(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記システム電源がオンとされた後、開始フラグがオンとされる前に、前記終了スイッチがオンとされた際に、警報信号を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自重計システム。
前記制御手段は、前記システム電源がオンとされた後、開始フラグがオンとされる前に、前記システム電源のオフが操作された場合には、予め設定したオフ時間だけ警報を出力し、前記オフ時間の経過後に、前記システム電源をオフとすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自重計システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る自重計システムの実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係る自重計システム10が搭載された車両1の概略構成図であり、(a)は側面図、(b)は裏面図(車両1を下方から見た図)である。車両1は、例えば、液化ガスを搬送するタンクローリ車等の積載物を搬送する搬送車であり、前後左右に設けられる複数の車輪1aと、液化ガスが充填されるタンク1bと、運転席を含むキャビン1cと、を備えている。タンク1bには、例えば、液化天然ガス、液化窒素ガス等の液化ガスが充填される。
【0018】
自重計システム10は、各車輪1aに加えられる積載物重量の変化量を検出する積載物重量変化量測定用の複数(この例では6個)のセンサ11(重量センサ)と、キャビン1cの内部に設置され、各センサ11とハーネス等で接続された自重計12と、キャビン1cの外部に設置され、自重計12にハーネス等で接続された外部操作器13と、を備えている。
【0019】
センサ11は、例えば、ひずみゲージ式センサ等の荷重センサからなり、それぞれ、各車輪のアクスル上に取り付けられている。各センサ11は、アクスルに加えられる積載物重量の変化量に応じて変化する周波数を有する重量信号を出力する。自重計12は、各センサ11から出力される重量信号に基づいて、前後左右の車輪1aにかかる積載物重量の変化量を測定することができる。
【0020】
図2は、自重計12の構成例を示すブロック図である。自重計12は、自重計システム10全体を制御すると共に計算手段として働くマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)120(制御手段)と、EEPROM121(不揮発性メモリ)と、LCD(液晶ディスプレイ)等からなる表示器122(表示手段)と、プリンタ123と、操作部124と、カードライタ125と、電源スイッチ21と、を備えている。
【0021】
電源スイッチ21は、自重計12の電源のオン、オフを切り替えるためのスイッチであり、電源オフ時に該電源スイッチ21を押すとオンに切り替わり、電源オン時に該電源スイッチ21を押すとオフに切り替わる。
【0022】
マイコン120は、自重計システム10全体を総括的に制御するCPU120aと、ROM120b、及びRAM120cを備えている。CPU120aは、ROM120b及びRAM120cに接続され、更に、各センサ11、EEPROM121、表示器122、プリンタ123、操作部124、及びカードライタ125に接続されている。また、CPU120aには、車両のイグニッションキースイッチ信号が入力される。
【0023】
更に、CPU120aは、外部機器を接続するためのI/OポートP1、及びP2を備えている。I/OポートP1には外部操作器13が接続され、I/OポートP2にはデジタルタコグラフ17が接続されている。また、CPU120aは、開始フラグFが「1」とされた際に、各センサ11による検出データを取得してこの検出データを基準値として設定し、車両1での積載物の荷積み、或いは荷下ろしが終了した後に、再度センサ11による検出データを取得し、この検出データと基準値との差分に基づいて積載物の重量を算出し、算出した重量を表示器122に表示する制御を行う。
【0024】
ROM120bには、CPU120aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが記憶されている。また、RAM120cは、演算処理に用いる各種データを記憶するものであり、各種データ記憶用のデータエリア、及び各種処理作業に用いるワークエリアを有している。特に、RAM120cは、後述する開始タイマ、及び電源オフタイマとしての機能を備えている。開始タイマとは、自重計システム10の電源がオンとされた後、実際に積載物の重量の測定を開始するまでの時間(これを「開始時間」という)を計時するためのタイマである。また、電源オフタイマとは、後述する第2実施形態で用いるタイマであり、操作者が誤った操作を行った場合の電源オフまでの時間を計時するタイマである。
【0025】
EEPROM121は、各センサ11より出力される重量信号に対しての、オフセット調整値(後述)、及び特性補正値(後述)等の各テーブルと、周波数・荷重(重量)換算式と、ガスの種類及び単位重量当たりの体積換算値テーブルと、を予め記憶している。また、該EEPROM121には、印字用データのメモリエリアが設けられている。また、該EEPROM121には、重量測定が開始されていることを示す開始フラグFを記憶するための記憶領域が設定されている。具体的には、重量測定が開始されている場合には、開始フラグFを「1」(開始フラグをオン)とし、重量測定が終了している場合には、開始フラグFを「0」(開始フラグをオフ)とする。そして、開始フラグFは、電源スイッチ21がオフとされた場合でも消去されない。即ち、EEPROM121は、開始フラグFを記憶する記憶手段としての機能を備えている。
【0026】
なお、上述のオフセット調整値は、各センサ11が積載物重量変化量「0」の際にそれぞれ出力する重量信号の周波数のばらつきをなくすためのものである。また、特性補正値は、タンク1b内の積載物からセンサ11にかかる荷重と、該荷重に応じてセンサ11が出力する重量信号との相関に関する特性の、各センサ11間でのばらつきを補正するためのものである。そして、これらの各調整値は、各センサ11毎に設定されている。
【0027】
操作部124は、積載物重量変化量測定の開始を指示するための開始スイッチ124a、及び、積載物重量変化量測定の終了を指示するための終了スイッチ124bを備えている。開始スイッチ124a、及び終了スイッチ124bは、自重計12を構成する筐体の前面パネルに設けられている。
【0028】
カードライタ125は、CPU120aより出力される重量データを含む各種のデータを、可搬型記憶媒体であるメモリカード16に書き込む。デジタルタコグラフ17は、CPU120aより出力される重量データを含む各種のデータを、車両1の走行速度等の運行情報と共に、可搬型記憶媒体であるメモリカード18に書き込む。
【0029】
外部操作器13は、
図3に示すように、筐体である操作器本体130と、この操作器本体130にケーブル131で接続されたコネクタ132を備える。操作器本体130は、筐体の前面パネルに、LCD等からなる表示部133と操作部134とを備えている。操作部134は、前述した開始スイッチ124aと同様の機能を備えた開始スイッチ134aと、終了スイッチ124bと同様の機能を備える終了スイッチ134bを有している。更に、積載物重量の再測定を指示するための、再測定スイッチ134cを備えている。
【0030】
即ち、操作者は、自重計12の本体に搭載された開始スイッチ124a、終了スイッチ124bにより、自重計測の開始、終了を操作することができ、更に、外部操作器13に搭載された開始スイッチ134a、終了スイッチ134bを用いることによって、自重計測の開始、終了を操作することができる。
【0031】
外部操作器13は、
図3に示すコネクタ132を介して自重計12におけるCPU120aのI/OポートP1に接続され、操作器本体130は、車両1のキャビン1cの外部であって自重計12から離れた操作性の良い場所、一例として、液化ガスの荷下ろし等の作業場所の近傍に配置される。
【0032】
そして、上述のように構成された本実施形態に係る自重計システム10では、車両1のイグニッションがオフとされている場合に、各センサ11で測定される重量信号に基づいて、各アクスルに加えられる重量を求め、これらを合計することにより、車両1のタンク1b(
図1参照)に積載されている積載物の重量を測定する。
【0033】
以下、本実施形態に係る自重計システム10の作用を、
図4,
図5に示すフローチャートを参照して説明する。
図4,
図5に示す処理は、ROM120bに記憶されている制御プログラムに基づき、CPU120aにより実行される。
【0034】
初めに、
図4のステップS11において、CPU120aは、自重計12の電源スイッチ21が操作者により押されたか否かを判断する。そして、電源スイッチ21が押された場合には(ステップS11でYES)、ステップS12において、CPU120aは、自重計システム10の電源をオンとする。その結果、自重計12による積載物重量の測定が可能な状態となる。
【0035】
ステップS13において、CPU120aは、電源スイッチ21が再度押されたか否かを判断する。この操作は、自重計12による重量の測定を終了する際に押す操作であるので、初期的には、電源スイッチ21は押されない。従って、ステップS13の判断はNOとなり、ステップS14に処理を進める。なお、電源スイッチ21が押された場合には(ステップS13でYES)、
図5のステップS40において、システム電源をオフとする。
【0036】
図4のステップS14において、CPU120aは、開始フラグFが「0」であるか(オフであるか)、或いは「1」であるか(オンであるか)を判断する。開始フラグFはEEPROM121に記憶されており、開始フラグFが「0」である場合には、ステップS15に処理を進め、開始フラグFが「1」である場合には、ステップS24に処理を進める。初期的には、開始フラグFは「0」であるので、ステップS15に処理を進める。
【0037】
ステップS15において、CPU120aは、RAM120c内に設定されている開始タイマによる計時を開始する。前述したように、開始タイマとは、システム電源をオンとしてから、積載物の重量測定を自動的に開始するまでの待ち時間(所定時間)を計時するためのタイマである。
【0038】
ステップS16において、CPU120aは、開始タイマにより所定時間が計時されたか否かを判断する。所定時間が計時された場合には(ステップS16でYES)、ステップS19に処理を進める。一方、所定時間が計時されない場合(タイムアップしていない場合)には(ステップS16でNO)、ステップS17において、CPU120aは、電源スイッチ21が押されたか否かを判断する。この操作はシステム電源をオフとする操作であり、例えば、緊急で車両を運転する必要が生じた場合等で、積載重量の測定を中止する場合等に操作される。
【0039】
電源スイッチ21が押された場合には(ステップS17でYES)、ステップS40において、システムの電源をオフとする。即ち、積載物の重量測定を中止する。一方、電源スイッチ21が押されない場合には(ステップS17でNO)、ステップS18において、CPU120aは、開始スイッチがオンとされたか否かを判断する。そして、開始スイッチがオンとされた場合には(ステップS18でYES)、ステップS19に処理を進める。開始スイッチがオンとされない場合には(ステップS18でNO)、ステップS16に処理を戻す。
【0040】
ステップS19において、CPU120aは、開始フラグFを「1」に設定する(開始フラグをオンとする)。つまり、開始タイマにより所定時間が計時された場合、或いは操作者により開始スイッチが押された場合に、開始フラグFが「1」に設定される。ここで、前述したように、開始フラグFは
図2に示したEEPROM121(記憶手段)に記憶されるので、システム電源がオフとされた場合でも消去されずに保持される。つまり、開始フラグFが「1」の状態で自重計12の電源スイッチ21を押してシステム電源をオフとした場合には、次回システム電源をオンとした際に、開始フラグFは「1」となる。反対に、開始フラグFが「0」の状態でシステム電源をオフとした場合には、次回システム電源をオンとした際には、開始フラグFは「0」となる。
【0041】
次いで、ステップS20において、CPU120aは、オフセット周波数を設定する。この処理では、各センサ11のオフセット周波数を検出し、このオフセット周波数に基づいて、荷重がゼロのときの周波数を決定する。即ち、初期状態として、タンク1b内の積載物がゼロの状態で各センサの出力周波数を検出し、この周波数をオフセット周波数とすることにより、初期的な積載物の重量が0Kgとなるように設定する。つまり、積載物の初期的な重量を基準値として設定する。
【0042】
ステップS21において、CPU120aは、表示器122に重量0Kgを表示する。ステップS22において、CPU120aは、各センサ11毎のオフセット周波数データをカードライタ125を経由してメモリカード16に転送する。これにより、メモリカード16には各センサ11のオフセット周波数が記録される。
【0043】
ステップS23において、CPU120aは、I/0ポートP1を経由してデジタルタコグラフ17に各センサ11のオフセット周波数データを送信する。該デジタルタコグラフ17は、オフセット周波数データを受信し、受信したオフセット周波数データをメモリカード18に書き込む。
【0044】
ステップS24において、タンク1b内への、積載物(液化ガス等)の荷積み、或いは荷下ろしの実行を待つ。
【0045】
ステップS25において、CPU120aは、各センサ11より出力される周波数データを取得する。即ち、上述したように、各センサ11は、検出した重量に応じた周波数データを出力するので、この周波数データを取得する。そして、
図5に示すステップS26において、CPU120aは、取得した周波数データに基づいて、重量を求める。つまり、前述したように、各センサ11は、積載物重量変化量を周波数データとして出力するので、この周波数データと、EEPROM121に記憶されている周波数・荷重(重量)換算式とに基づいて、周波数を重量に換算する計算を行う。そして、各センサ11より出力される周波数データに基づいて求められた重量を加算することにより、タンク1b内に積載した積載物の重量を求める。上述したように、初期的な重量を0Kgとしているので、荷積みの場合には重量としてプラスの数値が取得され、荷下ろしの場合には、マイナスの数値が取得される。
【0046】
その後、ステップS27において、CPU120aは、表示器122に重量値を表示する。こうすることにより、操作者は、積載物の重量を認識することができる。
【0047】
ステップS28において、CPU120aは、電源スイッチ21が押されたか否かを判断する。そして、押された場合には、ステップS40において、システム電源をオフとする。一方、電源スイッチ21が押されていない場合には、ステップS29に処理を進める。
【0048】
ステップS29において、CPU120aは、車両キーがオンとされたか否かを判断する。車両キーがオンとされた場合には、ステップS31に処理を進め、車両キーがオンとされていない場合にはステップS30に処理を進める。
【0049】
ステップS30において、CPU120aは、
図2に示した終了スイッチ124bが押されたか否かを判断する。終了スイッチが押されていない場合には(ステップS30でNO)、ステップS24に処理を戻す。一方、終了スイッチ124bが押された場合、及びステップS29の処理で車両キーがオンとされた場合には、ステップS31において、CPU120aは、開始フラグFを「0」とする。車両キーがオンとされた場合には、積載物の重量検出を継続することができない。よって、車両キーがオンとされた場合、或いは終了スイッチが押された場合に、開始フラグFを「0」として、積載物の重量検出を終了する。
【0050】
ステップS32において、CPU120aは、現時点で測定されている重量値を固定し、この重量値を積載物の重量に決定する。ステップS33において、CPU120aは、測定した重量値データをカードライタ125を経由して、メモリカード16に転送する。その結果、積載物の重量をメモリカード16に記録することができる。
【0051】
ステップS34において、CPU120aは、I/0ポートP1を経由してデジタルタコグラフ17に重量値データを送信する。該デジタルタコグラフ17は、送信された重量値データを受信し、受信した重量値データをメモリカード18に書き込む。
【0052】
ステップS35において、CPU120aは、EEPROM121に設定されている印字用データのメモリエリアの積載物重量変化量値データを、固定された現積載物重量変化量値データで更新する。即ち、荷積みの場合は、0Kgから増加し、最終的に固定され更新されたプラスの現積載物重量変化量値が、更新データとして、EEPROM121の印字用データのメモリエリアに記録される。また、荷下ろしの場合は、0kgから減少し、最終的に固定され更新されたマイナスの現積載物重量変化量値が、更新データとして、EEPROM121の印字用データのメモリエリアに記録される。
【0053】
ステップS36において、CPU120aは、発行スイッチが押されたか否かを判定し、押された場合には(ステップS36でYES)、ステップS37において、プリンタ123による計量票のプリントアウト処理を実行させる。つまり、計量票が必要である場合には、発行スイッチを押すことにより、これを取得することができる。
【0054】
プリントアウトが終了した場合、或いは発行スイッチが押されない場合(ステップS36でNO)には、ステップS38にて、CPU120aは、再測定スイッチ134cが押されたか否かを判定し、押された場合には、ステップS17に処理を戻す。一方、押されない場合には、ステップS39に処理を進める。
【0055】
ステップS39において、CPU120aは、電源スイッチ21が押されたか否かを判断し、電源スイッチ21が押された場合には、ステップS40において、システム電源をオフとする。こうして、積載物の重量測定が行われるのである。
【0056】
次に、
図4のステップS24に示した荷積み、荷下ろし作業待ちの間に、電源スイッチ21が押されてシステム電源がオフとなった場合について説明する。上述したように、開始フラグFは初期的には「0」であるから、重量測定の開始時には、ステップS19に処理により、開始フラグFは「1」とされる。
【0057】
その後、ステップS24に示した荷積み、荷下ろしの作業待ちの間に、電源スイッチ21が押されてシステム電源がオフとされた場合(安全性を考慮してシステム電源をオフとした場合等)には、自重計システム10の電源がオフとなるものの、開始フラグFは「1」を維持する。従って、次回電源スイッチ21が押されてシステム電源がオンとされた場合には、開始フラグFは「1」であるから、
図4のステップS14の処理にて、YES判定となり、ステップS24に処理が移行する。即ち、ステップS24以降の処理が継続して行われることになる。従って、荷積み、荷下ろしの際に一旦システム電源をオフとした場合でも、積載物の重量測定を継続して行うことが可能となる。
【0058】
このようにして、本実施形態に係る自重計システム10では、重量の測定を開始する際に開始スイッチ124aを押した場合、或いは、システム電源がオンとされてから所定時間が経過した場合に、開始フラグFが「1」とされる。その後、終了スイッチ124bがオンとされるまでの間は、開始フラグFは「1」の状態を維持する。従って、一旦、開始スイッチを押して開始フラグFを「1」に設定した場合には、荷積み、或いは荷下ろしの際にシステム電源をオフとした場合であっても、開始フラグFは「1」を維持する。その結果、一旦開始スイッチ124aをオフとした後、再度システム電源をオンとした場合には、開始フラグFが「1」となっているので、重量測定を継続して実施することが可能となる。
【0059】
具体的には、ステップS14に示した処理で、開始フラグFが「1」である場合には、ステップS20に示したオフセット周波数の設定処理を行わず、ステップS24の処理に移行するので、荷積み或いは荷下ろし後の重量測定に進むことができる。このため、危険物を積載する場合等で、システム電源を一旦オフとすることが義務づけられている場合でも、操作者は開始スイッチ124aを押すという簡単な操作で、積載物の重量測定を行うことができる。
【0060】
また、電源スイッチ21がオンとされた後、所定時間が経過した場合に、開始フラグFが「1」とされるので(ステップS16でYESの場合)、システム電源がオンとされ、その後開始スイッチ124aを押し忘れた場合でも、重量測定を行うことが可能となる。このため、操作者によるスイッチの押し忘れ等による測定ミスの発生を軽減することができる。
【0061】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明に係る自重計システムの第2実施形態について説明する。システム構成は、前述した第1実施形態と同様であるので構成説明を省略する。第2実施形態では、積載物の重量測定を開始した際に、その後、操作者が誤って電源スイッチ21を操作(オフ操作)した場合、或いは、終了スイッチ124bを押した場合に、警報を発することにより、操作者に報知する機能を備える。
【0062】
即ち、前述した第1実施形態では、積載物の重量を測定する際の通常の操作手順は、概略下記の(1)〜(5)のように流れることを説明した。
【0063】
(1)電源スイッチ21を操作してシステム電源(自重計システム10の電源)をオンとする。
【0064】
(2)開始スイッチ124aを押して開始フラグFを「1」とする。
【0065】
(3)必要に応じて電源スイッチ21を押してシステム電源をオフとする。
【0066】
(4)荷積み或いは荷下ろしが終了した後に、再度電源スイッチ21を押してシステム電源をオンとする。
【0067】
(5)重量測定が終了した場合に、終了スイッチ124bを押して開始フラグFを「0」とする。
【0068】
ここで、上記(1)の操作でシステム電源をオンとし、その後、(2)の操作で開始スイッチを押さずに、電源スイッチ21を押した場合には、開始フラグFが「1」とならずに、システム電源がオフとなってしまう。また、開始スイッチ124aと終了スイッチ124bを間違って押した場合には、開始フラグFが「1」とならずに、重量測定が開始されない。このような場合には、タンク1b内の初期的な重量(基準値)を求めることができず、その後、荷積み、或いは荷下ろしが終了した後に重量データを取得しても、基準値が不明であるので、積載物の重量を求めることができなくなる。第2実施形態では、このような誤操作が発生しないように、スイッチの押し間違えが発生した場合に、警報を発することにより、操作者に報知する。
【0069】
以下、第2実施形態に係る重量計システムの処理手順を、
図6〜
図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、
図6〜
図8において、前述した
図4,
図5に示す処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
【0070】
初めに、
図6のステップS11において、CPU120aは、自重計12の電源スイッチ21が操作者により押されたか否かを判断する。そして、電源スイッチ21が押された場合には(ステップS11でYES)、ステップS12において、CPU120aは、自重計システム10の電源をオンとする。その結果、自重計12による積載物重量の測定が可能な状態となる。
【0071】
ステップS13において、CPU120aは、電源スイッチ21が再度押されたか否かを判断する。この操作は、自重計12による重量の測定を終了する際に行う操作であるので、初期的には、電源スイッチ21は操作されない。従って、ステップS13の判断はNOとなり、ステップS14に処理を進める。
【0072】
ステップS14において、CPU120aは、開始フラグFが「0」であるか(オフであるか)、或いは「1」であるか(オンであるか)を判断する。開始フラグFが「0」である場合には、ステップS15に処理を進め、開始フラグFが「1」である場合には、
図7のステップS24に処理を進める。初期的には、開始フラグFは「0」であるからステップS15に処理を進める。
【0073】
ステップS15において、CPU120aは、RAM120c内に設定されている開始タイマによる計時を開始する。前述したように、開始タイマとは、システム電源をオンとしてから、積載物の重量測定を自動的に開始するまでの待ち時間(所定時間)を計時するためのタイマである。
【0074】
ステップS16において、CPU120aは、開始タイマにより所定時間が計時されたか否かを判断する。所定時間が計時された場合には(ステップS16でYES)、ステップS19に処理を進める。一方、所定時間が計時されない場合(タイムアップしていない場合)には(ステップS16でNO)、ステップS17において、CPU120aは、電源スイッチ21が押されたか否かを判断する。この操作は、例えば、緊急で車両を運転する必要が生じた場合等で、積載重量の測定を中止する場合等に操作される。
【0075】
電源スイッチ21が操作されシステム電源がオフとされた場合には(ステップS17でYES)、
図8のステップS51に処理を進める。ステップS51以降の処理については、後述する。一方、電源スイッチ21がオフとされない場合には(ステップS17でNO)、ステップS171において、CPU120aは、終了スイッチ124bが操作されたか否かを判断する。そして、終了スイッチ124bが操作されない場合には(ステップS171でNO)、ステップS18に処理を進める。また、終了スイッチ124bが操作された場合には(ステップS171でYES)、ステップS172において、CPU120aは、音、光、画面表示等による警報信号を出力する。
【0076】
つまり、電源スイッチ21がオンとされてシステム電源がオンとされた後、重量測定を実行せずに終了スイッチ124bが押されることは、通常の操作としてはあり得ないので、終了スイッチ124bが操作されたということは、開始スイッチ124aの押し間違えである可能性が高い。従って、警報を出力することにより、この状況を操作者に報知する。
【0077】
ステップS18において、CPU120aは、開始スイッチ124aが押されたか否かを判断する。そして、開始スイッチ124aが押された場合には(ステップS18でYES)、ステップS19に処理を進める。開始スイッチ124aが押されない場合には(ステップS18でNO)、ステップS16に処理を戻す。
【0078】
ステップS19において、CPU120aは、開始フラグFを「1」に設定する(開始フラグをオンとする)。つまり、開始タイマにより所定時間が計時された場合、或いは操作者により開始スイッチ124aが押された場合に、開始フラグFが「1」に設定される。ここで、開始フラグFは、前述した第1実施形態と同様に、
図2に示したEEPROM121内(記憶手段)に記憶され、自重計12の電源がオフとされた場合でも消去されずに保持される。
【0079】
ステップS20において、CPU120aは、オフセット周波数を設定する。この処理では、各センサ11のオフセット周波数を検出し、このオフセット周波数に基づいて、荷重がゼロのときの周波数を決定する。即ち、初期状態として、タンク1b内の積載物がゼロの状態で各センサの出力周波数を検出し、この周波数をオフセット周波数とすることにより、初期的な積載物の重量が0Kgとなるように設定する。つまり、積載物の初期的な重量を基準値として設定する。
【0080】
ステップS21において、CPU120aは、表示器122に重量0Kgを表示する。ステップS22において、CPU120aは、各センサ11毎のオフセット周波数データをカードライタ125を経由してメモリカード16に転送する。これにより、メモリカード16には各センサ11のオフセット周波数が記録される。
【0081】
ステップS23において、CPU120aは、I/0ポートP1を経由してデジタルタコグラフ17に各センサ11のオフセット周波数データを送信する。該デジタルタコグラフ17は、オフセット周波数データを受信し、受信したオフセット周波数データをメモリカード18に書き込む。
【0082】
図7のステップS24において、タンク1b内への、積載物(液化ガス等)の荷積み、或いは荷下ろしの実行を待つ。
【0083】
ステップS25において、CPU120aは、各センサ11より出力される周波数データを取得する。即ち、上述したように、各センサ11は、検出した重量に応じた周波数データを出力するので、この周波数データを取得する。そして、ステップS26において、CPU120aは、取得した周波数データに基づいて、重量を求める。この処理は、前述した第1実施形態と同様である。
【0084】
ステップS27において、CPU120aは、表示器122に重量値を表示する。こうすることにより、操作者は、積載物の重量を認識することができる。
【0085】
ステップS28において、CPU120aは、電源スイッチ21がオフとされたか否かを判断する。そして、オフとされた場合には、ステップS40において、システムの電源をオフとする。一方、オフとされていない場合には、ステップS29に処理を進める。
【0086】
ステップS29において、CPU120aは、車両キーがオンとされたか否かを判断する。車両キーがオンとされた場合には、ステップS31に処理を進め、車両キーがオンとされていない場合にはステップS30に処理を進める。
【0087】
ステップS30において、CPU120aは、
図2に示した終了スイッチ124bが操作されたか否かを判断する。終了スイッチ124bが押されていない場合には(ステップS30でNO)、ステップS24に処理を戻す。一方、終了スイッチ124bが押された場合、及びステップS29の処理で車両キーがオンとされた場合には、ステップS31において、CPU120aは、開始フラグFを「0」とする。車両キーがオンとされた場合には、積載物の重量検出を継続することができない。よって、車両キーがオンとされた場合、或いは終了スイッチが押された場合に、開始フラグFを「0」として、積載物の重量検出を終了する。
【0088】
ステップS32において、CPU120aは、現時点で測定されている重量値を固定し、この重量値を積載物の重量に決定する。ステップS33において、CPU120aは、測定した重量値データをカードライタ125を経由して、メモリカード16に転送する。その結果、積載物の重量をメモリカード16に記録することができる。
【0089】
ステップS34において、CPU120aは、I/0ポートP1を経由してデジタルタコグラフ17に重量値データを送信する。該デジタルタコグラフ17は、送信された重量値データを受信し、受信した重量値データをメモリカード18に書き込む。
【0090】
ステップS35において、CPU120aは、EEPROM121に設定されている印字用データのメモリエリアの積載物重量変化量値データを、固定された現積載物重量変化量値データで更新する。即ち、荷積みの場合は、0Kgから増加し、最終的に固定され更新されたプラスの現積載物重量変化量値が、更新データとして、EEPROM121の印字用データのメモリエリアに記録される。また、荷下ろしの場合は、0kgから減少し、最終的に固定され更新されたマイナスの現積載物重量変化量値が、更新データとして、EEPROM121の印字用データのメモリエリアに記録される。
【0091】
ステップS36において、CPU120aは、発行スイッチが押されたか否かを判定し、押された場合には(ステップS36でYES)、プリンタ123による計量票のプリントアウト処理を実行させる。つまり、計量票が必要である場合には、発行スイッチを押すことにより、これを取得することができる。
【0092】
プリントアウトが終了した場合、或いは発行スイッチが押されない場合(ステップS36でNO)には、ステップS38にて、CPU120aは、再測定スイッチ134cが押されたか否かを判定し、押された場合には、ステップS17に処理を戻す。一方、押されない場合には、ステップS39に処理を進める。
【0093】
ステップS39において、CPU120aは、電源スイッチ21が押されたか否かを判断し、電源スイッチ21が押された場合には、ステップS40において、自重計システム10の電源をオフとする。
【0094】
次に、
図8に示すステップS51以降の処理について説明する。前述したように、
図6のステップS17の処理で電源スイッチ21が操作され、システム電源がオフとされた場合に、ステップS51に処理が移行する。
【0095】
ステップS51において、CPU120aは、電源オフタイマをセットする。この処理では、RAM120cに設定されている電源オフタイマにより、オフ時間の計時を開始する。
【0096】
ステップS52において、CPU120aは、電源オフタイマにより、予め設定したオフ時間が経過したか否かを判断する。そして、オフ時間が経過しない場合には(ステップS52でNO)、ステップS53において、音、光、画面表示等による警報を出力する。即ち、電源スイッチ21がオンとされてシステム電源がオンとされた後、重量測定を実行せずに再度電源スイッチ21が操作されてシステム電源がオフとされることは、通常の操作としてはあり得ないので、操作ミスである可能性が高い。従って、警報を出力することにより、この状況を操作者に報知する。
【0097】
そして、ステップS54の処理で開始スイッチが操作されたと判断された場合には、
図6のステップS19に処理を進める。
【0098】
一方、ステップS52の処理でオフ時間が経過した場合には(ステップS52でYES)、操作ミスではなく、操作者が意図的に電源スイッチ21を操作したものと判断して、ステップS40において、システム電源をオフとする。こうして、積載物の重量測定が行われるのである。
【0099】
このようにして、第2実施形態に係る自重計システム10では、前述した第1実施形態と同様の効果を達成できる。更に、第1実施形態の効果に加えて、操作者が開始スイッチ124aと終了スイッチ124bを押し間違えた場合や、誤って電源スイッチ21を押した場合であっても、警報を出力することにより、操作ミスを操作者に気づかせることができる。従って、確実に積載物の重量測定を行うことが可能となる。
【0100】
以上、本発明の自重計システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0101】
例えば、上述した実施形態では、センサ11の個数を6個としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1または複数個のセンサを用いることが可能である。