特許第6204612号(P6204612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204612
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】予熱が行われる電気アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/10 20060101AFI20170914BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170914BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20170914BHJP
   H01H 47/22 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01H47/10
   B60L3/00 JZHV
   H01M10/48 301
   H01M10/44 Q
   H01M10/42 P
   H01H47/22 A
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-560893(P2016-560893)
(86)(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公表番号】特表2017-513200(P2017-513200A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】EP2015068072
(87)【国際公開番号】WO2016045856
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2016年10月4日
(31)【優先権主張番号】102014219211.0
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】シェートリヒ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン、スヴェン
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−100620(JP,A)
【文献】 特開2007−165406(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0009464(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0218928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00 − 47/36
H01F 7/06 − 7/17
H01M 10/42 − 10/48
B60R 16/02
B60K 6/20 − 6/547
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気系統を駆動する方法であって、前記車両は、バッテリ分離ユニット(10)を備えたバッテリシステムを有し、前記バッテリ分離ユニット(10)によって、高電圧バッテリ(12)が、バッテリ正極(18)及び/又はバッテリ負極(32)から分離可能であり、又は、双方のバッテリ極(18、32)で前記電気系統から分離可能であり、
前記方法は、以下の処理工程、即ち、
a)少なくとも1つの電気機械スイッチ(20、34)を操作する主接触器コイル及び/又は事前充電接触器コイル(22、28、36)が予熱され、
b)パルス幅変調−信号制御の場合には、吸引パルス幅(52)の一部分(54)が設定され、前記吸引パルス幅(52)の前記一部分(54)を用いた前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)の作動によって前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)への予熱が行われ、
又は、
c)直流電流信号による作動の場合には、温度に依存して選択された加熱勾配(62、64、66)による、周囲温度に依存した前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)への予熱が行われる、
方法。
【請求項2】
前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)の温度Tは、以下の関係、即ち、

=T+ΔT
但し、
:前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)の温度、
:前記高電圧バッテリ(12)の内部温度、
ΔT:予熱電流による温度上昇、

に従って決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最終段ICの電力損失は、最大許容電力損失に制限され、デューティ比は、前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)が前記電気機械スイッチ(20、34)を閉鎖する際の、前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)の吸引デューティ比を下回ることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
処理工程c)に従って、予熱開始以降は、コイル加熱が進むにつれて増大する直流電流Iが流れることを特徴とする、請求項1又2に記載の方法。
【請求項5】
前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)への前記加熱に従って、前記直流電流Iは、最大非吸引電流値(58)まで上昇し、前記直流電流Iは、前記最大非吸引電流値(58)に制限されたまま保たれることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記高電圧バッテリ(12)の内部温度Tに従って、前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)のための前記加熱勾配(62、64、66)が設定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)の電力損失が削減され、前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)の温度は、制限されたまま保たれることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)を加熱するための予熱電流、及び、保持電流は、定電流源(88)によって提供されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記主接触器コイル及び/又は前記事前充電接触器コイル(22、28、36)で降下した電圧が、比較器(92)で基準電圧(94)と比較され、前記比較器(92)の前記比較の結果に従って、定電流源(88)を作動又は停止させるためのスイッチ(90)が操作されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ハイブリッド自動車又は電気自動車の電気回路網を駆動する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
b)パルス幅変調−信号制御の場合には、前記吸引パルス幅(52)の10%〜30%が設定される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、又は電気自動車(EV)の高電圧バッテリ(12)を駆動するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、又は電気自動車(EV)のメインバッテリを駆動するための、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハイブリッド自動車又は電気自動車等の、バッテリ分離ユニットを備えたバッテリシステムを有する車両の電気回路網、特に電気系統を駆動する方法に関する。バッテリ分離ユニットによって、電気貯蔵器が、バッテリ正極及び/又はバッテリ負極で、電気系統から分離されうる。
【背景技術】
【0002】
例えば風力発電所のような定置型の適用において、及び、緊急電源のために使用される機構において、及び、例えばハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid−Electric−Vehichle)又は電気自動車(EV:Electric Vehicle)のような移動型の適用において、現在では、リチウムイオンバッテリシステムが大抵使用されている。このようなバッテリシステムでは、利用可能なエネルギー含量、充電・放電効率、メモリ効果の不在、信頼性、及び、特に寿命に対する要求が非常に高い。
【0003】
ハイブリッド電気自動車又は電気自動車の電動機に電力供給するために十分な大きさの総電圧に対する要求を満たすために、ハイブリッド電気自動車又は電気自動車の高電圧メインバッテリでは、およそ100個以上の個々のバッテリセルが、電気的に直列に接続され、又は部分的に並列にも接続される。その際には、600ボルトまでのバッテリ電圧が生じうる。
【0004】
この電圧は、人間にとって許容可能な接触電圧よりも明らかに高い。健康な成人の場合、50ボルトの交流電圧又は120ボルトの直流電圧による接触電圧から、生命が脅かされる状況にあると考えられる。子供や家畜の場合は、接触電圧は、最大で、25ボルトの交流電圧又は60ボルトの直流電圧である。
【0005】
車両電気系統が停止され車両が停止している際に電流を消費しないために、さらに、電気エネルギー貯蔵器の外部又は内部での故障の際に状況によっては深刻な更なる損害の発生を回避するために、及び、事故の後に救助員が危険に曝されないために、生命にかかわるような高いバッテリ電圧が、バッテリ極から直流電気的に分離されることが配慮される。このような安全な駆動のために、高電圧バッテリシステムでは通常バッテリ分離ユニットが設けられ、このバッテリ分離ユニットは、高電圧バッテリシステムの駆動時に作動されておりバッテリを車両及び消費機器と接続する自身の接触器又はリレーの停止によって、電気系統から高電圧バッテリを分離する。バッテリ分離ユニットは今日の従来技術に対応して通常では、過負荷が掛かった際に電流遮断装置として機能するヒューズを備えている。通常、バッテリ分離ユニットは、バッテリ接続線に組み込まれた主接触器を備える。さらに、バッテリ分離ユニットは、充電抵抗器に対して通常は直列の事前充電接触器を含む事前充電回路と、電流センサと、を備える。電流センサは、通常では、ホール式(Hall)電流センサ、及び、シャント式(Shunt)電流センサである。
【0006】
主接触器は、大抵は、性能が良くて大きな比較的高価な電気機械スイッチである。このスイッチに対する要請は、当該スイッチが、数千アンペアの短絡電流を確実に遮断できる状態になければならないということである。主接触器のコイルは、特に温度が非常に低い際に、即ち温度が−30℃以下の際には、非常に低インピーダンスな状態にある。この場合には、典型的な電子的ドライバ段は全く伝達し得ないであろう非常に大きな作動電流が流れる可能性がある。このような作動電流は、電子的最終段の破壊を引き起こすであろう。上記ドライバ段は、低温条件のためにより手間を掛けて設計せざるを得ないであろうが、コストが明らかにより高くなる。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0218928号明細書は、電磁スイッチのコイル制御装置に関する。コイル制御装置は、アナログ回路の主構成要素を、消費が少ないパルス幅変調制御装置を備えたデジタル回路の主構成要素により置換する。これにより、アナログ構成要素の数が減り、エネルギー消費が下がり、定電圧が生成される。この定電圧がコイルに印加され、即ち、同時にコイル逆電流が流れ、これにより、エラー及び損傷の発生が減り、さらに、回路への大規模な損傷が防止されうる。
【0008】
米国特許出願公開第2013/0009464号明細書は、バッテリパックスイッチを制御するためのシステム及び方法に関する。スイッチのコイルは、大電力ユニットを介して制御される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
車両の、即ち例えばハイブリッド自動車又は電気自動車の電気回路網、特に電気系統を駆動する方法であって、上記車両は、バッテリ分離ユニットを備えたバッテリシステムを有する、上記方法が提案される。バッテリ分離ユニットによって、電気エネルギー貯蔵器が、バッテリ正極でもバッテリ負極でも、電気系統から分離可能であり、又は、双方のバッテリ極で同時に電気系統から分離可能である。本発明に基づき提案される方法に従って、少なくとも1つの電気機械スイッチを操作するコイルが、電気エネルギー貯蔵器を介して予熱される。少なくとも1つの電気機械スイッチとは、本文脈では、バッテリ正極のための主接触器スイッチ、事前充電接触器スイッチ、及び、バッテリ負極のための主接触器スイッチである。
【0010】
コイルへの予熱は、パルス幅変調−信号制御の場合には、吸引パルス幅の一部分、好適に吸引パルス幅の10%〜30%を用いたコイルの作動によって行われる。即ち、低いデューティ比が選択される。直流電流信号が使用される場合には、1つの電気機械スイッチを操作するコイルへの予熱は、温度に依存して選択された加熱勾配により、周囲温度に従って行われる。
【0011】
本発明に基づき提案される解決策によって、非常に温度が低い際に電気系統が作動される際に、少なくとも1つの電気機械スイッチを操作するコイルへの可能な限り迅速な予熱が実現されうる。コイルへの予熱は、接触器とも称される少なくとも1つの電気機械スイッチを辛うじて閉鎖させない電流を用いて行われる。これに対して、少なくとも1つの電気機械スイッチを閉鎖すべき場合には、本発明に基づき提案される方法に従って予熱されたコイルが、少なくとも1つの電気機械スイッチを如何なる場合にも確実に閉鎖させる電流によって作動される。
【0012】
パルス幅変調−信号制御が利用される場合には、例えば温度が−30℃以下の際には、ドライブ段に対して性能に応じて辛うじて過負荷を掛けない吸引パルス幅が設定され、即ち例えば、吸引パルス幅の10%が設定される。吸引パルス幅とは、閉鎖すべき場合に少なくとも1つの電気機械スイッチのコイルを作動するパルス幅として理解される。上記一部分の例を挙げると10%の吸引パルス幅では、上記の温度でコイル抵抗が小さい際には電流が非常に高く上がりうるため、この場合のパルス幅変調の枠組みにおけるデューティ比は、対応して1:9である。
【0013】
本発明に基づき提案される方法では、デューティ比は、少なくとも1つの電気機械スイッチを操作するコイルがより高い温度に達した場合には上げられうる。コイル温度がより高くデューティ比が上げられている際には、同じ予熱電流がコイルに供給されうる。この場合に流れる電流は、より大きなコイル抵抗によって制限されている。しかしながら、一方では最終段が無傷の状態にあり、即ち最終段が予熱電流を確実に伝達でき、他方では少なくとも1つの電気機械スイッチが辛うじて閉鎖されていない範囲内で常に予熱される。
【0014】
バッテリパック又はバッテリモジュールの内部温度Tについての情報は、メインバッテリパックの場合、バッテリ管理システムによって又はバッテリモジュールコントローラによって分かる。電気機械スイッチを操作する前のコイルのコイル温度は、以下の関係、即ち、

=T+ΔT
但し、
ΔT:コイルでの温度上昇、
:バッテリパックの内部温度、
から得られる。
【0015】
上記の関係によれば、コイル予熱制御は、コイル温度Tを設定し、迅速な予熱のために、少なくとも1つの電気機械スイッチが閉鎖しないように選択された最大可能な予熱電力を設定することが可能である。
【0016】
現在の最終段IC(集積回路)の場合、当該最終段ICにより放出される電流、及び、その温度が分かる。これにより、このような集積回路は、自身の電力損失を自動的に、未だ許容される値へと制御し、当該値に制限し、吸引デューティ比の可能な限り近傍に近付けることが可能である。デューティ比が上記吸引デューティ比を下回る場合には、一方ではコイルが最大限に予熱されて予熱時間が最小化され、他方では少なくとも1つの電気機械スイッチが辛うじて閉鎖しないことが保証される。
【0017】
これに対して、パルス幅変調による本発明に係る方法によりその作動コイルが予熱された電気機械スイッチが、確実に閉鎖することが望まれる場合には、これに対応して吸引パルス幅が選択される。吸引パルス幅又はデューティ比は、コイル温度ごとに少なくとも1つの電気機械スイッチの確実で迅速な閉鎖が保証されるように、設定される。
【0018】
パルス幅変調される信号制御の代わりに、直流電流による予熱を介しても、これに対応した電流制御においてコイルを加熱することが可能である。本発明に基づき提案される方法の本代替例によれば、電流制御が行われ、その際に、例えばバッテリパック内部温度T=−30℃で予熱が開始された際には、該当する少なくとも1つの電気機械スイッチのコイルがゆっくりと加熱される。これに対して、コイルの加熱が進むにつれて直流電流が増大する。このように電流が最初はゆっくりと増大することは、アクティブな(aktiv)制御駆動時の最終段の電力損失が大きいほど、負荷抵抗が小さくなることから生じる。従って少なくとも1つの電気機械スイッチのコイルが温まる時間があるように、予熱電流がゆっくりと上げられる。例えば数秒の予熱時間の後に、コイルが温まった場合には、予熱のために使用された電流が最大非吸引電流値に上げられ、即ち、当該値に対して予熱電流が固定される。予熱開始に関して、バッテリパック又はバッテリモジュールの内部温度Tが高いほど、最大非吸引値まで予熱電流はより険しい勾配で増大しうるが、その際に、少なくとも1つの電気機械スイッチが閉鎖することはない。これに対して、電気機械スイッチの閉鎖が必要な場合には、吸引電流が、例えばImaxに設定され、このImaxでは、少なくとも1つの電気機械スイッチの確実な閉鎖が保証される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に基づき提案される解決策によって、電気機械スイッチが閉鎖された際に、即ち接触器の接点が閉鎖された際に、パルス幅変調による作動の場合にも、直流電流による作動の場合にも、初期励磁値よりも低い保持励磁値を確実に未だ下回らない範囲内でコイル励磁を止めるという可能性が生まれる。これにより、コイルの電力損失を削減し、コイルの温度を許容値に制限して当該許容値に保つという可能性が生まれる。本発明に基づき提案される解決策によって、ハイブリッド自動車又は電気自動車のドライブトレインにおけるメインバッテリのバッテリ分離ユニットの枠組みにおけるパワー接触器(パワーコンタクタ)、即ち電気機械スイッチのコイル温度が、可能な限り迅速に上げられ、最終段ICにより統制可能な電力損失限界値が遵守される方法が提案される。パルス幅変調方法によっても、直流電流による予熱によっても、寒さが厳しく外気温度が低い際に、少なくとも1つの電気機械スイッチを辛うじて閉鎖させない電気エネルギーによる、少なくとも1つの電気機械スイッチを操作するコイルへの可能な限り迅速な予熱が実現されうる。これに対して、少なくとも1つの電気機械スイッチが閉鎖すべき場合には、以前に予熱されたコイルが、少なくとも1つの電気機械スイッチの接点を確実に閉鎖させる増大した電流によって作動される。これにより、最終段ICでの最終段の設計を最適化し、コストを節約するという可能性が生まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】バッテリ分離ユニットを備えた電気的エネルギー貯蔵器の基本図を示す。
図2】パルス幅変調による作動が行われる接触器コイル予熱信号の基本図を示す。
図3】直流電流信号及び電流制御による接触器コイルへの予熱の基本図を示す。
図4】比較器を備えた制御回路の概略図を示す。
図5】電気機械スイッチを操作するための第1の回路構成を示す。
図6】ハイ側(High−Side)最終段及びロー側(Low‐Side)最終段を備えた回路構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、バッテリ分離ユニットを備えた電気的エネルギー貯蔵器の基本図である。
【0022】
図1に示されるバッテリ分離ユニット10は、高電圧バッテリ12と接続されている。この高電圧バッテリ12は、複数のバッテリセル14が電気的に相互接続されたバッテリパック又はバッテリモジュールを含む。図1に係る高電圧バッテリ12は、サービスソケット16をさらに備える。
【0023】
符号10が付されたバッテリ分離ユニット10は、バッテリ正極18と、バッテリ負極32と、を備える。バッテリ分離ユニット10は、第1のバッテリ接続線42内に、バッテリ正極18のための主接触器20を含む。主接触器20は、電気機械スイッチ24を備え、この電気機械スイッチ24は、バッテリ正極18の主接触器スイッチとも称され、主接触器コイル22を介して操作される。主接触器20に対して並列に事前充電接触器26が接続されており、この事前充電接触器26に対して直列に充電抵抗器27が存在する。事前充電接触器26は、別体の事前充電接触器コイル28を有し、この事前充電接触器コイル28によって、事前充電接触器スイッチ25が操作される。事前充電接触器26は、主接触器20に対して並列に存在する。第1のバッテリ接続線42には、電流遮断ユニット30が存在する。この電流遮断ユニット30は、通常ではヒューズとして実現され、過負荷が掛かった際、即ち、許容し得ない大きな電流の際には溶解する。
【0024】
バッテリ負極32から、第2のバッテリ接続線44が延びている。このバッテリ接続線44には、バッテリ負極32のための主接触器34が収容されている。その電気機械スイッチ、即ち、バッテリ負極32のためのその主接触器スイッチ37は、主接触器コイル36によって操作される。第2のバッテリ接続線44には、バッテリ負極32のための主接触器34に対して直列に2つの電流センサ38、40が配置されている。これらは、冗長性の理由から、ホール式電流センサ38と、当該ホール式センサ38に対して直列のシャント式電流センサ40である。
【0025】
主接触器20又は34が存在する2つのバッテリ接続線42、44は、バッテリ分離ユニット10を通って高電圧パッテリ12へと延びている。主接触器20、34及び事前充電接触器26が、電気機械スイッチとなる。
【0026】
図2から、パルス幅変調による作動による、接触器を操作するコイルへの予熱の基本図が分かる。
【0027】
図2には、電圧が時間にわたって示されている。吸引電圧Uが、符号50により確認される。符号52で表される吸引パルス幅が、ここでは例えば−30℃の外気温度について選ばれているが、ドライバ段で対応して設定される。一部分54は、本実施例では、総吸引パルス幅52の10%の部分に相当する。図2に係る部分54は、10%〜30%の間で選択されうる。外気温度が−30℃でコイル抵抗が低い際には電流が非常に大きく増大する可能性があるため、パルス幅変調による作動の際のデューティ比は非常に低く選択される。図1に示されたコイル22、28、36の温度が上昇した際には、主接触器20、34及び事前充電接触器26を操作するコイル22、28、36に同じ予熱電力を供給するために、デューティ比が対応して上げられる。最大で流れられる電流が、より高いコイル抵抗によって制限される。
【0028】
図1に示された高電圧バッテリ12のバッテリパックの内部温度についての情報から、以下の関係によってコイル温度Tが得られる。

=T+ΔT

:バッテリパック内部温度
ΔT:保持電流によるコイルの温度上昇
【0029】
温度差ΔTは、各主接触器コイル22、36及び事前充電接触器コイル28各々で加熱された電力に基づいて獲得され、この電力は、制御マイクロコントローラには、設定されたデューティ比から分かっている。コイル予熱制御部はコイル温度Tを設定し、従って、電気機械スイッチの接点が、即ちバッテリ正極18のための主接触器スイッチ24及びバッテリ負極32のための主接触器スイッチ37及び事前充電接触器スイッチ25が、辛うじて閉鎖しない急速予熱のための最大可能予熱電力が設定されうる。
【0030】
最近の最終段ICでは、当該最終段ICが放出する電流と温度とが、マイクロコントローラには分かっている。この情報が存在することによって、このような集積回路は、自身の電力損失を自動的に制御し、制限し、可能な限り吸引デューティ比へと近付け、即ち、電気機械スイッチの接点が、即ちバッテリ正極18のための主接触器スイッチ24及びバッテリ負極32のための主接触器スイッチ37及び事前充電接触器スイッチ25が閉鎖されるデューティ比へと近付けることが可能である。これに対して、この対応する電気機械スイッチを、予熱された主接触器コイル22、予熱された主接触器コイル36、及び/又は、予熱された事前充電接触器コイル28により閉鎖すべき場合には、最終段ICで、これに対応して吸引パルス幅52が設定される。この吸引パルス幅52の大きさは、電気機械スイッチ、即ちバッテリ正極18のための主接触器スイッチ24及びバッテリ負極32のための主接触器スイッチ37及び事前充電接触器スイッチ25を操作する主接触器コイル22及び主接触器コイル36及び事前充電接触器コイル28の各温度について、バッテリ正極18のための主接触器スイッチ24及び/又はバッテリ負極32のための主接触器スイッチ34及び/又は事前充電接触器スイッチ25の安全で迅速な閉鎖が保証されるように、設定される。
【0031】
電気機械スイッチが操作された後には、吸引電流を保持電流に下げることが可能であり、その際に、保持電流は、対応する保持デューティ比を介して設定される。保持デューティ比は、図2では符号53が付されている。
【0032】
図3との関連で、直流電流信号を用いた主接触器コイル及び事前充電接触器コイルへの予熱について詳細に述べる。
【0033】
直流電流信号により制御される予熱の場合、例を挙げると、バッテリパック温度T=−30℃で予熱が開始された際には、コイルの加熱が進むにつれて、直流電流がゆっくりと増大する。電流がゆっくりと増大することは、アクティブな(aktiv)制御駆動時に最終段の電力損失が大きいほど、印加される負荷抵抗が小さいことから生じる。このような理由から、主接触器コイル22、36及び事前充電接触器コイル28が温まる時間があるように、予熱電流Iがゆっくりと上げられる。例えば1分後に、主接触器コイル22、36及び事前充電接触器コイル28が温まった際には、予熱電流Iは、最大非吸引電流値58に上げられうる。その際に、最大非吸引電流値58は、図3に符号56で示される吸引電流Iよりも小さい。図3によれば、この電流は、最大非吸引電流値58について、例えば3アンペアに固定される。例えば予熱開始時のT=0℃とT30℃とでは、電気エネルギー貯蔵器の内部温度Tが高いほど、例えばI=3アンペアの最大非吸引電流値58に上がるまで、電流はより険しい勾配で上昇する。本例では、吸引電流Iは4アンペアである。吸引電流についての様々な加熱勾配62、64、66が、図3では、バッテリパンク内部温度T=25℃、T=0℃、T=−30℃について見て取れる。符号60によって予熱時間が示されている。高電圧バッテリ12の様々な温度Tに従って、様々な加熱勾配62、64、66についてそれぞれ異なる予熱時間68、70、72が得られる。様々な予熱時間68、70、72は、図3のグラフでは、t、t、及びtで示される。
【0034】
本発明に基づき提案される解決策によって、電気機械スイッチ、即ち、バッテリ正極18のための主接触器スイッチ24、バッテリ負極32のための主接触器スイッチ37、及び/又は、事前充電接触器スイッチ24を操作するコイルへの予熱が提示され、この予熱は、パルス幅変調による作動を介しても、直流電流制御を介しても具現されうる。主接触器コイル22、36及び事前充電接触器コイル28を予熱するための双方の制御方法において、電気自動車又はハイブリッド自動車のドライブトレインにおけるメインバッテリの主接触器コイル22、36及び事前充電接触器コイル28の温度が、特に温度が非常に低い際に可能な限り迅速に上昇し、その際に、使用されるラダー回路(Stufenschaltkreis)の電力損失限界値が遵守されることが実現されうる。
【0035】
図4から、バッテリ制御装置による電気機械スイッチの切り替え制御部の概略的な構成が見て取れる。
【0036】
図4に概略的に記載されるバッテリ制御装置80は、高電圧バッテリ12で未処理のタスクを調整する。高電圧バッテリ12は、直列回路82において相互接続された複数の個別バッテリセル14を含む。バッテリ制御装置80のタスクは、バッテリセル電圧及びバッテリセル温度の検出、SOC(State of Charge、充電状態)及びSOH(State of Health、劣化状態)の計算、及び、例えば絶縁測定等の安全機能の実現にある。さらに、バッテリ制御装置80は、ハイブリッド自動車(HEV)であれ、プラグイン(Plug−In)ハイブリッド自動車(PHEV)であれ、電気自動車(EV)であれ、車両へのインタフェースを提供する。さらに、バッテリ制御装置80は、バッテリ正極18のための主接触器スイッチ24と、バッテリ負極32のための主接触器スイッチ37と、の形態による既に図1で示された電気機械スイッチを制御する。高電圧バッテリ12が安全な状態にあり、車両が高電圧バッテリ12の接続を要求する場合には、図4に示される中間回路84が高電圧バッテリ12の電圧と同じ電圧レベルに置かれた後で、双方の主接触器20又は34が接続される。
【0037】
さらに図4から、中間回路84が少なくとも1つのコンデンサ86を備えることが分かる。ハイ側(High−Side)最終段又はロー側(Low−Side)最終段の設計は、通常では、2つの主接触器20又は34を操作するために必要な最大所要吸引電流を考慮して行われる。主接触器コイル22又は36のコイル抵抗は低温時には最低値になるため、ハイ側最終段又はロー側最終段は、この低温時の最大吸引電流に対して大きさが決定される。−40℃の低温時の吸引電流の増大は、室温時に対して40%までである。この場合には必要な吸引電流を伝達できずより小さく設計されうる最終段を使用しうるために、主接触器コイル22又は36が、先に図1図3との関連で記載したように予熱される。このことは、先に記載したパルス幅変調方法の枠組みにおいて、又は、温度に依存し選択された加熱勾配62、64、66による、周囲温度に依存した主接触器コイル22、36への予熱によっても行われうる(図3参照)。主接触器コイル22、36は、先に記載した加熱制御を介して所定の抵抗値に置かれる。このために必要な加熱要素は、別体で、主接触器20又は34に組み込まれてもよく、又は、主接触器コイル22又は36自体が加熱要素として利用されてもよい。定められた加熱段階を終了し、双方の主接触器20又は34の吸引段階を開始するために、特に、制御部が、主接触器コイル22又は36の、温度に依存する抵抗値を監視する。加熱段階の間は、主接触器コイル22又は36は、定電流源88(図5参照)が提供する定電流によって電力供給される。定電流源88が伝達する電流値は、双方の接触器20又は34の吸引電流の値を下回るように選択される。
【0038】
図5から、主接触器コイル22が定電流源88を介して予熱される回路が分かる。スイッチ90が、その際に閉鎖されている。定電流源88により伝達される電流は、バッテリ正極18のための主接触器20が確実に接続されないように、即ち、定電流源88により伝達される電流が主接触器20の吸引電流56を下回るように、選択される。コイル抵抗により生じる電力損失によって、主接触器コイル22が加熱される。主接触器コイル22の温度が上がるにつれて、主接触器コイル22のコイル抵抗が上がる。主接触器コイル22で、温度に依存する電圧I・RSpule(コイル)が測定可能である。比較器92によって、主接触器コイル22で降下した上記電圧が、基準電圧94と比較される。閾値を越える際には、比較器92の出力口のみならずトリガ98の入力口と接続された結合ユニット96を介して、スイッチ90が開放される。結合ユニット96(ゲート)を介して、スイッチ90の開放時又は閉鎖時のトリガ信号が互いに結合される。加熱過程のための準備時間を獲得するために、加熱段階は既に、例えば運転席ドアの開放又は車両の開錠のような外部のトリガ事象によって開始されうる。ヒステリシス機能を有する比較器92が、結合ユニット96を介して、ロー(LOw)レベルの印加によって加熱プロセスを終了する。ローレベルとは、特に、反転された出力信号である。双方の主接触器20又は34のための吸引段階が、この瞬間に開始されうる。
【0039】
図6には、ハイ(High)側スイッチ100とロー(Low)側スイッチ102とが組み合わさった回路が示されている。
【0040】
図6は、ロー側スイッチ102が活動化されてスイッチ90が閉鎖されることで、主接触器コイル22が予熱されうることを示している。この予熱が、コイル電圧の対応する測定により終了されている場合には、スイッチ90は再び開放され、ハイ(High)側最終段は、ハイ(High)側スイッチ100を介在して、供給電圧+Uを介して、主接触器コイル22を操作するための吸引電流を伝達する。符号104及び106によって、ハイ側スイッチ100又はロー側スイッチ102の信号タップが示される。
【0041】
図6で示される定電流源88は、当該定電流源88が主接触器コイル22又は36のための予熱電流の他に、主接触器コイル22又は36の保持電流も伝達できるように、構成されうる。従って、定電流源88は、吸引電流56による吸引段階の終了後に、保持電流の提供にも対処する。その際に、スイッチ24、25、37のうちの1つを保持するために必要な保持電流は、吸引電流よりも小さい。ヒステリシス機能を有する比較器92、及び、結合ユニット96は、マイクロコントローラ、AD変換器、又は、比較可能なアナログ/デジタル回路によっても実現されうる。
【0042】
本発明は、本明細書に記載される実施例、及び、当該実施例で強調される観点には限定されない。むしろ、特許請求項の範囲により示される範囲によって、当業者の業の枠組みに入る複数の変形例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6