【実施例】
【0082】
本発明は、ネイティブな非コードDNAを選択されたバレイショ植物変種のゲノム内に組み込み、新規な遺伝子内バレイショ植物変種を開発するために、ネイティブ技術を使用する。本方法は、形質同定、ベクターの設計、ベクターのアグロバクテリウム内への組み込み、レシピエントバレイショ変種の選択、植物形質転換、オープン読み取り枠の非存在の照明、及びネイティブなDNAのみを含む新規なバレイショ品種の確認を含む。本発明のバレイショ栽培品種E12は、非形質転換対応物よりも、アクリルアミドを形成する可能性がより低く、スクロースの量が低く、黒色斑傷に対してより耐性である。
【0083】
実施例1.pSIM1278形質転換ベクター
本発明において使用される形質転換ベクターpSIM1278は、pSIM106に由来し、これを、0.4−kbバレイショ植物DNA断片(GenBank登録番号AY566555として寄託される)を、プラスミドpVS1及びpBR322由来の細菌の複製起点並びにカナマイシンに対する細菌耐性のためのnptIII遺伝子を有するpCAMBIA1301(CAMBIA,Canberra,Australia)の5.9−kb SacII−SphI断片に連結することによって作製した。アグロバクテリウムipt遺伝子、並びにそれに先行するUbi−3プロモーター(Garbarino and Belknap,1994)及び後に従うUbi−3ターミネーターを含む発現カセットを、ベクター骨格内に、2.6−kb SacII断片として導入した(Rommens et al.,2004)。2つのサイレンシングカセットを有するネイティブな10−kb DNAセグメントのpSIM106のDNA挿入物への挿入は、pSIM1278を生じた。このベクターを、全ての形質転換に用いた。pSIM1278ベクターマップを、
図1に示す。ベクター骨格領域は、9,511bpであり、9,957bpの位置にて開始し、19,468bpの位置にて終わる。骨格DNAは、主に、細菌DNAから成り、植物形質転換の前のDNA挿入物の維持の指示を提供する。骨格部分は、植物細胞内に形質移入されない。骨格の種々のエレメントを、表1に記載する。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例2.植物DNA挿入物及びしにオープン読み取り枠(ORF)
pSIM1278において使用したDNA挿入領域は、10,147bp長(19,469bp〜19,660bp及び1bp〜9,956bp)である。DNA挿入物は、ネイティブのDNAのみから成り、バレイショ遺伝子内に安定的に組み込まれる。DNA挿入物及びその機能的部分は、ベクターpSIM1278の遺伝物質のみであり、本発明のバレイショ植物変種内に組み込まれる。DNA挿入物は、
図2及び以下の表2に記載される。
【0086】
【表2】
【0087】
本発明のバレイショ系統E12を作製するために使用される表2に記載のDNA挿入物は、隣接する遺伝子を活性化せず、バレイショ植物変種E12の表現型に悪い影響を及ぼさない。加えて、本発明のバレイショ植物変種E12は、DNA挿入物によってコードされるオープン読み取り枠に伴う新規なタンパク質を産生しない。
【0088】
実施例3.アグロバクテリウム株及びトランスフェクション
C58由来のアグロバクテリウム株AGL1を、強毒性プラスミドpTiBo542(Lazo et al.,1991).の運搬DNAの正確な結失によって開発した。一般的組換え遺伝子(recA)におけるトランスポゾン挿入は、pSIM1278のような組換えプラスミドベクターを安定化する(
図1)。AGL1は、カルベニシリン及びリファンピシンに対する耐性を示し、チメンチンを用いて形質転換したバレイショ組織から除去される。
【0089】
Russett Burbank変種のストック植物を、40mlの3%スクロース及び2g/l gelrite含有半分強度M516培地(増殖培地)を入れたマゼンタの箱内で維持した。4〜6mmのバレイショ節間セグメントを、4週齢の植物から切断し、pSIM1278を保有するアグロバクテリウムAGL1株によって感染させて、3%スクロース及び6g/lアガー含有組織培養培地(同時栽培培地)に移した。感染外植片を、2週間後に3%スクロース、6g/lアガー及び150mg/lチメンチン含有のM404培地に移し、アグロバクテリウムを除去した(ホルモン非含有培地)。本方法の詳細は、Richael et al.(2008)に記載される。
【0090】
1か月後、感染外植片を、何ら合成ホルモンを含有しない新鮮な培地に移し、Percival成長チャンバー内で16時間の光周期下で24℃にてインキュベートした。ここで、これらは、苗条を形成し始めた。多くの苗条は、ipt遺伝子を発現し、サイトキニン過剰発現表現型を示した;これらの苗条は、さらなる分析のために考慮しなかった。PCRゲノタイピングは、残りの苗条の約0.3〜1.5%が、P−DNAの少なくとも一部分を含む一方で、ipt遺伝子を欠くことを実証した。従って、形質転換植物を選択するために、マーカーを使用しなかった。iptベースのマーカー不使用植物形質は、Richael et al.(2008)によって公開されている。
【0091】
アグロバクテリウムを除去するプロセスを、外植片感染の2日後に開始した。この目的のために、組織を、生きたアグロバクテリウムがいないことを証明するまで、抗生物質チメンチン(150mg/L)に曝露した。証明を、形質転換事象の幹断片を栄養ブロス−酵母抽出物(NBY培地)上で2週間にわたり28℃にてインキュベートすることによって得た(2回繰り返した)。97CFRパート340に従い、形質転換植物を、生きたアグロバクテリウムがいない場合にのみ、輸送し、野外に植えた。
【0092】
バレイショ植物変種E12を、DNAゲルブロットによって分析し、組み込まれたDNA挿入配列の構造及びコピー数を決定し、ベクター骨格配列の非存在を確認した。加えて、分子性質決定を使用し、DNA挿入物に隣接する結合部の配列を決定して、挿入DNAの安定性を示した。結合部の配列決定情報は、遺伝子内バレイショ植物変種E12についての特異的PCR試験を開発するための基礎を提供した。バレイショ栽培品種E12は、種々のDNA消化物がAGP、ASN、PHL及びGBS分子プローブにハイブリダイズしたハイブリダイゼーション結果から導き出し、DNA挿入物の1つの完全なコピーを含むことを見出した。
【0093】
実施例4.ベクター骨格DNAの非存在についての証拠
多くの市販のトランスジェニック作物と違い、本発明のバレイショ栽培品種E12は、ベクター骨格DNAなどの形質転換のために使用したアグロバクテリウム由来配列を非含有であることを、3つの異なる方法によって確認した:1)第1に、ベクター骨格内のネガティブ選択可能イソペンテニルイソメラーゼ(ipt)マーカー遺伝子の存在又は非存在を、ipt遺伝子発現及びその結果であるサイトキニン型ホルモンイソペンテニルアデノシンの形成を引き起こす、アグロバクテリウム由来のipt遺伝子発現カセットを含む骨格DNAの植物細胞への偶発性輸送として決定した、2)次いで、サザンブロットハイブリダイゼーションが形質転換バレイショ植物に対して使用され、骨格DNAの非存在を確認するための第1スクリーニング方法に回され、並びに3)次いで、境界領域と隣接する骨格DNAとの結合部又はDNA挿入物に隣接する骨格DNA内の領域を示す断片を増幅するためのPCRを設計した。本方法の有効性を、pSIM1278 DNAを陽性対照として使用して確認した。本発明のバレイショ栽培品種E12は、ベクター骨格DNAの存在の指標であるPCRバンドを生成しなかった。
【0094】
実施例5.挿入DNAの安定性
DNA挿入物の安定性を、元の形質転換体において、並びに増殖させた植物材料において再び、どちらもDNAゲルブロットハイブリダイゼーション及び形質評価を用いて評価した。これらの研究を、遺伝子内事象が、信頼のできる様式で一定して組み込まれた形質を発現することを確認するために行った。不安定性は、稀な組換え事象によって起こり得るか、又は、メチル化によっても起こり得る。バレイショは、通常、クローン的に増殖されるので、生殖増殖作物についての標準的評価は、直接適用可能ではなく、種子よりもむしろ塊茎を、その後の世代を決定するために使用した。DNAブロットハイブリダイゼーションの結果は、一定のバンドが多くの世代において存在したことを示し、従って、安定的であることを示した。安定性についてのさらなる証拠を、1及び2の塊茎種子の世代において形質有効性を確認することによって得た。
【0095】
DNA挿入物安定性を、元の形質転換材料(G0)において、インビトロで増殖させ土壌に植えていない植物の葉からDNAを抽出し評価することによって実証した。第1世代(G1)分析のために、各遺伝子内変種由来の2つの増殖植物及び各対照由来の1つの植物を、温室内に植えた;各植物から収穫した塊茎の1つを、G1植物の葉を得るために植え、これを、DNAを単離してG1世代を評価するために使用した。この世代由来の塊茎を、再び植え、得られたG2植物の葉により、この世代の性質決定をした。
【0096】
全てのレーンにおいて、本発明のRusset Burbankバレイショ栽培品種E12から単離されたDNAの、GBSプローブによるハイブリダイゼーションは、2つの共通のバンド(7.2及び8.0−kb)を明らかにし、AGPプローブによるハイブリダイゼーションは、3つのバンド(1.4、4.2及び4.9−kb)を明らかにした。これらのバンドは、非改変ゲノムのDNA断片の指標である。全ての遺伝子内材料から単離されたDNAにおける2つのさらなるバンドの存在(2.2−kbのバンドは、内部DNA挿入断片の指標であり、他方(E12及びGBSについての4.4−kb、E12及びAGPについての2.15−kb)はDNA挿入結合部断片を表す)は、元の形質転換体(G0)の挿入物が、第1及び第2無性世代G1及びG2において安定的に維持されていることを示す。
【0097】
Ppo活性についてのカテコールアッセイは、E12変種におけるDNA挿入物安定性についてのさらなる証拠を提供した。全てのE12塊茎は、変色しないままであり(
図3)、他方で、非形質転換材料は、染色された。このことは、変種E12が、2年間の野外試験後に、G2塊茎においてPpo5遺伝子をサイレンシングする能力を有していることを実証した。野外試験材料の調製は、挿入した遺伝物質の安定性に影響を及ぼすことなく、組織培養及び無性生殖の繰り返しを含んだ。
【0098】
実施例6.結合部分析及び変種特異的検出
少なくとも1つのDNA挿入物/隣接DNA結合部を、アダプター連結媒介型PCR又は熱非対称インターレースPCRのいずれかを用いて配列決定した。連結部配列を、バレイショ栽培品種E12についてのプライマーを設計するために用い、これらのプライマーを、変種特異的PCRベース検出方法のために適用した。開発したこの方法を、野外及び貯蔵において植物及び塊茎をモニタリングするために使用し、塊茎又は加工食品中の遺伝子内材料の非存在を確認し、有機種子の純度を保証した。
【0099】
実施例7.遺伝子サイレンシングの有効性及び組織特異性
遺伝子サイレンシング方法を使用し、Asn1、Ppo5、PhL及びR1のネイティブなタンパク質の活性を低下させ、タンパク質量よりもむしろ転写物レベルを評価し、新規な表現型形質と分子レベルでの変化とを結びつけた。
【0100】
葉及び幹におけるASN(アスパラギン)形成に関与するAsn1遺伝子の強力なサイレンシングは、成長に悪い影響を与え得るので、塊茎及び走根に特異的であり光合成活性組織及び根においてじっと活性が低いプロモーターであるAgpプロモーター及びGbssプロモーターを、塊茎及び走根における遺伝子サイレンシングを駆動するために使用した。植物変種E12及び非形質転換対照物の種々の組織における4つの標的遺伝子の転写物レベルを、ノーザンブロット分析によって決定した。
【0101】
非形質転換対照の塊茎において、転写物レベルは、Asn1、PhL及びR1遺伝子について「高い」(ノーザンブロットハイブリダイゼーションによって容易に検出可能である)。Ppo5遺伝子については「低い」。ノーザンブロットの比較は、Asn1、Ppo5及びPhLは、温室及び野外において、塊茎内で同様に発現されることを示した。対照的に、R1遺伝子は、温室成長対照塊茎において、野外からの塊茎よりも、僅かにより効果的にサイレンシングされた。
【0102】
変種E12の塊茎において、Asn1及びPpo5遺伝子についての強く低減した転写物レベルは、低アクリルアミド潜在性及び黒色斑傷に関連する変色の低減に関連した。
【0103】
PhL遺伝子についての転写物レバルは、E12系統の塊茎において、部分的に低下した。この変化は、グルコース及びフルクトースの量の低減と結びついた。R1転写物は、E12の塊茎において部分的に低減され(「ささやいた」)、デンプンの糖への分解を制限することを補助した。
【0104】
Asn1、Ppo5及びR1遺伝子は、非形質転換植物の走根において、低レベルで発現した。対照的に、対照における高い転写物レベルが、PhL遺伝子に伴った。
【0105】
Asn1及びPpo5遺伝子の転写物レベルは、温室で育てたRusset Burbank E12植物において、対照走根よりもなお低かった。この改変は、予測されており、何ら望まぬ又は異常な新規な表現型と結びつかなかった。PhL遺伝子の発現もまた、遺伝子内変種E12の走根において下方制御された。
【0106】
R1遺伝子についての転写物の量は、変種E12の走根において、僅かに低減した(「ささやいた」)。この分子変化は、デンプンの糖への限定的な分解に寄与した。
【0107】
葉の組織において、Asn1遺伝子についての転写物レベルは、E12系統と非形質転換対応物とは類似であった。Ppo5遺伝子発現についての転写物レベルは、全ての場合において検出不能であり、他方、PhL遺伝子についてのレベルは、元のRussett Burbank変種及び形質転換誘導体E12の間で、一貫して高かった。R1遺伝子についての転写物レベルは、その対象と比較した際、変種E12において変わらなかった。
【0108】
幹組織において、Asn1遺伝子転写物レベルは、事象E12及びその対象について、類似であった。Ppo5遺伝子についての転写物レベルは、本発明の変種E12において低減した。PhL遺伝子発現は、E12系統及びその対照と非常に類似であり、R1遺伝子発現は、低減しなかった。
【0109】
根組織において、Asn1及びPpo5遺伝子両方についての転写物レベルは、変種E12において低減した。これらの結果は、サイレンシングを駆動するために使用されたプロモーターが、地下組織において部分的に機能的であることを示した。
【0110】
花組織において、Asn1遺伝子転写物レベルは、本発明の変種E12において、元の変種Russett Burbankよりも低かった。転写物は、Ppo5遺伝子については検出可能ではなく、PhL及びR1遺伝子の発現レベルは、対照と類似していた。
【0111】
これらの結果は、Asn1及びPpo5遺伝子の発現レベルが、バレイショ変種E12における塊茎及び走根において下方制御されていること、並びに、R1及びPhL遺伝子は、変種E12における塊茎及び走根において部分的にサイレンシングされることを実証した。サイレンシングは、塊茎及び走根において、最も効果的であった。
【0112】
選択されたバレイショ変種E12は、Asn1及びPpo5遺伝子の発現レベルにおいて、R1及びPhL遺伝子の発現レベルより、強力に影響した。これらの結果は、発明者の目的である(1)Ppoタンパク質及び遊離のASNの形成を、可能な限り協力に防止すること、及び(2)デンプンのグルコース及びフルクトースへの変換は、部分的にのみブロックすることと、一致した。
【0113】
塊茎及び走根以外の組織における転写物レベルにおける時による変化は、塊茎/走根プロモーターの何らかの漏出を実証した。また、サイレンシングカセットの発現を通して塊茎において産生される小RNAが、他の組織、特に根及び幹に移動し得る(Molnar et al.,2010)。塊茎および走根以外の組織における発現レベルの変化の殆どの場合、この相違は、僅かであった。バレイショ栽培品種E12の特定の組織における下方制御された転写物レベルのまとめを、表3に示す。表3において、A=Asn1、P=Ppo5、L=PhL及びR=R1である。表3において下線を引いた文字は、強力に(2分の1を下回って)下方制御された遺伝子発現レベルを示し、さもなければ、発現レベルは、2分の1を下回らないで下方制御される。
【0114】
【表3】
【0115】
実施例8.野外性能及び塊茎評価
2009、2010及び2011年の試験を、収穫を容易にするために機械的に植え、遺伝子内バレイショが、非改変材料と離れていることを確実にした。2009年評価のために、各事象及び対照変種由来の「核種子」小塊茎を、一列に4〜5プロット植えるために使用し(プロットあたり20個の小塊茎)、プロットを、野外を横切るブロック内で無作為に置いた。この無作為完全ブロック設計(RCB)は、代表的には、新規なバレイショ変種及び事象の評価のためのものであった。2010及び2011年に取られたアプローチは、1カ所あたり1つの事象及び対照あたり2つの無作為プロットを使用し、また、ブロックの数と同数又は同反復回数(1事象あたりのプロット数)で、RCB設計をも使用した。2010年における各プロットは、2009年にRusset BurbankについてCherry County,NEで産生された第1世代(G1)塊茎からの各20種子片の3行から成る。2011年試験のためのRusset Burbank種子は、2010年にCherry County,NEで産生された第2世代(G2)であった。全ての試験において、遺伝子内系統の種子を、その非改変対照と同様に操作した。野外で生育した塊茎は、種子として小塊茎よりも望ましい。何故なら、これらは、より生育がよく、より高い収量及び品質の塊茎を産生する均一な植物を産生するからである。
【0116】
各プロットを、幾つかの場合においては、人為的に誘導してはいないが生育季節の間に自発的に起こる昆虫、病気及び環境ストレスに対する差次的応答についての正規化モニタリングスケールを用いて、定性的に評価した。季節中期のモニタリングを、初期列閉鎖及び開花(4月に評価したFlorida試験を除く殆どの試験においては6月〜7月)の直前又は間に、2009年、2010年及び2011年に行い、植物の勢力、葉の色、葉の大きさ、葉の巻き方、病気の症候(存在/非存在)及び昆虫関連植物損傷を評価した。2011年において、生育領域に共通の特定の昆虫、病気及び非生物ストレス因子を、評価した。病気及び昆虫圧力は、一般に、季節の中期及び後期に最も高いが、病原体及び昆虫によって起こる症候について、7月〜9月に植物をモニタリングした(Florida試験については3月〜5月)。つる成熟及び病気の後期モニタリングを、塊茎成熟及び後期皮形成を確実にすることを意図して、つる殺傷の前に1度実施した。つる殺傷は、つるの刈り取り又は打ち付けのいずれかによってなされるか、又はRegloneなどの認可された除草剤を製造業者の推奨(JR Johnson,Roseville,MN)に従って使用することによってなされる。この時点で、植物を、病気の症候及び昆虫の損傷についても評価した。病気の症候が同定された幾つかの場合において、新芽試験をも行い、治験を確認した。
【0117】
平均値、標準偏差及び90%信頼区間を、JMP 9.0.2を用いて計算した。従来の変種範囲を、全ての従来型変種の最小及び最大の平均値(年
*場所
*エントリー)を得、実験に含めることによって、作成した。Russett varietiesについての全ての特徴を、JMP 9.0.2において、複数年及び複数の場所からのデータを合わせることによって、分析した。
【0118】
実施例9.バレイショ栽培品種E12性質決定のまとめ
バレイショ栽培品種E12は、黒色斑傷を担う酵素の発現を低減させること、及び反応物、すなわちアスパラギン及び還元糖の濃度を低下させることを通してアクリルアミドを低減することによる、品質の改善を指向する。バレイショ栽培品種E12を、バレイショ植物ゲノムに対してネイティブであり外来性DNA、アグロバクテリウムDNA、ウイルスマーカー又はベクター骨格配列を含まない核酸配列によって形質転換した。加えて、農業研究を行い、本形質に伴う特徴を除いて従来対照と同じく育った事象を得た。
【0119】
農業特徴
2009、2010及び2011年に生育したバレイショ栽培品種E12事象及び対照の農業特徴の評価を、表4〜7に示す。結果を、可能な場合、統計学的方法によって分析した。データ全体は、Russet Burbank対照とE12 Russet Burbank事象との間に主要な相違はなかった。
【0120】
表4は、変種E12について試験した各特徴についての部位年の数を示す。E12及びBurbank対照についての農業的特徴を、表5に示す。7つの農業特徴について、統計学的に有意な相違は、E12と対照との間に検出されなかった。つる成熟評点データは、統計学的に比較することができず、E12の値は、合わせた従来型の変種の範囲の外であった(それぞれ、3.65対3.00〜3.50)。植物勢力について、統計学的に有意な相違を、E12と対照との間に検出した(3.38対3.08)が、E12の値は、従来型変種範囲内であった。表5において、植物あたりの幹のデータは、2011年からのみである;従来型の変種(ConV)は、従来型のRanger、Burbank及びAtlantic変種の平均値の範囲に等しかった;NAは、統計学的比較が不可能であったことを示す。
【0121】
E12及びBurbank対照の収量及び等級を、表6に示す。総収量、比重、高糖又は糖末端について、統計学的に有意な相違は検出されなかった。内部欠陥全体について、統計学的分析は不可能であったが、E12についての値は、従来型の変種範囲内であった。E12と対照との間で、4つの相違が検出された:4〜6oz.カテゴリー(25.3対21.5)、6〜10oz.カテゴリー(33.1対30.3)、10〜14oz.カテゴリー(12.6対16.2)、及び14oz.を超えるカテゴリー(8.9対13.1)。これらの相違についてのE12についての全ての値は、従来の変種の範囲内であった。表6において、比重のデータは、2011年からのみである;従来型の変種(ConV)は、従来型のRanger及びBurbank変種の平均値の範囲に等しかった;NAは、統計学的比較が不可能であったことを示す。
【0122】
E12及びBurbank対照の花の色を、表7に示す。紫色/混合色の花及び白色の花の両方を、各エントリーにつき、異なるプロットにおいて観察した。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
バレイショ栽培品種E12についての表4〜7に提示されたデータに基づき、非形質転換Russet Burbank変種とバレイショ栽培品種E12との間に、農業特徴、花の色、収量及び等級、並びに経済学的相互作用において、主要な相違はないと結論した。従って、複数年データに基づき、Ranger Russet変種E12は、雑草性又は病虫害の可能性の結果として、環境における存続性の有意な危険はないことを提起した。
【0128】
黒色斑傷耐性
黒色斑傷は、損傷した塊茎の有する変色であり、バレイショ産業における最も重要な品質問題の1つを表す。この条件は、損傷したプラスチドから細胞質へのポリフェノールオキシダーゼ(Ppo)の漏出の結果である。次いで、細胞質において、酵素オキシダーゼは、暗色の沈殿物を形成する。pSIM1278 DNA挿入物の2つのサイレンシングカセットのうちの1つは、ソラナム・ベルコサム由来の2コピーのPpo5遺伝子の断片を、調節エレメントの間に逆向き反復として含む。この逆向き反復の発現は、バレイショPpo5遺伝子のサイレンシングを引き起こし、黒色斑傷の出現を有意に低減する。
【0129】
バレイショ栽培品種E12及び黒色斑傷に感受性である対照Russet Burbank変種の野外で生育した塊茎を、黒色斑傷耐性について、2つの方法でアッセイした。
【0130】
塊茎変色は、カテコールを含むフェノール類を酸化し、迅速に重合体化して色素を生じる化合物を産生する、ポリフェノールオキシダーゼの活性によって起こる。黒色斑傷耐性について試験する間接的な方法は、1mlのカテコール(25mM、50mM MOPS中、pH6.5)を塊茎の切断表面上にピペットで置き、暗褐色沈殿物のPpo依存型発生をモニタリングすることである。暗褐色沈殿物のPpo依存型発生を、20分間後に評価した。Russet Burbank対照及び変種E12の塊茎を、Canyon County,IDにおいて2009年に生育した3つの異なる植物から収穫した。バレイショ栽培品種E12についてのカテコールアッセイの結果を、
図3に示す。
図3に示されるように、Russet Burbank対照は、暗褐色に変色して黒色斑傷を示した。他方で、バレイショ栽培品種E12は、暗褐色に変色せず、このことは、E12が、非形質転換Russet Burbank対照よりも黒色斑傷に対し耐性であることを示す。
【0131】
傷耐性についてアッセイする第2の方法は、2009年にCanyon County,IDから収穫された、各々対照及びバレイショ栽培品種E12の9つの塊茎を、傷バレル(回転ドラム)内で10回転まで回し、室温にて3日間にわたりインキュベートし、その後、機械的に皮むきして、黒色斑傷及び線割れ(割れ傷)斑の両方の数を計数した。表8は、3回の実験の毛化の平均値で表した結果を示し、エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。有意性を、スチューデント両側t検定を用いて決定した(p<.05)。
【0132】
【表8】
【0133】
表8に示されるように、バレル傷試験は、本発明のバレイショE12における検出不能な黒色斑傷レベルを示した。これらの結果は、変種E12の塊茎が、非形質転換対照Russet Burbank変種の塊茎よりも黒色斑傷に耐性であること、並びに、pSIM1278のDNA挿入物は、黒色斑傷を伴う衝撃誘導型変色をもたらすことを示す。
【0134】
アスパラギン及びアクリルアミドレベル
アスパラギンシンセターゼ遺伝子のサイレンシングは、バレイショ栽培品種E12における遊離のアスパラギンの74%の平均低下をもたらした。メイラード反応において還元糖と合わさってアクリルアミドを形成するアスパラギンのより低いレベルは、揚げ物におけるアクリルアミドの67%の低減をもたらす。Russet Burbank対照とバレイショE12との間のアスパラギン及びアクリルアミドにおける相違を、表9に示す。アクリルアミドについて試験する前に、対照及びE12を、フライドポテトにした。全ての結果を、収穫に近い時期に分析した塊茎からのものであった。
【0135】
【表9】
【0136】
バレイショ栽培品種E12は、黒色斑傷を担う酵素の発現を低減し、アクリルアミドレベルの低下を有する、品質を改善したRusset Burbank変種である。
【0137】
本発明のさらなる実施形態
上述の有利な特徴を組み合わせるバレイショ変種をもたらす研究は、主に経験的である。この研究は、大きな調査時間、労力及び費用を必要とする。バレイショ栽培品種の開発は、しばしば、温室から商用利用までに、8年以上もの時間を費やす。繁殖は、最も重要な特徴を子孫に組み込むための、優れた親の注意深い選択によって始まる。全ての所望の形質は、通常、1つの交配によって現れることはないので、繁殖は、必ず累積的になる。
【0138】
この繁殖技術は、親クローンの制御された受粉によって続く。代表的には、雌親を受粉する際に花粉を後に使用するため、ゼラチンカプセル内に集める。ハイブリッド種子を、温室内に撒き、何千もの個々の苗から塊茎を収穫し、保持する。翌年、各々得られた苗からの1〜4個の塊茎を、野外に撒き、ここでは、ウイルス及び病気を撒き散らさないよう、細心の注意を払う。この第1年苗収穫物から、選択プロセスを生き抜いた各ハイブリッド固体からの幾つかの「種」塊茎を、翌年の植え付けのために保持する。第2年の後に、密度測定及び揚げ物試験のためにサンプルを採取し、商用利用のための塊茎の好適性を決定する。この時点までの選択プロセスを生き延びた植物を、次いで、より包括的な一連の揚げ物試験及び密度決定のために、第3年により大きな容量で植える。開発段階第4年に、選択を生き延びたものを幾つかの条件で野外試験に供し、異なる生育条件に対するその適合性を決定する。やがては、優れた品質を有する変種を、他の農場に移し、市場規模に種子を増大する。一般に、この時点までに、8年以上の作付、収穫及び試験を調査し、新規且つ改善されたバレイショ栽培品種を開発することを企図する。
【0139】
特定のタンパク質生成物をコードする遺伝子の単離及び性質決定を可能にした分子生物学技術の出現により、植物生物学分野における科学者らは、植物のゲノムを外来性遺伝子を含んで発現するように、又は、ネイティブもしくは内因性の遺伝子のさらなる型若しくは改変型(恐らくは、異なるプロモーターによって駆動される)を含んで発現するように操作することに、強い関心を抱いてきた。このような外来性のさらなる遺伝子は、本書中で、集合的に、「トランスジーン」と呼ばれる。ここ15〜20年にわたり、トランスジェニック植物を産生するための幾つかの方法が開発されてきており、本発明もまた、詳細な実施形態において、特許請求した変種又は系統の形質転換変種に関する。
【0140】
植物形質転換は、植物細胞において機能する発現ベクターの構築を含む。このようなベクターは、調節配列(例えば、プロモーター)の制御下の、又は調節配列に作動可能に連結した遺伝子を含むDNAを含む。発現ベクターは、1つ以上のこのような作動可能に連結した遺伝子/調節エレメント組み合わせを含み得る。(単数又は複数の)ベクターは、プラスミドの形態であってもよく、単独で用いられても、又は他のプラスミドと組み合わせて用いられてもよく、以下に記載されるような、トランスジーンをバレイショ植物の遺伝物質内に組み込む形質転換方法を用いて、形質転換バレイショ植物を提供する。
【0141】
従来型植物繁殖は、代表的に、新規且つ改善された特徴を有する変種を作製するための、植物染色体の無作為組換えに依存する。標準的周知技術に従い、遺伝子及び調節エレメントを含む遺伝子「発現カセット」を、アグロバクテリウム単離された運搬DNA(「T−DNA」)の境界内に挿入し、植物ゲノム内に組み込む。T−DNA材料のアグロバクテリウム媒介型移入は、代表的に、以下の標準的手順を含む:(1)少なくとも1つが外来性起源である遺伝子エレメントのインビトロ組換えにより、形質転換の選択のための発現カセットを産生すること、(2)この発現カセットを、しばしば、外来性DNAを含む少なくとも1つの他の発現カセット共に、T−DNA境界配列によって隣接されるアグロバクテリウムDNAの通常数百塩基対から成る二値ベクトルのT−DNA領域内に挿入すること、(3)T−DNA境界の間に位置する配列を、しばしば、アグロバクテリウム由来のさらなる二値ベクター配列の幾つか又は全てと一緒に、植物細胞内に組み込むこと、並びに(4)所望の形質を示す、安定的に形質転換した植物細胞を選択すること。この形質は、例えば、収量の増加、改善された勢力、病気及び昆虫に対する増大された耐性、又はストレス下で生存する能力の上昇である。
【0142】
従って、遺伝子操作方法は、外来性の、非常在性の、プロモーター及びターミネーターなどの調節エレメント、並びに新規な形質の発現に関与するか又は形質転換体のウイルス、細菌及び植物からの同定及び選択のためのマーカーとしての機能に関与する遺伝子を含む、核酸に依存する。マーカー遺伝子は、代表的に、細菌供給源に由来し、抗生物質耐性又は除草剤耐性を付与する。古典的繁殖方法は、骨が折れ、時間がかかり、新しい変種は、代表的に、1つの比較的穏やかな改善しか示さない。
【0143】
「アンチセンス」技術において、ネイティブの遺伝子の配列は、逆向きにされて、トランスジェニック植物における遺伝子の発現をサイレンシングする。しかし、逆向きDNAは、通常、プロモーターとターミネーターとの間に挿入された新規且つ性質決定されていないオープン読み取り枠を含み、これは、外来性アミノ酸配列をコードし、植物成長に干渉するか、及び/又は栄養的価値を減じるので、所望されない場合がある。
【0144】
バレイショ形質転換のための発現ベクター:マーカー遺伝子
発現ベクターは、調節エレメント(例えば、プロモーター)に作動可能に連結した少なくとも1つの遺伝子マーカーを含み、これは、ネガティブ選択、すなわち、選択的マーカー遺伝子を含まない細胞の成長の阻害によって又はポジティブ選択、すなわち、遺伝子マーカーによってコードされる産物についてのスクリーニングによってのいずれかで、回収される。多くの、植物形質転換のために一般的に使用される選択可能マーカー遺伝子は、形質転換分野において周知であり、例えば、選択的化学薬剤、例えば抗生物質又は除草剤を代謝的に解毒する酵素をコードする遺伝子、又は阻害剤に非感受性である改変された標的をコードする遺伝子である。幾つかのポジティブ選択方法もまた、当該分野で公知である。
【0145】
植物形質転換のための、1つの一般に使用される選択可能マーカーは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)遺伝子であり、これは、植物調節シグナルの制御下にある場合、カナマイシンに対する耐性を付与する。Fraley et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:4803(1983).別の一般に使用される選択可能マーカー遺伝子は、抗生物質ヒグロマイシンに対する耐性を付与する、ヒグロマイシントランスフェラーゼ遺伝子である。Vanden Elzen et al.,Plant Mol.Biol.,5:299(1985)。
【0146】
さらなる選択可能マーカー遺伝子は、抗生物質に対する耐性を付与する細菌起源の遺伝子であり、ゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ、ストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ及びブレオマイシン耐性決定因子であるアミノグリコシド−3’−アデニルトランスフェラーゼが挙げられる。Hayford et al.,Plant Physiol.86:1216(1988),Jones et al.,Mol.Gen.Genet.,210:86(1987),Svab et al.,Plant Mol.Biol.14:197(1990)Hille et al.,Plant Mol.Biol.7:171(1986).他の選択可能マーカー遺伝子は、グリホシネート、グルホシネート又はブロモキシニルなどの除草剤に対する耐性を付与する。Comai et al.,Nature 317:741〜744(1985),Gordon−Kamm et al.,Plant Cell 2:603〜618(1990)及びStalker et al.,Science 242:419〜423(1988)。
【0147】
細菌起源でない植物形質転換のための選択可能マーカー遺伝子としては、例えば、マウスジヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ、植物5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ及び植物アセトラクテートシンターゼが挙げられる。Eichholtz et al.,Somatic Cell Mol.Genet.13:67(1987),Shah et al.,Science 233:478(1986),Charest et al.,Plant Cell Rep.8:643(1990)。
【0148】
植物形質転換のための別のクラスのマーカー遺伝子は、抗生物質などの毒性物質に対する耐性についての形質転換細胞の直接的な遺伝子選択よりもむしろ、推定形質転換植物細胞のスクリーニングを必要とする。これらの遺伝子は、特定の組織における遺伝子の発現を定量するか、又は空間的パターンを可視化する際に特に有用であり、レポーター遺伝子と呼ばれる。何故なら、これらは、遺伝子発現の調査のために、遺伝子又は遺伝子調節配列に融合し得るからである。推定形質転換細胞をスクリーニングするための、一般的に使用される遺伝子としては、β−グルクロニダーゼ(GUS)、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが挙げられる。Jefferson,R.A.,Plant Mol.Biol.Rep.5:387(1987),Teeri et al.,EMBO J.8:343(1989),Koncz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:131(1987),DeBlock et al.,EMBO J.3:1681(1984).。
【0149】
植物組織の破壊を必要としない、GUS活性を可視化するためのインビボ方法が、利用可能である。Molecular Probes publication 2908,IMAGENE GREEN,p.1〜4(1993)及びNaleway et al.,J.Cell Biol.115:151a(1991)。しかし、GUS活性を可視化するためのこれらのインビボ方法は、低い感受性、高い蛍光バックグラウンド、及び選択可能マーカーとしてのルシフェラーゼの使用に関連する制限ゆえに、形質転換細胞を回収するために有用であることが証明されていない。
【0150】
より近年、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子が、原核細胞及び真核細胞における遺伝子発現のマーカーとして、利用されている。Chalfie et al.,Science 263:802(1994).GFP及びGFPの突然変異タイは、スクリーニング可能マーカーであり得る。
【0151】
バレイショ形質転換のための発現ベクター:プロモーター
発現ベクター内含まれ得る遺伝子は、調節エレメント、例えばプロモーターを含むヌクレオチド配列によって駆動されなければならない。幾つかの種類のプロモーターが、単独で又はプロモーターと組み合わせて使用され得る他の調節エレメントと同じく、形質転換分野で周知である。
【0152】
本書中で使用される場合、「プロモーター」は、転写の開始から上流のDNA領域であって、RNAポリメラーゼ及び転写を開始する他のタンパク質の認識及び結合に関与する領域に対する言及を含む。「植物プロモーター」は、植物細胞における転写を開始可能であるプロモーターである。発生制御下のプロモーターの例としては、特定の組織、例えば、葉、根、種子、繊維、木質導管、仮導管又は厚壁において優先的に転写を開始するプロモーターが挙げられる。このようなプロモーターは、「組織好適」と呼ばれる。特定の組織においてのみ転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」と呼ばれる。「細胞型」特異的プロモーターは、主に、1つ以上の器官の特定の細胞型、例えば、根又は葉における脈管細胞において、発現を駆動する。「誘導型」プロモーターは、環境制御下にあるプロモーターである。誘導型プロモーターによる転写に作用し得る環境条件の例としては、嫌気条件又は光の存在である。組織特異的、組織好適、細胞型特異的及び誘導型のプロモーターは、「非構成的」プロモーターのクラスを構成する。「構成的」プロモーターは、殆どの環境条件下で活性であるプロモーターである。
【0153】
A.誘導型プロモーター
誘導型プロモーターは、バレイショにおける発現のために、遺伝子に作動可能に連結される。場合により、誘導型プロモーターは、バレイショにおける発現のための遺伝子に作動可能に連結されるシグナル配列をコードするヌクレオチド配列に、作動可能に連結される。誘導型プロモーターにより、転写の速度が、誘導剤に応答して上昇する。
【0154】
任意の誘導型プロモーターが、本発明において使用され得る。Ward et al.,Plant Mol.Biol.22:361〜366(1993)を参照されたい。誘導型プロモーターの例としては、Exemplary inducible promoters include,but are not limited to,that from the銅に応答するACEI系由来のもの(Mett et al.,PNAS 90:4567〜4571(1993));ベンゼンスルホンアミド除草剤毒性軽減剤に応答するトウモロコシ由来のIn2遺伝子(Hershey et al.,Mol.Gen Genetics 227:229〜237(1991)及びGatz et al.,Mol.Gen.Genetics 243:32〜38(1994))、又はTn10由来のTetリプレッサー(Gatz et al.,Mol.Gen.Genetics 227:229〜237(1991))が挙げられる。特に好ましい誘導型プロモーターは、通常は植物が応答しない誘導剤に応答するプロモーターである。例示的な誘導型プロモーターは、ステロイドホルモン遺伝子からの誘導型プロモーターであり、その転写活性は、グルココルチコステロイドホルモンによって誘導される。Schena et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:0421(1991)。
【0155】
B.構成的プロモーター
構成的プロモーターは、バレイショにおける発現のための遺伝子に作動可能に連結されるか、又は構成的プロモーターは、バレイショにおける発現のための遺伝子に作動可能に連結されるシグナル配列をコードするヌクレオチド配列に、作動可能に連結される。
【0156】
多くの異なる構成的プロモーターが、本発明において利用され得る。例示的な構成的プロモーターとしては、植物ウイルス由来のプロモーター、例えば、CaMV由来の35Sプロモーター(Odell et al.,Nature 313:810〜812(1985))及びコメアクチン(McElroy et al.,Plant Cell 2:163〜171(1990));ユビキチン(Christensen et al.,Plant Mol.Biol.12:619〜632(1989)及びChristensen et al.,Plant Mol.Biol.18:675〜689(1992));pEMU(Last et al.,Theor.Appl.Genet.81:581〜588(1991));MAS(Velten et al.,EMBO J.3:2723〜2730(1984))及びトウモロコシH3ヒストン(Lepetit et al.,Mol.Gen.Genetics 231:276〜285(1992)及びAtanassova et al.,Plant Journal 2(3):291〜300(1992))である遺伝子に由来するプロモーターである。
【0157】
ALS3構造遺伝子に対し5’側であるALSプロモーター、Xba1/Ncol断片(又はこのXba1/Ncol断片に類似したヌクレオチド配列)は、特に有用な構成的プロモーターを表す。PCT出願WO 96/30530を参照されたい。
【0158】
C.組織特異的又は組織好適プロモーター
組織特異的プロモーターは、バレイショにおける発現のために、遺伝子に作動可能に連結される。場合により、組織特異的プロモーターは、バレイショにおける発現のための遺伝子に作動可能に連結されるシグナル配列をコードするヌクレオチド配列に、作動可能に連結される。組織特異的プロモーターに作動可能に連結した目的の遺伝子によって形質転換された植物は、特異的組織において、トランスジーンのタンパク質産物を、独占的に又は優先的に産生する。
【0159】
組織特異的又は組織好適プロモーターのいずれかは、本発明において利用され得る。例示的な組織特異的又は組織好適プロモーターとしては、ファゼオリン遺伝子由来のものなどの根好適プロモーター(Murai et al.,Science 23:476〜482(1983)及びSengupta−Gopalan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3320〜3324(1985));cab又はrubiscoに由来するものなどの葉特異的及び光誘導型プロモーター(Simpson et al.,EMBO J.4(11):2723〜2729(1985)及びTimko et al.,Nature 318:579〜582(1985));LAT52の由来するものなどの葯特異的プロモーター−(Twell et al.,Mol.Gen.Genetics 217:240〜245(1989));Zm13に由来するものなどの花粉特異的プロモーター(Guerrero et al.,Mol.Gen.Genetics 244:161〜168(1993))又はapgに由来するものなどの小胞子好適プロモーター(Twell et al.,Sex.Plant Reprod.6:217〜224(1993))が挙げられる。
【0160】
タンパク質を細胞内区画に標的化するためのシグナル配列
トランスジーンによって産生されたタンパク質の葉緑体、液胞、ペルオキシソーム、グリオキシソーム、細胞壁若しくはミトコンドリアなどの細胞内区画への輸送、又はアポプラストへの分泌のための輸送は、目的のタンパク質をコードする遺伝子の5’及び/又は3’領域への、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列の作動可能な連結によって達成される。構造遺伝子の5’及び/又は3’末端における配列の標的化は、タンパク質合成及びプロセシングの間に、コードされたタンパク質が最終的に区画化される場所を決定し得る。
【0161】
シグナル配列の存在は、ポリペプチドを、細胞内小器官若しくは細胞内区画、又はアポプラストへの分泌について、方向づける。多くのシグナル配列が、当該分野で公知である。例えば、Becker et al.,Plant Mol.Biol.20:49(1992);Close,P.S.,Master’s Thesis,Iowa State University(1993);Knox,C.,et al.,Plant Mol.Biol.9:3〜17(1987);Lerner et al.,Plant Physiol.91:124〜129(1989);Frontes et al.,Plant Cell 3:483〜496(1991);Matsuoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.88:834(1991);Gould et al.,J.Cell.Biol.108:1657(1989);Creissen et al.,Plant J.2:129(1991);Kalderon,et al.,Cell 39:499〜509(1984);Steifel,et al.,Plant Cell 2:785〜793(1990)を参照されたい。
【0162】
外来性タンパク質遺伝子及び農業用遺伝子
本発明に従うトランスジェニック植物により、外来性タンパク質が、商用品質で産生され得る。従って、形質転換植物の選択及び増殖のための、当該分野で周知の技術は、複数のトランスジェニック植物を生じ、これは、従来様式で収穫され、次いで、外来性タンパク質が、目的の組織又は全体のバイオマスから抽出される。植物バイオマスからのタンパク質抽出は、例えば、以下によって議論される公知の方法によって達成され得る:Heney and Orr,Anal.Biochem.114:92〜6(1981)。
【0163】
好ましい実施形態に従い、外来性タンパク質の市場用製品として産生されたトランスジェニック植物は、バレイショ植物である。別の好ましい実施形態において、目的のバイオマスは、種子又は塊茎である。高レベルの発現を示す比較的少数のトランスジェニック植物について、遺伝子マップが、まずは従来のRFLP、PCR及びSSR分析を介して作成され得る。俺らの分析は、組み込まれたDNA分子のおよその染色体位置を同定する。この点に関する例示的方法論についてはGlick and Thompson,Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology CRC Press,Boca Raton 269:284(1993)を参照されたい。染色体位置に関するマップ情報は、本トランスジェニック植物の特許保護のために有用である。認可されない増殖が行われ、他の生殖質との交配が作製された場合には、組み込み領域のマップは、疑わしい植物についての類似のマップと比較され得、後者が本植物と共有する百分率を有するか否かを決定する。マップ比較は、ハイブリダイゼーション、RFLP、PCR、SSR及び配列決定を含み得、これらは従来技術である。
【0164】
同様に、本発明を用いて、農業遺伝子が、形質転換植物において発現され得る。より詳細には、植物は、農業目的の種々の表現型を発現するように遺伝子操作され得る。この点に関係する例示的な遺伝子としては、いかに示すカテゴリーのものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
1.有害生物及び病気に対する耐性を付与する遺伝子及びこれらは、以下をコードする:
A.植物の病気に耐性の遺伝子植物防御は、多くの場合、病気耐性遺伝子の産物(R)と病原体における対応する非病原性(Avr)遺伝子の産物との間の特異的相互作用によって活性化される。植物変種は、クローニングされた耐性遺伝子によって形質転換されて、特定の病原体株に対して抵抗性であるように植物を操作し得る。例えば、Jones et al.,Science 266:789(1994)(cloning of the tomato Cf−9 gene for resistance to Cladosporium fulvum);Martin et al.,Science 262:1432(1993)(tomato Pto gene for resistance to Pseudomonas syringae pv.tomato encodes a protein kinase);Mindrinos et al.Cell 78:1089(1994)(Arabidopsis RSP2 gene for resistance to Pseudomonas syringae)を参照されたい。
B.有害生物、例えばダイズシストセンチュウに対する抵抗性を付与する遺伝子例えば、PCT出願WO 96/30517;PCT出願WO 93/19181を参照されたい。
C.バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)タンパク質、その誘導体又はその上にモデリングした合成ポリヌクレオチド例えば、Bt δ−内毒素遺伝子のクローニング及びヌクレオチド配列を開示するGeiser et al.,Gene 48:109(1986)を参照されたい。さらに、δ−内毒素遺伝子をコードするDNA分子が、American Type Culture Collection,Manassas,Virginiaから、例えば、ATCC登録番号40098、67136、31995及び31998の下で購入可能である。
D.レシチン例えば、Van Damme et al.,Plant Molec.Biol.24:25(1994)を参照されたい。これは、幾つかのクリビア・ミニアータ(Clivia miniata)マンノース結合レシチン遺伝子のヌクレオチド配列を開示する。
E.アビジンなどのビタミン結合タンパク質PCT出願US 93/06487を参照されたい。これは、昆虫有害生物に対する殺幼虫剤としての、アビジン及びアビジンホモログの使用を教示する。
F.酵素インヒビター、例えば、プロテアーゼインヒビター若しくはプロテイナーゼインヒビター又はアミラーゼインヒビター。例えば、Abe et al.,J.Biol.Chem.262:16793(1987)(コメシステインプロテイナーゼインヒビターのヌクレオチド配列)、Huub et al.,Plant Molec.Biol.21:985(1993)(タバコプロテイナーゼインヒビターIをコードするcDNAのヌクレオチド配列)、Sumitani et al.,Biosci.Biotech.Biochem.57:1243(1993)(ストレプトマイセス・ニトロスポレウス(Streptomyces nitrosporeus)α−アミラーゼインヒビターのヌクレオチド配列)及び米国特許5,494,813(Hepher and Atkinson,issued February 27,1996)を参照されたい。
G.エクジステロイド又は幼若ホルモンなどの昆虫特異的ホルモン、それらのバリアント、それらに基づく模倣物、又はそのアンタゴニスト若しくはアゴニスト例えば、Hammock et al.,Nature 344:458(1990)による、クローニングした幼若ホルモンエステラーゼ(幼若ホルモンの不活性化剤)のバキュロウイルス発現の開示を参照されたい。
H.発現の際に罹患した有害生物の生理学を破壊する、昆虫特異的ペプチド又はニューロペプチド例えば、Regan,J.Biol.Chem.269:9(1994)(発現クローニングが昆虫利尿ホルモンレセプターをコードするDNAを生じる)、及びPratt et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.163:1243(1989)(アロスタチンは、ジプロテラ・プンタータ(Diploptera puntata)において同定される)の開示を参照されたい。また、Tomalskiらに対する米国特許5,266,317も参照されたい。これは、昆虫特異的な麻痺性ニューロトキシンをコードする遺伝子を開示する。
I.天然において蛇、スズメバチなどによって産生される昆虫特異的毒。例えば、Pang et al.,Gene 116:165(1992)を、サソリ殺昆虫性ペプチドをコードする遺伝子の植物における異種発現の開示について参照されたい。
J.モノテルペン、セスキテルペン、ステロイド、ヒドロキサム酸、フェニルプロパノイド誘導体又は殺昆虫活性を有する別の非タンパク質分子の過剰蓄積に対する酵素応答。
K.生物学的活性分枝の翻訳後改変を含む改変に関与する酵素、例えば、解糖酵素、タンパク分解酵素、脂肪分解酵素、ヌクレアーゼ、シクラーゼ、トランスアミナーゼ、エステラーゼ、ヒドロラーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、ホスホリラーゼ、ポリメラーゼ、エラスターゼ、キチナーゼ及びグルカナーゼであり、天然又は合成のいずれかである。PCT出願WO 93/02197(Scott et al.)を参照されたい。これは、カラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列を開示する。キチナーゼコード配列を含むDNA分子が、例えば、ATCCから、登録番号39637及び67152の下で得られ得る。また、Kramer et al.,Insect Biochem.Molec.Biol.23:691(1993)をも参照されたい。これはタバコイモムシキチナーゼをコードするヌクレオチド配列を教示する。並びに、Kawalleck et al.,Plant Molec.Biol.21:673(1993)も参照されたい。これは、パセリubi4−2ポリユビキチン遺伝子のヌクレオチド配列を提供する。
L.シグナル伝達を刺激する分子例えば、Botella et al.,Plant Molec.Biol.24:757(1994)による、リョクトウカルモジリンcDNAクローンのヌクレオチド配列の開示、及びGriess et al.,Plant Physiol.104:1467(1994)(ダイズカルモジリンcDNAクローンのヌクレオチド配列を提供する)を参照されたい。
M.疎水性モーメントペプチド以下を参照されたい:PCT出願WO 95/16776、これは、真菌植物病原体を阻害するタキプレシンのペプチド誘導体を開示する。並びに、PCT出願WO 95/18855は、病気耐性を付与する、合成抗微生物ペプチドを教示する。
N.A膜パーミアーゼ、チャネルフォーマー又はチャネルブロッカー。例えば、Jaynes et al.,Plant Sci 89:43(1993)の、トランスジェニックタバコ植物にシュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)に対する耐性を付与する、セクロピン−β溶解性ペプチドの異種発現の開示を参照されたい。
O.ウイルス侵襲性タンパク質又はそれに由来する複合毒素例えば、形質転換植物細胞におけるウイルスコートタンパク質の蓄積は、このコードタンパク質が由来するウイルス及び関連のウイルスの感染及び/又はウイルスによってかかる病気発症に対する耐性を付与する。Beachy et al.,Ann.Rev.Phytopathol.28:451(1990)を参照されたい。コートタンパク質媒介型耐性は、アルファルファモザイクウイルス、キュウリモザイクウイルス及びタバコモザイクウイルスに対する形質転換植物に付与されている。
P.昆虫特異的抗体又はそれに由来するイムノトキシン従って、昆虫の腸における重要な代謝機能に対し標的化された抗体は、影響を受けた酵素を不活化させ、昆虫を殺傷する。Taylor et al.,Abstract #497,Seventh Int’l Symposium on Molecular Plant−Microbe Interactions(Edinburgh,Scotland)(1994)(トランスジェニックタバコにおける一本鎖抗体断片の産生を介した酵素不活性化)を参照されたい。
Q.ウイルス特異的抗体例えば、Tavladoraki et al.,Nature 366:469(1993)を参照されたい。これは、組換え抗体遺伝子を発現するトランスジェニック植物が、ウイルス攻撃から保護されることを示す。
R.病原体又は寄生生物により天然で産生される発生停止タンパク質従って、真菌エンド−α−1,4−D−ポリガラクツロナーゼは、植物細胞壁可溶性ホモ−α−1,4−D−ガラクツロナーゼにより、真菌の定着及び植物栄養放出を容易にする。Lamb et al.,Bio/Technology 10:1436(1992)を参照されたい。マメエンドポリガラクツロナーゼ阻害タンパク質をコードする遺伝子のクローニング及び性質決定は、Toubart et al.,Plant J.2:367(1992)によって記載される。
S.植物により天然で産生される発生停止タンパク質例えば、Logemann et al.,Bio/Technology 10:305(1992)は、オオムギリボソーム不活性化遺伝子を発現するトランスジェニック植物が、真菌の病気に対し上昇した抵抗性を有することを示している。
T.全身獲得抵抗性(SAR)応答に関与する遺伝子及び/又は病因関連遺伝子Briggs,S.Current Biology,5(2)(1995)。
U.抗真菌遺伝子Cornelissen and Melchers,Plant Physiol.,101:709〜712(1993);Parijs et al.,Planta 183:258〜264(1991)及びBushnell et al.,Can.J.of Plant Path.20(2):137〜149(1998)を参照されたい。
V.フィトフトラ・ブライト(Phytophthora blight)に対する耐性を付与する遺伝子、例えば、R1、R2、R3、R4及び他の耐性遺伝子Naess,S.K.,et.al.,(2000)Resistance to late blight in Solanum bulbocastanum is mapped to chromosome 8.Theor.Appl.Genet.101:697〜704及びLi,X.,et.al.,(1998)Autotetraploids and genetic mapping using common AFLP markers:the R2 allele conferring resistance to Phytophthora infestans mapped on potato chromosome 4.Theor.Appl.Genet.96:1121〜1128を参照されたい。
【0166】
2.除草剤に対する耐性を扶養する遺伝子。例えば:
A.成長点又は分裂組織を阻害する除草剤、例えば、イミダゾリノン又はスルホニルウレアこのカテゴリーにおける遺伝子の例は、例えば、それぞれ以下に記載されるように、突然変異体ALS及びAHAS酵素をコードする:Lee et al.,EMBO J.7:1241(1988)及びMiki et al.,Theor.Appl.Genet.80:449(1990)。
B.グリホセート(それぞれ突然変異体5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSP)及びaroA遺伝子によって、耐性が損なわれる)、並びにグルホシネート(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)及びストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)PATバー遺伝子)及びピリジンオキシ又はフェノキシプロピオン酸及びシクロヘキサンなど(ACCアーゼインヒビターコード遺伝子)の他のホスホノ化合物例えば、グリホセート耐性を付与するEPSPの形態のヌクレオチド配列を開示する、Shah,et al.に対する米国特許4,940,835を参照されたい。aroA遺伝子をコードするDNA分子は、ATCC登録番号39256の下で得られ、突然変異体遺伝子のヌクレオチド配列は、Comaiに対する米国特許4,769,061に開示される。Kumada et al.に対する欧州特許出願0 333 033、及びGoodman et al.に対する米国特許4,975,374は、L−ホスフィノトリシンなどの除草剤に対する耐性を付与するグルタミンシンターゼ遺伝子のヌクレオチド配列を開示する。PAT遺伝子のヌクレオチド配列は、Leemans et al.に対する欧州出願0 242 246において提供される。DeGreef et al.,Bio/Technology 7:61(1989)は、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ活性についてコードするキメラバー遺伝子を発現する、トランスジェニック植物の産生を記載する。フェノキシプロピオン酸及びシクロヘキサン、例えばセトキシジム及びハロキシホップに対する耐性を付与する例示的な遺伝子は、以下に記載されるAcc1−S1、Acc1−S2及びAcc2−S3遺伝子である:Marshall et al.,Theor.Appl.Genet.83:435(1992)。
C.光合成を阻害する除草剤、例えばトリアジン(psbA及びgs+遺伝子)又はベンゾニトリル(ニトリラーゼ遺伝子)Przibila et al.,Plant Cell 3:169(1991)は、突然変異体psbAをコードするプラスミドによる、クラミドモナスの形質転換を記載する。ニトリラーゼ遺伝子についてのヌクレオチド配列は、Stalkerに対する米国特許4,810,648にいて開示され、これらの遺伝子を含むDNA分子は、ATCC登録番号53435、67441及び67442の下で利用可能である。グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードするDNAのクローニング及び発現は、以下に記載される:Hayes et al.,Biochem.J.285:173(1992)。
D.多数の型の除草剤に耐性である酵素を発現する植物を作製することが見出されているアセトヒドロキシ酸シンターゼが、種々の植物内に導入されている。Hattori et al.,Mol.Gen.Genet.246:419,1995を参照されたい。除草剤に対する耐性を付与する他の遺伝子としては、ラット染色体P4507A1と酵母NADPH−シトクロムP450オキシドレダクターゼとのキメラタンパク質をコードする遺伝子(Shiota et al.,Plant Physiol.,106:17,1994)、グルタチオンレダクターゼ及びスーパーオキシドジスムターゼについての遺伝子(Aono et al.,Plant Cell Physiol.36:1687,1995)、並びに種々のホスホトランスフェラーゼについての遺伝子(Datta et al.,Plant Mol.Biol.20:619,1992)が挙げられる。
E.プロトポルフィリノゲンオキシダーゼ(protox)が、全ての植物の生存のために必要な葉緑素の産生のために必須であるprotox酵素は、種々の除草剤化合物についての標的として寄与する。これらの除草剤はまた、存在する全ての異なる種の植物の成長も阻害し、全体的破壊をもたらす。これらの除草剤に対して耐性である改変されたprotox活性を有する植物の開発は以下に記載される:米国特許6,288,306;6,282,837;5,767,373及び国際公開WO 01/12825。
【0167】
3.付加価値形質を付与するか又はこれに寄与する遺伝子。例えば:
A.改変された脂肪酸代謝。例えば、ステアリル−ACPデサチュラーゼのアンチセンス遺伝子による、植物のステアリン酸含量を増大するような植物の形質転換によるもの。Knultzon et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2625(1992)を参照されたい。
B.低下したフィテート含量−1)フィターゼをコードする遺伝子の導入は、フィテートの分解を増大し、形質転換植物に、より多くの遊離のホスフェートを追加する。例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)フィターゼ遺伝子のヌクレオチド配列の開示については、Van Hartingsveldt et al.,Gene 127:87(1993)を参照されたい。2)遺伝子は、低下したフィターゼ含量を誘導されることもできた。トウモロコシにおいて、例えば、これは、低レベルのフィチン酸によって特徴づけられるトウモロコシ突然変異を担う1つの対立遺伝子に関連するDNAをクローニングし、次いで再導入することによって、達成され得た。Raboy et al.,Maydica 35:383(1990)を参照されたい。
C.改変された炭水化物組成。例えば、デンプンの分枝パターンを改変する酵素をコードする遺伝子で植物を形質転換することによる。Shiroza et al.,J.Bacteriol.170:810(1988)(ストレプトコッカス(Streptococcus)突然変異フラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Steinmetz et al.,Mol.Gen.Genet.20:220(1985)(バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Pen et al.,Bio/Technology 10:292(1992)(バチルス・リケニホニス(Bacillus lichenifonnis)α−アミラーゼを発現するトランスジェニック植物の産生)、Elliot et al.,Plant Molec.Biol.21:515(1993)(トマトインベルターゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Sogaard et al.,J.Biol.Chem.268:22480(1993)(オオムギα−アミラーゼ遺伝子の部位特異的突然変異誘発)及びFisher et al.,Plant Physiol.102:1045(1993)(トウモロコシ胚乳デンプン分枝酵素II)を参照されたい。
D.FAD−2遺伝子改変を介したオレイン酸の上昇及び/又はFAD−3遺伝子改変を介したリノレン酸の上昇米国特許6,063,947;6,323,392;及び国際公開WO 93/11245を参照されたい。
【0168】
4.雄性不稔を制御する遺伝子
A.タペータム特異的プロモーターの制御下のデアセチラーゼ遺伝子の導入及び化学的N−Ac−PPTの添加。国際公開WO 01/29237を参照されたい。
B.種々の雄ずい特異的プロモーターの導入。国際公開WO 92/13956及びWO 92/13957を参照されたい。
C.バルナーゼ及びバルスター遺伝子の導入Paul et al.,Plant Mol.Biol.19:611〜622,1992を参照されたい。
【0169】
バレイショ形質転換の方法
植物形質転換のための多くの方法が開発されており、生物学的及び物理的植物形質転換プロトコールが挙げられる。例えば、Miki et al.,「Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants」in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick,B.R.and Thompson,J.E.Eds.(CRC Press,Inc.Boca Raton,1993)pages 67〜88を参照されたい。加えて、植物細胞についてのベクターの発現及びインビトロ培養方法又は組織形質転換及び植物の再生が、利用可能である。例えば、Gruber et al.,「Vectors for Plant Transformation」in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick,B.R.and Thompson,J.E.Eds.(CRC Press,Inc.,Boca Raton,1993)pages 89〜119を参照されたい。
【0170】
A.アグロバクテリウム媒介型形質転換−ベクターを植物内に導入するための1つの方法は、アグロバクテリウムの天然の形質転換システムに基づく。例えば、Horsch et al.,Science 227:1229(1985)を参照されたい。A.ツメファシエンス及びA.リゾゲネスは、植物細胞を遺伝的に形質転換する、植物病原性土壌細菌である。A.ツメファシエンス及びA.リゾゲネスのTi及びRiプラスミドは、それぞれ、植物の遺伝的形質転換を担う遺伝子を有する。例えば、Kado,C.I.,Crit.Rev.Plant Sci.10:1(1991)を参照されたい。アグロバクテリウムベクター系及びアグロバクテリウム媒介型遺伝子移入のための方法の記載は、Gruber et al.,supra,Miki et al.,supra and Moloney et al.,Plant Cell Reports 8:238(1989)によって提示される。また、1996年10月8日に発行された米国特許5,563,055(Townsend and Thomas)も参照されたい。
【0171】
B.直接遺伝子移入−集合的に直接遺伝子移入と呼ばれる植物形質転換の幾つかの方法が、アグロバクテリウム媒介型形質転換の代替法として開発されている。植物表面の1〜4μmの微小射出の遺伝的に適合性な方法。発現ベクターを、植物細壁及び細胞膜を貫くのに十分な300〜600m/秒の速さに微小射出を加速する微粒子銃デバイスにより、植物組織内に導入する。Sanford et al.,Part.Sci.Technol.5:27(1987);Sanford,J.C.,Trends Biotech.6:299(1988);Klein et al.,Bio/Tech.6:559〜563(1988);Sanford,J.C.Physiol Plant 7:206(1990);Klein et al.,Biotechnology 10:268(1992).1991年5月14日に発行された米国特許5,015,580(Christou,et al.)、及び1994年6月21日に発行された米国特許5,322,783(Tomes,et al.)もまた、参照されたい。
【0172】
DNAの植物への物理的送達のための別の方法は、標的細胞の超音波処理である。Zhang et al.,Bio/Technology 9:996(1991).あるいは、リポソーム及びスフェロプラスト融合が、発現ベクターを植物内に導入するために使用されている。Deshayes et al.,EMBO J.,4:2731(1985);Christou et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 84:3962(1987)。CaCl
2沈殿、ポリビニルアルコール又はポリ−L−オルニチンを用いるDNAの原形質中への直接取り込みもまた、報告されている。Hain et al.,Mol.Gen.Genet.199:161(1985)及びDraper et al.,Plant Cell Physiol.23:451(1982)。原形質及び全細胞並びに組織のエレクトロポレーションもまた、記載されている。Donn et al.,In Abstracts of VIIth International Congress on Plant Cell and Tissue Culture IAPTC,A2−38,p 53(1990);D’Halluin et al.,Plant Cell 4:1495〜1505(1992)及びSpencer et al.,Plant Mol.Biol.24:51〜61(1994)。
【0173】
バレイショ標的組織の形質転換後、上述の選択可能マーカー遺伝子の発現は、当該分野で周知の再生及び選択方法を用いた形質転換細胞、組織及び/又は植物の優先的選択を可能にする。
【0174】
形質転換のための上述の方法が、代表的に、トランスジェニック変種を産生するために使用される。次いで、新規なトランスジェニック変種を産生するために、トランスジェニック変種を、別の(非形質転換又は形質転換)変種に交配させる。あるいは、特定のバレイショ系統に上述の形質転換技術を用いて遺伝子操作した遺伝的形質を、植物増殖分野で周知の従来型戻し交配技術を用いて、別の系統に移してもよい。例えば、戻し交雑アプローチを使用し、操作した形質を、公の、非エリート変種からエリート変種へと移動させてもよく、又は、そのゲノム内に外来性遺伝子を含む変種からこの遺伝子を含まない変種へと移動させてもよい。本書中で使用される場合、「交配する」は、単純にXをYによってかけ合わせることをいっても、又は文脈に依存して、戻し交配のプロセスをいってもよい。
【0175】
当業者は、用語バレイショ植物が、本発明の文脈で使用される場合、これはまた、E12の本質的に識別可能な特徴を保持する派生変種、例えば、この変種の遺伝子変換植物又はそこに組み込まれた1つ以上の付加価値遺伝子(例えば、除草剤又は有害生物耐性)を有するトランスジェニック誘導体をも含むことを理解する。戻し交配方法は、特徴を改善するか、又は特徴を変種に導入するために、本発明と共に使用され得る。用語「戻し交配」は、本書中で使用される場合、ハイブリッド子孫を回帰した親に戻す1、2、3、4、5、6、7、8、9以上の回数の繰り返し交配をいう。1つ以上の所望の特徴のために遺伝子を供した親バレイショ植物を、非回帰親又はドナー親と呼ぶ。この用語は、非回帰親が、戻し交配プロトコールにおいて1回使用され、回帰しないという事実をいう。非回帰親からの遺伝子が移入されている親バレイショ植物は、回帰親として知られ、戻し交配プロトコールにおいて、何回も使用される。代表的な戻し交配プロトコールにおいて、目的の元の変種(回帰親)は、移入された目的の遺伝子を有する第2の変種(非回帰親)と交配される。この交配から得られた子孫を、次いで、再び回帰親にかけ合わせ、このプロセスを、変換した植物において、非回帰親から移入された1つ以上の遺伝子に加えて回帰親の所望の形態学的及び生理学的特徴を本質的に全て回収したバレイショ植物が得られるまで繰り返す。
【0176】
好適な回帰親の選択は、連続的戻し交配手順のために重要な工程である。戻し交配プロトコールの到達点は、元の変種における1以上の形質又は特徴を、改変することである。これを達成するために、回帰変種の1つ以上の遺伝子を、非回帰親由来の所望の遺伝子により、改変するか、置換するか、又は補充する一方で、所望の遺伝子の残りの全ては本質的に保持し、従って、元の変種の所望の生理学的及び形態学的構造を保持する。特定の非回帰親の選択は、戻し交配に依存する。幾つかの市場で望ましい、農業的に重要な形質を、植物に加える。正確な戻し交配プロトコールは、改変されるか又は加えられた特徴若しくは形質に依存して、適切な試験プロトコールを決定する。移入される特徴が優性対立遺伝子である場合は戻し交配方法は単純化されるが、劣勢対立遺伝子もまた、移入され得る。この場合、所望の特徴が首尾よく移入されたか否かを決定するために、子孫の試験を導入する必要がある。
【0177】
このように、トランスジーンは、種々の確立された、当業者に周知の組換え方法のいずれかを用いて、導入され得る。例えば、以下である:Gressel,1985,Biotechnologically Conferring Herbicide Resistance in Crops:The Present Realities,In Molecular Form and Function of the Plant Genome,L.van Vloten−Doting,(ed.),Plenum Press,New York;Huttner,S.L.,et al.,1992,Revising Oversight of Genetically Modified Plants,Bio/Technology;Klee,H.,et al.,1989,Plant Gene Vectors and Genetic Transformation:Plant Transformation Systems Based on the use of Agrobacterium tumefaciens,Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants;Koncz,C.,et al.,1986,The Promoter of T
L−DNA Gene 5 Controls the Tissue−Specific Expression of Chimeric Genes Carried by a Novel Type of Agrobacterium Binary Vector;Molecular and General Genetics;Lawson,C.,et al.,1990,Engineering Resistance to Mixed Virus Infection in a Commercial Potato Cultivar:Resistance to Potato Virus X and Potato Virus Y in Transgenic Russet Burbank,Bio/Technology;Mitsky,T.A.,et al.,1996,Plants Resistant to Infection by PLRV.米国特許5,510,253;Newell,C.A.,et al.,1991,Agrobacterium−Mediated Transformation of Solanum tuberosum L.Cv.Russet Burbank,Plant Cell Reports;Perlak,F.J.,et al.,1993,Genetically Improved Potatoes:Protection from Damage by Colorado Potato Beetles,Plant Molecular Biology、これらの全ては、この目的のために、本書中に参考として組み込まれる。
【0178】
新規な変種の開発のためには通常選択されないが、戻し交配及び遺伝子操作技術によって改善され得る多くの形質が、同定されている。これらの形質は、トランスジェニックであってもなくてもよい;これらの形質の例としては、除草剤耐性;細菌性の病気、真菌性の病気又はウイルス性の病気に対する耐性;昆虫耐性;デンプン又は他の炭水化物の濃度における均一性若しくは増大;栄養品質の向上;塊茎が傷を負う傾向の低下;及びデンプンの糖への還元の割合の低下が挙げられるが、これらに限定されない。これらの遺伝子は、核を通して遺伝的に受け継がれる。これらの形質の幾つかは、以下に記載される:米国特許5,500,365、米国特許5,387,756、米国特許5,789,657、米国特許5,503,999、米国特許5,589,612、米国特許5,510,253、米国特許5,304,730、米国特許5,382,429、U.S.Patent N.5,503,999、米国特許5,648,249、米国特許5,312,912、米国特許5,498,533、米国特許5,276,268、米国特許4,900,676、米国特許5,633,434及び米国特許4,970,168。
【0179】
寄託情報
J.R.Simplot Company所有の、上で開示し添付の特許請求の範囲で挙げたバレイショ栽培品種E12の塊茎寄託は、American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110によって行った。寄託日は、2013年5月23日であった。マイクロチューブの25のバイアルの寄託物を、J.R.Simplot Companyによって維持された同じ寄託物から、本出願の提出日の前に受け取った。全ての制限は、特許の付与の際に不可逆的に取り除かれ、この寄託は、37 C.F.R.§§ 1.801〜1.809の全ての要件を満たすことを意図する。ATCC登録番号は、PTA−120372である。寄託物は、30年間の期間にわたって、又は最後の要求から5年間にわたって、又は、より長い場合には特許の権利光子可能期間にわたって、寄託当局によって維持され、必要に応じて、その期間の間、取り換えられる。
【0180】
多くの例示的局面及び実施形態が上で議論されているが、当業者は、特定の改変、交換、追加及びその部分的組み合わせを、理解する。従って、以下の添付の特許請求の範囲は、以後、全てのこのような改変、交換、追加及び部分的組み合わせを、その真の精神及び範囲内であるように、含むと解釈されることが、意図される。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
バレイショ栽培品種E12のバレイショ塊茎又は塊茎の部分であって、前記塊茎の代表的サンプルは、ATCC登録番号PTA−120372の下で寄託されている、バレイショ塊茎又は塊茎の部分。
(項目2)
項目1に記載の前記塊茎又は前記塊茎の部分を成長させることによって産生された、バレイショ植物またはその部分。
(項目3)
項目2に記載の前記植物の生理学的特徴及び形態学的特徴の全てを有する、バレイショ植物。
(項目4)
項目2に記載の前記植物から産生される細胞の組織培養物であって、前記組織培養物の前記細胞は、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、分裂組織細胞、根、根冠、雌ずい、葯、花、幹及び塊茎から成る群より選択される植物部分から産生される、組織培養物。
(項目5)
項目4に記載の前記組織培養物から再生されたバレイショ植物であって、前記植物は、バレイショ栽培品種E12の生理学的特徴及び形態学的特徴の全てを有する、バレイショ植物。
(項目6)
項目1に記載の前記バレイショ塊茎又は前記塊茎の部分を成長させることによって産生された、バレイショ種子。
(項目7)
項目6に記載の前記種子を成長させることによって産生された、バレイショ植物またはその部分。
(項目8)
項目7に記載の前記バレイショ植物の組織培養物から再生されたバレイショ植物であって、前記植物は、バレイショ栽培品種E12の生理学的特徴及び形態学的特徴の全てを有する、バレイショ植物。
(項目9)
バレイショ種子を産生するための方法であって、少なくとも1種のバレイショ植物が項目2に記載の前記バレイショ植物である2種のバレイショ植物を交配すること、及び生じたバレイショ種子を収穫することを含む、方法。
(項目10)
バレイショ種子を産生するための方法であって、少なくとも1種のバレイショ植物が項目7に記載のバレイショ植物である2種のバレイショ植物を交配すること、及び生じたバレイショ種子を収穫することを含む、方法。
(項目11)
項目10に記載の前記方法によって産生された、バレイショ種子。
(項目12)
項目11に記載の前記バレイショ種子を成長させることによって産生された、バレイショ植物またはその部分。
(項目13)
項目12に記載の前記植物から産生された、バレイショ種子。
(項目14)
前記バレイショ植物のうちの1種は、トランスジェニックであり、他方は、バレイショ栽培品種E12である、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記バレイショ植物のうちの1種は、トランスジェニックであり、他方は、バレイショ栽培品種E12である、項目10に記載の方法。
(項目16)
項目14に記載の前記方法によって産生された、バレイショ植物またはその部分。
(項目17)
バレイショ栽培品種E12に所望の形質を導入する方法であって、前記方法は、
(a)塊茎の代表的サンプルがATCC登録番号PTA−120372の下で寄託されているE12植物を、所望の形質を含む別のバレイショ栽培品種と交配することにより、子孫植物を産生することであって、前記所望の形質は、雄性不稔、除草剤耐性、昆虫耐性、改変された脂肪酸代謝、改変された炭水化物代謝及び細菌性の病気、真菌性の病気又はウイルス性の病気に対する耐性からなる群より選択されること;
(b)前記所望の形質を有する1種以上の子孫植物を選択すること;
(c)選択された子孫植物を、E12植物と戻し交配し、戻し交配子孫植物を産生すること;
(d)前記所望の形質を有する戻し交配子孫植物を選択すること;並びに
(e)工程(c)及び(d)を2回以上連続して繰り返し、前記所望の形質を含む選択された第3又はそれ以上の戻し交配子孫植物を産生すること、を含む方法。
(項目18)
項目17に記載の前記方法によって産生されたバレイショ植物であって、前記植物は、前記所望の形質を有し、バレイショ栽培品種E12の生理学的特徴及び形態学的特徴の全てを有する、バレイショ植物。
(項目19)
前記所望の形質は、除草剤耐性であり、前記耐性は、イミダゾリノン、スルホニルウレア、グルホシネート、L−ホスフィノトリシン、トリアジン及びベンゾニトリルから成る群より選択される除草剤に対して付与される、項目18に記載のバレイショ植物。
(項目20)
前記所望の形質は、昆虫耐性であり、前記昆虫耐性は、バチルス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)内毒素をコードする導入遺伝子によって付与される、項目18に記載のバレイショ植物。
(項目21)
前記所望の形質は、改変された脂肪酸代謝又は改変された炭水化物代謝であり、前記所望の形質は、フルクトシルトランスフェラーゼ、レバンスクラーゼ、α−アミラーゼ、インベルターゼ及びデンプン分枝酵素から成る群より選択されるタンパク質をコードする核酸、又はステアリル−ACPデサチュラーゼのアンチセンスをコードするDNAによって付与される、項目18に記載のバレイショ植物。
(項目22)
商用植物製品を産生する方法であって、項目2の前記植物又はその部分を得ること、及び、前記植物又はその植物部分から商用植物製品を産生することを含み、前記商用植物製品は、フライドポテト、ポテトチップス、脱水バレイショ材料、ポテトフレーク及びポテト顆粒から成る群より選択される、方法。
(項目23)
項目22に記載の前記方法によって産生された、商用植物製品。