【文献】
ROUBILLE, F. et al.,Circulation,2007年,Vol.116,pp.2709-2717
【文献】
YANG, X. et al.,Cell,1997年,Vol.89,pp.1067-1076
【文献】
HEITZ, F. et al.,Br. J. Pharmacol.,2009年,Vol.157,pp.195-206
【文献】
KRAUTWALD, S. et al.,J. Biol. Chem.,2004年,Vol.279, No.42,pp.44005-44011
【文献】
SUGIOKA, R. et al.,Oncogene,2003年,Vol.22,pp.8432-8440
【文献】
MURRAY, J.K. and GELLMAN, S.H.,Biopolymers,2007年,Vol.88, No.5,pp.657-686
【文献】
HORNE, W.S. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,2009年,Vol.106, No.35,pp.14751-14756
【文献】
HASSANE, F.S. et al.,Cell. Mol. Life Sci.,2009年,Vol.67,pp.715-726
【文献】
LEBLEU, B. et al.,Adv. Drug Del. Rev.,2008年,Vol.60,pp.517-529
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
−配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するDAXXタンパク質の16、17、18、19、20、21、22、23または24個の連続するアミノ酸残基の断片であって、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む断片
からなり、細胞のアポトーシスを阻害することが可能であるペプチド。
抗アポトーシス剤、抗炎症剤、免疫調節剤、鎮痛剤、抗微生物剤、抗細菌剤、抗生剤、抗酸化剤、消毒剤およびそれらの組合せからなる群より選択される、少なくとも1種の追加の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
ヒトまたは動物の身体における、急性心筋梗塞(AMI)、脳梗塞、臓器移植、心臓インターベンション(体外循環および一時的血管閉塞)または急性循環動揺(ショック状態)の治療方法で使用するための、請求項1または2のいずれか一項に記載のペプチド、請求項3から6のいずれか一項に記載のコンジュゲート、または請求項7から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
ヒトまたは動物の身体における細胞のアポトーシスを阻害するための、またはヒトまたは動物の身体におけるアポトーシスに関連する疾患または状態を治療するための薬剤の製造における、請求項1または2のいずれか一項に記載のペプチド、または請求項3から6のいずれか一項に記載のコンジュゲートの使用。
ヒトまたは動物の身体における、急性心筋梗塞(AMI)、脳梗塞、臓器移植、心臓インターベンション(体外循環および一時的血管閉塞)もしくは急性循環動揺(ショック状態)を治療するための薬剤の製造における、請求項1または2のいずれか一項に記載のペプチド、または請求項3から6のいずれか一項に記載のコンジュゲートの使用。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、SPOT合成によるDAXXエピトープの決定を示す図である。(A)DAXXのアミノ酸配列を、重複ペプチドアレイ(ペプスキャン;3アミノ酸シフトさせた15merのペプチド)に切断し、酵素結合ブロットで分析した。黒の長方形は、対応するエピトープ配列による4つの最も明るいスポットを示す。インキュベーション条件:FasレセプターのHisタグ化細胞内領域[10μg/ml];抗体:抗His−(マウス)(Sigma H1029; 1:6,000)/抗マウス−HRP(Calbiochem 401207; 1:2,000)、曝露時間:1分間。(B)16merのKKSRKEKKQTGSGPLG(=配列番号5のDAXXp)を含むヒトDAXX配列の、他の種(マウス、ラット、イヌ(CANFA)およびミドリザル(CHLAE))のDAXX配列とのアラインメント。
【
図2】
図2は、SPOT合成によるDAXXエピトープ(=DAXXp)の最適長の決定を示す図である。(A)DAXXp−211ペプチドおよびDAXXp−209ペプチド(それぞれ、配列番号2および配列番号3のもの)を、N末端、C末端、およびN末端とC末端の両方で1アミノ酸残基分ずつ連続的に短くし、酵素結合ブロットを使用して分析した。矢印で示したスポットは、最も高いシグナル強度(BLU)を示した。インキュベーション条件:FasレセプターのHisタグ化細胞内領域[10μg/ml];抗体:抗His−(マウス)(Sigma H1029; 1:6,000)/抗マウス−HRP(Calbiochem 401207; 1:2,000)、曝露時間:1分間。(B)最適なDAXXペプチド配列を決定するための、最も明るいスポットに対応するDAXXp−211およびDAXXp−209両ペプチド配列のアラインメント。
【
図3】
図3は、Tat−DAXXpおよびPip2b−DAXXpのプロテアーゼ能の評価を示す図である。(A)ウシ胎児血清(FBS、BioWest)および(B)新たに調製したマウス血清(MS)におけるTat−DAXXpコンジュゲートおよびPip2b−DAXXpコンジュゲートの安定性測定。ペプチドを、20%血清と共に、37℃で0時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間および48時間にわたってインキュベートし、50μlのインキュベーション混合物を、H
2O/CH
3CN(50/50)中の10%ジクロロ酢酸(DCA)100μl中で沈殿させた。サンプルを混合し、−20℃に維持した。沈殿した血清タンパク質を遠心分離(14,000rpm、10分間)によって分離し、上清を逆相HPLCによって分析した(mV
*secでピーク面積を測定)。各条件についてn≧2。マウス血清中での2時間のインキュベーション後、70%を上回るペプチドがまだインタクトであるが、24時間後には全てのペプチドが分解している。
【
図4】
図4は、細胞分布がインキュベーション時間に依存することを示す図である。初代心筋細胞を、CF標識化Tat−DAXXpコンジュゲート(緑色蛍光)の1μM溶液と共に、1時間、4時間または6時間インキュベートした。細胞核を、Hoechst色素(青)で染色した。白いバーは10μmを示す。1時間のインキュベーション後のCF−Tat−DAXXpの細胞内分布により、サイトゾル中の断続的なパターン(これは、エンドサイトーシスによる内在化後の、ペプチドのエンドソーム捕捉の特徴である)が明らかになり、核局在化は検出されなかった。4時間のインキュベーション後、CF−Tat−DAXXpは、エンドソーム小胞から脱出することができるようであり、より拡散性の標識パターンを生じる。さらに、核内蓄積が観察された。より長いインキュベーション時間(6時間)の後、CF標識化ペプチドは、大きい小胞(白の矢印)中に封入され、細胞から排出された。
【
図5AB】
図5ABは、CPPおよびCPPコンジュゲートの抗アポトーシス活性のin vitro評価を示す図である。(A)C2C12細胞、(B)初代心筋細胞におけるDNA断片化のワークフローおよび定量化。データは100%STSに対して正規化した。示されるデータはn≧5での平均±SEMである。細胞を24ウェルプレートに播種し、一晩増殖させた。次の日、細胞を、STS単独またはSTS+1μMペプチド(OptiMEM中)と共にインキュベートした(各細胞についてのSTS濃度およびインキュベーション時間は図中に示す)。その後溶液を除去し、完全培地で置き換え、40時間さらにインキュベートした。再生期の後、細胞を溶解させ、DNA断片化を製造業者の指示(Cell Death検出ELISA
PLUSキット−Roche Diagnostics)に従って検出した。
【
図5CD】
図5CDは、CPPおよびCPPコンジュゲートの抗アポトーシス活性のin vitro評価を示す図である。(C)H9c2細胞および(D)NG108−15細胞におけるDNA断片化のワークフローおよび定量化。データは100%STSに対して正規化した。示されるデータはn≧5での平均±SEMである。細胞を24ウェルプレートに播種し、一晩増殖させた。次の日、細胞を、STS単独またはSTS+1μMペプチド(OptiMEM中)と共にインキュベートした(各細胞についてのSTS濃度およびインキュベーション時間は図中に示す)。その後溶液を除去し、完全培地で置き換え、40時間さらにインキュベートした。再生期の後、細胞を溶解させ、DNA断片化を製造業者の指示(Cell Death検出ELISA
PLUSキット−Roche Diagnostics)に従って検出した。
【
図6】
図6は、初代心筋細胞に対するTat−DAXXp配列のバリアントの抗アポトーシス活性を示す図である。
図5の説明文に記載のとおり、STSに対する抗アポトーシス作用について、DAXXp配列の種々のアナログ(表2を参照のこと)を評価した(Cell Death検出ELISA
PLUSキット−Roche Diagnostics)。どのアナログも初代心筋細胞を保護することができず、この事実により、16merのDAXXpが、最も高い心保護効果のための最適な長さと配列とを有することが確認される。
【
図7】
図7は、C2C12細胞、初代心筋細胞およびH9c2に対する抗アポトーシス活性に関する、マウス/ラットDAXXp配列とヒトDAXXp配列との比較を示す図である。STSに対する抗アポトーシス作用について、ラットDAXXp配列と同一(
図1Bを参照のこと)であるTatにコンジュゲートしたマウスDAXXp配列(Tat−mDAXXp−配列番号61)をヒト構築物(Tat−DAXXp)と比較した(Cell Death検出ELISA
PLUSキット−Roche Diagnostics)。使用したC2C12細胞および初代心筋細胞はマウス由来であり、H9c2細胞はラット由来であった。全ての細胞において、マウスまたはラットの細胞型であることから、マウスTat−mDAXXp配列の使用による抗アポトーシス効果の増加が観察された。
【
図8】
図8は、FADDp15および心筋細胞におけるその抗アポトーシス効果の決定を示す図である。(A)FADDのタンパク質配列を、重複ペプチドアレイ(ペプスキャン;3アミノ酸シフトさせた15merのペプチド)に切断し、酵素結合ブロットを使用して分析した。黒の長方形は、3つの最も明るいスポットを示し、対応するエピトープ配列、スポット番号およびシグナル強度(BLU)が下に示される。(B)FADDp−11のペプチド配列(=FADDp15=配列番号9)を、C末端、N末端、またはN末端とC末端の両方で1アミノ酸残基分ずつ連続的に短くし、酵素結合ブロットを使用して分析した。矢印で示したスポットは、最も高いシグナル強度(BLU)を示した。最も短いFADDエピトープ(配列KRKLERVQSを有する9mer(=FADDp=配列番号12))は、スポット番号24に対応した。インキュベーション条件:FasレセプターのHisタグ化細胞内領域[10μg/ml];抗体:抗His−(マウス)(Sigma H1029;1:6,000)/抗マウス−HRP(Calbiochem 401207; 1:2,000)、曝露時間:1分間。
【
図9】
図9は、初代心筋細胞およびH9c2細胞における抗アポトーシス活性に関する、FADDp構築物とTat−DAXXpとの比較を示す図である。(A)初代心筋細胞および(B)H9c2細胞におけるDNA断片化の定量化。データは100%STSに対して正規化した。示されるデータはn≧5の平均±SEMである。細胞を24ウェルプレートに播種し、一晩増殖させた。次の日、細胞を、STS単独またはSTS+1μMペプチド(OptiMEM中)と共にインキュベートした(STS濃度を図中に、インキュベーション時間を
図5中に示す)。その後溶液を除去し、完全培地で置き換え、40時間さらにインキュベートした。再生期の後、細胞を溶解させ、DNA断片化を製造業者の指示に従って検出した(Cell Death検出ELISA
PLUSキット−Roche Diagnostics)。短いTat−FADDp配列は、Tat−DAXXpよりも効果が低いことが見出されたが、より長いTat−FADDp15は、同等(H9c2において)または増大した(初代心筋細胞において)抗アポトーシス効果を有した。
【
図10】
図10は、初代心筋細胞およびH9c2細胞における、Tat−DAXXpおよびTat−FADDp15単独ならびにそれらの組合せの比較を示す図である。0.5μM Tat−DAXXpと0.5μM Tat−FADDp15の両方とのインキュベーションは、ペプチド単独1μMと比較した場合、同じかまたはより高い抗アポトーシス効果をもたらすことが見出された。さらに、1μMの両ペプチドとのインキュベーションは、両方の細胞種において最も高い保護をもたらし、これにより、Tat−DAXXpとTat−FADDp15との組合せが有望な適用である可能性を示唆している。
【
図11】
図11は、in vivo実験プロトコールを示す図である。C57Bl6マウスが、心筋虚血−再灌流(IR)手術プロトコールを受けた。黒い四角は、マウスが供された虚血の期間を示す。梗塞サイズまたは細胞死の測定を、各プロトコールについて手術の最後に実施した(↑で示す)。IR
60’:40分間の虚血、60分間の再灌流。IR
24h:40分間の虚血および24時間の再灌流。
【
図12】
図12は、IR
60’に供したマウスにおけるTat−DAXXp(1mg/kg−IV)の心保護効果を示す図である。梗塞サイズ(虚血領域(area at risk)の%で)およびELISAによって決定したヌクレオソーム間DNA断片化を、IR
60’に供し、Tat、Tat−DAXXpまたはTat−scrDAXXp(1mg/kg)ならびにDAXXp(10mg/kg)で処理した(再灌流5分前に静脈内注射(IV))マウスにおいて定量化した。平均±SEMを、(A):虚血領域/LV重量(左心室)、(B):梗塞サイズ(虚血領域の%)および(C):LV組織の虚血部分対非虚血部分における可溶性ヌクレオソームの比に対応する(I/NI比)、についてプロットした。統計分析は、複数比較のためのNeuman−Keulsポスト試験と共にOne−way ANOVAを使用して実施した(GraphPad Prismソフトウェア)。対Tat−DAXXpでのP<0.05、P<0.01およびP<0.001を、それぞれ*、**および***で示した。P>0.05に対してはP=ns(有意差なし)。
【
図13】
図13は、IR
60’に供したマウスにおけるTat−DAXXpおよびDAXXpに対する用量反応を示す図である。梗塞サイズ(虚血領域の%)およびELISAによって決定したヌクレオソーム間DNA断片化を、IR
60’に供し、再灌流5分前に静脈内注射したTat(1mg/kg)、Tat−DAXXp(0.1、1および10mg/kg)またはDAXXp(0.1、1および10mg/kg)で処理したマウスにおいて定量化した。平均±SEMを、(A):虚血領域/LV重量(左心室)、(B):梗塞サイズ(虚血領域の%)および(C):LV組織の虚血部分 対 非虚血部分における可溶性ヌクレオソームの比に対応する(I/NI比)についてプロットした。
【
図14】
図14は、IR
24hに供したマウスにおけるTat−DAXXp(1mg/kg−IV)の心保護効果を示す図である。梗塞サイズ(虚血領域の%)およびELISAによって決定したヌクレオソーム間DNA断片化を、IR
24hに供し、Tat、Tat−DAXXpまたはTat−scrDAXXp(1mg/kg)ならびにDAXXp(10mg/kg)で処理した(再灌流5分前にIV注射)マウスにおいて定量化した。平均±SEMを、(A):虚血領域/LV重量(左心室)、(B):梗塞サイズ(虚血領域の%)および(C):LV組織の虚血部分 対 非虚血部分における可溶性ヌクレオソームの比に対応する(I/NI比)、についてプロットした。統計分析は、複数比較のためのNeuman−Keulsポスト試験と共にOne−way ANOVAを使用して実施した(GraphPad Prismソフトウェア)。対Tat−DAXXpでのP<0.05、P<0.01およびP<0.001を、それぞれ*、**および***で示した。P>0.05に対してはP=ns(有意差なし)。
【
図15】
図15は、IR
24hに供したマウスにおけるTat−DAXXpおよびDAXXpに対する用量反応を示す図である。虚血領域および梗塞サイズ(虚血領域の%)を、IR
24Hに供し、再灌流5分前に静脈内注射したTat(1mg/kg)、Tat−DAXXp(0.1、1および10mg/kg)またはDAXXp(0.1、1および10mg/kg)で処理したマウスにおいて測定した。平均±SEMを、(A):虚血領域/LV重量(左心室)、(B):梗塞サイズ(虚血領域の%)についてプロットした。
【
図16】
図16は、心筋におけるTat−DAXXp構築物を可視化した図である。マウスに、1mg/kgのCF−Tat−DAXXp構築物(CF:カルボキシフルオレセイン)を、再灌流時に注射した。2時間のパラホルムアルデヒド固定(リン酸緩衝液中4%PFA)後にビブラトームを用いてLV切片(20μm)を得た。2μmの共焦点画像は、サイトゾル中のペプチド構築物の存在を示す筋細胞中の緑色標識を明らかに示した。丸印は、数例で観察されたようなDAPI陽性核中のペプチド構築物の存在を強調して示す(油浸 ×40)。
【
図17】
図17は、腎臓移植の間の冷虚血/再灌流障害に関する予備データを示す図である。脳死および長期の冷虚血は、死亡ドナー腎臓移植片由来の移植片の長期成績不良の主な寄与因子であり、拡大基準ドナー(「マージナル臓器(marginal organ)」)が使用される場合はさらに影響が大きい。虚血−再灌流(IR)障害関連の移植組織内感染を標的にすることは、それらの移植組織の成績を改善するための魅力的な概念である。(A)ラットにおける腎臓移植の間の冷虚血/再灌流のワークフロー。24時間の冷虚血後、腎臓移植片を、標準的な顕微手術技術を使用して、雄性LEWレシピエント中に同所性移植した。ペプチドを、1mg/kgの単回のi.v注射で、再灌流の直後に注射した。移植の3日後、移植片を、RT−PCR分析のために回収した(n=3)。(B)総RNAを逆転写してcDNAにし、GeneAmp 5700 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Weiterstadt、Germany)を利用した定量的リアルタイムRT−PCRに供した。ICAM−1、IFN−γ、TNF−α、インターロイキン(IL)−6およびbcl−2(Metabion、Martinsried、Germanyで合成された)に関するTaqman−PCR反応は、25μlの最終容量で実施した。これらの予備データは、Tat−DAXXpの存在下では、移植3日後の腎臓移植片において、IFN−γおよびICAM−1のmRNA発現の減少が生じたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義
本明細書を通じて、以下の段落で定義するいくつかの用語を使用する。
【0029】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、本明細書中で互換的に使用され、その中性(非荷電)形態であるいは塩として、また、未修飾あるいはグリコシル化、側鎖酸化もしくはリン酸化によって修飾されている、多様な長さのアミノ酸配列をいう。特定の実施形態において、アミノ酸配列は全長のネイティブタンパク質である。しかし、好ましい実施形態において、アミノ酸配列は全長タンパク質の断片である。さらに他の実施形態において、アミノ酸配列は、アミノ酸側鎖に結合した他の置換基、例えば、グリコシル単位、脂質またはリン酸などの無機イオン、ならびに鎖の化学的変換に関連する修飾、例えば、スルフヒドリル基の酸化によって修飾されている。したがって、用語「タンパク質」(またはその等価な用語)は、その特定の特性を顕著に変化させない修飾に供された、全長ネイティブタンパク質またはその断片のアミノ酸配列を含む意図である。特に、用語「タンパク質」は、同じ遺伝子によりコードされるが、そのpIもしくはMWまたはその両方が異なるタンパク質アイソフォーム、即ち、バリアントを包含する。かかるアイソフォームは、そのアミノ酸配列が異なり得る(例えば、選択的スプライシングまたは限定的タンパク質分解の結果として)か、あるいは異なる翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アシル化、リン酸化)から生じ得る。
【0030】
用語「アナログ」は、タンパク質またはポリペプチドに関して本明細書中で使用する場合、そのタンパク質またはポリペプチドと類似または同一の機能を保有するが、そのタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と類似または同一のアミノ酸配列もそのタンパク質またはポリペプチドの構造と類似または同一の構造も必ずしも含む必要のない、ペプチドをいう。好ましくは、本発明において、アナログは、そのタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも約35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%同一であるアミノ酸配列を有する。特定の好ましい実施形態において、タンパク質のアナログは、そのタンパク質のアミノ酸配列に対して少なくとも80%同一または少なくとも85%同一、好ましくは少なくとも90%同一、最も好ましくは少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0031】
用語「断片」は、タンパク質またはポリペプチドに関して本明細書中で使用する場合、そのタンパク質またはポリペプチドの少なくとも5個の連続するアミノ酸残基かつ30個未満の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列、例えば、そのタンパク質またはポリペプチドの7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の連続するアミノ酸残基、好ましくは、そのタンパク質またはポリペプチドの9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続するアミノ酸残基、より好ましくは、そのタンパク質またはポリペプチドの9、10、11、12、13、14、15、16または17個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む、ペプチドをいう。本発明のにおいて、タンパク質またはポリペプチドの断片は、全長タンパク質またはポリペプチドの機能的活性を保持している。
【0032】
用語「相同」(または「相同性」)は、本明細書中で使用する場合、用語「同一性」と同義であり、2つのポリペプチド分子間の配列類似性をいう。比較される両配列中のある位置が同じアミノ酸残基によって占められる場合、それぞれの分子はその位置で相同である。本明細書中で使用する場合、配列同一性の百分率は、アミノ酸配列間の比較のことであり、比較窓(comparison window)にわたり最適にアラインされた2つの配列を比較することによって決定され、このとき、アミノ酸配列の比較窓中の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのための参照配列(これは付加も欠失も含んでいない)と比較して、付加または欠失(即ちギャップ)を含み得る。百分率は、両配列において同一のアミノ酸残基が存在する位置の個数を測定して一致した位置の個数を得、一致した位置の個数を比較窓中の位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性の百分率を得ることによって、算出することができる。あるいは、百分率は、両配列において同一のアミノ酸残基が存在する位置の個数かまたはアミノ酸残基がギャップを伴ってアラインされる位置の個数のいずれかを測定して一致した位置の個数を得、一致した位置の個数を比較窓中の位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて配列同一性の百分率を得ることによって、算出することができる。当業者には、2つの配列をアラインさせるために多数の確立されたアルゴリズムが利用できることが理解される。例えば、SmithおよびWaterman、1981、Adv.Appl.Math.2:482の局所的相同性アルゴリズムを使用して、NeedlemanおよびWunsch、1970、J.MoI.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman、1988、Proc.Natl.Acad.ScL USA 85:2444の類似性検索法を使用して、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施を使用して(GCG Wisconsin Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、または目視検査を使用して、比較のために最適な配列のアラインメントを実施することができる(Current Protocols in Molecular Biology、F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols、Greene Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley&Sons,Inc.との間での共同事業、(1995補遺)(Ausubel)を一般に参照のこと)。パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの例は、それぞれAltschulら、1990、J.MoI.Biol.215:403〜410およびAltschulら、1977、Nucleic Acids Res.3389〜3402中に記載された、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。
【0033】
相同アミノ酸配列は、同一または類似のアミノ酸配列を共有する。本発明において、類似残基は、参照配列中の対応するアミノ酸残基の保存的置換または「許容された(allowed)点変異」である。参照配列中の残基の「保存的置換」は、例えば、類似のサイズ、形状、電荷、共有結合または水素結合を形成する能力などの化学的特性を有する、対応する参照残基と物理的または機能的に類似した置換である。特に好ましい保存的置換は、Dayhoffらにより規定された「許容された(accepted)点変異」についての基準を満たす置換である(「Atlas of Protein Sequence and Structure」、1978、Nat.Biomed.Res.Foundation、Washington、DC、補遺3、22:354〜352)。
【0034】
本発明において、用語「治療」は、疾患または状態の発生を遅延または予防すること、状態の症状の進行、増悪または悪化を減速または停止させること、状態の症状の寛解をもたらすこと、および/あるいは状態を治癒させることを目的とした方法を特徴付けるために使用される。治療は、疾患または状態の発生前に、予防(prophylactic)または防止(preventing)作用のために施されてよい。あるいはまたはさらに、治療は、疾患または状態の開始後に、治療効果のために施されてよい。
【0035】
本明細書中で使用する場合、用語「対象」は、アポトーシスに関連する疾患または状態に罹患し得るが、その疾患または状態を有していてもいなくてもよい、ヒトまたは動物、特に哺乳動物(例えば、霊長類、イヌ、ネコ、ヤギ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、ウサギなど)をいう。本発明の多数の実施形態において、対象はヒトである。かかる実施形態において、対象は「個体」ということも多い。用語「個体」は、特定の年齢を示すものではなく、したがって、この用語は、小児、青年および成人を包含する。
【0036】
「医薬組成物」は、本明細書において、有効量の本発明のペプチドと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または添加剤とを含むものとして定義される。
【0037】
本明細書中で使用する場合、用語「有効量」は、その意図した目的(単数または複数)、例えば、細胞、組織、系または対象における所望の生物学的応答または医学的応答をもたらすのに充分な、任意の量のペプチド、化合物、薬剤または組成物をいう。例えば、本発明の特定の実施形態において、目的(単数または複数)は、アポトーシス、例えば、再灌流障害または臓器移植に関連するアポトーシスを阻害、防止もしくは減少させること、および/またはアポトーシスに関連する疾患または状態を予防または治療することであってよい。
【0038】
用語「薬学的に許容される担体または添加剤」は、活性成分(単数または複数)の生物学的活性の有効性を妨害せず、投与される濃度で宿主に対して顕著に毒性でない、担体媒体をいう。この用語には、溶媒、分散、媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸着遅延剤などが含まれる。医薬上活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である(例えば、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin、第18版、1990、Mack Publishing Co.:Easton、PAを参照のこと)。
【0039】
特定の好ましい実施形態の詳細な説明
上述のように、本発明は、非常に多様なアポトーシスに関連した疾患または状態の治療および/または予防における治療剤として有用な、抗アポトーシス特性を有するペプチドに関する。
【0040】
細胞のアポトーシスを阻害するペプチド
本発明のペプチドには、抗アポトーシス活性を示すDAXX断片およびFADD断片が含まれる。
【0041】
用語「DAXX」および「DAXXタンパク質」は、本明細書中で互換的に使用される。これらは、細胞死関連タンパク質6(death−associated protein 6)と呼ばれるタンパク質をいい、これはヒトでは、第6染色体の短腕(p)上の位置21.3に位置するDAXX遺伝子(RefSeq(mRNA):NM_001141969.1)によってコードされる。好ましい実施形態において、DAXXは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。しかし、DAXXタンパク質は、配列番号1のDAXXタンパク質のアイソフォームであってよく、したがって、ヒトDAXX遺伝子によってコードされる任意のアミノ酸配列を有していてよい。
【0042】
用語「FADD」および「FADDタンパク質」は、本明細書中で互換的に使用される。これらは、デスドメインを有するFas関連タンパク質と呼ばれるタンパク質をいい、これはヒトでは、第11染色体の長腕(q)上の位置13.3に位置するFADD遺伝子(RefSeq(mRNA):NM_003824.3)によってコードされる。好ましい実施形態において、FADDは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する。しかし、FADDタンパク質は、配列番号8のFADDタンパク質のアイソフォームであってよく、したがって、ヒトFADD遺伝子によってコードされる任意のアミノ酸配列を有していてよい。
【0043】
本発明者らは、配列番号5(「DAXXp」)、配列番号6(「DAXXp−14」)または配列番号2(「DAXXp−15」=「DAXXp−211」)に示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、全てDAXXタンパク質(配列番号1)の断片であり、Fasレセプターと相互作用するが、DAXXpだけが細胞のアポトーシスを減少させることが可能であることを示した。同様に、本発明者らは、共にFADDタンパク質(配列番号8)の断片である配列番号9(「FADDp15」)および配列番号12(「FADDp」)に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが、Fasレセプターと相互作用し、細胞のアポトーシスを減少させることを見出した。
【0044】
したがって、特定の実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号5からなる16個の連続するアミノ酸残基のDAXX断片である。別の特定の実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、17、18、19、20、21、22、23または24個の連続するアミノ酸残基のDAXX断片である。好ましくは、かかる抗アポトーシスペプチドは、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する:
配列番号17 (KKSRKEKKQTGSGPLGN)、
配列番号18 (KKSRKEKKQTGSGPLGNS)、
配列番号19 (KKSRKEKKQTGSGPLGNSY)、
配列番号20 (KKSRKEKKQTGSGPLGNSYV)、
配列番号21 (CKKSRKEKKQTGSGPLG)、
配列番号22 (PCKKSRKEKKQTGSGPLG)、
配列番号23 (PPCKKSRKEKKQTGSGPLG)、
配列番号24 (GPPCKKSRKEKKQTGSGPLG)、
配列番号25 (SGPPCKKSRKEKKQTGSGPLG)、
配列番号26 (CKKSRKEKKQTGSGPLGN)、
配列番号27 (CKKSRKEKKQTGSGPLGNS)、
配列番号28 (CKKSRKEKKQTGSGPLGNSY)、
配列番号29 (CKKSRKEKKQTGSGPLGNSYV)、
配列番号30 (PCKKSRKEKKQTGSGPLGN)、
配列番号31 (PCKKSRKEKKQTGSGPLGNS)、
配列番号32 (PCKKSRKEKKQTGSGPLGNSY)、
配列番号33 (PCKKSRKEKKQTGSGPLGNSYV)、
配列番号34 (PPCKKSRKEKKQTGSGPLGN)、
配列番号35 (PPCKKSRKEKKQTGSGPLGNS)、
配列番号36 (PPCKKSRKEKKQTGSGPLGNSY)、
配列番号37 (PPCKKSRKEKKQTGSGPLGNSYV)、
配列番号38 (GPPCKKSRKEKKQTGSGPLGN)、
配列番号39 (GPPCKKSRKEKKQTGSGPLGNS)、
配列番号40 (GPPCKKSRKEKKQTGSGPLGNSY)、
配列番号41 (GPPCKKSRKEKKQTGSGPLGNSYV)、
配列番号42 (SGPPCKKSRKEKKQTGSGPLGN)、
配列番号43 (SGPPCKKSRKEKKQTGSGPLGNS)、および
配列番号44 (SGPPCKKSRKEKKQTGSGPLGNSY)。
【0045】
特定の実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号12からなる9個の連続するアミノ酸残基のFADD断片である。別の特定の実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号9からなる15個の連続するアミノ酸残基のFADD断片である。さらに他の特定の実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号12を含む、9、10、11、12、13、14、15、16または17個の連続するアミノ酸残基のFADD断片である。好ましくは、かかる抗アポトーシスペプチドは、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する:
配列番号45 (KRKLERVQSG)、
配列番号46 (KRKLERVQSGL)、
配列番号47 (KRKLERVQSGLD)、
配列番号48 (KRKLERVQSGLDL)、
配列番号49 (RKRKLERVQS)、
配列番号50 KRKRKLERVQS)、
配列番号51 (GKRKLERVQSG)、
配列番号52 (GKRKLERVQSGL)、
配列番号53 (GKRKLERVQSGLD)、
配列番号54 (GKRKLERVQSGLDL)、
配列番号55 (VGKRKLERVQSG)、
配列番号56 (VGKRKLERVQSGL)、および
配列番号57 (VGKRKLERVQSGLD)。
【0046】
上述のように、特定の実施形態において、DAXXタンパク質は、配列番号1のDAXXタンパク質のアイソフォームである。かかる実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号1のDAXXタンパク質中の配列番号5の断片に対応する、16個の連続するアミノ酸残基のDAXX断片であってよい。
【0047】
同様に、上述のように、特定の実施形態において、FADDタンパク質は、配列番号8のFADDタンパク質のアイソフォームである。かかる実施形態において、本発明に係る抗アポトーシスペプチドは、配列番号8のFADDタンパク質中の配列番号12の断片に対応する、9個の連続するアミノ酸残基のFADD断片であってよく、または配列番号8のFADDタンパク質中の配列番号9の断片に対応する、15個の連続するアミノ酸残基のFADD断片であってよい。
【0048】
DAXXアイソフォームおよびFADDアイソフォームは、好ましくは、それぞれ配列番号1および配列番号8と、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99%より高い同一性を有するアミノ酸配列を有し、より好ましくは、それぞれ配列番号1および配列番号8と、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または99%より高い同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0049】
本発明に係るペプチド、ならびにその誘導体およびコンジュゲート(以下を参照のこと)は、細胞のアポトーシス、特に心筋細胞のアポトーシスを阻害、防止および/または減少させることが可能である。この能力は、例えば細胞アポトーシス検出キットを使用して、当業者に公知の任意の適切な方法を使用して評価することができる。細胞のアポトーシスを測定するのに適したキットの例は、Cell Death Detection ELISA
PLUS(登録商標)キット(カタログ番号11 774 425 001、Roche Applied Science)である。
【0050】
本発明に係るペプチドの誘導体
本発明は、本発明に係るペプチドの生物学的に活性な誘導体にも関する。「生物学的に活性な誘導体」とは、細胞のアポトーシスを阻害、防止または減少させるペプチドの能力を保持した本発明のペプチドの任意の誘導体を意味する。
【0051】
特定の実施形態において、生物学的に活性な誘導体は、化学的および/または生物学的に修飾された、本発明の抗アポトーシスペプチドのアミノ酸配列を有する。
【0052】
誘導体の例は、本発明に係るペプチドであり、ここで:
−ペプチドの少なくとも1個のアミノ酸残基が、置換または欠失されている、
−少なくとも1個の別のアミノ酸残基が、ペプチド中に挿入されている、および/または
−ペプチドの少なくとも1個のアミノ酸残基が、化学的に変性(chemically altered)または誘導体化されている。
【0053】
好ましくは、本発明に係る生物学的に活性な誘導体は、置換、挿入、欠失、変性または誘導体化からなる群より選択される1個だけまたは2個だけのアミノ酸残基修飾を含む。特定の好ましい実施形態において、生物学的に活性な誘導体は、1個の保存的置換または2個の保存的置換を含む。特定の好ましい実施形態において、本発明に係るDAXX断片の誘導体は、配列番号5の外側の(即ち、配列番号5内に含まれていない)アミノ酸残基に影響を与える1個または2個の修飾を示し、本発明に係るFADD断片の誘導体は、配列番号12の外側の(即ち、配列番号12内に含まれていない)アミノ酸残基に影響を与える1個または2個の修飾を示す。
【0054】
適切な「化学的に変性または誘導体化された」アミノ酸には、例えば、プロリンに対する4−ヒドロキシプロリン、リジンに対する5−ヒドロキシリジン、セリンに対するホモセリン、リジンに対するオルニチンなどの、天然に存在するアミノ酸誘導体などが含まれる。他の「化学的に変性または誘導体化された」アミノ酸には、例えば、標識、例えば、フルオレセイン、テトラメチルローダミンまたはシアニン色素Cy5.5に結合したアミノ酸、または、例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化、硫酸化(sulfatation)、グリコシル化または脂質化などのひとつもしくは複数の翻訳後修飾を有するアミノ酸残基が含まれる。実際、特定の化学的修飾、特にN末端グリコシル化は、ヒト血清中でのペプチド安定性を向上させることが示されている(Powellら、Pharma Res 1993:10:1268〜1273)。「化学的に変性または誘導体化された」アミノ酸には、N−ミリストイル化によって得られた、膜透過性が向上したアミノ酸も含まれる(Brandら、Am J Physiol Cell Physiol 1996;270:C1362〜C1369)。
【0055】
本発明に係るペプチドの他の誘導体は、前記ペプチドのペプチド模倣物である。ペプチド模倣物は、本発明に係るペプチドと実質的に同じ構造的特徴および/または機能的特徴を有する、合成化合物をいう。模倣物は、合成の非天然アミノ酸アナログから全体的に構成されてもよく、または1個もしくは複数の天然アミノ酸および1個もしくは複数の非天然アミノ酸アナログを含むキメラ分子であってもよい。模倣物はまた、模倣物の活性を破壊しない任意の数の天然アミノ酸の保存的置換を含んでいてよい。本発明に係る試験Aを使用して、模倣物が必要な活性を有するか否かを決定するために、慣用の試験が使用できる。句「実質的に同じ」は、模倣物またはペプチド模倣物に関して使用する場合、模倣物またはペプチド模倣物が、言及された分子の1つまたは複数の活性または機能、特に細胞のアポトーシスの阻害活性または機能を有することを意味する。ペプチド模倣物を開発するための技術は従来のものである。例えば、ペプチド結合は、元のペプチドに対して、ペプチド模倣物に同様の構造、したがって同様の生物学的活性をとらせる非ペプチド結合または非天然アミノ酸によって置き換えられ得る。さらなる修飾がまた、アミノ酸の化学基を類似の構造の他の化学基で置き換えることによって実施され得る。ペプチド模倣物の開発は、遊離であるかまたはFasレセプターの細胞内領域に結合したかの、元の断片/ペプチドの三次構造を、NMR分光法、結晶学および/またはコンピュータを利用した分子モデリングによって決定することによって、支援され得る。可能性のあるペプチド模倣化合物が一旦同定されると、その合成、および細胞のアポトーシスを阻害する能力の分析が行われ得る。
【0056】
ペプチド模倣物は、非天然の構造成分の任意の組合せを含むことができ、それは、典型的には3つの構造群に由来し、すなわち:天然のアミン結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結基;天然アミノ酸残基の代わりの非天然残基;二次構造の模倣を誘導する残基(例えば、βターン、γターン、βシート、αヘリックスのコンフォメーション);またはタンパク質分解に対する抵抗性を付与するその他の変化である。例えば、リジン模倣物は、コハク酸無水物または他のカルボン酸無水物との反応によって生成され得る。リジンおよび他のα−アミノ含有残基模倣物は、イミドエステル、例えば、メチルピコリンイミデート、リン酸ピリドキサール、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソウレア、2,4−ペンタンジオンとの反応、およびグリオキシレートとのトランスアミダーゼ触媒反応によっても、生成され得る。
【0057】
1個または複数の残基は、逆のキラリティーのアミノ酸(またはペプチド模倣物残基)によっても置き換えられ得る。したがって、L体(これは、化学成分の構造によって、RまたはSとも呼ばれ得る)の任意の天然に存在するアミノ酸は、D−アミノ酸とも呼ばれるが、さらにはR型またはS型とも呼ばれ得る逆のキラリティーののアミノ酸または模倣物で置き換えられ得る。
【0058】
当業者に理解されるように、本発明のペプチド模倣物は、「化学的に変性または誘導体化された」アミノ酸について本明細書に記載される1つまたは複数の修飾、例えば、標識、または1つもしくは複数の翻訳後修飾もまた含み得る。
【0059】
ペプチド、誘導体およびペプチド模倣物は、当該分野で公知の任意の方法を使用して産生および単離され得る。ペプチドは、通常の化学的方法を使用して、全体または一部分が合成され得る。ペプチドおよびペプチド模倣物のライブラリーを生成するための技術は周知であり、例えば、マルチピン(multipin)、ティーバッグ(tea bag)、スプリット−カップル−ミックス(split−couple−mix)技術およびSPOT合成が挙げられる。
【0060】
コンジュゲート
本発明は、細胞透過性ペプチド即ちCPPに連結された、本発明のペプチドまたはその誘導体を含むコンジュゲートにも関する。
【0061】
実際、本発明に係るペプチドまたはその誘導体の、細胞の原形質膜などの細胞膜を介した取り込みを促進するために、本発明者らは、これらのペプチドまたはその誘導体を「細胞透過性ペプチド」(CPP)とコンジュゲートすることが非常に有用であることを示した。CPPは、膜を横切った輸送を促進するためにカーゴ(cargo)にコンジュゲートされ得る周知のペプチドである。CPPは、例えば、Lebleu B.ら、Advanced Drug Delivery Reviews 60(2008)517〜529およびSaid Hassane F.ら、Cell.Mol.Life Sci.(2010)67:715〜726によって詳細に記載されている。任意のCPPが、本発明に係る断片またはその誘導体の細胞質送達を改善するために使用され得る。
【0062】
本発明に係るDAXX断片もしくはFADD断片またはそれらの誘導体とコンジュゲートされ得るCPPの例には、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:
名称 配列
Tat GRKKRRQRRRPPQ
RXR RXRRXRRXRRXR
Bpep RXRRBRRXRRBRXB
Pip2b RXRRXRRXRIHILFQNrRMKWHK
配列中、
−X=アミノヘキシル、β−アラニル、p−アミノベンゾイル、イソニペコチル(isonipecotyl)または4−アミノブチリル
−B=βアラニン
−小文字=D−アミノ酸(D−アミノ酸は、L−アミノ酸によって置き換えられていてもよい)。
【0063】
CPPは典型的に、カチオン性アミノ酸の一部を隔てる疎水性アミノ酸またはスペーサー基と共に、2個以上のカチオン性アミノ酸を有する。例えば、カチオン性アミノ酸はアルギニン(R)である。さらに典型的には、CPPは一般に、少なくとも3個または4個のアルギニン残基を有する。いくつかの実施形態において、CPPは、5個、6個またはそれ以上のアルギニン残基を含む。
【0064】
CPPは典型的に、本発明に係るペプチドまたはその誘導体のN末端またはC末端に、好ましくはC末端に連結される。化学的連結は、例えばジスルフィド結合、チオエーテルまたはチオール−マレイミド連結などの任意の化学結合を介して実施され得る。
【0065】
特定の実施形態において、本発明に従うペプチドまたは誘導体は、リンカーを介してCPPに連結される。ペプチドまたはその誘導体のCPPへの化学的連結を可能にするものであれば、任意の種類のリンカーが当業者によって使用され得る。ジスルフィド、チオエーテルまたはチオール−マレイミド連結の形成を可能にするC末端システイン残基を有するアミノ酸配列を含む種々のリンカーが可能である。本発明に係るペプチドまたはその誘導体をCPPに連結する他の方法としては、オキシムを形成するためのC末端アルデヒドの使用が挙げられる。さらに他のリンカーは、クリックケミストリーを使用する。
【0066】
適切なリンカーの例には、C、BC、XC、GC、BBCC、BXCC、XBC、X、XX、B、BB、BXおよびXBからなる群より選択されるアミノ酸またはアミノ酸配列が含まれるが、これらに限定されず、
配列中、
−X=アミノヘキシル、β−アラニル、p−アミノベンゾイル、イソニペコチルまたは4−アミノブチリル
−B=βアラニン
である。
【0067】
適用
本発明は、ヒトまたは動物の身体の治療方法で使用するための、本明細書中に記載されるペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲート、ならびに対応する治療方法にも関する。より具体的には、本発明は、細胞のアポトーシスに関連する疾患または状態を治療する方法および/あるいはヒトまたは動物の身体において細胞のアポトーシスを阻害する方法で使用するための、ペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲートに関する。本発明はまた、細胞のアポトーシスに関連する疾患もしくは状態を治療する方法および/またはそれを必要とする対象において細胞のアポトーシスを阻害する方法であって、有効量の本発明に係るペプチド、その誘導体および/またはそのコンジュゲートを前記対象に投与するステップを含む、方法を提供する。特定の実施形態において、対象には、少なくとも1種の本発明に係る抗アポトーシスDAXXペプチドおよび少なくとも1種の本発明に係る抗アポトーシスFADDペプチドが投与される。
【0068】
本明細書中で使用する場合、用語「細胞のアポトーシスに関連する疾患または状態」は、細胞のアポトーシスによって引き起こされる、細胞のアポトーシスを生じる、または細胞のアポトーシスを含む、任意の疾患または臨床状態をいう。特定の実施形態において、疾患または状態は、Fasレセプター媒介性の細胞のアポトーシスに関連する。用語「細胞のアポトーシスに関連する疾患または臨床状態」は、対象において疾患または臨床状態が存在するために実施される、細胞のアポトーシスを引き起こす、生じる、または誘導する任意の医療処置をも包含する。
【0069】
したがって、本発明に係るペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲート、ならびに治療方法は、ヒトまたは動物の身体における急性心筋梗塞(AMI)、脳梗塞または急性循環動揺(ショック状態)を治療するために、特にこれらの疾患に関連した細胞のアポトーシスを阻害または減少させるために使用され得る。本発明に係るペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲート、ならびに治療方法は、臓器移植(例えば、肝臓、心臓、腎臓、膵島および腸移植片)、心臓インターベンション(再灌流治療、体外循環、例えば、心肺バイパス、および一時的な血管閉塞)を受ける対象を治療するために、特に、これらの医療処置によって引き起こされる細胞のアポトーシスを阻害または減少させるためにも、使用され得る。
【0070】
本発明に係るペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲート、ならびに治療方法は、ヒトまたは動物の身体における虚血(例えば、心臓虚血、腎臓虚血、虚血性大腸炎、腸間膜虚血、脳虚血、四肢虚血または皮膚虚血)の治療のために、特に、虚血に関連する細胞のアポトーシスを阻害または減少させるために、使用され得る。
【0071】
本発明に係るペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲート、ならびに治療方法は、再灌流が行われているまたは行われた対象を治療するため、特に、再灌流障害に関連する細胞のアポトーシスを阻害または減少させるために使用され得る。
【0072】
本発明に係る全てのペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲートは、虚血の前および虚血の間に、再灌流の前、再灌流と同時、または再灌流後に投与され得る。
【0073】
Fasレセプターを介したアポトーシスは、ヒトの、ウイルス性肝炎、ウィルソン病、アルコール性肝炎、胆汁うっ滞性肝疾患を含む肝臓疾患、および自己免疫疾患に関与することも示されている(例えば、Ehrenschwenderら、Adv.Exp.Med.Biol.、2009、647:64〜93で概説される)。したがって、本発明に係るペプチド、その誘導体およびそのコンジュゲート、ならびに治療方法は、これらの疾患の治療のためにも使用され得る。
【0074】
本発明に係る治療方法において、ペプチド、その誘導体またはそのコンジュゲートは、他の治療剤、特に、アポトーシス、虚血および/または再灌流障害の治療において使用される薬剤と、組み合わされ得る。特に、アポトーシスの内在性の経路、即ち、ミトコンドリア経路を標的化する薬剤との組合せ治療は、大いに興味深い。したがって、関連の態様において、本発明は、本発明の治療方法において使用するための、他の治療剤、特に、アポトーシス、虚血および/または再灌流障害の治療において使用される薬剤と組み合わせた、ペプチド、その誘導体またはそのコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本発明に係る治療方法は、シクロスポリンAおよび/またはBH4ペプチドを前記ヒトまたは動物の身体に投与するステップもまた含む。実際、シクロスポリンAは、ミトコンドリアPTP開口を阻害し、AMIの患者および動物モデルの両方において梗塞サイズを減少させることが示された(Gomezら、Cardiovasc Res.2009;83(2):226〜33;Piotら、N Engl J Med.2008;359(5):473〜81;Mewtonら、J Am Coll Cardiol.2010 Mar 23;55(12):1200〜5)。抗アポトーシス性Bcl−xlタンパク質由来のBH4は、再灌流の時点でTatタンパク質のコンジュゲートとして投与される場合に、虚血−再灌流の間のアポトーシスを減少させるのに有効であることが報告されている(Onoら、Eur J Cardiothorac Surg.2005、27(1):117〜121;Donniniら、Cell Cycle 2009;8(8):1271〜1278;Boisguerinら、J.Control Release、2011、doi:10.1016/j.jconrel.2011.07.037)。
【0075】
本発明に係る治療方法において、全ての化合物(ペプチド、誘導体、コンジュゲート、組合せ産物)は、多数の適切な経路のいずれかを使用して投与されてよく、静脈内、非経口、動脈内、筋内、経口および経鼻が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のペプチド、その誘導体またはそのコンジュゲートの投与は、投与された量が意図した目的のために有効であるような投薬量である。投与経路、製剤(以下を参照のこと)および投与される投薬量は、所望の治療効果、既に存在する場合には治療される状態の重篤度、任意の感染症の存在、患者の年齢、性別、体重および全身の健康状態、ならびに使用されるペプチド、誘導体またはコンジュゲートの効力、バイオアベイラビリティおよびin vivo半減期、併用療法の利用(または利用せず)、ならびに他の臨床因子に依存する。これらの因子は、治療過程において担当医によって容易に決定可能である。
【0076】
本発明に係る治療は、単回投与または多回投与で構成されてよい。したがって、ペプチド、その誘導体またはコンジュゲートの投与は、所定の期間にわたって一定であるか、または周期的および特定の間隔、例えば、毎時、毎日、毎週(またはその他の日数毎)などであってよい。あるいは、投与は、ある期間にわたる連続送達、例えば、静脈内送達であり得る。
【0077】
医薬組成物
上述のように、本発明のペプチド、その誘導体またはそのコンジュゲートは、それ自体でまたは医薬組成物として投与され得る。したがって、本発明は、有効量の少なくとも1種の本発明の抗アポトーシスペプチド(またはその誘導体もしくはそのコンジュゲート)と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または添加剤とを含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも1種の別の生物学的に活性な薬剤をさらに含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の本発明に係る抗アポトーシスDAXXペプチドおよび少なくとも1種の本発明に係る抗アポトーシスFADDペプチドを含む。
【0078】
本発明に係る医薬組成物は、所望の予防効果および/または治療効果を達成するのに有効な、任意の量で、かつ任意の投与経路を使用して、投与され得る。最適な医薬製剤は、投与経路および所望の投薬量に依存して変動し得る。かかる製剤は、投与される活性成分(単数また複数)の物理的状態、安定性、in vivo放出の速度およびin vivoクリアランスの速度に影響を与え得る。
【0079】
本発明の医薬組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で製剤化され得る。表現「単位剤形」は、本明細書中で使用する場合、少なくとも1種の本発明のペプチド(または少なくとも1種のその誘導体またはそのコンジュゲート)および少なくとも1種の薬学的に許容される担体または添加剤の、物理的に別々の単位をいう。しかし、組成物の合計一日投薬量は、正しい医療的判断の範囲内で、担当医によって決定されることが理解されよう。
【0080】
製剤。注射用調製物、例えば、無菌の注射用の水性または油性の懸濁剤が、適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤とを使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。無菌の注射用調製物はまた、非毒性の非経口で許容される賦形剤または溶媒中の無菌の注射用液剤、懸濁剤または乳剤、例えば、2,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発油が、溶液または懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発油が使用され得る。オレイン酸などの脂肪酸もまた、注射用製剤の調製において使用され得る。無菌の液体担体は、非経口投与のための無菌の液体組成物において有用である。
【0081】
注射用製剤は、例えば、細菌保持性(bacterial−retaining)フィルタによる濾過によって、または使用前に、無菌水もしくは他の無菌の注射用媒体中に溶解もしくは分散され得る無菌の固体組成物の形態で無菌化剤を加えることによって、無菌化され得る。無菌の溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、静脈内、筋内、腹腔内または皮下注射によって投与され得る。注射は、単回押すものであっても段階的な注入によるものであってもよい。必要または所望の場合、組成物は、注射の部位での疼痛を軽減するための局所麻酔を含み得る。
【0082】
活性成分の効果を延長させるために、皮下または筋内注射からの成分の吸収を遅延させることが望ましい場合が多い。非経口投与された活性成分の吸収を遅延させることは、油ビヒクル中に成分を溶解または懸濁させることによって達成され得る。注射用のデポー製剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の活性成分のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって製造される。ポリマーに対する活性成分の比率および使用される特定のポリマーの性質に依存して、成分放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。注射用のデポー製剤は、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に活性成分を封入することによっても調製され得る。
【0083】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および加圧組成物が含まれるが、これらに限定されない。有効成分(単数または複数)に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物などの、当該分野で一般に使用される不活性賦形剤を含み得る。不活性賦形剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、懸濁剤、防腐剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、増粘剤、顔料、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤などの補助剤(adjuvant)を含み得る。経口投与に適した液体担体の例には、水(上記のような添加物、例えば、セルロース誘導体を含む可能性があり、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分画ココナツ油およびラッカセイ油)が含まれる。加圧組成物について、液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴霧剤であり得る。
【0084】
経口投与のための固体剤形には、例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が含まれる。かかる固体剤形において、本発明のペプチド(またはその誘導体もしくはそのコンジュゲート)は、少なくとも1種の不活性な生理学的に許容される添加剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび以下のうち1種または複数と混合され得る:(a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸);(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなど;(c)保湿剤、例えばグリセロール;(d)崩壊剤、例えば、寒天(agar−agar)、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム;(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン;吸収加速剤、例えば、第四級アンモニウム化合物;(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土;および(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにそれらの混合物。固体製剤に適した他の添加剤には、非イオン性およびアニオン性表面改変剤などの表面改変剤が含まれる。表面改変剤の代表例には以下が含まれるがこれらに限定されない:ポロクサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよびトリエタノールアミン。カプセル、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0085】
類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの添加剤ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用した軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬品製剤分野で周知の他のコーティングなどを伴って調製され得る。これらは、任意に乳白剤を含んでよく、活性成分(単数または複数)のみを、また、好ましくは腸管の特定の部分で、任意に遅延した様式で、放出するような組成のものでもあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー性物質およびワックスが挙げられる。
【0086】
特定の実施形態において、本発明の抗アポトーシスペプチド(またはその誘導体もしくはそのコンジュゲート)を、治療が必要な領域、例えば心筋に局所的に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、経皮的冠動脈形成術の間または冠動脈バイパス手術の間の局所注入によって達成され得るが、これに限定されない。
【0087】
外用投与のために、医薬組成物は、好ましくは、水、グリセロール、アルコール、プロピレングリコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステルまたは鉱油などの担体を含み得る、ゲル、軟膏、ローションまたはクリームとして製剤化される。他の外用担体には、液体石油、パルミチン酸イソプロピル、ポリエチレングリコール、エタノール(95%)、ポリオキシエチレンモノラウレート水溶液(5%)、またはラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5%)が含まれる。他の材料、例えば、抗酸化剤、保湿剤、粘度安定剤および類似の薬剤が、必要に応じて添加され得る。
【0088】
さらに、特定の例において、本発明の組成物は、皮膚上、皮膚中または皮膚下に配置される経皮デバイス(transdermal device)内に配置され得ると予想される。かかるデバイスとしては、受動的または能動的放出機構のいずれかによって活性成分を放出する、パッチ、移植片および注射が挙げられる。経皮投与には、身体の表面ならびに上皮および粘膜組織などの身体の管の内層を介した全ての投与が含まれる。かかる投与は、ローション剤、クリーム剤、フォーム剤、パッチ剤、懸濁剤、液剤および坐剤で本発明の組成物を使用して実施され得る。
【0089】
種々の製剤を製造するための材料および方法は、当該分野で公知であり、本発明を実施するために適している。抗体の送達に適した製剤は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.Martin、第18版、1990、Mack Publishing Co.:Easton、PA中に見出すことができる。
【0090】
その他の生物学的に活性な薬剤。特定の実施形態において、本発明のペプチドは、本発明の医薬組成物中の唯一の活性成分である。他の実施形態において、医薬組成物は、1種または複数の生物学的に活性な薬剤をさらに含む。適切な生物学的に活性な薬剤の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:抗アポトーシス剤、抗炎症剤、免疫調節剤、鎮痛剤、抗微生物剤、抗細菌剤、抗生剤、抗酸化剤、消毒剤およびそれらの組合せ。
【0091】
特定の実施形態において、追加の生物学的に活性な薬剤は、シクロスポリンA、BH4およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0092】
かかる医薬組成物において、本発明の抗アポトーシスペプチド(またはその誘導体もしくはそのコンジュゲート)およびその他の治療剤(単数または複数)は、異なる成分の同時投与、分離投与または連続投与のために1つまたは複数の調製物と組み合わされ得る。より具体的には、本発明の組成物は、ペプチド(またはその誘導体もしくはそのコンジュゲート)および治療剤(単数または複数)が、一緒にまたは互いに独立して投与され得るような方法で、製剤化され得る。例えば、ペプチド(またはその誘導体もしくはそのコンジュゲート)および治療剤は、単一の組成物中で一緒に製剤化され得る。あるいは、これらは、個別に(例えば、異なる組成物および/または容器中で)維持、投与され得る。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、本発明を構成し、実施するいくつかの好ましい様式を説明する。しかし、実施例は、例示だけを目的としたものであり、本発明の範囲を限定する意味ではないことを理解すべきである。
【0094】
メンブレン結合型逆ペプチドアレイ(inverted peptide array)の合成
ペプチドを、N修飾CAPEメンブレン(Bhargavaら、Mol.Recognit、2002、15:145)上で合成し、MultiPep SPOT−robot(INTAVIS Bioanalytical Instruments AG、Cologne、Germany)によって調製した。アレイ設計は、独自のソフトウェアLISA 1.71を用いて実施した。合成は、標準的なプロトコール[Frank、Tetrahedron、1992、48:9217)を使用したスポットの決定(spot definition)から開始し、その後N−メチルピロリドン(NMP)中のFmoc−システイン−(Trt)−Opfp(0.3M)溶液およびFmoc−アラニン−Opfp(二重カップリング、それぞれ15分間の反応)のカップリングを行った。DMF中のピペリジン(20%)でのFmoc切断後に、ジメチルホルミアミド(DMF)中に溶解され、EEDQ(1.1当量)で活性化された4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMPA)(0.6M溶液)を添加し、サンプルをメンブレン上に直接スポットした(4×カップリング、それぞれ15分間の反応)。メンブレンを、DMF中の無水酢酸(2%)でアセチル化し、DMF(5×3分間)、エタノール(2×3分間)およびジエチルエーテル(2×3分間)で洗浄し、最後に風乾した。DMF中の1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI、3当量)で活性化したFmoc−アミノ酸−OH(0.4M)溶液を、メンブレン上にスポットした(4×カップリング、それぞれ15分間の反応時間)。プロリン、チロシンおよびグルタミンを、1,1’−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)(CDT)で活性化した。Fmoc基をスポットから除去し、標準的なSPOT合成プロトコール(Frank、Tetrahedron、1992、48:9217)を使用し、その後β−アラニンによるN末端タグでペプチド配列を完成させた。
【0095】
標準的なSPOT合成のために、Fmoc−aa−Opfpを、以下の側鎖保護と共に使用した:E−、D−(OtBu);C、−S−、T−、Y−(tBu);K−、W−(Boc);N−、Q−、H−(Trt);R−(Pbf)。チオエーテル環化のために、全てのペプチドを、DMF中、二重カップリング、それぞれ15分間の反応時間で、ブロモ酢酸2,4−ジニトロフェニルエステル(1M)でN−アシル化した。
【0096】
メンブレンを、DMF(3×3分間)およびジクロロメタン(DCM、3×3分間)で洗浄し、乾燥させた。環化を可能にするために、システインのトリチル側鎖保護基を、DCM中のトリフルオロ酢酸(TFA、7%)、H
2O(2%)で切断し(1×5分間)、その後DCM中のTFA(7%)、TIBS(3%)、H
2O(2%)で切断した。メンブレンを、DCM(3×3分間)、DMF(2×3分間)およびDMF(2×3分間)で洗浄した。ペプチドを、25%水性Cs
2CO
3/DMF(1:1)で一晩処理して環化した。メンブレンを、DMF(2×3分間)、H
2O(2×3分間)、エタノール(2×3分間)およびジエチルエーテル(2×3分間)で洗浄し、風乾した。
【0097】
加水分解および側鎖脱保護は、DCM中のTFA(60%)、TIBS(3%)およびH
2O(2%)での撹拌なしの2.5時間の処理1回と、その後の洗浄ステップ(DCM3×3分間、DMF3×3分間、エタノール3×3分間、ジエチルエーテル2×3分間)と、その後のDCM中のTFA(90%)、TIBS(3%)およびH
2O(2%)での撹拌なしの30分間とによって行った。メンブレンを、DCM(3×3分間)、DMF(3×3分間)、エタノール(2×3分間)、リン酸緩衝液(pH7.4、0.1M、2×3分間)、H
2O(2×3分間)、エタノール(2×3分間)およびジエチルエーテル(2×3分間)で洗浄し、風乾した。
【0098】
本発明に係る断片の設計および送達
DAXXタンパク質(配列番号1)の一次配列を、重複する15merのペプチド(3アミノ酸シフト)に切断し、全てのペプチド(243種のペプチド)を、上記のようにSPOT合成によってセルロースメンブレン上で合成した。ペプチドライブラリーを、FasレセプターのHisタグ化細胞内領域(Sigma)と共にインキュベートした。Fasとペプチドとの間の相互作用を、抗His(マウス)/抗マウス−HRPのサンドイッチを使用して決定し、シグナルを、
図1Aに示すように、LumiImager(Roche)を使用して明らかにした。スポット番号211(配列番号2)が最も高いシグナル強度を示すことが見出され、スポット番号209、210および212(それぞれ、配列番号3、配列番号4および配列番号7)は、最小エピトープ配列(KSRKEKKQT)を含むことが見出された。
【0099】
それにもかかわらず、15merの配列KSRKEKKQTGSGPLG(スポット211、配列番号2)およびSGPPCKKSRKEKKQT(スポット209、配列番号3)の配列長分析により、これらの配列を
図1中に見出される最小エピトープへと任意に短縮することは不可能であることが明らかになった。上述のSPOT合成を使用して、ペプチド長の影響を、N末端、C末端および両方の方向で所与の配列を短縮することによって分析した(
図2A)。最も高いシグナル強度を示したペプチド配列を
図2B中に示す。
【0100】
DAXXペプチドまたはDAXXpと呼ばれる16merのペプチド(KKSRKEKKQTGSGPLG)(配列番号5)に対応する、DAXXp−211とDAXXp−209の最大のシグナル強度の組合せ(merged combination)を行った。DAXXpは、重要なin vitroおよびin vivoの抗アポトーシス活性を有することが見出された。
【0101】
ドミナントネガティブタンパク質(DAXX−DN)[Roubilleら、Circulation、2007;116:2709〜2717]が、DAXXp−211ペプチドからDAXXタンパク質のC末端まで伸びる領域を包含するという事実に沿えば、ペプチドをC末端で伸長させることが可能である(
図1B)。
【0102】
AMIにおける適用
CPPにコンジュゲートしたまたはしていないDAXXpペプチドを、初代心筋細胞においてその抗アポトーシス活性について試験し、全身投与後のマウス手術I/Rモデルにおいて梗塞サイズを減少させる能力について試験した。
【0103】
In vitro評価
第一段階では、表1に列挙したペプチドの細胞取り込みを、フローサイトメトリー測定(FACS−CF標識ペプチドを用いる)を使用してマウス心筋細胞の初代細胞培養物において測定し、細胞毒性が存在しないことを確認した。
【0104】
【表1】
【0105】
検討したその他のCPP−DAXXp誘導体を、以下の表2中に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
さらに、断片とFasレセプターの細胞内領域との潜在的な相互作用を、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(Biacore Life Science、スウェーデン)を使用して結合親和性(Kd)を測定することによって交差検定した。断片単独またはCPPとコンジュゲートした断片の結合親和性を、表3にまとめる。
【0108】
【表3】
【0109】
その後、これらのペプチドがスタウロスポリン誘導性のアポトーシスを阻害する能力を評価した。アポトーシスは、DNA断片化を測定するCell Death検出ELISA
PLUSキット(Roche)を使用して決定した。
【0110】
殆どの刊行物において、当該分野で現在利用可能な抗アポトーシスペプチドは、アポトーシス誘導の3〜4時間前に投与されており、これは臨床適用にあまり適していない。このために、本研究で使用したプロトコールにおいては、スタウロスポリンと一緒にペプチドを投与した。
図5Bは、それぞれ、Tat−DAXXpを使用して44%の、および、Pip2b−DAXXpを使用して55%の初代心筋細胞におけるDNA断片化の減少を明示している。これは、CPP単独でも、Tat−scrDAXXpまたはTat−ncDAXXp陰性対照でも、観察されなかった。濃縮係数を、供給業者が示したとおりに計算した(処理細胞のDNA断片化/未処理細胞のDNA断片化)。結果をより良好に比較するために、DNA断片化(濃縮係数によって表される)は、スタウロスポリン処理細胞(=100%)と関連付けられている。
【0111】
ペプチドの抗アポトーシス効果は、マウスNG118−15(神経細胞のモデル)(
図5D)、マウスC2C12(筋細胞のモデル)(
図5A)およびラットH9c2(心臓細胞のモデル)(
図5C)においても分析した。NG118−15におけるBpep−DAXXp(66%の減少)、C2C12におけるTat−DAXXp(24%の減少)、およびH9c2におけるPip2b−DAXXp(31%の減少)を使用において、DNA断片化の減少が最大となることが観察された。これは、適切な適用または生物学的状況での、最適なCPP選択の重要性を明らかに示している。
【0112】
さらに、FADDタンパク質(配列番号8)の結合エピトープを、DAXXエピトープについて上記したように決定した(詳細については上記を参照のこと)。
図8Aに示すように、ペプチドFADDp15(VGKRKLERVQSGLDL;配列番号9)に対応するスポット番号11は、最も高いシグナル強度を有し、スポット番号10および12(配列番号10および配列番号11)は、FADDp15と最小エピトープ配列を共に有している。
【0113】
【表4】
【0114】
長さを切断したペプチドライブラリーを使用して、FADDpに対応するFADDp15の最小断片を決定した(配列番号12;KRKLERVQS)(
図8Bを参照のこと)。心筋細胞において、アポトーシスの減少は、Tat−FADDpのコンジュゲートを使用して35%、Tat−FADDp−15を使用して57%であった(
図9)。
【0115】
In vivo評価
第二段階において、DAXXpの心保護効果を、心筋虚血−再灌流のin vivoモデルで評価した。急性心筋虚血および再灌流を、可逆的冠動脈閉塞の手術モデルに供したC57Bl6マウスで実施した。雄性マウス(22〜28g)を麻酔し、Harvardげっ歯類人工呼吸器を使用して気管挿管をにより人工呼吸した。体温を、温度調節した手術台により、36.8℃と37.0℃との間に維持した。胸部を、左側方開胸術によって開き、可逆的冠状動脈スネアオクルーダー(snare occluder)を左冠状動脈の周りに配置した。マウスを、2つの異なる心筋虚血−再灌流手術プロトコールに無作為に割り当てた(
図11)。再灌流の最後に、動脈を再閉塞させ、フタロシアニンブルー色素を左心室腔中に注射し、心筋の非虚血部分を灌流させた。心筋梗塞サイズに対するDAXXpの効果を決定するために、ペプチドを、虚血−再灌流の手術プロトコールの間に、再灌流の5分前に静脈内投与した(尾側静脈)。対照群は、TatまたはPip2bペプチド(CPP単独として)で処理した。1mg/kgの用量を選択し(μモル濃度の範囲)、0.1mg/kgおよび10mg/kgに対する用量反応も試験した。
【0116】
再灌流の最後に、マウスを再麻酔し、冠状動脈結紮を確実に締め付け青の色素を注射し、回収した左心室を、虚血−再灌流障害に対する心保護効果を調査するために、梗塞サイズ測定(TTC法、Schwartzら、J Thromb.Thromb.、2000;10:181〜187)またはDNA断片化測定(Cell death検出ELISA
PLUSキット、Roche Diagnostics)に割り当てた。得られた結果を
図12〜15に示す。
【0117】
Tat−DAXXp(1mg/kg)をin vivoで静脈内注射した場合、1時間の再灌流後に測定した梗塞サイズは、Tatペプチド単独に対して53.4%減少した(P<0.01)(虚血領域は、群間で同等であった;p=ns−
図12A)。この心保護は、Tat−DAXXp注射マウス 対 Tat注射マウス由来の左心室における、アポトーシスの特徴である特異的DNA断片化の急激な減少に相関した(
図12Bを参照のこと)。この心保護は、Pip2b−DAXXpまたはCPP単独でも陰性対照Tat−scrDAXXpでも、観察されなかった(データ掲載せず)。
【0118】
図13は、0.1、1および10mg/kgで注射した場合のTat−DAXXpについての用量反応を示し、1mg/kgの用量で最大の効果が得られたことを示している。DAXXp(10mg/kg)注射単独(CPPなし)は、Tat−DAXXpと同程度まで梗塞サイズおよびDNA断片化の両方を減少させることによって、心筋を保護することができた。
【0119】
再灌流の持続時間を1時間から24時間に延長した場合、Tat−DAXXpの心保護効果は維持された(
図14および15を参照のこと)。
【0120】
共焦点画像化により、CF−Tat−DAXXp(1mg/kg)は、左心室中の心筋細胞のサイトゾルおよび核の両方に局在することが明らかになった(
図16)。
【0121】
腎移植モデル(ラット)で実施したin vivo評価で得られた予備的な結果により、他の臨床応用においてもTat−DAXXp(1mg/kg)が虚血−再灌流障害からの保護ができることが示された。
【0122】
本出願を通じて、種々の参考文献が、本発明が関与する分野の技術水準を記載している。これらの参考文献の開示は、本明細書中で、参照により本開示中に組み込まれる。