(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ペンライトは、通常、持ち手部分となる把持部と、カバー部材とを有する。把持部に備え付けられた光源(LEDなどの発光体)から発せられる光がカバー部材に照射され、これがペンライトの発光として視認される。
【0003】
ペンライトの発光色は、(1)光源(発光体)を制御して、その発する光の色自体を変えることにより、異なる(複数の)発光色を得ることが可能であるが、(2)これと組み合わせて、又は単に、カバー部材(主として光が照射される側面)の色や装飾を変更することによっても、視認される発光色を変更させることが可能である。
【0004】
上記(1)については、光源に異なる発光色のLEDを配したり、複数のLED等を配して混色するよう制御したりすることにより実現することができる。
【0005】
一方、上記(2)については、端的な手段として、カバー部材自体に、色や模様を施すことが挙げられる。例えば、白色LEDのみを光源とする場合、カバー部材を透光性のある赤色で構成すれば、赤色の発光色が得られるペンライトとなる。このカバー部材を取替可能に構成し、例えば、別途透光性のある青色のカバー部材を用意すれば、カバー部材を取り替えてこれを取り付けることにより、青色の発光色が得られるペンライトとなる。
【0006】
しかし、このように様々な色や模様を施したカバー部材を多種成形することは、成形コストがかかるのみならず、成形された製品の保管場所確保の問題も生じる。
【0007】
また、カバー部材自体に色や模様を施す場合には、需要が多い色や模様のカバー部材が不足する一方、需要が少ないものについては廃棄せざるを得なくなるといった問題がある。例えば、赤色のカバー部材が品薄となり、青色のカバー部材に余剰が生じている場合、後者を前者に流用することができないため、経済的に大きな損失が生じる。
【0008】
そこで、例えばカバー部材が上部の閉じた筒状(円筒状)である場合、これを透明な樹脂で形成し、内側側面に、透光性を有する装飾シートを丸めるようにして配置することが考えられる。これによると、発光体から発せられる光がこの装飾シートに照射され透明のカバー部材を通過して視認される。よって、1つのカバー部材において、装飾シートを取り替えることにより、異なった発光色が得られるものとなる。
【0009】
もっとも、この構成においては、透明なカバー部材上部から通過した光が人の目を傷めるといった危険がある。特に、近時では光源である発光体にLEDを用いることが多く、高輝度のものを用いるとこの危険性も高まらざるを得ない。そのため、かかる構成においては、カバー部材の上部(先端側)の透光性を制御、抑制する必要がある。
【0010】
しかし、上部の閉じた筒状のカバー部材は、通常、樹脂を素材とし、いわゆるブロー成形により大量生産されることが多く、カバー部材製造時に上部のみを(一部のみを透明でなく光の透過を抑えるものとなるように)異なる構成で成形することは現実的でない。他方、仮にブロー成形又はそれ以外の成形法(例えばインジェクション成形)によりカバー部材を部分的に異なる構成で成形すると、今度は、例えばカバー部材の上部から得られる発光色と側面から得られる発光色とを同様にしたいといった要請に応えられない。
【0011】
この点に関し、カバー部材の上部からの光を遮蔽するものとして、別途アルミ等の金属片によるヘッド部を取り付ける特許文献1が提案されている。
【0012】
しかし、特許文献1によると、カバー部材上部からの光は基本的にヘッド部により遮蔽され、カバー部材上部から光が得られないため、発光量が低下するが、ペンライトが使用される比較的暗い空間においてはかかる光量の低下の影響は少なくなく、ひいては、ヘッド部からの光が得られないことにより、発光状態における見栄えが悪いものとなる。
【0013】
また、アルミ等の金属片ヘッド部によりカバー部材上部を遮蔽すると、カバー部材の上部と側面とを同様の発光色で発光させたい場合の要請には依然応えられない。なお、特許文献1にはヘッド部に予め切り込みを設け、一部光を透過させることが記載されているが、これは切り込みで表した図形を浮かび出させるものに過ぎず、カバー部材上部(全体)から広く光を得るものではない。
【0014】
更に、特許文献1においては、筒状の胴体部101(本発明のカバー部材に相当)の上端を内蓋303で閉じ、その上からヘッド部301が被せられ、固定されるものであり(段落[0050]、
図8参照)、これを取り替える際はカバー部材自体を取り替えることが前提とされており、その必要があった(段落[0074]参照)。また、ヘッド部を胴体部101(カバー部材)の上部に固着させると、両者の結合部分から後述の光漏れが生じ易かった。
【0015】
加えて、ペンライトは、使用者(主に観客)がイベントやコンサートで激しく振ったり、場合によっては両手それぞれに持ったペンライトどうしを強く接触させたり(ぶつけたり)することなどもあるものであり、ヘッド部を別部材として外付けすると、劣化してアルミ等の金属片のヘッド部が外れて飛ぶなどにより、破損や怪我などの被害を生じる可能性もあった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
(実施形態1)
本発明は、カバー部材と把持部を有するペンライトに用いられる。カバー部材は種々の形状のものがあり得るが、本実施形態においては、棒状ないしスティック状のライト、特に、
図1に示すような、最も一般的なペンライト1における略円柱形状(略円筒形状)で上部が閉じたカバー部材2を用いる。把持部も種々の形状があり得るが、説明の便宜上、一般的な略円筒形のものとする(
図1の符号3参照)。把持部3には、LED等により構成される光源部、光源部の発光を制御する制御手段、乾電池やボタン電池等を収納する電池収納部などが設けられる。
【0030】
ペンライトのカバー部材は、一般に樹脂性であり、透光性を有する。本発明においては、主に無色で透明のものが主として想定される。本実施形態ではカバー部材を無色透明なものとする。なお、後述のカバー装飾用シートを配置した状態である程度の透光性が得られるものであれば、カバー部材を色付きとしてもよい。
【0031】
本発明においては、上記のようなカバー部材2の内側に、カバー装飾用シートが挿入され装着される。このカバー装飾用シートは、側面装着部と上面装着部を有する。一例として、
図1に示されるカバー部材2に用いられるカバー装飾用シート4(後述のとおり、本実施形態においてはカバー装飾用一体シートである)を、
図2に示す。
【0032】
カバー装飾用シートは、色彩を有し、特定の波長の光を透過可能となるように構成する。光源から発せられた光が、このシートを通過した後、透光性を有するカバー部材を通過すると、光を当該シートの色彩に応じた発光色で視認させることができる。また、カバー装飾用シートは、例えば、模様を付したり、光を乱反射させるように構成したりしてもよい。
【0033】
カバー装飾用一体シート4の側面装着部5は、カバー部材2の内側側面7を覆う。本実施形態においては、カバー部材2は略円柱形状(略円筒形状)であるから、これを展開した場合の側面7の形状は略長方形である。側面装着部5は、装着時に隙間が生じることなくカバー部材の内側側面7を覆うものとなるように、略長方形状となるように構成する。略長方形状の側面装着部の縦8及び横9の長さは、適宜決することができる。横9の長さをカバー部材内側断面の円周10よりも若干長くすると、カバー装飾用一体シートを丸めた時に側面装着部の縦方向に向けてカバー装飾用一体シートに若干重なる部分が生じ(
図4の符号11参照)、側面における光漏れを防ぐことができ、好適である。
【0034】
なお、本明細書において「光漏れ」とは、カバー装飾用シートどうしや、カバー装飾シートとカバー部材の間などに隙間が生じ、カバー装飾シートに応じた発光が視認されない部分が生じることをいう。
【0035】
カバー装飾用一体シートの上面装着部6は、カバー部材2の上部内側を覆う。本実施形態においては、カバー部材2は略円柱形状であるから、上部内側12の形状は略円形である。上面装着部6の形状は、このカバー部材の上部内側12の形状と同じく、略円形状とする。
【0036】
図2に示されるように、本実施形態におけるカバー装飾用シートは、側面装着部5と上面装着部6を一部が連続するように構成し、カバー装飾用一体シート4とする。このカバー装飾用一体シートは、一枚のシート状の部材である。
【0037】
本実施形態において、側面装着部5と上面装着部6は、縦長略長方形の側面装着部の上辺13の一部と、上面装着部の下方一部とが連続している。この場合、上面装着部の一部(側面装着部との連続部分)は直線状となるため(
図2において破線14で示されている)、上面装着部6は完全な円形ではなくなるが、かかる直線状部分14の長さを調整する(必要以上に長くしない)ことにより、カバー部材内側に装着した際に概して円形状となるように構成することができるので問題を生じない(ペンライトの機能に支障をきたさない)。
【0038】
なお、側面装着部の上辺において上面装着部と連続する箇所は任意に決することが可能であるが、側面装着部の上辺の中央付近とすると、側面装着部を両脇から丸めやすいとの利点がある。
【0039】
上記のようなカバー装飾用一体シート4を、カバー部材2に装着する。本実施形態においては、
図3に示すように、側面装着部5を縦方向15に筒状に丸め、上面装着部6を連続部分14において折り曲げて全体を円柱状の状態にし、上面装着部側からカバー部材2の内側に挿入する。
【0040】
カバー装飾用一体シート4は、側面装着部5の一部と、上面装着部6の一部とが連続しているため、上記のような状態にし、カバー部材2の内側に一体として押し込むことが可能となる。よって、例えば上面装着部と側面装着部とが別の部材である場合よりも、カバー部材の内部に挿入、配置が格段にし易いものとなる。
【0041】
カバー装飾用一体シート4をカバー部材2の内側に押し込んで、上面装着部6をカバー部材上部内側12の面(内側上面16、
図3参照)に当接させる。側面装着部5は、カバー部材内側側面7(
図3参照)に当接させる。側面装着部については、筒状に丸めた状態でカバー部材2に挿入した後これを解放すると、丸まった状態が緩んで元の状態に戻ろうとする力(反発力)が働き、カバー部材内側側面7に当接される。換言すれば、側面装着部は、かかる反発力を有するように構成する。カバー装飾用一体シート4をカバー部材2の内側に装着した状態を
図4に示す。なお、本実施形態において、カバー部材2は透明であり、外側からカバー装飾用一体シート4を視認することができるので、図では透明なカバー部材2を介して視認されるカバー装飾用一体シート4(及びその構成要素である側面装着部5と上面装着部6)を符号で示している。
【0042】
上記のとおり、側面装着部5の横9の長さをカバー部材内側断面の円周10よりも若干長くすると、カバー装飾用シートを丸めた時に側面装着部の縦方向に向けてカバー装飾用シートに若干重なる部分が生じ、側面における光漏れを防ぐことができ、好適であるが、側面装着部5に上面装着部6が連続していることによって、光漏れを更に防止することが可能となる。
【0043】
すなわち、前述のとおりペンライトは、使用者(主に観客)がイベントやコンサートで手に持って用いるが、場合によっては、ペンライトの使用者がこれを激しく振ったり、両手それぞれに持ったペンライトどうしを強く接触させたり(ぶつけたり)することなどもある。連続した上面装着部を有しない側面装着部のみの場合、仮に側面装着部の横の長さをカバー部材内側断面の円周よりも若干長くしたとしても、ペンライトが振られることなどによる結果、側面装着部の位置がずれ、例えば上方の重なり部分が広くなる反面、下方は重なりが無くなり、隙間が生まれ、光漏れが生じることがあり得る。これに対し、本発明によれば、側面装着部5には上面装着部6が連続しており、これが折り曲げられてカバー部材上部内側に配置されると共に、側面装着部の上部18と当接するため、側面装着部が移動して重なり11がずれることを係止する(ずれに対するストッパーの役割も果たし得る)ものとなる。
【0044】
カバー装飾用シートの側面装着部は、素材や厚さなどによって上記反発力を生じ易くなるように構成することができる。カバー装飾用シートの素材としては、例えば塩化ビニール等を用いることも可能であるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネートが好ましい。実験によると、これらは強度が高く、上記反発力が得られやすかった。ポリカーボネートは耐熱性も高く、高温下での保管などにも適しており、より好適である。
【0045】
カバー装飾用一体シート4をカバー部材2の内側に押し込んで、上面装着部6をカバー部材内側上面16に当接させると、側面装着部の上部18が上面装着部の縁(円周)付近19に位置することとなる。この側面装着部の上部18と、上面装着部の縁付近19とを、隙間が生じないように当接させる。カバー装飾用一体シート4は、側面装着部の一部と、上面装着部の一部とが連続しているため、例えば上面装着部と側面装着部とが別の部材である場合に比べ、隙間を生じさせないように当接させることが、飛躍的に実現し易いものとなる。
【0046】
図5を参照し、カバー装飾用一体シート4を上記のように配置してカバー部材2を把持部3に取付け、光源から発光させると、カバー装飾用一体シートの色彩や模様に応じた発光が、カバー部材2の側面を通過して視認される。のみならず、カバー部材の上部を通過する光源からの光は、カバー装飾用一体シートの上面装着部6によって制御される。すなわち、上部から過度に強力な光が直接発せられるのを緩和ないし抑制するとともに、上部からも側面と同様の発光色が視認され得る。更に、側面装着部の上部18と、上面装着部の縁付近19とを隙間なく当接させることにより、隙間からの光漏れが生じることを防ぐことが可能となる。
【0047】
なお、近時は光源から複数の発光色を発光できる多色ペンライトも提案されているが、本発明はこれに対応することも可能である。すなわち、本発明のカバー装飾用一体シートにつき、白色を基調とすれば、光源からの複数の発光色をその発せられる発光色にて視認させることが可能となる。例えば、光源が赤色の光を発光すると、これが白色のカバー装飾用一体シート及び透明のカバー部材を通過し、赤色の発光色にて視認され、光源が青色の光を発光すると、これが白色のカバー装飾用一体シート及び透明のカバー部材を通過し、青色の発光色にて視認されるものとなる。
【0048】
更に、本発明によれば、上面装着部6に印刷を施すことにより、ペンライト発光時に文字、図形、模様などが浮き出るように構成する(光を利用して文字等を表現する)ことが可能である。例えば、
図6に示されるカバー装飾用一体シートのように、文字(ABCDE)を、透光性を有する白色で印刷し、それ以外の部分は透光性を有する他の色で構成すれば、文字部分が視認される。また、例えば文字を形成する部分を黒で印刷すれば、ペンライト発光時に文字を形成する部分が黒色で視認されるものとなる。
【0049】
従来のようにカバー部材の上部をアルミ製等のキャップで構成すると、切れ込みを入れることによってその部分を視認させることとなるが、かかる切れ込みを入れることは加工に時間と費用を要するのみならず、切れ込みでは表現できない文字、図形、模様等が存するため(例えば、「一」という文字の切れ込みを入れることは可能であるが、「口」という文字の切れ込みを入れることはできない等)、表現の範囲が極めて限定される。これに対し、本発明は上部装着部に印刷することにより、表現の幅(装飾のバリエーション)を格段に広げることが可能となる。
【0050】
また、従来のようにカバー部材の上部をアルミ製等のキャップで構成すると、切れ込みを入れたキャップを別の文字や模様の切れ込みのものに容易に取り替えることができない。これに対し、本発明によれば、カバー装飾用一体シートを取り替えることにより、上部装着部の文字や図形を容易に変更することが可能であり、取り替えのコスト、時間、作業を大きく削減できる。更に、ペンライト使用者自身が自己のペンライトのデザインや発光状態等を所望に応じて変更できるように構成することも可能となる。
【0051】
加えて、本発明において、カバー装飾用一体シートは、側面装着部の一部と、上面装着部の一部とが連続しているため、例えば上部装着部に文字を印刷した場合に(
図6参照)、このような上部装着部の位置(向き)決めが極めて容易となる。すなわち、例えばペンライトの正面側(把持部においてスイッチがある側)に印刷による文字の上側(
図6の例では「A」の位置する側)を合わせるように配置したい場合、上面装着部が側面装着部と別の部材であると(両者が連続していないとすると)、円形の上部装着部をカバー部材の内部先端においてそのように配置することは容易でなく、また一旦は所望どおりに配置したとしても、位置はすぐにずれてしまう。
【0052】
これに対し、本発明によれば、上記のとおり上面装着部は側面装着部と連続しているため、カバー装飾用一体シートをカバー部材内部に取り付けた状態で、指で側面装着部5の位置を回転させて移動させることにより、上面装着部6が連動して移動するため、上面装着部に印刷した文字を所望の位置にずらして設定する(その上でカバー部材を把持部に取り付ける)ことが可能となる。
【0053】
なお、側面装着部と上面装着部が、一部でなく、全部が連続したり(本実施形態では、全部が連続するとカバー部材と同様の円柱形となる)、あるいは、一部のみが連続しても一枚のシート状部材(平面状の部材)でなくなったりする(連続する部分が大きくなることで立体状の部分を形成したりする)場合、より多くの保管スペースが必要となり不利である。
【0054】
また、それらの場合、カバー装飾用一体シートへの加工が困難となる。そのため、例えば、側面装着部と上面装着部が不可分に連続し、シートではなく円柱形状の部材を形成してしまうと、上部装着部に文字を印刷して光の透過により文字が浮き出るようにするなどの光の制御がしにくくなる。
【0055】
実施形態1の発明によれば、ペンライトのカバー部材の上部(先端側)からも、側面と同様の発光色が得られると同時に、上部における透光性を制御して発光量を抑えることで、先端部から強い光が発することを防ぎ、ペンライト使用者や周囲の者の目を傷めたりするなどの被害を防ぐことが可能である。併せて、カバー部材の上部における光漏れを防止することができる。
【0056】
かかる本発明の構造は、側面装着部と上面装着部が不可分に連続した、着脱自在の部材により構成される。よって、カバー部材自体に装飾を施さずとも、カバー部材自体に装飾を施した場合と同様の光の制御を、汎用性を有する構造により得ることができるものである。
【0057】
すなわち、本発明によれば、カバー部材自体に装飾を施さずとも、カバー部材上部の光量や光漏れ防止などの光の制御が可能となるため、透明なカバー部材を用い、保管スペースが少なくて済む装飾用シートを取り替えることによって、光を制御しつつ異なる発光を可能とするペンライトを得ることができる。
【0058】
そのため、これまで光の制御が十分にできなかったことから行われていたカバー部材の多種成形が不要となり、在庫スペース等の問題も解消することができる。また、需要の多い装飾については、装飾用シートの製造を増やすことで対応できるものとなる。更に、ペンライト使用者が自ら装飾用シートを交換することにより、ペンライトの装飾や発光状態などを所望により変更できるよう構成することができ、その場合も光の制御構造により、安全性が保たれる。
【0059】
また、カバー装飾用一体シートはカバー部材の内側に取り付けられるものであり、外付けの部材と異なり外れることがなく、この点でも安全性を保つことが可能となる。
【0060】
(実施形態2)
上記実施形態1に記載のとおり、本発明では、カバー装飾用一体シートの上面装着部と側面装着部が当接し、略円柱形状が形成される。この略円柱形状の上部は、上面装着部と側面装着部とを当接して両者の間に生じ得る隙間を排除し、光源から発光された光がそのような隙間から漏れるのを防ぐ。
【0061】
ここで、略円柱形となるカバー装飾用一体シートが装着されるカバー部材は、通常、上記のとおり樹脂を素材とし、いわゆるブロー成形により大量生産されることが多い。かかるカバー部材の成形においては、特に上部内側(カバー装飾用シートの上面装着部が当接する部分)の形状が必ずしも平坦、均一とならない。また、カバー部材の上部内側には、上記成形の過程で樹脂の塊ができる(凹凸が生じる)こともある。カバー装飾用一体シートの上面装着部が、このような状態のカバー部材の上部内側に当接されると、上面装着部と側面装着部とを隙間なく当接させるのが困難となったり、また、両者を密着させて一旦は隙間なく当接させたとしても、その後隙間が生じてしまったりすることも考えられる。
【0062】
更に、側面装着部は必ずしも均一に丸まらず、重なるべき端部分にずれが生じ、その結果、隙間が生じることがある。また、例えば実施形態1におけるように、側面装着部と上面装着部の連続部分(折り返し部分)14が直線状に形成される場合、この直線状の部分(連続部分14)の長さによっては、上面装着部を折り返して側面装着部に当接させた状態において隙間が生じ易くなることも考えられる。
【0063】
上面装着部と側面装着部の間などに隙間が生じると、そこから光(光源から発光される光)が漏れてしまう。
【0064】
加えて、装飾用シートの素材や成形によっては、側面装着部を丸めて上面装着部と側面装着部を当接させたときに両者の間に隙間が生じ易くなることもある。この場合、例えば特定の装飾を施すにあたり、ある素材によって形成された装飾用シートが適していることがあるが、そうとしても、隙間が生じて光漏れが生じ易くなる以上、その素材による装飾用シートを用いることができないこととなる。
【0065】
本実施形態は、このような状態で光が漏れるのを防止するための光制御構造に関する。以下、実施形態1のカバー部材及びカバー装飾用一体シートを用いた場合を例として説明する。
【0066】
図7に、本実施形態の光制御構造に用いる光漏れ防止具20の一例を示す。光漏れ防止具は、カバー部材上部内側12と、カバー装飾用一体シートの上面装着部6との間に配置されるものであり、カバー部材の上部内側12の形状及び大きさ(従って、ほぼカバー装飾用一体シートの上面装着部の外周形状及び大きさともなり得る)に対応した外周形状及び大きさを有する。本実施形態においては、カバー部材の上部内側12の形状が円形であるから、光漏れ防止具20の外周の形状(全体的な形状)を円形状とし、カバー部材の上部内側12の形状(円形)に対応した大きさ(ただしカバー部材上部内側への配置が困難にならない程度の大きさ)に構成している。
【0067】
光漏れ防止具の形状を、カバー部材の上部内側の形状(本実施形態においては円形状)に対応させることにより(なお、本実施形態の光漏れ防止具は後述のとおりリング状となる)、仮に上面装着部6と側面装着部5の間の隙間が、カバー部材の上部内側円周のどの位置に生じたとしても、光漏れ防止具20によってこれを塞ぐことが可能となる。
【0068】
光漏れ防止具はフレーム状とする。すなわち、枠のような形状となり、内側は貫通している。本実施形態においては、フレームの全体形状(外周形状)が円形であるから、光漏れ防止具をリング状としている。
【0069】
例えば、光漏れ防止具を(フレーム状でない)円盤状とすると、カバー部材の上部の全面が覆われることとなる。そうすると、これを透光性を有するように構成していたとしても、カバー部材の側面においてはカバー装飾用一体シートの側面装着部のみ光が通過する一方、カバー部材の上部においては、上部装着部に加えて光漏れ防止具も光が通過することとなるため、上部と側面とで発光色の違いが大きいものとなり、同様の発光色が得にくくなる。
【0070】
また、光漏れ防止具の外周形状(円)はカバー部材の上部内側の形状(円)及び大きさに対応する一方、カバー部材の下部は把持部と接合させるため、その口径(直径)が上部内側の直径よりも小さくなることがある。そのため、光漏れ防止具を(フレーム状でない)円盤状とすると、これをカバー部材下部の口から挿入するのが困難となる。
【0071】
以上から、光漏れ防止具をフレーム状とし、カバー部材上部においてカバー装飾用一体シートの上面装着部を通過した光を遮る面積を狭めることにより、カバー部材の上部からも側面と同じ発光色を得るものとする。
【0072】
また、光漏れ防止具をフレーム状とすると、全体に可撓性が備わり、変形しやすくなるため、これをカバー部材下部の口から挿入することが容易となる。
【0073】
なお、例えば、カバー部材の上部内側が四角形であれば、光漏れ防止具は、全体が四角形のフレーム形状とすることができる。
【0074】
本実施形態の光漏れ防止具20において、リング状の上側21はカバー部材の内側上面16の(円周状の)縁付近に当接し、リング状の下側に、カバー装飾用一体シートの上面装着部6が当接する。
図8は、
図7の光漏れ防止具20と、カバー装飾用一体シート4の上面装着部6の当接を説明するための図である。カバー装飾用一体シート4は、側面装着部が丸められ、上面装着部が連続部分14(
図2参照)にて折り曲げられ、側面装着部の上部18(
図3参照)に当接された状態が示されている。なお、
図8のカバー装飾用一体シート4は、
図3のものと同じ方向から見たみた状態を図示している(
図8の符号23で示される部分の円形状の外周が線で示されているが、連続部分14にあたる部分のみ、この線を欠くように示している)。
図8に示されるように、この光漏れ防止具の下側の、上面装着部6が当接する部分(下側当接部)22を平坦となるように構成する。
【0075】
上面装着部6が当接する部分22が平坦とされることにより、上面装着部6の上面縁23が光漏れ防止具に均一的に(安定して)当接する。すなわち、上面装着部が当接する部分22を平坦にすると、カバー部材2の下部から側面装着部5を押し上げることにより、上面装着部の上面縁23を、光漏れ防止具20に均一的に(安定して)当接させることができる。従って、かかる構成により、側面装着部5と上面装着部6の間に隙間が生じることを回避することができるものとなる。
【0076】
更に、例えば仮に、側面装着部5と上面装着部6の間に隙間が生じ、上方に光漏れが生じ得る状態になったとしても、光漏れ防止具がこの隙間にいわば蓋をする状態となっているので、かかる光漏れが生じるのを防ぐことができる。
【0077】
カバー部材の成形過程において生じる上記樹脂の塊(樹脂塊)に対処するものとして、光漏れ防止具に切れ込みを設けるのが好ましい。かかる樹脂塊(
図11の符号24参照)がカバー部材に形成される位置は、製造装置によってほぼ決まる。そこで、光漏れ防止具の上側の、カバー部材内側上部が当接する部分(上側当接部)に、樹脂塊が収められる切れ込み部25を設ける。かかる切れ込み部を有するものの一例を、
図9の符号27で示す。この例では、樹脂塊がカバー部材の上部内側の縁付近の対面する位置に生じるものとし、これに対応するため、光漏れ防止具の上側当接部に、切れ込み部25が2カ所、対面する位置に設けられている。また、異なる形状の切れ込み部26を有する他の一例17を
図10に示す。なお、切れ込み部の形状はこれらに限られるものではない。
【0078】
切れ込み部25を設けた光漏れ防止具27とカバー装飾用一体シート4をカバー部材2に取り付けた状態を、
図11に示す。
【0079】
切れ込み部により、樹脂塊がある場合でも、光漏れ防止具がカバー部材の上部内側により一層安定して当接されるものとなる。更に、切れ込みを加えることにより、光漏れ防止具がより一層変形しやすくなるため、これをカバー部材下部の口から挿入することが容易となる。
【0080】
本発明の光漏れ防止具は、樹脂やシリコン等を素材とすることができる。
【0081】
光漏れ防止具は、カバー装飾用シートとは別の部材である。しかし、例えばカバー装飾用シートを白色とした場合(実施形態1参照)、光漏れ防止具を、透光性を有する白色ないし乳白色で構成すると、この部分についてもカバー部材側面や上面の発光色に近い色で視認され易くなるため、ペンライトの発光色の妨げとならない。また、光漏れ防止具を白色ないし乳白色で構成すると、カバー装飾用シートを白以外の色、例えばオレンジ色とした場合、ペンライトの発光色はオレンジ色にて視認されるが、光漏れ防止具も、この発光色によって、近い色(オレンジ系を帯びた色)にて視認されるものとなり得る。そのため、ペンライト発光の妨げとなることを可及的に防ぐことが可能となる。
【0082】
反対に、光漏れ防止具を、あえて白色や乳白色以外の色で構成し、ペンライトの装飾の一部として用いることもできる。すなわち、前述のように、ペンライトはイベントやコンサートによっては、ペンライトの使用者が激しく振ったり、ペンライトどうしを衝突させたりしりことがある。そのため、カバー部材の外側から装飾用の部材を取り付けると、これが外れたり飛んだりする恐れがあり、従来カバー部材には装飾は施されてこなかった(なお、外付けされるアルミ製等のキャップの危険性につき、実施形態1参照)。ここで、本発明の光漏れ防止具を、例えば銀色で構成すると、光漏れ防止具はカバー部材の内側先端に配され、カバー装飾用シートによって下から支持されるため、ペンライトの先端部分に銀色のリング状の装飾を施すことが可能となる。これはカバー部材の内側に取り付けられるため、ペンライト使用者がペンライトを激しく振ったりしても、外れて飛ぶ等の危険が皆無である。
【0083】
従って、本発明によれば、従来困難であったカバー部材上部の装飾も可能となる。しかも、ペンライトの製造者のみならず使用者らが、所望によりこの部分の装飾を変更できるものとなる。
【0084】
更に、例えば、上面装着部の縁の部分(本実施形態ではリング状)を透明とし、この部分に、光漏れ防止具の下側当接部が当接するように構成し、縁の内側部分をオレンジ色、側面装着部と光漏れ防止具を白色で構成し、白色発光ダイオードで発光・発色させると、カバー部材状の縁の内側部分がオレンジ色で視認され、それ以外は白色で視認されるものとなる。組み合わせにより視認される発光色のバリエーションは多数あり得る。
【0085】
このように、本発明のカバー装飾用一体シートと光漏れ防止具の構成によると、これまでに全く無かった、ペンライト先端部(カバー部材上部)の装飾(デザイン)化、及び、発光視認のバリエーションを得ることも可能となる。
【0086】
(実施形態3)
上記のとおり、本発明においては、カバー部材の上部を通過する光源からの光は、カバー装飾用一体シートの上面装着部によって制御され、上部から過度に強力な光が発せられるのを抑制するとともに、上部からも側面と同じ発光色を得る。本実施形態は、かかるカバー部材の上部からの発光色を、更に調整するための光の制御構造に関するものである。
【0087】
例えば、カバー装飾用シートを薄い素材で形成した場合、上部装着部から強い光が依然発せられることなどがあり得る。このような光を制御するものとして、本発明においては、透光度調整シートを用いる。
【0088】
透光度調整シート28の一例を
図12に示す。(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。透光度調整シートは、透光性を要するが、素材は樹脂その他適宜決することができる。カバー部材上部内側の形状と大きさに対応するように形成するのが好適である。
【0089】
透光度調整シートは、カバー部材上部内側と光漏れ防止具との間、又は、光漏れ防止具とカバー装飾用一体シートの上面装着部との間に配置することができる。透光度調整シートは、光漏れ防止具又は上面装着部により支持される。後者の配置の方が、上面装着部によって安定して支持されるため有利である。
図13に、光漏れ防止具20とカバー装飾用一体シートの上面装着部6との間に透光度調整シート28を配置する一例を示す。この例では、上から、光漏れ防止具20、透光度調整シート28、カバー装飾用一体シート4の順で、これらの部材がカバー部材2の内側に配置、装着される。
【0090】
かかる透光度調整シートによれば、カバー部材上部からの光を更に制御し調整することができる。そのため、例えばカバー部材上部内側と上面装着部との間に透光度調整シートを配置すると、カバー部材上部からの発光色を弱めたり、側面からの発光色よりも薄い色の発光色としたり、所望により側面からの発光色とは異なる発光色としたりすることが可能となる。
【0091】
カバー部材2の下部から側面装着部5を押し上げることにより、上面装着部の上面縁23を、透光度調整シートを介して光漏れ防止具20の下側に当接させることができ、安定した当接状態を得ることができる。
【0092】
透光度調整シートは、1枚でなく複数枚配置することも可能である。
【0093】
更に、カバー装飾用一体シートの上部装着部に代えて、あるいはそれと共に、透光度調整シートに印刷を施すことにより、ペンライト発光時に文字、図形、模様などが浮き出るように構成する(光を利用して文字等を表現する)ことが可能である。
図14にその一例(符号29)を示す。透光度調整シートへの印刷については、上述のカバー装飾用一体シートの上部装着部への印刷と同様である。
【0094】
この場合、例えば透光度調整シートとカバー装飾用一体シートの上部装着部とを透光性に影響を生じないようにして接着剤などで接着させると、位置決めした透光度調整シート(文字等が印刷されたもの)をずれないようにすることができる。また、貼付と剥離が繰り返し可能となる(着脱自在な)接着剤を用いれば、透光度調整シートの取り外し、取替えが容易となる。
【0095】
透光度調整シートに印刷を施した場合、透光度調整シートを取り替えることで印刷部分を変更でき、カバー部材上部の装飾を容易に変更できる。すなわち、本発明によれば、(アルミ製などのキャップへの切れ込みでなく)印刷によることで装飾のバリエーションが格段に増えるのみならず、取り替えのコスト、時間、作業を大きく削減できる点で有利である。ペンライト使用者自身が自己のペンライトのデザインや発光状態などを所望により変更できるように構成することもできる。
【0096】
(実施形態4)
本発明における光漏れ防止具を用いた光の制御構造に関しては、カバー装飾用シートを側面装着部のみとした場合にも適用可能である。例えばカバー部材上部を本発明と別の手段で塞いだ場合に用いることができる。
【0097】
この場合は、例えば、実施形態2に記載の光漏れ防止具20を、上部が外付けキャップなどの、本発明とは異なる手段32で塞がれたカバー部材30の上部内側に配置し、平坦な下側当接部22に、カバー装飾用シート31の側面装着部(の筒状とした上部の円形部分)を当接させる。
図15に、光漏れ防止具20とカバー装飾用シート31の配置を、カバー部材30の内側に挿入する前の状態を示す。
【0098】
このように構成することにより、カバー装飾用シートの側面装着部とカバー部材上部とが均一に当接しにくいような場合も、光漏れ防止具を配置することにより、光漏れ防止具(の平坦な下側。符号22に相当する部分。)と側面装着部(の上辺)とが当接することとなるため、(カバー部材上部と側面装着部の間に生じ得る)隙間から、光が(上部ではなく)横に漏れるのを防止することができる。
【0099】
この場合、カバー部材上部32が透光性を有する場合など必要に応じ、実施形態3に記載の透光度調整シートを組み合わせれば、カバー部材上部からの光を制御することも可能である。
【課題】 ペンライトのカバー部材の上部(先端側)の透光性を抑制しながら、上部からも広い範囲で所望の発光色が得られると共に、上部における光漏れを防止するといった光の制御を実現し、かつ、部材の着脱が容易で汎用性を有する、ペンライトにおける光の制御構造、そのための部材及びそれらを用いたペンライトを提供することである。
【解決手段】 光源部から発せられた光が通過するカバー部材の内側にカバー装飾用シートが配されるペンライトのペンライト用光制御構造である。前記カバー装飾用シートが側面装着部と上面装着部を有し、前記側面装着部と前記上面装着部の少なくとも一部が連続するカバー装飾用一体シートから構成される。前記カバー部材上部内側と、前記カバー装飾用一体シートの上面装着部との間に、フレーム状の光漏れ防止具を配置することもできる。