特許第6204557号(P6204557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204557アゼチジニルオキシフェニルピロリジン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204557
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】アゼチジニルオキシフェニルピロリジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/14 20060101AFI20170914BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALN20170914BHJP
   A61P 13/10 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   C07D405/14CSP
   C07D401/14
   !A61K31/4439
   !A61P13/10
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-189812(P2016-189812)
(22)【出願日】2016年9月28日
(62)【分割の表示】特願2015-561688(P2015-561688)の分割
【原出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2016-216517(P2016-216517A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年10月26日
(31)【優先権主張番号】61/778,546
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ジー・デン
(72)【発明者】
【氏名】ダンウェン・フアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・オー・オディンゴ
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−519135(JP,A)
【文献】 特表2003−519122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物
【化1】
(式中、Rは水素またはメチルである)。
【請求項2】
以下の構造式で示される(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−{[1−(5−メチルピリジン−2−イル)アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノールである、請求項1に記載の化合物。
【化2】
【請求項3】
以下の式の化合物
【化3】
(式中、Rは水素またはメチルである)
を製造する方法であって、以下の式の化合物
【化4】
(式中、Rは水素またはメチルである)
と、塩酸及び酢酸からなる群から選択される酸とを反応させる工程を含む、方法。
【請求項4】
酸が塩酸である、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアゼチジニルオキシフェニルピロリジン化合物、その医薬組成物、それを使用する方法、およびそれを調製するプロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
過活動膀胱(OAB)は、切迫性尿失禁を患っていても、患っていなくても、頻尿および尿意逼迫の症状を指す、症候的に定義される医学的状態である。OABは、成人の集団の約17パーセントの生活の質および社会的機能に有害な影響を与える状態である。OAB治療について行われている進歩にも関わらず、多くの患者が解決策を持たず、何年もOABに悩まされている。OABの最初の治療は良好な初期反応を有する抗ムスカリン様作用薬であるが、副作用および効果の減少に起因して長期にわたって患者のコンプライアンスを低下させる。安全および効果的なOAB治療について重要で満たされていない必要性が存在する。
【0003】
環状ヌクレオチド(cAMPおよびcGMP)は平滑筋の収縮性を調節する重要な二次メッセンジャーである。環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は環状ヌクレオチドを加水分解し、細胞内部の環状ヌクレオチドの作用のレベルおよび時間を調節するのに重要である。PDEを阻害する化合物は環状ヌクレオチドの細胞レベルを向上させるので、多くの種類の平滑筋を弛緩させる。以前の研究により、膀胱平滑筋の弛緩は主にcAMPを向上させる因子によって媒介されることが示されている。ホスホジエステラーゼ4(PDE4)はcAMP特異的であり、膀胱において豊富に発現される。このように、PDE4は、インビトロでおよび過活動膀胱の動物モデルにおいて膀胱平滑筋の調子を制御するのに関与している(非特許文献1)。
【0004】
本発明の化合物は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)の阻害剤であり、PDE4に対する選択性を実証している。このように、本発明の化合物は、頻度および切迫性などの関連する症状の軽減を含む、過活動膀胱などのPDE4が役割を果たす病態を治療するのに有用であると考えられる。
【0005】
特許文献1は、ホスホジエステラーゼ、特にPDE4の阻害剤として特定のピロリジン(pyrrolindine)誘導化合物を開示しており、その化合物を、喘息を含む複数の疾患を治療するのに有用であると記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/47905号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kaiho,Yら、BJU International 2008、101(5)、615−620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、PDE4の阻害剤であり、それにより過活動膀胱および他の障害の治療に有用である、新規化合物を提供する。提供される化合物は、過活動膀胱などのPDE4に関連する病態の安全性および有効な治療についての必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iの化合物
【化1】

(式中、Rは水素またはメチルである)
またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0010】
式Iの特定の化合物は、Rがメチルであるものまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0011】
式Iの特定の化合物は、(2S)−3−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−(4−メトキシ−3−{[1−(5−メチルピリジン−2−イル)アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオール、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0012】
さらに、本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、医薬組成物はさらに、タダラフィルなどの1種以上の他の治療剤を含む。このように、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩である第1の成分と、タダラフィルである第2の成分と、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、療法に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、過活動膀胱の治療に使用するための式Iの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、過活動膀胱を治療するための医薬を製造するための式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0016】
式Iの特定の化合物は、式Iaの化合物
【化2】
(式中、Rは水素またはメチルである)
またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0017】
式Iの特定の化合物は、Rがメチルであるもの、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0018】
式Iaの特定の化合物は、(2S)−3−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−(4−メトキシ−3−{[1−(5−メチルピリジン−2−イル)アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオール、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0019】
さらに、本発明は、有効量の式Iaの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、過活動膀胱を治療する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、有効量のタダラフィルである第2の成分を組み合わせて、有効量の式Iaの化合物またはその薬学的に許容可能な塩である第1の成分を、それを必要とする患者に投与することを含む、過活動膀胱を治療する方法を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、有効量のタダラフィルと組み合わせて、有効量の(2S)−3−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−(4−メトキシ−3−{[1−(5−メチルピリジン−2−イル)アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオール、またはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、過活動膀胱を治療する方法を提供する。
【0021】
本発明の化合物は立体異性体として存在し得ることは理解される。本発明の実施形態は全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、およびそれらの混合物を含む。好ましい実施形態は単一のジアステレオマーであり、より好ましい実施形態は単一の鏡像異性体である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、式Iの化合物の塩基部分と併せて存在する酸付加塩を含む。このような塩は、薬学的に許容可能な塩、例えば、当業者に公知である、薬学的塩のハンドブック:Properties,Selection and Use、P.H.Stahl and C.G.Wermuth(Eds.)、Wiley−VCH、New York、2002に記載されているものを含む。
【0023】
薬学的に許容可能な塩に加えて、他の塩も本発明に意図される。それらは、化合物の精製もしくは他の薬学的に許容可能な塩の調製における中間体として役立ち得るか、または本発明の化合物を同定、特性付けもしくは精製するのに有用である。
【0024】
本明細書に使用される場合、「患者」という用語は、哺乳動物などの温血動物を指し、ヒトを含む。ヒトが好ましい患者である。
【0025】
また、当業者は、現在、症状を示している患者に、有効量の式Iの化合物を投与することによって過活動膀胱を治療できることを認識する。したがって、「治療」および「治療している」という用語は、既存の障害および/またはその症状の進行を遅延、遮断、停止、抑制または中断し得るが、全ての症状の全ての排除を必ずしも示さなくてもよい、全てのプロセスを指すことを意図する。
【0026】
また、当業者は、将来の症状の危険性のある患者に、有効量の式Iの化合物を投与することによって過活動膀胱を治療できることを認識し、このような予防的治療を含むことを意図する。
【0027】
本明細書に使用される場合、式Iの化合物の「有効量」という用語は、本明細書に記載される過活動膀胱などの障害を治療するのに有効な投薬量である、量を指す。当業者としての担当医は、従来の技術の使用によって、および類似の状況下で得られる結果を観察することによって有効量を容易に決定できる。式Iの化合物の有効量または用量を決定する際に、限定されないが、投与される式Iの化合物;使用される場合、他の薬剤の同時投与;哺乳動物の種;その大きさ、年齢および全体的な健康;過活動膀胱などの障害の関与の程度または重症度;個々の患者の反応;投与様式;投与される製剤の生物学的利用能特性;選択される投与レジメン;他の併用薬の使用;および他の関連状況を含む、複数の要因が考慮される。
【0028】
式Iの化合物は、過活動膀胱を含む、式Iの化合物が有用である疾患または病態の治療/予防/抑制または改善に使用される他の薬物と組み合わされて使用されてもよい。このような他の薬物(複数も含む)は一般的に使用される経路および量によって投与されてもよく、したがって式Iの化合物と同時または連続を含む。式Iの化合物が1種以上の他の薬物と同時に使用される場合、式Iの化合物に加えてこのような他の薬物を含有する薬剤の単位剤形が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物は式Iの化合物に加えて1種以上の他の活性成分を含有するものを含む。別々または同じ薬剤で投与される、式Iの化合物と組み合わせられ得る過活動膀胱の治療に有効な他の活性成分は、タダラフィルなどのPDE5の阻害剤を含む。
【0029】
本発明の化合物は、単独でまたは薬学的に許容可能な担体もしくは賦形剤と組み合わされて医薬組成物の形態で投与されてもよく、それらの割合および性質は、選択される化合物の溶解度および安定性を含む化学特性、選択される投与経路、ならびに標準的な薬務によって決定される。本発明の化合物はそれ自体で有効であるが、また、結晶化の簡便さ、高い溶解度などのために、それらの薬学的に許容可能な塩の形態で製剤化され、投与されてもよい。
【0030】
製剤を調製する当業者は、選択される化合物の特定の特性、治療される障害または病態、障害または病態の段階、および他の関連状況に応じて適切な形態および投与様式を容易に選択できる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、D.B.Troy編、第21版、Lippincott、Williams & Wilkins、2006を参照のこと)。
【0031】
PDE4阻害インビトロアッセイ
ホスホジエステラーゼアッセイを実質的にLoughney,Kら、J.Biol.Chem.、271、pp.796−806(1996)に記載されている方法に従って実施する。PDE4A、PDE4B、PDE4C、PDE4D、およびPDE5ヒト組換えタンパク質を発現させ、内因性PDEを欠いているサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から精製する。ホスホジエステラーゼ酵素を、酵素希釈緩衝液(25mM Tris、pH7.5、0.1mM DTT、5.0mM MgCl、100mM NaCl、5μM ZnSO、100μg/mL BSA)を用いて氷上で希釈して、阻害剤の非存在下で環状ヌクレオチド一リン酸塩(cNMP)の約20%〜40%の加水分解を得る。
【0032】
試験化合物のストック溶液をBeckman BioMek(商標)1000ワークステーションで希釈して、0.5log増分で4.5log単位の濃度範囲に広げる。最終試験システムにおけるDMSO濃度は全てのPDE酵素について2.5%である。試験した最終試験化合物濃度は0.03nM〜1μMの範囲であった。
【0033】
アッセイは、BeckmanBioMek(商標)1000ロボットステーションにおいて96ウェルマイクロタイタープレートフォーマット中で実施する。プレートの各列は、0.5log増分の濃度で4.5log単位に及ぶブランク(酵素なし)、阻害されていない対照、および阻害剤希釈物を含有する10点用量反応曲線を表す。アッセイストック溶液をBiomekリザーバ(水、阻害剤希釈物[2.5%または10%DMSO]、5×PDEアッセイ緩衝液、基質、阻害剤溶液、酵素溶液、ヘビ毒ヌクレオチダーゼおよび炭懸濁液)に充填する。反応を酵素で開始し、30℃にて15分間インキュベートする。次いで過剰なニシダイヤガラガラヘビ(Crotalus atrox)のヘビ毒ヌクレオチダーゼ(5μL/ウェル)を加え、混合物をさらに3分間インキュベートする。200μLの活性炭懸濁液を加えることによって反応を停止し、その後、プレートを750×gにて5分間遠心分離する。200μLの上清を除去し、新たなプレートに入れる、移動プログラムを実施する。リン酸塩として放出された放射線の量をWallac MicroBeta Plate(商標)カウンタで測定する。
【0034】
4−、3−または2−パラメータロジスティック用量反応モデルを使用して各濃度の阻害剤で減少したデータを分析してIC50値を得る。最大阻害剤濃度で>95%阻害を示したデータのこれらのセットに関して、4−パラメータロジスティック用量反応モデルを使用する。
【0035】
上記のアッセイにおいて、化合物実施例1および2はPDE4Bにて10nM未満のIC50を示す。より具体的には、実施例2の化合物は上記のアッセイにおいてPDE4Bにて測定して0.58nMのIC50を有する。これらのデータにより、実施例1および2の化合物がPDE4Bの阻害剤であることが実証される。
【0036】
過活動膀胱インビボモデル
OABに対するPDE4阻害剤のインビボ効果を、Boudesら、Neurourol.Urodynam.2011から適応させた慢性シクロホスファミド(CYP)により誘導される過活動膀胱マウスモデルを用いて研究する。典型的な研究において、約20グラムの体重のメスのC57/Bl6マウス(Harlan Laboratories,Inc.、Indianapolis、Indiana)を使用する。研究の開始の1日前に、マウスを体重で群にランダム化する。マウスを個々に収容し、食品(0.72%Caおよび0.61%P、990IU/g D3を有するTD2014、Teklad(商標)、Madison、WI)および水を自由に取らせて22℃にて12時間明/暗サイクルで維持する。慢性的にOABを誘発するために、動物に1、3、5および7日に100mg/kgにてi.p.投与したシクロホスファミド(生理食塩水に溶解した)を与える。ビヒクル対照群は毎日経口投与したビヒクル(HEC1%/Tween 80 0.25%/消泡剤0.05%)を与えた。全ての他の群に、200μl/マウスの容量にて毎日、0.1、1.0または10.0mg/kgの試験化合物と併用して10mg/kgにてタダラフィルを経口投与する。8日目に、室の下に濾紙を置いて採尿室にマウスを収容する。採尿前に、1ml水の強制経口投与を各マウスに与える。尿を6pm〜10pm(すなわち4時間)に採取する。ゲルカップ(DietGel(商標)76A)を、4時間の間、水源として供給する。濾紙は毎時変更する。Image Jソフトウェア(NIH)を使用して排尿頻度および容量/排尿を算出する。JMP8(登録商標)ソフトウェア(Cary、N.C.)を用いてデータを統計的に分析する。
【0037】
増加した頻尿(偽:6.66±0.91対ビヒクル:16.5±1.65の排尿の数/4時間)および減少した容積/排尿(偽:173.36±38.39mL対ビヒクル:31.93±4.16mL)によって実証されるように動物はCYP処理の8日後にOABを発症する。全ての処置群に一定用量の10mg/kgのタダラフィルを与える。この用量にて、タダラフィルは頻尿または容積/排尿のいずれに対しても有意な活性を有さない。実質的に上記のプロトコルに従って、タダラフィルと共に与えた実施例2の化合物は用量依存的に頻尿を有意に減少させる(表1)。さらに、容量/排尿の増加もまた、用量依存的に観察される(表2)。これにより、タダラフィルと併用した実施例2の化合物が過活動膀胱の動物モデルにおいて活性であることが実証される。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
式Iの化合物は、構造的に類似の化合物を生成するために化学分野で公知のプロセスによって、または本明細書に記載される新規プロセスによって調製できる。式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩および式Iの化合物を製造するための新規中間体の調製方法は、本発明のさらなる特徴を提供し、他に指定されない限り、置換基Rの意味が上記に定義されている、以下の手順によって例示される。
【0041】
一般に、Rが水素またはメチルである式Iaの化合物は、1,2−ジオール基がアセトニドなどの適切な基で保護される式IIの化合物から調製できる(スキーム1)。より具体的には、式IIの化合物は適切な溶媒中で塩酸または酢酸などの酸と反応して、式Iaの化合物を生じる。適切な溶媒は水、メタノールおよびアセトニトリルを含む。Rが水素またはメチルである式IIの化合物は、適切な塩基の存在下で式IIIの化合物を式IVの化合物(Lはフルオロまたはクロロなどの適切な離脱基を表す)と反応することによって調製できる。適切な塩基は炭酸カリウムおよび炭酸セシウムを含む。反応はN−メチル−2−ピロリドンまたはアセトニトリル(acetonitirile)などの溶媒中で簡便に実施される。
【0042】
式IIIの化合物は、アゼチジンアミンがジフェニルメチルなどの適切な基で保護される式Vの化合物から調製できる。より具体的には、式Vの化合物はパラジウム炭素などの適切な触媒の存在下で水素ガスと反応して式IIIの化合物を生じる。この反応はメタノールまたはエタノールなどの溶媒中で簡便に実施される。
【0043】
式Vの化合物は、適切な塩基の存在下で式VIの化合物を1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イルメタンスルホネートと反応することによって調製できる。適切な塩基は炭酸カリウムおよび炭酸セシウムを含む。この反応はアセトニトリルなどの適切な溶媒中で簡便に実施される。
【0044】
【化3】
【0045】
あるいは、式IIの化合物は式VIの化合物から直接調製できる(スキーム2)。より具体的には、式VIの化合物は炭酸セシウムなどの適切な塩基の存在下で式VIIの化合物(Rは水素またはメチルであり、OMsは離脱基メタンスルホニルを表す)と反応する。この反応はアセトニトリルなどの適切な溶媒中で簡便に実施される。
【0046】
式VIIの化合物は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で式VIIIの化合物をメタンスルホニルクロリドと反応することによって調製できる。この反応は塩化メチレンなどの適切な溶媒中で簡便に実施される。Rが水素またはメチルである式VIIIの化合物は、適切な塩基の存在下で式IVの化合物(Lはフルオロまたはクロロなどの適切な離脱基を表す)を3−ヒドロキシアゼチジンと反応させることによって調製できる。適切な塩基は炭酸カリウムを含む。この反応は適切な溶媒中で簡便に実施される。
【0047】
【化4】
【0048】
式VIの化合物は、国際公開第01/47905に開示されているものおよびNichols,P.J.;DeMattei,J.A.;Barnett,B.R.;LeFur,N.A.;Chuang,T.;Piscopio,A.D.;Kock,K.Org.Lett.2006、8、1495−1498の図のスキーム3に開示されているものを含む、当業者に理解されている手順によって調製できる。
【0049】
【化5】
【0050】
本明細書に使用される場合、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し;「Tris」はトリスヒドロキシメチルアミノメタンを指し;「DTT」はジチオスレイトールを指し;「HEC」はヒドロキシエチルセルロースを指し;「IC50」は薬剤について可能な最大阻害反応の50%を生じるその薬剤の濃度を指す。
【実施例】
【0051】
調製例1
(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(3−{[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]オキシ}−4−メトキシフェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノールの合成
【化6】

アセトニトリル(30mL)中の(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−ヒドロキシフェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノール(2.0 g)および炭酸カリウム(1.46g)の懸濁液に、1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イルメタンスルホネート(2.51g)を加える。混合物を80℃にて一晩加熱する。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(100mL)に注ぎ、水(40mL)およびブライン(40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濾液を蒸発させる。得られた残渣を精製して(シリカゲル、60%酢酸エチル/ヘキサンから酢酸エチル)、0.6gの標題化合物を得る。MS(ES+)=601(M+1)。
【0052】
調製例2
(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−{[1−(アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノールの合成
【化7】

メタノール(20mL)中の(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(3−{[1−(ジフェニルメチル)アゼチジン−3−イル]オキシ}−4−メトキシフェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノール(0.6g)の溶液を含有するParr(商標)容器に、水酸化パラジウム炭素(60mg、C乾燥ベースで20wt% Pd)を加える。水素ガスの吸収が停止するまで、懸濁液を30psig水素ガスで水素化する。反応混合物をCelite(商標)で濾過し、濾液を蒸発させて標題化合物(0.4g)を得る。MS(ES+)=435(M+1)。
【0053】
調製例3
(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−{[1−ピリジン−2−イルアゼチン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノールの合成
【化8】

N−メチル−2−ピロリドン(3mL)中の(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−{[1−(アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノール(50mg)、2−フルオロピリジン(11.8mg)および炭酸カリウム(31.8mg)の混合物を120℃にて一晩加熱する。反応物を冷却し、塩化メチレン(40mL)に注ぎ、水(10mL)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、3mLに蒸発させる。アセトニトリルを加え、粗生成物溶液を逆相クロマトグラフィー(5%から95%アセトニトリル/水)により精製する。適切な画分を回収し、蒸発させて標題化合物(22.1mg)を得る。MS(ES+)=512(M+1)。
【0054】
調製例4
(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−{[1−(5−メチルピリジン−2−イル)アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノールの合成
【化9】

標題化合物を、2−クロロ−5−メチルピリジンを使用して実質的に調製例3の方法によって調製する。MS(ES+)=526(M+1)。
【0055】
実施例1
(2S)−3−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{4−メトキシ−3−[(1−ピリジン−2−イルアゼチジン−3−イル)オキシ]フェニル}−3−メチルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオールの合成
【化10】

テトラヒドロフラン(2mL)中の(1R)−1−[(3S,4S)−1−{[(4S)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]カルボニル}−4−(4−メトキシ−3−{[1−ピリジン−2−イルアゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−3−イル]エタノール(22.1mg)の溶液に、水性1.0M HCl(1mL)を加える。室温にて一晩撹拌する。水性1.0M HCl(1mL)を加え、さらに8時間撹拌する。水性1.0M NaOHで中和し、酢酸エチルで抽出し、乾燥させ、蒸発させて標題化合物(18.2mg)を得る。MS(ES+)=472(M+1)。
【0056】
実施例2
(2S)−3−[(3S,4S)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−(4−メトキシ−3−{[1−(5−メチルピリジン−2−イル)アゼチジン−3−イル]オキシ}フェニル)−3−メチルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオールの合成
【化11】

標題化合物を実質的に実施例1の方法によって調製する。MS(ES+)=486(M+1)。