特許第6204768号(P6204768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204768
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/04 20060101AFI20170914BHJP
   A42B 3/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A42B3/04
   A42B3/08
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-192642(P2013-192642)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-59279(P2015-59279A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149930
【氏名又は名称】株式会社谷沢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大月 信一
(72)【発明者】
【氏名】馬島 淳
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4542425(JP,B2)
【文献】 米国特許第02846683(US,A)
【文献】 米国特許第05687455(US,A)
【文献】 特開2013−036159(JP,A)
【文献】 米国特許第06311338(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の帽体と、該帽体内に取り付けられて人頭を囲繞するヘッドバンドと、該ヘッドバンドの後頭部側に設けられて該ヘッドバンドの周長を調節する調節機構と、着用者の耳下を巡り前記帽体側で両端が支持される一対の耳下紐と、一対の耳下紐に夫々の端部を接続した顎紐と、前記ヘッドバンドの後頭部側に位置する両端部の夫々に基端部が接続され、前記調節機構において互いに交差して斜め下方に延びる一対の調節帯とを備え、各調節帯の先端部を互いに離反する方向に引っ張り操作することにより前記ヘッドバンドの周長を人頭の外周寸法に合わせたとき、該ヘッドバンドの周長が前記調節機構により解除自在に維持されるヘルメットにおいて、
各調節帯は、その先端部に設けた接続部を介して夫々の前記耳下紐に接続され、
各調節帯の前記接続部は、前記耳下紐を挿通させる挿通部を備えて、該挿通部に挿通する前記耳下紐に沿って移動自在とされていることを特徴とするヘルメット。
【請求項2】
前記接続部は、前記調節帯の引っ張り操作の際に指掛け可能な指掛け部を有することを特徴とする請求項1記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽体内のヘッドバンドを人頭の外周寸法に合わせて調節する調節機構を備えたヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットのヘッドバンドは、人頭に装着してヘルメットを人頭に固定する役割を果たすものである。そして、ヘッドバンドの周長は、人頭の外周寸法に合わせるために調節可能とされている。
【0003】
従来、この種のヘッドバンドにおいては、その後頭部側で第1の端部と第2の端部とを重ね合わせ、第1の端部に設けられた突起を、第2の端部に所定間隔を存して形成された複数の孔部に選択的に係合させて、人頭の外周寸法に合わせた周長に維持させるものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかし、このものでは、第1の端部の突起を第2の端部の孔部に係合させる操作は、後頭部側において手さぐりで行わなげればならない。このため、ヘッドバンドの周長を調節する操作が煩わしいだけでなく、調節操作を迅速に行うことが艱難であった。
【0005】
そこで、本出願人は先に、ヘッドバンドの後頭部側にヘッドバンドの周長を調節する調節機構を設け、耳下紐の一端を帽体の前頭部側に連結し、耳下紐の他端をヘッドバンドの夫々の端部から調節機構において交差して延びる先端に接続させたヘルメットを提案した(下記特許文献2参照)。
【0006】
調節機構は、例えばラチェット機構であり、ヘッドバンドの両端部から延びて互いに交差する部分を係止することにより、周長が短くなった状態を維持すると共に、その係止を解除することにより周長を長くすることができるようになっている。
【0007】
これによれば、耳下紐又は耳下紐に接続した顎紐を引っ張るだけでヘッドバンドの周長を短縮させて人頭の外周に迅速に密着させることができ、ヘッドバンドの周長を調節する操作を極めて簡単に行うことができる。また、調節機構によるヘッドバンドの両端部の係止を解除するだけで、人頭からヘルメットを容易に外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平7−43651号公報
【特許文献2】特許第4542425号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ヘルメットを着用するときには、耳下紐又は顎紐を引っ張り操作してヘッドバンドを人頭に密着させるだけでなく、顎紐の長さを調節して着用者の顎下に密着させ、両耳下紐及び顎紐の弛みをなくす。これにより、ヘルメットを確実に人頭に固定することができる。
【0010】
しかし、ヘルメットを脱ぐとき、両耳下紐及び顎紐に弛みのない状態で、調節機構によるヘッドバンドの両端部の係止を解除しても、ヘッドバンドの周長の伸長に伴い相対的に顎紐の締め付けが過剰となり、ヘッドバンドが人頭に密着した状態を円滑に解除することができない不都合がある。
【0011】
以上の点に鑑み、本発明は、ヘッドバンドの周長を調節して人頭に密着させる操作が簡単なだけでなく、ヘッドバンドが人頭に密着した状態を円滑に解除することができるヘルメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明は、硬質の帽体と、該帽体内に取り付けられて人頭を囲繞するヘッドバンドと、該ヘッドバンドの後頭部側に設けられて該ヘッドバンドの周長を調節する調節機構と、着用者の耳下を巡り前記帽体側で両端が支持される一対の耳下紐と、一対の耳下紐に夫々の端部を接続した顎紐と、前記ヘッドバンドの後頭部側に位置する両端部の夫々に基端部が接続され、前記調節機構において互いに交差して斜め下方に延びる一対の調節帯とを備え、各調節帯の先端部を互いに離反する方向に引っ張り操作することにより前記ヘッドバンドの周長を人頭の外周寸法に合わせたとき、該ヘッドバンドの周長が前記調節機構により解除自在に維持されるヘルメットにおいて、各調節帯は、その先端部に設けた接続部を介して夫々の前記耳下紐に接続され、各調節帯の前記接続部は、前記耳下紐を挿通させる挿通部を備えて、該挿通部に挿通する前記耳下紐に沿って移動自在とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、各調節帯の先端部に接続部を設け、接続部の挿通部に耳下紐を挿通させて、接続部が耳下紐に沿って移動自在となるように構成されていることにより、調節帯と耳下紐とを接続状態としながら、調節帯を耳下紐から独立して耳下紐に沿って移動させることができる。これにより、ヘッドバンドの周長を短くして人頭の外周寸法に合わせるときに、両調節帯の先端部を引っ張り操作しても、耳下紐の長さは変化することがなく、また、調節機構によるヘッドバンドの周長維持を解除してヘッドバンドの周長を伸長させても、耳下紐に接続された顎紐の締め付け度合いも変化することがない。よって、ヘッドバンドの周長を調節して人頭に密着させる操作が簡単なだけでなく、ヘッドバンドが人頭に密着した状態を円滑に解除することができる。
【0014】
また、本発明において、前記接続部は、前記調節帯の引っ張り操作の際に指掛け可能な指掛け部を有することが好ましい。これによれば、接続部の指掛け部に指を掛けて容易に調節帯を引っ張り操作することができ、ヘッドバンドの周長を調節する際の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態によるヘルメットを着用した場合の説明図。
図2】(a)は接続部材の平面図、(b)は接続部材の底面図。
図3】耳下紐に接続した接続部材を示す説明的側面図。
図4】調節機構を一部破断して示す説明的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ヘルメット1は、金属又はプラスチックス等の硬質材料により形成された帽体2と、帽体2内部に設けられて人頭の周囲を囲繞するヘッドバンド3とを備えている。
【0017】
また、ヘルメット1には、着用者Zの耳下を巡り、帽体2の内面等に両端が固定支持された左右一対の耳下紐4と、両耳下紐4に端部を接続した顎紐5とが設けられている。なお、図示を省略したが、更に帽体2の内部には、人頭に接するハンモックが設けられる。
【0018】
ヘッドバンド3は、後頭部側に両端部が位置している。ヘッドバンド3の両端部の夫々には、調節帯7の基端部が連設されている。各調節帯7は接続部材8(接続部)を介して夫々の側の耳下紐4に接続されている。接続部材8は、各調節帯7の先端部に設けられた連結帯9に連結されている。
【0019】
接続部材8は、図2(a)に示すように、連結帯9を連結する連結孔10と、指掛け凸部11(指掛け部)とを備えている。また、図2(b)に示すように、一対の抱き込み片12a,12bからなる挿通部12を備えている。
【0020】
挿通部12には、耳下紐4が挿通される。耳下紐4は、抱き込み片12a,12b間に形成されている間隙を介して接続部材8への付け外しが可能となっている。そして、図3に示すように、挿通部12に耳下紐4を挿通させた状態の接続部材8は、耳下紐4の長手方向に沿って移動自在とされる。このとき、接続部材8の指掛け凸部11に指を掛けて、耳下紐4に沿って接続部材8を引っ張ることができ、調節帯7の引っ張り操作を容易に行うことができる。
【0021】
帽体2の後頭部側には、ヘッドバンド3の長さを調節する調節機構13が設けられている。ここで、本実施形態で採用した調節機構13について説明する。
【0022】
調節機構13は、図4に示すように、カバー14と、カバー14の内部に設けられた同期歯車15と、同期歯車15と同軸で一体に回転するラチェット歯車16と、ラチェット歯車16の歯に係合する爪部材17と、爪部材17をラチェット歯車16から離反させるリリースボタン18とを備えている。なお、図4においては、カバー14の一部を破断して内部を示している。また、ラチェット歯車16は円形であり同期歯車15の回転軸19に支持されているが、図4においては、説明の便宜上ラチェット歯車16の一部を切欠いて同期歯車15を示している。
【0023】
ヘッドバンド3の両端部から延びる一対の調節帯7は、調節機構13のカバー14内で1箇所で重なって所定の角度を持って交差している。各調節帯7の交差位置を含む部分には所定の長さに亘る長穴20が形成されており、長穴20の長手方向の一側内縁には鋸歯状歯21が形成されている。
【0024】
同期歯車15は、調節帯7の鋸歯状歯21と噛み合っている。これにより、同期歯車15の回転に伴い、各調節帯7がその長さ方向に沿って互いに反対方向に同一距離移動する。
【0025】
爪部材17は、ラチェット歯車16に対して接近方向と離反方向とに搖動自在に設けられ、図示しないバネにより弾発的にラチェット歯車16の歯に係合する。このとき、爪部材17は、ラチェット歯車16の回転を一方向にのみ規制する。
【0026】
リリースボタン18は、その押圧操作によって爪部材17をラチェット歯車16から離反する方向に搖動させるように構成されている。これにより、リリースボタン18を押圧操作することにより爪部材17によるラチェット歯車16の規制が解除され、調節帯7を長手方向の何れの方向にも移動可能となる。
【0027】
図1及び図4を参照して、ヘルメット1を着用する場合は、先ず、リリースボタン18を押圧して爪部材17をラチェット歯車16から離反させ、リリースボタン18を押したまま調節機構13を後方に引く。これにより、同期歯車15とラチェット歯車16とが共に半時計方向に回転し、両調節帯7の移動によりヘッドバンド3の周長が長くなる。
【0028】
その状態でリリースボタン18の押圧を解除すると、爪部材17がラチェット歯車16の歯に係合し、ラチェット歯車16及び同期歯車15は半時計方向への回転が阻止されて一方向(ヘッドバンド3の周長が短くなる方向)にのみ回転可能となる。
【0029】
続いて、ヘッドバンド3の周長を長くした状態でヘルメット1を頭にかぶり、両調節帯7の先端部に設けられている両接続部材8を斜め下方に引き下げる。これにより、同期歯車15とラチェット歯車16とが共に時計方向に回転し、両接続部材8の夫々が耳下紐4に沿って移動する。同時に、ヘッドバンド3の周長が短くなり、着用者Zの頭を締め付ける。ヘッドバンド3の締め付けが丁度よい状態になったときに両接続部材8の引っ張り操作を停止させると、その位置で爪部材17とラチェット歯車16の歯との係合が維持されて、ヘッドバンド3の周長が固定される。その後、顎紐5の長さを調節してその弛みを除去し、着用者Zの顎下に顎紐5を密着させる。
【0030】
このように、両接続部材8を引っ張るだけでヘッドバンド3の周長を簡単に調節することができ、ヘルメット1を迅速に着用することができる。
【0031】
ヘルメット1を脱ぐ場合は、先ず、リリースボタン18を押圧して爪部材17をラチェット歯車16から離反させ、リリースボタン18を押したまま調節機構13を後方に引く。これにより、同期歯車15とラチェット歯車16とが半時計方向に回転し、両調節帯7の移動によりヘッドバンド3の周長が長くなる。
【0032】
そして、両調節帯7がヘッドバンド3側に向かう方向に移動し、両接続部材8も移動する。このとき、両接続部材8は耳下紐4に沿って移動自在に接続されていることにより、両接続部材8の移動に伴う耳下紐4及び顎紐5の引っ張りは生じない。これにより、顎紐5が着用者Zの顎下を過剰に締め付けることなく、ヘッドバンド3による着用者Zの頭の締め付けが緩む。その後、顎紐5を顎下から外して、ヘルメット1を脱ぐことができる。
【符号の説明】
【0033】
1…ヘルメット、2…帽体、3…ヘッドバンド、4…耳下紐、5…顎紐、7…調節帯、8…接続部材(接続部)、11…指掛け凸部(指掛け部)、12…挿通部、13…調節機構。
図1
図2
図3
図4