(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204739
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】温水生成システム、温水生成システムの施工方法、温水流通手段の使用方法および温水流通手段
(51)【国際特許分類】
F24H 9/12 20060101AFI20170914BHJP
F24H 1/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F24H9/12 A
F24H1/18 H
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-155848(P2013-155848)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-25621(P2015-25621A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 一範
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−276278(JP,A)
【文献】
特開平11−082875(JP,A)
【文献】
特開2002−323194(JP,A)
【文献】
特開平11−108290(JP,A)
【文献】
実開昭59−169494(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/12
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水または湯を加熱する熱源機と、前記熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通する温水流通手段と、を備える温水生成システムであって、
前記温水流通手段は断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、
前記複数の配管のうち1本の前記配管が、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯を流通させられるように前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されているとともに、前記複数の配管のうち他の前記配管は、前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されていない、温水生成システム。
【請求項2】
前記複数の配管のうち隣り合う前記配管の間に断熱材が備えられている、請求項1に記
載の温水生成システム。
【請求項3】
前記複数の配管のうち、前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されていない前記配管のうち少なくとも1本に酸化防止剤を含む溶剤が充填されている、請求項1または2に記載の温水生成システム。
【請求項4】
前記温水流通手段が、蛇腹状の鞘管を備えており、前記複数の配管が前記鞘管に収容さ
れるとともに、前記鞘管が前記保護管に収容されている、請求項1乃至3のいずれかに記
載の温水生成システム。
【請求項5】
水または湯を加熱する熱源機と、前記熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通する温水流通手段と、を備える温水生成システムの施工方法であって、
前記温水流通手段は断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、
前記複数の配管のうち1本の前記配管を、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯を流通させられるように前記熱源機および前記貯湯タンクに接続し、前記複数の配管のうち他の前記配管は、前記熱源機および前記貯湯タンクに接続しない、温水生成システムの施工方法。
【請求項6】
前記複数の配管のうち隣り合う前記配管の間に断熱材が備えられている、請求項5に記
載の温水生成システムの施工方法。
【請求項7】
前記複数の配管のうち、前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されていない前記配管のうち少なくとも1本には、酸化防止剤を含む溶剤を充填する、請求項5または6に記載の温水生成システムの施工方法。
【請求項8】
前記温水流通手段が、蛇腹状の鞘管を備えており、前記複数の配管が前記鞘管に収容さ
れるとともに、前記鞘管が前記保護管に収容されている、請求項5乃至7のいずれかに記
載の温水生成システムの施工方法。
【請求項9】
水または湯を加熱する熱源機と前記熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクとを
結ぶ温水流通手段の使用方法であって、
前記温水流通手段は断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、
を備えており、
前記複数の配管のうち1本の前記配管を、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる
前記湯が流通するように前記熱源機および前記貯湯タンクに接続する工程と、
所定の期間が経過した後、前記複数の配管のうち前記熱源機および前記貯湯タンクに接
続されている前記配管を前記熱源機および前記貯湯タンクから外し、前記複数の配管のう
ち他の前記配管を、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通するように
前記熱源機および前記貯湯タンクに接続する工程と、
を有する、温水流通手段の使用方法。
【請求項10】
前記複数の配管のうち隣り合う前記配管の間に断熱材が備えられている、請求項9に記
載の温水流通手段の使用方法。
【請求項11】
前記複数の配管のうち、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通する
前記配管以外の配管のうち少なくとも1本には、酸化防止剤を含む溶剤が充填されている
、請求項9または10に記載の温水流通手段の使用方法。
【請求項12】
前記温水流通手段が、蛇腹状の鞘管を備えており、前記複数の配管が前記鞘管に収容さ
れるとともに、前記鞘管が前記保護管に収容されている、請求項9乃至11のいずれかに
記載の温水流通手段の使用方法。
【請求項13】
水または湯を加熱する熱源機と、前記熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、の間に配置され、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通する温水流通手段であって、
断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、
前記複数の配管のうち隣り合う前記配管の間に断熱材が備えられており、
前記複数の配管のうち1本の前記配管が、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯を流通させられるように前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されているとともに、前記複数の配管のうち他の前記配管は、前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されていない、温水流通手段。
【請求項14】
水または湯を加熱する熱源機と、前記熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと
、の間に配置され、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通する温水流
通手段であって、
断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、
前記複数の配管のうち少なくとも1本に酸化防止剤を含む溶剤が充填されている、温水
流通手段。
【請求項15】
水または湯を加熱する熱源機と、前記熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、の間に配置され、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯が流通する温水流通手段であって、
断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、
前記複数の配管のうち1本の前記配管が、前記熱源機から前記貯湯タンクへと送られる前記湯を流通させられるように前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されているとともに、前記複数の配管のうち他の前記配管は、前記熱源機および前記貯湯タンクに接続されておらず、
前記配管が3本以上であり且つ口径が同じである、温水流通手段。
【請求項16】
さらに蛇腹状の鞘管を備えており、前記複数の配管が前記鞘管に収容されるとともに、
前記鞘管が前記保護管に収容されている、請求項13乃至15のいずれかに記載の温水流
通手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水または湯を加熱する熱源機と該熱源機で加熱された湯を貯める貯湯タンクとを備える温水生成システム、該温水生成システムの施工方法、該温水生成システムにおいて熱源機から貯湯タンクに湯を供給する温水流通手段および該温水流通手段の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から、一般住宅や集合住宅等の建物に燃料電池や自然冷媒ヒートポンプ給湯機(例えば、エコキュート(登録商標))等の機器の設置が進んでいる。これらの機器を用いて加熱された湯は配管を通して貯湯タンクへと送られ、そこで使用時まで保温される。
【0003】
上記のように加熱された湯を流通させる配管には、これまでに様々なものが使用されている。例えば特許文献1には、2本の細径樹脂管と、細径樹脂管の約2倍の断面積を有する1本の太径樹脂管とをテープを巻いて束ね、これを蛇腹形樹脂管(CD管)内に遊挿して成る床暖房用温水配管が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3793337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている床暖房用温水配管は、床暖房マットへと湯を供給する配管である。床暖房マットで使用される湯の温度は然程高くないことから、床暖房マットへと湯を供給する配管は湯の温度によって劣化するということが問題となり難い。
【0006】
一方、燃料電池や自然冷媒ヒートポンプ給湯機等の機器(以下、「熱源機」ということがある。)で加熱された湯を貯湯タンクへと流す配管には、通常、高温(例えば、75℃〜95℃程度)の湯が流される。このような高温の湯を流すと配管が熱によって劣化しやすくなる。しかしながら、以下に説明するようにこのような配管の取り替えは困難である。
【0007】
一般住宅や集合住宅等において、上記熱源機と貯湯タンクは設置空間の確保の観点から通常は離れた位置に設置される。例えば、熱源機はベランダに設置され、貯湯タンクは玄関付近に設置されることがある。そのため、熱源機と貯湯タンクとを結ぶ配管は床下等に配置される。よって、このような配管を交換するためには部屋の内装を壊す必要があった。
【0008】
上記のように配管の交換のために内装を壊すという事態を避けるためには、鞘管と呼ばれる管の中に配管を通し、鞘管は設置したままで鞘管内の配管だけを抜き差しして交換することも考えられる。しかしながら、極度に曲がりくねった場所に配管を設置する場合等は、鞘管に配管を抜き差しすることが困難となるため、結局は内装を壊して配管を交換せざるをえなくなることがあった。
【0009】
そこで本発明は、大がかりな工事をすることなく長期間に亘って使用可能な温水生成システムを提供することを課題とする。また、温水生成システムの施工方法、温水生成システムに用いられる温水流通手段の使用方法および温水生成システムに用いられる温水流通手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明について説明する。
【0011】
本発明の第1の態様は、水または湯を加熱する熱源機と、熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する温水流通手段と、を備える温水生成システムであって、温水流通手段は断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、複数の配管のうち1本の配管が、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯を流通させられるように熱源機および貯湯タンクに接続されているとともに、複数の配管のうち他の配管には湯が流通しない、温水生成システムである。
【0012】
上記本発明の第1の態様において、複数の配管のうち隣り合う配管の間に断熱材が備えられていることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明の第1の態様において、複数の配管のうち、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通しない配管のうち少なくとも1本に酸化防止剤を含む溶剤が充填されていることが好ましい。
【0014】
さらに、上記本発明の第1の態様において、温水流通手段が、蛇腹状の鞘管を備えており、複数の配管が鞘管に収容されるとともに、鞘管が保護管に収容されている形態とすることができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、水または湯を加熱する熱源機と、熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する温水流通手段と、を備える温水生成システムの施工方法であって、温水流通手段は断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、複数の配管のうち1本の配管を、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯を流通させられるように熱源機および貯湯タンクに接続する、温水生成システムの施工方法である。
【0016】
上記本発明の第2の態様において、複数の配管のうち隣り合う配管の間に断熱材が備えられていることが好ましい。
【0017】
また、上記本発明の第2の態様において、複数の配管のうち、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する配管以外の配管のうち少なくとも1本には、酸化防止剤を含む溶剤を充填することが好ましい。
【0018】
さらに、上記本発明の第2の態様において、温水流通手段が、蛇腹状の鞘管を備えており、複数の配管が鞘管に収容されるとともに、鞘管が保護管に収容されている形態とすることができる。
【0019】
本発明の第3の態様は、水または湯を加熱する熱源機と該熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクとを結ぶ温水流通手段の使用方法であって、温水流通手段は断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、複数の配管のうち1本の配管を、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通するように熱源機および貯湯タンクに接続する工程と、所定の期間が経過した後、複数の配管のうち熱源機および貯湯タンクに接続されている配管を熱源機および貯湯タンクから外し、複数の配管のうち他の配管を、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通するように熱源機および貯湯タンクに接続する工程と、を有する、温水流通手段の使用方法である。
【0020】
上記本発明の第3の態様において、複数の配管のうち隣り合う配管の間に断熱材が備えられていることが好ましい。
【0021】
また、上記本発明の第3の態様において、複数の配管のうち、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する配管以外の配管のうち少なくとも1本には、酸化防止剤を含む溶剤が充填されていることが好ましい。
【0022】
さらに、上記本発明の第3の態様において、温水流通手段が、蛇腹状の鞘管を備えており、複数の配管が鞘管に収容されるとともに、鞘管が保護管に収容されている形態とすることができる。
【0023】
本発明の第4の態様は、水または湯を加熱する熱源機と、熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、の間に配置され、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する温水流通手段であって、断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、複数の配管のうち隣り合う配管の間に断熱材が備えられており、複数の配管のうち1本の配管が、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯を流通させられるように熱源機および貯湯タンクに接続される、温水流通手段である。
【0024】
本発明の第5の態様は、水または湯を加熱する熱源機と、熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、の間に配置され、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する温水流通手段であって、断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、複数の配管のうち少なくとも1本に酸化防止剤を含む溶剤が充填されている、温水流通手段である。
【0025】
本発明の第6の態様は、水または湯を加熱する熱源機と、熱源機で加熱された湯を貯められる貯湯タンクと、の間に配置され、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流通する温水流通手段であって、断熱材からなる保護管と、該保護管内に収容された複数の配管と、を備えており、配管が3本以上であり且つ口径が同じである、温水流通手段である。
【0026】
上記本発明の第4乃至第6の態様において、さらに蛇腹状の鞘管を備えており、複数の配管が鞘管に収容されるとともに、鞘管が保護管に収容されている形態とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水生成システムを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】温水生成システム100の構成を説明する図である。
【
図3】
図3(A)乃至
図3(C)はそれぞれ温水流通手段の他の形態例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す図は構成を概念的に示したものであり、各構成要素の大きさや形状を正確に示すものではない。
【0030】
図1は温水生成システム100の構成を説明する図である。
図1には、熱源機20、貯湯タンク30、熱源機20から貯湯タンク30へと供給される湯が流通する温水流通手段10および貯湯タンク30から熱源機20へと供給される水または湯が流通する配管11のみ示されている。ただし、温水生成システム100の用途に応じてその他の必要な公知の設備が適宜備えられることは言うまでもない。
【0031】
熱源機20としては、外部から供給された水または湯を加熱して他の設備に供給できる装置であれば特に限定されない。従って、熱源機20の具体例としては、燃料電池や自然冷媒ヒートポンプ給湯機等を挙げることができる。
【0032】
貯湯タンク30は熱源機20で加熱された湯を受け入れ可能であり、受け入れた湯を必要時まで保温しておくことができ、必要時には貯めた湯を排出することができるタンクである。このような貯湯タンク30としては、公知のものを特に限定することなく用いることができる。
【0033】
配管11は熱源機20で加熱するために貯湯タンク30から送られる水または湯を通す配管である。配管11を流れる水または湯の温度は然程高くならない(例えば、20℃〜40℃程度である。)ため、配管11が上述したように温度によって劣化するという問題は生じにくい。従って、配管11の形態は特に限定されず、公知の配管を用いることができる。
【0034】
温水流通手段10は、熱源機20から貯湯タンク30へと送られる湯が流通する手段である。
図2は温水流通手段10の断面を示した図である。
図2に示したように、温水流通手段10は、複数の配管1a、1b、1cと、該配管1a、1b、1cを収容する鞘管2と、鞘管2を収容する断熱材からなる保護管3と、を備えている。
複数の配管1a、1b、1cのうち1本の配管は熱源機20から貯湯タンク30へと送られる湯を流通させられるように熱源機20および貯湯タンク30に接続されている。以下の説明では、配管1aが熱源機20および貯湯タンク30に接続されていることとする。一方、複数の配管1a、1b、1cのうち他の配管、すなわち配管1b、1cは湯が流通しないようになっている。
【0035】
上記のように複数の配管を用意し、そのうち一部の配管(例えば、上記のように1本の配管のみ)に湯を流通させ、他の配管には湯を流通させないようにしておくことによって、以下に説明するように大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水生成システム100を使用することができる。
【0036】
熱源機20で加熱されて貯湯タンク30へと送られる湯の温度は高温(例えば、75℃〜95℃程度)である。このような高温の湯は当該湯が流通する樹脂管の劣化を早める。すなわち、熱源機20で加熱されて貯湯タンク30へと送られる湯が流通する配管は、他の場所で用いられる配管に比べて劣化が著しく早い。そのため、従来は熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流れる配管のみを交換する工事を行わなければならなくなることがあった。例えば、架橋ポリエチレンからなる配管に75℃〜95℃程度の湯を流通させ続けた場合、およそ10年程度で当該配管は使用できなくなる。一方、部屋の内装等の大規模な修繕が行われる周期は30年程度である。従って、熱源機から貯湯タンクへと送られる湯が流れる配管が床下等に設置されている場合において、上記のように配管の交換工事を行わなければならなくなると、まだ修繕の必要がない内装まで壊さなければならなくなる虞があった。
【0037】
しかしながら、温水流通手段10には複数の配管1a、1b、1cが備えられているため、最初に複数の配管1a、1b、1cのうち1本の配管1aを、熱源機20から貯湯タンク30へと送られる湯が流通するように熱源機20および貯湯タンク30に接続しておき、所定の期間が経過した後(例えば、配管1aが劣化して使用できなくなったとき)、複数の配管1a、1b、1cのうち熱源機20および貯湯タンク30に接続されている配管1aを熱源機20および貯湯タンク30から外し、複数の配管1a、1b、1cのうち他の配管(配管1bまたは配管1c)を、熱源機20から貯湯タンク30へと送られる湯が流通するように熱源機20および貯湯タンク30に接続することができる。上記のようにして配管を繋ぎ替えることによって、温水流通手段10に備えられる全ての配管が劣化して使用できなくなるまで、大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水流通手段10を使用することができる。すなわち、大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水生成システム100を使用することができる。
【0038】
このような温水流通手段10に用いられる配管1a、1b、1cは、それぞれ特に限定されず、公知の配管を使用することができる。すなわち、配管1a、1b、1cには、例えば、架橋ポリエチレン等の樹脂からなる管を用いることができる。
【0039】
鞘管2は蛇腹状の管である。複数の配管1a、1b、1cが鞘管2に収容されるとともに、鞘管2が保護管3に収容されている。上述したように温水流通手段10によれば、配管を差し替えることなく長期間に亘って使用することができる。しかしながら、配管が想定していたより早く劣化した場合などには配管を差し替えなければならなくなることが考えられる。そのような場合に、鞘管2を用いることによって、配管の差し替えが容易になる。このような鞘管2としては、従来のものを特に限定することなく用いることができる。
【0040】
保護管3は断熱材によって構成されている。配管1a、1b、1cを保護管3内に収容することによって、これらの配管内を流れる湯の熱が外に放出されることを抑制できる。
【0041】
保護管3は、温水流通手段10を設置する際に問題とならない程度の可撓性を有しており、断熱性を有しているものであれば特に限定されない。このような保護管3を構成する材料としては、例えば、発泡架橋ポリエチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン等がある。
【0042】
上述したような温水生成システム100は以下のようにして施工することができる。なお、温水生成システム100を施工する際における温水流通手段10以外の設置方法等については従来の温水生成システムと同様であるため、以下には主に温水流通手段10の施工方法について説明する。
【0043】
温水生成システム100を施工するには、予め上述したように複数の配管1a、1b、1cを備えた温水流通手段10を用意し、複数の配管1a、1b、1cのうち1本の配管1aを、熱源機20から貯湯タンク30へと送られる湯を流通させられるように熱源機20および貯湯タンク30に接続する。例えば、熱源機20の排出口に継手を介して配管1aの一端を取り付け、貯湯タンク30の流入口に継手を介して配管1aの他端を取り付ける。
【0044】
上記のようにして温水生成システム100の施工当初は複数の配管1a、1b、1cのうち1本の配管1aのみを熱源機20および貯湯タンク30に接続しておく。そして所定の期間が経過して配管1aが劣化したときに、使用する配管を切り替える。すなわち、配管1aを熱源機20および貯湯タンク30から外し、配管1bまたは配管1cを上記と同様に継手を介して熱源機20および貯湯タンク30に接続する。このようにして使用する配管を所定の期間毎に切り替えることによって、大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水生成システム100を使用することができる。
【0045】
これまでの説明では、3本の配管が鞘管および保護管に収容された温水流通手段を用いる形態について例示して説明したが、本発明はかかる形態に限定されない。上述したように大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水生成システムを使用するという観点から、温水流通手段は複数の配管を備えていればよい。ただし、その使用目的から考えて配管内を流通する湯の熱が放出されることを防ぐため、断熱材からなる保護管は必要である。
【0046】
図3(A)乃至
図3(C)はそれぞれ温水流通手段の他の形態例を示した断面図である。温水流通手段10に代えて以下に例示する温水流通手段を上述した温水生成システムに適用しても、温水流通手段10を用いる場合と同様に大がかりな工事をすることなく長期間に亘って温水生成システムを使用することができる。
【0047】
図3(A)に示した温水流通手段110は、複数の配管1a、1b、1cのうち隣り合う配管の間に断熱材5が備えられている。このように断熱材5が備えられていることによって、複数の配管1a、1b、1cのうち湯が流通している配管1aから他の配管1b、1cへと熱が伝わることを抑制し、当該他の配管1b、1cの熱による劣化を抑制することができる。
【0048】
図3(A)に示した断熱材5は、図示した断面を有して紙面奥/手間方向に連続または断続的に延在する板状の断熱材である。
図3(A)には3枚の板状の断熱材5が一体となった形態を例示しているが、断熱材5は3枚の板状の断熱材がそれぞれ別々になった形態であってもよい。
【0049】
なお、
図3(A)には、鞘管2内において各配管1a、1b、1cが配置された領域を区切るように断熱材5が充填された形態を例示しているが、断熱材は鞘管2内に充填されていてもよい。ただし、
図3(A)に例示したように板状の断熱材5を設ける形態とすることによって、温水流通手段110の作製や設置が容易になる。
【0050】
図3(B)に示した温水流通手段210は、複数の配管1a、1b、1cのうち、熱源機20から貯湯タンク30へと送られる湯が流通させられていない配管1b、1cに酸化防止剤を含む溶剤6が充填されている。図示した形態では、湯が流通させられていない全ての配管1b、1cに酸化防止剤を含む溶剤6が充填されているが、湯が流通させられていない配管1b、1cのうち少なくとも1本に酸化防止剤を含む溶剤6が充填さればよい。ただし、配管の劣化を防ぎやすくする観点からは、まだ湯が流通させられていない全ての配管に酸化防止剤を含む溶剤が充填されていることが好ましい。このように酸化防止剤を含む溶剤を配管に充填しておくことによって、熱によって配管が劣化することを抑制できる。
【0051】
溶剤6は施工現場において充填してもよく、事前に充填しておいてもよい。配管に充填された溶剤が漏れないようにするため、溶剤が充填された配管の両端部には栓を設けることが好ましい。このようにして溶剤が充填された配管を用いる場合、上述したように所定の期間が経過して使用する配管を交換する際には、次に使用する配管から溶剤を抜き取り、継手を介して当該配管の一端を熱源機20に接続し、継手を介して当該配管の他端を貯湯タンク30に接続する。なお、溶剤には液体を用いることによって、配管から抜き取ることは容易である。
【0052】
上記のような酸化防止剤を含む溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを主成分とした不凍液などがある。
【0053】
図3(C)に示した温水流通手段310は、鞘管2を備えていない。上述したように、鞘管2は鞘管内の配管1a、1b、1cを抜き差ししやすくする等の目的で備えられている。しかしながら、本発明によれば、上述したように配管を差し替えることなく温水流通手段を長期間に亘って使用できる。よって、鞘管2は備えられていなくてもよい。
【0054】
なお、これまでは配管が3本備えられる形態について説明したが、配管の数は2本以上であれば特に限定されない。ただし、上述した趣旨から配管の数が多い方が温水流通手段を長期間に亘って使用することができる。すなわち、1本の配管の使用年数を約10年とした場合、温水生成システムを施工して約30年後に内装の大規模修繕を行うときに同時に配管を交換するためには、配管が3本以上備えられていることが好ましい。
【0055】
また、温水流通手段に備えられる複数の配管の口径は、全て同じであることが好ましい。これは、上述したように複数の配管はそれぞれ使用時期(湯を流通させるために用いる時期)が異なるがその用途(熱源機から貯湯タンクへと送られる湯を流通させる)は同じだからである。
【符号の説明】
【0056】
1a、1b、1c 配管
2 鞘管
3 保護管
5 断熱材
6 酸化防止剤を含む溶剤
10、110、210、310 温水流通手段
11 配管
20 熱源機
30 貯湯タンク
100 温水生成システム