特許第6204594号(P6204594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204594電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204594
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170914BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20170914BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M2/10 F
   H01M2/10 M
   H01M10/0587
   H01M2/02 K
   H01M2/02 L
   H01M2/20 A
   H01M2/30 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-536764(P2016-536764)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-540352(P2016-540352A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】KR2014005224
(87)【国際公開番号】WO2015083912
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0150990
(32)【優先日】2013年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516162755
【氏名又は名称】エンブロック セル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジョン ベ
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−543289(JP,A)
【文献】 特開2010−199085(JP,A)
【文献】 特開2003−323870(JP,A)
【文献】 特表2005−520313(JP,A)
【文献】 実開昭58−020469(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/007547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
H01M 2/20
H01M 2/30
H01M 10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質及び負極活物質のいずれか一方でコートされた第1電極板(111)に接合され、一定の長さに突き出ている第1電極タブ(114)と、正極活物質及び負極活物質のもう一方でコートされた第2電極板(112)に接合され、前記第1電極タブ(114)よりも長い長さに延びる第2電極タブ(115)とを含んでなり、前記第1電極タブ(114)と前記第2電極タブ(115)とが互いに逆の側に位置しており、前記第2電極タブ(115)を前記第1電極タブ(114)の側へと折り曲げたときには第1電極タブ(114)の高さと第2電極タブ(115)の高さとが一致するように構成できる円柱状のゼリーロール型電極組立体(110)と、円柱状のゼリーロール型電極組立体(110)を収容する円柱状ポーチ(120)とをさらに含む円柱状ポーチ型ベアセル(100);
複数の前記円柱状ポーチ型ベアセル(100)がそれぞれ収容される複数の円柱状外部ケースの形態で構成されており、複数の円柱状外部ケースの一端のみを接続させる電池保護回路基板収納部(320)を通じて複数の円柱状外部ケースの一端のみが一括して接続できるエンブロッククリップの形態の外部ケース(300);
前記多数の円柱状ポーチ型ベアセル(100)にそれぞれ備えられる、第1電極タブ(114)と、前記第1電極タブ(114)の側へと折り曲げられている第2電極タブ(115)とが、電池保護回路基板収納部(320)の側を向くようにして、複数の円柱状外部ケースにそれぞれ挿入されて装着された際には、前記多数の円柱状ポーチ型ベアセル(100)にそれぞれ備えられている第1電極タブ(114)及び第2電極タブ(115)に電気的に接続できる電池保護回路基板(200);及び
前記エンブロッククリップの形態の外部ケース(300)に収容される、外部正極端子(313)及び外部負極端子(314)を形成しており、前記外部正極端子(313)及び外部負極端子(314)にそれぞれが電気的に接続できて前記エンブロッククリップの形態の外部ケース(300)の内部に挿入できる外部電極タブ(319a、319b)を含んでおり、前記外部電極タブ(319a、319b)のそれぞれが前記電池保護回路基板(200)に電気的に接続できるようにする一対の外部電極組立体(310);を含んでなることを特徴とする、電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップ形態のリチウム二次電池パック。
【請求項2】
前記一対の外部電極組立体(310)には、
前記外部正極端子(313)及び前記外部負極端子(314)に外部端子固定凹部(312a、312b)がそれぞれ備えられ、前記エンブロッククリップの形態の外部ケース(300)には前記外部端子固定凹部(312a、312b)に嵌め込める外部端子固定突出部(316)がそれぞれ備えられることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップ形態のリチウム二次電池パック。
【請求項3】
前記一対の外部電極組立体(310)は、
前記外部正極端子(313)及び前記外部負極端子(314)が収容される外部端子収納部(315)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック。
【請求項4】
前記電池保護回路基板収納部(320)には電池保護回路基板(200)が収容されることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック。
【請求項5】
前記一対の外部電極組立体(310)は、
前記外部正極端子(313)、前記外部負極端子(314)、及び、前記外部端子収納部(315)に嵌め込める外部端子固定キャップを含むことを特徴とする、請求項3に記載の電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック。
【請求項6】
前記電池保護回路基板収納部(320)は、
前記電池保護回路基板(200)が収容された状態で嵌め込める後面キャップ(321)をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池(secondary cell)技術に係り、さらに具体的には、カメラに装着するエレクトロニックフラッシュ(electronic flashまたはstrobe light)などの電子機器においてIEC標準R6(AA)規格の2口または4口の電池室(battery compartment)にぴったりと嵌め込むことができるエンブロッククリップ(enbloc clip;エンブロック型の挿弾子)の形態のリチウム二次電池パック(lithium secondary battery pack)に関する。
【背景技術】
【0002】
最近使用されている、あらゆる、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用電子機器は、電力消耗が非常に多いため、充電が不可能な一次電池(primary cellまたはdisposable battery)や、定格容量(capacity)の少ないニッケル水素電池(Ni−MH;nickel−metal hydride battery)ではなく、専用規格の高容量リチウムイオン電池パック(Li−ion;lithium−ion battery pack)またはリチウムイオンポリマー電池パック(Li−Po;lithium−ion polymer battery pack)を使用するのが一般的であり、電力消耗量は高いが、製品使用周期は短い携帯用フラッシュライト(flashlight)などの製品についても、近年では、最も広く使用される円柱型リチウムイオン電池の18650規格に合わせて、新製品が発売されている。
【0003】
しかし、カメラに装着するエレクトロニックフラッシュの場合だけは、電力消耗量が非常に高いにも拘わらず、高容量の専用電池パックを使用することなく、既存のR6(単三形またはAA)規格の一般的な電池4本を直列に装着する方式が過去から現在までも維持されている。これは、カメラフラッシュの場合、製品使用周期が10年以上と長く、非常時における一般的な電池との互換性などを考慮しなければならないためである。また、同じ理由から、フラッシュメーカーでは使用可能な電池の種類を、一次電池である、定格電圧1.5Vのアルカリ乾電池(alkaline battery)及び1.5Vのリチウム乾電池(lithium battery)と、二次電池である1.2Vのニッケル水素電池及び1.2Vの低自己放電(LSD; Low self discharge)ニッケル水素電池との4つのみに制限している。
【0004】
一次電池であるアルカリ乾電池は、低温条件に弱いため、零下10℃で、定格容量である2500mAh前後から、その約60%に減少し、零下20℃で定格容量の約20%に減少するという問題がある。また、25mA程度の低負荷条件では定格容量である2500mAhをすべて使用することができるが、1000mA程度の高負荷条件では、定格容量の半分以下に相当する1000mAh前後のみを使用することができるという問題がある。言い換えれば、屋外の低温条件で使用する場合が多く且つ電力消耗が多いカメラフラッシュに適用するには適さない。勿論、リチウム一次電池の場合、低温条件及び高負荷条件においても安定的に定格容量である3000mAh前後を使用することができるが、消費者価格がアルカリ乾電池に比べて約8倍程度と非常に高い。さらに、前記2種の一次電池は、充電及び再利用が不可能であることから、不経済であり、環境にも優しくないという問題がある。
【0005】
二次電池である高容量のニッケル水素電池の場合は、定格容量が2700mAh前後であってアルカリ乾電池及びリチウム一次電池に類似するが、高いレベルの自己放電現象(self discharge)が発生し、一般にメモリ効果(memory effect)として間違って認識されている電圧降下現象(voltage depression)が、特に高負荷条件で頻繁に発生するという問題があり、近年では電力消耗の多いフラッシュであまり使用されない。また、このような2つの問題を解消した低自己放電ニッケル水素電池の場合は、定格容量が2000mAh前後であって、既存の高容量ニッケル水素電池よりも約26%程度低いという問題がある。このため、フラッシュメーカーでは、足りない電力を補充するために、R6規格の電池1本をさらに直列接続して電源電圧を高める、増設電池パック(quick recycling battery pack)を、製品と一緒に提供するか、或いはR6規格の電池6本または8本を直列に接続する外付け電池パック(external Battery Pack)を別途販売する。これは、結果として、コストの増加と、カメラ装備の重量増加という2つの問題を引き起こす。
【0006】
また、カメラフラッシュに使用されるアルカリ乾電池及びリチウム一次電池は、定格電圧1.5V、開路電圧1.65V、終止電圧1.1Vであって、4口の直列(4S)接続の際には4.4〜6.6V、増設電池パックを使用した5口の直列(5S)接続の際には5.5〜8.25Vの範囲の電圧を供給する。一方、リチウムイオン電池は、定格電圧3.6〜3.7V、満充電電圧4.2V、終止電圧2.8Vであるので、14500規格(R6と同じ)の円柱型リチウムイオン電池を、カメラフラッシュの4口電池室における4口の直列回路にそのまま挿入して適用することは不可能である。しかし、14500規格のリチウムイオン電池またはリチウムイオンポリマー電池を、2直列2並列(2S2P)で接続する場合には、5.6〜8.4Vの範囲の電圧を供給することができる。また、リチウムリン酸鉄電池(LiFePO4;lithium iron phosphate battery)の場合は、定格電圧3.2V、満充電電圧3.6V、終止電圧2.8Vであって、2直列2並列で接続する場合に5.6〜7.2Vの範囲の電圧を供給することができる。そのため、カメラフラッシュに適用することが可能である。しかも、リチウムイオン電池の比エネルギー(specific energy)及びエネルギー密度(energy density)は、ニッケル水素電池よりも約2〜3倍高く、充放電効率(charge/discharge efficiency)もリチウムイオン電池が約90%以上であってニッケル水素電池の約65%前後よりも優れるのであり、同じ体積または規格の場合には、リチウムイオン電池がニッケル水素電池に比べて約1/2と軽いという利点がある。
【0007】
しかし、従来考案されて現在まで製造及び販売されているあらゆるリチウム二次電池パックの場合は、長くて平べったい角型(prismatic type)やポーチ型(pouch type)などであるか、或いは金属缶(can)に込められている円柱型(cylindrical type)のリチウムイオンベアセル(bare cell)2つ以上を単純に接続して、電池保護回路(PCM;protection circuit module)と一緒に、外部ケースに取り付けた形態である。そのため、カメラフラッシュのR6規格の4口電池室に挿入して装着することが不可能である。また、リチウム二次電池パックを、電子機器におけるR6規格の2口または4口の電池室に嵌め込んで装着できるように製造するのに必要な、ゼリーロール型電極組立体(jelly−roll type electrode assembly)を使用した円柱状ポーチ型ベアセルというものは、現在まで、考案または製造及び販売がされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような問題点を解決するためのものであり、カメラに装着するエレクトロニックフラッシュなどの電子機器において、R6規格の2口または4口の電池室に、嵌め合わされて取り付けられるリチウム二次電池パックを提供することにより、低自己放電ニッケル水素電池を使用するときよりも、供給可能な電力量(Wh)を約2倍以上高めるという利点を提供する。
【0009】
また、本発明は、既存のものの如くR6規格の電池2本または4本をそれぞれ挿入して装着する方式ではなく、電池パックを、電子機器のR6規格の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態でモジュール化することにより、より容易に装着することができるという利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一特徴に係る、電子機器の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パックは、
正極活物質及び負極活物質のいずれか一方でコートされた第1電極板に接合され、一定の長さで突き出している第1電極タブと、正極活物質及び負極活物質のもう一方でコートされた第2電極板に接合され、前記第1電極タブよりも長さが長く延びる第2電極タブとを含んでなり、前記第1電極タブと前記第2電極タブとが互いに逆側に位置しており、前記第2電極タブを前記第1電極タブの側へと折り曲げた際に第1電極タブの高さと第2電極タブの高さとが一致するように構成できる円柱状のゼリーロール型電極組立体と、円柱状のゼリーロール型電極組立体を収容する円柱状ポーチとを含む円柱状ポーチ型ベアセル;
多数の前記円柱状ポーチ型ベアセルがそれぞれ収容される、多数の円柱状外部ケースの形態で構成されており、多数の円柱状外部ケースの一端のみを接続できる電池保護回路基板収納部を通じて、多数の円柱状外部ケースの一端のみが一括して接続できるエンブロッククリップの形態の外部ケース;
前記多数の円柱状ポーチ型ベアセルにそれぞれ備えられる第1電極タブと、前記第1電極タブの方向に折り曲げられている第2電極タブが電池保護回路基板の収納部の側を向くようにして、多数の円柱状外部ケースにそれぞれ挿入されて装着された後、前記多数の円柱状ポーチ型ベアセルにそれぞれ備えられる第1電極タブ及び第2電極タブに電気的に接続できる電池保護回路基板;及び
前記エンブロッククリップの形態の外部ケースに収容される外部正極端子及び外部負極端子を形成しており、前記外部正極端子及び外部負極端子にそれぞれが電気的に接続できて前記エンブロッククリップの形態の外部ケースの内部に挿入できる外部電極タブを含んでおり、前記外部電極タブのそれぞれが前記電池保護回路基板に電気的に接続できるようにする一対の外部電極組立体;を含んでなることをその構成上の特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記一対の外部電極組立体は、
前記外部正極端子及び前記外部負極端子に外部端子固定凹部がそれぞれ備えられ、前記エンブロッククリップの形態の外部ケースには前記外部端子固定凹部に嵌め込める外部端子固定突出部がそれぞれ備えられてもよい。
【0012】
好ましくは、前記一対の外部電極組立体は、
前記外部正極端子及び前記外部負極端子が収容される外部端子収納部を含んでもよい。
【0013】
好ましくは、前記電池保護回路基板収納部には電池保護回路基板が収容されてもよい。
【0014】
さらに好ましくは、前記一対の外部電極組立体は、
前記外部正極端子、前記外部負極端子、及び、前記外部端子収納部に嵌め込める外部端子固定キャップを含んでもよい。
【0015】
さらに好ましくは、前記電池保護回路基板収納部は、
前記電池保護回路基板が収容された状態で嵌め込める後面キャップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
上述したように、本発明に係るカメラエレクトロニックフラッシュのR6規格の4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パックは、従来の低自己放電ニッケル水素電池の使用時よりも供給可能な電力量(Wh)を約2倍以上高めることにより、追加の増設電池パックまたは外付け電池パックを必要としないようにして、カメラ装備の重量の低減及びコストの低減を図ることができる。
【0017】
また、本発明は、電子機器におけるR6規格の電池2本または4本をそれぞれ交換する方式ではなく、電池パックを、電子機器のR6規格の2口または4口の電池室に嵌め込めるエンブロッククリップの形態でモジュール化することにより、より容易に交換することができる。
【0018】
また、本発明は、金属缶を使用した14500規格の円柱型ベアセルの製造に使用されるゼリーロール型電極組立体をそのまま適用して円柱状ポーチ型ベアセルを製造することにより、製造コスト削減及び工程削減の効果を得ることができ、金属缶を使用する場合よりもベアセルの重量を著しく軽量化することができる。
【0019】
また、本発明によると、一定の長さに突き出している正極タブと、長く延びている負極タブとを適用した円柱状ポーチ型ベアセルは、金属缶を使用する場合とは異なり、R6規格のエンブロッククリップの形態の外部ケースに挿入することを可能にし、電池保護回路との接続によって直列接続及び並列接続の様々な組み合わせを可能にする。このことにより、定格電圧が、一般的な電池と互換できるものであるリチウム二次電池パックを製造することができる。
【0020】
また、本発明は、エンブロッククリップの形態の外部ケースをポリカーボネート樹脂材の加圧射出方式によって一体型に製造し、モジュール化された複数の付属品を組み付け・締結する方式で実現できるようにすることで、工程を簡素化することにより製造コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例に係る円柱状ポーチ型ベアセルの構造を示す分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る円柱状ポーチ型ベアセルが組み立てられた外形を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係るリチウム二次電池パックの構造を示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例によってリチウム二次電池パックが組み立てられた際の外形及び充電ホルダーを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る内部回路の構成を示すブロック回路図である。
図6】本発明の他の実施例によってリチウム二次電池パックが組み立てられた際の外形及び充電ホルダーを示す斜視図、及び内部回路の構成を示すブロック回路図である。
図7】本発明の別の実施例に係る、リチウム二次電池パック型の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施例に係る円柱状ポーチ型ベアセルにおいてゼリーロール型電極組立体が円柱状ポーチに収容される前の状態を示す斜視図、図2は本発明の一実施例に係る円柱状ポーチ型ベアセルが組み立てられた際の外形を示す斜視図である。
【0024】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例に係る円柱状ポーチ型ベアセル100は、ゼリーロール型電極組立体110と、ゼリーロール型電極組立体110を収容する円柱状ポーチ120とを含んでなる。
【0025】
ゼリーロール型電極組立体110は、(1)正極活物質及び負極活物質のいずれか一方、例えば正極活物質がコートされた第1電極板111、(2)正極活物質及び負極活物質のもう一方、例えば負極活物質がコートされた第2電極板112、及び(3)第1電極板111と第2電極板112との間に位置して第1電極板111と第2電極板112の短絡(short)を防止し、リチウムイオンの移動のみを可能にするセパレータ113から構成される。また、第1電極板111には、一定の長さに突き出して正極タブとして作用する第1電極タブ114が接合されており、第2電極板112には、長さが長く延長されて負極タブとして作用する第2電極タブ115が接合されている。また、第1電極タブ114及び第2電極タブ115と円柱状ポーチ120との間の短絡を防止するための保護部材116を備えることもできる。
【0026】
円柱状ポーチ120は、アルミ(Al)箔層と、これを両面で覆う、合成樹脂層の多層膜とから構成される。これを使用する場合には、金属缶を使用する場合よりもベアセルの重量を著しく軽量化することができ、金属缶を使用した14500規格の円柱型ベアセルの製造に使用されるゼリーロール型電極組立体110を、そのまま適用して、円柱状ポーチ型ベアセル100を製造することができる。これにより製造された円柱状ポーチ型ベアセル100は、金属缶を使用する場合とは異なり、R6規格のエンブロッククリップの形態の外部ケース300に挿入してリチウム二次電池パック400を製造することができるようにするものである。
【0027】
まず、円柱状ポーチ120の長側面121aを加熱融着して密封する。この後、ゼリーロール型電極組立体110を、仮封止形態の円柱状ポーチ120の内部に位置させ、長さが長く延長されている第2電極タブ115が通過する第2短側面121cを、加熱融着して密封する。その次に、未だに開放されており、一定の長さに突き出している第1電極タブ114が通過する第1短側面121bを通じて非水性電解液を注入する。この後、最終的に第1短側面121bを加熱融着して密封すると、円柱状ポーチ型ベアセル100が製造される。
【0028】
また、前記円柱状ポーチ120の第1短側面及び第2短側面を通じて外部へ引き出される、第1電極タブ114及び第2電極タブ115は、回路パターンが形成された電池保護回路基板200と電気的に接続され、異常の発生の際には電流の流れを遮断する。
【0029】
図3は、本発明の一実施例に係るリチウム二次電池パックの構造を示す分解斜視図であり、図4は本発明の一実施例によってリチウム二次電池パックが組み立てられた際の外形及び専用充電ホルダーを示す斜視図である。
【0030】
図3及び図4を参照すると、本発明の一実施例に係るエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック400は、(1)4つの円柱状ポーチ型ベアセル100、(2)電池保護回路基板200、及び(3)円柱状ポーチ型ベアセル100と電池保護回路基板200を収容するエンブロッククリップの形態の外部ケース300を含んでなり、エンブロッククリップの形態の外部ケース300は、詳細には、外部電極組立体310、電池保護回路基板収納部320、及び後面キャップ321から構成される。
【0031】
外部電極組立体310は、(1)外部端子が外部と電気的に接触することができるように中央が空いている外部端子固定キャップ311と、(2)外部端子固定凹部312aが備えられ、長さが延長された外部電極タブ319aが電気的に接続されている外部正極端子313と、(3)外部端子固定凹部312bが備えられ、長さが延長された外部電極タブ319bが電気的に接続されている外部負極端子314と、(4)外部端子固定突出部316及び外部電極タブホール317が備えられ、外部正極端子313及び外部負極端子314が嵌め込める外部端子収納部315と、から構成される。
【0032】
また、外部電極タブ319a及び319bの短絡を防止するための保護部材318を備えることもでき、外部正極端子313と電気的に接続されている外部電極タブ319a、及び外部負極端子314と電気的に接続されている外部電極タブ319bは、回路パターンが形成された電池保護回路基板200と電気的に接続されており、異常発生の際には電流の流れを遮断する。
【0033】
外部正極端子313及び外部負極端子314のいずれか一方に、例えば外部陰極端子314に、エンブロッククリップの形態の外部ケース300における左側の外部電極タブホール317を通じて電気的に接続されている外部電極タブ319bを、外部ケース300の内部に挿入する。この後、外部負極端子314に備えられている外部端子固定凹部312bを、外部端子固定突出部316に合わせるようにして、外部負極端子314を外部端子収納部315に装着する。最終的に、外部端子固定キャップ311で覆った後、一般的にはホットメルト型シリコーン接着剤でモールドするのであるが、本発明は前記の材質に限定されない。そして、エンブロッククリップの形態の外部ケース300における右側の外部電極タブホール317を通じて外部正極端子313と電気的に接続されている外部電極タブ319aを、外部ケース300の内部に挿入し、外部正極端子313に備えられている外部端子固定凹部312aを、外部端子固定突出部316に合わせるようにして、外部正極端子313を外部端子収納部315に装着する。この後、外部端子固定キャップ311で覆った後、モールドする。このような外部端子固定凹部312a及び312bと外部端子固定突出部316は、外部正極端子313と外部負極端子314の回転による変形または破損を防止することができるようにするものである。
【0034】
4つの円柱状ポーチ型ベアセル100について、第1電極タブ114及び第2電極タブ115が電池保護回路基板200の側を向くようにして、エンブロッククリップ形態の外部ケース300に備えられている4つの円柱状収納部にそれぞれ挿入して装着する。この後、外部正極端子313に電気的に接続されている外部電極タブ319aと、外部負極端子314に電気的に接続されている外部電極タブ319bと、4つの円柱状ポーチ型ベアセル100に電気的に接続されている4つの第1電極タブ114及び4つの第2電極タブ115とを、いずれも、電池保護回路基板200に電気的に接続する。その後、電池保護回路収納部320に電池保護回路基板200を嵌め込み、後面キャップ321で覆う。この後、一般的にはホットメルト型シリコーン接着剤でモールドすることにより、エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック400が製造される。
【0035】
エンブロッククリップ形態の外部ケース300は、通常、耐久性及び温度特性に非常に優れ、特に外部からの衝撃に対する強度に非常に優れたポリカーボネート(polycarbonate)樹脂材を、加圧射出方式によって一体型に製造するのであるが、本発明は前記材質に限定されない。
【0036】
エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック400を嵌め込むことができる専用充電ホルダー500は、エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック400の外部正極端子313に電気的に接触する正極充電端子511と、外部負極端子314に電気的に接触する負極充電端子512と、外部直流電源入力ジャック520と、充電中及び充電完了の表示灯530と、内部の充電回路とから構成される。
【0037】
図5は本発明の一実施例に係る内部回路の構成を示すブロック回路図である。
【0038】
図5を参照すると、本発明の一実施例に係るエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック400は、4つの円柱状ポーチ型ベアセル100と、2つの電池保護回路とを用いて2直列2並列(2S2P)方式で回路が構成される。エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック400のベアセルとして、リチウムイオン電池またはリチウムイオンポリマー電池を使用する場合、定格電圧は7.4Vであり、5.6〜8.4Vの範囲の電圧を供給することができる。また、リチウムリン酸鉄電池のベアセルを使用する場合、定格電圧は6.4Vであり、5.6〜7.2Vの範囲の電圧を供給することができる。また、電池保護回路は、過充電及び過放電を防止し、異常の発生の際には電流の流れを遮断する。
【0039】
以下、本発明の他の実施例に係るリチウム二次電池パック及び専用充電ホルダーについて説明する。また、本発明の他の実施例に係るリチウム二次電池パックは、後述すること以外は前記一実施例と同様である。
【0040】
図6は、本発明の他の実施例によってリチウム二次電池パックが組み立てられた際の外形及び専用充電ホルダーを示す斜視図、及び本発明の他の実施例に係る内部回路の構成を示すブロック回路図である。
【0041】
図6を参照すると、本発明の他の実施例に係るエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック401は、2つの円柱状ポーチ型ベアセル100と、電池保護回路基板201と、円柱状ポーチ型ベアセル100及び電池保護回路基板201を収容するエンブロッククリップの形態の外部ケース301とから構成されており、専用充電ホルダー501に、エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック401を嵌め込むことができる。
【0042】
また、本発明の他の実施例に係るエンブロッククリップ形態のリチウム二次電池パック401は、2つの円柱状ポーチ型ベアセル100と、1つの電池保護回路とを用いて2並列(2P)方式で回路が構成される。エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック401のベアセルとして、リチウムイオン電池またはリチウムイオンポリマー電池を使用する場合、定格電圧は3.7Vであり、2.8〜4.2Vの範囲の電圧を供給することができる。また、リチウムリン酸鉄電池のベアセルを使用する場合、定格電圧は3.2Vであり、2.8〜3.6Vの範囲の電圧を供給することができる。
【0043】
以下、本発明の別の実施例に係るリチウム二次電池パックについて説明する。また、この、別の実施例に係るリチウム二次電池パックは、後述すること以外は前記一実施例と同様である。
【0044】
図7は本発明の別の実施例によってリチウム二次電池パックが組み立てられた際の外形を示す斜視図である。
【0045】
図7を参照すると、本発明の別の実施例に係るエンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック402及び403は、いずれも、4つの円柱状ポーチ型ベアセル100と、電池保護回路基板202及び203と、円柱状ポーチ型ベアセル100及び電池保護回路基板202及び203を収容するエンブロッククリップ形態の外部ケース302及び303とを含んでなり、専用充電ホルダー502及び503に、エンブロッククリップの形態のリチウム二次電池パック402及び403を嵌め込むことができる。
【0046】
以上説明したように、本発明は、上述した特定の好適な実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能なのはもちろんのこと、それらの変更は、本発明の技術的思想に該当するため、特許請求の範囲の記載によって定められる範囲内にある。
【符号の説明】
【0047】
100 円柱状ポーチ型ベアセル
110 ゼリーロール型電極組立体
111 第1電極板
112 第2電極板
113 セパレータ
114 第1電極タブ
115 第2電極タブ
116 保護部材
120 円柱状ポーチ
121a 円柱状ポーチの長側面
121b 円柱状ポーチの第1短側面
121c 円柱状ポーチの第2短側面
200、201、202、203 電池保護回路基板
300、301、302、303 外部ケース
310 外部電極組立体
311 外部端子固定キャップ
312a、312b 外部端子固定凹部
313 外部正極端子
314 外部負極端子
315 外部端子収納部
316 外部端子固定突出部
317 外部電極タブホール
318 保護部材
319a、319b 外部電極タブ
320 電池保護回路基板収納部
321 後面キャップ
400、401、402、403 リチウム二次電池パック
500、501、502、503 充電ホルダー
511 正極充電端子
512 負極充電端子
520 外部直流電源入力ジャック
530 充電中及び充電完了表示灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7