特許第6204743号(P6204743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204743タービンエンジン用のクリープ寿命管理システム及びその作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204743
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】タービンエンジン用のクリープ寿命管理システム及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/00 20060101AFI20170914BHJP
   F01D 5/14 20060101ALI20170914BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20170914BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20170914BHJP
   G01N 29/12 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F02C7/00 A
   F01D5/14
   F01D9/02 101
   F01D25/00 V
   F01D25/00 W
   G01N29/12
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-163705(P2013-163705)
(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公開番号】特開2014-51971(P2014-51971A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】13/585,194
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ニレッシュ・トラルシャワラ
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド・エドワード・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェック・ベヌゴパル・バダミ
(72)【発明者】
【氏名】サミール・ビッタル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ホワイト・セックストン
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−132456(JP,A)
【文献】 特開2009−168020(JP,A)
【文献】 特開2005−323392(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0019362(US,A1)
【文献】 米国特許第07810385(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
F01D 25/00
G01N 29/12、24−275、36−42
G01K 7/32
G01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサ装置であって、前記複数のセンサ装置のそれぞれが、タービンエンジンの複数の回転可能構成要素のそれぞれに結合し、一意の識別子を有する、複数のセンサ装置と、
前記タービンエンジンの固定構成要素に結合された少なくとも1つのリーダユニットであって、前記少なくとも1つのリーダユニットは、前記複数のセンサ装置のそれぞれに問い合わせリクエスト信号を送信し、前記複数のセンサ装置のそれぞれから送信された測定応答信号を受信するよう構成された、少なくとも1つのリーダユニットと、
アラーム構成要素と、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記センサ装置のそれぞれから送信された前記測定応答信号に応じて前記回転可能構成要素のそれぞれについてのリアルタイムクリーププロファイルを決定し、
前記センサ装置のそれぞれから送信された前記測定応答信号に応じて前記回転可能構成要素のそれぞれについてのリアルタイム残存耐用年数(RUL)推定を決定し、
前記複数の回転可能構成要素の保守作業の優先順位決定するために、前記センサ装置のそれぞれに対するRUL推定を比較する、
ようにプログラムされ、
前記アラーム構成要素が、
前記複数のセンサ装置から送信された前記測定応答信号の少なくとも1つに関するアラーム信号を、前記少なくとも1つのプロセッサから受信し、
前記少なくとも1つのプロセッサからの前記アラーム信号の受信に応じてアラーム動作を行う、
ようにプログラムされている、
タービンエンジンのクリープ寿命管理システム。
【請求項2】
前記リアルタイムクリーププロファイルを決定するようプログラムされた少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の回転可能構成要素のうちに少なくとも1つについての履歴温度プロファイル、履歴歪みプロファイル、及び履歴クリーププロファイルのうちの少なくとも1つを決定するようにプログラムされている、請求項1に記載のクリープ寿命管理システム。
【請求項3】
前記アラーム構成要素が、前記複数の回転可能構成要素のうちに少なくとも1つについての測定したリアルタイム歪み値が、所定値に接近したとき、前記所定値に到達したとき、及び前記所定値を超過したときのうちの少なくとも1つのときに、オペレータに警告するようにプログラムされている、請求項1または2に記載のクリープ寿命管理システム。
【請求項4】
少なくとも1つのプロセッサがさらに、前記複数の回転可能構成要素のそれぞれについてのRUL推定と少なくとも1つの所定のRULパラメータとを比較するようにプログラムされている、請求項1から3のいずれかに記載のクリープ寿命管理システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリーダユニットに結合された第1の複数のアンテナと、
第2の複数のアンテナを含む複数のセンサ装置と、
のうちの少なくとも1つを更に備え、
前記第1の複数のアンテナ及び前記第2の複数のアンテナの各々が、
前記第1の複数のアンテナの各々間の距離(D)が、
1波長の少なくとも1/4、
前記第1の複数のアンテナの少なくとも1つ及び前記第2の複数のアンテナの少なくとも1つによって定められる無線チャンネルと関連付けられる少なくとも空間コヒーレンス距離(D)、
のうちの少なくとも一方であり、
前記第2の複数のアンテナの各々間の距離(D)が、
1波長の少なくとも1/4、
前記第1の複数のアンテナの少なくとも1つ及び前記第2の複数のアンテナの少なくとも1つによって定められる無線チャンネルと関連付けられる少なくとも空間コヒーレンス距離(D)、
のうちの少なくとも一方である
ように位置付けられる、
請求項1から4のいずれかに記載のクリープ寿命管理システム。
【請求項6】
前記複数のセンサ装置及び前記少なくとも1つのリーダユニットが、無線通信で結合されており、
前記複数のセンサ装置のそれぞれが、歪み測定センサ及び温度測定センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5のいずれかに記載のクリープ寿命管理システム。
【請求項7】
複数の回転可能構成要素と、
少なくとも1つの固定構成要素と、
クリープ寿命管理システムと、
を備え、
前記クリープ寿命管理システムが、
複数のセンサ装置であって、前記複数のセンサ装置のそれぞれが、前記複数の回転可能構成要素のそれぞれに結合し、一意の識別子を有する、複数のセンサ装置と、
前記少なくとも1つの固定構成要素に結合された少なくとも1つのリーダユニットであって、前記少なくとも1つのリーダユニットは、前記複数のセンサ装置のそれぞれに問い合わせリクエスト信号を送信し、前記複数のセンサ装置のそれぞれから送信された測定応答信号を受信するよう構成された、少なくとも1つのリーダユニットと、
アラーム構成要素と、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記センサ装置のそれぞれから送信された前記測定応答信号に応じて前記回転可能構成要素のそれぞれについてのリアルタイムクリーププロファイルを決定し、
前記センサ装置のそれぞれから送信された前記測定応答信号に応じて前記回転可能構成要素のそれぞれについてのリアルタイム残存耐用年数(RUL)推定を決定し、
前記複数の回転可能構成要素の保守作業の優先順位決定するために、前記センサ装置のそれぞれに対するRUL推定を比較する、
ようにプログラムされ、
前記アラーム構成要素が、
前記複数のセンサ装置から送信された前記測定応答信号の少なくとも1つに関するアラーム信号を、前記少なくとも1つのプロセッサから受信し、
前記少なくとも1つのプロセッサからの前記アラーム信号の受信に応じてアラーム動作を行う、
ようにプログラムされている、
タービンエンジン。
【請求項8】
前記センサ装置のそれぞれが、センサアンテナを有し、
前記少なくとも1つのリーダユニットが、複数のリーダアンテナを含み、該リーダアンテナの各々が、一対多の関係及び一対一の関係の一方で前記センサアンテナのうちの1つ以上と通信可能に結合されている、
請求項7に記載のタービンエンジン。
【請求項9】
前記センサ装置のそれぞれが、センサアンテナを有し、
前記少なくとも1つのリーダユニットが、1つのリーダアンテナを含み、前記リーダアンテナが、一対多の関係で前記センサアンテナの各々と通信可能に結合されている、請求項7に記載のタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で記載される実施形態は、全体的に、システム及び機器の状態監視に関し、より詳細には、ターボ機械の状態監視で使用する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の公知のターボ機械、すなわち、ガスタービンエンジンは、複数の回転可能な圧縮機ブレードを介して空気を加圧して、燃焼器内で燃料−空気混合気を点火して燃焼ガスを生成し、これら燃焼ガスは、高温のガス経路を介して回転可能なタービンバケットを通って送られる。また、少なくとも一部の他の公知のターボ機械、すなわち、蒸気タービンエンジンは、蒸気経路を介して回転可能なバケットを通って蒸気を送る。このような公知のターボ機械は、燃焼ガスストリームの熱エネルギーを機械エネルギーに変換し、該機械エネルギーを用いて、タービンシャフトを回転させる。ターボ機械からの出力は、機械、例えば、発電機、圧縮機、又はポンプを作動させるのに用いることができる。
【0003】
多くの公知の圧縮機ブレード及びタービンバケットは、同様のユニットの間で一貫した材料特性を有してこのようなブレード及びバケットの生産を可能にするプロセスによって製造される。しかしながら、ブレード及びバケットの材料特性における僅かな材料変動が存在する場合があり、これを検出することは困難である。これらのブレード及びバケットが稼働されると、このような僅かな差違により、ブレード及びバケットの残存耐用年数(RUL)の変動が生じ始める。
【0004】
ブレード及びバケットのようなターボ機械構成要素に対する少なくとも一部の公知の保守補修プロセスは、標準化された作業範囲によって機器を処理するために機器の同様の全ての部品に適用される標準化された検査及び補修方法を利用している。このような標準の作業範囲は、ターボ機械の分解、広範囲に及ぶ検査、及び改善補修手順を含むことができ、これらは、各構成要素の実際の状態とは関係なく各構成要素に適用される。例えば、構成要素の寿命を予測するよう構成された構成要素モデルが交換スケジュールを決定することができ、これらの値は、交換をスケジュール設定するのに使用される。その結果、僅かな欠陥を有する構成要素又は欠陥が全くない構成要素は、不必要な交換を含めて、顕著な欠陥を有する構成要素と同様の資産費用で処理される場合がある。この資産費用は、財政的観点から最善ではないとみなされる。
【0005】
また、ターボ機械構成要素における少なくとも一部の公知の保守補修プロセスは、標準非破壊調査(NDE)及びその後のデータ分析を含む検査結果に不確定要素を含む場合がある。例えば、多くの公知のNDEプロセス/分析は、亀裂成長速度を含む、クリープ及びクリープ疲労の関数としての亀裂成長データの十分な相関関係を提供するものではない。加えて、特定の構成要素に対する亀裂成長速度を特徴付ける機構があったとしてもごく僅かでしかない。従って、進行性のクリープを受けている構成要素のRULを決定することは困難である。クリープは、構成要素の寸法の測定及び経時的な寸法変化の追跡によって推定される。記録管理の実施は標準化されておらず、一般的には、構成要素の元の寸法及びその後の測定に関する不確定性に起因して、クリープを正確に判定することは困難である。
【0006】
更に、タービン及び圧縮機を作動させる少なくとも一部の公知の測定システムは、圧縮機ブレード及びタービンバケットに結合された計測装置を含む。これらのシステムは通常、ブレード及びバケットから外部のデータ記憶装置及び分析ユニットに測定データを伝送するために、多数の配線、該配線を収容するためのバケット及びブレードに対する修正、並びに監視する構成要素の回転作動に起因して必要となる複雑なスリップリング構成を必要とする。従って、このようなシステムは建設コスト及び保守コストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,810,385号明細書
【発明の概要】
【0008】
1つの態様において、クリープ寿命管理システムが提供される。クリープ寿命管理システムは、第1の構成要素に結合された少なくとも1つのセンサ装置を含む。少なくとも1つのセンサ装置が、一意の識別子を有して構成される。クリープ寿命管理システムはまた、第2の構成要素に結合された少なくとも1つのリーダユニットを含む。少なくとも1つのリーダユニットは、少なくとも1つのセンサ装置に問い合わせリクエスト信号を送信し、少なくとも1つのセンサ装置から送信された測定応答信号を受信するよう構成される。クリープ寿命管理システムは更に、少なくとも1つのセンサ装置から送信された測定応答信号の関数として第1の構成要素についてのリアルタイムクリーププロファイルを決定するようプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを含む。
【0009】
別の態様において、タービンエンジンを作動させる方法が提供される。タービンエンジンは、少なくとも1つの回転可能構成要素、少なくとも1つの固定構成要素、及びクリープ寿命管理システムを含み、該クリープ寿命管理システムが、少なくとも1つの回転可能構成要素に結合された第1の部分と、少なくとも1つの固定構成要素に結合された第2の部分とを含む。本方法は、少なくとも1つの固定構成要素に対して少なくとも1つの回転可能構成要素を回転させ、第2の部分によって第1の部分を問い合わせる段階を含む。本方法はまた、第2の部分により問い合わせに応答して第1の部分から応答信号を送信する段階を含み、該応答信号は、少なくとも1つの回転可能構成要素の測定値を表している。本方法は更に、第2の部分にて応答信号を受け取り、応答信号に少なくとも部分的に基づいた少なくとも1つの回転構成要素についての一意のクリーププロファイルを決定する段階を含む。
【0010】
別の態様において、タービンエンジンが提供される。タービンエンジンは、少なくとも1つの回転可能構成要素及び少なくとも1つの固定構成要素を含む。タービンエンジンはまた、クリープ寿命管理システムを含み、該クリープ寿命管理システムは、少なくとも1つの回転可能構成要素に結合された少なくとも1つのセンサ装置を有する。少なくとも1つのセンサ装置は、一意の識別子を有して構成される。クリープ寿命管理システムはまた、少なくとも1つの回転可能構成要素に結合された少なくとも1つのリーダユニットを含む。少なくとも1つのリーダユニットは、少なくとも1つのセンサ装置に問い合わせリクエスト信号を送信し、少なくとも1つのセンサ装置から送信された測定応答信号を受信するよう構成される。クリープ寿命管理システムは更に、少なくとも1つのセンサ装置から送信された測定応答信号の関数として少なくとも1つの固定構成要素のリアルタイムクリーププロファイルを決定するようプログラムされた少なくとも1つのプロセッサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的なガスタービンエンジンの概略図。
図2図1に示すガスタービンエンジンと共に用いることができる例示的なクリープ寿命管理システムの概略図。
図3図1に示すガスタービンエンジンと共に用いることができる例示的なタービンバケットの概略図。
図4図1に示すガスタービンエンジンと共に用いることができる代替の例示的なクリープ寿命管理システムの概略図。
図5図1に示すガスタービンエンジンと共に用いることができる別の代替の例示的なクリープ寿命管理システムの概略図。
図6図1に示すガスタービンエンジン内での図2、4、及び5に示すクリープ寿命管理システムの一部の例示的な位置決めの概略図。
図7】モニタと、図2、4、及び5に示すクリープ寿命管理システムによって生成される例示的な画面表示とを示す概略図。
図8】モニタと、図2、4、及び5に示すクリープ寿命管理システムによって生成される別の例示的な画面表示とを示す概略図。
図9】モニタと、図2、4、及び5に示すクリープ寿命管理システムによって生成される更に別の例示的な画面表示とを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、回転機械100、すなわちターボ機械、及びより具体的にはタービンエンジンの概略図である。例示的な実施形態において、タービンエンジン100は、ガスタービンエンジンである。或いは、タービンエンジン100は、限定ではないが、蒸気タービンエンジンを含む、他の何れかのタービンエンジン及び/又は回転機械である。例示的な実施形態において、ガスタービンエンジン100は、吸気セクション102と、該吸気セクション102から下流側で且つ流れ連通して結合された圧縮機セクション104とを含む。圧縮機セクション104は、圧縮機ケーシング105内に密閉される。燃焼器セクション106は、圧縮機セクション104から下流側で且つ流れ連通して結合され、タービンセクション108は、燃焼器セクション106から下流側で且つ流れ連通して結合される。タービンエンジン100は、タービンケーシング109内に密閉され、タービンセクション108から下流側にある排気セクション110を含む。その上、例示的な実施形態において、タービンセクション108は、ロータ組立体112を介して圧縮機セクション104に結合され、該ロータ組立体112は、限定ではないが、圧縮機ロータ、又は駆動シャフト114とタービンロータ、又は駆動シャフト115を含む。
【0013】
例示的な実施形態において、燃焼器セクション106は、複数の燃焼器組立体、すなわち、圧縮機セクション104と流れ連通して各々結合された燃焼器116を含む。燃焼器セクション106はまた、少なくとも1つの燃料ノズル組立体118を含む。各燃焼器116は、少なくとも1つの燃料ノズル組立体118と流れ連通している。その上、例示的な実施形態において、タービンセクション108及び圧縮機セクション104は、駆動シャフト114を介して負荷120に回転可能に結合される。例えば、負荷120は、限定ではないが、発電機及び/又は機械的駆動用途装置(例えば、ポンプ)を含むことができる。或いは、ガスタービンエンジン100は、航空機エンジンであってもよい。例示的な実施形態において、圧縮機セクション104は、少なくとも1つの圧縮機ブレード122(すなわち、ブレード122)と、少なくとも1つの隣接する固定ベーン組立体123とを含む。
【0014】
また、例示的な実施形態において、タービンセクション108は、少なくとも1つのタービンブレード組立体(すなわち、バケット124)と、少なくとも1つの隣接する固定ノズル組立体125とを含む。各圧縮機ブレード組立体122及び各タービンバケット124は、ロータ組立体112、又はより具体的には、圧縮機駆動シャフト114及びタービン駆動シャフト115に結合される。
【0015】
作動中、吸気セクション102は、空気150を圧縮機セクション104に向けて送る。圧縮機セクション104は、入口空気150を高圧高温に加圧した後、加圧空気152を燃焼器セクション106に向けて吐出する。加圧空気152は、燃料ノズル組立体118に送られ、燃料(図示せず)と混合され、各燃焼器116内で燃焼されて燃焼ガス154を発生し、該燃焼ガスは、タービンセクション108に向かって下流側に送られる。燃焼器116内で発生した燃焼ガス154は、タービンセクション108に向かって下流側に送られる。タービンバケット124に衝突した後、熱エネルギーが機械回転エネルギーに変換され、該機械回転エネルギーを用いて、ロータ組立体112を駆動する。タービンセクション108は、駆動シャフト114、115を介して圧縮機セクション104及び/又は負荷120を駆動し、排気ガス156が排気セクション110を通って周囲雰囲気に吐出される。
【0016】
図2は、ガスタービンエンジン100(図1に示す)と共に用いることができる例示的なクリープ寿命管理システム200の概略図である。クリープ寿命管理システム200は、圧縮機ブレード122及びタービンバケット124の一方に結合された少なくとも1つのセンサ装置202を含む。例示的な実施形態において、センサ装置202は、表面音響波センサ装置である。或いは、センサ装置202は、実質的に絶えず過酷な環境に暴露されるのに耐えるよう構成された何れかの検知デバイスであり、このような過酷な環境は、限定ではないが、100摂氏温度(℃)(212華氏温度(°F))を超える高温加圧空気、260℃(500°F)を超える高温燃焼ガス、及び約3000毎分回転数(rpm)〜約3600rpmの回転速度によって誘起される大きな回転方向の力を含むことができる。このような代替の検知デバイスは、限定ではないが、直接堆積(DD)RFセンサ装置を含むことができる。
【0017】
また、例示的な実施形態において、各センサ装置202は、圧電結晶基板204を含む。センサ装置202はまた、圧電基板204に結合された複数のリフレクタ206を含む。リフレクタ206は、各圧縮機ブレード122及び各タービンバケット124の一意の識別情報がこれらに結合された関連のセンサ装置202によって可能となるように一意の識別子を各センサ装置202に提供するのを可能にする。或いは、センサ装置202は、限定ではないが、小売用RF識別(RFID)デバイスと同様のデバイスを含む一意の識別情報機構を含み、このようなRFIDデバイスは、一意に構成されたRFトランスデューサを含む。センサ装置202はまた、圧電基板204に結合された少なくとも1つの櫛形トランスデューサ208を含む。センサ装置202は更に、櫛形トランスデューサ208に結合された少なくとも1つのアンテナ210を含む。その上、センサ装置202は受動型であり、すなわち、内蔵電力供給装置を含まず、以下で説明するように問い合わせが行われるまで休止状態にある。
【0018】
更に、例示的な実施形態において、クリープ寿命管理システム200は、リーダユニット212を含む。リーダユニット212は、ガスタービンエンジン100の固定部分に結合される。リーダユニット212は、少なくとも1つのアンテナ214、少なくとも1つの無線周波(RF)送信デバイス、及びアンテナ214に結合された少なくとも1つのRF受信デバイスを含む。例示的な実施形態において、RF送信及び受信デバイスは、送受信デバイス215に統合される。
【0019】
その上、例示的な実施形態において、リーダユニット212は、送受信デバイス215に結合されたコントローラ216を含む。或いは、コントローラ216は、リーダユニット212の外部にあってもよい。コントローラ216は、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)を含み、及び/又は少なくとも1つのプロセッサによって実施される。本明細書で使用される場合、プロセッサは、限定ではないが、1つ又はそれ以上のシステム及びマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、汎用中央処理ユニット(CPU)、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は本明細書で記載される機能を実行可能な他の何れかの回路のような、あらゆる好適なプログラマブル回路を含む。上述の実施例は例示に過ぎず、従って、用語「プロセッサ」の定義及び/又は意味をどのようにも限定するものではない。
【0020】
加えて、コントローラ216は、プロセッサに結合された少なくとも1つのメモリデバイス(図示せず)を含み、該メモリデバイスは、作動データ、パラメータ、設定点、閾値、及び/又はクリープ寿命管理システム200が本明細書で記載されるように機能させることができる他の何れかのデータなどのコンピュータ実行可能命令及びデータを記憶する。メモリデバイスは、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、半導体ディスク、ハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、及び/又は不揮発性RAM(NRAM)メモリなど、1つ又はそれ以上の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0021】
本明細書で記載される方法は、限定ではないが、ストレージデバイス及び/又はメモリデバイスを含む、有形の非一時的コンピュータ可読媒体において具現化される実行可能命令及びアルゴリズムとして符号化することができる。このような命令及びアルゴリズムにより、プロセッサによって実行されたときに、該プロセッサが本明細書で記載される方法の少なくとも一部を実施するようになる。その上、本明細書で使用される用語「非一時的なコンピュータ可読媒体」は、一時的な伝搬信号だけを例外として、ファームウェア、物理的及び仮想的ストレージ、CD−ROM、DVD、及びネットワーク又はインターネットなどの別のデジタルソース、並びに未だ開発されていないデジタル手段など、全て有形のコンピュータ可読媒体を含む。
【0022】
作動時には、ガスタービンエンジン100が稼働中であり、タービンセクション108がロータ組立体112を介して圧縮機セクション104を駆動して、その結果、圧縮機ブレード122及びタービンバケット124が回転中となる。リーダユニット212は、アンテナ214を介して少なくとも1つのRFリクエスト信号218を送信し、すなわち、コントローラ216は、送受信デバイス215にコマンドを送り、各センサ装置202が回転しているときにアンテナ214を介して各センサ装置202に問い合わせを行う。リクエスト信号218は、アンテナ210によって受信され、信号218のエネルギーが櫛形トランスデューサ208に伝達される。櫛形トランスデューサ208は、圧電基板204内に表面音響波を誘起する。表面音響波の共振周波数は、リフレクタ206、及び関連の圧縮機ブレード122又はタービンバケット124のリアルタイム特性(例えば、温度及び歪み)に影響される。櫛形トランスデューサ208は、共振周波数を持つエネルギーをRF共振信号220に変換し、これがアンテナ210、214及び送受信デバイス215を介してリーダユニット212に送信される。応答信号220内のデータは、コントローラ216によって評価される。
【0023】
本明細書で使用される用語「リアルタイム」とは、関連事象の発生時刻、所定データの測定及び収集時刻、データの処理時刻、及び事象及び環境に応答したシステムの時刻のうちの1つを指す。本明細書で記載される実施形態において、これらの活動及び事象は、実質的に同時に発生する。
【0024】
図3は、センサ装置202が結合され、ガスタービンエンジン100(図1)と共に用いることができる例示的なタービンバケット124の概略図である。タービンバケット124は、根元部分330と、該根元部分330に結合された翼形部分340とを含む。翼形部分340は、翼形部先端部分342、前縁344、後縁346、及び根元部分330と翼形部先端部分342との間の長さLを定める。例示的な実施形態において、センサ装置202は、前縁344、すなわち、高温燃焼ガス154(図1に示す)を最初に受けるバケット124の部分に近接して位置付けられる複数の温度センサ350を含む。また、温度センサ350は、長さLの所定の百分率範囲内、例えば、およそ10%〜20%、45%〜55%、及び85%〜95%の間に位置付けられる。或いは、温度センサ350は、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム200の作動を可能にするような何らかの空間を有してバケット124上の何れかの場所に位置付けられる。温度センサ350は、限定ではないが、翼形部340の基板及び/又はコーティング(何れも図示せず)内に温度センサ350を埋め込むこと、及び翼形部340の基板及び/又はコーティングの表面への機械的結合を含む、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム200の作動を可能にする何れかの方法によってバケット124に結合される。
【0025】
また、例示的な実施形態において、センサ装置202は、歪みセンサ360を含む。歪みセンサ360は、長さLの約30%〜40%の百分率範囲に位置付けられる。或いは、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム200の作動を可能にするような何らかの空間を有してあらゆる数の歪みセンサ360をバケット124上の何れかの場所に位置付けられる。温度センサ350は、限定ではないが、温度センサ350について記載したもとを含む、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム200の作動を可能にする何れかの方法によってバケット124に結合される。
【0026】
温度センサ350及び歪みセンサ360は、センサ装置202(図2に示す)と同様であり、少なくとも1つのアンテナ210(図2に示す)を含む。
【0027】
図4は、ガスタービンエンジン100(図1に示す)と共に用いることができる代替の例示的なクリープ寿命管理システム400の概略図である。システム400は、送受信デバイス215に結合されたアンテナ延長部402を含むことを除いて、システム200(図2に示す)と同様である。また、アンテナ延長部402は、圧縮機ケーシング105及びタービンケーシング109の何れかを貫通して延びる。更に、4つのアンテナ404がアンテナ延長部402に固定結合され、固定ベーン組立体123及び固定ノズル組立体125の何れかに固定結合される。その上、システム400は、上述のもの(図3に示す)と同様の構成でブレード122及びバケット124の一方に結合された複数の温度センサ350及び歪みセンサ360を含む。一部の実施形態において、各アンテナ404は、一対一の関係で温度センサ350及び歪みセンサ360の一方と関連付けられるアンテナ210の専用となり、該アンテナ210と通信可能に結合される。アンテナ延長部402は、複数の問い合わせチャンネル(図示せず)、すなわち、1つのセンサ350/360当たりに1つのチャンネルで構成される。或いは、アンテナ延長部402は、各々が一意の符号化された識別子及び/又は周波数を有した複数の信号を送信するよう構成された単一のチャンネルで構成される。また、或いは、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム400の作動を可能にするアンテナ404、アンテナ延長部402内の通信チャンネル、及びセンサ350、360のあらゆる組み合わせ及びあらゆる数が使用される。
【0028】
作動時には、ガスタービンエンジン100(図1に示す)が稼働中であり、タービンセクション108は、ロータ組立体112を介して圧縮機セクション104を駆動して、その結果、圧縮機ブレード122及びタービンバケット124が回転中となる。リーダユニット212は、少なくとも1つのアンテナ404を介して少なくとも1つのRFリクエスト信号218を送信し、すなわち、コントローラ216は、送受信デバイス215にコマンドを送り、各センサ装置350/360が回転しているときに関連する固定アンテナ404を介して各装置350/360に問い合わせを行う。各リクエスト信号418は、関連するセンサ装置350/360によって受信され、関連の圧縮機ブレード122又はタービンバケット124のリアルタイム特性(例えば、温度及び歪み)が測定される。RF応答信号420は、アンテナ404及び送受信デバイス215を介してリーダユニット212に送信される。応答信号420内のデータは、コントローラ216によって評価される。
【0029】
例示的な実施形態において、アンテナ210は、距離Dで互いに離間している。距離Dは、RF応答信号420の関連する動作波長の少なくとも1/4に実質的に相当する。或いは、距離Dは、センサアンテナ210とリーダアンテナ404との間の無線チャンネルの空間コヒーレンス距離と等しいか、又はそれよりも大きい。同様に、例示的な実施形態において、アンテナ404は、距離D、すなわち、RF応答信号420の関連する動作波長の少なくとも1/4であるか、又はセンサアンテナ210とリーダアンテナ404との間の無線チャンネルの関連する空間コヒーレンス距離よりも大きい距離で互いに離隔されている。アンテナ210とアンテナ404との間の距離Dのこのような空間的離隔は、RFマルチパス干渉及び独立した受信機側のノイズ源の影響が有意に低減され、RF応答信号420の全体の信号レベルが上昇して、これによりシステム400の感度及び読み取り値の堅牢性が向上するように、リーダユニット212によるRF応答信号420の受信及び処理を可能にする。
【0030】
図5は、ガスタービンエンジン100(図1に示す)と共に用いることができる別の代替の例示的なクリープ寿命管理システム500の概略図である。システム500は、送受信デバイス215に結合され、更にブレード122及びバケット124(システム400と同様の)の一方に対し複数の温度センサ350及び歪みセンサ360と連通して結合された1つのアンテナ214(システム200と同様)を含む点でシステム200、400(図2及び4にそれぞれ示す)と同様である。システム500は、アンテナ214、送受信デバイス215、及びコントローラ216を含む、リーダユニット212に関してシステム200、400とは異なる。リーダユニット212は、吸気セクション102及び排気セクション110の一方に位置付けられ、圧縮機ケーシング105及びタービンケーシング109の何れにも貫通しないように固定構造(図5には図示せず)に結合される。また、リーダアンテナ214は、一対多の関係で複数のセンサ装置アンテナ210に通信可能に結合される。或いは、単一のリーダアンテナ214ではなく、リーダユニット212は、RFマルチパス干渉及び独立した受信機側のノイズ源の影響が有意に低減される(上述のように)ように距離Dだけ離隔された複数のリーダアンテナ214を含むことができる。
【0031】
作動時には、ガスタービンエンジン100(図1に示す)が稼働中であり、タービンセクション108は、ロータ組立体112を介して圧縮機セクション104を駆動して、その結果、圧縮機ブレード122及びタービンバケット124が回転中となる。リーダユニット212は、アンテナ214を介して少なくとも1つのRFリクエスト信号518を送信し、すなわち、コントローラ216は、送受信デバイス215にコマンドを送り、各センサ装置350/360が回転しているときに関連する固定アンテナ214を介して各センサ装置350/360に問い合わせを行う。各リクエスト信号518は、関連するセンサ装置350/360によって受信され、関連の圧縮機ブレード122又はタービンバケット124のリアルタイム特性(例えば、温度及び歪み)が測定される。RF応答信号520は、アンテナ214及び送受信デバイス215を介してリーダユニット212に送信される。応答信号520内のデータは、コントローラ216によって評価される。
【0032】
図6は、ガスタービンエンジン100内のクリープ寿命管理システム500の一部の例示的な位置付けの概略図である。例示的な実施形態において、リーダユニット212は、圧縮機セクション104の固定部分上に位置付けられ、すなわち、少なくとも1つのリーダユニット212は、圧縮機吸気壁670に結合される。或いは、リーダユニット212は、本明細書で記載されるようにクリープ寿命管理システム500の作動を可能にするあらゆる場所に位置付けられる。例えば、限定ではないが、リーダユニット212は、関連するセンサ装置202の無線RF通信レンジ内の何れかの場所に位置付けることができる。
【0033】
また、例示的な実施形態において、複数のセンサ装置202(図2及び3に示す)は、圧縮機セクション104の最終段672におけるあらゆる圧縮機ブレード122に結合される。圧縮機セクション104の最終段672は通常、燃焼器セクション106に送られる前に、最も高い圧力及び温度の加圧空気152(図1に示す)に曝される。温度センサ350及び歪みセンサ360の各々の少なくとも1つは、各ブレード122に結合され、各ブレード122上のセンサ350、360の各々は、一意の英数字識別コードを含む。或いは、センサ装置202のあらゆる構成は、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム500の作動を可能にする圧縮機セクション104のあらゆる段で使用される。
【0034】
更に、例示的な実施形態において、リーダユニット212は、排気セクション110の固定部分上に位置付けられ、すなわち、少なくとも1つのリーダユニット212は、タービン排気壁674に結合される。或いは、リーダユニット212は、本明細書で記載されるようにクリープ寿命管理システム500の作動を可能にするあらゆる場所に位置付けられる。例えば、限定ではないが、リーダユニット212は、関連するセンサ装置202の無線RF通信レンジ内の何れかの場所に位置付けることができる。
【0035】
また、例示的な実施形態において、複数のセンサ装置202は、タービンセクション108の最終段676におけるあらゆるタービンバケット124に結合される。タービンセクション108の第3の又は最終段676は通常、排気セクション110に送られる前に、最も低い圧力及び温度の燃焼ガス154(図1に示す)に曝される。温度センサ350及び歪みセンサ360の各々の少なくとも1つは、各バケット124に結合され、各バケット124上のセンサ350、360の各々は、一意の英数字識別コードを含む。或いは、センサ装置202のあらゆる構成は、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システム200の作動を可能にするタービンセクション108のあらゆる段で使用される。
【0036】
作動時には、各リーダユニット212は、所定の間隔で各関連するセンサ装置202に問い合わせを行う。例えば、限定ではないが、少なくとも1つのセンサ装置202が結合された各個々のバケット124には、作動中に一時間毎に関連のリーダユニット212が問い合わせを行ない、各センサ装置202は、1秒間隔に問い合わせが行われる。従って、センサ装置202を備えた91個のバケット124を有するこれらのタービンセクション108では、バケット124からのデータ収集の1サイクルは、約91秒の長さである。センサ装置202に問い合わせを行い、該センサ装置202は、ガスタービンエンジン100の動作回転速度に関係なく応答を送信することができる。その上、オペレータは、一意の識別子を使用することにより、センサ装置202を用いてあらゆるブレード122及びバケット124に対するデータ収集事象を手動で引き起こすことができる。更に、データ収集は、実質的に連続的とすることができる。
【0037】
代替の実施形態において、システム400(図4に示す)又はシステム500は、システム200(図2に示す)と置き換えることができる。また、代替の実施形態において、システム200、400、500は、ガスタービンエンジン100の特定の構成と一致するこのようなシステム200、400、500の作動を可能にするあらゆる構成システムを含むことができる。
【0038】
図7は、モニタ700と、クリープ寿命管理システム200、400、500によって生成される例示的な画面表示702の概略図、すなわち、リアルタイム歪みプロファイル702の画面ビューである。プロファイル702は、単位のない0.0005の増分量における歪みを表したy軸704と、タービンセクション108の第3又は最終段676における91個のバケット124の各々を表すx軸706とを含む。プロファイル702はまた、複数の、すなわち91個のバケットのリアルタイム歪み測定値708を含む。測定値708は、バケット歪みが高い測定値の2つのグループを含む。プロファイル702は更に、0.003の値を有する歪みパラメータ712を含む。代替として、本明細書で記載されるシステム200、400、500の作動を可能にする、y軸704及び歪みパラメータ712のあらゆる値の何らかの増分サイズが使用される。また、代替として、本明細書で記載されるシステム200、400、500の作動を可能にする、タービンセクション108の何れかの段におけるバケット124の何れかの数、並びに圧縮機セクション104の何れかの段におけるブレード122の何れかの数を監視することができる(全て図1に示される)。
【0039】
図6及び7を参照すると、作動時には、クリーププロファイルを形成するために収集されるデータは、問い合わせされた各ブレード122及びバケット124に関する温度及び歪みのリアルタイム測定値を含む。データは、リアルタイム分析及び将来の分析のために収集され記憶される。例えば、限定ではないが、リアルタイム歪みプロファイル702の画面ビューがオペレータ(図示せず)に対してモニタ700上に表示され、これにより構成要素の歪みのリアルタイム監視が容易になる。
【0040】
更に、リアルタイム歪みについての所定設定点、例えば、限定ではないが、0.003の歪みパラメータ712の値は、コントローラ216にプログラムされて、監視される構成要素に関する何らかの歪み測定値718(図7に示す)がこのような値に接近、到達、又は超過したときにオペレータに警告するためアラーム及び/又はワーニングが報知され、これによりクリープ寿命管理システム200、400、500の「早期ワーニング」機能を可能にするようにする。特定の歪み値、例えば、限定ではない、歪みパラメータ712については、このような測定値は、限定ではないが、エンジン100の近い将来又は即時の稼働からの解除を含む、コントローラ216(図2に示す)のプログラミング内の決定アルゴリズム及び命令に入力することができる。
【0041】
図8は、モニタ800と、クリープ寿命管理システム200、400、500によって生成される別の例示的な画面表示802の概略図、すなわち、リアルタイム歪み履歴プロファイル画面802のビューである。プロファイル画面802は、クリープ歪みの典型的な値を表すy軸804を含む。また、プロファイル画面802は、時間を表すx軸806を含む。更に、プロファイル画面802は、複数のブレード122又はバケット124(全て図6に示される)の各々を表すz軸808を含む。プロファイル画面802はまた、ガスタービンエンジン100(図6に示す)における複数のブレード122及び/又はバケット124の各々についての複数の個々のクリープ歪み履歴プロファイル810を含む。例示的な実施形態において、ブレード122又はバケット124の何れかの単一の段が図示されている。或いは、何れかのブレード122及び何れかのバケット124についての個々のプロファイル810のあらゆる組み合わせをプロファイル画面802に示すことができる。
【0042】
このようなリアルタイムクリープ決定は、コントローラ216によって実行されて、クリープ速度、温度、及び歪み間の既知の関係を用いて構成要素のリアルタイムで個別の各クリープ歪みプロファイルを生成し、これにより決定された全体の構成要素クリープに統合される構成要素クリープ速度のリアルタイム監視を可能にする。
【0043】
プロファイル画面802は、3つのフェーズのクリープ履歴に分割され、ガスタービンエンジン100のオペレータに図示の各ブレード122及び/又はバケット124によって現在示されているクリープのフェーズの表示を提供できるようにする。フェーズIは、通常は、実質的に最小値に達するまで時間の経過と共に減少する初期の大きなクリープ速度によって定義される1次クリープフェーズを表す。フェーズIIは、通常は、フェーズIの最後の最小値で実質的に一定となるクリープ速度によって定義される2次クリープフェーズを表す。フェーズIIIは、通常は、時間の経過と共に加速しているクリープ速度によって定義される3次クリープフェーズを表す。加速しているクリープ速度は、監視されている構成要素の変形に少なくとも部分的に起因している。このような変形は通常、近い将来の永久的損傷及び構成要素故障の指標である。
【0044】
プロファイル画面802は、個々のクリープ歪み履歴プロファイル810のフェーズIIIに関連する視覚的報知特徴要素を含む。例えば、限定ではないが、視覚及び/又は音響アラームレベル1は、フェーズIII変形の早期段階を示し、システム200、400、500を通じた関連構成要素の監視を強化するようオペレータに指示する。また、限定ではないが、画面802は、監視される構成要素の変形速度が加速していることを示す視覚及び/又は音響アラームレベル2を含み、システム200、400、500を通じた強化監視、並びに、次の運転停止期間の間で実施可能な検査、補修、及び/又は交換に関する決定を行うようオペレータに指示する。また、アラームレベル1及びアラームレベル2は、ガスタービンエンジン100に対する運転調整を行い、各監視され一意に識別可能なブレード122及びバケット124についての残存耐用年数(RUL)(以下で更に説明する)を延長できるように運転を強化/最適化するようオペレータに指示することができる。
【0045】
更に、限定ではないが、画面802は、監視される構成要素の可能性のある近い将来の故障を示す視覚及び/又は音響アラームレベル3を含み、次の運転停止期間及びエンジン100の近い将来の稼働からの解除の間の実施可能な検査、補修、及び/又は交換に関する決定を行うようオペレータに指示する。また、アラームレベル3は、少なくともエンジン100が稼働から解除することができるまでの短期間においてガスタービンエンジン100に対する運転調整を行い、各監視され一意に識別可能なブレード122及びバケット124についての残存耐用年数(RUL)(以下で更に説明する)を延長できるように運転を強化/最適化するようオペレータに指示することができる。
【0046】
アラームレベル3はまた、限定ではないが、エンジン100の近い将来の又は即時の稼働からの解除を含む、決定アルゴリズムに対する入力、及びコントローラ216(図2に示す)のプログラミング内の命令とすることができる。代替として、画面802は、本明細書で記載されるシステム200、400、500の作動を可能にする何らかの重大度の順位に従ったあらゆる数のアラームレベルを含む。
【0047】
監視される構成要素が関連するパラメータに接近、到達、又は超過したときのこのようなアラームレベル、視覚的報知機能、及び音響的報知機能は、クリープ寿命管理システム200、400、500の「早期ワーニング」機能の作動を可能にする。例えば、限定ではないが、個々のクリープ歪み履歴プロファイル810などの測定機能の特定の値において、このような測定値は、限定ではないが、エンジン100の近い将来の又は即時の稼働からの解除を含む、決定アルゴリズムに対する入力、及びコントローラ216(図2に示す)のプログラミング内の命令とすることができる。
【0048】
図9は、モニタ900と、クリープ寿命管理システム200、400、500によって生成される更に別の画面表示902の概略図、すなわち、リアルタイムの構成要素温度プロファイル画面902のビューである。プロファイル画面902は、クリープ歪みの典型的な値を表すy軸904を含む。また、プロファイル画面902は、時間を表すx軸906を含む。更に、プロファイル画面902は、複数のブレード122及びバケット124(全て図6に示す)の各々を表すz軸908を含む。プロファイル画面902はまた、ガスタービンエンジン100(図6に示す)における複数のブレード122及び/又はバケット124の各々についての複数の個々の構成要素温度プロファイル910を含む。例示的な実施形態において、ブレード122又はバケット124の何れかの単一の段が図示されている。或いは、何れかのブレード122及び何れかのバケット124についての個々のプロファイル910のあらゆる組み合わせをプロファイル画面902に示すことができる。
【0049】
例示的な実施形態において、リアルタイムの構成要素温度プロファイル画面902は、各問い合わせされるブレード122及びバケット124について表示される。リアルタイムの構成要素温度決定は、コントローラ216によって実行され、構成要素のリアルタイムの温度プロファイルを生成する。
【0050】
プロファイル画面902は、リアルタイム構成要素温度プロファイル910と関連付けられる視覚的報知機能を含む。例えば、限定ではないが、視覚及び/又は音響アラームレベル1は、構成要素の温度が、所定の時間期間における第1の所定設定点に関連する所定値に接近している、又は到達した、或いは超過したことを示す。第1の所定温度設定点は、エンジン100(図6に示す)における短期温度偏位を示すことができ、システム200、400、500全体にわたる関連構成要素の監視の強化をオペレータに指示する。また、限定ではないが、画面902は、構成要素の温度が、第2の所定設定点に関連する所定値に接近している、又は到達した、或いは超過したことを示す視覚及び/又は音響アラームレベル2を含む。第2の所定温度設定点は、所定の時間期間におけるエンジン100内の拡大した温度偏位を示すことができ、システム200、400、500全体にわたる監視の強化、並びに次の運転停止期間中の実施可能な検査、補修、及び/又は交換に関する決定を行うようオペレータに指示する。また、アラームレベル1及びアラームレベル2は、ガスタービンエンジン100に対する運転調整を行い、各監視され一意に識別可能なブレード122及びバケット124についての残存耐用年数(RUL)(以下で更に説明する)を延長できるように運転を強化/最適化するようオペレータに指示することができる。
【0051】
更に、限定ではないが、画面902は、構成要素の温度が所定の時間期間における第3の所定設定点に関連する所定値に接近している、又は到達した、或いは超過したことを示す視覚及び/又は音響アラームレベル3を含む。第3の所定設定点は、監視される構成要素の近い将来の起こり得る故障を示し、次の運転停止期間中及びエンジン100の近い将来の稼働からの解除の間の実施可能な検査、補修、及び/又は交換に関する決定を行うようオペレータに指示する。また、アラームレベル3は、少なくともエンジン100が稼働から解除することができるまでの短期間においてガスタービンエンジン100に対する運転調整を行い、各監視され一意に識別可能なブレード122及びバケット124についての残存耐用年数(RUL)(以下で更に説明する)を延長できるように運転を強化/最適化するようオペレータに指示することができる。
【0052】
アラームレベル3はまた、限定ではないが、エンジン100の近い将来の又は即時の稼働からの解除を含む、決定アルゴリズムに対する入力、及びコントローラ216(図2に示す)のプログラミング内の命令とすることができる。代替として、画面902は、本明細書で記載されるシステム200、400、500の作動を可能にする何らかの重大度の順位に従ったあらゆる数のアラームレベルを含む。
【0053】
監視される構成要素が関連するパラメータに接近、到達、又は超過したときのこのようなアラームレベル、視覚的報知機能、及び音響的報知機能は、クリープ寿命管理システム200、400、500の「早期ワーニング」機能の作動を可能にする。例えば、限定ではないが、リアルタイム構成要素温度プロファイル910などの測定機能の特定の値において、このような測定値は、限定ではないが、エンジン100の近い将来の又は即時の稼働からの解除を含む、決定アルゴリズムに対する入力、及びコントローラ216(図2に示す)のプログラミング内の命令とすることができる。
【0054】
リアルタイムのクリープ、クリープ速度、温度及び歪みの測定及び決定に加えて、クリープ寿命管理システム200、400、500はまた、監視される各個々のブレード122及びバケット124についての履歴及び動向機能を含む。例えば、限定ではないが、コントローラ216は、監視される各個々のブレード122及びバケット124についての履歴温度プロファイル、及び履歴クリーププロファイルを決定し表示するようプログラムされている。
【0055】
図6、7、8、及び9を参照すると、例えば、限定ではないが、監視される各ブレード122及びバケット124について、ブレード122及びバケット124の設置及び/又はシステム200の試運転の時点から、最後のデータ収集時点までの歪み、温度、及びクリープの履歴が決定される。また、例えば、限定ではないが、監視される各ブレード122及びバケット124について、ブレード122及びバケット124の設置及び/又はシステム200の試運転の時点から、最後のデータ収集時点までのリアルタイム残存耐用年数(RUL)推定が決定される。より高いクリープ又は温度レベルは、タービンエンジン100がより高温で稼働しており、早期の修正措置を取ることができるように、異常に関して他のタービンパラメータをチェックする必要性の兆候があることを示している。
【0056】
その上、クリープ寿命管理システム200、400、500は更に、監視される各構成要素についての各RUL推定との間での比較を求めるようにプログラムされており、この比較は、監視される構成要素についての保守作業の優先順位を少なくとも部分的に表している。また、監視される各構成要素についての各RUL推定と、少なくとも1つの所定RULパラメータとの間の比較を求め、耐用年数の終わりに近づいている構成要素に対して検査、補修、及び/又は交換の「フラグを立てる」ことができるようになる。その上、クリープ寿命管理システム200、400、500は更に、監視される複数の構成要素の相対的な動作履歴をオペレータに表示し、これにより構成要素の耐用年数の延長を可能にする動作条件を識別できるようにプログラムされている。
【0057】
更に、作動時には、構成要素の温度及び歪みデータは、このような構成要素のデータを、限定ではないが、燃焼ガス温度を含む他の作動データで補正できるようにタイムスタンプが付けられる。従って、例えば限定ではないが、同様の構成要素と比べて高温のガス温度などの様々な作動条件に曝されるこのようなブレード122及び/又はバケット124については、構成要素に対してより頻繁な監視のフラグを立てることができる。このようなフラグが立てられた構成要素は、同様の構成要素とは異なる歪みワーニング/アラーム設定点を有するように選択することができる。また、例えば限定ではないが、冷却機能を持たないバケット124のように、他の構成要素よりもよりリスクに曝される可能性がある特定の構成要素には、より頻繁に問い合わせを行うことができる。その上、ブレード122及び/又はバケット124の各々についてのリアルタイムの温度及び歪みデータは、同様の作動履歴を有する同様の作動条件において同様の構成要素よりもより迅速に又はより緩慢に「経年変化」している構成要素の識別を可能にし、このような構成要素にはより頻繁に問い合わせを行うことができる。
【0058】
また、加速したクリープ判定を示すような、及び/又は所定の歪みパラメータに近づいているようなブレード122及び/又はバケット124については、計画的保守運転停止期間中に早期の交換をスケジューリングすることができる。更に、監視頻度を増大させるよう決定されたブレード122及び/又はバケット124については、計画的保守運転停止期間中にこのような構成要素に対して特定の検査作業をスケジューリングすることができる。従って、作動時には、各個々のブレード122及び/又はバケット124に対する特定の歪み及び/又はクリープ判定によって、不必要な保守検査及び交換が低減され、これによりガスタービンエンジン100の運転及び保守コストを低減することができる。
【0059】
その上、クリープ寿命管理システム200、400、500によって収集及び決定されたデータを用いて、ブレード122及び/又はバケット124を含む、ガスタービンエンジン100の物理ベースモデルの向上及び/又は較正をすることができる。物理ベースモデルは、限定ではないが、構成要素材料、構成要素のサイズ及び配向、並びにガスタービンの運転履歴データなど、設計、構造、及び運転情報の詳細事項を含む。このような情報及びデータは、有限要素モデル(FEM)において具体化され、限定ではないが、構成要素RULを推定するのに使用される構成要素応力及び温度を計算する。本明細書で記載されるこれらの値の直接測定を用いると、収集したリアルタイムデータを用いてFEMモデルを増強及び較正することができる。次いで、これらの増強及び較正したモデルは、フリート全体に適用され、RUL推定及びこのようなRUL推定の精度向上の増強方法を更に強化することができる。
【0060】
公知のクリープ寿命管理システムとは対照的に、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システムは、タービンエンジン構成要素に関連するクリープ及びクリープ疲労データの収集及び決定を改善することができる。具体的には、公知のクリープ寿命管理システムとは対照的に、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システムは、問い合わせ信号をリーダユニットから一意の識別子を有するセンサ装置に無線送信し、関連する構成要素についての測定データを無線受信することを含む。本明細書で記載される無線センサ装置は、例えば、圧縮機ブレード及びタービンバケットのような、構成要素に組み込まれ及び/又は結合されており、そうでなければ、例えば、高速度で回転し及び/又は過酷な環境内に位置付けられるこのような構成要素を監視することは困難である。従って、温度及び歪みデータを含むリアルタイム作動データは、ある場所で収集されて、リーダユニット及びこれに結合されたストレージデバイスにおいて安全及び長期保存にとってより好適な別の場所に格納することができる。本明細書で記載される無線センサ装置は受動的であり、センサ装置を駆動するのに使用されるエネルギーは、リーダユニットからの問い合わせ信号と共に伝達され、従って、センサ装置には内蔵電力供給装置を必要としない。また、本明細書で記載される各無線センサ装置は、各センサに対し一意の識別子を用いて個別に問い合わせすることができ、このような一意の識別子はまた、結合されるブレード又はバケットと関連付けられている。
【0061】
本明細書で記載されるクリープ寿命管理システムは、構成要素の寿命にわたる構成要素の稼働期間に対する動作条件の影響を決定することができる。また、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システムは、構成要素の残存稼働期間を良好に決定でき、従って、条件ベースの保守システムを向上させることができる。更に、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システムは、検査及び/又は交換を起動するための歪み及び/又は温度閾値を設定するのに用いることができる所定パラメータを含むことができる。その上、本明細書で記載されるクリープ寿命管理システムは、長い稼働期間を示すこれらの構成要素の検査及び交換周期を延長することができる。従って、使い易く、直ぐに利用可能な診断システムによって不必要な保守運転停止が回避され、運転及び保守管理者にとって累積的コスト節減を可能にすることができる。また、加速クリープのパターン及び/又は傾向が決定された場合、追加の調査を開始して、根本原因を決定することができる。従って、保守運転停止は、何らかの永久的損傷の前に根本原因を是正するよう計画され、運転及び保守管理者にとって累積的コスト節減を更に可能にすることができる。
【0062】
本明細書で記載される方法、システム、及び装置の例示的な技術的効果は、
(a)過酷な環境にある構成要素に結合されたセンサ装置に無線で問い合わせを行こと、
(b)リアルタイム測定データをデータリポジトリに無線送信すること、
(c)過酷な環境にある構成要素のリアルタイムクリープ分析を実施すること、
(d)収集した測定データを一意識別可能構成要素に相関付けること、
(e)構成要素のクリーププロファイル及び推定残存稼働期間を決定すること、
(f)構成要素の測定したリアルタイム歪み値が所定値に接近したとき、所定値に到達したとき、及び所定値を超過したときにオペレータに警告すること、
(g)一意識別可能構成要素の監視を強化するようオペレータに指示すること、
(h)一意識別可能構成要素のRULを延長できるように運転を強化/最適化するようオペレータに指示すること、
(i)一意識別可能構成要素の検査をスケジューリングするようオペレータに指示すること、
(j)各一意識別可能構成要素の各推定残存稼働期間を互いに比較して、これにより一意識別可能構成要素の保守作業の優先順位を決定すること、
(k)各一意識別可能構成要素の各推定残存稼働期間を所定稼働期間パラメータと比較して、これにより一意識別可能構成要素の保守作業の優先順位を決定すること、
(l)一意識別可能構成要素の相対的動作履歴を生成し、これにより一意識別可能構成要素の耐用年数の延長を可能にする動作条件の識別を可能にすること、
(m)収集したデータを用いてタービンエンジン及び関連構成要素の物理ベースモデルの向上及び/又は較正し、RULの推定及びこのようなRUL推定の精度向上の方法を更に強化すること、
のうちの少なくとも1つを含む。
【0063】
本明細書で記載される方法及びシステムは、本明細書で記載される特定の実施形態に限定されない。例えば、各システムの構成要素及び/又は各方法のステップは、本明細書で記載される他の構成要素及び/又はステップとは独立して別個に使用及び/又は実施することができる。加えて、各構成要素及び/又はステップはまた、他の組立体及び方法と共に使用及び/又は実施することができる。
【0064】
一部の実施形態は、1つ又はそれ以上の電子又はコンピュータデバイスの使用を伴う。このようなデバイスは通常、汎用中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、マイクロコントローラ、縮小命令セット・コンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、及び/又は本明細書で記載される機能を実行可能な他の何れかの回路又はプロセッサのような、プロセッサ又はコントローラを含む。本明細書で記載される方法は、限定ではないが、ストレージデバイス及び/又はメモリデバイスを含む、コンピュータ可読媒体において具現化される実行可能命令として符号化することができる。このような命令により、プロセッサによって実行されたときに、該プロセッサが本明細書で記載される方法の少なくとも一部を実施するようになる。上記の実施例は、例証に過ぎず、従って、用語「プロセッサ」の定義及び/又は意味をどのようにも限定するものではない。
【0065】
種々の特定の実施形態について本発明を説明してきたが、請求項の技術的思想及び範囲内にある修正により本発明を実施することができる点は、当業者であれば理解されるであろう。
【符号の説明】
【0066】
100 ガスタービンエンジン(ターボ機械)
102 吸気セクション
104 圧縮機セクション
105 圧縮機ケーシング
106 燃焼器セクション
108 タービンセクション
109 タービンケーシング
110 排気セクション
112 ロータ組立体
114 圧縮機(ロータ)駆動シャフト
115 タービン(ロータ)駆動シャフト
116 燃焼器
118 燃料ノズル組立体
120 負荷
122 圧縮機 ブレード組立体
123 ベーン組立体
124 タービンバケット組立体
125 ノズル組立体
150 吸入空気
152 加圧空気
154 燃焼ガス
156 排気ガス
200 クリープ寿命管理システム
202 RFセンサ装置
204 圧電結晶基板
206 リフレクタ
208 櫛形トランスデューサ
210 アンテナ
212 リーダユニット
214 アンテナ
215 送受信装置
216 コントローラ
218 リクエスト(問い合わせ)信号
220 応答信号
330 根元部分
340 翼形部部分
342 先端部分
344 前縁
346 後縁
L 翼形部長さ
350 温度センサ
360 歪みセンサ
400 クリープ寿命管理システム
402 アンテナ延長部
404 アンテナ
418 リクエスト(問い合わせ)信号
420 応答信号
D 距離
500 クリープ寿命管理システム
518 リクエスト(問い合わせ)信号
520 応答信号
670 圧縮機吸気壁
672 圧縮機の最終段
674 タービン排気壁
676 タービンの最終段
700 モニタ
702 リアルタイム歪みプロファイルの画面ビュー
704 Y軸
706 X軸
708 バケットリアルタイム歪み測定値
710 バケット歪みが高い測定値
712 バケット歪みパラメータ
800 モニタ
802 リアルタイムクリープ歪み履歴プロファイル画面
804 Y軸
806 X軸
808 Z軸
810 個々のクリープ歪み履歴プロファイル
900 モニタ
902 リアルタイム構成要素温度プロファイル画面
904 Y軸
906 X軸
908 Z軸
910 個々の構成要素温度プロファイル
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9