特許第6204788号(P6204788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6204788-インターホンシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204788
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H04M9/00 D
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-218153(P2013-218153)
(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公開番号】特開2015-82673(P2015-82673A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一幸
(72)【発明者】
【氏名】宇野 亮二
(72)【発明者】
【氏名】目黒 一成
(72)【発明者】
【氏名】下村 祐太
【審査官】 松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−278420(JP,A)
【文献】 特開2007−096716(JP,A)
【文献】 特開2009−050386(JP,A)
【文献】 特開平04−351054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G9/00−15/12
99/00
H04M9/00−9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインターホン子機と、インターホン親機と、を備えたインターホンシステムにおいて、
前記インターホン子機は、親機を呼び出す際に子機自らの設置位置の名称等の子機識別情報とともに、呼出先の親機に対して返信を受け付けることができる制限時間を通知するものであって、
前記インターホン親機は、子機からの呼出があると、前記子機識別情報を親機ディスプレイに表示するとともに、呼出終了後に着信履歴とともに子機識別情報を一時的に保存する親機記憶部を備え、
前記親機記憶部の前記子機識別情報の保存容量には一定の上限値があり、上限値を超えて子機識別情報を保存しようとすると子機識別情報の古いものから順に削除する親機CPUを備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LAN等の汎用ネットワークに接続され、特にインターホン親機において不特定のインターホン子機からの呼出に対して返信することができるインターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインターホンシステムでは、例えば集合住宅等の閉鎖環境において複数のインターホンから呼び出しを受ける場合、中央制御装置が発信元からの呼出信号を受信し、呼出先への呼出を行なうとともに、着信履歴を記憶していた。この場合において、中央制御装置は、接続されている全ての部屋番号、あるいはインターホンのID番号を事前に登録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−229185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方策では、閉鎖環境でないLAN接続等の不特定多数の子機から呼出が発生する可能性のあるインターホンシステムでは、発信元の情報が不足するために折返し発信ができないという問題が発生する。特に、交換機を使用しないインターホンシステムでは、当該発信元子機のIPアドレスが着信側親機の呼出リストに登録されていないと、セキュリティ上の問題から呼出履歴を記録することができず、当該子機に対する折返し発信を行なうこともできないばかりか、不在時に呼出があったことも通知することができなかった。
【0005】
具体的には、故障や回線不良等で臨時にインターホン子機や通信回線を入れ替えたり、IPアドレスを変更した際にこのような事態が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、インターホン子機は、発信側子機の情報として、機器名、設置位置等の子機識別情報を呼出時に送信するとともに、インターホン親機側では、子機からの呼出があると、子機識別情報を親機ディスプレイに表示し、さらに呼出終了後に着信履歴とともに子機識別情報を一時的に保存する親機記憶部を備え、親機記憶部の前記子機識別情報の保存容量の上限値を超えて子機識別情報を保存しようとすると子機識別情報の古いものから順に削除するものである。
【0007】
また、本発明は、子機識別情報に返信可能時間を含めるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインターホンシステムによれば、インターホン子機は子機識別情報を呼出時に送信し、インターホン親機は子機識別情報を親機ディスプレイに表示することによって呼出履歴への保存及び折返し発信を可能とするとともに、さらには一定容量の新しい子機識別情報のみを保存できるため、古い子機識別情報は順次消えていき、手動で消す作業が不要となる。
【0009】
また、本発明のインターホンシステムによれば、子機識別情報に返信可能時間を含めることによって、一定時間のみ折返し呼出を行なうことができ、インターホン機器や通信回線の臨時変更を行なった後に再度元の状態に戻したとしても、臨時変更を完了した呼出元に誤って折返し呼出を行なうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のインターホンシステムにおけるインターホン親機及びインターホン子機の具体的な構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明のインターホンシステムにおけるインターホン親機の親機ディスプレイにおける呼出履歴の表示内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の屋外及び室内における一実施例によるインターホンシステムのブロック図であり、住戸外に設置され来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼出して通話を行うインターホン子機1と、住戸内に設置され来訪者からの呼出しに応答した居住者が通話を行うインターホン親機2とを備えており、インターホン子機1とインターホン親機2とは、LAN等の汎用ネットワークLでそれぞれ接続されている。
【0012】
インターホン子機1は、住戸玄関に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者との通話を成立させるための送話音を収音する子機マイク13と、受話音を放音する子機スピーカ12と、インターホン子機1の全体の機能を制御する子機CPU11と、来訪者が呼出時に操作する呼出ボタン等の子機操作部14と、来訪者の映像を撮像するカメラ16と、インターホン子機1と汎用ネットワークLとのインターフェースとなる子機通信IF10と、予め登録された呼出先を選択するための呼出先親機情報や後述する子機識別情報、返信可能時間情報を保存する子機記憶部17を備えている。
【0013】
子機CPU11は、子機マイク13に収音された送話音を増幅して汎用ネットワークLに送出するとともに、インターホン親機2から汎用ネットワークLを介して伝送されてくる受話音をなす音声信号を子機スピーカ12に送出し、さらにはカメラ16で撮像された映像を汎用ネットワークLに送出し、子機操作部14の操作をトリガとして呼出信号とともに子機記憶部17に予め記憶された機器名、設置位置、IPアドレス等の子機識別情報、及び、呼出を行なってから返信を受付る許容時間を登録した返信可能時間情報を汎用ネットワークLに送出する機能を有している。
【0014】
インターホン親機2は、予め登録された呼出先を選択するための呼出先子機情報や、子機操作部14からの呼出信号とともに送信された子機識別情報、返信可能時間情報を保存する親機記憶部26と、呼出音及びインターホン子機1から送信された送話音を放音する親機スピーカ22と、カメラ16で撮像された映像や、通話音量調整等の各種設定内容を表示する親機ディスプレイ25と、住戸内に在室中の居住者が住戸玄関に居る来訪者との通話を成立させるための受話音を収音する親機マイク23と、子機操作部14からの呼出信号に応答して通話を開始するために操作する通話ボタン24aと、各種設定内容を設定するために親機ディスプレイ25の前面に配置されたタッチパネル24cと、インターホン親機2の全体の機能を制御する親機CPU21と、インターホン親機2と汎用ネットワークLとのインターフェースとなる親機通信IF20とを備えている。
【0015】
親機CPU21は、親機マイク23に収音された受話音を増幅して親機通信IF20に送出するとともに、インターホン子機1から親機通信IF20を介して伝送されてくる送話音をなす音声信号を親機スピーカ22に送出し、さらにはカメラ16で撮像された映像を親機ディスプレイ25に送出し、タッチパネル24cの操作により任意のインターホン子機1呼を選局して呼び出しを行ない、また、タッチパネル24cの操作により親機ディスプレイ25に着信履歴を表示する機能を有している。
【実施例1】
【0016】
次に、このように構成された本発明の一実施例によるインターホンシステムの動作について説明する。
【0017】
なお、子機識別情報、返信可能時間情報及び呼出先親機情報の登録には、インターホン子機1に直接接続された、あるいは汎用ネットワークLを介して接続された図示しない設定用端末を用いて予め登録されている。また、呼出先子機情報の登録にも、タッチパネル24cのほか、インターホン子機1と同様に図示しない設定用端末を用いて登録されている。ここでは、子機識別情報として「設置位置:臨時出入口」と「IPアドレス:172.16.99.1」、返信可能時間情報として「1週間」が予め登録されているものとする。また、ここでは、インターホン親機2の親機記憶部26には、図示されているインターホン子機1の呼出先子機情報が登録されていないが、インターホン子機1の子機記憶部17には、図示されているインターホン親機2の呼出先親機情報が登録されている例を挙げて説明を行なう。
【0018】
図1において、住戸玄関に居る来訪者によりインターホン子機1の子機操作部14が操作されると、子機操作部14の操作を検知した子機CPU11は、子機記憶部17から子機識別情報及び返信可能時間情報を読み出し、呼出信号とともにに送出する。呼出信号は、子機通信IF10、汎用ネットワークL、親機通信IF20を介して親機CPU21に到達する。さらに、子機CPU11は、カメラ16に撮像開始を指示し、カメラ16により撮像された住戸玄関近傍の映像信号は、呼出信号と同様に送出される。
【0019】
呼出信号を受信した親機CPU21は、呼出音を親機スピーカ22に送信し、呼出音が放音される。また、映像信号を受信した親機CPU21は、親機ディスプレイ25に映像信号を送信することにより、親機ディスプレイ25には住戸玄関近傍の映像が表示される。さらに、子機識別情報を受信した親機CPU21は、親機ディスプレイ25に映像信号とともに子機識別情報をを送信することにより、親機ディスプレイ25には住戸玄関近傍の映像に重畳して機器名、設置位置等の子機識別情報が表示される。
【0020】
住戸内に居住者が在室中であれば、通話ボタン24aの操作により、親機CPU21は、親機マイク23を能動とするとともに、子機CPU11に子機マイク13、子機スピーカ12を能動とするよう指示し、インターホン子機1とインターホン親機2の双方向通話が可能となるが、居住者が不在である場合には、親機CPU21は呼出音の放音及び映像信号、子機識別情報の表示を停止し、図示しない計時部を用いて親機記憶部26に呼出日時、子機識別情報、返信可能時間情報、カメラ16から受信した映像信号を呼出履歴として保存する。なお、呼出履歴を保存するメモリエリアは、例えば50件分しか保存できないため、呼出履歴が50件を超えた場合には、保存してある呼出履歴のうち最も古いものを削除する。
【0021】
不在であった居住者が帰宅して、タッチパネル24cを操作すると、親機CPU21は、親機記憶部26に保存された呼出履歴のうち、最新のものを親機ディスプレイ25に表示する。この呼出履歴の表示は、来訪者によるタッチパネル24cの操作によって順次古いもの、新しいものへと表示を切り替えることができる。また、呼出履歴として表示している子機が呼出先子機情報に登録されていない場合には、図2(b)に示すように呼出履歴に含まれている呼出日時、子機識別情報、返信可能時間情報、カメラ16から受信した映像信号を表示する。なお、返信時間情報に記載されている返信時間が実際の時間を超過している場合には、折返し呼び出しができない呼出履歴として画面の色を変える等の識別表示を行なうこともできる。呼出履歴として表示している子機が呼出先子機情報に登録されている場合には、呼出履歴に含まれている返信可能時間情報は意味を持たないため非表示となり、図2(a)に示すように当該呼出先子機情報を含むその他の情報を親機ディスプレイ25に表示する。
【0022】
居住者は、呼出履歴を確認し、当該呼出が臨時出入口からのものであることを認識し、当該インターホン子機1に対して折返し呼出を行なおうとする場合には、呼出履歴を表示している状態で通話ボタン24aを操作すると、通話ボタン24aの操作を検知した親機CPU21は、親機記憶部26に保存された呼出履歴の中から、返信可能時間情報を読み出し、返信可能時間の範囲内であることを認識する。さらに呼出履歴の中から、子機識別情報に含まれる「IPアドレス:172.16.99.1」を読み出し、当該IPアドレスに対して呼出信号を送信することによって、インターホン子機1との通話路を確立し、通話を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
なお、本実施例ではインターホン子機1が返信可能時間情報を送信する例を示したが、これに限らず、返信可能時間情報をインターホン子機1、インターホン親機2ともに使用しない例も好適である。この場合には、呼出履歴が残っている限りは時間無制限で折返し呼出を行なおうとすることができるが、呼出履歴の保存上限件数に達した時点で呼び出し履歴が消去されるため、ある程度の期間が経過した後には折返し呼出を抑制することができる。
【0024】
また、本実施例ではインターホン子機1にカメラ16を備えていたが、カメラ16を備えないインターホン子機1でも同様の効果を奏する。なお、インターホン子機1にカメラ16を備えない場合には、親機記憶部26に映像信号を保存しないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 インターホン子機
2 インターホン親機
21 親機CPU
26 記憶部(親機記憶部)
25 親機ディスプレイ
図1
図2