(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204733
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】密封装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3204 20160101AFI20170914BHJP
F16J 15/3244 20160101ALI20170914BHJP
B62D 1/16 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F16J15/3204 201
F16J15/3244
B62D1/16
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-147439(P2013-147439)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-21510(P2015-21510A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(72)【発明者】
【氏名】小林 直人
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−091077(JP,A)
【文献】
特開昭55−030561(JP,A)
【文献】
特開2009−068683(JP,A)
【文献】
特開2005−315398(JP,A)
【文献】
特開2010−249149(JP,A)
【文献】
特開昭51−077752(JP,A)
【文献】
実開昭56−108057(JP,U)
【文献】
特開平02−113173(JP,A)
【文献】
実開平04−018763(JP,U)
【文献】
特開2008−032208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3204
B62D 1/16
F16J 15/3244
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と、この第一部材を貫通した軸との間を密封する密封装置であって、
前記第一部材に固定される固定部と、
前記軸の外周面に密接されるシールリップと、
このシールリップの根元と前記固定部との間を延びて自在に変形可能なベロー部と、
前記シールリップの根元の内周に保持された摺動リングと、
この摺動リングの内周面上で短い突条部を介して円周方向に互いに隣接し、前記摺動リングの軸方向に対して互いに逆方向に傾斜する第一の潤滑溝と第二の潤滑溝とを有し、これらの第一の潤滑溝と第二の潤滑溝とを略V字形又は略Y字形をなすように前記シールリップと反対側で連続させた複数組の潤滑溝と、
前記摺動リングの内周面上でその円周方向に互いに隣接し、前記複数組の潤滑溝同士の間に位置してこれらの潤滑溝の全長にわたって延びる長い突条部と、
を備えることを特徴とする密封装置。
【請求項2】
前記短い突条部が略円錐面状の凸面をなす、
ことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
【請求項3】
前記長い突条部が略円錐面状の凸面をなす、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の密封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は密封装置に係り、例えば、自動車用ステアリングコラムホール等にダストシール手段として使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、自動車のステアリング装置の一例を示すものであり、参照符号101はステアリングホイール、102はステアリングホイール101により回転され、不図示のタイロッドをラック・ピニオン式のギアを介して往復移動させるステアリングシャフトである。そして、ステアリングシャフト102がフロントダッシュパネル103のコラムホールを貫通した部分(
図5におけるX部)には、ダストシール手段として、従来、
図6に示すような密封装置(ステアリングダストシール)が装着されている。
【0003】
すなわち
図6に示す従来の密封装置は、
図5のフロントダッシュパネル103のコラムホールに固定される金属製の固定環201と、
図5のステアリングシャフト102の外周面に密接されるシールリップ202と、その根元に形成されたバンパー部203と、外周の基部204aが前記固定環201に一体的に接合されると共に内径部が前記バンパー部203に連続したベロー部204と、バンパー部203の内周に保持され、低摩擦の合成樹脂材料からなる摺動リング205を備える。シールリップ202、バンパー部203及びベロー部204は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で固定環201と一体に成形され、摺動リング205は、低摩擦で耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で成形されている。
【0004】
そしてこの種の密封装置は、フロントダッシュパネル103のコラムホールとステアリングシャフト102との間を密封することによって、エンジンルームS1側から車室S2への雨水やダストの流入及びエンジンルームS1内の熱を伴う外気の流入を防止すると共に、エンジン音や走行音を遮断するものである(例えば下記の先行技術文献参照)。
【0005】
また、バンパー部203の内周に保持された摺動リング205は、コラムホールに対してステアリングシャフト102が大きく偏心してこのステアリングシャフト102の外周面と圧接状態で摺動した場合に、スティック−スリップ現象による「鳴き」と呼ばれる異音の発生を防止すると共に、摩擦トルクの増大を抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−091077号公報
【特許文献2】特開2008−032208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この種の密封装置では、コラムホールに対してステアリングシャフト102が大きく偏心した場合でもシールリップ202によるシール性を維持するために、偏心に対する追随性をベロー部204の変形によって確保し、摺動リング205とステアリングシャフト102の間のクリアランスを極力小さくする必要がある。このため、摺動リング205とステアリングシャフト102の間に十分な量のグリースを保持することが困難であった。
【0008】
またこのため、摺動リング205の内周面には、グリースを少しでも多く保持するために多数の軸方向溝205aを形成しており、
図5からわかるように、フロントダッシュパネル103を介してエンジンルームS1は相対的に下方、車室S2は相対的に上方にあることから、密封装置は、その装着状態においてシールリップ202が下向きとなっており、摺動リング205がシールリップ202の上側に位置しており、したがって摺動リング205の内周に保持されたグリースの自重は、このグリースをシールリップ202側へ垂れさせるように作用する。しかし実際には、摺動リング205の軸方向溝205aに保持されたグリースは、シールリップ202へ安定的に供給されにくいという問題が指摘されていた。
【0009】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、シールリップへのグリースの安定した供給を可能とした密封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、
本発明に係る密封装置は、第一部材と、この第一部材を貫通した軸との間を密封する密封装置であって、前記第一部材に固定される固定部と、前記軸の外周面に密接されるシールリップと、このシールリップの根元と前記固定部との間を延びて自在に変形可能なベロー部と、前記シールリップの根元の内周に保持された摺動リング
と、
この摺動リングの内周面
上で短い突条部を介して円周方向に
互いに隣接し、前記摺動リングの軸方向に対して互いに逆方向に傾斜する第一の潤滑溝
と第二の潤滑溝
とを有し、これらの第一の潤滑溝と第二の潤滑溝とを略V字形又は略Y字形をなすように前記シールリップと反対側で連続させた複数組の潤滑溝と、前記摺動リングの内周面上でその円周方向に互いに隣接し、前記複数組の潤滑溝同士の間に位置してこれらの潤滑溝の全長にわたって延びる長い突条部と、を備
える。
【0011】
上記構成において、シールリップの根元の内周に保持された摺動リングは、第一部材に対して軸が大きく偏心することによって、この軸の外周面と圧接状態で摺動した場合でも、低摩擦で摺動することにより、スティック−スリップ現象による異音の発生を防止すると共に摩擦トルクの増大を抑制するものである。そして、摺動リングの内周面に形成された第一の潤滑溝及び第二の潤滑溝にはグリースを保持しておくことができ、軸の回転方向によって、第一の潤滑溝又は第二の潤滑溝が、グリースをシールリップ側へ送り出す作用を奏する。
第一の潤滑溝及び第二の潤滑溝のうちの一方の潤滑溝がグリースをシールリップ側へ送り出すと共に、シールリップと反対側への流れを惹起する他方の潤滑溝が、一方の潤滑溝へグリースを補充する作用を奏する。
【0012】
本発明の一態様は、短い突条部が略円錐面状の凸面をな
し、別の一態様は、長い突条部が略円錐面状の凸面をなす。
【0013】
この構成によれば、第一の潤滑溝及び第二の潤滑溝に保持されたグリースが、突条部と軸の外周面との間にも介入しやすいので、摺動リングと軸の摺動部が良好に潤滑される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る密封装置によれば、摺動リングの内周面に形成された第一の潤滑溝及び第二の潤滑溝にはグリースを保持しておくことができると共に、軸の回転によって第一の潤滑溝又は第二の潤滑溝が前記グリースをシールリップ側へ送り出すポンプ機能を奏するので、グリースがシールリップへ安定的に供給され、潤滑性及び耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る密封装置の第一の実施の形態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【
図2】第一の実施の形態における摺動リングの斜視図である。
【
図3】本発明に係る密封装置の第二の実施の形態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【
図4】第二の実施の形態における摺動リングの斜視図である。
【
図5】自動車のステアリング装置の一例を概略的に示す説明図である。
【
図6】従来の密封装置を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る密封装置の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2は、第一の実施の形態を示すものである。
【0019】
この実施の形態の密封装置は、
図1に示すように、自動車における不図示のフロントダッシュパネルのコラムホールに圧入固定される固定環1と、前記コラムホールを貫通したステアリングシャフト10の外周面に密接されるシールリップ2と、このシールリップ2の根元に形成されシールリップ2より大径かつ厚肉のバンパー部3と、外周部4aが固定環1の内周面に一体的に加硫接着されると共に内周部4bが前記バンパー部3に連続したベロー部4と、前記バンパー部3に埋設された補強環5と、前記バンパー部3の内周に一体的に保持された摺動リング6を備える。なお、フロントダッシュパネルは請求項1に記載された第一部材に相当し、ステアリングシャフト10は請求項1に記載された軸に相当するものである。
【0020】
固定環1は金属で円筒状に形成され、フロントダッシュパネルのコラムホールの内周面に圧入固定されるものであって、請求項1に記載された固定部に相当する。
【0021】
シールリップ2、バンパー部3及びベロー部4は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で固定環1と一体に成形されている。このうちシールリップ2は、装着状態においてエンジンルームS1側を向き、ステアリングシャフト10の外周面に適当な締め代をもって摺動可能に密接されるものである。
【0022】
また、バンパー部3は、フロントダッシュパネルのコラムホールに対してステアリングシャフト10が大きく偏心した場合に、このステアリングシャフト10からの偏心力を摺動リング6を介して受け、これをベロー部4に伝達することによって、シールリップ2に大きな径方向荷重が作用するのを防止するもので、シールリップ2と反対側へ向けて漸次大径になる略円錐筒状をなしており、その内周面には、摺動リング6の外周面と凹凸嵌合させるための、円周方向へ連続した凹凸条が形成されている。
【0023】
また、ベロー部4はステアリングシャフト10の偏心に対して自在に変形することによってシールリップ2、バンパー部3及び摺動リング6の追随性を確保するためのもので、環状シート状に形成され、軸心を通る平面で切断した形状(図示の断面形状)が軸方向へ波状に蛇行した形状となっている。
【0024】
補強環5は、金属で円環状に形成されており、バンパー部3の真円性を保持するためにこのバンパー部3に一体的に設けられたものである。
【0025】
摺動リング6は、低摩擦で耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で成形されたものであって、外周面が、バンパー部3の内周面に円周方向へ連続して形成された凹凸条と凹凸嵌合することによって抜け止め状態で保持されている。この摺動リング6の内周面は、ステアリングシャフト10の外径より僅かに大径であって、
図2の斜視図に一層明瞭に示すように、円周方向に対して傾斜した第一の潤滑溝61と、円周方向に対して第一の潤滑溝61と逆方向へ傾斜した第二の潤滑溝62が、円周方向交互に形成されている。
【0026】
第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62は、互いに略V字形又は略Y字形の二股形状をなすようにシールリップ2と反対側で互いに連続し、その連続部63が摺動リング6におけるシールリップ2と反対側の端部まで延在している。そしてこの第一の潤滑溝61、第二の潤滑溝62及び連続部63を含む摺動リング6の内周面にはグリースが保持される。
【0027】
また、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の間は、円周方向交互に存在する長い突条部64と短い突条部65となっている。詳しくは、長い突条部64は摺動リング6の内周面の軸方向全長にわたって延びると共に、シールリップ2側を向いた端部からその反対側の端部へ向けて徐々に円周方向幅が広くなっており、長い突条部64,64の間の短い突条部65は摺動リング6の内周面におけるシールリップ2寄りに位置すると共に、シールリップ2側を向いた端部からその反対側の端部へ向けて徐々に円周方向幅が狭くなっている。そしてこれらの突条部64,65は、略円錐面状の凸面をなしている。
【0028】
上記構成を備える密封装置は、フロントダッシュパネルに開設されたコラムホールと、これに挿通されたステアリングシャフト10との間を、シールリップ2及びベロー部4で密封することによって、エンジンルームS1側からの雨水やダスト、あるいはエンジンルームS1内の熱気や外気が車室S2へ流入するのを防止し、更にはエンジン音や走行音を遮断するものである。
【0029】
そして、フロントダッシュパネルのコラムホールに対してステアリングシャフト10が大きく偏心した場合は、ベロー部4が径方向へ大きく屈伸変形すると共に、円周方向の一部でステアリングシャフト10が摺動リング6の内周面(突条部64,65)に圧接することになるが、この摺動リング6は低摩擦の合成樹脂材料からなることに加え、突条部64,65間の第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62及びその連続部63にグリースが保持されているため、ステアリングシャフト10の外周面との摺動に伴ってスティック−スリップ現象は発生せず、このため「鳴き」と呼ばれる異音の発生が有効に防止される。
【0030】
また、エンジンルームS1は相対的に下方、車室S2は相対的に上方にあることから、上記構成の密封装置は、装着状態においてシールリップ2が下向きとなっており、かつ摺動リング6がシールリップ2の上側に位置しており、したがって摺動リング6の内周に保持されたグリースの自重は、このグリースをシールリップ2側へ垂れさせるように作用する。そして、ステアリングシャフト10が操舵において例えば
図2における時計回りの方向へ回転した場合は、このステアリングシャフト10の外周面と摺動リング6の内周面との間に介在してステアリングシャフト10と共に連れ回ろうとするグリースに、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の連続部63から第一の潤滑溝61へ向かう螺子ポンプ作用による流れF1が惹起され、またこれとは逆に、ステアリングシャフト10が例えば
図2における反時計回りの方向へ回転した場合は、グリースに、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の連続部63から第二の潤滑溝62へ向かう螺子ポンプ作用による流れF2が惹起される。
【0031】
したがって、ステアリングシャフト10の回転方向に拘らず、摺動リング6の内周のグリースが安定してシールリップ2側へ送り出され、シールリップ2とステアリングシャフト10との摺動部が良好に潤滑される。
【0032】
しかも、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62は、互いに略V字形又は略Y字形の二股形状をなすため、ステアリングシャフト10が例えば
図2における時計回りの方向へ回転した場合は、第二の潤滑溝62内のグリースにF2と反対方向への流れが惹起されるので、連続部63を介して第二の潤滑溝62内のグリースの一部が第一の潤滑溝61側へ補充されることになり、またこれとは逆に、ステアリングシャフト10が例えば
図2における反時計回りの方向へ回転した場合は、第一の潤滑溝61にF1と反対方向への流れが惹起されるので、連続部63を介して第一の潤滑溝61内のグリースの一部が第二の潤滑溝62側へ補充されることになる。
【0033】
加えて、摺動リング6の内周面における第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の間に位置する長短の突条部64,65は、略円錐面状の凸面をなしているため、第一の潤滑溝61、第二の潤滑溝62及びその連続部63に保持されたグリースが、ステアリングシャフト10の回転に伴って、突条部64,65とステアリングシャフト10の外周面との間に介入しやすい。このため、摺動リング6とステアリングシャフト10の摺動部も良好に潤滑される。
【0034】
なお、上述した第一の実施の形態では、シールリップ2、バンパー部3、ベロー部4、及び摺動リング6を一組のみ有するものについて説明したが、本発明は、例えば特許文献1あるいは特許文献2のように、シールリップ2、バンパー部3、ベロー部4、及び摺動リング6を軸方向へ複数組配置したものについても適用することができる。
【0035】
そして、シールリップ2、バンパー部3、ベロー部4、及び摺動リング6を一組のみ有するものについては、
図3及び
図4に示す好ましい第二の実施の形態のように構成することもできる。
【0036】
すなわち第二の実施の形態において、上述した第一の実施の形態と異なるところは、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の間に位置する突条部64,65のうち、長い突条部64は、シールリップ2と反対側を向いた端部64aが摺動リング6の内周面におけるシールリップ2と反対側の端部に達しない長さとなっていて、その隆起高さが、シールリップ2と反対側へ向けて漸次低くなり、前記端部64aで0となるように形成されている点にある。言い換えれば、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の連続部63は、摺動リング6の内周面におけるシールリップ2と反対側の端部に達しない長さとなっていて、その深さが、シールリップ2と反対側の端部で0となるように漸次浅くなっている。その他の部分は第一の実施の形態と同様である。
【0037】
上記構成を備える密封装置は、第一の実施の形態と同様の効果を実現するものである。特に、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62の連続部63が摺動リング6の内周面におけるシールリップ2と反対側の端部に達せず、シールリップ2と反対側の端部で深さが0となるように漸次浅くなっているため、グリースが車室S2側へ漏れるのを有効に防止することができる。
【0038】
なお、図示の実施の形態では第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62が短い突条部65によって隔てられ、この突条部65より車室S2側で連続部63により互いに連続した二股形状をなしているが、短い突条部65をなくして、第一の潤滑溝61と第二の潤滑溝62が、シールリップ2側の端部へ向けて開いた形状のひとつの溝をなすように連続した形状としても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 固定環
2 シールリップ(固定部)
3 バンパー部(シールリップの根元)
4 ベロー部
5 補強環
6 摺動リング
61 第一の潤滑溝
62 第二の潤滑溝
63 連続部
64,65 突条部
10 ステアリングシャフト(軸)