(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204779
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/09 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
C07F9/09 J
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-207274(P2013-207274)
(22)【出願日】2013年10月2日
(65)【公開番号】特開2015-71552(P2015-71552A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108030
【氏名又は名称】AGCセイミケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 貴央
【審査官】
伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−001669(JP,A)
【文献】
特開昭56−025190(JP,A)
【文献】
特開昭54−041822(JP,A)
【文献】
特開2003−286290(JP,A)
【文献】
特表2011−510159(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0303620(US,A1)
【文献】
特開2007−000929(JP,A)
【文献】
国際公開第96/021523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロアルキルアルコール(A)と、リン酸化剤(B)とを、含フッ素溶剤(C)中で反応させる反応工程を備え
、
前記リン酸化剤(B)が五酸化リン(D)および水(E)からなるリン酸化剤であり、
前記含フッ素溶剤(C)が下記式(c1)で表わされる化合物、下記式(c2)で表わされる化合物および下記式(c3)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である、
パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
【化1】
(式中の記号は以下の意味を示す。
Rf1:炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
R1:炭素数1〜10のアルキル基。
Rf21:炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
Rf22:炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
Rf31:フッ素原子または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
Rf32およびRf33:相互に独立して、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
なお、Rf32およびRf33は、ベンゼン環の2〜6位のいずれの位置に置換していても構わない。)
【請求項2】
1モルのパーフルオロアルキルアルコール(A)に対して、前記五酸化リン(D)を0.5〜1.2モル、前記水(E)を0.5〜2.5モルとなる比率で用いる、請求項1に記載のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
【請求項3】
前記含フッ素溶剤(C)が1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ−4−エトキシブタン、m−キシレンヘキサフルオライド、またはこれらのうち2種類以上の混合物である、請求項1または2に記載のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
【請求項4】
前記パーフルオロアルキルアルコール(A)が、下記式(a)で表わされる化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
CnF2n+1−(CH2)m−OH (a)
(式中のnおよびmは、相互に独立して1〜6の整数である。)
【請求項5】
前記反応工程において反応温度100℃以下で反応させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
【請求項6】
前記反応工程において副生したリン酸を水洗浄によって除去する洗浄工程をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
【請求項7】
前記水洗浄の際に、前記副生したリン酸を、前記反応工程において合成されたパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステル、リン酸および前記含フッ素溶剤(C)との相溶性が良好である有機溶剤に溶解させて水洗浄する、請求項6に記載のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルは、それ自体界面活性剤、表面処理剤などとして有用であるばかりでなく、さらに高付加価値なリン酸モノエステル誘導体の原料として重要である。
【0003】
リン酸モノエステルと、リン酸ジエステルとは、物性において大きな差異を有する。一般的に、リン酸モノエステルのアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩は水溶解性が高く、起泡力、洗浄力が良好で、毒性が低く、皮膚刺激が少ないので、洗浄剤として優れているのに対し、リン酸ジエステルのアルカリ金属塩やアルカノールアミン塩は、水にほとんど溶解せず、起泡力はほとんどなく、むしろ抑泡性を示す。このような理由から、リン酸モノエステル含量の高いパーフルオロアルキル基含有リン酸エステルを工業的に容易に製造する方法の開発が強く要望されている。
【0004】
リン酸モノエステル含量を高める方法として、五酸化リンと、水と、パーフルオロアルキルエチルアルコールとを反応させるパーフルオロアルキルエチル基含有リン酸モノエステルの製造方法が報告されている(特許文献1参照)。しかし、この方法では、高選択率でリン酸モノエステルを得るために、反応途中にペルフルオロアルキルエチルアルコールを加える2段階の反応が必要となることから、作業性の面で好ましくない。また、生成物が茶褐色に着色しているため用途が制限される場合がある。さらに、生成物がペースト状であり、粉末状に比べて取扱いが容易ではないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−286290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、着色が無く、粉末状のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルを高収率で、高選択的に製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、パーフルオロアルキルアルコール(A)と、リン酸化剤(B)とを、含フッ素溶剤(C)中で反応させることにより、着色が無く、粉末状のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルを高収率・高選択的に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、パーフルオロアルキルアルコール(A)と、リン酸化剤(B)とを、含フッ素溶剤(C)中で反応させる反応工程を備えるパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの製造方法を提供するものである。
【0009】
前記リン酸化剤(B)が五酸化リン(D)および水(E)からなるリン酸化剤であることが好ましい。
【0010】
1モルのパーフルオロアルキルアルコール(A)に対して、五酸化リン(D)を0.5〜1.2モル、水(E)を0.5〜2.5モルとなる比率で用いることが好ましい。
【0011】
前記含フッ素溶剤(C)が、ハイドロフルオロカーボン(HFC)系溶剤およびハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の含フッ素溶剤であることが好ましい。
【0012】
前記含フッ素溶剤(C)が下記式(c1)で表わされる化合物、下記式(c2)で表わされる化合物および下記式(c3)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物であることが好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】
(式中の記号は以下の意味を示す。
Rf
1:炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
R
1:炭素数1〜10のアルキル基。
Rf
21:炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
Rf
22:炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
Rf
31:フッ素原子または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
Rf
32およびRf
33:相互に独立して、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基。
なお、Rf
32およびRf
33は、ベンゼン環の2〜6位のいずれの位置に置換していても構わない。)
【0015】
前記含フッ素溶剤(C)が1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ−4−エトキシブタン、m−キシレンヘキサフルオライド、またはこれらのうち2種類以上の混合物であることがより好ましい。
【0016】
前記パーフルオロアルキルアルコール(A)が、下記式(a)で表わされる化合物であることが好ましい。
C
nF
2n+1−(CH
2)
m−OH (a)
(式中のnおよびmは、相互に独立して1〜6の整数である。)
【0017】
前記反応工程において反応温度100℃以下で反応させることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、前記反応工程において副生したリン酸を水洗浄によって除去する洗浄工程をさらに備える製造方法も提供する。
【0019】
前記水洗浄の際に、前記副生したリン酸を、前記反応工程において合成されたパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステル、リン酸および前記含フッ素溶剤(C)との相溶性が良好である有機溶剤に溶解させて水洗浄することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法は、着色が無く、粉末状のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルを高収率、かつ高選択的に製造できるため、工業的見地から優れた製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の製造方法では、リン酸化剤として、公知のリン酸化剤を用いてもよいが、五酸化リン(D)および水(E)からなるリン酸化剤を用いることが好ましい。この場合、五酸化リン(D)および水(E)を、そのまま併用してもよいが、これらに代えて、またはこれらと共に、リン酸、ポリリン酸およびこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を単独で、または混合して使用してもよい。水(E)は、単独で添加するものに限定されず、リン酸、ポリリン酸およびこれらの水和物の化学式を、P
2O
5・nH
2Oと表した場合のnH
2O部分を含む。また、リン酸、ポリリン酸およびこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物の五酸化リン(D)としての使用量および水(E)としての使用量は、それぞれ、リン酸、ポリリン酸およびこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物の化学式をP
2O
5・nH
2Oと表した場合のP
2O
5部分およびnH
2O部分として計算することができる。さらに、五酸化リン、リン酸、リン酸の水和物、ポリリン酸、およびポリリン酸の水和物は、分割添加してもよい。ポリリン酸および/またはその水和物としては、縮合度が2〜6のものが挙げられる。
【0022】
本発明の製造方法で用いるパーフルオロアルキルアルコール(A)としては、例えば、下記式(a)
C
nF
2n+1−(CH
2)
m−OH (a)
(式中のnおよびmは、相互に独立して1〜6の整数である。)
で表される化合物が挙げられる。nとしては、4〜6が好ましく、4または6がより好ましく、6が特に好ましい。mとしては、1〜3が好ましく、2がより好ましい。その具体例としては、パーフルオロブチルエチルアルコール、パーフルオロヘキシルエチルアルコール等が挙げられる。
【0023】
本発明の製造方法では、含フッ素溶剤(C)中で反応させることにより、着色が無く、粉末状のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルが高収率、かつ高選択的に生成する。
【0024】
前記含フッ素溶剤(C)としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)系溶剤およびハイドロフルオロエーテル(HFE)系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の含フッ素溶剤であることが好ましい。中でも、前記含フッ素溶剤(C)が前記式(c1)で表される化合物、前記式(c2)で表される化合物および前記式(c3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物であることが好ましい。
【0025】
前記式(c1)で表わされる化合物としては、入手が容易であり、生成物が高収率、かつ高選択的に得られることから、Rf
1が炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基であり、R
1が炭素数1〜3のアルキル基である化合物が好ましい。
【0026】
前記式(c2)で表わされる化合物としては、入手が容易であり、生成物が高収率、かつ高選択的に得られることから、Rf
21が炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基であり、Rf
22が炭素数1〜3のアルキル基である化合物が好ましい。
【0027】
前記式(c3)で表わされる化合物としては、入手が容易であり、生成物が高収率、かつ高選択的に得られることから、Rf
31およびRf
32が炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、Rf
33が水素原子である化合物が好ましい。また、Rf
32は、ベンゼン環の3位または4位に置換することが好ましく、特に3位に置換することが好ましい。
【0028】
前記含フッ素溶剤(C)の具体例としては、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ−4−エトキシブタン、キシレンヘキサフルオライド等が挙げられる。これらの含フッ素溶剤(C)は、単独でも使用できるが、これらのうち2種類以上の混合物を使用することもできる。
【0029】
前記含フッ素溶剤(C)の使用量は、生産性、操作性に優れる等の理由から、パーフルオロアルキルアルコール(A)100質量部に対して、通常50〜500質量部であり、好ましくは70〜200質量部である。
【0030】
本発明の製造方法によりパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルを製造するには、例えば、五酸化リン(D)と、水(E)と、パーフルオロアルキルアルコール(A)とを、含フッ素溶剤(C)中に添加して、反応温度30〜70℃、好ましくは40〜60℃で、反応時間0.5〜30時間、好ましくは15〜24時間、攪拌下で反応させた後に、さらに、反応温度40〜100℃、好ましくは60〜80℃で、反応時間0.5〜30時間、好ましくは15〜24時間、撹拌下で反応させる方法が挙げられる。反応雰囲気は、空気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下のいずれでも良い。この場合も、五酸化リン(D)および水(E)の代わりにリン酸、ポリリン酸およびこれらの水和物からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物を単独で、または混合して使用してもよい。
【0031】
また、ジエステルやリン酸の生成量の増大がなく、より高収率で、より高選択的にパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルが製造できることから、1モルのパーフルオロアルキルアルコール(A)に対して、五酸化リン(D)を0.5〜1.2モル、水(E)を0.5〜2.5モルとなる比率で用いることが好ましく、五酸化リン(D)を0.5〜1モル、水(E)を0.5〜2.0モルとなる比率で用いることがより好ましい。
【0032】
本発明の製造方法で得られるパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルは、そのまま用いても良いが、使用用途によっては、さらに以下の後処理工程(洗浄工程)を加えることが好ましい。すなわち、前記反応工程において副生したリン酸を水洗浄によって除去することが好ましい。洗浄方法は、前記副生したリン酸を、前記反応工程において合成されたパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステル、リン酸および前記含フッ素溶剤(C)との相溶性が良好である有機溶剤に溶解させた後に、分液操作により水層中に溶出したリン酸を除去する方法が挙げられる。当該有機溶剤としては、前記パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステル、前記副生したリン酸および前記含フッ素溶剤(C)を溶解させた後、水と分離する溶剤であることが好ましい。このような有機溶剤としては、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等が挙げられる。中でも取扱いが容易であることから、酢酸エチルが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
以下の実施例および比較例において、NMRにて分析される特定成分のピーク強度を用いて、反応の選択率を相対評価した。測定に用いたNMR(
1H NMR、
31P NMR)および測定条件を以下に示す。
【0035】
[NMR]
型番:JMN−AL300 FT NMR SYSTEM(JEOL社製)
周波数:300MHz
<測定条件>
・測定溶媒:重アセトン
・積算回数:32回(
1H NMR)、128回(
31P NMR)
【0036】
[実施例1]
撹拌装置を付した500mlの三つ口フラスコに、室温(25℃)で、五酸化リン32.7g(225.7mmol)、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン118.7gおよび85質量%リン酸23.2g(五酸化リンとして100.5mmol、水として495.1mmol)を加えた後、10分間撹拌を実施した後に、パーフルオロヘキシルエチルアルコール118.7g(326.2mmol)を加えた。オイルバスを50℃まで昇温させ、同温度で24時間撹拌下に反応させた。次いで、オイルバスを60℃まで昇温させ、同温度で24時間撹拌下に反応させた後、脱溶剤し、新たに酢酸エチル150gを加えて溶解させた。そこに同量の水を加えて撹拌下に水洗を行い、使用した水を除去する操作を計3度実施した。その後、脱溶剤し、乾燥して、白色粉末状の生成物145gを得た。
【0037】
このようにして得られた生成物中のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルは93.5モル%、パーフルオロアルキル基含有リン酸ジエステルは4.6モル%、リン酸は1.9モル%であった。これらは
31P NMRを用いて計算した。
なお、各数値の計算方法は以下のとおりである。便宜上、パーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルをモノエステル、パーフルオロアルキル基含有リン酸ジエステルをジエスエルと略記する。
モノエステル=モノエステル/(モノエステル+ジエステル+リン酸)
ジエステル=ジエステル/(モノエステル+ジエステル+リン酸)
リン酸=リン酸/(モノエステル+ジエステル+リン酸)
【0038】
また、未反応パーフルオロヘキシルエチルアルコールは0.6モル%であった。これは
1H NMRを用いて計算した。
計算方法は以下のとおりである。便宜上、パーフルオロヘキシルエチルアルコールをRfアルコールと略記する。なお、他の略称は前記のとおりである。
Rfアルコール=Rfアルコール/(Rfアルコール+モノエステル+ジエステル)
【0039】
なお、生成物中のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの収率は94.7%、選択率は95.3モル%であった。なお、各数値の計算方法は以下のとおりである。各成分の名称の略記は前記のとおりである。
選択率=モノエステル/(モノエステル+ジエステル)
反応率=100−Rfアルコール
収率=選択率×反応率
【0040】
[実施例2]
撹拌装置を付した500mlの三つ口フラスコに、室温(25℃)で、五酸化リン32.7g(225.7mmol)、m−キシレンヘキサフルオライド118.7gおよび85質量%リン酸23.2g(五酸化リンとして100.5mmol、水として495.1mmol)を加えた後、10分間撹拌を実施した後に、パーフルオロヘキシルエチルアルコール118.7g(326.2mmol)を加えた。オイルバスを45℃まで昇温させ、同温度で24時間撹拌下に反応させた。次いで、オイルバスを60℃まで昇温させ、同温度で24時間撹拌下に反応させた後、脱溶剤し、新たに酢酸エチル150gを加えて溶解させた。そこに同量の水を加えて撹拌下に水洗を行い、使用した水を除去する操作を計3度実施した。その後、脱溶剤し、乾燥して、白色粉末状の生成物144gを得た。
【0041】
このようにして得られた生成物中のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルは93.4モル%、パーフルオロアルキル基含有リン酸ジエステルは3.2モル%、リン酸は3.5モル%であった。
また、未反応パーフルオロヘキシルエチルアルコールは0.2モル%であった。
なお、生成物中のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの収率は96.7%、選択率は96.5モル%であった。
なお、各数値の計算は、実施例1と同様に行った。
【0042】
[比較例1]
撹拌装置を付した300mlの三つ口フラスコに、室温(25℃)で、五酸化リン1.89g(13.1mmol)、メチルエチルケトン10g、および85質量%リン酸0.8g(五酸化リンとして3.3mmol、水として16.2mmol)を加えた後、10分間撹拌を実施した後に、パーフルオロヘキシルエチルアルコール5.9g(16.2mmol)を加えた。オイルバスを80℃まで昇温させ、同温度で24時間撹拌下に反応させた。その後、脱溶剤し、乾燥して、茶褐色ペースト状の生成物6.8gを得た。
【0043】
このようにして得られた生成物中のパーフルオロアルキルエチル基含有リン酸モノエステルは41.0モル%、パーフルオロアルキル基含有リン酸ジエステルは0.0モル%、リン酸は59.0モル%であった。
また、未反応パーフルオロヘキシルエチルアルコールは58.8モル%であった。
なお、生成物中のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルの収率は41.2%、選択率は100.0モル%であった。
なお、各数値の計算は、実施例1と同様に行った。
【0044】
以上のことから、本発明の製造方法は、着色が無く、白色の、粉末状のパーフルオロアルキル基含有リン酸モノエステルを、高収率かつ高選択的に製造できることがわかった。