特許第6204573号(P6204573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204573
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】プリント基板用搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-512498(P2016-512498)
(86)(22)【出願日】2014年4月7日
(86)【国際出願番号】JP2014060079
(87)【国際公開番号】WO2015155817
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 佳貴
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−160818(JP,A)
【文献】 特開2007−184648(JP,A)
【文献】 特開平8−204387(JP,A)
【文献】 特開2010−50401(JP,A)
【文献】 特開2010−87136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に作業を行う作業装置に設けられ、前記作業装置がプリント基板に作業を行う作業部とこの作業装置のプリント基板出入部との間で前記プリント基板を搬送する第1のコンベアと、
前記プリント基板が前記プリント基板出入部を通って作業装置内に搬入される搬入工程で前記プリント基板を前記第1のコンベアに送り、かつプリント基板が前記作業装置から前記プリント基板出入部を通って搬出される搬出工程で前記プリント基板を第1のコンベアから受け取る第2のコンベアとを備え、
前記第1のコンベアは、前記プリント基板が載る第1の搬送部材を有し、この第1の搬送部材を回転させて前記プリント基板を送る機能と、前記作業部と前記プリント基板出入部との間で前記プリント基板の搬送方向と平行な方向に移動する機能とを併用して前記プリント基板を搬送するように構成され、
前記第2のコンベアは、前記プリント基板が載る第2の搬送部材を有し、この第2の搬送部材を回転させて前記プリント基板を搬送するものであり、
前記プリント基板は、
前記搬入工程において、前記第1のコンベアが第2のコンベアと隣り合う位置に移動して停止している状態で前記第1の搬送部材と第2の搬送部材とが同方向に予め定めた回転速度で回転することにより、第2のコンベアから第1のコンベアに乗り移り、
前記搬出工程において、前記第1のコンベアが第2のコンベアと隣り合う位置に移動して停止している状態で前記第1の搬送部材と第2の搬送部材とが同方向に予め定めた回転速度で回転することにより、第1のコンベアから第2のコンベアに乗り移り、
前記第1のコンベアは、前記搬入工程と搬出工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとのうち搬送方向の下流側の一方のコンベアに載せられた前記プリント基板の下流部分の長さが予め定めた支持長さに達した後に前記第1の搬送部材の回転速度を乗り移り開始時の回転速度から予め定めたコンベア移動時の回転速度に変えて前記作業部側へ移動するものであり、
前記支持長さは、前記搬送方向の下流側に位置する一方のコンベアのみに載せられた前記プリント基板が脱落しない最小の前記下流部分の長さであり、
前記コンベア移動時の回転速度は、前記プリント基板が前記第1の搬送部材と前記第2の搬送部材とに対してすべらない回転速度であることを特徴とするプリント基板用搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載のプリント基板用搬送装置において、
前記第1のコンベアの動作を制御する制御部と、
前記支持長さを記憶する記憶部とをさらに備え、
前記制御部は、前記一方のコンベアに実際に載っている前記プリント基板の下流部分の長さが前記支持長さとなる状態で前記第1のコンベアの移動を開始させることを特徴とするプリント基板用搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載のプリント基板用搬送装置において、
前記プリント基板の搬送方向の下流端が前記一方のコンベアに乗る時機である乗り移り開始時を検出する検出部と、
前記第1の搬送部材によって送られた前記プリント基板の搬送距離を求める距離取得部とをさらに備え、
前記制御部は、前記距離取得部が前記乗り移り開始時から現在に至る間に求めた前記搬送距離に基づいて前記一方のコンベアに実際に載っている前記プリント基板の下流部分の長さを取得するものであることを特徴とするプリント基板用搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3記載のプリント基板用搬送装置において、
前記プリント基板出入部は、前記作業装置の一端部に位置する搬入部と、前記作業装置の他端部に位置する搬出部とによって構成され、
前記第2のコンベアは、前記搬入部側と前記搬出部側とにそれぞれ設けられ、
前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとにより搬送される前記プリント基板の搬送方向は、前記搬入部から前記搬出部に至る方向であることを特徴とするプリント基板用搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3記載のプリント基板用搬送装置において、
前記プリント基板出入部は、前記作業装置の一端部のみに設けられ、
前記搬入工程で前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとによって搬送される前記プリント基板の搬送方向は、前記搬出工程で前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとによって搬送される前記プリント基板の搬送方向とは反対の方向であり、
前記第1のコンベアは、搬入工程において、前記第1のコンベアに載せられた前記プリント基板の下流部分の長さが前記支持長さに達した後に前記第1の搬送部材の回転速度を乗り移り開始時の回転速度から前記コンベア移動時の回転速度に変えて前記作業部側へ移動するものであることを特徴とするプリント基板用搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板用搬送装置に関する。より具体的には、本発明は、プリント基板を搬送する機能と、搬送方向に移動する機能とを有するコンベアを備えたプリント基板用搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に作業を行う作業装置は、プリント基板を搬送するコンベアを備えている。この作業装置に搬入されるプリント基板は、前工程の装置で搬入用コンベアに載せられ、この搬入用コンベアの下流端から作業装置内のコンベアに乗り移る。作業装置による作業が終了したプリント基板は、作業装置内のコンベアによって搬送方向の下流側に送られ、このコンベアの下流端から搬出用コンベアに乗り移る。このように構成された従来のプリント基板用搬送装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
特許文献1に開示されたプリント基板用搬送装置は、表面実装機に装備されたものである。この搬送装置は、表面実装機内でプリント基板の搬送方向に移動する可動コンベアを備えている。この表面実装機に搬入されるプリント基板は、可動コンベアが搬送方向の上流側に移動した状態で、上流側の搬入用コンベアから可動コンベアに乗り移る。可動コンベアは、プリント基板の全体が可動コンベア上に乗り移った後に、搬送方向の下流側へ移動し、作業位置に停止する。
【0004】
電子部品が実装されたプリント基板は、可動コンベアが搬送方向の下流側に移動した状態で、可動コンベアから搬出用コンベアに乗り移る。このとき、可動コンベアは、プリント基板の全体が搬出用コンベアに乗り移った後に搬送方向の上流側へ移動する。
可動コンベアを有するプリント基板搬送装置は、特許文献1に示すような表面実装機の他に、プリント基板に半田ペーストを塗布するスクリーン印刷機にも装備されている。
ところで、従来の表面実装機やスクリーン印刷機においては、複数のプリント基板に順次作業を行うにあたって、プリント基板の搬入から次のプリント基板の搬入に至るまでの間のタクトタイムを更に短縮することが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−184648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたプリント基板用搬送装置において、タクトタイムを短縮するためには、プリント基板の搬送速度や可動コンベアの移動速度を高くすることにより実現することができる。しかし、プリント基板が高速で移動すると、プリント基板が停止するときの衝撃でプリント基板の先端が破損するおそれがある。電子部品が載せられたプリント基板が搬送される場合には、停止時の衝撃でプリント基板上の電子部品が移動してしまう。このため、特許文献1に示すプリント基板用搬送装置では、タクトタイムを更に短縮するという要請に応えることができない。
【0007】
本発明はこのような要請に応えるためになされたもので、搬送速度やコンベアの移動速度を低く抑えながら、タクトタイムを短縮することが可能なプリント基板用搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係るプリント基板用搬送装置は、プリント基板に作業を行う作業装置に設けられ、前記作業装置がプリント基板に作業を行う作業部とこの作業装置のプリント基板出入部との間で前記プリント基板を搬送する第1のコンベアと、前記プリント基板が前記プリント基板出入部を通って作業装置内に搬入される搬入工程で前記プリント基板を前記第1のコンベアに送り、かつプリント基板が前記作業装置から前記プリント基板出入部を通って搬出される搬出工程で前記プリント基板を第1のコンベアから受け取る第2のコンベアとを備え、前記第1のコンベアは、前記プリント基板が載る第1の搬送部材を有し、この第1の搬送部材を回転させて前記プリント基板を送る機能と、前記作業部と前記プリント基板出入部との間で前記プリント基板の搬送方向と平行な方向に移動する機能とを併用して前記プリント基板を搬送するように構成され、前記第2のコンベアは、前記プリント基板が載る第2の搬送部材を有し、この第2の搬送部材を回転させて前記プリント基板を搬送するものであり、前記プリント基板は、前記搬入工程において、前記第1のコンベアが第2のコンベアと隣り合う位置に移動して停止している状態で前記第1の搬送部材と第2の搬送部材とが同方向に予め定めた回転速度で回転することにより、第2のコンベアから第1のコンベアに乗り移り、前記搬出工程において、前記第1のコンベアが第2のコンベアと隣り合う位置に移動して停止している状態で前記第1の搬送部材と第2の搬送部材とが同方向に予め定めた回転速度で回転することにより、第1のコンベアから第2のコンベアに乗り移り、前記第1のコンベアは、前記搬入工程と搬出工程とのうち少なくともいずれか一方の工程において、前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとのうち搬送方向の下流側の一方のコンベアに載せられた前記プリント基板の下流部分の長さが予め定めた支持長さに達した後に前記第1の搬送部材の回転速度を乗り移り開始時の回転速度から予め定めたコンベア移動時の回転速度に変えて前記作業部側へ移動するものであり、前記支持長さは、前記搬送方向の下流側に位置する一方のコンベアのみに載せられた前記プリント基板が脱落しない最小の前記下流部分の長さであり、前記コンベア移動時の回転速度は、前記プリント基板が前記第1の搬送部材と前記第2の搬送部材とに対してすべらない回転速度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る第1のコンベアは、プリント基板が乗り移る過程の途中で作業部側へ移動を開始する。プリント基板は、後述する二つの理由によって、このように乗り移る過程の途中で第1のコンベアが移動したとしても下流側のコンベアから脱落することはない。第1の理由は、プリント基板が搬送方向の下流側のコンベアに支えられるからである。第2の理由は、第1の搬送部材の回転速度が変わり、プリント基板が下流側のコンベアに対してすべることがないからである。
【0010】
このため、プリント基板の全体が下流側のコンベアに乗り移った後に第1のコンベアが移動を開始する場合と較べると、第1のコンベアが待機している時間が短い分だけタクトタイムを短縮することができる。したがって、本発明によれば、搬送速度やコンベアの移動速度を大きく変えることなく、タクトタイムを短縮することが可能なプリント基板用搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の基本的な構成を説明するための平面図である。図1は、第1のコンベアが搬入位置に移動した状態で描いてある。
図2図2は、本発明の基本的な構成を説明するための平面図である。図2は、第2のコンベアが作業装置内に設けられている場合の一例を示している。
図3図3は、本発明の基本的な構成を説明するための平面図である。図3は、第1のコンベアが搬出位置に移動した状態で描いてある。
図4図4は、搬入工程を説明するための平面図である。
図5図5は、搬入工程が終了したときの状態を示す平面図である。
図6図6は、搬出開始時の状態を示す平面図である。
図7図7は、搬出工程を説明するための平面図である。
図8図8は、搬出工程が終了したときの状態を示す平面図である。
図9図9は、本発明の具体的な構成を説明するための平面図である。図9中には制御系の一部が描かれている。
図10図10は、スクリーン印刷機の制御系の構成を示すブロック図である。
図11図11は、搬入時の動作を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、搬出時の動作を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、搬入時の動作を説明するためのタイムチャートである。
図14図14は、搬出時の動作を説明するためのタイムチャートである。
図15図15は、他の実施の形態によるプリント基板用搬送装置の構成を示す平面図である。
図16図16は、他の実施の形態によるプリント基板用搬送装置の構成を示す平面図である。
図17図17は、他の実施の形態によるプリント基板用搬送装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の基本的な構成)
先ず、本発明に係るプリント基板用搬送装置の基本的な構成を図1図8によって説明する。
図1に示すプリント基板用搬送装置1は、第1のコンベア2と、この第1のコンベア2とともにプリント基板3の搬送する第2のコンベア4とを備えている。第1のコンベア2は、プリント基板3に作業を行う作業装置5に設けられている。第1のコンベア2は、作業装置5がプリント基板3に作業を行う作業部6と、作業装置5のプリント基板出入部との間でプリント基板3を搬送するものである。この実施の形態によるプリント基板出入部は、作業装置5の一端部に位置する搬入部7と、他端部に位置する搬出部8とによって構成されている。
図1に示すプリント基板用搬送装置1は、搬入部7側と搬出部8側とにそれぞれ第2のコンベア4を備えている。
【0013】
搬入部7側に位置する第2のコンベア4と、搬出部8側に位置する第2のコンベア4は、この実施の形態においては、作業装置5の外に設けられている。この実施の形態による搬入部7側に位置する第2のコンベア4は、作業装置5と前工程の装置とを接続するものである。この実施の形態による搬出部8側に位置する第2のコンベア4は、作業装置5と後工程の装置とを接続するものである。なお、本発明に係るプリント基板用搬送装置1は、このような限定にとらわれることはない。搬入部7側の第2のコンベア4と、搬出部8側の第2のコンベア4は、図2に示すように、作業装置5の中に設けることができる。
【0014】
図1に示すプリント基板用搬送装置1は、プリント基板3を搬入部7側に位置する第2のコンベア4から搬出部8側に位置する第2のコンベア4に搬送する。プリント基板3は、第1のコンベア2に載せられている状態で作業装置5によって作業が施される。作業装置5としては、図示してはいないが、表面実装機やスクリーン印刷機などである。表面実装機は、プリント基板に電子部品を実装するものである。スクリーン印刷機は、プリント基板に半田ペーストを塗布するものである。
【0015】
以下においては、搬入部7側に位置する第2のコンベア4から第1のコンベア2にプリント基板3が送られる工程を搬入工程という。搬入部7側に位置する第2のコンベア4は、プリント基板3を前工程の装置から受け取り、第1のコンベア2に送る。
また、以下においては、第1のコンベア2から搬出部8側に位置する第2のコンベア4にプリント基板3が送られる工程を搬出工程という。搬出部8側に位置する第2のコンベア4は、プリント基板3を第1のコンベア2から受け取り、次工程の装置に送る。
【0016】
第1のコンベア2は、プリント基板3が載る第1の搬送部材2aを有している。この実施の形態による第1の搬送部材2aは、ベルトによって構成されている。この第1のコンベア2は、この第1の搬送部材2aを回転させてプリント基板3を送る機能と、作業部6と搬入部7あるいは搬出部8との間でプリント基板3の搬送方向と平行な方向に移動する機能とを併用してプリント基板3を搬送する。
第2のコンベア4は、プリント基板3が載る第2の搬送部材4aを有している。この実施の形態による第2の搬送部材4aは、ベルトによって構成されている。第2のコンベア4は、この第2の搬送部材4aを回転させてプリント基板3を搬送するものである。
【0017】
第1のコンベア2が移動する範囲は、図1に示す搬入位置と、図3に示す搬出位置との間の範囲である。搬入位置は、プリント基板3が搬入部7の第2のコンベア4から第1のコンベア2に乗り移ることが可能な第1のコンベア2の位置である。搬出位置は、プリント基板3が第1のコンベア2から搬出部8の第2のコンベア4に乗り移ることが可能な第1のコンベア2の位置である。
【0018】
プリント基板3は、搬入工程において、第1のコンベア2が第2のコンベア4と隣り合う位置に移動して停止している状態で第1の搬送部材2aと第2の搬送部材4aとが同方向に予め定めた回転速度で回転することにより、第2のコンベア4から第1のコンベア2に乗り移る。
また、プリント基板3は、搬出工程において、第1のコンベア2が第2のコンベア4と隣り合う位置に移動して停止している状態で第1の搬送部材2aと第2の搬送部材4aとが同方向に予め定めた回転速度で回転することにより、第1のコンベア2から第2のコンベア4に乗り移る。
【0019】
この実施の形態による第1のコンベア2は、搬入工程と搬出工程とにおいて、所定の時期に達した後に、第1の搬送部材2aの回転速度を乗り移り開始時の回転速度から予め定めたコンベア移動時の回転速度に変えて作業部6側へ移動する。ここでいう所定の時期とは、第1のコンベア2と第2のコンベア4とのうち搬送方向の下流側の一方のコンベアに載せられたプリント基板3の下流部分3a(図4および図7参照)の長さが予め定めた支持長さに達したときである。
【0020】
予め定めた支持長さとは、搬送方向の下流側に位置する一方のコンベアのみに載せられたプリント基板3が脱落しない最小の下流部分3aの長さである。
移動時の回転速度とは、プリント基板3が第1の搬送部材2aと第2の搬送部材4aとに対してすべらない回転速度である。このような回転速度は、例えば、第1のコンベア2の移動および第1の搬送部材2aの回転により作業装置5に対して進むプリント基板3の速度と、第2のコンベア4の搬送速度とが一致するような回転速度とすることができる。
【0021】
(搬入工程の説明)
搬入工程においては、図4に示すように、プリント基板3における第1のコンベア2に載っている下流部分3aの長さAが予め定めた支持長さに達した後に第1のコンベア2が移動を開始する。図4においては、下流部分3aがハッチングによって示されている。支持長さは、プリント基板3の長さや、重量配分、実装部品の有無などに基づいてプリント基板3毎に設定される。
【0022】
第1のコンベア2は、搬入工程において搬送方向の下流側へ移動し、図5に示す作業位置で停止する。作業装置5は、この作業位置でプリント基板3を第1のコンベア2に対して固定し、作業を実施する。
第1のコンベア2は、このように作業位置に移動するときには、第1の搬送部材2aの回転速度を上述した移動時の回転速度に変える。このとき、第1の搬送部材2aの回転速度は、搬入工程においては、プリント基板3の乗り移り開始時の回転速度と較べて低下させることができる。また、回転速度の変化する割合(加速度)の大きさは、第1のコンベア2の移動開始時の加速度に対応する大きさに設定される。
【0023】
このように第1の搬送部材2aの回転速度が変わることによって、第1のコンベア2が搬送方向の下流側に移動したとしても、プリント基板3の作業装置5に対する搬送速度が変化することはない。すなわち、第1のコンベア2や第2のコンベア4に対してプリント基板3がスリップし、不測の位置に移動するようなことを避けることができる。
第1のコンベア2は、プリント基板3の搬送速度が低下した状態で図5に示す作業位置に停止する。プリント基板3は、この第1のコンベア2の停止時と同時、あるいは停止と前後して第1の搬送部材2aの回転により送られて第1のコンベア2の中央部に位置付けられる。
【0024】
(搬出工程の説明)
プリント基板3に作業装置5によって作業が施された後、第1のコンベア2は、図6に示すように、搬出位置に移動する。この第1のコンベア2の移動と同期して第1の搬送部材2aが回転してプリント基板3を搬送方向の下流側に送る。図6は、プリント基板3の下流部分3aが下流側の第2のコンベア4に乗り移っている状態を示している。プリント基板3は、搬出工程で第1のコンベア2から搬出部8の第2のコンベア4に乗り移る。
【0025】
第1のコンベア2は、搬出工程においても、第2のコンベア4に載っているプリント基板3の下流部分3aの長さAが予め定めた支持長さに達した後に作業部6側へ移動を開始する。
搬出工程で第1のコンベア2が移動するときにも、第1の搬送部材2aの回転速度が上述した移動時の回転速度に変えられる。このとき、第1の搬送部材2aの回転速度は、プリント基板3の乗り移り開始時の回転速度と較べて上昇させることができる。また、回転速度の変化する割合(加速度)の大きさも、第1のコンベア2の移動開始時の加速度に対応する大きさに設定される。第1のコンベア2は、プリント基板3の全体が搬出部8の第2のコンベア4に乗り移った後も継続して移動し、図8に示すように、作業部6に戻る。
【0026】
このように構成されたプリント基板用搬送装置1において、第1のコンベア2は、プリント基板3が乗り移る過程の途中で移動を開始する。プリント基板3は、後述する二つの理由によって、このように乗り移る過程の途中で第1のコンベア2が移動したとしても下流側のコンベアから脱落することはない。
【0027】
第1の理由は、プリント基板3が搬送方向の下流側に位置するコンベアに支えられるからである。第2の理由は、第1の搬送部材2aの回転速度が変わり、プリント基板3が下流側のコンベアに対してすべることがないからである。第1の搬送部材2aの回転速度は、第1のコンベア2が第2のコンベア4より搬送方向の下流側に位置する搬入工程においては低くすることができ、第1のコンベア2が第2のコンベア4より搬送方向の上流側に位置する搬出工程においては高くすることができる。
【0028】
このため、プリント基板3の全体が乗り移った後に第1のコンベア2が移動を開始する場合と較べると、第1のコンベア2が待機する時間が短い分だけタクトタイムを短縮することができる。したがって、この実施の形態によれば、搬送速度やコンベアの移動速度を大きく変えることなく、タクトタイムを短縮することが可能なプリント基板用搬送装置を提供することができる。
【0029】
(本発明の具体的な構成)
以下、本発明の具体的な構成を図9図14によって詳細に説明する。これらの図において、図1図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0030】
図9に示すプリント基板用搬送装置1は、スクリーン印刷機(図示せず)に組み込まれるものである。このプリント基板用搬送装置1の第1のコンベア2は、スクリーン印刷機に設けられているコンベアユニット11の一部を構成している。コンベアユニット11は、図10に示すように、X方向駆動部12と、Y方向駆動部13と、Z方向駆動部14と、R方向駆動部15と、バックアップ用駆動部16と、マスクカメラ駆動部17と、幅変更用駆動部18と、基板搬送用駆動部19と、入口側基板検知センサ20と、出口側基板検知センサ21と、基板クランプ機構22およびストッパー機構23などを備えている。X方向は、プリント基板3の搬送方向であり、Y方向は、X方向とは直交する水平方向である。また、Z方向は上下方向である。
【0031】
X方向駆動部12は、第1のコンベア2をコンベアユニット11と共にX方向へ駆動するもので、図9に示すように、X方向移動用モータ24とエンコーダ25とを備えている。
Y方向駆動部13は、第1のコンベア2をコンベアユニット11と共にY方向へ駆動するものである。
Z方向駆動部14は、第1のコンベア2をコンベアユニット11と共にZ方向へ駆動するものである。
R方向駆動部15は、第1のコンベア2をコンベアユニット11と共にR方向へ駆動するものである。R方向とは、上下方向を回転軸としたコンベア中心を中心とする回転方向である。
【0032】
バックアップ用駆動部16は、プリント基板3を第1のコンベア2から上方に離間した状態で支えるバックアップ機構(図示せず)を駆動するものである。
マスクカメラ用駆動部17は、このスクリーン印刷機に設けられているマスクカメラ(図示せず)の撮像範囲を変えるものである。
幅変更用駆動部18は、第1のコンベア2の搬送幅(Y方向の幅)を変えるための幅変更機構(図示せず)を駆動するものである。
【0033】
基板搬送用駆動部19は、第1の搬送部材2aと第2の搬送部材4aとを駆動するためのものである。この基板搬送用駆動部19は、図9に示すように、第1の搬送部材2aに接続された搬送用モータ26とエンコーダ27とを備えている。なお、第2の搬送部材4aも、図示してはいないが、専用の搬送用モータに接続されている。
入口側基板検知センサ20は、図9に示すように、第1のコンベア2の上流側端部に設けられている。この入口側基板検知センサ20は、搬入工程において、プリント基板3における搬送方向の下流端が第1のコンベア2に乗る時機である第1の乗り移り開始時を検出する。
【0034】
出口側基板検知センサ21は、図9に示すように、第1のコンベア2の下流側端部に設けられている。この出口側基板検知センサ21は、搬出工程において、プリント基板3における搬送方向の下流端が搬出部8の第2のコンベア4に乗る時機である第2の乗り移り開始時を検出する。この実施の形態においては、これらの入口側基板検知センサ20と出口側基板検知センサ21とによって、請求項3記載の発明でいう「検出部」が構成されている。
基板クランプ機構22は、バックアップ機構に支えられたプリント基板3を固定するものである。
ストッパー機構は、第1のコンベア2によって搬送されたプリント基板3を停止させるものである。
【0035】
これらの駆動部の動作は、スクリーン印刷機の制御部31(図10参照)によって制御される。制御部31は、図10に示すように、駆動制御部32とバルブ制御部33とを有している。駆動制御部32は、上述した各種の駆動部およびセンサ20,20と、後述するスキージユニット34およびカメラユニット35に接続されている。
スキージユニット34は、このスクリーン印刷機のスキージ(図示せず)と、このスキージ駆動するためのスキージ前後方向駆動部36と、スキージ上下方向駆動部37と、スキージ回転方向駆動部38とを備えている。
【0036】
スキージ前後方向駆動部36は、スキージを前後方向(例えばX方向)に駆動する。スキージ上下方向駆動部37は、スキージを昇降させる。スキージ回転方向駆動部38は、印刷時にスキージとマスクとの間の角度(アタック角度)を変更するためのものである。このスキージ回転方向駆動部38は、左右方向(例えばY方向)に延びる軸線を中心にしてスキージを回転させる。
カメラユニット35は、プリント基板3を撮像するカメラ(図示せず)と、このカメラを駆動するための基板カメラ用駆動部39とを備えている。
制御部31のバルブ制御部33は、基板クランプ機構22とストッパー機構23とに設けられている空気バルブ(図示せず)の動作を制御する。
【0037】
制御部31には、表示ユニット41および入力ユニット42と、主制御部43とが接続されている。
主制御部43は、上述した駆動制御部32とバルブ制御部33の動作を統括して制御するものである。この実施の形態においては、この主制御部33が請求項2記載の発明でいう「制御部」に相当する。この主制御部33は、距離取得部44を有している。距離取得部44は、第1の搬送部材2aによって送られたプリント基板3の移動距離を求める。プリント基板3の移動距離は、基板搬送用駆動部19に設けられているエンコーダ27を使用して演算によって求めることができる。
【0038】
また、主制御部43には、記憶部45が接続されている。記憶部45は、基板データ46を記憶している。基板データ46は、使用するプリント基板3の種類や大きさなどのデータである。この基板データ46には、プリント基板3毎の支持長さのデータも含まれている。この支持長さとは、プリント基板3における下流側のコンベアに載せられた下流部分3aの長さであって、この下流側のコンベアのみに載せられたプリント基板3が脱落しない最小の下流部分3aの長さである。ここでいう下流側のコンベアとは、搬入工程においては第1のコンベア2であり、搬出工程においては、搬出部8側に位置する第2のコンベア4である。
【0039】
主制御部43は、プリント基板3における下流側のコンベアに実際に載っている下流部分3aの長さが上述した支持長さに達した後に、第1のコンベア2が移動する制御を開始する。主制御部43は、距離取得部44が求めたプリント基板3の搬送距離に基づいて下流部分3aの長さを取得する。搬入工程においては、第1の乗り移り開始時が搬送距離の計測開始時になる。搬入工程において、下流部分3aの長さは、第1の乗り移り開始時から現在に至る間のプリント基板3の搬送距離に相当する。
【0040】
搬出工程においては、第2の乗り移り開始時が搬送距離の計測開始時になる。搬出工程において、下流部分3aの長さは、第2の乗り移り開始時から現在に至る間のプリント基板3の搬送距離から、出口側基板検知センサ21と下流側の第2のコンベア4との間の隙間d(図9参照)を減算した長さとなる。図9においては、搬出位置に位置している第1のコンベア2の下流端が2点鎖線によって描かれている。
下流部分3aの長さが支持長さに達した後の第1のコンベア2の動作は、図1図8で示した第1のコンベア2と同一である。
【0041】
次に、この実施の形態によるプリント基板用搬送装置1の動作を図11および図12に示すフローチャートと、図13および図14に示すタイムチャートとを用いて説明する。
ここでは先ず、搬入工程の動作を説明する。搬入工程においては、図11に示すフローチャートのステップS1において、主制御部43の制御により第1のコンベア2が搬入位置に移動して停止する。そして、図13に示すように、第1の搬送部材2aと第2の搬送部材4aとが搬送動作を開始し、プリント基板3が搬入部7の第2のコンベア4から第1のコンベア2に向けて送られる。
【0042】
このプリント基板3の搬送方向の下流端は、第2のコンベア4の上から第1のコンベア2の上に移る。そして、図13において符号T1で示す第1の乗り移り開始時において、入口側基板検知センサ20がこの下流端を検出し、主制御部43に信号を送る。
主制御部43は、この第1の乗り移り開始時T1から現在に至る間のプリント基板3の搬送距離を求める。この搬送距離は、プリント基板3における第1のコンベア2の上に実際に載せられている下流部分3aの長さに相当する。
【0043】
次に、主制御部43は、ステップS2に示すように、この下流部分3aの長さが支持長さより長いか否かを判別する。下流部分3aの長さが支持長さを越えると、ステップS3に示すように、第1のコンベア2が移動を開始する。このとき、第1のコンベア2は、プリント基板3を受け取る過程の途中で搬送方向の下流側に向けて移動する。また、この第1のコンベア2の移動開始と同期して第1の搬送部材2aの回転速度の制御が開始される(ステップS4)。
【0044】
この第1の搬送部材2aの回転速度は、第1の乗り移り開始時T1の回転速度から予め定めたコンベア移動時の回転速度に変えられる。コンベア移動時の回転速度は、第1のコンベア2の移動および第1の搬送部材2aの回転により作業装置5に対して進むプリント基板3の速度と、第2のコンベア4の搬送速度とが一致する回転速度である。搬入工程において、この回転速度は、図13中に示すように、第1のコンベア2が移動を開始すると同時に低下する。回転速度が変化する割合(加速度)は、第1のコンベア2が移動するときの加速度と対応する割合である。
【0045】
プリント基板3は、第1のコンベア2が移動しているときにも継続して搬送され、第1のコンベア2に対して予め定めた停止位置に送られて停止する(ステップS5)。
第1のコンベア2は、移動を開始した後、作業装置5の作業位置まで移動して停止する(ステップS6)。第1のコンベア2が作業位置に停止することによって搬入工程が終了し、次の工程に移行する(S7)。
【0046】
搬出工程においては、先ず、図12に示すフローチャートのステップP1において、主制御部43の制御により第1のコンベア2が搬出位置に移動する。このときには、図14に示すように、第1の搬送部材2aによるプリント基板3の搬送も行われる。第1のコンベア2は、搬出部8側に位置する第2のコンベア4と隣接する搬出位置に移動して停止する。そして、プリント基板3が第1のコンベア2から下流側の第2のコンベア4に向けて送られる。このプリント基板3の下流端は、第1のコンベア2の上から第2のコンベア4の上に移る。このように下流端が第2のコンベア4に移ることによって、図14中に符号T2で示す第2の乗り移り開始時に出口側基板検知センサ21がこの下流端を検出し、主制御部43に信号を送る。
【0047】
主制御部43は、第2の乗り移り開始時T2から現在に至る間のプリント基板3の搬送距離を計測する。そして、主制御部43は、ステップP2に示すように、プリント基板3の搬送距離から上述した隙間dを減算してなる下流部分3aの長さが支持長さより長いか否かを判別する。下流部分3aの長さが支持長さを越えると、ステップP3に示すように、第1のコンベア2が移動を開始する。このとき、第1のコンベア2は、プリント基板3を第2のコンベア4へ渡す過程の途中で搬送方向の上流側に向けて移動する。
【0048】
そして、この第1のコンベア2の移動開始と同期して第1の搬送部材2aの回転速度の制御が開始される(ステップP4)。搬出工程において、第1の搬送部材2aの回転速度は、図14に示すように、第1のコンベア2が移動を開始すると同時に上昇する。回転速度が変化する割合(加速度)は、第1のコンベア2の加速度と対応する割合である。
プリント基板3は、第1のコンベア2が移動しているときにも継続して搬送されて第2のコンベア4に乗り移り、搬出される(ステップP5)。
【0049】
プリント基板3の全体が第1のコンベア2から離れた後、第1の搬送部材2aが停止する。
第1のコンベア2は、移動を開始した後、作業部6に戻り、所定の停止位置に停止する(ステップP6)。このように第1のコンベア2が停止することによって搬出工程が終了し、次の工程に移行する(P7)。
【0050】
この実施の形態によるプリント基板用搬送装置1の主制御部43は、プリント基板3毎の支持長さのデータを記憶部45から読み出し、このデータを用いて下流部分3aの長さが支持長さに達しているか否かを判別する。このため、この実施の形態によれば、搬送されるプリント基板3が変わったとしても、常に最適な時機に第1のコンベア2が移動を開始する。したがって、この実施の形態によれば、タクトタイムが短縮されるだけでなく、搬送動作の信頼性が高いプリント基板用搬送装置を提供することができる。
【0051】
この実施の形態によるプリント基板用搬送装置1の主制御部43は、距離取得部44が乗り移り開始時から現在に至る間に求めたプリント基板3の搬送距離を下流部分3aの長さとするものである。
この実施の形態によれば、プリント基板3における下流側のコンベアに実際に載っている下流部分3aの長さがプリント基板3の実際の移動距離に基づいて正確に求められる。
このため、プリント基板3がコンベア間を乗り移る過程で下流部分3aの長さが支持長さに達したか否かを精度よく判別できるから、第1のコンベア2を搬送時間が最も短くなるように動作させることが可能になる。
したがって、この実施の形態によれば、搬送時間がより一層短くなるプリント基板用搬送装置を提供することができる。
【0052】
この実施の形態によるプリント基板用搬送装置1においては、プリント基板出入部が作業装置5の一端部に位置する搬入部7と、作業装置5の他端部に位置する搬出部8とによって構成されている。第2のコンベアは、搬入部7と搬出部8とにそれぞれ設けられている。また、第1のコンベア2と第2のコンベア4とにより搬送されるプリント基板3の搬送方向は、搬入部7から搬出部8に至る方向である。
この実施の形態によれば、プリント基板3が作業装置5の一端部から他端部に搬送される構造の作業装置5において、1枚のプリント基板の処理に要するタクトタイムを短縮することが可能になる。
【0053】
上述した各実施の形態においては、搬入工程と搬出工程との両方において、プリント基板3が乗り移る過程の途中で第1のコンベア2が作業部6側に移動する例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはない。すなわち、本発明に係るプリント基板用搬送装置は、搬入工程のみや搬出工程のみにおいて、プリント基板3が乗り移る過程の途中で第1のコンベア2が作業部6側に移動する構成を採ることができる。
【0054】
(他の実施の形態)
本発明に係るプリント基板用搬送装置は、プリント基板を作業装置の一端部から他端部に送る構成に限定されることはない。すなわち、本発明に係るプリント基板用搬送装置1は、図15図17に示すように、プリント基板出入部が1箇所にしか設けられていない作業装置にも適用することができる。図15図17において、図1図14によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。の
【0055】
この実施の形態による作業装置51は、その一端部にプリント基板出入部52を備えている。また、この実施の形態によるプリント基板用搬送装置1の第2のコンベア4は、プリント基板出入部52のみに配設されている。第1のコンベア2は、この第2のコンベア4と隣り合う搬入、搬出位置(図15および図17参照)と、作業装置51内の作業位置(図16参照)との間で平行移動する。
【0056】
このプリント基板用搬送装置1は、図15および図16に示すように、前工程の装置(図示せず)から送られたプリント基板3をプリント基板出入部52から作業装置51内に搬入する。この搬入工程において、プリント基板が第2のコンベア4から第1のコンベア2に乗り移る過程の途中で第1のコンベア2が搬入、搬出位置から作業位置に移動する。この移動時には、第1の搬送部材の回転速度が低下し、プリント基板3のスリップが防止される。
【0057】
また、このプリント基板用搬送装置1は、図17に示すように、作業終了後のプリント基板3を作業装置51内からプリント基板出入部52に搬出する。このとき、第1の搬送部材2aと第2の搬送部材4aの回転する方向は、搬入時の回転方向とは反対方向である。プリント基板が第2のコンベア4に搬出されることにより搬出工程が終了し、その状態で搬入工程が開始される。
この実施の形態を採る場合であっても図1図14に示した実施の形態を採るときと同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
1…プリント基板用搬送装置、2…第1のコンベア、2a…第1の搬送部材、3…プリント基板、4…第2のコンベア、4a…第2の搬送部材、5…作業装置、6…作業部、7…搬入部、8…搬出部、19…入口側基板検知センサ、20…出口側基板検知センサ、43…主制御部、44…距離取得部、45…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17