特許第6204798号(P6204798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204798複数の走査台を有する干渉計およびそれを含むフーリエ変換赤外分光システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204798
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】複数の走査台を有する干渉計およびそれを含むフーリエ変換赤外分光システム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/45 20060101AFI20170914BHJP
   G01N 21/35 20140101ALI20170914BHJP
   G01B 9/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01J3/45
   G01N21/35
   G01B9/02
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-235882(P2013-235882)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2014-134534(P2014-134534A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】13/723,274
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100110799
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 温道
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ レスラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エイチ.サーラー
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−515918(JP,A)
【文献】 特開2001−194235(JP,A)
【文献】 特表2010−525305(JP,A)
【文献】 特開平09−311075(JP,A)
【文献】 米国特許第5883712(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00− 3/52
G01J 9/00− 9/04
G01N 21/00−21/61
G01B 9/02
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(141)と、光源(2)から発せられる光を、光の第1部分および第2部分に分割するように構成されているビームスプリッタアセンブリ(160)と、光の前記第1部分を反射する固定ミラー(9)とを備える固定アセンブリ(140)と、
上側走査台(130)と、下側走査台(150)と、前記下側走査台(150)に連結されて前記光の第2部分を反射する可動ミラー(8)とを備え、前記ビームスプリッタアセンブリ(160)によって前記反射光の第1部分および第2部分を再結合放射ビーム(10)に結合するように構成されている、前記固定アセンブリ(140)に対して可動である可動アセンブリ(120)と、
前記基台(141)に連結されている端部と、前記上側走査台(130)に連結されている端部とを有しており、前記基台(141)に対する前記上側走査台(130)の移動を可能にする一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)と、
前記上側走査台(130)に連結されている端部と、前記下側走査台(150)に連結されている端部とを有しており、前記上側走査台(130)に対する前記下側走査台(150)の移動を可能にする一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)とを備える干渉計(1)であって、
前記上側走査台(130)の移動および前記下側走査台(150)の移動により前記可動ミラー(8)の制限されたスキャン方向へのスキャン移動が可能になり、スキャン移動が前記可動ミラー(8)を含む平面を前記スキャン移動中の前記可動アセンブリ(120)と前記固定アセンブリ(140)との間のそれぞれの距離で前記可動ミラー(8)を含む複数の平面に対して平行に維持し、
前記ビームスプリッタアセンブリ(160)、前記固定ミラー(9)および前記可動ミラー(8)は、それぞれ平坦な(flat)状態にあるときの前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)を含む前記平面間の空間内に位置付けられていることを特徴とする、干渉計(1)。
【請求項2】
前記上側走査台(130)の上側平面(136)の上側点が前記上側走査台(130)の移動中に上側円弧(138)を画成し、前記下側走査台(150)の下側平面(156)の下側点が、前記下側走査台(150)の移動中に前記上側円弧(138)に等しくかつ反対の下側円弧(158)を画成し、前記上側点および前記下側点が幾何学的に対をなしていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計(1)。
【請求項3】
前記上側走査台(130)が非屈曲位置で前記一対の内側ベアリングフレクシャの平面に実質的に平行な前平面(137)を含有し、前記上側走査台(130)の前記前平面(137)が前記スキャン移動を通して前記基台(141)の前平面(137)に対して平行であることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計(1)。
【請求項4】
前記下側走査台(150)が非屈曲位置で前記一対の外側ベアリングフレクシャの平面に実質的に平行な前平面(137)を含有し、前記下側走査台(150)の前記前平面(137)が前記スキャン移動を通して前記上側走査台(130)の前記前平面(137)に対して平行であることを特徴とする、請求項3に記載の干渉計(1)。
【請求項5】
前記光の第1部分は透過部分(7a)であり、前記光の第2部分は反射部分(6a)であることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計(1)。
【請求項6】
前記可動アセンブリ(120)は、前記可動ミラー(8)の前記スキャン移動を可能にするモータコイルアセンブリ(125)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計(1)。
【請求項7】
前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)の第1内側ベアリングフレクシャ(131a)および前記一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)の第1外側ベアリングフレクシャ(151a)のそれぞれが、前記可動ミラー(8)および前記モータコイルアセンブリ(125)のうちの少なくとも一方の隙間を提供する第1開口(138a)を画成することを特徴とする、請求項6に記載の干渉計(1)。
【請求項8】
前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)の第2内側ベアリングフレクシャ(131b)および前記一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)の第2外側ベアリングフレクシャ(131b)が、前記ビームスプリッタアセンブリ(160)からの前記再結合放射ビーム(10)の妨げのない光路を提供する第2開口(138a)を画成することを特徴とする、請求項7に記載の干渉計(1)。
【請求項9】
前記可動アセンブリ(120)が前記固定アセンブリ(140)に対して並進しているときに、前記可動ミラー(8)の表面は角度偏向しないことを特徴とする、請求項8に記載の干渉計(1)。
【請求項10】
前記ビームスプリッタアセンブリ(160)は複数の選択可能なビームスプリッタ(4a)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計(1)。
【請求項11】
前記複数の選択可能なビームスプリッタ(4a)は、前記光源(2)から発せられる前記光のうち対象である異なる周波数を透過するためにそれぞれ異なる材料を備えることを特徴とする、請求項10に記載の干渉計(1)。
【請求項12】
前記ビームスプリッタアセンブリ(160)は前記複数の選択可能なビームスプリッタ(4a)を含むビームスプリッタキャリッジ(161)をさらに備えており、前記ビームスプリッタキャリッジ(161)は、前記複数の選択可能なビームスプリッタ(4a)を前記光源(2)から発せられる前記光の光路に摺動させることにより、前記複数の選択可能なビームスプリッタ(4a)のうちの1つの選択を可能にするように前記固定アセンブリ(140)に摺動可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項10に記載の干渉計(1)。
【請求項13】
赤外線放射を発するように構成されている光源(2)と、前記赤外線放射を受光して、可変する相対位相を有する反射放射の第1部分および第2部分を備える再結合放射を提供するように構成されている干渉計(1)と、前記再結合放射を受光する検出システム(13)とを備えるフーリエ変換赤外分光システムであって、前記干渉計(1)は、
固定式基台(141)に取り付けられており、前記光源(2)から発せられる赤外線放射を放射の第1部分および第2部分に分割して、前記反射放射の第1部分および第2部分を再結合して再結合放射を提供するように構成されているビームスプリッタアセンブリ(160)と、
固定式基台(141)に取り付けられており、前記放射の第1部分を反射して、前記反射放射の第1部分を前記ビームスプリッタ(4)に提供するように構成されている固定ミラー(9)と、
前記放射の第2部分を反射して、前記反射放射の第2部分を前記ビームスプリッタ(4)に提供するように構成されており、前記反射放射の第1部分に対する前記反射放射の第2部分の位相を変更するために、前記ビームスプリッタ(4)に対してスキャン方向に可動である可動ミラー(8)と、
一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)を介して前記固定式基台(141)に取り付けられており、前記固定式基台(141)に対して第1円弧運動が可動であり、前記ビームスプリッタアセンブリ(160)、前記固定ミラー(9)および前記可動ミラー(8)がそれぞれ非屈曲位置にあるときの前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)を含む平面間の空間内に位置付けられている、上側走査台(130)と、
一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)を介して前記上側走査台(130)に取り付けられており、前記上側走査台(130)に対して第2円弧運動が可動であり、前記第2円弧運動は前記第1円弧運動と実質的に等しいが反対方向に弧を描く、下側走査台(150)と、
前記可動ミラー(8)は、前記上側走査台(130)の前記第1円弧運動での移動および前記下側走査台(150)の前記第2円弧運動での移動が前記可動ミラー(8)の前記スキャン方向への移動を可能にするように、前記下側走査台(150)に装着されている、
ことを特徴とするフーリエ変換赤外分光システム。
【請求項14】
前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)の各内側ベアリングフレクシャ(131a)は前記固定式基台(141)に連結されている端部と、前記上側走査台(130)に連結されている端部とを備えており、前記一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)の各外側ベアリングフレクシャ(151a)は前記上側走査台(130)に連結されている端部と、前記下側走査台(150)に連結されている端部とを備えることを特徴とする、請求項13に記載のフーリエ変換赤外分光システム。
【請求項15】
前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)は前記一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)内に位置付けられており、前記固定ミラー(9)および前記可動ミラー(8)は、前記内側ベアリングフレクシャ(131a)が非屈曲位置にあるときに前記内側ベアリングフレクシャ(131a)間の空間内に位置付けられていることを特徴とする請求項14に記載のフーリエ変換赤外分光システム。
【請求項16】
前記ビームスプリッタアセンブリ(160)は、
前記固定式基台(141)に摺動可能に取り付けられているビームスプリッタキャリッジ(161)と、
前記ビームスプリッタキャリッジ(161)に位置付けられている複数のビームスプリッタ(4a)とを備えており、
前記ビームスプリッタキャリッジ(161)の動作が前記複数のビームスプリッタ(4a)のうちの1つを前記光源(2)から発せられる前記赤外線放射の放射路に選択的に配置する、
ことを特徴とする請求項13に記載のフーリエ変換赤外分光システム。
【請求項17】
前記複数の選択可能なビームスプリッタ(4a)は、前記光源(2)から発せられる前記赤外線放射のうち対象である異なる周波数をそれぞれ透過するために異なる材料を備えることを特徴とする、請求項16に記載のフーリエ変換赤外分光システム。
【請求項18】
前記上側走査台(130)は、それぞれ非屈曲位置にあるときの前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)の平面に実質的に平行である前平面(137)と、前記固定式基台(141)の前平面(137)とを含有しており、前記上側走査台(130)の前平面(137)は前記上側走査台(130)の前記第1円弧運動での前記移動を通して前記固定式基台(141)の前平面(137)に対して平行であり、
前記下側走査台(150)は、それぞれ非屈曲位置にあるときの前記一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)の平面に実質的に平行な前平面(137)と、前記上側走査台(130)の前記前平面(137)とを含有しており、前記下側走査台(150)の前平面(137)は前記下側走査台(150)の前記第2円弧運動での前記移動を通して前記上側走査台(130)の前記前平面(137)に対して平行であることを特徴とする、請求項13に記載のフーリエ変換赤外分光システム。
【請求項19】
フーリエ変換赤外分光システムの干渉計(1)であって、前記干渉計(1)は、
基台(141)と、光源(2)から発せられる光を、光の第1部分および第2部分に分割するように構成されているビームスプリッタ(4)と、前記光の第1部分を反射する固定ミラー(9)とを備える固定アセンブリ(140)と、
上側走査台(130)と、下側走査台(150)と、前記下側走査台(150)に連結されて前記光の第2部分を反射する可動ミラー(8)とを備え、前記ビームスプリッタ(4)によって前記反射光の第1部分および第2部分を再結合放射ビーム(10)に結合するように構成されている、前記固定アセンブリ(140)に対して可動な可動アセンブリ(120)と、
前記基台(141)に連結されている上側端部と、前記上側走査台(130)に連結されている下側端部とを有しており、前記基台(141)に対する前記上側走査台(130)の移動を可能にする一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)と、
前記上側走査台(130)に連結されている上側端部と、前記下側走査台(150)に連結されている下側端部とを有しており、前記上側走査台(130)に対する前記下側走査台(150)の移動を可能にする一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)とを備えており、
前記上側走査台(130)の上側平面(136)の上側点が前記上側走査台(130)の移動中に上側円弧(138)を画成し、前記下側走査台(150)の下側面(156)の下側点が、前記下側走査台(150)の移動中に、前記上側円弧(138)と等しくかつ反対の下側円弧(158)を画成し、前記上側点および前記下側点は幾何学的に対をなしており、前記可動ミラー(8)を含む平面が、スキャン移動中の前記可動アセンブリ(120)と前記固定アセンブリ(140)との間の対応する複数の距離で前記可動ミラー(8)を含む複数の平面に対して平行に維持されるように、前記可動ミラー(8)の前記スキャン移動を可能にする、ことを特徴とする干渉計(1)。
【請求項20】
前記上側走査台(130)は中立位置にある前記一対の内側ベアリングフレクシャ(131a)の平面に実質的に平行な前平面(137)を含有し、前記上側走査台(130)の前記前平面(137)が前記スキャン移動を通して前記基台(141)の前平面(137)に対して平行であり、
前記下側走査台(150)は中立位置にある前記一対の外側ベアリングフレクシャ(151a)の平面に実質的に平行な前平面(137)を含有し、前記下側走査台(150)の前記前平面(137)は前記スキャン移動を通して前記上側走査台(130)の前記前平面(137)に対して平行であることを特徴とする、請求項19に記載の干渉計(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の走査台を有する干渉計およびそれを含むフーリエ変換赤外分光システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイケルソン干渉計は多くの商業用途で使用されている。さまざまな設計の性能特性および安定性の限界はよく知られており、理解されている。従来の干渉計では光学素子のわずかなミスアライメントが干渉計の性能に大きく影響するかもしれない変調の変化を生じさせる。マイケルソン干渉計を含む商業用干渉計の設計において、ミスアライメントおよび/またはミスアライメントの影響を減じる多数の試みがなされてきた。
【0003】
これらの試みのいくつかは、キューブコーナーミラー、レトロミラーおよび/または望ましくない影響を補償する他の手段などの受動手段を含む。他の試みは、特にダイナミックミラーアライメントまたは能動的熱制御などの能動手段を使用してきた。あるいは、受け入れ可能なアライメント状態を維持するために、光学素子の関係の周期的または必要な回復を可能にする調整メカニズムが利用できる。
【0004】
一般に、マイケルソン干渉計は、光の入射ビームを2つの部分に分割し、当該部分の一方に交互の光路差を誘導し、正確な初期分割点で部分を再結合することにより、交流光信号を生成する。スキャン中に光路差を生成するミラー素子(例、可動ミラー)の平面度および一貫した幾何学的関係(波面との)を維持することがシステムの性能、安定性、および最終的な計器のデータ品質にとって重要である。波面に対する固定ミラーまたは可動ミラーのいずれかの幾何学的関係または平面度の短期変化または長期変化(一般に光学不安定性という)が妥協した結果を生じることがある。ビームスプリッタが波面に対する平面度または角度を変えるとき、同様な結果が生じる。
【0005】
干渉計のスペクトル分解能は、スキャン中の可動ミラーが移動する距離に関係する。フーリエ変換赤外(FTIR)分光計設計の分野では、特に、可動ミラーの移動は通例、機械的なベアリングを介して達成される。幅広い範囲のコストおよび複雑さを有する多くのベアリングの実施態様がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,630,081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
板ばね(ベアリングまたはベアリングフレクシャ(bearing flexures))は干渉計とともに使用されてきた。参照によりこれに組み込まれるResslerらに付与された特許文献1(2009年12月8日公開)は、従来の干渉計の一例を示す。特許文献1は、比較的低コストで比較的小型で高い程度の性能および熱/機械的安定性を達成するために、材料の選択および形状の開示を含めて、一対のベアリングフレクシャの使用を扱っている。
【0008】
しかし、当該従来の干渉計は、固有のベアリング行程の制約のために、分解能の能力が限られているだろう。したがって、例えば中位の研究所市場向けに、より大きな分解能を提供しながらベアリング行程を長くすることが可能な高性能で信頼性のある干渉計のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によると、干渉計は、固定アセンブリと、前記固定アセンブリに対して可動な可動アセンブリと、一対の内側ベアリングフレクシャと、一対の外側ベアリングフレクシャとを含む。
【0010】
固定アセンブリは、基台と、光源から発せられる光を光の第1部分および第2部分に分割するように構成されているビームスプリッタアセンブリと、光の第1部分を反射する固定ミラーとを含む。
【0011】
可動アセンブリは上側走査台と、下側走査台と、下側走査台に連結されて光の第2部分を反射する可動ミラーとを含む。ビームスプリッタアセンブリは、反射光の第1部分および第2部分を再結合放射ビームに結合するようにさらに構成されている。
【0012】
一対の内側ベアリングフレクシャは基台に連結されている端部と、上側走査台に連結されている端部とを有しているので、基台に対する上側走査台の移動を可能にする。
【0013】
一対の外側ベアリングフレクシャは上側走査台に連結されている端部と、下側走査台に連結されている端部とを有しているので、上側走査台に対する下側走査台の移動を可能にする。
【0014】
上側走査台の移動および下側走査台の移動により可動ミラーの制限されたスキャン方向へのスキャン移動が可能になるので、スキャン移動が可動ミラーを含む平面をスキャン移動中の可動アセンブリと固定アセンブリとの間のそれぞれの距離で可動ミラーを含む平面に対して平行に維持する。ビームスプリッタアセンブリ、固定ミラーおよび可動ミラーは、それぞれ平坦な状態にあるときの一対の内側ベアリングフレクシャを含む平面間の空間内に位置づけられている。
【0015】
別の本発明の実施形態によると、フーリエ変換赤外分光システムは、赤外線放射を発するように構成されている光源と、赤外線放射を受光して、可変する相対位相を有する反射放射の第1部分および第2部分を備える再結合放射を提供するように構成されている干渉計とを含む。
【0016】
前記干渉計はビームスプリッタアセンブリと、固定ミラーと、可動ミラーと、上側走査台および下側走査台と、再結合放射を受光する検出システムとを含む。
【0017】
ビームスプリッタアセンブリは固定式基台に取り付けられており、光源から発せられる赤外線放射を放射の第1部分および第2部分に分割して、反射放射の第1部分および第2部分を再結合することによって再結合放射を提供するように構成されている。
【0018】
固定ミラーは固定式基台に取り付けられており、放射の第1部分を反射することによって反射放射の第1部分をビームスプリッタに提供するように構成されている。可動ミラーは放射の第2部分を反射することによって反射放射の第2部分をビームスプリッタに提供するように構成されており、可動ミラーは反射放射の第1部分に対する反射放射の第2部分の位相を変化するために、ビームスプリッタに対してスキャン方向に可動である。
【0019】
上側走査台は一対の内側ベアリングフレクシャを介して固定式基台に取り付けられており、固定式基台に対して第1円弧運動で可動であり、ビームスプリッタアセンブリ、固定ミラーおよび可動ミラーは、それぞれ非屈曲位置にあるときの一対の内側ベアリングフレクシャを含む平面間の空間内に位置づけられている。下側走査台は一対の外側ベアリングフレクシャを介して上側走査台に取り付けられており、上側走査台に対して第2円弧運動で可動であり、第2円弧運動は第1円弧運動と実質的に等しいが、反対方向に弧を描く。可動ミラーは、上側走査台の第1円弧運動での移動および下側走査台の第2円弧運動での移動が可動ミラーのスキャン方向への移動を可能にするように、下側走査台に装着されている。
【0020】
別の本発明の実施形態により、フーリエ変換赤外分光システムの干渉計は、固定アセンブリと、可動アセンブリと、一対の内側ベアリングフレクシャと、一対の外側ベアリングフレクシャとを含む。
【0021】
固定アセンブリは、基台と、光源から発せられる光を光の第1部分および第2部分に分割するように構成されているビームスプリッタと、光の第1部分を反射する固定ミラーとを含む。固定アセンブリに対して可動な可動アセンブリは、上側走査台と、下側走査台と、下側走査台に連結されて光の第2部分を反射する可動ミラーとを含む。ビームスプリッタは反射光の第1部分および第2部分を再結合放射ビームに結合するようにさらに構成されている。
【0022】
一対の内側ベアリングフレクシャは基台に連結されている上側端部と、上側走査台に連結されている下側端部とを有しているので、基台に対する上側走査台の移動が可能になる。一対の外側ベアリングフレクシャは上側走査台に連結されている上側端部と、下側走査台に連結されている下側端部とを有しているので、上側走査台に対する下側走査台の移動が可能になる。
【0023】
上側走査台の上側平面の上側点は、上側走査台の移動中に上側円弧を画成し、下側走査台の下側平面の下側点は下側走査台の移動中に上側円弧に等しくかつ反対の下側円弧を画成し、上側点および下側点は幾何学的に対をなしており、可動ミラーを含む平面がスキャン移動中に可動アセンブリと固定アセンブリとの間の相応する複数の距離で可動ミラーを含む複数の平面に対して平行に維持されるように可動ミラーのスキャン移動を可能にする。
【0024】
本発明の実施形態は、添付の図面の図と合わせて読むと以下の詳細な説明から最も良く理解される。さまざまな特徴は必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを強調しておく。実際、寸法は議論を明確にするために任意に増減していることがある。適用可能で実際的な場合、同様な参照番号は同様な要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態による干渉計の光学素子の簡略断面側立面図を示す図である。
図2】本発明の実施形態による干渉計の側面等角図を示す図である。
図3】本発明の実施形態による干渉計の上側走査台および基台の側面等角図を示す図である。
図4】本発明の実施形態による干渉計の下側走査台の側面等角図を示す図である。
図5】本発明の実施形態による干渉計のベアリングフレクシャの前立面図を示す図である。
図6】本発明の実施形態による干渉計の側立面図を示す図である。
図7】本発明の実施形態による干渉計の断面側立面図を示す図である。
図8】本発明の実施形態による固定ミラーと固定アセンブリに対してこれを移動するメカニズムの詳細を示す等角断面図を示す図である。
図9】本発明の実施形態による干渉計の可動ビームスプリッタアセンブリの上平面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明において、制限のためではなく説明のために、特定の詳細を開示する本発明の実施形態を本教示による実施形態の完全な理解を提供するために記載している。しかし、本開示の利益を受けた人にとって、ここで開示する特定の詳細から逸脱する本教示による他の実施形態もやはり添付の請求項の範囲内にあることは明らかであろう。また、よく知られているデバイスおよび方法の説明は、例としての実施形態の記述が不明確にならないように省略していることがある。当該方法およびデバイスは本教示の範囲内にある。
【0027】
一般に、図面およびそこで図示されるさまざまな要素は縮尺どおりに描かれていない。さらに、「上」、「下」、「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「左」、「右」、「垂直」および「水平」などの相対的な用語は、添付の図面に図示するように、さまざまな要素の互いの関係を記述するために使用されている。これらの相対的な用語は図面に図示される向きに加えて、デバイスおよび/または要素の異なる向きを包含することが意図されている。例えば、デバイスが図面の見方に対して反転した場合、例えば別の要素の「上」と記述される要素は、今度はその要素の「下」になるであろう。同様に、デバイスが図面の見方に対して90度回転した場合、例えば「垂直」と記述される要素は今度は「水平」になるであろう。
【0028】
図1は、本発明の実施形態による干渉計の光学素子の簡略断面側面図を図示する。
【0029】
図1を参照して、本発明の実施形態により、干渉計1のビームスプリッタ4と、可動ミラー8と、固定ミラー9とを含む光学素子が図示されている。光源2からの光3はビーム分割面5を含むビームスプリッタ4に向けられる。例えば、光3は赤外線放射であってもよく、光源2は赤外線放射源であってもよい。干渉計は例えばフーリエ変換赤外(FTIR)分光法のために使用してもよい。
【0030】
光3はビーム分割面5によって透過部分7a(第1部分)と反射部分6a(第2部分)とに分割される。反射部分6aは可動ミラー8に向かい、可動ミラー8は反射部分6aを反射ビーム6b(反射第2部分)として反射部分6a上に反射し返し、反射ビーム6bはビーム分割面5に戻る。同様に、透過部分7aは固定ミラー9に向かい、固定ミラー9は透過部分7aを反射ビーム7b(反射第1部分)として透過部分7a上に反射し返し、反射ビーム7bはビーム分割面5に戻る。
【0031】
反射ビーム6b,7bはビーム分割面5で再結合されて、反射ビーム6b,7bのうちの少なくとも一部は再結合放射ビーム10として反射される。再結合放射ビーム10はさらにサンプリング装置11に向かう。サンプリング装置11は、サンプリング装置11内のサンプル11aに応じて、再結合放射ビーム10をサンプルコード化放射12に変更する。サンプルコード化放射12は検出システム13に向かう。サンプル11aはサンプルコード化放射12に応じて識別される。サンプリング装置11および検出システム13に対して光源2の位置が変わることは、当業者に周知であることは理解される。
【0032】
ビーム分割面5から可動ミラー8および固定ミラー9までのそれぞれの光学的距離が実質的に等しい場合、再結合放射ビーム10は、光学的遅延がないので同位相のままである。可動ミラー8がビーム分割面5の近くまたは遠くのいずれかに移動すると、可動ミラー8の平らな面は反射部分6aに対して角度を維持するが、反射ビーム6bの反射はビーム分割面5に戻り、遅延変化が生じる。反射ビーム6bの遅延変化は再結合放射ビーム10を変調する。
【0033】
例えば図2に図示するように干渉計1を高速走査型FTIRシステムの一部として使用する場合、再結合放射ビーム10を周知の方法で変調し、その後フーリエ変換して再結合放射ビーム10および/またはサンプルコード化放射12の周波数情報を復元するように、可動ミラー8は通例定速で駆動される。
【0034】
ビームスプリッタ4、可動ミラー8および/または固定ミラー9を含む光学素子のうちの1以上が位置を変える場合、またはビームスプリッタ4、可動ミラー8および/または固定ミラー9の間の光学的関係が変わる場合、再結合放射ビーム10にある量の変調変化が生じる。このような意図しない変調の変化は不必要な影響を生み、そのため望ましくない。
【0035】
図2は、本発明の実施形態による干渉計の側面等角図を図示する。
【0036】
図2には、例えばフーリエ変換赤外分光法に使用できる干渉計101が示されている。干渉計101は、固定アセンブリ140と可動アセンブリ120とを含む。可動アセンブリ120に可動ミラー8およびモータコイルアセンブリ125が装着されている。固定アセンブリ140は固定ハウジングまたは基台141と、基台141と一体的に結合しているビームスプリッタサポート147とを含む。ビームスプリッタサポート147は選択可能なビームスプリッタ4a,4b(図2では図示せず)を含む可動ビームスプリッタアセンブリ160のガイドとなっている。選択可能なビームスプリッタ4a,4bはそれぞれビームスプリッタ4に関して上に述べたように、光源2から発せられる光3を反射部分6aと透過部分7aとに分割するように構成されている。基台141は透過部分7aに反射して反射ビーム7bを提供する固定ミラー9をさらに含む。
【0037】
可動アセンブリ120は固定アセンブリ140に対して可動であり、上側走査台(scan carriage)130および下側走査台150を含む。ある実施形態では、可動ミラー8は反射部分6aに反射して反射ビーム6bを提供するために下側走査台150に連結されている。ビームスプリッタアセンブリ160は反射ビーム6b,7bを、上に述べたようにサンプリング装置11および検出システム13に出力される再結合放射ビーム10に結合するように構成されている。
【0038】
干渉計101は一対の内側ベアリングフレクシャ131a,131b(例、第1内側ベアリングフレクシャ131aおよび第2内側ベアリングフレクシャ131b)と、一対の外側ベアリングフレクシャ151a,151b(例、第1外側ベアリングフレクシャ151aおよび第2外側ベアリングフレクシャ131b)とを含む。
【0039】
内側ベアリングフレクシャ131a,131bのそれぞれが基台141に連結されている下側端部と上側走査台130に連結されている上側端部とを有しているので、プラス/マイナススキャン方向SDに、最小限のスキャン摩擦で基台に対する上側走査台130の移動(振動)が可能になる。外側ベアリングフレクシャ151a,151bのそれぞれは上側走査台130に連結されている上側端部と、下側走査台150に連結されている下側端部とを有しているので、最小限のスキャン摩擦で上側走査台130に対する下側走査台150のプラス/マイナスのスキャン方向SDでの移動(振動)が可能になる。
【0040】
内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bは、例えば、可動ミラー8のスキャン方向SDの移動を容易にするように実質的に屈曲するまたは曲がるように構成されている板ばねであってもよい。すなわち、上側走査台130の移動および下側走査台150の移動により、ミラーコイルアセンブリ125に電磁力が付勢されたときに、可動ミラー8のスキャン方向SDのスキャン移動が可能になる。
【0041】
電磁力は、例えばモータコイルアセンブリに付勢される電圧の極性に応じて、スキャン方向SDで示されるように、左または右のいずれかに大きく付勢される。モータコイルアセンブリ125は、例えば下側走査台150に交互に駆動力を付与し、サーボ制御下で動作する線形駆動モータを備えるコイルおよび磁石の組み合わせを含んでもよい。
【0042】
図示する実施形態では、下側走査台150がモータコイルアセンブリ125のモータ駆動力下で移動すると、外側ベアリングフレクシャ151a,151bが曲がるので、内側ベアリングフレクシャ131a,131bに力が付与されてこれもまた曲がる。下側走査台150の各増分移動とともに、このプロセスは一方向で可動ミラー8の必要な行程距離に達するまで継続する。次に、モータコイルアセンブリ125の極性が反転してもよく、反対方向への可動ミラー8の必要な行程距離に達するまで、方向の変化を生じさせる。
【0043】
スキャン移動は、可動ミラー8の反射面を含む平面を、スキャン動作中の可動アセンブリ120と固定アセンブリ140との間のすべてのそれぞれの距離で、可動アセンブリ120の可動ミラー8を含む平面に対して平行に維持するように制限される。言い換えると、内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bによって提供される移動の制限のため、ビームスプリッタ4aまたは4bと可動ミラー8との光学的関係は、光学的遅延を除き実質的に変化しないままである。したがって、可動ミラー8の反射面は、可動アセンブリ120が固定アセンブリ140に対して並進するときに角度偏向しない。
【0044】
ある実施形態では、可動ミラー8、固定ミラー9およびビームスプリッタアセンブリ160は全体的に、図示するようにそれぞれ平坦な状態(非屈曲または中立位置)にあるときの一対の内側ベアリングフレクシャ131a,131bを含む平面間の空間に位置付けられている。
【0045】
2対のベアリングフレクシャ、例えば内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bを使用する図示する実施形態は、例えば1対のベアリングフレクシャを使用した従来の干渉計の低分解能分光法に適したより短い距離に比べて、高分解能分光法に適したより長い移動距離を達成してもよい。分解能と必要なスキャン距離との関係はL=1/[2(分解能)]である。具体的には、機械的なベアリングが2波数分解能のために動かなければならない距離は約±0.25cmであるが、1/2波数分解能の場合の行程は約±1cmである。言い換えると、この分解能の向上には、ベアリングの行程距離を4X増やす必要があり、これは必要なスキャンパラメータおよび干渉計の設計目標を維持しながら、図示する実施形態のように2対の内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bを使用して達成される。
【0046】
図3および図4は、本発明の実施形態による上側走査台130(基台141に連結されている)および下側走査台150の側面等角図を図示する。
【0047】
上側走査台130が内側ベアリングフレクシャ131a,131bに装着されている状態が図示されており、内側ベアリングフレクシャ131a,131bは固定アセンブリ140の基台141に装着されている。基台141は以下に述べるようにビームスプリッタアセンブリ160を支持している。上側走査台130は、光3が通過して選択可能なビームスプリッタ4a,4bの一方に対向する上側開口137を画成している。
【0048】
内側ベアリングフレクシャ131a(図5にも図示されている)は、可動ミラー8およびミラーコイルアセンブリ125の少なくとも一部を挿入してもよい開口138aを画成しており、対向する内側ベアリングフレクシャ131bはビームスプリッタアセンブリ160からの再結合放射ビーム10の妨げのない光路を提供する開口138bを画成している。
【0049】
図4を参照して、下側走査台150は、外側ベアリングフレクシャ151a,151bに装着されている状態が図示されている。可動ミラー8およびモータコイルアセンブリ125は下側走査台150に装着されている。
【0050】
下側走査台150は、図2に図示したように、外側ベアリングフレクシャ151a,151bの上側端部が下側走査台150に装着されているときに、下側走査台150を基台141に対して自由に動かすことができる十分な隙間をあけて、固定アセンブリ140の基台141が位置付けられる下側開口159を画成している。
【0051】
外側ベアリングフレクシャ151aは、可動ミラー8およびミラーコイルアセンブリ125の少なくとも一部を挿入してもよい隙間を提供する開口158aを画成しており、対向する外側ベアリングフレクシャ151bは、再結合放射ビーム10を制限なく透過させる開口158bを画成している。開口138a,138bは、それぞれ開口158a,158bと実質的に整列していてもよい。
【0052】
図5は、本発明の実施形態による干渉計のベアリングフレクシャの実施例の前立面図を図示する。図5に図示するベアリングフレクシャは内側ベアリングフレクシャ131aとして特定されているが、ベアリングフレクシャは内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび/または外側ベアリングフレクシャ151a,151bのうちのいずれかを代表するものであることは理解される。一般に、内側ベアリングフレクシャ131a,131bは互いに実質的に同じサイズおよび形状であり、外側ベアリングフレクシャ151a,151bも同様に互いに実質的に同じサイズおよび形状である。また、一対の内側ベアリングフレクシャ131a,131bは、図示するように、一対の外側ベアリングフレクシャ151a,151bと実質的に同じサイズおよび形状であってもよい。
【0053】
代表的な内側ベアリングフレクシャ131aは、実質的に方形の形状である開口138aを含む。開口138aは可動アセンブリ120の重量を支えるとともに、周囲の力によって加わる望ましくない衝撃、トルクおよびせん断に対する抵抗力を与えるために適切なモジュラス特性を提供する。図示する実施形態では開口138aは方形であるが、他の実施形態は、本教示の範囲を逸脱することなく、内側ベアリングフレクシャ131aの開口138a(および開口138b.158a,158b)について、長方形、楕円形、円形、または強度および/または安定性を改善するかもしれないあらゆる他の形状などの他の形状を含んでもよいことが理解される。
【0054】
図6は、本発明の実施形態による組み立てた状態の干渉計の側立面図を図示する。
【0055】
図6を参照すると、干渉計101は固定アセンブリ140と可動アセンブリ120とを含み、可動アセンブリ120には可動ミラー8およびモータコイルアセンブリ125が装着されている。固定アセンブリ140は基台141とビームスプリッタサポート147とを含む。ビームスプリッタサポート147は、以下述べるように、可動ビームスプリッタアセンブリ160を固定するとともに、ビームスプリッタアセンブリ160の移動を案内するように構成されている上側フランジ147aおよび下側フランジ147bを含む。可動アセンブリ120は固定アセンブリ140に対して可動であり、上側走査台130および下側走査台150を含む。
【0056】
内側ベアリングフレクシャ131a,131bは上側走査台130および基台141に連結されており、外側ベアリングフレクシャ151a,151bは上側走査台130および下側走査台150に連結されている。ある実施形態では、可動ミラー8は、反射部分6aに反射して反射ビーム6bを提供するために下側走査台150に連結されている。
【0057】
上に述べたように、可動ミラー8はモータコイルアセンブリ125の動作によりスキャン方向SDに移動する。上側走査台130および下側走査台150は、可動ミラー8の平面を、スキャン方向SD(図示する向きで、左または右)に移動するスキャンパスに沿って可動ミラー8を含むすべての平面に対して平行に維持するようにともに移動する。
【0058】
より具体的には、上側走査台130は上側平面136を含み、下側走査台150は下側平面156を含んでおり、内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bが中立または非屈曲位置にあるとき、上側平面136および下側平面156は互いに実質的に平行である。上側平面136および下側平面156は、内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bが中立または非屈曲位置にあるとき、スキャン方向SDにも実質的に平行である。したがって、可動ミラー8がスキャン方向SD(左または右)に移動するとき、上側走査台130の上側平面136の上側点UPは可動ミラー8と同じ一般方向(左または右)に上側円弧138を画成する一方で、下側走査台150の下側平面156の下側点LPは可動ミラー8と同じ一般方向(左または右)に下側円弧158を画成する。
【0059】
ある実施形態では、下側点LPおよび上側点UPが互いに幾何学的対をなしているとき、下側円弧158は上側円弧138と実質的に等しく、かつ反対である。内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bが同時に屈曲するまたは曲がることに応答して、上側点UPは上側円弧138をたどり、下側点は下側円弧158をたどる。
【0060】
さらに、内側ベアリングフレクシャ131a,131bは、中立または非屈曲位置で、それぞれ内側平面171a,171bを画成し、外側ベアリングフレクシャ151a,151bは、中立または非屈曲位置で、それぞれ外側平面172a,172bを画成する。ある実施形態では、内側平面171a,171bおよび外側平面172a,172bは互いに実質的に平行である。
【0061】
また、上側走査台130は、中立または非屈曲位置における内側ベアリングフレクシャ131a,131bの内側平面171a,171bに実質的に平行な前平面137を含む。前平面137は、内側ベアリングフレクシャ131a,131bが中立または非屈曲位置にあるとき、基台141の前平面142にも実質的に平行である。
【0062】
同様に、下側走査台150は、中立または非屈曲位置における外側ベアリングフレクシャ151a,151bの外側平面172a,172bに実質的に平行な前平面157を含む。前平面157は、内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bが中立または非屈曲位置にあるとき、前平面137にも実質的に平行である。
【0063】
ある実施形態では、上側走査台130の前平面137はスキャン移動を通して基台141の前平面142に対して平行であり、下側走査台150の前平面157はスキャン移動を通して上側走査台130の前平面(および基台141の前平面142)に対して平行である。
【0064】
図7は、本発明の実施形態による干渉計の断面側面図を図示する。
【0065】
図7を参照すると、干渉計101は固定アセンブリ140と、可動アセンブリ120とを含む。固定アセンブリ140は固定ミラー9およびビームスプリッタアセンブリ160、ならびにさまざまな固定手段を含む。図示する本発明の構成では、固定手段は、内側ベアリングフレクシャ131a,131bの下側端部を基台141に装着するための内側クランプ部材132a,132bと対応する締め具133a,133bとを含む。干渉計101を例えばフレーム、計器ハウジングまたはベースプレート(図示せず)に固定するために、基台141に複数のネジ穴141a,141bを設けてもよい。
【0066】
ビームスプリッタアセンブリ160は、固定アセンブリ140のビームスプリッタサポート147に摺動可能に取り付けられているビームスプリッタキャリッジ161にビームスプリッタ4aおよびビームスプリッタ4b(図7には図示せず)を含んでいるので、図7および図9を参照して以下述べるように、ビームスプリッタ4a,4bのうちの一方を光源2から発せられる光3の光路に摺動することによって、複数の選択可能なビームスプリッタ4aおよび4bのうちの一方を選択することが可能になる。
【0067】
ビームスプリッタ4aは、ビームスプリッタ締め具144a,144bおよび対応するOリング145a,145bによって、ビームスプリッタキャリッジ161の表面に取り付けられている。ビームスプリッタサポート147の開口148はサンプリング装置11および検出システム13に出力される再結合放射ビーム10のための隙間を提供し、ビームスプリッタサポート147の開口149および基台141は、固定ミラー9に透過される透過部分7aおよび固定ミラー9から反射される反射ビーム7bのための隙間を提供する。光源2からの光3は、上側走査台130によって画成されている上側開口137を介して干渉計101の固定アセンブリ140に進入して、ビームスプリッタ4aに到達する。
【0068】
可動アセンブリ120は上側走査台130と、下側走査台150と、可動ミラー8と、モータコイルアセンブリ125と、さまざまな固定手段とを含む。ある実施形態では、可動ミラー8およびモータコイルアセンブリ125は下側走査台150に連結されており、可動ミラー8は反射部分6aを反射ビーム6bとして反射部分6a上に反射し返すように構成されている。あるいは、本教示の範囲を逸脱することなく、可動ミラー8およびモータコイルアセンブリ125は上側走査台130に連結されて、下側走査台150を基台141に連結してもよい。
【0069】
図示する本発明の構成では、可動アセンブリ120の固定手段は、外側ベアリングフレクシャ151a,151bの下側端部を下側走査台150に装着するために、外側クランプ部材152a,152bと、対応する締め具153a,153b(例、ネジ)とを含む。可動アセンブリ120の固定手段は、内側ベアリングフレクシャ131a,131bの上側端部および外側ベアリングフレクシャ151a,151bの上側端部をそれぞれ上側走査台130に装着するために、内側クランプ部材139a,139bと、外側クランプ部材154a,154bと、対応する締め具155a,155b(例、ネジ)とをさらに含む。
【0070】
可動アセンブリ120のすべてのコンポーネントはしっかりと締結し、上に述べたようにスキャン方向SDにモータコイルアセンブリ125に付勢される電磁力によって駆動されるときに連動するユニットを形成する。それぞれ固定アセンブリと可動アセンブリ140,120との間に遅延(例、距離)を達成するために、干渉計の可動ミラーを駆動するモータコイルを使用することは周知である。
【0071】
一般に、内側クランプ部材132a,132bおよび締め具133a,133bは、内側ベアリングフレクシャ131a,131bを基台141に固定する手段として機能する。内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bが上側走査台130の相対的な移動とともに偏向するとき、可動アセンブリと固定アセンブリ120,140との間の移動が生じる。
【0072】
同様に、外側クランプ部材152a,152bおよび締め具153a,153bは外側ベアリングフレクシャ151a,151bを下側走査台150に固定する手段として作用し、内側クランプ部材139a,139b、外側クランプ部材154a,154bおよび締め具155a,155bは内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bを上側走査台130に固定する手段として作用しながら、可動アセンブリと固定アセンブリ120,140との間の移動を許す。代替実施形態では、内側/外側ベアリングフレクシャを可動アセンブリおよび固定アセンブリ120,140に固定するために、接着剤、ろう付け、溶接、エポキシ、および押出金属を使用してもよい。
【0073】
ビームスプリッタ4a,4bと可動ミラー8との光学的関係は、ビームスプリッタ4a,4bの表面の角度が可動ミラー8の表面の角度に対して維持されるときに満たされてもよい。同様に、ビームスプリッタ4a,4bと可動ミラー8との光学的関係は、ビームスプリッタ4a,4bから可動ミラー8に向かうビームの軸の角度が可動ミラー8の表面に対して所定の角度で維持されるときに満たされてもよい。
【0074】
上に述べたように、ビームスプリッタアセンブリ160、固定ミラー9および可動ミラー8は、その平坦な状態にあるときの内側ベアリングフレクシャ131a,131bをそれぞれ含む内側平面171a,171b間の空間内に位置付けられている。
【0075】
再び図5を参照すると、図示する実施形態では、代表的な内側ベアリングフレクシャ131aのクランプされる領域32はさらにクランプ部材132a,139aの縁部にも整列して、制約のないクランプ長さLを画成している。締め具133a,155aに隙間穴33が設けられ、精密に位置付けるために高公差ピン(図示せず)を収容する位置合わせ穴34が設けられている。同様に、内側ベアリングフレクシャ131bのクランプされる領域32および隙間穴33はクランプ部材132b,139bの縁部に整列して、締め具133b,155bを受止するであろう。また、外側ベアリングフレクシャ151a,151bのクランプされる領域32および隙間穴33はクランプ部材152a,152b,154a,154bの縁部に整列して、締め具153a,153b,155a,155bをそれぞれ受止するであろう。
【0076】
図8は、本発明の実施形態による固定ミラーと固定アセンブリに対してこれを移動させるメカニズムの詳細を示す等角断面図を図示する。
【0077】
図8を参照すると、固定ミラー9は固定ミラーキャビティ50に位置付けられている。より具体的には、基台141の球面部分51が固定ミラー9の球面部分52に接触している。そのうちの1個を54として図示している6個の調整ネジが固定ミラー9の円錐面53に接触している。ある実施形態では、ネジ54は円錐面53の外周にほぼ対称的に配置されている。このように、ネジ54は固定ミラー9の配向を調整するために使用してもよい。固定ミラーの調整は、例えばサーボモータまたはステッパモータ(図示せず)を用いて動作させてもよいが、本教示の範囲を逸脱することなく固定ミラー9を調整する他の手段を組み込んでもよい。
【0078】
図9は、本発明の実施形態による干渉計の可動ビームスプリッタアセンブリの上平面図を図示する。
【0079】
図9を参照すると、ビームスプリッタアセンブリ160はビームスプリッタキャリッジ161を含んでおり、ビームスプリッタキャリッジ161はビームスプリッタサポート147および/または固定式基台141に摺動可能に取り付けられている。ビームスプリッタキャリッジ161の上側面には、複数のビームスプリッタ4a,4bが互いに隣接して位置付けられている。ビームスプリッタキャリッジ161はビームスプリッタサポート147のフランジ147a,147b内で、スキャン方向SDに実質的に垂直なビームスプリッタ位置付け方向BSPに摺動するように構成されている。
【0080】
このように、ビームスプリッタキャリッジ161の摺動動作は、ビームスプリッタ4a,4bのうちの1つを光源2(図9では図示せず)から発せられる光3の光路に選択的に配置する。ビームスプリッタキャリッジ161は、例えばサーボモータまたはステッパモータ(図示せず)を用いて動作してもよいが、本教示の範囲を逸脱することなくビームスプリッタキャリッジ161を摺動する他の手段を組み込んでもよい。
【0081】
図示する構成では、ビームスプリッタキャリッジ161はビームスプリッタ4aを選択するように位置付けられている。ビームスプリッタ4a,4bは光源2から発せられる光3のうち対象である異なる周波数をそれぞれ透過するように、異なる材料から形成してもよい。例えば、ビームスプリッタ4a,4bはZnSe,KBr,またはCaF2のさまざまな組み合わせで構成してもよい。
【0082】
図9は2つのビームスプリッタ4a,4bを図示しているが、本教示の範囲を逸脱することなくビームスプリッタキャリッジ161は追加のビームスプリッタを含んでもよいことは理解される。また、干渉計101のさまざまな実施形態は選択可能なビームスプリッタに対して、単一の固定ビームスプリッタを用いて実施してもよいことも理解される。
【0083】
使用中の光学的ミスアライメントおよび不安定性の主な2つの原因は、干渉計101に対する機械的応力および熱応力からの歪みである。ある実施形態では、内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bは合わせ組または対で製造され、可動アセンブリ120上の可動ミラー8と、互いに精密に固定されたままである固定アセンブリ140上のビームスプリッタ4a,4bおよび/または固定ミラー9との実質的に精密に反復可能な軌道および関係を確保するように組み立てられている。
【0084】
それぞれの内側平面171a,171bが干渉計の光学素子(例、ビームスプリッタ4a,4b、固定ミラー9、および可動ミラー)を含む空間の境界を定める一対の内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび一対の外側ベアリングフレクシャ151a,151bを使用することで、高度な対称性、放射にとって最小限の光路長さ、および最小限の構造長さが得られる。
【0085】
これらの特徴は、材料の正しい選択と合わせると、周囲の空間における熱変化の影響を最小限にする。図示する実施形態は、入力または出力放射の明瞭な光路と、可動ミラー8を含む可動アセンブリ120を都合よく駆動する機械的手段とをさらに提供する。同時に、内側ベアリングフレクシャ131a,131bおよび外側ベアリングフレクシャ151a,151bの対称性および小型性が、熱応力および機械的応力からの歪みを最小限にする。歪みが大幅に減少する結果、光学的な安定性が大幅に改善することになる。
【0086】
多くの計器の動作環境では、温度は常に変化し、通例予測不可能である。当該環境で機能する必要のある干渉計は、通例温度変化から隔離し、変化の影響を抑える補償手段を有し、および/または当該温度変化の影響を最小限にする必要がある。従来より、干渉計は環境変化から隔離して、環境変化の影響を抑えるように設計されてきた。本明細書におけるさまざまな実施形態は環境変化の影響を減少させるおよび/または最小限にするのを助ける。
【0087】
一般に、物質自体の温度が上昇するにつれ、物質の寸法は増加する。この関係は通例次の式:L=L(1+A(t−t)で表される。この式において、Lは温度t時での物体の長さであり、Aは線膨張係数であり、Lは温度t時での物体の長さである。線膨張係数Aは、ほとんどの一般的な材料について知られている。赤外線干渉計では、ビームスプリッタ材料の選択が計器の有用な周波数範囲を決定する。
【0088】
一般に使用されるある材料のセレン化亜鉛(ZnSe)はA=7.2×10−6/Cである。典型的な1インチ直径(25.4ミリメートル)のビームスプリッタを使用する場合、ビームスプリッタの直径に制限がなければ、摂氏目盛で10度変化するごとに直径は約1.5ミクロン変化する。この変化は比較的小さいように思われるが、ビームスプリッタが拘束されている場合には非常に大きな応力を生む可能性がある。例えば、アルミニウムハウジング(商業用FTIRで一般的な慣行)にしっかりと固定されているZnSeビームスプリッタの場合、アルミニウムはZnSeの速度の約3倍で変化しようとするだろう。生じる応力は、適切に消散しなければ、変調の変化および不安定性を招くおそれのある表面歪みおよび/または角(例、傾斜)変化を生じる可能性があろう。
【0089】
ある実施形態では、基台141、上側走査台130、下側走査台150、内側ベアリングフレクシャ131a,131b、外側ベアリングフレクシャ151a,151b、クランプ部材132a,132b,139a,139b,152a,152b,154a,154b、締め具133a,133b,153a,153b,155b、可動ミラー8、および固定ミラー9はそれぞれ、例えばスチールから形成してもよい。さらに、可動ミラー8および固定ミラー9は、例えば、赤外線範囲の反射率を向上させるために金属化膜を含むことが考えられる。
【0090】
スチールおよびチタンは、ZnSeの熱膨張係数に非常に近い熱膨張係数を有する。そのため、アルミニウムハウジングの代わりにスチールまたはチタンを使用すると、ZnSeとハウジングとの歪み差が減少するであろう。しかし、特に形状、熱伝導率、熱吸収性および熱放射率など他の要因を克服するために、アルミニウムからスチールまたはチタンに変更することにより歪み差を改善する利点はこれまでに実証されていない。おそらく、他の要因が光学的な不安定性の原因となってきたため、歪み差の改善だけでは改善結果が達成されてこなかった。その点に関し、本明細書に記載するさまざまな実施形態は、形状および対称性の役割が、熱膨張係数の差の役割より重要性が大きくないにしても、等しく重要であることを示唆している。
【0091】
開示は例示的な実施形態を参照するが、当業者には本教示の精神および範囲を逸脱することなくさまざまな変更および修正を行えることは明らかであろう。そのため、上記実施形態は制限ではなく、例示的なものとして理解されるべきである。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9