(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁性ユニットは、前記第1境界部または前記第1境界部の近傍に設けられたピニングサイトと、前記第2境界部または前記第2境界部の近傍に設けられたピニングサイトと、を含む請求項16記載の磁気記憶装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図1に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置110は、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、読み出し部60と、を含む。
【0009】
磁性ユニット50uは、磁性細線(第1磁性細線50)と、第1磁性部11と、第2磁性部12と、を含む。
【0010】
第1磁性細線50は、複数の磁区50d(磁性ドメイン)と、磁壁50wと、を含む。磁壁50wは、複数の磁区50dの間に設けられる。第1磁性細線50は、一端(第1端50a)と、他端(第2端50b)と、を有する。
【0011】
第1磁性部11は、例えば、第1端50a(上記の一端)と接続される。第1磁性部11は、第1磁化11mを有する。
【0012】
第2磁性部12は、例えば、第1端50aと接続される。第2磁性部12は、第1磁性部11と離間する。第2磁性部12は、第2磁化12mを有する。第2磁化12mは、第1磁化11mとは反対である。
【0013】
例えば、第1磁性部11と、第1端50aと、を結ぶ方向を第1方向DR1とする。第2磁性部12と、第1端50aと、を結ぶ方向を第2方向DR2とする。第1方向DR1と第2方向DR1とは、互いに交差する。
【0014】
第1方向DR1と第2方向DR2に対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。例えば、第1磁性部11と第2磁性部12と第1端50aとは、X−Y平面内に配置される。
【0015】
この例では、第1磁性部11及び第2磁性部12は、層状である。第1磁性部11は、X−Y平面に対して垂直な方向の第1厚さ11tを有する。X−Y平面内の第1磁性部11の長さ(幅)の最大値は、例えば、第1厚さ11tよりも大きい。第2磁性部12は、X−Y平面に対して垂直な方向の第2厚さ12tを有する。X−Y平面内の第2磁性部12の長さ(幅)の最大値は、例えば、第2厚さ12tよりも大きい。
ただし、実施形態において、第1磁性部11及び第2磁性部12の形状は任意である。
【0016】
この例では、第1磁化11mは、X−Y平面に対して実質的に垂直である。第2磁化12mは、X−Y平面に対して実質的に垂直である。例えば、第1磁化11mは、垂直異方性を有し、第2磁化12mは、垂直異方性を有する。例えば、第1磁化11mをZ軸方向に投影した成分は、第1磁化11mをX−Y平面に投影した成分よりも大きい。例えば、第2磁化12mをZ軸方向に投影した成分は、第2磁化12mをX−Y平面に投影した成分よりも大きい。第1磁性部11の第1厚さ11tは、0.5ナノメートル(nm)以上500nm以下である。第2磁性部12の第2厚さ12tは、0.5nm以上500nm以下である。第2厚さ12tは、第1厚さ11tとは異なっても良い。実施形態において、第2厚さ12tは、第1厚さ11tとは同じでも良い。
【0017】
第1磁性細線50の複数の磁区50dのそれぞれは、磁性細線磁化50mを有する。磁性細線磁化50mは、垂直異方性を有する。X−Y平面に対して垂直な方向の第1磁性細線50の厚さを、磁性細線厚さ50tとする。磁性細線厚さ50tは、例えば、0.5ナノメートル以上500ナノメートル以下である。磁性細線厚さ50tは、第1厚さ11t及び第2厚さ12tとは異なっても良く、同じでも良い。
【0018】
第1スイッチ部40aは、例えば、第1スイッチ41と、第2スイッチ42と、を含む。
【0019】
第1スイッチ41は、第1磁性部11と接続される。第1スイッチ41は、第1磁性部11と第1磁性細線50との間に第1電流を流す。
【0020】
第2スイッチ42は、第2磁性部12と接続される。第2スイッチ42は、第2磁性部12と第1磁性細線50との間に第2電流を流す。
【0021】
読み出し部60は、例えば、第1磁性細線50の少なくとも一部と電気的に接続される。読み出し部60は、複数の磁区50dのそれぞれの少なくともいずれかの磁化(磁性細線磁化50m)の状態を検出する。読み出し部60が磁性細線磁化50mの状態を検出できれば、読み出し部60は、第1磁性細線50のその少なくとも一部と離間しても良い。読み出し部60の例については、後述する。
【0022】
この例では、第1スイッチ部40aは、第1トランジスタTR1と、第2トランジスタTR2と、第1インバータIN1と、第2インバータIN2と、を含む。
【0023】
第1トランジスタTR1は、上記の第1スイッチ41となる。第1トランジスタTR1は、第1ゲートGT1と、第1ソース/ドレイン領域SD1と、第2ソース/ドレイン領域SD2と、を含む。第1ソース/ドレイン領域SD1は、第1磁性部11と接続される。第2ソース/ドレイン領域SD2は、電流源81と接続される。電流源81の電位は、例えば第1電圧VDDである。すなわち、第2ソース/ドレイン領域SD2は、例えば、第1電圧VDDに設定される。
【0024】
第2トランジスタTR2は、上記の第2スイッチ42となる。第2トランジスタTR2は、第2ゲートGT2と、第3ソース/ドレイン領域SD3と、第4ソース/ドレイン領域SD4と、を含む。第3ソース/ドレイン領域SD3は、第2磁性部12と接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、電流源81と接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、例えば、第1電圧VDDに設定される。
【0025】
第1インバータIN1は、第1インバータ入力IP1と、第1インバータ出力OP1と、を含む。第1インバータ入力IP1は、第1ゲートGT1と接続される。第1インバータ出力OP1は、第2ゲートGT2と接続される。
【0026】
第2インバータIN2は、第2インバータ入力IP2と、第2インバータ出力OP2と、を含む。第2インバータ入力IP2は、第1インバータ出力OP1と第2ゲートGT2と接続される。第2インバータ出力OP2は、第1インバータ入力IP1と第1ゲートGT1と接続される。
【0027】
第1磁性細線50の第2端50bの電位は、例えば、第2電圧GRDに設定される。第2電圧GRDは、第1電圧VDDとは異なる電圧である。例えば、第1電圧VDDは、第2電圧GRDよりも、高い。この場合、第1電圧VDDの導電体から、第2電圧GRDの導電体に向かって、電流が流れる。例えば、第1電圧VDDは、第2電圧GRDよりも、低くても良い。この場合、第2電圧GRDの導電体から、第1電圧VDDの導電体に向かって、電流が流れる。
【0028】
以下では、説明を簡単にするために、第1電圧VDDが、第2電圧GRDよりも高い場合の例について説明する。以下の説明は、第1電圧VDDが、第2電圧GRDよりも低い場合にも適用できる。
【0029】
磁気記憶装置110において、例えば、第1スイッチ41(例えば、第1トランジスタTR1)を介して、第1電流が第1磁性部11と第1磁性細線50との間に流れる第1動作が実施可能である。例えば、例えば、第2スイッチ42(例えば、第2トランジスタTR2)を介して、第2電流が第2磁性部12と第1磁性細線50との間に流れる第2動作が実施可能である。これらの第1動作と第2動作とを切り替えて実施することができる。
【0030】
例えば、第1動作においては、第1磁性細線50の磁区50dの磁性細線磁化50mは、第1磁性部11の第1磁化11mの方向に沿う。第2動作においては、第1磁性細線50の磁区50dの磁性細線磁化50mは、第2磁性部12の第2磁化12mの方向に沿う。第1動作と第2動作を切り替えて実施することで、第1磁性細線50の磁化を所望の状態に設定することができる。すなわち、磁気記憶装置110における情報の書き込みができる。複数のスイッチを設けることで、第1磁性細線50の磁化の制御性が向上し、安定した動作が実現できる。
【0031】
すなわち、実施形態においては、第1磁性細線50に、2つの磁性部(第1磁性部11及び第2磁性部12)が接続されている。例えば、第1磁性部11から第1磁性細線50に向かう方向に第1電流が流れる。または、例えば、第1磁性細線50から第1磁性部11に向かう方向に第1電流が流れる。一方、例えば、第2磁性部12から第1磁性細線50に向かう方向に第2電流が流れる。または、例えば、第1磁性細線50から第2磁性部12に向かう方向に第2電流が流れる。第1電流と、第2電流と、を切り替えることで、電流に応じて第1磁性細線50における磁区50dの磁化が制御できる。すなわち、書き込みができる。
【0032】
第1電流と第2電流とは、第1スイッチ41と第2スイッチ42とにおける動作により、切り替えられる。この構造により、書き込みが簡単に実施できる。これにより、安定した動作が可能になる。
【0033】
図1に表したように、第1磁性部11と第2磁性部12とを結ぶ方向は、第1磁性細線50の延びる方向と交差する。第1磁性細線50の一端(第1端50a)の少なくとも一部は、第1磁性部11の少なくとも一部と、第2磁性部12の少なくとも一部と、の間に配置される。一端(第1端50a)の少なくとも一部は、第1磁性部11と、第2磁性部12と、の間に配置される。
【0034】
第1磁性部11は、例えば、第1磁性層11lを含む。第1磁性層11lは、例えば、垂直磁気異方性を有する。第1磁性層11lの磁化は、例えば、垂直異方性を有する。
【0035】
第2磁性部12は、例えば、第2磁性層12lを含む。第2磁性層12lは、例えば、垂直磁化異方性を有する。第2磁性層12lの磁化は、例えば、垂直異方性を有する。
【0036】
第1磁性細線50は、例えば、細線磁性層53l(第3磁性層)を含む。細線磁性層53lは、例えば、垂直磁気異方性を有する。細線磁性層53lの磁化は、例えば、垂直異方性を有する。
【0037】
第1磁性部11、第2磁性部12及び第1磁性細線50の少なくともいずれかは、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む。第1磁性部11、第2磁性部12及び第1磁性細線50の少なくともいずれかは、例えば上記の選択された少なくともいずれかを含む合金を含んでも良い。第1磁性部11、第2磁性部12及び第1磁性細線50の少なくともいずれかは、例えば、クロム(Cr)、ジルコニア(Zr)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、テルビウム(Tb)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)及びアンチモン(Sb)よりなる群から選択された少なくともいずれかをさらに含んでも良い。
【0038】
図2(a)〜
図2(f)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
これらの図は、磁気記憶装置110の一部を例示する模式的断面図である。
【0039】
図2(a)に例示したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、を含んでも良い。第1非磁性導電層11cは、Z軸方向に沿って、第1磁性層11lと積層される。
【0040】
図2(b)に例示したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1絶縁層11iと、を含んでも良い。第1絶縁層11iは、Z軸方向に沿って、第1磁性層11lと積層される。
【0041】
図2(c)に例示したように、第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2非磁性導電層12cと、を含んでも良い。第2非磁性導電層12cは、Z軸方向に沿って、第2磁性層12lと積層される。
【0042】
図2(d)に例示したように、第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2絶縁層12iと、を含んでも良い。第2絶縁層12iは、Z軸方向に沿って、第2磁性層12lと積層される。
【0043】
図2(e)に例示したように、第1磁性細線50は、細線磁性層53lと、細線非磁性導電層53cと、を含んでも良い。細線非磁性導電層53cは、Z軸方向に沿って、細線磁性層53lと積層される。
【0044】
図2(f)に例示したように、第1磁性細線50は、細線磁性層53lと、細線絶縁層53iと、を含んでも良い。細線絶縁層53iは、Z軸方向に沿って、細線磁性層53lと積層される。
【0045】
例えば、第1磁性層11l、第2磁性層12l及び細線磁性層53lの少なくともいずれかは、例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む。第1磁性層11l、第2磁性層12l及び細線磁性層53lの少なくともいずれかは、例えば上記の選択された少なくともいずれかを含む合金を含んでも良い。第1磁性層11l、第2磁性層12l及び細線磁性層53lの少なくともいずれかは、例えば、クロム(Cr)、ジルコニア(Zr)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、テルビウム(Tb)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)及びアンチモン(Sb)よりなる群から選択された少なくともいずれかをさらに含む。
【0046】
例えば、第1非磁性導電層11c、第2非磁性導電層12c及び細線非磁性導電層53cの少なくともいずれかは、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、テルビウム(Tb)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、金(Au)、アルミニウム(Al)及びルテニウム(Ru)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む。
【0047】
例えば、第1絶縁層11i、第2絶縁層12i及び細線絶縁層53iの少なくともいずれかは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む酸化物、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含む窒化物、並びに、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくともいずれかを含むフッ化物の少なくともいずれかを含む。
【0048】
図3は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図3に表したように、第1磁性細線50において、複数の磁区50dが設けられる。複数の磁区50dの間に、磁壁50wが設けられる。1つの磁壁50wcと、別の磁壁50wdと、の間に、1つの磁区50dが設けられる。磁壁50wcと磁壁50wdとは互いに隣り合う。
【0049】
第1磁性細線50の延びる方向(第3方向DR3)は、第1方向DR1と交差し、第2方向DR2と交差する。
【0050】
例えば、第3方向DR3に対して垂直な方向(第4方向DR4)に沿った磁壁50wcの長さ(幅)は、第4方向DR4に沿った磁区50dの長さ(幅)よりも短い。
【0051】
第1磁性細線50の一端(第1端50a)に第1接続部51が設けられる。第1接続部51は、第1磁性部11及び第2磁性部12と接続される。例えば、第1接続部51と第1磁性部11との間に第1接続部磁壁50wa(第1境界部)が設けられる。第1接続部51と第2磁性部12との間に第2接続部磁壁50wb(第2境界部)が設けられる。すなわち、磁性ユニット50uは、第1境界部の近傍に設けられた第1磁壁と、第2境界部の近傍に設けられた第2磁壁と、を含む。
【0052】
例えば、第1方向DR1に対して垂直な第5方向DR5に沿った第1接続部磁壁50waの長さ(幅)は、第5方向DR5に沿った第1接続部51の長さ(幅)よりも短い。例えば、第5方向DR5に沿った第1接続部磁壁50waの長さ(幅)は、第5方向DR5に沿った第1磁性部11の長さ(幅)よりも短い。例えば、第1磁性部11と第1磁性細線50との間の第1境界部(例えば、第1接続部磁壁50wa)は、第1磁性部11よりも細く、第1磁性細線50の磁区50dよりも細い。
【0053】
例えば、第2方向DR2に対して垂直な第6方向DR6に沿った第2接続部磁壁50wbの長さ(幅)は、第6方向DR6に沿った第1接続部51の長さ(幅)よりも短い。例えば、第6方向DR6に沿った第2接続部磁壁50wbの長さ(幅)は、第6方向DR6に沿った第2磁性部12の長さ(幅)よりも短い。例えば、第2磁性部12と第1磁性細線50との間の第2境界部(例えば、第2接続部磁壁50wb)は、第2磁性部12よりも細く、第1磁性細線50の磁区50dよりも細い。
【0054】
例えば、第1接続部磁壁50waと磁壁50wcとの間の距離d1は、磁壁50wcと磁壁50wdとの間の距離d3の1/10倍以上3倍以下である。
【0055】
例えば、第2接続部磁壁50wbと磁壁50wcとの間の距離d2は、磁壁50wcと磁壁50wdとの間の距離d3の1/10倍以上3倍以下である。
【0056】
例えば、第1磁性部11は、例えば、第1磁性細線50の中心線50MLに対して、第2磁性部12と対称な位置に配置される。中心線50MLは、第1磁性細線50の延びる方向(第3方向DR3)に沿う、第1磁性細線50の中心線である。
【0057】
実施形態において、第1磁性細線50において、周期的なピニングポテンシャルが設けられる。周期的なピニングポテンシャルは、第1磁性細線50の延びる方向(第3方向DR3)に沿って設けられる。
【0058】
例えば、第1磁性細線50に、周期的な形状異方性が設けられる。これにより、周期的なピニングポテンシャルが形成される。第1磁性細線50に、周期的に特性が異なる領域を設けても良い。例えば、第1磁性細線50に、周期的にドーピングが行われる。これにより、周期的なピニングポテンシャルが形成される。ドーピングには、例えば、ガリウム及びヘリウムの少なくともいずれかが用いられる。
【0059】
第1磁性細線50に、複数のノッチ(凹部)を設けても良い。第1磁性細線50に、複数のディップ(凸部)を設けても良い。これにより、周期的なピニングポテンシャルが形成される。
【0060】
例えば、第1磁性細線50のうちの第1磁性部11に接続される領域に、ピニングポテンシャル(第1ピニングポテンシャル)が設けられる。すなわち、第1磁性部11と第1磁性細線50との間の第1境界部に、第1ピニングポテンシャルが設けられる。第1磁性細線50のうちの第2磁性部12に接続される領域に、ピニングポテンシャル(第2ピニングポテンシャル)が形成される。すなわち、第2磁性部12と第1磁性細線50との間の第2境界部に、第2ピニングポテンシャルが設けられる。これらのピニングポテンシャルは、磁壁50wを局在化させる。これらのピニングポテンシャルは、磁壁50wの好ましい位置を定める。
【0061】
第1ピニングポテンシャルは、第1接続部磁壁50waをピニングする。第2ピニングポテンシャルは、第2接続部磁壁50wbをピニングする。このように、第1磁性細線50は、磁壁50wをピニングする第1ピニングポテンシャル及び第2ピニングポテンシャルを有する。第1ピニングポテンシャルは、第1磁性部11の近くに設けられる。第2ピニングポテンシャルは、第2磁性部12の近くに設けられる。
【0062】
ピニングポテンシャルを設けることで、磁壁50wで区画された磁区50dが安定化する。これにより、磁区50dに格納される情報の保持が安定化する。
【0063】
実施形態において、複数の磁区50dの大きさは、例えば、5ナノメートル(nm)以上1000nm以下である。大きさは、例えば、10nm以上200nm以下でも良い。
【0064】
第1磁性細線50に供給される電流(電流パルス)のパルス幅に対応して、磁区50dのサイズを決めることができる。例えば、磁壁50wの移動速度は、200m/s程度である。
【0065】
図4は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図4に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置111においても、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、読み出し部60と、が設けられる。
【0066】
第1スイッチ部40aにおいて、例えば、p形MOSFETの第1トランジスタTR1と、n形MOSFETの第2トランジスタTR2と、が設けられる。
【0067】
第1トランジスタTR1は、第1ゲートGT1と、第1ソース/ドレイン領域SD1と、第2ソース/ドレイン領域SD2と、を含む。第1ゲートGT1は、データ入力端子85と接続される。第1ソース/ドレイン領域SD1は、電流源81と接続される。第2ソース/ドレイン領域SD2は、第1磁性部11と接続される。
【0068】
第2トランジスタTR2は、第2ゲートGT2と、第3ソース/ドレイン領域SD3と、第4ソース/ドレイン領域SD4と、を含む。第2ゲートGT2は、データ入力端子85と接続される。第3ソース/ドレイン領域SD3は、電流源81と接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、第2磁性部12と接続される。
【0069】
第1磁性部11と第2磁性部12とが、第1磁性細線50の第1端50aと接続される。第1磁性細線50の複数の磁区50dのそれぞれが、複数の磁性セル50cのそれぞれに対応する。
【0070】
この例では、第1磁性細線50の第2端50bに、読み出し部60が接続されている。読み出し部60は、例えば、読み出し部磁性層61を含む。読み出し部磁性層61は、第1磁性細線50の複数の磁区50dのいずれかと積層される。
【0071】
この例では、第1磁性細線50には、第2端50bの第2接続部52が設けられる。第2接続部52は、複数の磁区50dの内の第2端50bの磁区である。この例では、読み出し部磁性層61が、第2接続部52と積層されている。
【0072】
読み出し部60は、中間層62をさらに含んでも良い。中間層62は、読み出し部磁性層61と、磁区50d(この例では第2接続部52)と、の間に配置される。中間層62は、例えば、絶縁性でも良く、導電性でも良い。
【0073】
読み出し部60に、制御部66が接続される。制御部66は、読み出し部60の動作を制御する。
【0074】
読み出し部60においては、例えば、読み出し部磁性層61の磁化61mと、第1磁性細線50の磁区50d(この例では、第2接続部52)の磁化(磁性細線磁化50m)と、の間の角度により、読み出し部磁性層61と第1磁性細線50との間を流れる電流の抵抗が変化する。抵抗の変化が、例えば、制御部66において、検出される。例えば、読み出し部磁性層61と、磁区50d(この例では、第2接続部52)と、により、検出素子64が形成される。検出素子64における抵抗変化を検出することで、第1磁性細線50の磁区50dの状態が検出される。
【0075】
例えば、第1トランジスタTR1と第2トランジスタTR2との動作により、第1磁性細線50の複数の磁区50dのそれぞれの磁化(磁性細線磁化50m)が、第1磁性細線50の延びる方向に沿って、順次シフトして移送される。移送された磁化が、読み出し部60において読み出される。すなわち、シフトレジスタ型記憶装置が形成される。
【0076】
図5(a)及び
図5(b)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図5(a)は、磁気記憶装置111を模式的に例示している。
図5(b)は、磁気記憶装置111における動作を例示するタイミングチャートである。
【0077】
図5(a)に表したように、ソーストランジスタ83が設けられる。ソーストランジスタ83の1つの端子(ソース83s)は、第1電圧VDDに設定される。ソーストランジスタ83の別の端子(ドレイン83d)は、第1トランジスタTR1の第1ソース/ドレイン領域SD1と、第2トランジスタTR1の第3ソース/ドレイン領域SD3と、に接続される。ソーストランジスタ83のゲート83gにクロック信号CLKが入力される。
【0078】
図5(a)においては、第1磁性部11は、第1抵抗R1として表示されている。第2磁性部12は、第2抵抗R2として表示されている。第1磁性細線50は、第3抵抗R3として表示されている。第1トランジスタTR1と第1磁性部11との間の位置を、第1位置P11とする。第2トランジスタTR2と第2磁性部12との間の位置を第2位置P12とする。
【0079】
第1位置P11に、第1電流c1が流れる。第2位置P12に、第2電流c2が流れる。データ入力端子85に、データ信号Dsigが入力される。
【0080】
図5(b)には、クロック信号CLK、データ信号Dsig、第1トランジスタTR1の状態、第2トランジスタTR2の状態、第1電流c1及び第2電流c2が例示されている。
図5(b)には、クロック信号CLK(クロックパルス)が入力された後の、第1磁性細線50に格納されたデータD50がさらに示されている。
【0081】
図5(b)に例示したように、クロック信号CLKに連動して、データ信号Dsigが入力される。データ信号Dsigは、例えば、「1」状態と、「0」状態と、を有する。データ信号Dsigの状態に応じて、第1トランジスタTR1の状態と、第2トランジスタTR2の状態と、が変化する。トランジスタの状態の変化に伴って、第1電流c1と、第2電流c2と、が流れる。この例においては、第1電流c1が流れるときに、第2電流c2は流れない。第2電流c2が流れるときに、第1電流c1は流れない。
【0082】
このような第1電流c1と第2電流c2とにより、第1磁性細線50におけるデータD50が、順次変化する。すなわち、クロック信号CLKに従って、データ信号Dsigが、第1磁性細線50に供給される。
【0083】
この例では、「1001110」のデータ信号Dsigが、例えば、第1磁性細線50中のデータD50に格納される。このようにして、第1磁性細線50にデータの書き込みが行われる。
【0084】
実施形態においては、2つのトランジスタを相互にオン/オフさせることで、第1電流c1を流す第1状態と、第2電流c2を流す第2状態と、が形成される。これらの状態は安定して形成される。すなわち、安定した書き込みが可能なり、安定した動作が可能となる。
【0085】
図6は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図6は、
図1に例示した磁気記憶装置110を模式的に例示している。磁気記憶装置110においても、例えば、
図5(b)に関して説明した駆動により、データの書き込みが実施できる。
【0086】
図7は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図7は、本実施形態に係る別の磁気記憶装置112を例示している。
図7に表したように、磁気記憶装置112においても、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、読み出し部60と、が設けられる。
【0087】
この例においては、第1スイッチ部40aにSRAMセルが設けられる。すなわち、例えば、第1スイッチ41(第1トランジスタTR1)と、第2スイッチ42(第2トランジスタTR2)と、は、SRAMセルを形成する。
【0088】
この例では、例えば、ワード線WLと、ビット線BL(第1線Ln1)と、ビット線バーBLN(第2線Ln2)と、が設けられている。ビット線BLには、第1信号sg1(第1データ信号)が供給される。ビット線バーBLNには、第2信号sg2(第2データ信号)が流れる。第2信号sg2は、第1信号sg1の反転信号である。すなわち、ビット線バーBLNには、ビット線BLの反転信号が供給される。
【0089】
この例では、6個のトランジスタが、SRAMセルに設けられる。
すなわち、第1スイッチ部40aは、第1〜第6トランジスタTR1〜TR6を含む。
【0090】
第1トランジスタTR1は、例えば、第1スイッチ41となる。第1トランジスタTR1は、第1ゲートGT1と、第1ソース/ドレイン領域SD1と、第2ソース/ドレイン領域SD2と、を含む。第1ゲートGT1は、第1ノードND1と接続される。第1ソース/ドレイン領域SD1は、第1磁性部11と接続される。第2ソース/ドレイン領域SD2は、第2ノードND2と接続される。第1トランジスタTR1は、例えば、n形MOSFETである。
【0091】
第2トランジスタTR2は、例えば、第2スイッチ42となる。第2トランジスタTR2は、第2ゲートGT2と、第3ソース/ドレイン領域SD3と、第4ソース/ドレイン領域SD4と、を含む。第2ゲートGT2は、第2ノードND2と接続される。第3ソース/ドレイン領域SD3は、第2磁性部12と接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、第1ノードND1と接続される。第2トランジスタTR2は、例えば、n形MOSFETである。
【0092】
第3トランジスタTR3は、第3ゲートGT3と、第5ソース/ドレイン領域SD5と、第6ソース/ドレイン領域SD6と、を含む。第3ゲートGT3は、第1ノードND1と接続される。第5ソース/ドレイン領域SD5は、第2ノードND2と接続される。第6ソース/ドレイン領域SD6は、端子65と接続される。端子65には、所定の電圧が供給される。すなわち、端子65は、例えば、第1電圧VDDに設定される。第3トランジスタTR3は、例えば、p形MOSFETである。
【0093】
第4トランジスタTR4は、第4ゲートGT4と、第7ソース/ドレイン領域SD7と、第8ソース/ドレイン領域SD8と、を含む。第4ゲートGT4は、第2ノードND2と接続される。第7ソース/ドレイン領域SD7は、第1ノードND1と接続される。第8ソース/ドレイン領域SD8は、端子65と接続される。第4トランジスタTR4は、例えば、p形MOSFETである。
【0094】
第5トランジスタTR5は、第5ゲートGT5と、第9ソース/ドレイン領域SD9と、第10ソース/ドレイン領域SD10と、を含む。
第5ゲートGT5は、ワード線WLと接続される。第9ソース/ドレイン領域SD9は、第2ノードND2と接続される。第10ソース/ドレイン領域SD10は、第1線Ln1と接続される。すなわち、第10ソース/ドレイン領域SD10には、第1信号sg1(第1データ信号)が供給される。第5トランジスタTR5は、例えば、n形MOSFETである。
【0095】
第6トランジスタTR6は、第6ゲートGT6と、第11ソース/ドレイン領域SD11と、第12ソース/ドレイン領域SD12と、を含む。
第6ゲートGT6は、ワード線WLと接続される。第11ソース/ドレイン領域SD11は、第1ノードND1と接続される。第12ソース/ドレイン領域SD12は、第2線Ln2と接続される。すなわち、第12ソース/ドレイン領域SD12には、第2信号sg2(第1データ信号と反転の第2データ信号)が供給される。第6トランジスタTR6は、例えば、n形MOSFETである。
【0096】
このような6トランジスタ型のSRAMセルにより、第1磁性部11と第2磁性部12とに流れる電流を切り替えて制御できる。
【0097】
この例では、第1スイッチ部40aは、読み出しトランジスタRTR1をさらに含む。読み出しトランジスタRTR1は、記憶を読み出すときに、メモリ第1スイッチ部40aをオフまたはバイパスさせる。読み出しトランジスタRTR1は、読み出しゲートRGT1と、第1読み出しソース/ドレイン領域RSD1と、第2読み出しソース/ドレイン領域RSD2と、を含む。
読み出しゲートRGT1には、読み出し信号sgr1(すなわち、「Read」)が入力される。第1読み出しソース/ドレイン領域RSD1は、第1ノードND1と電気的に接続される。第2読み出しソース/ドレイン領域RSD2は、第2ノードND2と電気的に接続される。この場合、第1ゲートGT1と第2ゲートGT2とは同じ電位にされ、第2トランジスタTR2と第1トランジスタTR1とは、同時ににオフされる。
【0098】
読み出し部60は、検出トランジスタRTR2をさらに含む。読み出し部60には、例えば、検知素子(例えば、読み出し部磁性層61)が設けられている。検知素子の抵抗は、第1磁性細線50の磁化(磁性細線磁化50m)の変化に応じて変化する。
検出トランジスタRTR2は、検出ゲートRGT2と、第1検出ソース/ドレイン領域RSD3と、第2検出ソース/ドレイン領域RSD4と、を含む。検出ゲートRGT2には、読み出し信号sgr1が入力される。例えば、第1検出ソース/ドレイン領域RSD3は、上記の素子と電気的に接続される。第1検出ソース/ドレイン領域RSD3は、第1磁性細線50の少なくとも1つの磁区50dの向きに反応する素子と電気的に接続される。第2検出ソース/ドレイン領域RSD4は、端子65(第1電圧VDD)と電気的に接続される。例えば、第1検出ソース/ドレイン領域RSD3が、読み出し部磁性層61と電気的に接続される。第1検出ソース/ドレイン領域RSD3は、第1磁性細線50の磁化の向きに、抵抗が依存する素子と電気的に接続される。
【0099】
例えば、読み出し信号sgr1により、第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2の動作が、制御される。読み出し信号sgr1により、第1磁性細線50と読み出し部60との間に流れる電流が制御される。読み出し信号sgr1により、第1磁性細線50と電気的に接続された読み出し部60に流れる電流が制御される。これにより、検出素子64の抵抗が検出される。これにより、第1磁性細線50に書き込まれた情報が、読み出される。
【0100】
図8(a)及び
図8(b)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図8(a)は、磁気記憶装置113を模式的に例示している。
図8(b)は、磁気記憶装置113における動作を例示するタイミングチャートである。
【0101】
図8(a)に表したように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置113は、磁性ユニット50u、第1スイッチ部40a及び読み出し部60に加えて、フリップフロップ回路部48をさらに含む。フリップフロップ回路部48は、例えば、フリップフロップ遅延回路である。
【0102】
フリップフロップ回路部48は、第1フリップフロップ端子48aと、第2フリップフロップ端子48bと、第3フリップフロップ端子48cと、を有する。第1フリップフロップ端子48aは、検出トランジスタRTR2の第4読み出しソース/ドレイン領域RSD4と接続される。第2フリップフロップ端子48bは、第1線Ln1と接続される。第1線Ln1は、第1データ信号(第1信号sg1)が供給されるビット線BLに対応する。第3フリップフロップ端子48cは、第2線Ln2と接続される。第2線Ln2は、第2データ信号(第2信号sg2)が供給されるビット線バーBLNに対応する。
【0103】
第1フリップフロップ端子48aは、フリップフロップ回路部48の入力である。第1フリップフロップ端子48aには、信号「D」が入力される。第2フリップフロップ端子48bは、フリップフロップ回路部48の出力「Q」である。第3フリップフロップ端子48cは、フリップフロップ回路部48の出力「QN」である。「QN」は、「Qバー」である。「QN」は、「Q」の反転である。
【0104】
図8(b)には、クロック信号CLK、読み出し信号sgr1、「D」、「Q」、第1電流c1及び第2電流c2が例示されている。クロック信号CLKは、ワード線WLの信号でも良い。読み出し信号sgr1は、「Read」に対応する。
図8(b)には、クロック信号CLKが入力された後の、第1磁性細線50に格納されたデータD50がさらに示されている。
【0105】
第1磁性細線50の磁区50dの磁化(磁性細線磁化50m)が、読み出し部60により検出され、第1磁性細線50に記憶されたデータ(情報)が読み出される。そして、読み出されたデータは、フリップフロップ回路部48により遅延される。遅延されたデータが、第1磁性細線50に再度書き込まれる。
【0106】
この例においては、記憶されたデータを読み出した後にも、読み出されたデータが残る。すなわち、シフトレジスタのデータの非破壊の読み出しが実施される。
【0107】
図9は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図9に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置114においては、複数の読み出し部60(例えば、第1〜第4読み出し部60a〜60dなど)が設けられる。例えば、複数の読み出し部60のそれぞれは、第1磁性細線50の複数の磁区50dのいずれかに電気的に接続される。例えば、複数の読み出し部60のそれぞれは、磁性細線磁区の向きに抵抗が依存する素子と電気的に接続される。例えば、読み出し部60の読み出し部磁性層61のそれぞれは、磁区50dと積層される。これにより、Serial−In/Parallel−Out形のシフトレジスタが形成される。
【0108】
この例では、第1読み出し部60aは、読み出し部磁性層61aと、検出トランジスタRTR2aと、抵抗RRaと、を含む。第2読み出し部60bは、読み出し部磁性層61bと、検出トランジスタRTR2bと、抵抗RRbと、を含む。第3読み出し部60cは、読み出し部磁性層61cと、検出トランジスタRTR2cと、抵抗RRcと、を含む。第4読み出し部60dは、読み出し部磁性層61dと、検出トランジスタRTR2dと、抵抗RRaと、を含む。
【0109】
読み出し部のそれぞれにおいて、読み出し部磁性層61と抵抗との間に検出トランジスタが配置される。それぞれの検出トランジスタのゲートに読み出し信号sgr1(すなわち、「Read」)が入力される。読み出し信号sgr1により、読み出し部のそれぞれにおいて、磁区50dの磁化の状態が読み出される。すなわち、書き込まれた情報が読み出される。
【0110】
実施形態において、複数の検出トランジスタどうしにおいて、特性が異なっても良い。例えば、検出トランジスタRTR2aの特性が、検出トランジスタRTR2cの特性と異なっても良い。複数の抵抗どうしにおいて、特性が異なっても良い。例えば、抵抗RRaは、抵抗RRcと異なっても良い。
【0111】
図10は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図10に表したように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置115においても、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、が設けられる。
図10においては、読み出し部60は、省略されている。
【0112】
磁気記憶装置115においては、第1スイッチ部40aは、第1伝達ゲートTG1と、第2伝達ゲートTG2と、を含む。
【0113】
第1伝達ゲートTG1は、第1スイッチ41となる。第1伝達ゲートTG1は、第1入力部TGi1と、第1出力部TGo1と、第1ゲートTGg1と、第2ゲートTGg2と、を含む。第1入力部TGi1は、電流源81と接続される。第1出力部TGo1は、第1磁性部11と接続される。第1ゲートTGg1には、第1信号sg1(第1データ信号)が供給される。第2ゲートTGg2には、第2信号sg2(第2データ信号)が供給される。第2データ信号は、第1データ信号の反転の信号である。
【0114】
第2伝達ゲートTG2は、第2スイッチ42となる。第2伝達ゲートTG2は、第2入力部TGi2と、第2出力部TGo2と、第3ゲートTGg3と、第4ゲートTGg4と、を含む。第2入力部TGi2は、電流源81と接続される。第2出力部TGo2は、第2磁性部12と接続される。第3ゲートTGg3には、第2信号sg2(第2データ信号)が供給される。第4ゲートTGg4には、第1信号sg1(第1データ信号)が供給される。
【0115】
磁気記憶装置115においても、2つの伝達トランジスタを用いることで、安定した書き込みが可能になる。本実施形態によれば、安定した動作が可能な磁気記憶装置を提供できる。
【0116】
図11(a)及び
図11(b)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図11(a)に表したように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置116においても、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、が設けられる。
図11(a)においては、読み出し部60は、省略されている。
【0117】
磁気記憶装置116においては、第1スイッチ部40aは、第1トランジスタTR1と、第2トランジスタTR2と、を含む。
【0118】
第1トランジスタTR1は、第1スイッチ41となる。第1トランジスタTR1は、p形MOSFETである。第1トランジスタTR1は、第1ゲートGT1と、第1ソース/ドレイン領域SD1と、第2ソース/ドレイン領域SD2と、を含む。第1ゲートGT1には、第1信号sg1(第1データ信号)が入力される。第1ソース/ドレイン領域SD1は、第1磁性部11と接続される。第2ソース/ドレイン領域SD2は、電流源81と接続される。
【0119】
第2トランジスタTR2は、第2スイッチ42となる。第2トランジスタTR2は、n形MOSFETである。第2トランジスタTR2は、第2ゲートGT2と、第3ソース/ドレイン領域SD3と、第4ソース/ドレイン領域SD4と、を含む。第2ゲートGT2には、第1信号sg1(第1データ信号)が入力される。第3ソース/ドレイン領域SD3は、第2磁性部12と接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、電流源81と接続される。
【0120】
図11(b)に表したように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置116aにおいては、磁気記憶装置116における電流源81が、電圧源81aに置き換えられている。第2ソース/ドレイン領域SD2は、電圧源81aと接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、電圧源81aと接続される。磁気記憶装置116aにおいて、これ以外は、磁気記憶装置116と同様である。
【0121】
磁気記憶装置116及び磁気記憶装置116aにおいても、2つのトランジスタを用いることで、安定した書き込みが可能になる。本実施形態によれば、安定した動作が可能な磁気記憶装置を提供できる。
【0122】
図12(a)及び
図12(b)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置の一部を例示する模式図である。
図12(a)は、磁性ユニット50uを例示する模式的斜視図である。
図12(b)は、
図12(a)のA1−A2線断面図である。
図12(a)及び
図12(b)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1絶縁層11iと、を含む。この例では、第1磁性層11lは、第1非磁性導電層11cと、第1絶縁層11iと、の間に設けられている。
【0123】
第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2非磁性導電層12cと、第2絶縁層12iと、を含む。この例では、第2磁性層12lは、第2非磁性導電層12cと、第2絶縁層12iと、の間に設けられている。
【0124】
第1磁性細線50は、細線磁性層53lと、細線非磁性導電層53cと、細線絶縁層53iと、を含む。この例では、細線磁性層53lは、細線非磁性導電層53cと、細線絶縁層53iと、の間に設けられている。
【0125】
第1非磁性導電層11c、第2非磁性導電層12c及び細線非磁性導電層53cには、例えば、金属が用いられる。第1絶縁層11i、第2絶縁層12i及び細線絶縁層53iには、例えば、酸化物などが用いられる。
【0126】
図13(a)及び
図13(b)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置の一部を例示する模式図である。
図13(a)は、磁性ユニット50uを例示する模式的斜視図である。
図13(b)は、
図13(a)のB1−B2線断面図である。
図13(a)及び
図13(b)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1絶縁層11iと、層11pと、層11qと、を含む。層11pと第1絶縁層11iとの間に、層11pが配置されている。層11pには、例えば、磁性層または非磁性層が用いられる。層11qは、中間層である。層11p及び層11qには、例えば、白金、ルテニウム、金及び銅の少なくともいずれかが用いられる。
【0127】
一方、第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2非磁性導電層12cと、第2絶縁層12iと、層12pと、を含む。層12pと、第2磁性層12lと、の間に、第2非磁性導電層12cが設けられている。
【0128】
このように、第1磁性部11に含まれる層の数は、第2磁性部12に含まれる層の数と異なっても良い。第1磁性部11に含まれる層の数は、第1磁性細線50に含まれる層の数と異なっても良い。第2磁性部12に含まれる層の数は、第1磁性細線50に含まれる層の数と異なっても良い。第1磁性部11、第2磁性部12、及び、第1磁性細線50のそれぞれの厚さは、互いに異なっても良い。
【0129】
図14(a)〜
図14(j)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置の一部を例示する模式図である。
これらの図は、
図13(a)のA1−A2線断面に相当する断面図である。これらの図は、実施形態に用いられる、第1磁性部11、第2磁性部12及び第1磁性細線50の構成の例を示している。
【0130】
図14(a)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1強磁性層11laと、反強磁性層11afと、を含む。第1磁性層11lと第1反強磁性層11afとの間に、第1非磁性導電層11cが配置される。第1非磁性導電層11cと第1反強磁性層11afとの間に、第1強磁性層11laが配置される。この例では、第1強磁性層11laの磁化は、第1磁性層11lの磁化に対して反平行である。第1反強磁性層11afは、反強磁性層と強磁性層との間の界面において、交換相互作用を生じさせる。第1非磁性導電層11cは、第1磁性層11lと第1強磁性層11laとの間において、RKKYカップリングを誘起する。この例では、第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2反強磁性層12afと、を含む。第1磁性細線50は、細線磁性層53lを含む。
【0131】
図14(b)に表したように、第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2非磁性導電層12cと、第2強磁性層12laと、第2反強磁性層12afと、を含む。この例では、第2強磁性層12laと第2反強磁性層12afとの間に、第2磁性層12lが配置される。第2磁性層12lと第2強磁性層12laとの間に、第2非磁性導電層12cが配置される。この例では、第2強磁性層12laの磁化は、第2磁性層12lの磁化に対して反平行である。第2反強磁性層12afは、反強磁性層と強磁性層との間の界面において、交換相互作用を生じさせる。第2非磁性導電層12cは、第2磁性層12lと第2強磁性層12laとの間において、RKKYカップリングを誘起する。この例では、第1磁性細線50は、細線磁性層53lと、細線非磁性導電層53cを含む。第1非磁性導電層11cと、細線非磁性導電層53cと、第2非磁性導電層12cと、は、同じ平面内に位置する。
【0132】
図14(c)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1強磁性層11laと、を含む。
【0133】
図14(d)に表したように、第2磁性部12は、第2磁性層12lと、第2反強磁性層12afと、を含む。
【0134】
図14(e)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1強磁性層11laと、反強磁性層11afと、を含む。
【0135】
図14(f)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1強磁性層11laと、を含む。この例では、第1強磁性層11laの磁化は、第1磁性層11lの磁化に対して反平行(逆向き)である。
【0136】
図14(g)に表したように、第1磁性部11は、第1磁性層11lと、第1非磁性導電層11cと、第1強磁性層11laと、を含む。この例では、第1強磁性層11laの磁化は、第1磁性層11lの磁化に対して平行(同じ向き)である。
【0137】
図14(h)に表したように、第2磁性層12lの厚さは、第1磁性層11lの厚さとは異なる。この例では、第2磁性層12lの厚さは、第1磁性層11lの厚さよりも厚い。
【0138】
図14(i)に表したように、第1磁性細線50は、細線磁性層53lを含む。細線磁性層53lの厚さは、第1磁性層11lの厚さよりも厚く、第2磁性層12lの厚さよりも薄い。
【0139】
図14(j)に表したように、細線磁性層53lの厚さは、第1磁性層11lの厚さと同じである。第2磁性層12lの厚さは、第1磁性層11lの厚さよりも厚い。
上記に加えて、実施形態において、種々の構成が、各層に適用できる。
【0140】
図15は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図15に表したように、磁気記憶装置117においては、複数のメモリ部50Mが設けられる。1つのメモリ部50Mは、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、読み出し部60と、を含む。複数のメモリ部50Mは、例えば、マトリクス状に配置される。
【0141】
磁気記憶装置117において、複数のワード線WLが設けられる。複数のワード線WLは、例えば、第1ワード線WL_1、第2ワード線WL_2、及び、第3ワード線WL_3などを含む。複数のワード線WLは、1つの方向に延びる。
【0142】
磁気記憶装置117において、複数のビット線BLが設けられる。複数のビット線BLは、例えば、第1ビット線BL_1、第2ビット線BL_2、及び、第3ビット線BL_3などを含む。複数のビット線BLは、1つの方向に延びる。
【0143】
磁気記憶装置117において、複数のビット線バーBLNが設けられる。複数のビット線バーBLNは、例えば、第1ビット線バーBL_1N、第2ビット線バーBL_2N、及び、第3ビット線バーBL_3Nなどを含む。複数のビット線バーBLNは、1つの方向に延びる。
【0144】
例えば、ビット線バーBLNの延びる方向は、ビット線BLの延びる方向に対して平行である。ワード線WLの延びる方向は、ビット線BLの延びる方向と交差する。
【0145】
この例では、第1スイッチ部40aは、磁気記憶装置110に関して説明した構成を有している。第1トランジスタTR1には、第2ソース/ドレイン領域SD2が設けられている。第2トランジスタTR2には、第3ソース/ドレイン領域SD3が設けられている。第2ソース/ドレイン領域SD2と第3ソース/ドレイン領域SD3とが、1つのワード線WLに接続される。この例では、第1インバータIN1と、第2インバータIN2と、が設けられている。第1インバータIN1は、第1インバータ入力IP1と、第1インバータ出力OP1と、を有する。この例では、第1インバータ入力IP1は、1つのビット線バーBLNに接続される。第1インバータ出力OP1は、1つのビット線BLに接続される。
【0146】
複数のワード線WLと、複数のビット線BLと、複数のビット線バーBLNと、を用いることで、複数のメモリ部50Mのそれぞれに、独立してデータ書き込むことができる。複数のメモリ部50Mにより、複数のメモリセルを有するメモリが得られる。
【0147】
図16は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図16に表したように、磁気記憶装置118においては、アナログ−デジタルコンバータADCが設けられる。アナログ−デジタルコンバータADCから、クロック信号CLKが出力される。アナログ−デジタルコンバータADCから、複数のロジック出力が出力される。複数のロジック出力は、例えば、出力D
1、D
2、D
nなどを含む。複数のロジック出力は、例えば、出力D
1N、D
2N、D
nNなどを含む。
【0148】
例えば、クロック信号CLKが、複数のワード線WLのそれぞれに供給される。出力D
1、D
2、D
nなどのそれぞれが、複数のビット線BLのそれぞれに供給される。出力D
1N、D
2N、D
nNなどのそれぞれが、複数のビット線バーBLNのそれぞれに供給される。
【0149】
磁気記憶装置118においては、アナログ−デジタルコンバータADCに入力される情報を記憶することができる。
【0150】
(第2の実施形態)
図17は、第2の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図17に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置120は、磁性ユニット50u、第1スイッチ部40a及び読み出し部60に加えて、第2スイッチ部40bをさらに含む。磁性ユニット50uは、第1磁性細線50、第1磁性部11及び第2磁性部12に加えて、第3磁性部13と、第4磁性部14と、をさらに含む。この例では、磁気記憶装置120において、第1制御端子SEL_1と、第2制御端子SEL_2と、が設けられている。
【0151】
第1磁性細線50、第1磁性部11及び第2磁性部12については、上記の実施形態に関して説明した構成を適用できる。第1スイッチ部40a及び読み出し部60については、上記の実施形態に関して説明した構成を適用できる。以下では、磁性ユニット50uと、第2スイッチ部40bと、の例について説明する。
【0152】
磁性ユニット50uに設けられる第3磁性部13は、第1磁性細線の他端(第2端50b)と接続される。第3磁性部13は、第3磁化13mを有する。
【0153】
第4磁性部14は、上記の他端(第2端50b)と接続される。第4磁性部14は、第3磁性部13と離間する。第4磁性部14は、第4磁化14mを有する。第4磁化14mは、第3磁化13mとは反対である。
【0154】
第3磁性部13及び第4磁性部14には、第1磁性部11及び第2磁性部12に関して説明した構成及び材料が適用できる。
【0155】
例えば、第3磁性部13は、例えば、第3磁性層13lを含む。第3磁性層13lは、例えば、垂直磁気異方性を有する。第3磁性層13lの磁化は、例えば、垂直異方性を有する。第4磁性部14は、例えば、第4磁性層14lを含む。第4磁性層14lは、例えば、垂直磁化異方性を有する。第4磁性層14lの磁化は、例えば、垂直異方性を有する。第3磁性部13及び第4磁性部14の少なくともいずれかが、非磁性導電層及び絶縁層の少なくともいずれかを含んでも良い。
【0156】
第2スイッチ部40bは、第3スイッチ43と、第4スイッチ44と、を含む。第3スイッチ43は、第3磁性部13と接続される。第3スイッチ43は、第3磁性部13と第1磁性細線50との間に第3電流を流す。第4スイッチ44は、第4磁性部14と接続される。第4スイッチ44は、第4磁性部14と第1磁性細線50との間に第4電流を流す。
【0157】
この例では、第1スイッチ部40aとして、磁気記憶装置116に関して説明した構成が用いられている。すなわち、第1スイッチ部40aに、p形MOSFETの第1トランジスタTR1と、n形MOSFETの第2トランジスタTR2と、が設けられている。第1トランジスタTR1の第1ゲートGT1が、第1制御端子SEL_1に接続される。第2トランジスタTR2の第2ゲートGT2も、第1制御端子SEL_1に接続される。第1制御端子SEL_1には、例えば、第1信号sg1が供給される。
【0158】
一方、第2スイッチ部40bにも、p形MOSFETと、n形MOSFETと、が設けられる。すなわち、第2スイッチ部40bは、第3トランジスタTR3と、第4トランジスタTR4と、を含む。
【0159】
第3トランジスタTR3は、第3スイッチ43となる。第3トランジスタTR3は、p形MOSFETである。第3トランジスタTR3は、第3ゲートGT3と、第5ソース/ドレイン領域SD5と、第6ソース/ドレイン領域SD6、を含む。第3ゲートGT3は、第2制御端子SEL_2に接続される。第5ソース/ドレイン領域SD5は、第3磁性部13と接続される。第6ソース/ドレイン領域SD6は、電流源82と接続される。
【0160】
第4トランジスタTR4は、第4スイッチ44となる。第4トランジスタTR4は、n形MOSFETである。第4トランジスタTR4は、第4ゲートGT4と、第7ソース/ドレイン領域SD7と、第8ソース/ドレイン領域SD8と、を含む。第4ゲートGT4は、第2制御端子SEL_2に接続される。第7ソース/ドレイン領域SD7は、第4磁性部14と接続される。第8ソース/ドレイン領域SD8は、電流源82と接続される。
【0161】
第1制御端子SEL_1及び第2制御端子SEL_2に加えられる信号により、第1磁性細線50に、種々の経路で電流を流すことができる。
【0162】
例えば、第1磁性部11と、第1磁性細線50と、第3磁性部13と、を含む経路に、電流を流すことができる。第1磁性部11と、第1磁性細線50と、第4磁性部14と、を含む経路に、電流を流すことができる。第2磁性部12と、第1磁性細線50と、第3磁性部13と、を含む経路に、電流を流すことができる。第2磁性部12と、第1磁性細線50と、第4磁性部14と、を含む経路に、電流を流すことができる。これらの電流の方向は、任意である。
【0163】
磁気記憶装置120においては、第1磁性細線50の第1端50aの側からの書き込みと、第1磁性細線50の第2端50bの側からの書き込みと、を切り替えて実施できる。本実施形態においては、例えば、書き込み動作の自由度が高まる。より安定した動作が可能になる。
【0164】
図18は、第2の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図18に表したように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置120aにおいては、磁気記憶装置116における電流源81が、電圧源81aに置き換えられている。そして、電流源82が、電圧源82aに置き換えられている。第2ソース/ドレイン領域SD2は、電圧源81aと接続される。第4ソース/ドレイン領域SD4は、電圧源81aと接続される。第6ソース/ドレイン領域SD6は、電圧源82aと接続される。第8ソース/ドレイン領域SD8は、電圧源82aと接続される。
【0165】
磁気記憶装置120aにおいても、2つのトランジスタを用いることで、安定した書き込みが可能になる。そして、2つのスイッチ部を用いることで、書き込み動作の自由度が高まる。
【0166】
図19は、第2の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図19に表したように、磁気記憶装置121においては、複数のメモリ部50Mが設けられる。1つのメモリ部50Mは、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、第2スイッチ部40bと、読み出し部60と、を含む。複数のメモリ部50Mは、例えば、マトリクス状に配置される。
【0167】
複数のワード線WL(第1ワード線WL_1、及び、第2ワード線WL_2など)が設けられる。
【0168】
複数のビット線BLpが設けられる。複数のビット線BLpは、例えば、ビット線BL_11、ビット線BL_21、及び、ビット線BL_31などを含む。
【0169】
複数のビット線BLqが設けられる。複数のビット線BLqは、例えば、ビット線BL_12、ビット線BL_22、及び、ビット線BL_22などを含む。
【0170】
例えば、ビット線BLqの延びる方向は、ビット線BLpの延びる方向に対して平行である。ワード線WLの延びる方向は、ビット線BLpの延びる方向と交差する。
【0171】
この例では、第1スイッチ部40a及び第2スイッチ部40bは、磁気記憶装置120に関して説明した構成を有している。
【0172】
第1ゲートGT1と第2ゲートGT2とが、1つのビット線BLpに接続される。第2ソース/ドレイン領域SD2と第4ソース/ドレイン領域SD4とが、1つのワード線WLに接続される。
【0173】
第3ゲートGT3と第4ゲートGT4とが、1つのビット線BLqに接続される。第6ソース/ドレイン領域SD6と第8ソース/ドレイン領域SD8とが、所定の電位(例えば接地電位)に設定される。
【0174】
複数のワード線WLと、複数のビット線BLpと、複数のビット線BLqと、を用いることで、複数のメモリ部50Mのそれぞれに、独立してデータ書き込むことができる。複数のメモリ部50Mにより、複数のメモリセルを有するメモリが得られる。
【0175】
(第3の実施形態)
図20は、第3の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図20に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置130においては、磁性ユニット50uは、第1磁性細線50に加えて、第2磁性細線50Eをさらに含む。この例では、第3スイッチ部40cと、第1制御端子SEL_1と、第2制御端子SEL_2と、第3制御端子SEL_3と、が設けられている。この図においては、読み出し部60は、省略されている。
【0176】
第2磁性細線50Eは、一端(第3端50Ea)と、他端(第4端50Eb)と、を有する。第2磁性細線50Eの一端は、第1磁性細線50と接続される。
【0177】
この例では、磁性ユニット50uは、第5磁性部15と、第6磁性部16と、をさらに含む。第5磁性部15は、第2磁性細線50Eの他端と接続される。第6磁性部16は、第5磁性部16と離間する。第6磁性部16は、第2磁性細線50Eの他端と接続される。第6磁性部16の磁化は、第5磁性部16の磁化とは反対である。
【0178】
この例では、第3スイッチ部40cは、第5スイッチ45と、第6スイッチ46と、を含む。第5スイッチ45の一端(ソース/ドレイン領域の1つ)は、第5磁性部15と接続される。第6スイッチ46の一端(ソース/ドレイン領域の1つ)は、第6磁性部16と接続される。第5スイッチ45のゲートと、第6スイッチのゲートと、が、第3制御端子SEL_3に接続されている。
【0179】
一方、第1スイッチ部40aには、第1スイッチ41と第2スイッチ42とが設けられている。第1スイッチ41のゲートと、第2スイッチ42のゲートと、が第1制御端子SEL_1に接続される。
【0180】
この例では、第1磁性細線50の他端(第2端50b)は、トランジスタTRaの一端に接続されている。トランジスタTRaの他端は、電流源82と接続されている。電流源82と第3スイッチ部40cとの間に、トランジスタTRbが設けられている。トランジスタTRaのゲートと、トランジスタTRbのゲートと、は、第2制御端子SEL_2に接続されている。
【0181】
第5スイッチ45の他端(ソース/ドレイン領域の別の1つ)と、第6スイッチ46の他端(ソース/ドレイン領域の別の1つ)と、は、トランジスタTRbの一端と接続されている。トランジスタTRbの他端は、電流源82と接続されている。
【0182】
磁気記憶装置130においては、例えば、3つの経路に電流を流すことができる。例えば、第1磁性細線50の第1端50aと、第1磁性細線50の第2端50bと、の間の経路に電流を流すことができる。例えば、第1磁性細線50の第1端50aと、第2磁性細線50Eの第4端50Ebと、の間の経路に電流を流すことができる。第2磁性細線50Eの第4端50Ebと、第1磁性細線50の第2端50bと、の間の経路に電流を流すことができる。
【0183】
3つの経路から電流の経路を選択して、電流を流すことにより、動作の自由度がさらに高まる。
【0184】
(第4の実施形態)
図21(a)及び
図21(b)は、第4の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図21(a)に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置140においては、磁性ユニット50uは、複数のメモリブロックを含む。この例では、メモリブロック800及びメモリブロック801などが設けられる。メモリブロック800は、メモリストリング812を含む。メモリブロック801は、メモリストリング811を含む。この例では、メモリストリング810の一部が、メモリブロック800と、メモリブロック801と、に共有されている。
【0185】
図21(b)に表したように、メモリストリング811は、第1磁性細線50を含む。メモリストリング812は、第2磁性細線50Eを含む。メモリストリング810は、第3磁性細線50Fを含む。第3磁性細線50Fは、一端(第5端50Fa)と、他端(第6端50Fb)と、を有する。例えば、第1磁性細線50の第2端50bと、第2磁性細線50Eの第4端50Ebと、が、第3磁性細線50Fの第5端50Faと接続される。例えば、複数のメモリストリングが合流する部分が、別のメモリストリングの端となる。
【0186】
複数の経路で電流を流すことで、動作の自由度が高まる。例えば、冗長データを含む情報を記憶する場合に、装置を小型にできる。
【0187】
例えば、複数のメモリストリングの1つに読み出し部60を設け、他のメモリストリングにおいてはメモリ部を省略しても良い。省略により、装置を小型化ができ、コストが低減できる。
【0188】
複数のメモリストリングにおけるデータのシフトの速度は互いに異なっても良い。情報を高密度に記憶する部分と、高速で動作する部分と、を設けても良い。
【0189】
図22は、第4の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図22に表したように、本実施形態に係る磁気記憶装置141においては、磁性ユニット50uにおいて、複数のメモリ領域(第1メモリ領域M1〜第4メモリ領域M4など)が設けられる。それぞれのメモリ領域にメモリストリングMSが設けられる。
【0190】
例えば、第1メモリ領域M1においては、1つのメモリストリングMSが設けられている。第2メモリ領域M2においては、2個のメモリストリングMSが並列に設けられている。第3メモリ領域M3においては、2
2=4個のメモリストリングMSが並列に設けられている。第4メモリ領域M4においては、2
3=8個のメモリストリングMSが並列に設けられている。このように、メモリに階層が設けられる。例えば、第4メモリ領域M4においては、第1メモリ領域M1に比べて、キャッシュレベルが高く、メモリのサイズが大きい。
【0191】
例えば、第1メモリ領域M1は、高速アクセスメモリに対応する。例えば、第1メモリ領域M1は、重要データが格納される。例えば、第2メモリ領域M2は、低速アクセスメモリに対応する。例えば、第2メモリ領域M2は、大容量データが格納される。目的に応じた情報の記憶が可能になる。
【0192】
図23は、実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図23においては、例として、磁気記憶装置110が基板上に形成される場合の構造を示している。この図では、読み出し部60は、省略されている。
【0193】
例えば、基板500が設けられる。基板500には、例えば、シリコン基板などが用いられる。基板500の一部に、第1ドープ領域501と、第2ドープ領域502が、設けられる。基板500の上に、第1絶縁層510aが設けられる。
【0194】
第1絶縁層510aの上に、金属配線層520が設けられる。金属配線層520は、複数の導電層(図示しない)を含む。ビア配線515a及びビア配線515bが設けられる。ビア配線515a及びビア配線515bは、第1絶縁層510aを貫通する。ビア配線515aは、第1ドープ領域501と、金属配線層520の1つの導電層と、を接続する。ビア配線515bは、第2ドープ領域502と、金属配線層520の1つの導電層と、を接続する。
【0195】
金属配線層520の上に、第2絶縁層510bが設けられる。第2絶縁層510bの一部の上に、磁性ユニット50u及びスイッチ部(第1スイッチ部40aなど)が設けられる。ビア配線515cが設けられる。ビア配線515cは、第2絶縁層510bを貫通する。ビア配線515cは、金属配線層520の1つの導電層と、磁性ユニット50uと、を電気的に接続する。例えば、ビア配線515cは、第1スイッチ部40aに接続される導電層と、接続される。
【0196】
磁性ユニット50u及び第1スイッチ部40aの上に、第3絶縁層510cが設けられている。
磁気記憶装置110は、例えば、CMOSプロセスを用いて形成できる。
【0197】
(第5の実施形態)
本実施形態は、磁気記憶装置の駆動方法に係る。本駆動方法が適用される磁気記憶装置は、例えば、磁性ユニット50uと、第1スイッチ部40aと、を含む。磁性ユニット50uは、第1磁性部11と、第2磁性部12と、第1磁性細線50と、を含む。第1スイッチ部40aは、第1スイッチ41と、第2スイッチ42と、を含む。第1スイッチ41は、第1磁性部11に接続されている。第2スイッチ42は、第2磁性部12に接続されている。
【0198】
本駆動方法においては、例えば、第1スイッチ41を導通状態にして、第1磁性部11と第1磁性細線50との間の間に第1電流を流す。このとき、例えば、第2スイッチ42を非導通状態にされ、第2磁性部12と第1磁性細線50との間には、実質的に電流は流れない。導通状態は、低抵抗状態である。非導通状態は、高抵抗状態である。高抵抗状態の抵抗は、低抵抗状態の抵抗よりも高い。
【0199】
本駆動方法においては、例えば、第2スイッチ42を導通状態にして、第2磁性部12と第1磁性細線50との間の間に第2電流を流す。このとき、例えば、第1スイッチ41を非導通状態にされ、第1磁性部11と第1磁性細線50との間には、実質的に電流は流れない。
これにより、磁気記憶装置を安定して動作させることができる。
【0200】
本実施形態に係る駆動方法は、第2スイッチ部40bを含む磁気記憶装置の駆動方法を含む。
例えば、磁性ユニット50uに、第3磁性部13と、第4磁性部14と、がさらに設けられる。第2スイッチ部40bは、第3スイッチ43と、第4スイッチ44と、を含む。第3スイッチ43は、第3磁性部13に接続されている。第4スイッチ44は、第4磁性部14に接続されている。
【0201】
本駆動方法においては、例えば、第3スイッチ43を導通状態にして、第3磁性部13と第1磁性細線50との間の間に第3電流を流す。このとき、例えば、第4スイッチ44を非導通状態にされ、第4磁性部14と第1磁性細線50との間には、実質的に電流は流れない。
【0202】
本駆動方法においては、例えば、第4スイッチ44を導通状態にして、第4磁性部14と第1磁性細線50との間の間に第4電流を流す。このとき、例えば、第3スイッチ43を非導通状態にされ、第3磁性部13と第1磁性細線50との間には、実質的に電流は流れない。
【0203】
本駆動方法においては、第1電流の方向は、第3電流の方向とは反対に設定される。第2電流の方向は、第4電流の方向とは反対に設定される。
【0204】
本駆動方法によれば、磁気記憶装置を安定して動作させることができる。
【0205】
図24(a)〜
図24(f)は、実施形態に係る磁気記憶装置の特性を例示する模式図である。
これらの図は、磁性ユニット50uにおける書き込み時の磁化の変化のシミュレーション結果を例示している。
図24(a)は、第1状態(例えば初期状態)に対応する。
図24(f)は、第2状態(例えば、最終状態)に対応する。
図24(a)において、時刻Tは0である。
図24(b)において、時刻Tは、時刻taである。
図24(b)〜
図24(e)において、時刻Tは、それぞれ、0.1×ta、0.25×ta、0.4×ta、及び、0.6×taである。これらの図は、第2磁性部12と第1磁性細線50との間に電流が流れ、第1磁性部11と第1磁性細線50との間に電流が流れない場合の、磁化の変化を例示している。時刻Tは、電流を流し始めてから経過する時間に対応する。これらの図において、明るい部分は、例えば上向きの磁化に対応し、暗い部分は、下向きの磁化に対応する。
【0206】
図24(a)に表したように、時刻Tが0のとき、第2磁性部12の磁化は、上向きであり、第1磁性部11の磁化は下向きである。第1磁性細線50の端(第1接続部51)においては、磁化は下向きである。時間の経過とともに、第2接続部磁壁50wbが移動する。そして、第1接続部51の磁化が変化する。
図24(f)に表したように、時刻Tが時刻taのとき、第1接続部51の磁化は上向きに変化する。
【0207】
図25(a)及び
図25(b)は、実施形態に係る磁気記憶装置の特性を例示する模式図である。
図25(a)は、
図24(a)を拡大した図である。
図25(b)は、
図24(f)を拡大した図である。
図25(a)に例示したように、磁性ユニット50uにおいて、例えば、第1〜第6ピニングサイトps1〜ps6が設けられる。例えば、第1ピニングサイトps1及び第2ピニングサイトps2は、第1磁性部11と第1接続部51との境界に設けられる。例えば、第3ピニングサイトps3及び第4ピニングサイトps4は、第2磁性部12と第1接続部51との境界に設けられる。例えば、第5ピニングサイトps5及び第6ピニングサイトps6は、第1接続部51と、別の磁区50dと、の境界に設けられる。磁壁DW1は、第2磁性部12と第1接続部51との境界に位置している。磁壁DW1は、第2接続部磁壁50wbに対応する。磁壁DW2は、第1接続部51と、別の磁区50dと、の境界に位置する。
【0208】
既に
図24(b)〜
図24(e)に関して説明したように、磁壁DW1は、時間の経過と供に移動し、第1接続部51中では、磁壁DW1の長さが拡大する。
【0209】
図25(b)に表したように、磁壁WD1は、磁壁DW3と磁壁DW1’とに分かれる。磁壁DW3は、第1ピニングサイトps1と第2ピニングサイトps2とによってピニングされる。
図25(b)における磁壁DW2は、
図25(a)における磁壁DW2の位置から移動する。
【0210】
実施形態においては、1つの磁壁(この例では、磁壁DW1)が、2つピニングサイト(この例では、第3ピニングサイトps3及び第4ピニングサイトps4)によってピニングされる。そして、書き込みパルスが印加された後、磁壁DW3は、第1ピニングサイトps1及び第2ピニングサイトps2の場所に位置する。そして、磁壁WD1’が、書き込みパルスが印加される前の磁壁WD2の場所に位置する。
【0211】
以下、磁性ユニット50uの各種の例について説明する。
【0212】
図26(a)〜
図26(j)は、実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図26(a)〜
図26(j)に表したように、第1磁性部11と第1磁性細線50との境界部の幅は、第1磁性部11の幅よりも狭く、第1磁性細線50の磁区50dの幅よりも狭い。第2磁性部12と第1磁性細線50との境界部の幅は、第2磁性部12の幅よりも狭く、第1磁性細線50の磁区50dの幅よりも狭い。例えば、
図3に関して説明したように、例えば、第1磁性細線50に、周期的な形状異方性が設けられる。磁性ユニット50uに、幾何学的なピニングサイトが設けられる。
【0213】
図27(a)〜
図27(e)は、実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図27(a)〜
図27(e)に表したように、磁性ユニット50uに、材料変化部分55を設けても良い。材料変化部分55の材料は、材料変化部分55以外の部分の材料とは異なる。例えば、材料変化部分55に含まれる材料は、材料変化部分55以外の部分に含まれる材料の組成とは異なる。材料変化部分55は、例えば、元素(例えばGa及びHeの少なくともいずれかなど)を局所的に導入することで形成できる。材料変化部分55により、ピニングサイトが形成できる。
【0214】
図28(a)〜
図28(c)は、実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図28(a)〜
図28(c)に表したように、これらの例では、幾何学的なピニングサイトと材料変化部分55によるピニングサイトと、が設けられている。
【0215】
図29(a)〜
図29(f)は、実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図29(a)〜
図29(f)に表したようには、幾何学的なピニングサイト及び材料変化部分55によるピニングサイトの少なくともいずれかにより、第1磁性部11、第2磁性部12及び第1磁性細線50が、区分される。
【0216】
図30(a)〜
図30(f)は、実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図30(a)〜
図30(f)に表したようには、第1磁性部11と第1磁性細線50との間の領域、及び、第2磁性部12と第1磁性細線50との間の領域に、ノッチ50nが設けられる。ノッチ50n(凹部、または、後退部など)は、例えば、複数のピニングサイトを含む。例えば、第1磁性部11と第1磁性細線50との間の領域に、第1ピニングサイトps1及び第2ピニングサイトps2が設けられる。例えば、第2磁性部12と第1磁性細線50との間の領域に、第3ピニングサイトps3及び第4ピニングサイトps4が設けられる。
【0217】
例えば、第1ピニングサイトps1及び第2ピニングサイトps2は、第1境界部の周りに設けられる。例えば、第3ピニングサイトps3及び第4ピニングサイトps4は、第2境界部の周りに設けられる。
【0218】
実施形態において、第1磁性細線50は、2次元構造を有しても良く、3次元構造を有しても良い。1つのピニングサイトが、第1境界部を囲んでも良い。別のピニングサイトが第2境界部を囲んでも良い。
【0219】
実施形態によれば、安定した動作が可能な磁気記憶装置及びその駆動方法が提供できる。
【0220】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0221】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気記憶装置に含まれる磁性ユニット、磁性細線、磁性部、スイッチ部、スイッチ、トランジスタ、伝達ゲート、インバータ、抵抗、電流源、電圧源、読み出し部、ワード線、及び、ビット線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0222】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0223】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記憶装置及びその駆動方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記憶装置及びその駆動方法をも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0224】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0225】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。