特許第6204579号(P6204579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204579
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】腎神経アブレーション用医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-517088(P2016-517088)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公表番号】特表2016-522733(P2016-522733A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】US2014044126
(87)【国際公開番号】WO2015002787
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】61/841,669
(32)【優先日】2013年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、キャス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジョン ジェンホワ
(72)【発明者】
【氏名】ズーターマイスター、デレク シー.
(72)【発明者】
【氏名】クイリン、ダニエル ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ペダーソン、ジュニア ゲイリー ジェイ.
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−101065(JP,A)
【文献】 特表平09−503689(JP,A)
【文献】 特開2004−261581(JP,A)
【文献】 特表2012−508083(JP,A)
【文献】 特表2013−523414(JP,A)
【文献】 特表2010−509032(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0130363(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0029511(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/077283(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/049601(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/174375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーション処置を行うための医療器具であって、
先端領域を有する長尺状シャフトと、
円筒状中心部を有する拡張可能なバルーンの形態にあるとともに前記先端領域に連結される拡張可能な部材と、
同拡張可能な部材に連結される少なくとも4つの電極を含む複数の電極と、
複数の導電性部材であって、同導電性部材は、電極の各々に接続され、前記接続される複数の導電性部材の各々は、該導電性部材が接続される前記電極に電力を供給可能である、導電性部材と、
同導電性部材の各々に接続される制御装置とを備え、
同制御装置は、前記電極に接続される前記導電性部材を介して前記複数の電極の各々に電力を供給することにより、前記複数の電極の各々を活性化するように構成され、
前記制御装置は、前記制御装置が前記複数の電極のうちの1つに電力を供給することにより前記複数の電極のうちの1つの前記電極を活性化する場合、前記制御装置が残りの全ての複数の電極を接地電極として不活性状態に自動的に維持するように構成されることを特徴とする医療器具。
【請求項2】
前記拡張可能な部材に連結される1つ以上の温度センサと、
同1つ以上の温度センサの各々に接続される単一の導電性部材とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記導電性部材は導体トレースであることを特徴とする請求項1または2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記活性化された前記複数の電極のうちの1つの前記電極は、時間にわたって変化することを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の電極の各々を、等しい量の時間、活性化するように構成されることを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項6】
前記導電性部材の各々をカバーする絶縁材料のコーティングを更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項7】
前記コーティングは熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含むことを特徴とする請求項6に記載の医療器具。
【請求項8】
前記コーティングは複数の層の材料を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の医療器具。
【請求項9】
前記拡張可能な部材に沿って配置されるフレックス回路を更に備え、
前記複数の電極のうちの少なくとも1つは前記フレックス回路に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項10】
前記拡張可能な部材に連結される複数の温度センサと、
同複数の温度センサの各々に接続される単一の導電性部材とを更に備えることを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項11】
単一の導電性部材が前記電極の各々に接続され、これにより、前記接続される単一の導電性部材の各々は、該単一の導電性部材が接続される前記電極に電力を供給可能であることを特徴とする請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の医療器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療器具、および医療器具を製造する方法に関する。特に、本開示は腎神経アブレーション用医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な体内の医療器具が例えば血管内の使用などの医療用途において開発されている。これらの装置のうちのいくつかはガイドワイヤ、カテーテルなどを含む。これらの装置は様々な異なる製造方法のうちの任意の1つによって製造され、様々な方法のうちの任意の1つによって使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
周知の医療器具および方法の各々は所定の効果および短所を有する。医療器具を製造し使用するための代替方法の他、代替医療器具を提供することに対する継続的なニーズを有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、医療器具のための設計、材料、製造方法、および使用代案を提供する。例による医療器具は、腎神経アブレーションのための医療器具を含む。医療器具は、先端領域を有する長尺状をなすシャフトを含む。拡張可能な部材は先端領域に連結される。複数の電極は拡張可能な部材に連結される。単体の導電性部材が電極の各々に接続され、接続される導電性部材の各々は、導体トレースが接続される電極に電力を供給可能である。複数の電極のうちの1つが活性状態にある場合、電力が供給されない残りの電極は接地電極として機能する。
【0005】
腎臓アブレーション用の別の例による医療器具は、先端領域を有する長尺状をなすシャフトを含む。拡張可能なバルーンは円筒状中心部を有するとともに先端領域に連結される。複数の電極は拡張可能な部材に連結される。複数の導電性部材としての導体トレースは長尺状シャフトに連結され、複数の導体トレースのうちの単体の導体トレースは、電極の各々に接続し、これにより接続される単体の導体トレースの各々は、単体の導体トレースが接続される電極に電力を供給可能である。制御装置は、導電性部材の各々に接続され、電極に接続される導電性部材を介して複数の電極の各々に電力を供給することにより、複数の電極の各々を活性化するように構成される。制御装置は、同制御装置が複数の電極のうちの1つに電力を供給することにより複数の電極のうちの1つの電極を活性化する場合、制御装置が残りの複数の電極接地電極として不活性状態に維持するように構成される。
【0006】
腎神経をアブレーションする方法も開示される。例示の方法は医療器具を提供する工程を含む。医療器具は、先端領域を有する長尺状をなすシャフトを含む。拡張可能な部材は先端領域に連結される。2つ以上の電極が拡張可能な部材に連結される。医療器具は、複数の導体トレースを含み、単一の導体トレースは2つ以上の電極の各々に接続される。方法は腎動脈内の位置に血管を介して医療器具を進める工程と、拡張可能な部材を拡張する工程と、2つ以上の電極のうちの1つを活性化する工程と、接地電極として機能するように2つ以上の電極のうちの残りの電極を不活性状態に保持する工程とを更に含む。いくつかの実施形態の上記の課題を解決するための手段は、本開示に示す実施形態の各々あるいはすべての実施を開示するように意図されるものではない。図面および後述する詳細な説明は、これらの実施形態をより特定して例示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的な医療器具を示す概略図。
図2A】例示的な医療器具の一部を示す側面図。
図2B図2Aの2B−2B線における断面図。
図3A】例示的な医療器具の一部を示す側面図。
図3B図3Aの3B−3B線における断面図。
図4A】例示的な医療器具の一部を示す側面図。
図4B図4Aの4B−4B線における断面図。
図5A】例示的な医療器具の一部を示す側面図。
図5B図5Aの5B−5B線における断面図。
図6】例示的な医療器具の一部を示す側面図。
図7A】例示的な医療器具の一部を示す側面図。
図7B図7Aの7B−7B線における断面図。
図8】医療器具を使用する例示的な方法を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、添付の図面に関する後述する詳細な説明を考慮してより完全に理解される。
本開示は様々な変形および別例の形態に柔軟であるが、その具体例は図面に例示され、詳細に後述する。しかしながら、本発明を所定の実施形態に限定することを意図したものではないものといえる。逆に、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更、均等物、および別例をカバーするものと意図される。
【0009】
以下に定義された用語に関して、異なる定義が特許請求の範囲や本明細書の別の部分で示されない限り、これらの定義が適用されるものとする。
すべての数値は、明示的に示されているかを問わず、用語「約」によって修飾されるものと仮定する。用語「約」は、通常記載の値に相当すると当業者が考える(すなわち、同じ機能あるいは結果を有する)数値範囲を示す。多くの実例において、用語「約」は、最も近い有効数字に端数を切り捨てられる数を含む。
【0010】
終点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1乃至5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数「a」、「an」および「the」は、内容が他の方法で明白に示されない限り、複数の指示物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、用語「あるいは」は、特に明確な記載がない限り、通常その意味において「および/または」を含んで使用される。
【0011】
明細書における「一実施形態」、「所定の実施形態」、「別例」などへの参照は、開示される実施形態が、1つ以上の特定の要素、構造体、および/または特性を含むことを示すものといえる。しかしながら、そのような記載は、実施形態のすべてが特定の要素、構造体、および/または特性を含むことを意味するものではない。付加的に、特定の要素、構造体、および/または特性が一実施形態に関して開示される場合、そのような要素、構造体、および/または特性は、明示的に記載されるかにかかわらず、明白に反対の記載が無ければ、別例と組み合わせても使用される。
【0012】
以下の詳細な説明は、異なる図面の同様の要素が同じ参照符号を付与される図面を参照して読まれるべきである。図面は、縮尺が必ずしも正確なものではなく、例示的な実施形態を示すものであり、特許請求の範囲に記載の発明の範囲を制限するように意図されるものではない。
【0013】
所定の処置は、選択した神経機能の一時的または恒久的な中断あるいは修正を目的とする。一例による治療は、腎神経アブレーションであり、これは、高血圧症、鬱血心不全、糖尿病、あるいは高血圧や塩類貯留によって影響を受ける他の症状などを、あるいはこれらに関係を有する症状を治療するために通常使用される。腎臓は感応反応を生じ、これは、水および/またはナトリウムの望ましくない保持を増加させる。感応反応の結果は例えば血圧の上昇である。腎臓まで延びる神経のうちのいくつか(例えば、腎動脈に隣接するか、腎動脈に沿って配置される)をアブレーションすることにより、この感応反応が低減または除去され、これにより、関連付けられる望ましくない症状が対応して低減される(例えば血圧の低減)。
【0014】
ここに開示される器具および方法は、腎神経アブレーションおよび/または調整に関連して議論されるが、装置および方法は他の治療位置および/または応用において使用されてもよいものと考えられる。加熱、活性化、閉塞、分裂、あるいはアブレーションを含む神経調整および/または他の組織の調整が、トロカールおよびカニューレによるアクセスを介した血管、尿の血管、あるいは他の組織において望ましいが、これらに限定されるものではない。例えば、ここに開示される器具および方法は、増殖性組織アブレーション、心臓アブレーション、肺静脈分離、肺静脈アブレーション、腫瘍アブレーション、前立腺肥大症治療、神経刺激、ブロック、あるいはアブレーション、筋肉活動の調整、高熱、あるいは組織の他の昇温に適用可能である。
【0015】
図1は例による腎神経調整システム10を示す概略図である。システム10は腎神経アブレーション医療器具12を備える。腎神経アブレーション医療器具12は、腎臓Kに隣接して配置される神経(例えば腎神経、より詳細に腎動脈RAの周囲に位置する腎神経)をアブレーションするために使用される。使用において、腎神経アブレーション医療器具12は、腎動脈RA内の位置に大動脈Aのような血管を通して進められる。使用はガイドシースやカテーテル14を通して腎神経アブレーション医療器具12を進めることを含む。所望に応じて位置されると、腎神経アブレーション医療器具12は1つ以上の電極(図1に示さない)を活性化するべく駆動される。使用はジェネレータまたは制御装置16に腎神経アブレーション医療器具12を連結することを含み、これにより電極に所望の活性化エネルギーを供給する。例えば、腎神経アブレーション医療器具12は、ジェネレータまたは制御装置16上のコネクタ22、および/またはジェネレータまたは制御装置16に接続されるワイヤ24に接続可能なコネクタ20を備えるワイヤまたは導電性部材18を備える。少なくともいくつかの実施形態において、ジェネレータまたは制御装置16は、腎神経アブレーション医療器具12の遠位端に、あるいはその遠位端近傍に配置される1つ以上の電極を活性化するために、適切な電気的エネルギーおよび/または信号を供給すること、あるいは受け取ることに利用されてもよい。活性化されると、電極は後述するように組織(例えば腎神経)をアブレーション可能であり、センサが、物理的および/または生物学的パラメータを検知することに使用される。
【0016】
図2Aは、腎神経アブレーション器具12の一部を例示する側面図である。ここで、器具12は管状部材26またはカテーテルシャフト26を含むものといえる。拡張可能な部材28は、カテーテルシャフト26に連結される(例えば、長尺状カテーテルシャフト26は先端領域を有し、また、拡張可能な部材28は長尺状カテーテルシャフト26の先端領域に連結される)。少なくともいくつかの実施形態では、拡張可能な部材28は拡張可能なバルーンである。別例では、拡張可能な部材28は、バスケット、ステント、複数のストラットなどであり、かつ/またはこれらを含む。
【0017】
1つ以上の電極30は拡張可能な部材28に連結される。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の電極30は、適切な目標にアブレーション・エネルギーを伝達可能なアブレーション電極である。例えば、電極30は、腎動脈に隣接して位置される腎神経のような血管に隣接して位置される組織にアブレーション・エネルギーを伝達可能である。
【0018】
導電性部材32は各電極30に連結される。導電性部材32は、導体トレース、導電線などの形態を取る。導電性部材32は、導電性部材18の領域に連結されるか、導電性部材18の領域となり、最終的に、ジェネレータまたは制御装置16に連結される。したがって、適切なエネルギー(例えば、RFエネルギーあるいはエネルギーの他の形態)は、導電性部材32を介して電極30(例えば、活性電極31)に伝達される。例示的に、活性電極31は、導電性部材32を介して動的に電力を受け取る電極30であり、電極30は導電性部材32に接続される。
【0019】
いくつかの実例では、図2A乃至7Bに示すように、単一の導電性部材32は複数の電極30の各々に接続される。対応する電極30に接続される単一の導電性部材32は、導電性部材32が接続される対応する電極30に電力を供給可能である。電極30がこれに接続している導電性部材32を介して電力を受け取っている場合、電極30は「活性電極」31と考えられる。電極30がその対応する導電性部材32を介して電力を受け取っていない場合、電極30は「不活性電極33」と考えられる。例示的に、活性電極31はエネルギーを放射する電極30であり、不活性電極33はエネルギーを放散または分散させる電極30である。
【0020】
拡張可能な部材28あるいは医療器具12の1つ以上の他の要素に適用される複数の電極30がある実例では、複数の電極30のうちの1つは活性電極31であり、残りの電極30は不活性電極33である。そのような実例および/または他の実例において、不活性電極33はリターン電極または接地電極として機能し、これにより、専用の1つ以上の接地電極30に対する要求が低減されるかなくなる。各電極30および/または専用導電性部材32のリターンパス(例えば、各電極30に延びる第2の導電性部材)に延びる専用接地電極を取り払うことによって、フレックス回路あるいは電極30および導電性部材32は、それら自体の寸法、接地面積、および/または複雑さが、それぞれ低減され、単純化される。その結果、フレックス回路あるいは電極30および導電性部材32の寸法が低減されることにより、血管内におけるカテーテルシャフト26および/または拡張可能な部材28の挿入、後退、あるいは再挿入時における医療器具12の失敗(例えば、電極30がフレックス回路から剥離するなど。)の機会が低減される。
【0021】
リターン電極または接地電極は、活性電極31用の電気的なリターンパスとなることができる。その結果、エネルギーは活性電極31に伝達され、リターン電極または接地電極は電気的なリターンパスとなる。例えば、図2B図3B図4B、および図5Bは、活性電極30から、続いてリターン電極または接地電極(例えば、不活性電極33)に戻って、身体組織50(これは腎神経および/または他の神経組織を含む)にエネルギー40が送られることを例示する。
【0022】
医療器具12に適用される複数の電極30が存在する場合、例えば、図2A乃至5Bに示すように、複数の電極30のうちの1つのものは活性電極31であり、残りの電極30はリターン電極または接地電極として機能する不活性電極33であり、あるいは1つ以上の残りの電極30は、不活性電極33である。時間(例えば処置の間の)にわたって、活性電極31である複数の電極30のうちの1つの電極30は、活性状態を保持し、不活性電極33である1つ以上の電極30は不活性状態を保持する。
【0023】
これに代えて、時間(例えば処置の間の)にわたって、活性電極31である複数の電極30のうちの1つの電極30は変化するか切り替わってもよい。例えば、図2Aおよび図2Bに示すように、第1の電極30a、第2の電極30b、第3の電極30c、および第4の電極30dが存在する場合、第1の電極30aは、活性電極31であり、1つ以上の残りの電極30b乃至30dは、不活性電極33である(例えば、残りの電極30b乃至30dはすべて不活性電極33である)。例において、活性電極31は、第1の電極30aから残りの電極30b乃至30dのうちの1つに切り替えられる。図3Aおよび図3Bに示すように、例えば、第2の電極30bは、活性電極31であり、残りの電極30a、30c、および30dのうちの任意のものは、不活性電極33である(例えば、残りの電極30a、30c、および30dのすべては不活性電極33である)。図4Aおよび図4Bに示すように、例えば、第3の電極30cは、活性電極31であり、残りの電極30a、30b、および30dのうちの任意のものは、不活性電極33である(例えば、残りの電極30a、30b、および30dのすべては不活性電極33である)。図5Aおよび図5Bに示すように、例えば、第4の電極30dは、活性電極31であり、残りの電極30a、30b、および30cのうちの任意のものは、不活性電極33である(例えば、残りの電極30a、30b、および30cのすべては不活性電極33である)。
【0024】
いずれの電極30が活性電極31で1つ以上の、いずれの電極30が不活性電極33であるかの開示される順序は要求されるものではなく、所望に応じて任意の電極30が活性電極31となり、任意の1つ以上の残りの電極30が不活性電極33となる。更に、電極30の序数(例えば第1の電極30a、第2の電極30b、第3の電極30c、第4の電極30dなど)は、明瞭に記載するために使用され、これらに限定されることを意味しない。付加的に4つよりも多いか少ない電極が、所望に応じて利用される。
【0025】
いくつかの実例では、複数の電極30の各々は、定義された(例えば設定された)期間(例えば組織をアブレーションするための決定される時間)にわたって等しい量の時間活性状態にある。1つの実例となる例において、4つの電極30a、30b、30c、および30dが存在する場合、電極30はそれぞれ設定期間の4分の1の間活性状態にあり、設定期間の4分の3の間不活性状態にある。これに代えて、あるいは付加的に、複数の電極30の各々は、複数の電極30のうちの異なる電極30が活性化される前に、設定期間(例えば10秒、15秒、20秒など)の間活性状態にある。
【0026】
いくつかの例示的な実例では、図6に示すように、導電性部材32(例えば導体トレース)は、導電性部材絶縁、保護、および/または他の目的のためにコーティング42で覆われるかコーティングされる。コーティング42は、任意の方法で導体トレース32に適用される。例えば、所望に応じて、コーティング42は蒸着方法や他の適用方法を介して導体トレース32に適用される。いくつかの実例では、電極30および/または他の要素(例えば温度センサ44)は、電極30および/または他の要素がコーティング42によって確実に覆われないことを促進するために導電性部材32にコーティングを適用する前に、マスクされる。
【0027】
コーティング42は、任意のタイプの絶縁材料(例えば、電気的にかつ/または熱的に絶縁する)および/または保護材料である。いくつかの実例では、コーティング42は単一の材料であるか、あるいは、ともに混合される複数の材料であり、かつ/または医療器具12に個別に適用される。一例において、コーティング42は熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。いくつかの実例では、コーティング42の単層が、医療器具12に適用される。これに代えて、あるいは付加的に、コーティング42の複数の層が、医療器具12に適用されてもよい。コーティング42の複数の層が医療器具に適用される場合、導電性部材32は、拡張可能な部材28の近位側ウェスト部(例えば、拡張可能な部材28が管状部材またはカテーテルシャフト26に接する位置)で積層する。
【0028】
いくつかの例示的な実例では、非伝導性または絶縁性を備える層34は導電性部材32に隣接して配置される。電極30は非伝導性を備える層34に沿って配置される。非伝導性を備える層34は、拡張可能な部材28(例えば、これは接地電極として機能する1つ以上の導電性部材/電極を含む)に沿って伝導性を備える構造体を含む他の構造体から電極30および/または導電性部材32を絶縁する。
【0029】
いくつかの実例では、図7Aおよび図7Bに示すように、1つ以上の電極30は、フレキシブル回路46(例えば「フレックス回路」)に沿って配置される。器具12(および/またはここに開示される他の器具)用に利用されるいくつかの例のフレックス回路は、米国特許出願第13/760,846号明細書に開示されるフレックス回路を含むか、これらと同様であり、明細書はその全体がここに開示されたものとする。一例のフレックス回路46において、フレックス回路46は、ポリイミドの層や他の重合体の層のような1つ以上の重合体の層(例えば、絶縁層34)を含み、これに1つ以上の電極30および1つ以上の導電性部材32が連結される。
【0030】
フレックス回路46は単一の電極30、および絶縁層34に適用される単一の温度センサ44を含み、1つ以上のフレックス回路46が拡張可能な部材28に適用される。これに代えて、あるいは、付加的に、図7Aおよび図7Bに示すように、フレックス回路46は、絶縁層に適用される複数の電極30および1つ以上の温度センサ44を含み、1つ以上のフレックス回路46が拡張可能な部材28に適用される。他の実例では、電極30は、拡張可能な部材28に適用されるプリント回路に沿って配置されるか、あるいは、バスケット(例えば、バスケットが拡張可能な部材28である場合)のストラット上に配置され、導電線(例えば、導電線が導電性部材32である場合)に取り付けられる。
【0031】
いくつかの実例では、1つ以上の温度センサ44が、拡張可能な部材28および/またはフレックス回路に連結される。温度センサ44はサーミスタ、熱電対、あるいは他の適切な温度センサを含む。所定の場合には、導電性部材36は温度センサ44に連結される。図2A図3A図4A図5A図6、および図7Aに示すように、単一の導電性部材36が各温度センサ44に連結される。例示的に、温度センサ44に連結される導電性部材36は電極30に連結される導電性部材32と同様であるか、異なる。例えば、導電性部材32は、導体トレース、導電線などの形態を取り、これは、温度センサ44との間で電気的信号および/または電力を送信可能であり、かつ/または送信するように構成される。
【0032】
いくつかの実例では、導体トレース36は、導電性部材の絶縁、保護、および/または他の目的のために、コーティング42で覆われるかコーティングされる。コーティング42は、任意の方法で導体トレース36に適用される。例えば、所望に応じて、コーティング42は蒸着方法や他の適用方法を介して導体トレース36に適用される。いくつかの実例では、温度センサ44および/または他の要素(例えば、電極30)は、温度センサ44および/または他の要素がコーティング42によって確実に覆われないことを促進するために導電性部材32にコーティングを適用する前に、マスクされる。
【0033】
コーティング42は、任意のタイプの絶縁(例えば、電気的にかつ/または熱的に絶縁する)および/または保護材料である。いくつかの実例では、コーティング42は単一の材料であるか、あるいは、ともに混合される複数の材料であり、かつ/または医療器具12に個別に適用される。一例において、コーティング42は熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。いくつかの実例では、コーティング42の単層は、医療器具12に適用される。これに代えて、あるいは付加的に、コーティング42の複数の層が、医療器具12に適用されてもよい。コーティング42の複数の層が医療器具に適用される場合、導電性部材32は、例えば拡張可能な部材28の近位側ウェスト部(例えば、拡張可能な部材28が管状部材またはカテーテルシャフト26に接する位置)で積層する。
【0034】
使用において、図8に示すように、腎神経調整システム10は、腎神経をアブレーションする方法100、あるいは他のアブレーション方法において利用される。一例において、方法100は、腎神経アブレーション医療器具12のような医療器具を準備する工程102を含む。準備された医療器具12は、遠位端および/または先端領域を有する長尺状シャフト(例えば管状部材またはカテーテルシャフト26)、並びにカテーテルシャフト26の先端領域に連結される拡張可能な部材28を備える。更に、いくつかの実例では、2つ以上(例えば複数)の電極30は拡張可能な部材28に連結され、複数の導電性部材32(例えば導体トレース)は長尺状カテーテルシャフト26あるいは拡張可能な部材28に連結され、単一の導電性部材32が2つ以上の電極30の各々に接続される。
【0035】
方法100は、腎動脈RA内または他の血管内の位置に血管(例えば大動脈Aあるいは他の血管)を介して準備された医療器具12を進める工程104と、拡張可能な部材28を拡張する工程106と、拡張可能な部材28を目的の組織に隣接して、あるいは近傍に配置する工程とを含む。一旦拡張可能な部材28が拡張すると、電極30のうちの1つは活性化される(108)。活性電極31を形成するべく1つの電極30が活性化され(108)、残りの電極30は接地電極を形成するべく不活性状態に保持される(110)。いくつかの実例では、活性電極31は不活性化され(112)、他の電極30(例えば不活性電極33)のうちの1つは活性電極を形成するべく活性化され(114)、これにより、2つ以上の電極30のうちの異なる電極30が活性状態にあり、以前活性電極31であった電極30を含む残りの電極は、不活性電極33となる。図8に点線のボックスで示すように、活性電極31の非活性化および不活性電極33の活性化は任意である。
【0036】
いくつかの実例では、電極30の活性化および/または不活性化は、1つ以上の活性化あるいは不活性化器具により手動で制御されるか、自動的に制御される。一例において、ジェネレータまたは制御装置16は、手動でかつ/または自動的に、いずれの電極30が活性電極であるかを制御することに利用される。プロセッサおよびメモリを含むか、これらと通信するジェネレータまたは制御装置16は、特定の処置のためにそのメモリに格納されたコンピュータ・プログラムに基づいてプロセッサにより電極30を活性化および不活性化する。設定時間の後、身体組織50あるいは他の要素の温度が達成された後、あるいは任意の他の基準が達成された後、ジェネレータまたは制御装置16によって利用されるプログラムは電極30を不活性化するか活性化する。ある場合には、ジェネレータまたは制御装置16によって利用されるプログラムは、ユーザによって手動で無効化され、ユーザは1つ以上のいずれの電極30が活性状態にあるか(例えば、1つ以上の電極30が活性電極31であり、かつ/または1つ以上の電極30が不活性電極33である)を要求する。電極30は、所望に応じて任意の方法でジェネレータまたは制御装置16により活性化されるか、不活性化される。
【0037】
一例において、2つ以上の電極は第1の電極30a、第2の電極30b、第3の電極30c、および第4の電極30dを含む。例示的に、電極30a乃至30dのうちの1つ(例えば第1の電極30a)は活性電極31を形成するために活性化され、残りの電極30(例えば第2の電極30b、第3の電極30c、第4の電極30d)は、不活性電極33であるとともに接地電極として機能する。続いて、第1の期間(例えば、1秒、2秒、5秒、10秒、15秒、1分、2分、5分など)の後、活性電極31(例えば第1の電極30a)は不活性化され、別の電極30(例えば第2の電極30b)は活性電極31を形成するべく活性化され、残りの電極30(例えば第1の電極30a、第3の電極30c、および第4の電極30d)は、接地電極を形成するべく不活性電極33として保持される。更に、第1の期間と同様であるか、任意の他の量の期間である第2の期間の後に、活性電極31(例えば第2の電極30b)は不活性化され、別の電極30(例えば第3の電極)は活性電極31を形成するべく活性状態にあり、残りの電極30(例えば第1の電極30a、第2の電極30b、および第4の電極30d)は、接地電極を形成するべく不活性電極33として保持される。
【0038】
1つ以上のいずれの電極30が活性状態にあるかを切り換える方法100は、任意の期間あるいは長さの時間継続する。一例において、この方法は、腎神経調整処置あるいは任意の他のアブレーション処置あるいはその一部が完了するまで継続し、かつ/または繰り返される。いくつかの実例では、医療器具12の各電極30は、設定期間の間活性電極となり、各電極30の設定期間は、各電極30の時間の設定期間と同じであり、少なくとも1つの電極30の設定期間とは異なり、あるいは他のすべての電極30の設定期間とは異なる。これに代えて、あるいは付加的に、所望に応じて、電極30は、活性電極31に隣接する身体組織50が活性電極31に関連付けられる温度センサ44あるいは異なる温度センサ44によって測定されるような閾値温度に達するまで、活性電極31のままであってもよい。
【0039】
器具12(および/またはここに開示される他の器具)の様々な要素に使用可能な材料は、医療器具に通常関連付けられるものを含む。例示のみの目的のために、器具12に関して後述する。しかしながら、これは、ここに開示される器具および方法に限定されることを意図したものではない。下記は、ここに開示される他の同様の管状部材、および/または管状部材の要素、あるいは器具に適用されてもよい。
【0040】
器具12およびその他の様々な要素は、金属、合金、ポリマ(それらのうちのいくつかの例を以下に示す)、金属ポリマ複合材料、セラミックス、これらの組み合わせなど、あるいは他の適切な材料から形成される。適切なポリマのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフロオルエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から販売されるDELRIN(登録商標))、ポリエーテル・ブロック・エステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル・エステル(例えば、DSMエンジニアリング・プラスチックス社から販売されているARNITEL(登録商標))、エーテルあるいはエステルベースの共重合体(例えば、フタル酸ブチレン/ポリ(アルキレン・エーテル)および/またはデュポン社から販売されているHYTREL(登録商標)のような他のポリエステルエラストマ)、ポリアミド(例えば、Bayer社から販売されているDURETHAN(登録商標)やElf Atochem社から販売されているCRISTAMID(登録商標))、エラストマ・ポリアミド、ブロック・ポリアミド/エーテル、ポリエーテル・ブロック・アミド(PEBA、例えば、商標PEBAX(登録商標)の下で販売されている)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、線形の低密度ポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレン・テレフタレート(PBT)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリトリメチレン・テレフタレート、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレン・サルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルフホン、ナイロン、ナイロン−12(EMS American Grilon社から販売されているGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレン・ビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン(例えばSIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性を備えたポリマ、他の適切な材料あるいは混合物、その組み合わせ、その共重合体、ポリマ/金属複合体などを含む。いくつかの実施形態において、シースは液晶ポリマ(LCP)と混合可能である。例えば、その混合物は約6パーセント以内のLCPを含み得る。
【0041】
適切な金属および合金のいくつかの例は、304V、304L、および316LVステンレス鋼のようなステンレス鋼;軟鋼;線形弾性ニチノールおよび/または超弾性ニチノールなどのニッケル・チタン合金;ニッケル・クロミウム・モリブデン合金などの他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625のようなUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C−22(登録商標)のようなUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)のようなUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル銅合金(例えばMONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル・コバルト・クロミウム・モリブデン合金(例えばMP35N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニッケル・モリブデン合金(例えばHASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル・クロム合金、他のニッケル・モリブデン合金、他のニッケル・コバルト合金、他のニッケル鉄合金、他のニッケル銅合金、他のニッケル・タングステン、あるいはタングステン合金など;コバルト・クロム合金;コバルト・クロミウム・モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003);プラチナに富むステンレス鋼;チタン;これらの組み合わせなど;あるいは他の適切な材料を含む。
【0042】
ここに示唆されるように、市場にて入手可能なニッケル・チタンやはニチノール合金の系は、「線形弾性」あるいは「非超弾性」と示されるカテゴリであり、これは化学において従来の形状記憶および超弾性の変形と同様であるが、明瞭かつ有用な機械的特性を示すものである。線形弾性かつ/または非超弾性ニチノールは、超弾性ニチノールが示すようなその応力/負荷曲線における実質的な「超弾性平坦部(plateau)」や「フラグ領域」を線形弾性かつ/または非超弾性ニチノールが示さないという点において、超弾性ニチノールと識別される。これに代えて、線形弾性および/または非超弾性ニチノールにおいて、復元可能な負荷が増加すると、塑性変形が開始されるまで、超弾性ニチノールで見られる超弾性の平坦部および/またはフラグ領域が略線形の関係において、あるいは必ずしも完全である必要はないが完全な線形の関係において、あるいは少なくともより線形な関係において、応力が継続して増加する。したがって、本開示のために、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性および/または非超弾性ニチノールとも示される。
【0043】
所定の場合において、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが約2乃至5%までの負荷を受けるが、実質的に弾性を保持し(例えば、塑性変形前の)、超弾性ニチノールが塑性変形前に約8%までの負荷を受ける点で超弾性ニチノールからさらに識別可能である。これらの材料の両者は、ステンレス鋼(その塑性に基づいてさらに識別可能である)のような他の線形弾性材と識別することができ、これらは塑性変形前に約0.2乃至0.44パーセントの負荷のみを受ける。
【0044】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル・チタン合金は、大きな温度領域にわたって示差走査熱量測定(DSC)および動的な金属熱分析(DMTA)分析によって検知可能ないかなるマルテンサイト/オーステナイト位相変化も示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性を備えるニッケル・チタン合金において、摂氏約−60度(℃)乃至約120 ℃の範囲にDSCおよびDMTA分析によって検知可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化は存在しない。したがって、そのような材料の機械的な曲げ特性は、温度のこの広範囲にわたって温度の影響に対して通常不活発である。いくつかの実施形態において、周囲温度または室温の線形弾性および/または非超弾性のニッケル・チタン合金の機械的な曲げ特性は、例えばそれらが超弾性平坦部および/またはフラグ領域を示さないという点において、体温における機械的特性と略同じである。すなわち、広い温度領域を横断して、線形弾性および/または非超弾性ニッケル・チタン合金は、その線形弾性および/または非超弾性の特徴および/または特性を保持する。
【0045】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル・チタン合金は、約50乃至約60重量パーセントの範囲のニッケルであり、残部が実質的にチタンである。いくつかの実施形態において、組成は、約54乃至約57重量パーセントの範囲のニッケである。適切なニッケル・チタン合金の一例は、神奈川(日本)の古河テクノマテリアル社から販売されているFHP−NT合金である。ニッケル・チタン合金のいくつかの例は米国特許第5238004号明細書および第6508803号明細書に開示され、これらの明細書はその全体がここに開示されたものとする。他の適切な材料は、ULTANIUM(登録商標)(Neo−Metrics社から販売されている)およびGUM METAL(登録商標)(トヨタ社から販売されている)を含む。他のいくつかの実施形態において、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールが所望の特性を得るために使用される。
【0046】
少なくともいくつかの実施形態において、器具12の部分は、更に放射線不透過性の材料でドープされるか、形成されるか、あるいは放射線不透過性の材料を含む。放射線不透過性の材料は、医学的処置の間に蛍光透視スクリーンや、別の映像技術上に比較的明るい像を生成することができる材料であるものといえる。この比較的明るい像は、器具12のユーザがその位置を決定することを支援する。放射線不透過性の材料のいくつかの例は、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤を装填した高分子材料などを含むが、これらに限定されるものではない。付加的に、他の放射線不透過性マーカ・バンド、および/またはコイルも同じ結果を得るべく器具12の構成にさらに組み込まれる。
【0047】
いくつかの実施形態において、所定の程度の磁気共鳴画像診断法(MRI)適合性が、器具12に付与される。例えば、器具の部分は、実質的に像を歪めたり実質的にアーティファクト(つまり像中のギャップ)を形成しない材料から形成される。所定の強磁性体は、例えば、MRI像にアーティファクトを形成するため、適切ではない。これらのうちのいくつか、および別例では、器具12の部分は、MRI機械が撮像可能な材料から更に形成される。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト・クロミウム・モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル・コバルト・クロミウム・モリブデン合金(例えば、MP35N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノールなど、および他のものを含む。
【0048】
本開示は単に多くの点において例示に過ぎないものといえる。変更が、特に本開示の範囲を逸脱することなく形状、寸法、および工程の構成に関して詳細になされてもよい。これは、適切である程度まで、他の実施形態において使用される一例の実施形態の任意の要素の使用を含む。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される言語に定義される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8