上端部の幅)が幅L2(バックレスト2の中央部の幅)に広がるように内側方向に凹んで湾曲するように形成されている。
【0027】
<背板支柱>
背板支柱21は、バックレスト2を背面側から支持すると共に、座部11に着座した患者Mの背骨部分を背面側に支持するように配置された支柱部材である。背板支柱21は、ベース部1に傾倒可能に立設されている。このため、バックレスト2は、背板支柱21によってベース部1に対して傾倒可能に配置されている。背板支柱21は、背板翼部22の中央部に上下方向に延設されたバックレスト取付板211と、バックレスト取付板211からベース部1に亘って設けられた支柱本体212と、バックレスト取付板211を覆う外ケース213と、を有している。
【0028】
図2に示すように、バックレスト取付板211は、昇降ブレーキ機構BMの各部材が設置される金属製板部材である。バックレスト取付板211は、背面視して上下方向に長い矩形に形成され、平面視してコ字状(略U字状)に折曲形成されている(図3参照)。バックレスト取付板211は、背板翼部22の中央部上端から中央部下端に亘って配置されている。
【0029】
支柱本体212は、バックレスト取付板211とベース部1とを連結する柱状の金属製の連結部材である。
外ケース213(図1参照)は、バックレスト取付板211に設置された昇降ブレーキ機構BMを覆うカバーである。外ケース213(図1参照)は、バックレスト取付板211とで昇降ブレーキ機構BMを収容するケース半体を構成している。
【0030】
<背板翼部>
図2に示すように、背板翼部22は、背面視して切欠部2bを有するバックレスト2と同じ略四角形(略矩形形状)に形成されて、バックレスト2よりも小さく形成された板状の骨格部材である。背板翼部22は、背板支柱21にボルト締めされる上下方向に長い矩形の固定板部22aと、固定板部22aから左右方向に延出して形成された翼部22bと、を有している。
図5に示すように、背板翼部22は、ポリプロピレン等の樹脂によって形成されて前後方向に弾性変形する弾性を有している。この背板翼部22は、バックレスト2において、クッション部24を支持する芯材の役目を果す。
【0031】
背板部23は、背板翼部22の背面全体を覆うように被着された薄板状のカバー部材である。
【0032】
クッション部24は、芯材である背板翼部22の上に敷設するように設けられたクッション層を形成する弾性体である。クッション部24は、ウレタン等の樹脂によって形成されている。クッション部24は、患者Mの腰の部分を支持するランバーサポート24aを有している。
ランバーサポート24aは、クッション部24の厚みを厚くした隆起部(図示省略)によって形成されている。
表皮25は、クッション部24の表面を覆う樹脂製または革製のカバー部材である。
【0033】
≪ヘッドレスト≫
図2に示すように、ヘッドレスト3は、座部11に着座した患者Mの頭部を支えて保持するために部位である。ヘッドレスト3は、仰臥診療をする患者Mに無理のない体勢をとらせるために、ヘッドレスト3を昇降させるヘッドレストブレーキ機構5と、ヘッドレスト3を傾斜させる頭部傾斜手段30と、を備えている。
【0034】
<頭部傾斜手段>
図3に示すように、頭部傾斜手段30は、ヘッドレスト基体31の後面に設けられたヘッドレスト基体31と、ヘッドレスト基体31の中央部に設けられたヘッドレストアーム部32と、ヘッドレスト連結用の可動連結部材33と、ヘッドレスト傾動用のレバー部材34と、を備えている。
【0035】
ヘッドレスト基体31は、ヘッドレスト3の後面側を形成するヘッドレスト本体基台である。ヘッドレスト基体31の中央部には、ヘッドレストアーム部32に上端部に形成された軸部32aを回動自在に軸支する軸支部31aが設けられている。
ヘッドレストアーム部32は、上端部に前記軸部32aを有し、下端部に可動連結部材33の軸受部33aに回動自在に軸支される軸部32bを有した連結部材である。
【0036】
可動連結部材33は、ヘッドレストアーム部32の下端部と、ガイドシャフト51,52の上端部と、を回動可能に連結する部材である。可動連結部材33は、背面視して凹形状に形成されている。可動連結部材33は、左右上端部に前記軸受部33aを有し、下端部にガイドシャフト51,52にねじ止めするための連結板部33bを有している。
レバー部材34は、ヘッドレストアーム部32に取り付けられて、ヘッドレスト基体31を傾けるために操作を行う把手である。
【0037】
≪昇降ブレーキ機構≫
図3に示すように、昇降ブレーキ機構BMは、バックレスト2を任意の高さに無段階に調整して保持するバックレストブレーキ機構4と、ヘッドレスト3を任意の高さに無段階に調整して保持するヘッドレストブレーキ機構5と、から構成されている。この昇降ブレーキ機構BMにおいて、バックレストブレーキ機構4とヘッドレストブレーキ機構5とは、一方向ブレーキ装置40,50と、一対のガイドシャフト41,42,51,52と、一対のガイドホルダ43,53と、リンク機構44,54と、ブレーキ解除部材45,55と、を備えている点で共通している。昇降ブレーキ機構BMは、バックレスト取付板211の背面に取り付けられている。
【0038】
<バックレストブレーキ機構>
図3に示すように、バックレストブレーキ機構4の昇降対象は、バックレスト2である。バックレストブレーキ機構4(昇降ブレーキ機構BM)は、一方向ブレーキ装置40と、ガイドシャフト41,42と、ガイドホルダ43と、リンク機構44と、ブレーキ解除部材45と、付勢手段47と、を有している。
【0039】
バックレストブレーキ機構4は、付勢手段47によって常に上方向に付勢されているバックレスト2を2本のガイドシャフト41,42で支え、1本のガイドシャフト41を一方向ブレーキ装置40で保持することで、バックレスト2の落下を防止する装置である。バックレストブレーキ機構4は、ブレーキ解除部材45を引き上げ操作することで、リンク機構44を介してブレーキを解除して、バックレスト2の自重に抗して付勢手段47でバックレスト2を自動的に上昇させるように構成されている。
【0040】
<一方向ブレーキ装置>
一方向ブレーキ装置40は、バックレスト2を一方方向(下方向)にのみ自由にスライド移動可能にし、他方方向(上方向)にはブレーキが掛かって、解除しない限りスライド移動しないようにした装置である。一方向ブレーキ装置40は、ガイドホルダ43の上昇方向の移動を任意の位置で規制する装置である。一方向ブレーキ装置40は、連結されたガイドホルダ43の移動も規制する。図6(a)、(b)に示すように、一方向ブレーキ装置40は、ケース体401と、テーパ部402と、リテーナ404と、ばね部材405と、リンク機構44と、を備えて構成されている。
【0041】
ケース体401は、ガイドシャフト41をリテーナ404を介して内周部に上下動自在に挿入した筒形状の金属製部材である。
テーパ部402は、そのケース体401の内壁の中央部に形成されて、ロック時にロック用転動体403が当接する部位である。
【0042】
ロック用転動体403は、ケース体401とガイドシャフト41との間に介在されると共に、リテーナ404の支持孔404a内に支持されてリテーナ404と一緒に上下動する鋼球である。
【0043】
リテーナ404は、テーパ部402とガイドシャフト41の外周面との間に保持されたロック用転動体403を保持する支持孔404aを有する円筒状の部材である。リテーナ404は、ガイドシャフト41とケース体401との間に上下動可能に配置されている
【0044】
ばね部材405は、ロック用転動体403がテーパ部402に押圧されるようにリテーナ404を付勢する部材であり、例えば、圧縮コイルばねから成る。
図3に示すように、リンク機構44は、ブレーキ解除部材45に連結されて連動する部材であり、後で詳述する。
【0045】
ガイドシャフト41,42は、バックレスト2を上下方向に移動自在に支持する平行に配設された一対の管状部材である。ガイドシャフト41,42は、ヘッドレストブレーキ機構5の左右両側において、支柱本体212の上端に設けられたシャフト支持部材46からガイドホルダ43、一方向ブレーキ装置40及びリンク機構44を挿通して、上下方向に向けて延設されている。一対のガイドシャフト41,42は、ベース部1に対して背板支柱21を介して固定されている。
【0046】
右側のガイドシャフト41は、昇降方向に対して両方向に相対移動自在にガイドホルダ43に支持されている。その右側のガイドシャフト41は、ロック時に、一方向ブレーキ装置40により昇降方向に対して下方向の移動が規制されて上方向の移動が可能であり、アンロック時に、一方向ブレーキ装置40による規制が解除される。
左側のガイドシャフト42には、昇降方向に対して常に両方向に相対移動自在にガイドホルダ48に支持されている。
【0047】
ガイドホルダ43は、ガイドシャフト41,42に対して相対移動自在(上下動自在)に支持する支持部材である。ガイドホルダ43は、バックレスト2に背板支柱21を介して固定されている。
【0048】
リンク機構44は、ブレーキ解除部材45を一方向ブレーキ装置40を介してガイドホルダ43に連結する連結部材である。リンク機構44は、ガイドホルダ43とブレーキ解除部材45との間に、ガイドホルダ43に連結されたホルダ取付板部材441と、ブレーキ機構取付板部材442と、軸支ピン443と、可動プレート444と、ブレーキ解除部材45に固定された操作部連結部材445と、を連設して構成されている。
【0049】
ホルダ取付板部材441は、下端をガイドホルダ43に連結し、中央部の貫通孔441aを一方向ブレーキ装置40のケース体401を内嵌し、上端の舌片441bを軸支ピン443でブレーキ機構取付板部材442に回動自在に連結した部材である。ホルダ取付板部材441は、側面視して略L字状に折曲形成された金属製板部材から成る。
貫通孔441aには、一方向ブレーキ装置40のケース体401(図6参照)が内嵌されている。
舌片441bは、ホルダ取付板部材441の上端右側の前後から上方向にそれぞれ突出した一対の支軸片から成る。
【0050】
ブレーキ機構取付板部材442は、下端部の舌片442aを軸支ピン443でホルダ取付板部材441に回動自在に連結し、中央の平板部の遊挿入孔442bにガイドシャフト41を遊挿し、上端部の折曲片(図示省略)を可動プレート444に固定している。
舌片442aは、ブレーキ機構取付板部材442の右側前後端部から下方向にそれぞれ突出した一対の軸支片から成る。
遊挿入孔442bの下側には、一方向ブレーキ装置40のケース体401(図6参照)が当接した状態に設置されている。
【0051】
軸支ピン443は、ホルダ取付板部材441の一対の舌片441bにそれぞれ穿設された軸孔と、ブレーキ機構取付板部材442の一対の舌片442aにそれぞれ穿設された軸孔と、に軸挿して両端部を止め輪で固定されている。
【0052】
可動プレート444は、背面視して、中央部を回動軸部444aでバックレスト取付板211に軸支し、左端部をブレーキ機構取付板部材442に連結し、右端部を操作部連結部材445に連結して、回動軸部444aを中心として揺動可能な板部材である。
【0053】
操作部連結部材445は、上下方向に向けて延設された略帯状の板部材である。操作部連結部材445は、下端部が可動プレート444に回動自在に連結され、上端部がブレーキ解除部材45の下端に連結されている。
【0054】
ブレーキ解除部材45は、バックレストブレーキ機構4(一方向ブレーキ装置40)によって連結されたバックレスト2と背板支柱21との連結状態を解除するための操作部材である。ブレーキ解除部材45は、上方向(矢印a方向)に引き上げ操作すると、一方向ブレーキ装置40が解除されて、付勢手段47の付勢力でバックレスト2を自動的に上昇させることが可能にする。
【0055】
シャフト支持部材46は、ガイドシャフト51,52の下端を背板支柱21にボルト締めして固定するための固定部材である。シャフト支持部材46は、背面視して凹形状に形成されて、下面が支柱本体212の上端に連結されている。
【0056】
付勢手段47は、バックレストブレーキ機構4が解除されたときに、バックレスト2を上昇させるための押圧駆動装置である。付勢手段47は、例えば、圧縮空気の弾性を利用してバックレスト2を押し上げるばね装置であって、例えば、ガススプリング等のダンパから成る。なお、付勢手段47は、バックレストブレーキ機構4が解除されたときに、バックレスト2を上昇させることが可能な装置であればよく、その構造、形状等は特に限定されない。付勢手段47は、例えば、ばねや油圧を利用したものでもい。
付勢手段47は、下端部がダンパホルダ49及びシャフト支持部材46を介して支柱本体212に連結され、上端部がガイドホルダ53及びバックレスト取付板211を介してバックレスト2に固定されている。
【0057】
左側のガイドホルダ48は、一方向ブレーキ装置40が配置されていないガイドシャフト42を上下動自在に支持する支持部材である。ガイドホルダ48は、バックレスト取付板211にねじ止めされている。
【0058】
ダンパホルダ49は、付勢手段47の下端部と、ガイドシャフト51,52の下端部と、を保持する部材である。ダンパホルダ49は、シャフト支持部材46の凹形状部分内に設置されている。
【0059】
<ヘッドレストブレーキ機構>
図3に示すように、ヘッドレストブレーキ機構5(昇降ブレーキ機構BM)の昇降対象は、ヘッドレスト3である。ヘッドレストブレーキ機構5は、一方向ブレーキ装置50と、ガイドシャフト51,52と、ガイドホルダ53と、リンク機構54と、ブレーキ解除部材55と、を有している。ヘッドレストブレーキ機構5は、ヘッドレスト3を2本のガイドシャフト51,52で支え、1本のガイドシャフト51を一方向ブレーキ装置50で保持することで、ヘッドレスト3の落下を防止する装置である。
【0060】
<一方向ブレーキ装置>
そのヘッドレスト用の一方向ブレーキ装置50は、ガイドホルダ53の下降方向の移動を規制する装置である。つまり、一方向ブレーキ装置50は、一方方向にのみ自由にスライド移動可能にし、他方方向にはブレーキがかかり、解除しない限り反対方向に移動しないように構成されている。換言すると、一方向ブレーキ装置50は、ヘッドレスト3の上昇方向に、自由にスライド移動し、下降方向にはブレーキ解除部材55を操作しない限り下降することが無いように構成されている。
【0061】
図7(a)、(b)に示すように、一方向ブレーキ装置50は、バックレスト用の一方向ブレーキ装置40と同様に構成されている。つまり、一方向ブレーキ装置50は、ケース体501と、テーパ部502と、リテーナ504と、ばね部材505と、リンク機構54と、を備えている。
【0062】
ケース体501は、ガイドシャフト51をリテーナ504を介して内周部に上下動自在に挿入した筒形状の金属製部材である。
テーパ部502は、そのケース体501の内壁の中央部に形成されて、ロック時にロック用転動体503が当接する部位である。
【0063】
ロック用転動体503は、ケース体501とガイドシャフト51との間に介在されると共に、リテーナ504の支持孔504a内に支持されてリテーナ504と一緒に上下動する鋼球である。
【0064】
リテーナ504は、テーパ部502とガイドシャフト51の外周面との間に保持されたロック用転動体503を保持する支持孔504aを有する円筒状の部材である。リテーナ504は、ガイドシャフト51とケース体501との間に上下動可能に配置されている
ばね部材505は、ロック用転動体503がテーパ部502に押圧されるようにリテーナ504を付勢する部材であり、例えば、圧縮コイルばねから成る。
【0065】
図3に示すように、ガイドシャフト51,52は、ヘッドレスト3を上下方向に移動自在に支持する平行に配設された一対の管状部材である。ガイドシャフト51,52は、バックレストブレーキ機構4が配置された部位の中央部側に配置されて、下端が、支柱本体212の上端のシャフト支持部材46に配置されたダンパホルダ49に連結され、上端が、ヘッドレスト3の可動連結部材33に連結されている。一対のガイドシャフト51,52は、バックレスト取付板211に対してガイドホルダ53に上下方向に移動自在に連結されている。
【0066】
左側のガイドシャフト51の中央部位は、下方向からガイドホルダ53、一方向ブレーキ装置50のケース体501、及び、リンク機構54を挿通して、上下方向に向けて延設されている。左側のガイドシャフト51は、ロック時に、一方向ブレーキ装置40によって昇降方向に対して下方向の移動が規制されて上方向の移動が可能であり、アンロック時に、一方向ブレーキ装置40による規制が解除されて両方向に移動が可能となる。
右側のガイドシャフト52は、昇降方向に対して常に両方向に相対移動自在にガイドホルダ53に支持されている。
【0067】
ガイドホルダ53は、ガイドシャフト51,52に対して相対移動自在に支持する支持部材である。ガイドホルダ53は、バックレスト2にバックレスト取付板211を介して固定されている。
【0068】
リンク機構54は、ブレーキ解除部材55を一方向ブレーキ装置50を介してガイドホルダ43に連結する連結部材である。リンク機構54は、下側から上方向に向けて、ガイドホルダ53に連結されたホルダ取付板部材541と、ブレーキ解除部材55に連結されたブレーキ機構取付板部材542と、ホルダ取付板部材541とブレーキ機構取付板部材542とを連結した軸支ピン543と、を備えて構成されている。
【0069】
ホルダ取付板部材541は、下端をガイドホルダ53に連結し、中央部の一方向ブレーキ装置50を取り付けるための貫通孔541aを有し、上端の舌片541bを軸支ピン543でブレーキ機構取付板部材542に回動自在に連結した部材である。ホルダ取付板部材541は、側面視して略L字状に折曲形成された金属製板部材から成る。
貫通孔541aには、一方向ブレーキ装置50のケース体501(図6参照)が内嵌されている。
舌片541bは、ホルダ取付板部材541の上端右側の前後から上方向にそれぞれ突出した一対の軸支片から成る。
【0070】
ブレーキ機構取付板部材542は、下端部の舌片542aを軸支ピン543でホルダ取付板部材541に回動自在に連結し、中央の平板部の遊挿入孔542bにガイドシャフト51を遊挿し、上端部の折曲片(図示省略)をブレーキ解除部材55に固定している。
舌片542aは、ブレーキ機構取付板部材542の右側前後端部から下方向にそれぞれ突出した一対の軸支片から成る。
遊挿入孔542bの下側には、一方向ブレーキ装置50のケース体501(図6参照)が当接した状態に設置されている。
【0071】
軸支ピン543は、ホルダ取付板部材541の一対の舌片541bにそれぞれ穿設された軸孔と、ブレーキ機構取付板部材542の一対の舌片542aにそれぞれ穿設された軸孔と、に軸挿して両端部を止め輪で固定されている。
【0072】
ブレーキ解除部材55は、ヘッドレストブレーキ機構5(一方向ブレーキ装置50)によって連結されたヘッドレスト3のガイドシャフト51と、バックレスト取付板211に固定されたガイドホルダ53との連結状態を解除するための操作部材である。ブレーキ解除部材55は、下方向(矢印e方向)に押し下げ操作すると、一方向ブレーキ装置50が解除されて、下降させることが可能になる。
【0073】
<作用>
次に、図1図7を参照しながら本実施形態に係る歯科診療椅子DCの作用を説明する。
【0074】
<平常時のバックレスト及びヘッドレスト>
歯科診療椅子DCにおいて、バックレストブレーキ機構4及びヘッドレストブレーキ機構5は、平常時に、図6(a)及び図7(a)に示すように、ばね部材405,505に付勢されたリテーナ404,504が、ロック用転動体403,503をテーパ部402,502に押し当てられている。このため、ロック用転動体403,503は、テーパ部402,502とガイドシャフト41,51に圧接してばね部材405,505のばね力でガイドシャフト41,51を保持している。
【0075】
<バックレストを下方向に押圧した場合>
図3に示すバックレスト2を使用者が下方向(矢印e方向)に押圧した場合は、バックレスト2の下降に伴って、バックレスト2と一体化されているバックレスト取付板211に軸支された可動プレート444が下方向(矢印c方向)に移動する。
【0076】
このため、バックレストブレーキ機構4のケース体401上に配置されたブレーキ機構取付板部材442は、可動プレート444の下降によって、下方向(矢印d方向)に移動する力がかかるので、図6(b)に示すように、ケース体401を下方向(矢印i方向)に移動させてアンロック状態にさせる。
【0077】
つまり、ケース体401は、テーパ部402から離間する方向の力が作用して移動するので、ロック用転動体403がテーパ部402に当接しないため、ケース体401が動いてガイドシャフト41の摺動を許容する。
よって、使用者は、バックレスト2を押し下げることにより、下方向へ自由にスライド移動させることが可能であるので、無段階に高さを調整することができる(図3参照)。
【0078】
<バックレストを上方向に押圧した場合>
使用者が図3に示すバックレスト2を上方向(矢印f方向)に引き上げた場合、バックレスト2の移動に伴って、バックレスト取付板211に軸支されたリンク機構44の可動プレート444も上方向(矢印h方向)に移動し、ブレーキ機構取付板部材442を上方向(矢印j方向)に回動させる。
【0079】
このため、バックレストブレーキ機構4のケース体401上に配置されたブレーキ機構取付板部材442は、上方向(矢印j方向)に移動する力がかかるので、図6(a)に示すロック状態が維持される。つまり、ケース体401は、テーパ部402を押圧する方向の力が作用した場合、ロック用転動体403が転がり接触による食い込み作用でケース体401が動かないように保持し続ける。よって、バックレスト2は、バックレストブレーキ機構4で上方向への移動が抑制されて動かない。
【0080】
<バックレストを上方向に移動させる場合>
使用者は、バックレスト2を上方向に移動させたい場合、図3に示すブレーキ解除部材45を上方向(矢印a方向)に引き上げ操作する。すると、ブレーキ解除部材45は、リンク機構44の操作部連結部材445を上方向(矢印b)に移動させることで、可動プレート444を回動軸部444aを中心に揺動させて、ブレーキ機構取付板部材442側を下方向(矢印c方向)に回動させる。
【0081】
ブレーキ機構取付板部材442が下方向(矢印d方向)に移動することで、図6(b)に示すように、ケース体401は、テーパ部402をロック用転動体403から離間する方向(矢印i方向)に移動する。このため、バックレストブレーキ機構4は、一方向へのブレーキ状態から解放されて、図3に示すバックレスト2の上方向(矢印f方向)の移動を可能にする。
よって、バックレスト2は、ブレーキ解除部材45を操作してバックレストブレーキ機構4のロック状態を解除することで、上方向下方向へ自由に移動させて、患者Mの座高の高さに合わせることが可能である。
また、使用者がブレーキ解除部材45から手を放すと、図6(a)に示すように、ばね部材405のばね力で、直ぐに自動的にロック状態となる。
【0082】
このように昇降ブレーキ機構BMは、バックレスト2に固定されたガイドホルダ43の上昇方向の移動を規制する一方向ブレーキ装置40から成ることで、バックレスト2の下降方向の移動を自由に移動可能にして任意の位置で停止させることができる。また、上昇方向の移動時には、ブレーキがかかり上昇移動を規制する。
【0083】
また、昇降ブレーキ機構BMは、ベース部1に対してバックレスト2を上昇方向に付勢する付勢手段47を備えていることで、付勢手段47によって常にバックレスト2を上昇させる付勢力が働くが、一方向ブレーキ装置40でバックレスト2の上昇を抑制することができる。そして、バックレスト2を上昇させる場合には、一方向ブレーキ装置40のブレーキを解除させれば、付勢手段47の付勢力でバックレスト2を上昇させることができる。
【0084】
また、付勢手段7は、付勢力で重力に抗してバックレスト2を支持することができるので、バックレスト2が自重によって不用意に下降してしまうことを抑制することができる。このため、バックレスト2を上昇方向に移動させる際の使用者の負担を軽減することができる。
これにより、歯科診療椅子DCは、部品点数が少なく、シンプルな構造で、バックレスト2の昇降を補助することができる。
【0085】
<ヘッドレストを下方向に押圧した場合>
使用者が図3に示すヘッドレスト3を下方向(矢印k方向)に押圧した場合、ヘッドレスト3の下降に伴って、ヘッドレストアーム部32、可動連結部材33を介してガイドシャフト51,52が下方向(矢印n方向)に押し下げられる。
ガイドシャフト51が下方向に移動することで、図7(a)に示すように、ロック用転動体503には、下方向(矢印o方向)に移動する力がかかるので、テーパ部402に押圧されるため、ブレーキがかかりロック状態が維持される。
よって、ヘッドレスト3は、下方向へ移動が抑制される(図3参照)。
【0086】
<ヘッドレストを下方向に移動させる場合>
使用者は、ヘッドレスト3を下方向に移動させたい場合、図3に示すブレーキ解除部材55を下方向(矢印p方向)に押し下げ操作する。すると、ブレーキ解除部材55は、ブレーキ機構取付板部材542を軸支ピン543を中心に下方向(矢印q方向)に回動させる。
【0087】
ブレーキ機構取付板部材542が下方向(矢印q方向)に回動することで、図7(b)に示すように、ケース体501は、テーパ部502をロック用転動体503から離間する方向(矢印r方向)に移動する。このため、ヘッドレストブレーキ機構5は、一方向へのブレーキ状態から解放されて、ヘッドレスト3の上下方向(矢印n,s方向)の移動を可能にする。
よって、ヘッドレスト3は、ブレーキ解除部材55を操作してヘッドレストブレーキ機構5のロック状態から解除することで、上下方向へ自由に移動させて、ヘッドレスト3の位置を患者Mの頭部の高さに合わせて調整することが可能である(図3参照)。
また、ブレーキ解除部材55から手を放すと、図7(a)に示すように、ばね部材505のばね力で、直ぐに自動的にロック状態となる。
【0088】
<ヘッドレストを上方向に引き上げた場合>
図3に示すように、使用者がヘッドレスト3を上方向(矢印m方向)に引き上げると、ヘッドレスト3の上昇に伴って、ヘッドレストアーム部32、可動連結部材33を介してガイドシャフト51,52が上昇する。
ガイドシャフト51が上方向(矢印s方向)に移動することで、図7(b)に示すように、ロック用転動体503には、上方向(矢印t方向)に移動する力がかかって、ばね部材505に抗してリテーナ404共に上昇してテーパ部402から離間するため、アンロック状態となる。
よって、ヘッドレスト3は、上方向へ自由にスライド移動させることができる(図3参照)。
【0089】
このように昇降ブレーキ機構はBMは、ヘッドレスト3に固定されたガイドホルダ53の下降方向の移動を規制する一方向ブレーキ装置50から成ることで、ヘッドレスト3の上昇方向の移動を可能にして高さ調整を行うことができる。また、下降方向の移動時には、ブレーキがかかり下降方向の移動を規制するので、不用意な移動を規制する
これにより、歯科診療椅子DCは、部品点数が少なく、シンプルな構造で、かつ、操作性を向上させることができる。
【0090】
この場合、歯科診療椅子DCは、バックレスト2とヘッドレスト3を昇降自在に支持する一対のガイドシャフト41,42,51,52を備えていることで、バックレスト2及びヘッドレスト3を安定した状態に昇降・支持させることができる。
また、昇降ブレーキ機BMは、一方のガイドシャフト41,51に、昇降方向に対して一方向で相対移動自在にガイドホルダ43,53を支持し、他方向に対するガイドホルダ43,53の移動を任意の位置で規制する一方向ブレーキ装置40,50を備えている。このため、バックレスト2及びヘッドレスト3の高さを患者Mの体形やや体位に合わせて任意の位置に無段階にきめ細かな調整することができる。
【0091】
また、ブレーキ解除部材45,5は、ガイドホルダ43,54の移動を規制する方向に押す、あるいは、引いて解除するので、バックレスト2あるいはヘッドレスト3を動作させたい方向と同じ方向に動かして解除操作することができる。このため、ブレーキ解除部材45,5は、感覚的な操作でわかり易くし、誤操作を防ぐことができる。
【0092】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0093】
例えば、図3に示すリンク機構44は、一例であって適宜変更しても構わない。
また、昇降ブレーキ機構BMの一方向ブレーキ装置40,50は、図6(a)、(b)及び図7(a)、(b)に示すものに限定されるものでは無く、一方向に対してブレーキ機能があればよく、市販の物や、他の構造のものであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 ベース部
2 バックレスト
3 ヘッドレスト
4 バックレストブレーキ機構
5 ヘッドレストブレーキ機構
40,50 一方向ブレーキ装置
41,42,51,52 ガイドシャフト
43,53 ガイドホルダ
47 付勢手段
45,5 ブレーキ解除部材
401,501 ケース体
402,502 テーパ部
403,503 ロック用転動体
404,504 リテーナ
405,505 ばね部材
BM 昇降ブレーキ機構
DC 歯科診療椅子
M 患者
【要約】
【課題】患者の体形や体位に合わせてきめ細かな調整をすることができる歯科診療椅子を提供すること。
【解決手段】歯科診療椅子DCの昇降ブレーキ機構BMは、平行に配設されたガイドシャフト41,42,51,52と、ガイドシャフト41,42,51,52に対して相対移動自在に支持されたガイドホルダ43,53と、を備えている。ガイドシャフト41,42,51,52は、ガイドシャフト41,51が昇降方向に対して両方向で相対移動自在にガイドホルダ43,53を支持すると共に、ガイドシャフト42,52には昇降方向に対して一方向で相対移動自在にガイドホルダ43,53を支持し、他方向に対するガイドホルダ43,53の移動を任意の位置で規制する一方向ブレーキ装置40,50を備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7