(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
輪郭線の近似曲線を算出する近似曲線算出手段であって、前記輪郭線は、画像に表された物体の輪郭の一部を表す有限の長さの線であり、前記近似曲線は、前記輪郭線に近似する線であって前記輪郭線を構成する座標に基づいて算出される、近似曲線算出手段と、
前記輪郭線の第1の端部及び第2の端部のそれぞれと対応する前記近似曲線の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離及び第2の距離を算出する距離算出手段と、
前記輪郭線の中央部と前記近似曲線との一致の度合いである中央一致度を算出する一致度算出手段と、
前記第1の距離、前記第2の距離及び前記中央一致度に基づいて、前記物体または前記物体の一部の形状を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された物体または物体の一部の形状に関する情報を出力する出力手段と、を備え、
前記物体の一部の形状は、衣服のネックラインの形状であり、
前記出力手段は、衣類のネックラインが所定の形状のいずれかであることを特定する情報を出力する、
形状弁別装置。
前記輪郭線の前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離である端部間距離に対する、前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ線と前記近似曲線上の点との距離のうち最も長い距離により示される深度の割合であるアスペクトを算出するアスペクト算出手段を更に備え、
前記特定手段は、前記第1の距離、前記第2の距離、前記中央一致度及び前記アスペクトに基づいて、前記物体または前記物体の一部の形状を特定する、
請求項1に記載の形状弁別装置。
前記近似曲線算出手段は、前記輪郭線上の点のうち前記輪郭線の前記第1の端部と前記第2の端部とを結ぶ線との距離が最も遠い点である最深点を境界として前記輪郭線を分割した第1の部分輪郭線及び第2の部分輪郭線のそれぞれの近似曲線である、第1の部分近似曲線及び第2の部分近似曲線を算出し、
前記特定手段は、前記第1の部分近似曲線及び前記第2の部分近似曲線の傾きを更に用いて、前記物体または前記物体の一部の形状を特定する、
請求項1または2に記載の形状弁別装置。
前記近似曲線算出手段は、前記輪郭線における前記近似曲線との一定以上の一致度合いを有する部分の両端部のそれぞれを境界として前記輪郭線を分割した第3の部分輪郭線、第4の部分輪郭線及び第5の部分輪郭線のそれぞれの近似曲線である、第3の部分近似曲線、第4の部分近似曲線及び第5の部分近似曲線を算出し、
前記特定手段は、前記第3の部分近似曲線、前記第4の部分近似曲線及び前記第5の部分近似曲線のそれぞれと、前記第3の部分輪郭線、前記第4の部分輪郭線及び前記第5の部分輪郭線との一致度合いを更に用いて、前記物体または前記物体の一部の形状を特定する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の形状弁別装置。
前記近似曲線算出手段は、前記輪郭線上の任意の3点に基づいて2次曲線を複数算出し、算出した複数の2次曲線のうち、前記輪郭線との一致度が最も高い2次曲線を近似曲線として算出する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の形状弁別装置。
前記特定手段は、前記第1の距離及び前記第2の距離が共に所定値未満であり、且つ、前記中央一致度が所定の度合い以上である場合に、前記物体または前記物体の一部の形状が第1の形状であることを特定する、
請求項1に記載の形状弁別装置。
前記特定手段は、前記第1の距離及び前記第2の距離が共に所定値以上であり、且つ、前記アスペクトが所定値未満である場合に、前記物体または前記物体の一部の形状が第1の形状であることを特定する、
請求項2に記載の形状弁別装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
図1は、本実施形態に係る形状弁別装置1の機能的構成を示すブロック図である。形状弁別装置1は、画像に表された物体の一部の形状を弁別する装置である。
図1に示すように、形状弁別装置1は、画像記憶部3にアクセス可能である。なお、画像記憶部3は、形状弁別装置1内に構成されてもよい。
【0032】
形状弁別装置1は、例えば、ネットワークを介して販売する商品のユーザからの注文を受け付ける電子商取引サイトの一部として構成される装置であって、販売される衣服等の商品の形状を弁別する。本実施形態の形状弁別装置1は、衣服の形状を弁別する装置である。
【0033】
図1に示すように、形状弁別装置1は、機能的には、輪郭線抽出部11、近似曲線算出部12(近似曲線算出手段)、距離算出部13(距離算出手段)、一致度算出部14(一致度算出手段)、アスペクト算出部15(アスペクト算出手段)、特定部16(手段)及び出力部17(出力手段)、を備える。
【0034】
図2は、形状弁別装置1のハードウェア構成図である。形状弁別装置1は、物理的には、
図2に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク等で構成される補助記憶装置103、ネットワークカード等で構成される通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。形状弁別装置1は、入力デバイスであるキーボード、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
【0035】
図1に示した各機能は、
図2に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102や補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102や補助記憶装置103内に格納される。
【0036】
再び
図2を参照して、形状弁別装置1の各機能部の説明に先だって、画像記憶部3を説明する。
【0037】
上述のとおり、形状弁別装置1が衣服の形状を弁別する装置として構成される場合には、画像記憶部3は、衣服が表された画像を複数記憶している。本実施形態では、特に、形状弁別装置1は、衣服のネックラインの形状を弁別する。
【0038】
再び
図2を参照して、形状弁別装置1の各機能部について説明する。輪郭線抽出部11は、衣服が表された画像から、輪郭線を抽出する。輪郭線は、画像に表された物体の輪郭の一部を表す有限の長さの線である。本実施形態では、輪郭線は、画像に表された衣服のネックラインの輪郭を表す。
【0039】
図3〜
図6を参照して、衣服画像から輪郭線を抽出する一連の処理を説明する。
図3は、衣服画像から、ネックラインが表された部分の2値化画像を取得する処理を示す図である。まず、輪郭線抽出部11は、処理対象の衣服画像A11を画像記憶部3から取得する。衣服画像A11には、シャツの画像が表されている。続いて、輪郭線抽出部11は、衣服画像A11に対して2値化処理を行い、2値化画像A12を生成する。2値化画像A12では、シャツが表された部分が白色で表され、背景が黒色で表されている。そして、輪郭線抽出部11は、2値化画像A12から、ネックラインが示された部分を含む部分2値化画像A13を抽出する。具体的には、輪郭線抽出部11は、例えば、2値化画像A12における衣服が表された部分のうちの上方の3分の1を含む一定の領域を抽出して、部分2値化画像A13を生成する。
【0040】
図4は、部分2値化画像A13から、衣服の肩の部分を検出する処理を示す図である。まず、輪郭線抽出部11は、部分2値化画像A13を、図示横方向に分割する。輪郭線抽出部11は、部分2値化画像A13を分割して、縦方向の長さが例えば10ピクセルの分割画像L
1〜L
Nを生成する。
【0041】
続いて、輪郭線抽出部11は、各分割画像を、縦方向10ピクセルに亘る全ての画素が白色である部分を白色画素として、それ以外の部分を黒色画素として、縦方向の長さが1ピクセルのデータに圧縮する。具体的には、輪郭線抽出部11は、分割画像L
A1には白色部分WP
Aが含まれるので、この白色部分WP
Aに相当する部分を白色画素として、それ以外の部分を黒色画素とした、縦方向の長さが1ピクセルの圧縮分割画像L
A2を生成する。また、輪郭線抽出部11は、分割画像L
B1には白色部分WP
B1,WP
B2が含まれるので、これらの白色部分WP
B1,WP
B2に相当する部分を白色画素として、それ以外の部分を黒色画素とした、縦方向の長さが1ピクセルの圧縮分割画像L
B2を生成する。
【0042】
次に、輪郭線抽出部11は、分割画像L
1〜L
Nから生成された圧縮分割画像を上方から順に調べて、1箇所の白色部分WPを含む圧縮分割画像L
A2を抽出する。続いて、輪郭線抽出部11は、さらに下方の分割画像を順に調べ、白色部分WPを2箇所含む圧縮分割画像L
B2を抽出する。
【0043】
そして、輪郭線抽出部11は、部分2値化画像A13における圧縮分割画像L
A2に対応する位置を、肩部分の一方が表された位置として特定する。また、輪郭線抽出部11は、部分2値化画像A13における圧縮分割画像L
B2に対応する位置を、肩部分の他方が表された位置として特定する。そして、輪郭線抽出部11は、特定した肩部分の位置に基づいて、部分2値化画像A13における肩部分S
A,S
Bを特定する。
【0044】
図5〜
図6は、画像に表された衣服の両肩部分を結ぶ線の傾きを取得し、衣服画像の傾きを補正する処理を説明する図である。
図5は、肩部をより精密に特定する処理を示す図である。輪郭線抽出部11は、画像A31において、
図4において説明した処理により特定された肩部分S
Bに基づいて、衣服が表された白色の部分と衣服が表されていない黒色の部分との境界を図示上方向にトレースし、その境界のうち最も上方の点を肩部分H
Bとして特定する。
【0045】
また、輪郭線抽出部11は、肩部分H
Bから図示水平方向(X方向)に延ばした線と、白色部分及び黒色部分の境界との交点H
ABを特定し、白色部分と黒色部分との境界を交点H
ABから肩部分H
Bと反対の方向にトレースし、画像A32に示すように、境界のうち最も上方の点(Y座標が最大となる点)を肩部分H
Aとして特定する。そして、衣服の両肩の部分を示す肩部分H
A及び肩部分H
Bを結ぶ線H
Lが定義される。なお、肩部分H
A及び肩部分H
Bは、輪郭線の一方の端部及び他方の端部となる。即ち、輪郭線は、肩部分H
A及び肩部分H
Bを両端部とする有限の長さの線である。
【0046】
図6は、衣服画像の傾きを補正する処理を説明する図である。画像A41における線H
Lを延長した線H
L1に示されるように、画像A41に示される衣服は、水平方向の線H
Hに対して傾いている。輪郭線抽出部11は、画像A41に示される衣服の画像を、線H
Lが水平方向の線H
L1に沿うように、回転させ画像A42を得る。
【0047】
図7は、輪郭線の抽出及び近似曲線の算出の例を示す図である。輪郭線抽出部11は、画像A51に示すように、肩部分H
A及び肩部分H
Bを両端とするネックラインの輪郭(白色部分及び黒色部分の境界線)を、輪郭線L
O1として抽出する。
【0048】
近似曲線算出部12は、輪郭線の近似曲線を算出する部分である。近似曲線算出部12は、輪郭線を構成する座標に基づいて近似曲線を算出する。以下に、近似曲線の算出処理を具体的に説明する。
【0049】
まず、近似曲線算出部12は、輪郭線L
O1上の任意の3点の座標を取得する。続いて、近似曲線算出部12は、取得した3点の座標に基づいて、最小二乗法により2次曲線を算出する。なお、近似曲線算出部12は、2次曲線の一方及び他方の端部のX座標が、輪郭線の一方及び他方の端部のX座標と等しくなるように、2次曲線を有限の線として算出する。そして、近似曲線算出部12は、算出した2次曲線について、当該2次曲線と輪郭線との一致度を示すコンセンサスを算出する。コンセンサスは、輪郭線を構成する全ての点のうち、2次曲線上に存在する点の割合である。
【0050】
近似曲線算出部12は、輪郭線L
O1上の任意の3点の抽出、及び、2次曲線及びコンセンサスの算出を繰り返し実施し、算出した2次曲線のうち最もコンセンサスが高い2次曲線を、輪郭線L
O1の近似曲線L
P1として算出する。近似曲線算出部12が算出する2次曲線の数は、予め設定された所定数であってもよいし、所定の処理時間内に算出できる2次曲線の数であってもよい。また、近似曲線算出部12は、輪郭線L
O1上から選択しうる3点の全ての組み合わせについて2次曲線を算出することとしてもよい。
【0051】
このように、輪郭線上の3点に基づいて算出された複数の2次曲線のうち、当該輪郭線との一致度が最も高い2次曲線が近似曲線として算出されるので、画像から抽出された輪郭線にノイズが含まれる場合であっても、ノイズを含んで算出された2次曲線は近似曲線として採用されないので、物体の一部の形状により精度よく近似された近似曲線を算出することが可能となる。
【0052】
なお、近似曲線算出部12は、輪郭線を線上の1点で分割した2つの部分輪郭線に近似する2つの部分近似曲線を算出してもよい。また、近似曲線算出部12は、輪郭線を線上の2点で分割した3つの部分輪郭線に近似する3つの部分近似曲線を算出してもよい。これらの部分近似曲線の算出については後述する。
【0053】
距離算出部13は、輪郭線の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離及び第2の距離を算出する部分である。
図8を参照して第1及び第2の距離の算出について説明する。
図8に示すように、画像A61に表された衣服の画像において、輪郭線の第1の端部EO
L1及び第2の端部EO
R1、並びに近似曲線L
P2が、輪郭線抽出部11及び近似曲線算出部12により算出されている。近似曲線L
P2は、第1の端部EP
L1及び第2の端部EP
R1を有する。
【0054】
距離算出部13は、第1の端部EO
L1と第1の端部EP
L1との距離を第1の距離D
1として算出し、第2の端部EO
R1と第2の端部EP
R1との距離を第2の距離D
2として算出する。なお、距離算出部13は、第1の端部EO
L1と第1の端部EP
L1との距離を深度DP
1で除して正規化した値を第1の距離D
1として算出し、第2の端部EO
R1と第2の端部EP
R1との距離を深度DP
1で除して正規化した値を第2の距離D
2として算出してもよい。深度DP
1は、輪郭線の第1の端部EO
L1と第1の端部EP
L1とを結ぶ線と近似曲線L
P2上の点との距離のうち最も長い距離を示す。
【0055】
一致度算出部14は、輪郭線の中央部と近似曲線との一致の度合いである中央一致度を算出する部分である。
図9を参照して、中央一致度の算出について説明する。
図9に示される衣服の画像では、輪郭線抽出部11により抽出された輪郭線の中央部C
O1、近似曲線算出部12により算出された近似曲線L
P3及び近似曲線L
P3の中央部C
P1が示されている。
【0056】
一致度算出部14は、輪郭線の中央部C
O1と、近似曲線L
P3の中央部C
P1との間の距離に基づいて、中央一致度を算出する。中央一致度の算出方法は、中央部C
O1と中央部C
P1との間の距離がゼロであるときに、最も一致の度合いが高いことを示すような指標値となるような方法であればよく、その方法は限定されない。
【0057】
アスペクト算出部15は、輪郭線の両端部間の距離に対する深度の割合であるアスペクトを算出する部分である。深度は、輪郭線の両端部間を結ぶ線と近似曲線上の点との距離のうち最も長い距離である。
図10を参照して、アスペクトの算出について説明する。
図10に示される衣服の画像では、輪郭線抽出部11により算出されたネックラインの輪郭線及び近似曲線算出部12により算出された近似曲線L
P4が示されている。
【0058】
アスペクト算出部15は、輪郭線の第1の端部EO
L4と第2の端部EO
L4との間の距離である端部間距離W
O4を算出する。次に、アスペクト算出部15は、第1の端部EO
L4と第2の端部EO
L4とを結ぶ線と、近似曲線L
P4上の点との距離のうち最も長い距離を示す深度D
P4を算出する。そして、アスペクト算出部15は、端部間距離W
O4に対する深度D
P4の割合をアスペクトとして算出する。
【0059】
なお、本実施形態では、輪郭線の両端部間を結ぶ線と近似曲線上の点との距離のうち最も長い距離を深度としているが、輪郭線の両端部間を結ぶ線と輪郭線上の点との距離のうち最も長い距離を深度としてもよい。また、後述される特定部16による物体の形状の特定においてアスペクトを用いない場合があるので、アスペクト算出部15は、本実施形態の形状弁別装置1に必須の構成要素ではない。
【0060】
特定部16は、距離算出部13により算出された第1の距離及び第2の距離、並びに前記一致度算出部14により算出された中央一致度に基づいて、物体または物体の一部の形状を特定する部分である。本実施形態では、特定部16は、衣服のネックラインの形状を特定する。
【0061】
また、特定部16は、アスペクト算出部15により算出されたアスペクトを更に用いて、物体または物体の一部の形状を特定してもよい。形状の特定にアスペクトが用いられることにより、アスペクトに特徴が現れるような物体の一部の形状を適切に推定することが可能となる。なお、特定部16による物体または物体の一部の形状を特定する処理の詳細は後に
図13等を参照して詳述する。
【0062】
さらに、特定部16は、輪郭線抽出部11により抽出された輪郭線と近似曲線算出部12により算出された近似曲線との一致の度合いを示すコンセンサスを更に用いて、物体または物体の一部の形状を特定してもよい。
図11を参照して、特定部16によるコンセンサスの算出を説明する。
図11には、衣服の画像に基づいて近似曲線算出部12により算出された近似曲線L
P5及び輪郭線上の点CO
1,CO
2,CO
3,・・・CO
Nが示されている。
【0063】
特定部16は、全ての輪郭線上の点CO
1,CO
2,CO
3,・・・CO
Nのうち、近似曲線L
P5上にある点の割合をコンセンサスとして算出する。即ち、特定部16は、(輪郭線上の点のうち近似曲線上にある点の数/輪郭線上の点の数)をコンセンサスとして算出する。
【0064】
また、輪郭線を線上の1点で分割した2つの部分輪郭線に近似する2つの部分近似曲線である第1及び第2の部分近似曲線が近似曲線算出部12により算出された場合に、特定部16は、第1の部分近似曲線の傾きと第2の部分近似曲線の傾きとが所定の程度以上一致するか否かに基づいて、物体または物体の一部の形状を特定してもよい。これにより、輪郭線における最深点を境界として分割された2つの部分輪郭線の傾きに特徴が現れるような物体の一部の形状を適切に推定することが可能となる。第1及び第2の部分近似曲線の傾きに基づく特定については、後に
図13等を参照して説明する。
【0065】
出力部17は、特定部16により特定された物体または物体の一部の形状に関する情報を出力する。具体的には、出力部17は、画像に表された物体または物体の一部の形状に関する情報を、当該画像の属性として、画像に対応付けて所定の記憶手段(例えば画像記憶部3)に記憶させてもよい。また、出力部17は、画像に表された物体または物体の一部の形状に関する情報を、当該画像に対応付けてディスプレイに表示させるように制御してもよい。また、出力部17は、画像記憶部3に記憶された複数の画像を、画像に表された物体または物体の一部の形状に関する情報に基づいて分類する処理を実施してもよい。
【0066】
次に、
図12を参照して、本実施形態の形状弁別装置1の動作について説明する。
図12は、形状弁別装置1において実施される形状弁別方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0067】
まず、輪郭線抽出部11は、物体が表された画像を取得する(S1)。具体的には、輪郭線抽出部11は、衣服が表された画像を画像記憶部3から取得する。次に、輪郭線抽出部11は、物体又は物体の一部の輪郭線を抽出する(S2)。本実施形態では、輪郭線抽出部11は、ステップS1において取得された画像に表された衣服のネックラインの輪郭を輪郭線として抽出する。
【0068】
続いて、近似曲線算出部12は、ステップS2において抽出された輪郭線の近似曲線を、輪郭線を構成する座標に基づいて算出する(S3)。次に、距離算出部13は、輪郭線の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離及び第2の距離を算出する(S4)。また、一致度算出部14は、輪郭線の中央部と近似曲線との一致の度合いである中央一致度を算出する(S4)。さらに、アスペクト算出部15は、輪郭線の両端部間の距離に対する深度の割合であるアスペクトを算出してもよい(S4)。
【0069】
次に、特定部16は、ステップS4において算出された情報に基づいて、物体の一部の形状を特定する処理を実施する(S5)。本実施形態では、特定部16は、衣服のネックラインの形状を特定する。そして、出力部17は、ステップS5において特定された物体の一部の形状に関する情報を出力する(S6)。本実施形態では、出力部17は、衣服のネックラインの形状に関する情報を出力する。
【0070】
次に、
図13及び
図14〜
図19を参照して、
図12のフローチャートのステップS5における物体の一部の形状の特定処理を具体的に説明する。
図13は、
図12のフローチャートのステップS5の特定処理の内容を表すフローチャートである。
図14〜
図19は、形状の弁別の対象である衣服画像の例である。
【0071】
まず
図14を参照しながら、
図13のフローチャートの処理を説明する。
図14は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であり、且つ、中央一致度が所定の度合い以上である場合に、特定部16が、物体の一部の形状が第1の形状であることを特定する例を示す図である。本実施形態では、かかる場合に、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。
【0072】
図14に示す衣服画像では、輪郭線LO
11及び近似曲線LP
11が示され、更に、輪郭線LO
11の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線LP
11の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離D1
11及び第2の距離D2
11が示されている。
【0073】
ステップS11において、特定部16は、第1の距離D1
11及び第2の距離D2
11が共に所定値未満であるか否かを判定する。第1の距離D1
11及び第2の距離D2
11が共に所定値未満であると判定された場合には処理はステップS12に進む。一方、第1の距離D1
11及び第2の距離D2
11が共に所定値未満であると判定なかった場合には処理はステップS14に進む。
図14に示す例では、第1の距離D1
11及び第2の距離D2
11が共に所定値未満であるので、処理はステップS12に進む。
【0074】
ステップS12において、特定部16は、輪郭線LO
11の中央部CO
11と、近似曲線LP
11の中央部CP
11との一致の度合いである中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。中央一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、処理はステップS13に進む。一方、中央一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、処理はステップS18に進む。
図14に示す例では、中央部CO
11と中央部CP
11とはほぼ一致しており、中央一致度は所定の度合い以上であるので、処理はステップS13に進む。
【0075】
ステップS13において、特定部16は、近似曲線LP
11の輪郭線LO
11に対する一致度であるコンセンサスが所定の度合い以上であるか否かを判定する。コンセンサスが所定の度合い以上であると判定された場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。一方、コンセンサスが所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状が未知の形状であって分類不可であると判定される。
図14に示す例では、近似曲線LP
11の輪郭線LO
11に対するコンセンサスは所定の度合い以上であるので、特定部16は、
図14に示す衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。
【0076】
次に、
図15を参照しながら、
図13のフローチャートの処理を説明する。
図15は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値以上であり、且つ、アスペクトが所定値未満である場合に、特定部16が、物体の一部の形状が第1の形状であることを特定する例を示す図である。本実施形態では、かかる場合に、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。
【0077】
図15に示す衣服画像では、輪郭線LO
12及び近似曲線LP
12、並びに、輪郭線LO
12の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線LP
12の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離D1
12及び第2の距離D2
12が示されている。さらに、輪郭線LO
12の第1の端部と第2の端部との間の距離である端部間距離WO
12、及び、輪郭線LO
12の第1の端部と第2の端部とを結ぶ線と近似曲線LP
12上の点との距離のうち最も長い距離である深度DP
12が示されている。
【0078】
ステップS11において、特定部16は、第1の距離D1
12及び第2の距離D2
12が共に所定値未満であるか否かを判定する。
図15に示す例では、第1の距離D1
12及び第2の距離D2
12が共に所定値未満ではないので、処理はステップS14に進む。
【0079】
ステップS14において、特定部16は、第1の距離D1
12及び第2の距離D2
12が共に所定値以上であるか否かを判定する。第1の距離D1
12及び第2の距離D2
12が共に所定値以上であると判定された場合には処理はステップS15に進む。一方、第1の距離D1
12及び第2の距離D2
12が共に所定値以上であると判定されなかった場合には処理はステップS16に進む。
図15に示す例では、第1の距離D1
11及び第2の距離D2
11が共に所定値以上であるので、処理はステップS15に進む。
【0080】
ステップS15において、特定部16は、端部間距離に対する深度の割合であるアスペクトが所定値未満であるか否かを判定する。アスペクトが所定値未満であると判定された場合に処理はステップS13に進む。一方、アスペクトが所定値未満であると判定されなかった場合に処理はステップS17に進む。
図15に示す例では、端部間距離WO
12に対する深度DP
12の割合として算出されるアスペクトが所定値未満であるので、処理はステップS13に進む。
【0081】
ステップS13において、特定部16は、近似曲線LP
12の輪郭線LO
12に対する一致度であるコンセンサスが所定の度合い以上であるか否かを判定する。
図15に示す例では、近似曲線LP
12の輪郭線LO
12に対するコンセンサスは所定の度合い以上であるので、特定部16は、
図15に示す衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。
【0082】
次に、
図16を参照しながら、
図13のフローチャートの処理を説明する。
図16は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であり、中央一致度が所定の度合い未満であり、第1の部分近似曲線の傾きと第2の部分近似曲線の傾きとが所定の程度以上一致している場合に、特定部16が、物体の一部の形状が第2の形状であることを特定する例を示す図である。本実施形態では、かかる場合に、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0083】
図16に示す衣服画像では、輪郭線LO
13及び近似曲線LP
13、並びに、輪郭線LO
13の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線LP
13の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離D1
13及び第2の距離D2
13が示されている。また、輪郭線LO
13上の点のうち輪郭線LO
13の第1の端部と第2の端部とを結ぶ線との距離が最も遠い点である最深点を境界として輪郭線LO
13を分割した第1の部分輪郭線LOA
13及び第2の部分輪郭線LOB
13が示されている。さらに、第1の部分輪郭線LOA
14及び第2の部分輪郭線LOB
14のそれぞれの近似曲線である第1の部分近似曲線LPA
13及び第2の部分近似曲線LPB
13が示されている。
【0084】
ステップS11において、特定部16は、第1の距離D1
13及び第2の距離D2
13が共に所定値未満であるか否かを判定する。
図16に示す例では、第1の距離D1
13及び第2の距離D2
13が共に所定値未満であるので、処理はステップS12に進む。
【0085】
ステップS12において、特定部16は、輪郭線LO
13の中央部CO
13と、近似曲線LP
13の中央部CP
13との一致の度合いである中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。
図16に示す例では、中央部CO
13と中央部CP
13とは一致しておらず、中央一致度は所定の度合い以上ではないので、処理はステップS18に進む。
【0086】
ステップS18において、特定部16は、第1の部分近似曲線LPA
13の傾きと第2の部分近似曲線LPB
13の傾きとが所定の程度以上一致しているか否かを判定する。
【0087】
近似曲線算出部12は、輪郭線LO
13上の点のうち輪郭線LO
13の第1の端部と第2の端部とを結ぶ線との距離が最も遠い点である最深点を境界として輪郭線LO
13を分割した第1の部分輪郭線LOA
13及び第2の部分輪郭線LOB
13を算出する。そして、近似曲線算出部12は、第1の部分輪郭線LOA
13及び第2の部分輪郭線LOB
13のそれぞれに近似する第1の部分近似曲線LPA
13及び第2の部分近似曲線LPB
13を算出する。第1の部分輪郭線LOA
13に基づく第1の部分近似曲線LPA
13の算出、及び、第2の部分輪郭線LOB
13に基づく第1の部分近似曲線LPB
13の算出は、
図7を参照して説明した輪郭線L
O1に基づく近似曲線L
P1の算出処理と同様に行われる。
【0088】
部分近似曲線の傾きの比較は、第1及び第2の部分近似曲線の一方を、縦方向の直線を軸として反転させて行われる。即ち、第1及び第2の部分近似曲線の傾きが所定の程度以上一致していることをもって、ネックラインの形状が、縦方向の直線を対称軸として線対称であることが判定される。
【0089】
第1の部分近似曲線LPA
13の傾きと第2の部分近似曲線LPB
13の傾きとが所定の程度以上一致していると判定された場合に処理はステップS19に進む。一方、第1の部分近似曲線LPA
13の傾きと第2の部分近似曲線LPB
13の傾きとが所定の程度以上一致していると判定されなかった場合に処理はステップS20に進む。
図16に示す例では、第1の部分近似曲線LPA
13の傾きと第2の部分近似曲線LPB
13の傾きとが所定の程度以上一致しているので、処理はステップS19に進む。
【0090】
ステップS19において、特定部16は、第1の部分近似曲線LPA
13及び第2の部分近似曲線LPB
13のそれぞれの、第1の部分輪郭線LOA
13及び第2の部分輪郭線LOB
13に対する一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。部分輪郭線に対する部分近似曲線の一致の度合いは、
図11を参照して説明したように、コンセンサスを算出することにより行われる。即ち、部分輪郭線上の全ての点のうち、対応する部分近似曲線上にある点の数の割合をコンセンサスとして算出する。
【0091】
第1及び第2の部分輪郭線のそれぞれに対する第1及び第2の部分近似曲線の一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。一方、第1及び第2の部分輪郭線のそれぞれに対する第1及び第2の部分近似曲線の一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状が未知の形状であって分類不可であると判定される。
【0092】
図16に示す例では、第1の部分輪郭線LOA
13及び第2の部分輪郭線LOB
13のそれぞれに対する、第1の部分近似曲線LPA
13及び第2の部分近似曲線LPB
13の一致度が所定の程度以上であるので、特定部16は、
図16に示す衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0093】
次に、
図17を参照しながら、
図13のフローチャートの処理を説明する。
図17は、第1の距離及び第2の距離の一方が所定値未満であり他方が所定値以上であり、中央一致度が所定の度合い未満であり、第1の部分近似曲線の傾きと第2の部分近似曲線の傾きとが所定の程度以上一致している場合に、特定部16が、物体の一部の形状が第2の形状であることを特定する例を示す図である。本実施形態では、かかる場合に、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0094】
図17に示す衣服画像では、輪郭線LO
14及び近似曲線LP
14、並びに、輪郭線LO
14の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線LP
14の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離D1
14及び第2の距離D2
14が示されている。また、輪郭線LO
14上の点のうち輪郭線LO
14の第1の端部と第2の端部とを結ぶ線との距離が最も遠い点である最深点を境界として輪郭線LO
14を分割した第1の部分輪郭線LOA
14及び第2の部分輪郭線LOB
14が示されている。さらに、第1の部分輪郭線LOA
14及び第2の部分輪郭線LOB
14のそれぞれの近似曲線である第1の部分近似曲線LPA
14及び第2の部分近似曲線LPB
14が示されている。
【0095】
ステップS11において、特定部16は、第1の距離D1
14及び第2の距離D2
14が共に所定値未満であるか否かを判定する。
図17に示す例では、第1の距離D1
14及び第2の距離D2
14が共に所定値未満ではないので、処理はステップS14に進む。
【0096】
ステップS14において、特定部16は、第1の距離D1
14及び第2の距離D2
14が共に所定値以上であるか否かを判定する。
図17に示す例では、第1の距離D1
14が所定値以上であり第2の距離D2
14が所定値未満であるので、処理はステップS16に進む。
【0097】
ステップS16において、特定部16は、輪郭線LO
14の中央部CO
14と、近似曲線LP
14の中央部CP
14との一致の度合いである中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。
図17に示す例では、中央部CO
14と中央部CP
14とは一致しておらず、中央一致度は所定の度合い以上ではないので、処理はステップS18に進む。
【0098】
ステップS18において、特定部16は、第1の部分近似曲線LPA
14の傾きと第2の部分近似曲線LPB
14の傾きとが所定の程度以上一致しているか否かを判定する。
図17に示す例では、第1の部分近似曲線LPA
14の傾きと第2の部分近似曲線LPB
14の傾きとが所定の程度以上一致しているので、処理はステップS19に進む。
【0099】
ステップS19において、特定部16は、第1の部分近似曲線LPA
14及び第2の部分近似曲線LPB
14のそれぞれの、第1の部分輪郭線LOA
14及び第2の部分輪郭線LOB
14に対する一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。
図17に示す例では、第1の部分輪郭線LOA
14及び第2の部分輪郭線LOB
14のそれぞれに対する、第1の部分近似曲線LPA
14及び第2の部分近似曲線LPB
14の一致度が所定の程度以上であるので、特定部16は、
図17に示す衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0100】
次に、
図18を参照しながら、
図13のフローチャートの処理を説明する。
図18は、第1の距離及び第2の距離の一方が所定値未満であり他方が所定値以上であり、中央一致度が所定の度合い未満であり、第1の部分近似曲線の傾きと第2の部分近似曲線の傾きとが所定の程度以上一致していない場合に、特定部16が、物体の一部の形状が第3の形状であることを特定する例を示す図である。本実施形態では、かかる場合に、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状が、左右非対称のアシンメトリーネックであることを特定する。
【0101】
図18に示す衣服画像では、輪郭線LO
15及び近似曲線LP
15、並びに、輪郭線LO
15の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線LP
15の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離D1
15及び第2の距離D2
15が示されている。また、輪郭線LO
15上の点のうち輪郭線LO
15の第1の端部と第2の端部とを結ぶ線との距離が最も遠い点である最深点を境界として輪郭線LO
15を分割した第1の部分輪郭線LOA
15及び第2の部分輪郭線LOB
15が示されている。さらに、第1の部分輪郭線LOA
15及び第2の部分輪郭線LOB
15のそれぞれの近似曲線である第1の部分近似曲線LPA
15及び第2の部分近似曲線LPB
15が示されている。
【0102】
ステップS11において、特定部16は、第1の距離D1
15及び第2の距離D2
15が共に所定値未満であるか否かを判定する。
図18に示す例では、第1の距離D1
15及び第2の距離D2
15が共に所定値未満ではないので、処理はステップS14に進む。
【0103】
ステップS14において、特定部16は、第1の距離D1
15及び第2の距離D2
15が共に所定値以上であるか否かを判定する。
図18に示す例では、第1の距離D1
15が所定値未満であり第2の距離D2
15が所定値以上であるので、処理はステップS16に進む。
【0104】
ステップS16において、特定部16は、輪郭線LO
15の中央部CO
15と、近似曲線LP
15の中央部CP
15との一致の度合いである中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。
図18に示す例では、中央部CO
15と中央部CP
15とは一致しておらず、中央一致度は所定の度合い以上ではないので、処理はステップS18に進む。
【0105】
ステップS18において、特定部16は、第1の部分近似曲線LPA
15の傾きと第2の部分近似曲線LPB
15の傾きとが所定の程度以上一致しているか否かを判定する。
図18に示す例では、第1の部分近似曲線LPA
15の傾きと第2の部分近似曲線LPB
15の傾きとが所定の程度以上一致していないので、処理はステップS20に進む。
【0106】
ステップS20において、特定部16は、第1の部分近似曲線及び第2の部分近似曲線のそれぞれの、第1の部分輪郭線及び第2の部分輪郭線に対する一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。第1及び第2の部分輪郭線のそれぞれに対する第1及び第2の部分近似曲線の一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状がアシンメトリーネックであることを特定する。一方、第1及び第2の部分輪郭線のそれぞれに対する第1及び第2の部分近似曲線の一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状が未知の形状であって分類不可であると判定される。
【0107】
図18に示す例では、第1の部分輪郭線LOA
15及び第2の部分輪郭線LOB
15のそれぞれに対する、第1の部分近似曲線LPA
15及び第2の部分近似曲線LPB
15の一致度が所定の程度以上であるので、特定部16は、
図17に示す衣服のネックラインの形状がアシンメトリーネックであることを特定する。
【0108】
次に、
図19を参照しながら、
図13のフローチャートの処理を説明する。
図19は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値以上であり、且つ、アスペクトが所定値以上であり、第3の部分近似曲線、第4の部分近似曲線及び第5の部分近似曲線のそれぞれと、第3の部分輪郭線、第4の部分輪郭線及び第5の部分輪郭線との一致度合いが所定の度合い以上である場合に、特定部16が、物体の一部の形状が第4の形状であることを特定する例を示す図である。本実施形態では、かかる場合に、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がスクエアネックであることを特定する。
【0109】
図19に示す衣服画像では、輪郭線LO
16及び近似曲線LP
16、並びに、輪郭線LO
16の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する近似曲線LP
16の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が示されている。さらに、輪郭線LO
16の第1の端部と第2の端部との間の距離である端部間距離WO
16、及び、輪郭線LO
16の第1の端部と第2の端部とを結ぶ線と近似曲線LP
16上の点との距離のうち最も長い距離である深度DP
12が示されている。
【0110】
ステップS11において、特定部16は、第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が共に所定値未満であるか否かを判定する。
図19に示す例では、第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が共に所定値未満ではないので、処理はステップS14に進む。
【0111】
ステップS14において、特定部16は、第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が共に所定値以上であるか否かを判定する。
図19に示す例では、第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が共に所定値以上であるので、処理はステップS15に進む。
【0112】
ステップS15において、特定部16は、端部間距離に対する深度の割合であるアスペクトが所定値未満であるか否かを判定する。
図19に示す例では、端部間距離WO
16に対する深度DP
16の割合として算出されるアスペクトが所定値以上であるので、処理はステップS17に進む。
【0113】
ステップS17において、特定部16は、第3の部分輪郭線LOA
16、第4の部分輪郭線LOB
16及び第5の部分輪郭線LOC
16のそれぞれに対する、第3の部分近似曲線LPA
16、第4の部分近似曲線LPB
16、第5の部分近似曲線LPC
16の一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。
【0114】
近似曲線算出部12は、輪郭線LO
16を、輪郭線LO
16上の2点で分割して、第3〜第5の部分輪郭線LOA
16,LOB
16,LOC
16を生成する。近似曲線算出部12は、輪郭線LO
16における、近似曲線LP
16と一致している部分(コンセンサスが成立している部分)と一致していない部分との境界点を、部分輪郭線を生成するための分割点として設定する。そして、そして、近似曲線算出部12は、第3の部分輪郭線LOA
16、第4の部分輪郭線LOB
16及び第5の部分輪郭線LOC
16のそれぞれに近似する第3の部分近似曲線LPA
16、第4の部分近似曲線LPB
16、第5の部分近似曲線LPC
16を算出する。第3の部分輪郭線LOA
16に基づく第3の部分近似曲線LPA
16の算出、第4の部分輪郭線LOB
16に基づく第4の部分近似曲線LPB
16の算出、及び、第5の部分輪郭線LOC
16に基づく第5の部分近似曲線LPC
16の算出は、
図7を参照して説明した輪郭線L
O1に基づく近似曲線L
P1の算出処理と同様に行われる。
【0115】
各部分輪郭線に対する各部分近似曲線の一致の度合いは、
図11を参照して説明したように、コンセンサスを算出することにより行われる。即ち、部分輪郭線上の全ての点のうち、対応する部分近似曲線上にある点の数の割合をコンセンサスとして算出する。
【0116】
第3の部分輪郭線LOA
16、第4の部分輪郭線LOB
16及び第5の部分輪郭線LOC
16のそれぞれに対する、第3の部分近似曲線LPA
16、第4の部分近似曲線LPB
16、第5の部分近似曲線LPC
16の一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がスクエアネックであることを特定する。一方、第3の部分輪郭線LOA
16、第4の部分輪郭線LOB
16及び第5の部分輪郭線LOC
16のそれぞれに対する、第3の部分近似曲線LPA
16、第4の部分近似曲線LPB
16、第5の部分近似曲線LPC
16の一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、画像に表された衣服のネックラインの形状が未知の形状であって分類不可であると判定される。
【0117】
このように、ステップS17では、第3の部分近似曲線、第4の部分近似曲線及び第5の部分近似曲線が算出され、それぞれ対応する部分輪郭線との一致度合いに基づいて物体の一部の形状が特定されるので、3つの部分輪郭線に特徴が現れるような物体の一部の形状を適切に推定することが可能となる。
【0118】
なお、ステップS11において、第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が共に所定値未満ではないと判定され、ステップS14において、第1の距離D1
16及び第2の距離D2
16が共に所定値以上であると判定されなかった場合に、ステップS16において、中央一致度が所定の度合い以上であると判定された場合にも、処理はステップS17に進む。そして、ステップS17において、第3の部分輪郭線LOA
16、第4の部分輪郭線LOB
16及び第5の部分輪郭線LOC
16のそれぞれに対する、第3の部分近似曲線LPA
16、第4の部分近似曲線LPB
16、第5の部分近似曲線LPC
16の一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、特定部16は、画像に表された衣服のネックラインの形状がスクエアネックであることを特定する。
【0119】
なお、
図13の各ステップにおいて種々の値と比較される所定値、所定の度合い及び所定の程度は、形状が判定される対象に応じて、適宜設計的に設定される。物体の一部の形状が判定された画像の各種の算出値を用いて学習することにより、所定値等を設定することとしてもよい。
【0120】
なお、
図13のフローチャートに示したステップS11〜S20のうち一部のステップの処理のみによりネックラインの形状を特定することとしてもよい。
【0121】
例えば、ステップS11及びステップS12の処理のみを実施して衣服のネックラインの形状をラウンドネック、Vネック及びスクエアネックのいずれかに特定してもよい。即ち、まずステップS11において、特定部16は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であるか否かを判定する。第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であると判定されなかった場合に、特定部16は、衣服のネックラインの形状がスクエアネックであることを特定する。一方、第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であると判定された場合に、処理はステップS12に進む。ステップS12において、特定部16は、中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。中央一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。一方、中央一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0122】
また、ステップS11,S12,S14,S15,S16の処理のみを実施して衣服のネックラインの形状をラウンドネック、Vネック及びスクエアネックのいずれかに特定してもよい。即ち、まずステップS11において、特定部16は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であるか否かを判定する。第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であると判定された場合に、処理はステップS12に進む。一方、第1の距離及び第2の距離が共に所定値未満であると判定されなかった場合に、処理はステップS14に進む。
【0123】
ステップS12において、特定部16は、中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。中央一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。一方、中央一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0124】
ステップS11からステップS14に処理が進められると、特定部16は、第1の距離及び第2の距離が共に所定値以上であるか否かを判定する。第1の距離及び第2の距離が共に所定値以上であると判定された場合には処理はステップS15に進む。一方、第1の距離及び第2の距離が共に所定値以上であると判定されなかった場合には処理はステップS16に進む。
【0125】
ステップS14からステップS15に処理が進められると、特定部16は、端部間距離に対する深度の割合であるアスペクトが所定値未満であるか否かを判定する。アスペクトが所定値未満であると判定された場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がラウンドネックであることを特定する。一方、アスペクトが所定値未満であると判定されなかった場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がスクエアネックであることを特定する。
【0126】
ステップS14からステップS16に処理が進められると、特定部16は、中央一致度が所定の度合い以上であるか否かを判定する。中央一致度が所定の度合い以上であると判定された場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がスクエアネックであることを特定する。一方、中央一致度が所定の度合い以上であると判定されなかった場合には、特定部16は、衣服のネックラインの形状がVネックであることを特定する。
【0127】
次に、
図20を参照して、コンピュータを形状弁別装置1として機能させるための形状弁別プログラムを説明する。形状弁別プログラムp1は、メインモジュールm10、輪郭線抽出モジュールm11、近似曲線算出モジュールm12、距離算出モジュールm13、一致度算出モジュールm14、アスペクト算出モジュールm15、特定モジュールm16及び出力モジュールm17を備える。
【0128】
メインモジュールm10は、形状弁別処理を統括的に制御する部分である。輪郭線抽出モジュールm11、近似曲線算出モジュールm12、距離算出モジュールm13、一致度算出モジュールm14、アスペクト算出モジュールm15、特定モジュールm16及び出力モジュールm17を実行することにより実現される機能はそれぞれ、
図1に示される形状弁別装置1の輪郭線抽出部11、近似曲線算出部12、距離算出部13、一致度算出部14、アスペクト算出部15、特定部16及び出力部17の機能と同様である。
【0129】
形状弁別プログラムp1は、例えば、CD−ROMやDVD−ROMまたは半導体メモリ等の記憶媒体d1によって提供される。また、形状弁別プログラムp1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0130】
以上説明した本実施形態の形状弁別装置1、形状弁別方法及び形状弁別プログラムp1によれば、画像に表された物体の輪郭の一部を示す輪郭線に近似された近似曲線が算出され、近似曲線及び輪郭線のそれぞれの対応する端部間の距離である第1及び第2の距離、並びに輪郭線の中央部と近似曲線との一致の度合いである中央一致度が算出される。第1及び第2の距離並びに中央一致度には、物体の一部の形状の特徴が反映される。そして、第1及び第2の距離並びに中央一致度に基づいて物体の一部の形状が特定されるので、物体の一部の形状を適切に推定することが可能となる。
【0131】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0132】
本実施形態では、形状の特定及び弁別の対象を衣服のネックラインとしているが、例えば、眼鏡のレンズ形状、帽子上部の形状等を対象としてもよい。
形状弁別装置は、輪郭線の近似曲線を算出する近似曲線算出手段であって、前記輪郭線は、画像に表された物体の輪郭の一部を表す有限の長さの線であり、前記近似曲線は、前記輪郭線に近似する線であって前記輪郭線を構成する座標に基づいて算出される、近似曲線算出手段と、前記輪郭線の第1及び第2の端部のそれぞれと対応する前記近似曲線の第1及び第2の端部との間の距離である第1の距離及び第2の距離を算出する距離算出手段と、前記輪郭線の中央部と前記近似曲線との一致の度合いである中央一致度を算出する一致度算出手段と、前記第1の距離、前記第2の距離及び前記中央一致度に基づいて、前記物体または前記物体の一部の形状を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された物体または物体の一部の形状に関する情報を出力する出力手段と、を備える。