(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0026】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0027】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0028】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0030】
〈車両用電源装置の構成例〉
図1は、本発明の一実施の形態による車両用電源装置10における構成の一例を示す説明図である。
【0031】
車両用電源装置10は、例えばプラグインハイブリッド車や電気自動車などの外部のACコンセントなどから二次電池に充電が可能な車両である。プラグインハイブリッド車は、モータとエンジンを動力源とする車両であり、電気自動車は、モータを駆動源とする車両である。
【0032】
車両用電源装置10は、
図1に示すように、充電ユニット11およびバッテリパック12を有する。充電ユニット11は、充電器13、DC/DCコンバータ14、およびインバータ15を有する。
【0033】
充電器13の入力部には、充電プラグ30が接続されており、該充電器13の出力部には、バッテリ部であるバッテリパック12が接続されている。充電プラグ30には、ACコンセントなどに接続される充電用コードが接続される。
【0034】
充電器13は、充電プラグ30から供給さえる商用電源を直流電源に変換してバッテリパック12に供給する。降圧部となるDC/DCコンバータ14には、補助バッテリである12Vバッテリ31が接続されている。このDC/DCコンバータ14は、メインバッテリ16に蓄電された直流電源をDC/DC変換して降圧して充電用電源を生成し、12Vバッテリ31に供給することにより、該12Vバッテリ31を充電する。
【0035】
インバータ15には、車両の駆動源となるモータ32が接続されている。インバータ15は、メインバッテリ16を電源とし、モータ32を駆動するモータ駆動信号となるPWM波形などを生成する。
【0036】
また、バッテリパック12は、メインバッテリ16、システムリレー部17、バッテリコントローラ18、および接続端子部19を有する。メインバッテリ16は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池からなる。システムリレー部17は、コントローラであるバッテリコントローラ18から出力される制御信号に基づいて、接続状態を切り替える。
【0037】
バッテリコントローラ18は、モータや電子機器などの各種制御を司る図示しないECU(Electric Control Unit)から出力される動作モードに応じて前述した制御信号をシステムリレー部17に出力する。また、バッテリコントローラ18は、メインバッテリ16および後述する12Vバッテリ31の充電状態を監視し、過電圧、過放電、過熱などを防止する。接続端子部19は、接続端子19a〜19fを有し、充電ユニット11とバッテリパック12との接続部となる。
【0038】
システムリレー部17は、5つのリレー20〜24を有する。第1のスイッチであるリレー20の一方の接続部には、接続端子部19の接続端子19aおよび接続端子19bがそれぞれ接続されている。第2のスイッチであるリレー21の一方の接続部には、接続端子部19の接続端子19cが接続されている。
【0039】
リレー20の他方の接続部およびリレー21の他方の接続部には、メインバッテリ16の正(+)側端子がそれぞれ接続されている。第3のスイッチであるリレー22の一方の接続部には、接続端子部19の接続端子19dが接続されている。第4のスイッチであるリレー23の一方の接続部には、接続端子部19の接続端子19eが接続されている。
【0040】
リレー24の一方の接続部には、プリチャージ抵抗25を介して接続端子部19の接続端子19fが接続されている。プリチャージ抵抗25は、メインバッテリ16からインバータ15など電源を供給する際に、リレー21やリレー23などが大きな電位差によって溶着することを防止するために、先にリレー24をオン、すなわち導通状態にさせてメインバッテリ16からインバータ15に流れる電流を制限する抵抗である。
【0041】
接続端子19eと接続端子19fとは、共通接続されている。リレー22〜24の他方の接続部には、メインバッテリ16の負(−)側端子がそれぞれ接続されている。
【0042】
また、接続端子部19の接続端子19aおよび接続端子19fは、DC/DCコンバータ14と図示しない空調システムにそれぞれ接続されている。接続端子部19の接続端子19bおよび接続端子19dは、充電器13にそれぞれ接続されている。接続端子部19の接続端子19cおよび接続端子19eは、インバータ15にそれぞれ接続されている。
【0043】
これらリレー20〜24の制御端子には、バッテリコントローラ18から出力される制御信号がそれぞれ入力されるように接続されている。リレー20〜24は、制御端子に入力される制御信号に基づいて、オンあるいはオフとなるように制御される。
【0044】
また、12Vバッテリ31には、電流センサ33および電圧センサ34がそれぞれ接続されている。電流センサ33は、12Vバッテリ31に流れる電流量を検出するセンサである。電圧センサ34は、12Vバッテリ31の電圧値を検出するセンサである。
【0045】
これら電流センサ33および電圧センサ34が検出した結果は、バッテリコントローラ18に入力されるようにそれぞれ接続されている。バッテリコントローラ18は、電流センサ33および電圧センサ34の検出結果に基づいて、12Vバッテリ31の充電状態を監視する。
【0046】
〈車両用電源装置の動作〉
次に、車両用電源装置10における動作について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0047】
〈動作モードの例〉
図2は、車両用電源装置10における動作モードの一例を示す説明図である。
【0048】
図2の上方は、車両用電源装置10における各動作モード時のリレーの動作状態および作動機器をそれぞれ示した説明図であり、
図2の下方は、各動作モードの状態遷移を示す説明図である。
【0049】
車両においては、
図2に示すように、走行時と車両停止中との2つの状態がある。走行時は、第1の動作モードである走行中モードを有する。車両停止中は、キーOFFモード、第2の動作モードである充電中モード、第3の動作モードであるプレ空調中1モード、第4の動作モードであるプレ空調中2モード、および充電最優先モードの5つのモードを有する。
【0050】
走行中モードは、車両が走行しているモードである。走行中モードでは、リレー20,21,23がそれぞれONとなっており、DC/DCコンバータ14、インバータ15,およびメインバッテリ16が動作している状態となっている。また、DC/DCコンバータ14が動作状態となっているので、該DC/DCコンバータ14に共通接続されている空調システムも動作状態となっている。以下、同様に、DC/DCコンバータ14が動作状態の際には、空調システムも動作状態となっているものとする。
【0051】
キーOFFモードは、車両のキーがオフとなっているモードである。このキーOFFモードでは、すべてのリレー20〜24がオフ、すなわち非導通状態となっており、充電器13、DC/DCコンバータ14、インバータ15、およびメインバッテリ16は動作していない状態となっている。
【0052】
充電中モードは、メインバッテリ16に充電をするモードである。充電中モードでは、リレー20,22,23がそれぞれオンとなっており、充電器13、DC/DCコンバータ14、およびメインバッテリ16がそれぞれ動作している状態となっている。充電中モードの場合には、メインバッテリ16に充電する際に、12Vバッテリ31のバッテリ上がりを防止するために、DC/DCコンバータ14を動作させて12Vバッテリ31にも充電を行う。
【0053】
プレ空調中1モードは、車両の走行前などに予め空調システムを動作させるモードであり、該空調システムを動作させるための電源供給が充電器13から行われる。プレ空調中1モードでは、リレー22,23がそれぞれオンとなっており、充電器13、およびDC/DCコンバータ14がそれぞれ動作している状態となっている。
【0054】
プレ充電中2モードにおいても、車両の走行前などに予め空調システムを動作させるモードである。プレ充電中2モードの場合、空調システムを動作させる電源供給をメインバッテリ16から行っている。
【0055】
プレ充電中2モードでは、リレー20,23がそれぞれオンとなっており、メインバッテリ16、およびDC/DCコンバータ14がそれぞれ動作している状態となっている。
【0056】
充電最優先モードは、メインバッテリ16への充電を最優先するモードである。充電最優先モードの場合には、メインバッテリ16に充電する際に、DC/DCコンバータ14を動作させて12Vバッテリ31にも充電を行っているが、充電最優先モードでは、12Vバッテリ31への充電動作を行わずに、メインバッテリ16への充電を優先するように動作するモードである。この場合、リレー20,22がそれぞれオンとなっており、充電器13およびメインバッテリ16がそれぞれ動作している状態となっている。
【0057】
続いて、車両用電源装置10による各動作モードでも、動作の一例について、
図3〜
図7を用いて説明する。なお、
図3〜
図7に示す点線は、電源が供給されて動作中であることを示すものである。
【0058】
〈走行中モードの動作例〉
図3は、走行中モード時における車両用電源装置10の動作説明図である。
【0059】
走行中モードでは、車両が走行しているので、前述のようにリレー20,21,23がそれぞれオンしており、DC/DCコンバータ14、インバータ15,およびメインバッテリ16がそれぞれ動作している状態となっている。
【0060】
この場合、バッテリコントローラ18には、前述のECUから走行中モードを示す動作モード信号が入力される。バッテリコントローラ18は、ECUからの動作モード信号を受け取ると、車両が走行中であることを認識し、リレー20,21,23をそれぞれオンさせる制御信号を出力する。これによって、メインバッテリ16から、DC/DCコンバータ14およびインバータ15にそれぞれ電源が供給される。
【0061】
〈充電中モードの動作例〉
図4は、充電中モードにおける車両用電源装置10の動作説明図である。
【0062】
充電中モードでは、充電器13からメインバッテリ16に充電を行うために、リレー20,22,23がそれぞれオンしており、充電器13、DC/DCコンバータ14、およびメインバッテリ16がそれぞれ動作している状態となっている。
【0063】
ここで、充電中モードでは、バッテリコントローラ18によってリレー21がオフとなるように制御されており、メインバッテリ16への充電中は、インバータ15への電源供給を停止することができる。
【0064】
これによって、メインバッテリ16の充電の際に、インバータ15に流れる暗電流などの発生を防止することができ、無駄な消費電流を低減することができる。
【0065】
その結果、メインの充電効率を向上させることができる。また、無駄な高電圧の電源供給を防止することは、安全上において好ましく、例えばインバータ15を構成する電子部品の劣化などによるショートなども防止することができる。
【0066】
バッテリコントローラ18には、ECUから充電中モードを示す動作モード信号が入力される。バッテリコントローラ18は、ECUからの動作モード信号を受け取ると、メインバッテリ16を充電するモードとなったことを認識し、リレー20,22,23をそれぞれオンさせる制御信号を出力する。
【0067】
これによって、充電器13から、DC/DCコンバータ14およびメインバッテリ16にそれぞれ電源が供給される。この場合、DC/DCコンバータ14にも電源が供給されるので、空調システムを動作させる、すなわちプレ空調を行うことも可能である。
【0068】
〈プレ空調中1モードの動作例〉
図5は、プレ空調中1モードにおける車両用電源装置10の動作説明図である。
【0069】
プレ空調中1モードでは、予め空調システムを動作させる際に、充電器13の電源を用いる。プレ空調中1モードでは、リレー22,23がそれぞれオンしているので、充電器13およびDC/DCコンバータ14がそれぞれ動作している状態となっている。ここでは、リレー20,21がそれぞれオフであるので、充電器13からの電源は、インバータ15およびメインバッテリ16には供給されないことになる。
【0070】
バッテリコントローラ18には、ECUからプレ空調中1モードを示す動作モード信号が入力される。バッテリコントローラ18は、ECUからの動作モード信号を受け取ると、充電器13の電源を用いてプレ空調を行うプレ空調中1モードとなったことを認識し、リレー22,23をそれぞれオンさせる制御信号を出力する。
【0071】
〈プレ空調中2の動作例〉
図6は、プレ空調中2モードにおける車両用電源装置10の動作説明図である。
【0072】
プレ空調中2モードでは、予め空調システムを動作させる際に、メインバッテリ16の電源を用いる。プレ空調中2モードでは、リレー20,23がそれぞれオンしているので、メインバッテリ16の電源をDC/DCコンバータ14に供給する状態となる。このモードでは、リレー21,22がそれぞれオフであるので、メインバッテリ16からの電源は、充電器13およびインバータ15には供給されないことになる。
【0073】
バッテリコントローラ18には、ECUからプレ空調中2モードを示す動作モード信号が入力される。バッテリコントローラ18は、ECUからの動作モード信号を受け取ると、メインバッテリ16の電源を用いてプレ空調を行うプレ空調中1モードとなったことを認識し、リレー20,23をそれぞれオンさせる制御信号を出力する。
【0074】
〈充電最最優先モードの動作例〉
図7は、充電最優先モードにおける車両用電源装置10の動作説明図である。
【0075】
充電最優先モードは、メインバッテリ16への充電を最優先する。この場合、リレー20,22がそれぞれオンしており、充電器13およびメインバッテリ16がそれぞれ動作している状態となっている。リレー21,23はオフとなっているので、DC/DCコンバータ14およびインバータ15は動作していない。
【0076】
これによって、DC/DCコンバータ14およびインバータ15には、メインバッテリ16の電源が供給されず、優先してメインバッテリ16の充電を行うことが可能である。
【0077】
バッテリコントローラ18には、ECUから充電最優先モードを示す動作モード信号が入力される。バッテリコントローラ18は、ECUからの動作モード信号を受け取ると、メインバッテリ16への充電を優先する充電最優先モードとなったことを認識し、リレー20,23をそれぞれオンさせる制御信号を出力する。
【0078】
〈受電最優先モードの処理例〉
図8は、充電最優先モードにおけるバッテリコントローラ18の動作処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
充電最優先モードは、充電中モードにおいて、12Vバッテリ31の充電容量が十分にある際に、該12Vバッテリ31への充電を停止して優先的にメインバッテリ16を充電するモードである。
【0080】
充電最優先モードでは、メインバッテリ16のみを充電するか、あるいはバッテリと16および12Vバッテリ31を両方充電するかの判定をバッテリコントローラ18によって行う。
【0081】
まず、充電中モードにおいて、メインバッテリ16の充電が開始されると(ステップS101)、バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の電圧値を測定し、その測定値が、電圧しきい値以上か否かを判定する(ステップS102)。12Vバッテリ31における電圧の測定は、
図1に示す該12Vバッテリ31に備えられた電圧センサ34を用いて測定する。
【0082】
12Vバッテリ31の電圧が、電圧しきい値よりも低い場合、12Vバッテリ31の容量が低下していると判断し、DC/DCコンバータ14を動作させる制御を行う(ステップS103)。
【0083】
よって、バッテリコントローラ18は、リレー20,22,23をそれぞれオンさせるように制御信号を出力する。これにより、メインバッテリ16の充電と12Vバッテリ31との充電が行われる。
【0084】
また、ステップS102の処理において、12Vバッテリ31の電圧が電圧しきい値以上であると判定した際でも、バッテリコントローラ18は、リレー20,22,23をそれぞれオンさせて、DC/DCコンバータ14を動作させ(ステップS104)、12Vバッテリ31を充電する。
【0085】
バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の充電電流を測定し、その充電電流が予め設定されている電流しきい値以下であるか否かを判断する(ステップS105)。12Vバッテリ31における充電電流の測定は、
図1に示す該12Vバッテリ31に備えられた電流センサ33を用いて測定する。
【0086】
12Vバッテリ31の充電電流が、電流しきい値以下の場合、DC/DCコンバータ14の出力電流を測定し、該出力電流が出力電流しきい値以下であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0087】
DC/DCコンバータ14の出力電流の測定は、例えば該DC/DCコンバータ14に図示しない電流センサなどを設け、該電流センサによって測定するようにする。電流センサの測定結果は、バッテリコントローラ18に入力される。
【0088】
ステップS105の処理において12Vバッテリ31の充電電流が電流しきい値以下であり、ステップS106の処理において、DC/DCコンバータ14の出力電流が出力電流しきい値以下である場合、バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の容量が十分であると判断し、充電最優先モードに移行する。
【0089】
充電最優先モードでは、バッテリコントローラ18が、リレー23をオフしてDC/DCコンバータ14のみを停止させ(ステップS107)、メインバッテリ16を充電する。
【0090】
この充電最優先モードによるメインバッテリ16への充電中、バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の電圧が、第1のしきい値であるバッテリ電圧しきい値以上であるか否かを判断する(ステップS108)。
【0091】
12Vバッテリ31の電圧がバッテリ電圧しきい値以上の場合、バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31から出力される電流値の総和である積算電流が予め設定されている第2のしきい値である積算電流しきい値以下であるか否かを判断する(ステップS109)。
【0092】
12Vバッテリ31の積算電流が積算電流しきい値以下の場合、バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の出力電流値が予め設定されている第3のしきい値であるバッテリ出力電流しきい値以下であるか否かを判断する(ステップS110)。
【0093】
これらステップS108〜S110の処理における条件を満たす、すなわち12Vバッテリ31の電圧がバッテリ電圧しきい値以上、12Vバッテリ31の積算電流が積算電流しきい値以下、および12Vバッテリ31の出力電流値がバッテリ出力電流しきい値以下である場合、バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の充電容量が十分であると判定する。この場合、DC/DCコンバータ14は起動させずに、充電最優先モードを維持する。
【0094】
一方、ステップS108〜S110の処理における条件を1つも満たさない場合には、12Vバッテリ31の充電容量が低下していると判断する。12Vバッテリ31の電圧がバッテリ電圧しきい値よりも小さい、12Vバッテリ31の積算電流が積算電流しきい値よりも大きい、または12Vバッテリ31の出力電流値がバッテリ出力電流しきい値よりも大きいのいずれかの場合である。
【0095】
バッテリコントローラ18は、12Vバッテリ31の充電容量が低下していると判断すると、リレー23をオンしてDC/DCコンバータ14を起動させ(ステップS103)、12Vバッテリ31を充電する。
【0096】
このように、12Vバッテリ31に十分な容量がある場合には、12Vバッテリ31の充電を停止するので、メインバッテリ16の充電効率を向上させることができる。
【0097】
また、
図8のステップS101〜110の処理においては、
図8の右側に示す割り込み判定処理が定期的に実行されるものとする。この割り込み判定処理は、バッテリコントローラ18によってメインバッテリ16が満充電となったか否かを判定し(ステップS201)、満充電であると判定した際には、該メインバッテリ16の充電動作を停止する(ステップS202)。また、DC/DCコンバータ14が動作中であれば、該DC/DCコンバータ14の動作を停止させる(ステップS203)。
【0098】
〈対比例〉
図9は、本発明者の検討による車両用電源装置100の接続構成を示す説明図である。
【0099】
車両用電源装置100は、
図9に示すように、充電ユニット101およびバッテリパック102を有する。充電ユニット101は、充電器103、DC/DCコンバータ104、およびインバータ105を有する。バッテリパック102は、メインバッテリ106、システムリレー部107、バッテリコントローラ108、および接続端子部109を有する。システムリレー部107は、リレー200〜204を有する。
【0100】
充電器103の入力部には、充電プラグ300が接続されており、DC/DCコンバータ104には、補助バッテリである12Vバッテリ301が接続されている。インバータ105には、車両の駆動源となるモータ302が接続されている。
【0101】
車両用電源装置100の構成は、
図1の車両用電源装置10と同様であり、異なる点は、システムリレー部107による接続である。
【0102】
リレー200の一方の接続部には、接続端子部109の接続端子109bが接続されている。リレー201の一方の接続部には、接続端子部109の接続端子109a,109cがそれぞれ接続されている。
【0103】
リレー202の一方の接続部には、接続端子部109の接続端子109dが接続され、リレー203の一方の接続部には、接続端子部109の接続端子109e,109fがそれぞれ接続されている。
【0104】
リレー204の一方の接続部には、プリチャージ抵抗205を介して接続端子部19の接続端子109eが接続されている。また、接続端子109eと接続端子109fとは共通接続されている。
【0105】
リレー200の他方の接続部およびリレー201の他方の接続部には、メインバッテリ106の正(+)側端子がそれぞれ接続されている。リレー202〜204の他方の接続部には、メインバッテリ106の負(−)側端子がそれぞれ接続されている。
【0106】
接続端子109fおよび接続端子109dは、DC/DCコンバータ104および図示しない空調システムにそれぞれ接続されている。DC/DCコンバータ104には、補助バッテリである12Vバッテリ301が接続されている。
【0107】
これらリレー200〜204の制御端子には、バッテリコントローラ108から出力される制御信号がそれぞれ入力される。リレー200〜204は、制御端子に入力される制御信号に基づいて、オンあるいはオフとなるように制御される。
【0108】
ここで、車両用電源装置100の各動作モードにおける接続関係について説明する。車両用電源装置100は、
図2に示した動作モードと同様のモードを有しているものとする。
【0109】
車両用電源装置100において、充電中モードの場合には、充電器103からの電源をメインバッテリ106に供給すると共に、12Vバッテリ301の充電が行われるのでDC/DCコンバータ104にも充電器103の電源を供給する必要がある。よって、リレー200〜203がオンとなる。
【0110】
これらリレー200〜203がオンとなった場合、リレー201,203によって動作が不要となっているインバータ105にも電源が供給されることになる。これによって、インバータ105には、暗電流などの無駄な電流が流れてしまい、消費電流が大きくなってしまうことなる。
【0111】
一方、
図1の車両用電源装置10による構成では、リレー21をオフとすることにより、されており、メインバッテリ16への充電中にインバータ15への電源供給を停止することができる。
【0112】
以上により、メインバッテリ16への充電時において、インバータ15に供給される電源を遮断することができるので、充電効率を向上させることができる。また、充電時に動作不要となるインバータ15への電源が遮断されるので、安全性を担保することができる。
【0113】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0114】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0115】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。