特許第6204740号(P6204740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204740
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】デシカントロータの目詰まり検知装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/147 20060101AFI20170914BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F24F3/147
   F24F11/02 102D
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-157648(P2013-157648)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-28397(P2015-28397A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅旦
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−099612(JP,A)
【文献】 特開2008−145092(JP,A)
【文献】 特開2012−202642(JP,A)
【文献】 特開平10−026434(JP,A)
【文献】 特開平08−155248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/147
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸入する側の吸湿側流路部と空気を排出する側の再生側流路部とに跨がって配設されたデシカントロータにおける目詰まりを検知するための目詰まり検知装置であって、
前記吸湿側流路部の吸入空気の流れ方向に見て吸湿域の上流側に配設された第1吸湿側温度検知手段及び第1吸湿側湿度検知手段と、前記吸湿域の下流側に配設された第2吸湿側温度検知手段及び第2吸湿側湿度検知手段と、前記第1吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第1吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度を演算するとともに、前記第2吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第2吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度を演算する絶対湿度演算手段と、前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度と前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度との湿度差を演算する絶対湿度差演算手段と、前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度及び前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度に基づいて前記デシカントロータの目詰まりを判定する目詰まり判定手段と、を備え、前記目詰まり判定手段は、前記絶対湿度差演算手段による絶対湿度差が判定基準値以下になると目詰まり発生と判定することを特徴とするデシカントロータの目詰まり検知装置。
【請求項2】
空気を吸入する側の吸湿側流路部と空気を排出する側の再生側流路部とに跨がって配設されたデシカントロータにおける目詰まりを検知するための目詰まり検知装置であって、
前記再生側流路部の排出空気の流れ方向に見て再生域の上流側に配設された再生側温度検知手段及び再生側湿度検知手段と、前記再生側温度検知手段の検知温度及び前記再生側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記再生域の流入側空気の絶対湿度を演算する絶対湿度演算手段と、前記絶対湿度演算手段により演算された絶対湿度に基づいて前記デシカントロータの再生量を演算する再生量演算手段と、前記再生量演算手段により演算された再生量を目詰まりの判定基準となる判定基準値として設定する判定基準値設定手段と、を備えたことを特徴とするデシカントロータの目詰まり検知装置。
【請求項3】
前記再生側温度検知手段及び前記再生側湿度検知手段は、所定時間にわたって前記再生側流路部の前記再生域の流入側空気の温度及び湿度を検知し、前記絶対湿度演算手段は、前記所定時間にわたって検知された前記再生側温度検知手段の検知温度及び前記再生側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記再生域の流入側空気の絶対湿度を演算し、前記再生量演算手段は、前記絶対湿度演算手段により演算された前記所定時間における絶対湿度の最大絶対湿度に基づいて前記デシカントロータの最小再生量を演算し、前記判定基準値設定手段は、前記再生量演算手段により演算された前記最小再生量を前記判定基準値として設定することを特徴とする請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置。
【請求項4】
前記吸湿側流路部の吸入空気の流れ方向に見て吸湿域の上流側に第1吸湿側温度検知手段及び第1吸湿側湿度検知手段が配設され、前記吸湿域の下流側に第2吸湿側温度検知手段及び第2吸湿側湿度検知手段が配設され、更に、前記デシカントロータの目詰まりを判定する目詰まり判定手段が設けられ、前記絶対湿度演算手段は、前記第1吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第1吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度を演算するとともに、前記第2吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第2吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度を演算し、前記目詰まり判定手段は、前記絶対湿度演算手段により演算された前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度及び前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度並びに前記判定基準値設定手段により設定された前記判定基準値に基づいて前記デシカントロータの目詰まりを判定することを特徴とする請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置。
【請求項5】
前記デシカントロータは、外部の空気を室内に導くための吸入流路及び室内からの空気を外部に導くための排出流路を備えた空気調和装置に用いられ、前記吸湿側流路部は前記吸入流路の流入流路部であり、前記再生側流路部は前記吸入流路の排出流路部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デシカントロータの目詰まりを検知するための目詰まり検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調装置として二つのデシカントロータを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この空調装置においては、装置ハウジング内に外部からの空気を室内に導くための吸入流路及び室内からの空気を外部に導くための排出流路が設けられ、吸入流路の流入流路部に第1吸湿域が設けられ、この吸入流路の排出流路部に第1再生域が設けられ、一方のデシカントロータ(第1デシカントロータ)は第1吸湿域及び第1再生域の間に跨がって配設されている。また、吸入流路の流入流路部における第1吸湿域の下流側に第2吸湿域が設けられ、排出流路の排出流路部に第2再生域が設けられ、他方のデシカントロータ(第2デシカントロータ)は第2吸湿域及び第2再生域の間に跨がって配設されている。
【0003】
この空調装置においては、外部からの空気が吸入流路(第1吸湿域、第2吸湿域及び第1再生域)を通して室内に流れ、かく流れる間に、この空気中の水分が第1吸湿域において第1デシカントロータの吸湿材に吸湿され、吸湿されることにより温度上昇した空気が第1熱交換器により冷却された後に第2吸湿域に送給される。この第2吸湿域においては、冷却された空気中の水分が第2吸湿域において第2デシカントロータの吸湿材に吸湿され、過剰に吸湿されて温度上昇した空気が第2熱交換器により冷却された後に第1再生域に送給される。第1再生域においては、過剰に吸湿された空気が第1デシカントロータの吸湿材に吸湿された水分を奪い取って吸湿材の再生が行われ、水分の脱着に伴う気化熱により冷却された空気が室内に排出され、この冷却された空気により室内の冷房を行うことができる。
【0004】
また、室内からの空気が排出流路(第2再生域)を通して外部に排出され、かく流れる間に、第2熱交換器により加温された空気が第2再生域において第2デシカントロータの吸湿材に吸湿された水分を奪い取って吸湿材の再生が行われ、水分の脱着に伴う気化熱により冷却された空気が外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−57953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような空調装置においては、次の通りの解決すべき問題がある。外気からの空気は吸入流路を通して室内に流れ、かく流れる際に、この空気に含まれる小さな塵、埃などがデシカントロータ(特に、第1デシカントロータ)のロータ部(即ち、空気が通流する部分)に付着し、長期にわたって使用するとこのロータ部に目詰まりが発生するおそれがある。このロータ部に目詰まりが発生すると、デシカントロータのロータ部の吸湿性能が低下し、この吸湿低下に起因して空調装置の冷房能力、冷房効率が低下する。また、この目詰まりが発生すると、ロータ部に付着した小さな塵、埃などが、吸湿材の再生時の空気の流れによって剥がれて空気とともに下流側に流れる。
【0007】
このようなことから、例えば、空調装置の積算運転時間を利用してデシカントロータの目詰まり判定を次のようにして行っている。この空調装置の積算運転時間を計測するための積算タイマなどが設けられ、この積算タイマの積算運転時間が設定積算時間に達するとロータ部に目詰まりが発生するおそれがあるとして目詰まり信号が生成され、この目詰まり信号に基づいて目詰まり表示手段(例えば、目詰まり表示ランプ)が作動して使用者に目詰まり発生を知らせる。
【0008】
しかしながら、積算運転時間を利用して目詰まり状態を判定する場合、空調装置の積算運転時間とデシカントロータの目詰まりとの間に密接な関係がなく、デシカントロータの目詰まり状態を正確に検知することができないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、デシカントロータの目詰まり状態を正確に検知することができるデシカントロータの目詰まり検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置は、空気を吸入する側の吸湿側流路部と空気を排出する側の再生側流路部とに跨がって配設されたデシカントロータにおける目詰まりを検知するための目詰まり検知装置であって、
前記吸湿側流路部の吸入空気の流れ方向に見て吸湿域の上流側に配設された第1吸湿側温度検知手段及び第1吸湿側湿度検知手段と、前記吸湿域の下流側に配設された第2吸湿側温度検知手段及び第2吸湿側湿度検知手段と、前記第1吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第1吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度を演算するとともに、前記第2吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第2吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度を演算する絶対湿度演算手段と、前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度と前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度との湿度差を演算する絶対湿度差演算手段と、前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度及び前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度に基づいて前記デシカントロータの目詰まりを判定する目詰まり判定手段と、を備え、前記目詰まり判定手段は、前記絶対湿度差演算手段による絶対湿度差が判定基準値以下になると目詰まり発生と判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置は、空気を吸入する側の吸湿側流路部と空気を排出する側の再生側流路部とに跨がって配設されたデシカントロータにおける目詰まりを検知するための目詰まり検知装置であって、
前記再生側流路部の排出空気の流れ方向に見て再生域の上流側に配設された再生側温度検知手段及び再生側湿度検知手段と、前記再生側温度検知手段の検知温度及び前記再生側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記再生域の流入側空気の絶対湿度を演算する絶対湿度演算手段と、前記絶対湿度演算手段により演算された絶対湿度に基づいて前記デシカントロータの再生量を演算する再生量演算手段と、前記再生量演算手段により演算された再生量を目詰まりの判定基準となる判定基準値として設定する判定基準値設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置では、前記再生側温度検知手段及び前記再生側湿度検知手段は、所定時間にわたって前記再生側流路部の前記再生域の流入側空気の温度及び湿度を検知し、前記絶対湿度演算手段は、前記所定時間にわたって検知された前記再生側温度検知手段の検知温度及び前記再生側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記再生域の流入側空気の絶対湿度を演算し、前記再生量演算手段は、前記絶対湿度演算手段により演算された前記所定時間における絶対湿度の最大絶対湿度に基づいて前記デシカントロータの最小再生量を演算し、前記判定基準値設定手段は、前記再生量演算手段により演算された前記最小再生量を前記判定基準値として設定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置では、前記吸湿側流路部の吸入空気の流れ方向に見て吸湿域の上流側に第1吸湿側温度検知手段及び第1吸湿側湿度検知手段が配設され、前記吸湿域の下流側に第2吸湿側温度検知手段及び第2吸湿側湿度検知手段が配設され、更に、前記デシカントロータの目詰まりを判定する目詰まり判定手段が設けられ、前記絶対湿度演算手段は、前記第1吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第1吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度を演算するとともに、前記第2吸湿側温度検知手段の検知温度及び前記第2吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度を演算し、前記目詰まり判定手段は、前記絶対湿度演算手段により演算された前記吸湿域の流入側空気の絶対湿度及び前記吸湿域の流出側空気の絶対湿度並びに前記判定基準値設定手段により設定された前記判定基準値に基づいて前記デシカントロータの目詰まりを判定することを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置では、前記デシカントロータは、外部の空気を室内に導くための吸入流路及び室内からの空気を外部に導くための排出流路を備えた空気調和装置に用いられ、前記吸湿側流路部は前記吸入流路の流入流路部であり、前記再生側流路部は前記吸入流路の排出流路部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置によれば、第1吸湿側温度検知手段が吸湿域の上流側の流入側空気の温度を検知し、第1吸湿側湿度検知手段がこの流入側空気の湿度を検知し、また第2吸湿側温度検知手段が吸湿域の下流側の流出側空気の温度を検知し、第2吸湿側湿度検知手段がこの流出側空気の湿度を検知するので、第1吸湿側温度検知手段の検知温度及び第1吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて流入側空気の絶対湿度を演算することができ、また第2吸湿側温度検知手段の検知温度及び第2吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて流出側空気の絶対湿度を演算することができ、流入側空気の絶対湿度及び流出側空気の絶対湿度に基づいてデシカントロータの目詰まりの判定を行うことができる。流入側空気の絶対湿度及び流出側空気の絶対湿度に基づいてデシカントロータの吸湿量を把握することができ、この吸湿量が低下するということはデシカントロータの表面に塵、埃などが付着しているということであり、従って、この吸湿量の変化に基づいてデシカントロータの目詰まりを検知することができる。また、吸湿域の流入側空気の絶対湿度とその流出側空気の絶対湿度との湿度差を演算し、この絶対湿度差(換言すると、デシカントロータの吸湿量)が判定基準値以下になると、塵、埃などの付着が原因で吸湿量が低下して目詰まりが発生していると判定することができる。
【0018】
また、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置によれば、再生域におけるデシカントロータの水分の脱着量(再生量)を目詰まり判定に用いることもできる。再生側温度検知手段が再生域の上流側の流入側空気の温度を検知し、再生側湿度検知手段がこの流入側空気の湿度を検知し、この検知温度及び検知湿度に基づいて再生域の流入側空気の絶対湿度を演算することができる。そして、この絶対湿度に基づいてデシカントロータの再生域での再生量を演算することができ、この演算した再生量を目詰まり判定基準として用いることによって、デシカントロータの目詰まりの判定を行うことができる。
【0019】
また、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置によれば、再生側温度検知手段及び再生側湿度検知手段は所定時間にわたって再生域の流入側空気の温度及び湿度を検知し、絶対湿度演算手段は、この所定時間にわたって検知された検知温度及び検知湿度に基づいて再生域の流入側空気の絶対湿度を演算し、再生量演算手段は所定時間における絶対湿度の最大絶対湿度に基づいてデシカントロータの最小再生量を演算する。絶対湿度が最大のときにはデシカントロータの再生効率が最も悪くなり、その再生量も最も小さくなる。この最小再生量を目詰まり判定の判定基準値として用いることによって、デシカントロータの目詰まりの判定を行うことができる。
【0020】
また、本発明の請求項に記載のデシカントロータの目詰まり検知装置によれば、吸湿域の上流側の流入側空気に関し、第1吸湿側温度検知手段の検知温度及び第1吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて流入側空気の絶対湿度を演算することができ、この吸湿域の下流側の流出側空気に関し、第2吸湿側温度検知手段の検知温度及び第2吸湿側湿度検知手段の検知湿度に基づいて流出側空気の絶対湿度を演算することができ、流入側空気の絶対湿度、流出側空気の絶対湿度及び目詰まりの判定の基準とする判定基準値に基づいてデシカントロータの目詰まりの判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に従うデシカントロータの目詰まり検知装置の一実施形態を備えたデシカント空調装置の一例の全体を示す簡略図。
図2図1の目詰まり検知装置およびこれに関連する制御系を示すブロック図。
図3図1の目詰まり検知装置の目詰まり判定の流れを示すフローチャート。
図4】デシカントロータの目詰まり検知装置の他の実施形態の一部を示す簡略図。
図5】再生域における流入側空気の相対温度とデシカントロータの脱着量(再生量)との関係を示す図。
図6図4の目詰まり検知装置及びこれに関連する制御系を示すブロック図。
図7図4の目詰まり検知装置の目詰まり判定の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うデシカントロータの目詰まり検知装置を備えたデシカント空調装置の一例について説明する。図1において、図示のデシカント空調装置は、空調対象空間(例えば、室内空間)の天井などに設置される装置ハウジング2を備え、この装置ハウジング2に、第1デシカントロータ4、第1顕熱交換器6、第2デシカントロータ8及び第2顕熱交換器10が内蔵されている。
【0023】
この実施形態では、装置ハウジング2の一端面側(図1において左端面側)に外部吸入部12、外部排出部14及び室内排出部16が設けられている。外気吸入部12は外部の空気を吸入するもので、この外気吸入部12を通して外部空気が吸入される。外部排出部14は、外部に空気を排出するもので、この外部排出部14通して外部に空気が排出される。室内排出部16は、後述するようにして冷却された空気を排出するもので、この室内排出部16には、例えば送給ダクト(図示せず)が接続され、室内排出部16からの冷却空気が送給ダクトを通して空調対象空間(一つ又は二つ以上の室内空間)に送給される。
【0024】
また、装置ハウジング2の他端面側(図1において右端面側)に室内吸入部23が設けられている。室内吸入部23は、空調対象空間からの室内空気を吸入するためのもので、この室内吸入部23を通して室内空気が吸入される。尚、この室内吸入部23には、空調対象空間から延びる吸入ダクト(図示せず)が接続される。
【0025】
このデシカント空調装置においては、外気吸入部12から吸入された空気は、外部からの空気を室内空間(空調対象空間)に導くための吸入流路24を通して室内排出部16に流れ、また室内吸入部23から吸入された空気は、室内からの空気を外部に導くための排出流路26を通して外部排出部14に流れる。
【0026】
この実施形態では、外気吸入部12から延びる吸入流路24は、第1デシカントロータ4の吸湿部28及び第1顕熱交換器6を通って第2デシカントロータ8の吸湿部30に至り、この第2デシカントロータ8の吸湿部30及び第2顕熱交換器10を通り、更に第1デシカントロータ4の再生部31を通って室内排出部16に至る。また、室内吸入部23から延びる排出流路26は、その中間部が第1中間分岐流路32及び第2中間分岐流路34に分岐され、第1中間分岐流路32は第1顕熱交換器6を通して排出流路26の下流側部に合流し、また第2中間分岐流路34は、第2顕熱交換器10及び第2デシカントロータ8の再生部36を通して排出流路26の下流側部に合流し、この排出流路26の下流側部を通して外部排出部14に至る。
【0027】
第1及び第2デシカントロータ4,8は円板状であり、それらのロータ部の全体が例えばハニカム状構造に構成されて多数の通気孔が設けられ、これらハニカム状構造の表面に吸湿材が担持(例えば、塗布)されている。第1デシカントロータ4は、吸入流路24の上流側部(具体的には、外気吸入部12と第1顕熱交換器6との間の部位であって、第1吸湿域K1)(吸湿側流路部を構成する)とその下流側部(具体的には、第2顕熱交換器10と室内排出部16との間の部位であって、第1再生域S1)(再生側流路部を構成する)に跨がって配設される。第1デシカントロータ4における第1吸湿域K1に位置する部位は、吸湿部28として機能し、この吸湿部28において、吸湿材が空気中に含まれる水分を吸湿する。また、第1デシカントロータ4における第1再生域S1に位置する部位は、再生部31として機能し、この再生部31において、吸湿された水分が奪い取られて吸湿材の再生が行われる。
【0028】
この第1デシカントロータ4には、例えば電動モータから構成される第1駆動源42が駆動連結され、第1駆動源42によって第1デシカントロータ4が矢印で示す方向に第1吸湿域K1及び第1再生域S1を通して回動され、かく回動されることによって、第1吸着域K1において空気中の水分の吸着が、また第1再生域S1において吸着された水分の放出が連続的に行われる。
【0029】
また、第2デシカントロータ8は、吸入流路24の中間部(具体的には、第1顕熱交換器6と第2顕熱交換器10との間の部位であって、第2吸湿域K2)と排出流路26(具体的には、第2中間分岐流路34における第2顕熱交換器10の配設部位よりも下流側の部位であって、第2再生域S2)に跨がって配設される。第2デシカントロータ8における第2吸湿域K2に位置する部位は、吸湿部30として機能し、この吸湿部30において、吸湿材が空気中に含まれる水分を吸湿する。また、第2デシカントロータ8における第2再生域S2に位置する部位は、再生部36として機能し、この再生部36において、吸湿された水分が奪い取られて吸湿材の再生が行われる。
【0030】
この第2デシカントロータ8には、例えば電動モータから構成される第2駆動源46が駆動連結され、第2駆動源46によって第2デシカントロータ4が矢印で示す方向に第2吸湿域K2及び第2再生域S2を通して回動され、かく回動されることによって、第2吸着域K2において空気中の水分の吸着が、また第2再生域S2において吸着された水分の放出が連続的に行われる。
【0031】
吸入流路24には、外部空気を吸入するための吸入送風機50が設けられ、この吸入送風機50は、第2顕熱交換器10と第1デシカントロータ4の再生部31との間の部位に配設されている。また、排出流路26には、空調対象空間の空気(室内空気)を排出するための排出送風機52が設けられ、この排出送風機52は、第1及び第2中間分岐流路32,34の合流部よりも下流側の部位に設けられている。尚、この吸入送風機50については、例えば、吸入流路24における第1デシカントロータ4の吸湿部28(換言すると、第1吸湿域K1)よりも上流側の部位に配設するようにしてもよく、また排出送風機52については、例えば第1及び第2中間分岐流路32,34の分岐部よりも上流側の部位に配設するようにしてもよい。
【0032】
このデシカント空調装置においては、更に、排出流路26の第2中間分岐流路34(具体的には、第2顕熱交換器10と第2デシカントロータ8の再生部36との間の部位)に、加熱手段としての温水熱交換器54が設けられている。この温水熱交換器54に関連して、温水を生成するための熱源機56が設けられ、この熱源機56と温水熱交換器54とが温水循環流路58を介して接続され、熱源機56にて生成された温水は、温水循環流路58及び温水熱交換器54を通して循環される。尚、加熱手段として電気的加熱手段(例えば、電気ヒータ)を用いるようにしてもよい。
【0033】
このデシカント空調装置では、外部空気は吸入流路24を通して空調対象空間(室内空間)に流れ、また空調対象空間(室内空間)の空気は、排出流路26を通して外部に流れ、かく流れる間に、吸入流路24を流れる空気が次のようにして冷却され、生成された冷却空気が空調対象空間に送給される。
【0034】
外気吸入部12を通して吸入流路24に吸入された空気は、第1デシカントロータ4に流れ、第1吸湿部K1において、第1デシカントロータ4の吸湿部28を通して流れる間に、空気中の水分が吸湿部28の吸湿材に吸着されてその温度が上昇する。そして、除湿された高温の空気が第1顕熱交換器6に流れ、この第1顕熱交換器6において、第1中間分岐流路32を流れる室内空気との間で熱交換が行われ、この熱交換によって吸入流路24を流れる空気の温度が低下する。その後、温度が低下した除湿空気が第2デシカントロータ8に流れ、第2吸湿域K2において、第2デシカントロータ8の吸湿部30を流れる間に、空気中の水分が吸湿部30の吸湿材に更に吸着され、過剰に吸湿されてその温度が上昇する。
【0035】
この過剰に除湿された高温の空気は、第2顕熱交換器10に流れ、この第2顕熱交換器10において、第2中間分岐流路34を流れる室内空気との間で熱交換が行われ、この熱交換によって吸入流路24の空気の温度が低下し、温度低下した空気が第1デシカントロータ4に流れる。第1再生域S1においては、第1デシカントロータ4の再生部31を通して流れる間に、過剰に除湿された空気が、この再生部31の吸湿材に吸着された水分を奪い取り(この水分の奪い取りにより、第1デシカントロータ4の除湿材の再生が行われる)、奪い取った水分によって空気の湿度が上昇する一方、この水分の脱着に伴う気化熱によってこの空気の冷却が行われ、このようにして冷却された空気が室内排出部16から空調対象空間に送られる。
【0036】
尚、空調対象空間から第2中央分岐流路34に送給された室内空気は、上述したように、第2顕熱交換器10を通して流れる間に、吸入流路24を流れる空気との間の熱交換によって加温され、この加温された空気は、温水熱交換器54において、熱源機56から温水循環ライン58を通して流れる温水との間の熱交換によって更に加温され、このように加温された空気が第2デシカントロータ8に流れる。第2再生域S2においては、第2デシカントロータ8の再生部36を流れる間に、この加温された空気が、第2デシカントロータ8の吸湿材に吸着された水分を奪い取り、これによって、第2デシカントロータ8の除湿材が再生され、この水分を含む空気が、排出流路26を通して外部に排出される。
【0037】
このデシカント空調装置では、第1デシカントロータ4の目詰まり状態を検知するために、更に、次の通りに構成されている。図1とともに図2を参照して、この実施形態では、吸入空気の流れ方向に見て吸入流路24の第1吸湿域K1の上流側に第1温度検知手段60(第1吸湿側温度検知手段を構成し、例えば温度センサから構成される)及び第1湿度検知手段62(第1吸湿側湿度検知手段を構成し、例えば湿度センサから構成される)が配設されている。第1温度検知手段60は、第1デシカントロータ4の吸湿部28に流入する流入側空気の温度を検知し、第1湿度検知手段62は、この流入側空気の湿度(相対湿度)を検知する。
【0038】
また、吸入空気の流れ方向に見て吸入流路24の第1吸湿域K1の下流側に第2温度検知手段64(第2吸湿側温度検知手段を構成し、例えば温度センサから構成される)及び第2湿度検知手段66(第2吸湿側湿度検知手段を構成し、例えば湿度センサから構成される)が配設されている。第2温度検知手段64は、第1デシカントロータ4の吸湿部28から流出する流出側空気の温度を検知し、第2湿度検知手段66は、この流出側空気の湿度(相対湿度)を検知する。
【0039】
第1及び第2温度検知手段60,64並びに第1及び第2湿度検知手段62,66からの検知信号はコントローラ72に送給され、コントローラ72は、これらの検知信号に基づいて第1デシカントロータ4の目詰まり状態を検知する。図示のコントローラ72は、例えばマイクロプロセッサなどから構成され、絶対湿度演算手段74、絶対湿度差演算手段76、目詰まり判定手段78、注意信号生成手段80及び警告信号生成手段82を含んでいる。絶対湿度演算手段74は、第1温度検知手段60の検知温度及び第1湿度検知手段62の検知湿度に基づいて流入側空気の絶対湿度(x)を演算し、また第2温度検知手段64の検知温度及び第2湿度検知手段66の検知湿度に基づいて流出側空気の絶対湿度(x)を演算する。また、絶対湿度差演算手段76は、流入側空気の絶対湿度(x)と流出側空気の絶対湿度(x)との湿度差(Δx)(Δx=x−x)、換言すると第1吸湿域K1における第1デシカントロータ4の吸湿量を演算し、目詰まり判定手段78は、この絶対湿度差(Δx)に基づいて後述するようにして目詰まりを判定する。また、注意信号生成手段80は、後述するように注意信号を生成し、警告信号生成手段82は、後述するように警告信号を生成する。
【0040】
このコントローラ72は、更に、積算タイマ84及びメモリ手段86を含んでいる。積算タイマ84は、デシカント空調装置の積算運転時間を計測し、この積算タイマ84の積算時間が例えば100時間達する毎に後述する目詰まりチェックが実行される。また、メモリ手段86には、目詰まりチェックを実行する積算運転時間(この形態では、100時間、200時間、300時間・・・)が記憶されているとともに、目詰まり発生の注意を促す基準となる注意判定基準値(x)及び目詰まり発生の警告を知らせる基準となる警告判定基準値(x)などが記憶されている。
【0041】
このコントローラ72に関連して、目詰まり状態の注意を促すための注意表示手段88及び目詰まり状態の警告を知らせるための警告表示手段90が設けられている。注意表示手段88は、例えば黄色に発光するLEDランプ(図示せず)などから構成することができ、また警告表示手段90は、例えば赤色に発光するLEDランプ(図示せず)などから構成することができる。尚、注意表示手段88及び警告表示手段90を一つのLEDランプなどから構成し、注意を促すときには、このLEDランプを点滅させ、警告を知らせるときには、このLEDランプを点灯させるようにしてもよい。
【0042】
次に、この目詰まり検知装置を用いた目詰まり検知の流れについて説明する。主として図2及び図3を参照して、デシカント空調装置の電源スイッチ(図示せず)をオン(閉)操作すると、ステップS1からステップS2に進み、デシカント空調装置が作動して上述したようにして冷却空気が生成されるとともに、積算タイマ84が作動して稼働時間の積算が行われる。そして、この積算タイマ84の積算時間が目詰まりチェックの時間に達する(例えば、機器の使用開始から100時間、200時間、300時間・・・に達する)と、ステップS3を経てステップS4に進み、第1デシカントロータ4の目詰まりチェックが行われる。
【0043】
この目詰まり状態のチェックにおいては、流入側空気及び流出側空気の絶対湿度が演算される(ステップS5)。即ち、第1温度検知手段60が第1吸湿域S1に流入する流入側空気の温度を検知し、第1湿度検知手段62が流入側空気の湿度を検知し、絶対湿度演算手段76はこれら検知温度及び検知湿度に基づいて流入側空気の絶対湿度(x)を演算する。また、第2温度検知手段64が第1吸湿域S1から流出する流出側空気の温度を検知し、第2湿度検知手段66が流出側空気の湿度を検知し、絶対湿度演算手段76はこれら検知温度及び検知湿度に基づいて流出側空気の絶対湿度(x)を演算する。
【0044】
そして、流入側空気の絶対湿度(x)及び流出側空気の絶対湿度(x)に基づいて、絶対湿度差演算手段76は第1デシカントロータ4の吸湿部28を通して流れる空気の絶対湿度差(Δx=x−x)を演算し(ステップS6)、この絶対湿度差(Δx)が第1デシカントロータ4の吸湿部28での吸湿量となる。
【0045】
その後、この絶対湿度差(Δx)に基づいて目詰まり状態の判定が行われ(ステップS7)、この絶対湿度差(Δx)が注意判定基準値(x)以下である(Δx≦x)か、またこの絶対湿度差(Δx)が警告判定基準値(x)以下である(Δx≦x)かの判定が行われる。上記絶対湿度差(Δx)が注意判定基準値(x)を超えている場合(Δx>x)、第1デシカントロータ4の吸湿量がほとんど低下していないということであり、このような場合には、ステップS7からステップS8を経てステップS9に進み、目詰まり判定手段78は、第1デシカントロータ4に目詰まりが発生していないとして「目詰まりなし」の判定を行い、ステップS10に移って目詰まり状態のチェックが終了する。
【0046】
また、上記絶対湿度差(Δx)が警告判定基準値(x)よりも大きく(Δx>x)且つ注意判定基準値(x)以下である(Δx≦x)場合、第1デシカントロータ4の吸湿量が塵、埃などの付着によりある程度低下しているということであり、このような場合、ステップS7からステップS8及びステップS11を経てステップS12に移り、目詰まり判定手段78は、第1デシカントロータ4にある程度目詰まりが発生しているとして「目詰まり注意」の判定を行う。かくすると、注意信号生成手段は80は、この「目詰まり注意」の判定に基づいて注意信号を生成し(ステップS13)、この注意信号に基づいて注意表示手段88が作動し(ステップ14)、この注意表示手段88によって、目詰まり状態がある程度進んでいることを使用者に知らせる。
【0047】
更に、上記絶対湿度差(Δx)が警告判定基準値(x)以下である(Δx≦x)場合、第1デシカントロータ4の吸湿量が塵、埃などの付着により大きく低下しているということであり、このような場合、ステップS7からステップS8及びステップS11を経てステップS15に移り、目詰まり判定手段78は、第1デシカントロータ4に大きく目詰まりが発生しているとして「目詰まり警告」の判定を行う。かくすると、警告信号生成手段82は、この「目詰まり警告」の判定に基づいて警告信号を生成し(ステップS16)、この警告信号に基づいて警告表示手段90が作動し(ステップ17)、この警告表示手段90によって、目詰まり状態が大きく進んでいることを使用者に知らせる。
【0048】
次に、図4図7を参照して、デシカントロータの目詰まり検知装置の他の実施形態について説明する。尚、この実施形態において、上述した実施形態と実質上同一のものについては同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図4及び図6において、この実施形態では、吸入空気の流れ方向に見て吸入流路24(吸湿側流路部として機能する)における第1吸湿域K1の上流側に第1温度検知手段60(第1吸湿側温度検知手段)及び第1湿度検知手段62(第1吸湿側湿度検知手段)が配設され、この第1吸湿域K1の下流側に第2温度検知手段64(第2吸湿側温度検知手段)及び第2湿度検知手段66(第2吸湿側湿度検知手段)が配設され、更に吸入空気の流れ方向に見て吸入流路24(再生側流路部としても機能する)における第1再生域S1の上流側に第3温度検知手段102(再生側温度検知手段を構成する)及び第3湿度検知手段104(再生側湿度検知手段を構成する)が配設されている。第3温度検知手段102は、第1再生域S1に流入する流入側空気の温度を検知し、第3湿度検知手段104は、この流入側空気の湿度(相対湿度)を検知する。
【0050】
この形態では、第3温度検知手段102及び第3湿度検知手段104の検知温度及び検知湿度を用いて、目詰まり状態の警告を発する基準となる警告判定基準値(x)が設定され、この警告判定基準値(x)に基づいて次のようにして目詰まりの判定が行われる。更に説明すると、コントローラ72Aは、絶対湿度演算手段74A、目詰まり判定手段78A及び積算タイマ84に加えて、最大絶対湿度抽出手段106、最小再生量演算手段108、判定基準値設定手段110、吸湿量演算手段112、目詰まり信号生成手段113、第1メモリ手段114及び第2メモリ手段116を含んでいる。
【0051】
絶対湿度演算手段74Aは、第3温度検知手段102の検知温度及び第3湿度検知手段104の検知湿度に基づいて第1再生域S1の上流側の流入側空気の絶対湿度を演算するとともに、上述したと同様に、第1温度検知手段60の検知温度及び第1湿度検知手段62の検知湿度に基づいて第1吸湿域K1の上流側の流入側空気の絶対湿度を演算し、また第2温度検知手段64の検知温度及び第2湿度検知手段66の検知湿度に基づいて第1吸湿域K1の下流側の流出側空気の絶対湿度を演算する。また、最大絶対湿度抽出手段106は、設定所定時間(例えば3〜5時間程度に設定される)にわっての流入側空気の絶対湿度のうちの最大値(最大絶対湿度)を抽出し、最小再生量演算手段108は、この最大絶対湿度に基づいて第1デシカントロータ4の最小再生量(最小再生値)を演算し、判定基準値設定手段110は、この最小再生量を目詰まり判定基準値(x)(上述した実施形態における警告判定基準値に相当する)として設定する。
【0052】
また、吸湿量演算手段112は、第1デシカントロータ4の吸湿部28の吸湿量を演算し、目詰まり判定手段78Aは、設定された目詰まり判定基準値(x)に基づいて後述する如くして目詰まり状態の判定を行い、目詰まり信号生成手段113は、後述する如くして目詰まり信号を生成する。積算タイマ84は、上述したと同様に、デシカント空調装置の積算運転時間を計測する。
【0053】
更に、第1メモリ手段114には、目詰まりチェックを実行する積算運転時間(この形態では、100時間、200時間・・・)、第1再生域S1の流入側空気の温度及び湿度を検知する所定設定時間、流入側空気の相対湿度と水分の脱着量との関係を示すマップなどが登録され、また第2メモリ手段116には、第3温度検知手段102の検知温度、第3湿度検知手段104の検知湿度、第1再生域S1の流入側空気の絶対湿度、最大絶対湿度、目詰まり判定基準値などが記憶される。尚、このコントローラ72Aに関連して目詰まり表示手段120が設けられ、第1デシカントロータ4に目詰まりが発生したときに目詰まり表示手段120が作動される。
【0054】
次に、この目詰まり検知装置を用いた目詰まり検知の流れについて説明する。主として図6及び図7を参照して、デシカント空調装置の電源スイッチ(図示せず)をオン(閉)操作すると、ステップS21からステップS22に進み、デシカント空調装置が作動するとともに、積算タイマ84が作動して稼働時間の積算が行われる。そして、この積算タイマ84の積算時間が目詰まりチェックの時間に達する(例えば、機器の使用開始から100時間、200時間、300時間・・・に達する)と、ステップS23を経てステップS24に進み、第1デシカントロータ4の目詰まりチェックが行われる。
【0055】
この目詰まり状態のチェックにおいては、まず、第1再生域S1の流入側空気の絶対湿度の検知が行われる(ステップS25)。絶対湿度演算手段74Aは、第3温度検知手段102の検知温度及び第3湿度検知手段104の検知湿度に基づいて第1再生域S1の上流側の流入側空気の絶対湿度を演算し、演算された絶対湿度は、そのときの検知温度及び検知湿度とともに第2メモリ手段116に記憶される(ステップS26)。この流入側空気の絶対湿度の演算は、設定所定時間(例えば、3〜5時間)にわたって行われ、設定所定時間行われた後にステップS27からステップS28に進む。
【0056】
ステップS28においては、最大絶対湿度の抽出が行われる(ステップS28)。最大絶対湿度抽出手段106は、設定所定時間における流入側空気の絶対湿度のうち最大値(最大絶対湿度)を抽出する。絶対湿度が最大のときには、第1デシカントロータ4の再生部31における吸湿材の再生が最も少なく、吸湿材からの水分の脱着量が最も少なくなり(その結果として、第1デシカントロータ4の吸湿部28の吸湿量が最も少なくなる)、従って、この最小絶対湿度のときに吸湿材の脱着量が最小となる。
【0057】
次いで、この流入側空気の最小絶対湿度を用いて第1デシカントロータ4の最小再生量を演算する。この形態では、最小再生量演算手段108は、流入側空気の最小絶対湿度及びこのときの流入側空気の温度(第3温度検知手段104の検知温度)に基づいて、このときの対応する相対湿度を演算し(ステップS29)、更に図4に示す流入側空気の相対湿度と脱着量(再生量)との関係を示したマップデータを用い、演算した相対湿度及びこのときの温度(検知温度)に基づいて最小再生量を演算する(ステップS30)。例えば、流入側空気の温度(第3温度検知手段102の検知温度)が20℃で、その湿度(相対湿度)がP(%)のときに脱着量(再生量)はx(g/m)となる(図5参照)。尚、この形態では、ステップS29において相対湿度を演算しているが、このように演算することに代えて、最小絶対湿度のときの相対湿度(第3湿度検知手段104の検知湿度)を用いるようにしてもよい。
【0058】
そして、判定基準値設定手段110は、この最小再生量を目詰まり判定基準値(x)として設定し(ステップS31)、この目詰まり判定基準値(x)を用いて、上述したと同様にして目詰まりの判定が行われる。吸湿量演算手段112は、上述した実施形態における絶対湿度演算手段74及び絶対湿度差演算手段76と同様にして第1デシカントロータ4の吸湿部28における吸湿量を演算する(ステップS32)。即ち、この吸湿量演算手段112は、第1吸湿域K1の上流側の流入側空気の温度(第1温度検知手段60の検知温度)及び湿度(第1湿度検知手段62の検知湿度)に基づいて流入側空気の絶対湿度(x)を演算し、また第1吸湿域K1の下流側の流出側空気の温度(第2温度検知手段64の検知温度)及び湿度(第2湿度検知手段66の検知湿度)に基づいて流出側空気の絶対湿度(x)を演算し、流入側空気の絶対湿度(x)及び流出側空気の絶対湿度(x)に基づいて絶対湿度差(Δx=x−x)を演算し、この絶対湿度差(Δx)が第1デシカントロータ4の吸湿部28での吸湿量となる。
【0059】
その後、判定基準値設定手段110により設定された目詰まり判定基準値(x)及びこの絶対湿度差(Δx)(即ち、吸湿量)に基づいて目詰まり状態の判定が行われる(ステップS33)。上記絶対湿度差(Δx)(吸湿量)が目詰まり判定基準値(x)を超えている場合(Δx>x)、第1デシカントロータ4の吸湿量が低下していないということであり、このような場合には、ステップS33からステップS34を経てステップS35に進み、目詰まり判定手段78Aは、第1デシカントロータ4に目詰まりが発生していないとして「目詰まりなし」の判定を行い、ステップS36に移って目詰まり状態のチェックが終了する。
【0060】
また、上記絶対湿度差(Δx)(吸湿量)が目詰まり判定基準値(x)以下である(Δx≦x)場合、第1デシカントロータ4の吸湿量が塵、埃などの付着により低下しているということであり、このような場合には、ステップS33からステップS34を経てステップS37に移り、目詰まり判定手段78Aは、第1デシカントロータ4に目詰まりが発生しているとして「目詰まり」の判定を行う。かくすると、目詰まり信号生成手段113は、この「目詰まり」の判定結果に基づいて目詰まり信号(上述した実施形態における警告信号に相当する)を生成し(ステップS38)、この目詰まり信号に基づいて目詰まり表示手段120が作動し(ステップ39)、この目詰まり表示手段120によって、目詰まりが発生していることを使用者に知らせる。
【0061】
以上、本発明に従うデシカントロータの目詰まり検知装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、二つのデシカントロータ(第1デシカントロータ4及び第2デシカントロータ8)を備えたデシカント空調装置に適用して説明したが、このような空調装置に限定されず、一つのデシカントロータを備えた空調装置にも同様に適用することができる。このようなデシカント空調装置では、外部からの空気を空調対象空間(室内空間)に導くための吸入流路及び空調対象空間からの室内空気を外部に持ちびくための排出流路が設けられ、この吸入流路(その一部が吸湿側流路部を構成する)に吸湿域が設けられ、またこの排出流路(その一部が再生側流路部を構成する)に再生域が設けられ、デシカントロータは吸入流路の吸湿域と排出流路の再生域に跨がって配設される。
【符号の説明】
【0063】
4 第1デシカントロータ
8 第2デシカントロータ
24 吸入流路
26 排出流路
60 第1温度検知手段
62 第1湿度検知手段
64 第2温度検知手段
66 第2湿度検知手段
74,74A 絶対湿度演算手段
76 絶対湿度差演算手段
78,78A 目詰まり判定手段
102 第3温度検知手段
104 第3湿度検知手段
106 最大絶対湿度抽出手段
108 最小再生量演算手段
110 判定基準値設定手段
K1 第1吸湿域
K2 第2吸湿域
S1 第1再生域
S2 第2再生域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7