特許第6204861号(P6204861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204861
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の車体フレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/16 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B62K19/16
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-65310(P2014-65310)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-186979(P2015-186979A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】松島 怜
(72)【発明者】
【氏名】又吉 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】若林 宏樹
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−215256(JP,A)
【文献】 特開平08−099364(JP,A)
【文献】 特開2012−093260(JP,A)
【文献】 特開2007−307944(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0001073(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(F)の少なくとも一部を構成するフレーム部材(41,82)が繊維強化樹脂によって形成される鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、
パワーユニット(P)を支持するフロントフレーム(12)に連結されて該フロントフレーム(12)から後方に延出される前記フレーム部材(41,82)上に乗車用シート(11)が設けられ、
前記フレーム部材(41,82)の表面に所定値以上の応力が加わるのに応じて変色する皮膜(72,75,76)が、前記フレーム部材(41,82)の前記フロントフレーム(12)への連結部(74)の近傍で該フレーム部材(41,82)の下部表面に設けられることを特徴とする鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
【請求項2】
記フレーム部材(41,82)に、該フレーム部材(41,82)への荷重入力方向に開放する凹部(73)が形成され、前記皮膜(72,75,76)がその凹部(73)の表面に設けられることを特徴とする請求項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
【請求項3】
車体フレーム(F)の少なくとも一部を構成するフレーム部材(41,82)が繊維強化樹脂によって形成される鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、
前記フレーム部材(41,82)に、該フレーム部材(41,82)への荷重入力方向に開放する凹部(73)が形成され、その凹部(73)の表面に、前記フレーム部材(41,82)の表面に所定値以上の応力が加わるのに応じて変色する皮膜(72,75,76)が設けられることを特徴とする鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
【請求項4】
記フレーム部材(41,82)が炭素繊維を含む前記繊維強化樹脂で形成され、ガラス繊維を含む前記皮膜(72,75,76)が、前記所定値以上の応力が加わるのに応じて前記ガラス繊維が折れて白化するようにしつつ、前記フレーム部材(41,82)の表面に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
【請求項5】
記皮膜(72,75,76)が、前記フレーム部材(41,82)の表面への塗料の塗装または薄膜の前記フレーム部材(41,82)へのインサート成形で形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームの少なくとも一部を構成するフレーム部材が繊維強化樹脂によって形成される鞍乗り型車両の車体フレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗り型車両のリヤフレームが繊維強化樹脂によって形成された自動二輪車が、特許文献1で開示されているが、繊維強化樹脂が経年劣化することで大きな荷重の作用によってはリヤフレームが破損する可能性があるので、大きな荷重が作用していることを検出することが必要であり、特許文献2では、高圧タンクの樹脂製タンクの破損や剥離を検出装置で検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−215256号公報
【特許文献2】特開2010−14624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動二輪車のような鞍乗り型車両の車体フレームの少なくとも一部を構成する繊維強化樹脂製のフレーム部材に大きな荷重が作用していることを検出するにあたって、特許文献2で開示されるような検出装置は大がかりであって不適当であり、フレーム部材に大きな荷重が加わっていることを簡単に視認できるようにすることが望まれる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、繊維強化樹脂で形成されるフレーム部材に大きな荷重が加わっていることを容易に視認し得るようにした鞍乗り型車両の車体フレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体フレームの少なくとも一部を構成するフレーム部材が繊維強化樹脂によって形成される鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、パワーユニットを支持するフロントフレームに連結されて該フロントフレームから後方に延出される前記フレーム部材上に乗車用シートが設けられ、前記フレーム部材の表面に所定値以上の応力が加わるのに応じて変色する皮膜が、前記フレーム部材の前記フロントフレームへの連結部の近傍で該フレーム部材の下部表面に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記フレーム部材に、該フレーム部材への荷重入力方向に開放する凹部が形成され、前記皮膜がその凹部の表面に設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、車体フレームの少なくとも一部を構成するフレーム部材が繊維強化樹脂によって形成される鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、前記フレーム部材に、該フレーム部材への荷重入力方向に開放する凹部が形成され、その凹部の表面に、前記フレーム部材の表面に所定値以上の応力が加わるのに応じて変色する皮膜が設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記フレーム部材が炭素繊維を含む前記繊維強化樹脂で形成され、ガラス繊維を含む前記皮膜が、前記所定値以上の応力が加わるのに応じて前記ガラス繊維が折れて白化するようにしつつ、前記フレーム部材の表面に設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記皮膜が、前記フレーム部材の表面への塗料の塗装または薄膜の前記フレーム部材へのインサート成形で形成されることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、フレーム部材の表面に設けられる皮膜が、その皮膜に加わる荷重が所定値以上となるのに応じて変色するので、繊維強化樹脂製のフレーム部材に大きな荷重が加わっていることを容易に視認することができ、フレーム部材の交換時期を知ることができる。
【0012】
また、フロントフレームから後方に延出されるフレーム部材上に乗車用シートが設けられ、そのフレーム部材のフロントフレームへの連結部近傍で該フレーム部材の下部表面に皮膜が設けられるので、乗車用シートに着座した乗員の荷重を最も受ける位置に皮膜を配置することで、検出精度を高めることができる。
【0013】
また、本発明の第2,第3の特徴によれば、荷重入力方向に開放する凹部がフレーム部材に形成され、その凹部の表面に皮膜が設けられるので、荷重の入力によって凹部の壁が撓むことで皮膜を変色させ、フレーム部材に大きな荷重が加わることによる皮膜の変色をより確実なものとすることができる。
【0014】
また本発明の第の特徴によれば、皮膜に含まれるガラス繊維が、所定値以上の応力が加わるのに応じて折れて白化するので、炭素繊維を含む繊維強化樹脂製であることで黒色となるフレーム部材の表面の一部が白色となることで視認性を高めることができる。
【0015】
本発明の第の特徴によれば、塗料の塗装または薄膜のフレーム部材へのインサート成形によって皮膜が形成されるようにして、皮膜をフレーム部材の表面に簡単に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施の形態の自動二輪車の要部側面図である。
図2】リヤフレームの斜視図である。
図3】リヤフレームの分解斜視図である。
図4】乗車用シートおよびリヤフレームの縦断面図である。
図5】第2の実施の形態の凹部近傍を示す斜視図である。
図6】第3の実施の形態の凹部近傍を示す斜視図である
図7】第4の実施の形態のリヤフレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお以下の説明で、前後、左右および上下は、自動二輪車に乗車した乗員から見た方向を言うものとする。
【0018】
本発明の第1の実施の形態について図1図4を参照しながら説明すると、先ず図1において、この鞍乗り型車両は、モトクロス競技用の自動二輪車であり、その車体フレームFに、駆動である後輪WRを駆動する動力を発揮するパワーユニットPと、乗車用シート11とが支持される。この車体フレームFの少なくとも一部は繊維強化樹脂製のフレーム部材で構成されるものであり、この実施の形態では、前記パワーユニットPを支持するフロントフレーム12と、前記フレーム部材であるアウタボディ41(図2図4参照)を構成要素の一部としたリヤフレーム13とを前記車体フレームFが備えており、前記リヤフレーム13は、前記フロントフレーム12に締結されて該フロントフレーム12から後方に延出され、前記乗車用シート11が前記リヤフレーム13に支持される。
【0019】
前記フロントフレーム12は、前輪WFを軸支するフロントフォーク14およびバー状の操向ハンドル15を操向可能に支承するヘッドパイプ16と、該ヘッドパイプ16から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム17と、それらのメインフレーム17よりも急角度で前記ヘッドパイプ16から後下がりに延びるダウンフレーム18と、該ダウンフレーム18の下端部に連設されて後方に延びる左右一対のロアフレーム19と、前記メインフレーム17の後端部に上端部が接合されて下方に延びるとともに前記両ロアフレーム19の後端部が下端部に連設される左右一対のピボットフレーム20とを備える。
【0020】
前記フロントフレーム12には、エンジンEを含むパワーユニットPが支持されるものであり、前記エンジンEのエンジン本体21は、側面視で前記メインフレーム17、前記ダウンフレーム18、前記ロアフレーム19および前記ピボットフレーム20で囲まれる領域に配置されるようにして前記フロントフレーム12に搭載される。
【0021】
後輪WRの車軸25は、前後方向に延びるスイングアーム26の後端部に軸支され、このスイングアーム26の前端部は、前記ピボットフレーム20の下部に支軸27を介して上下揺動可能に支承される。またピボットフレーム20の下部および前記スイングアーム26間にはリンク機構28が設けられる。
【0022】
前記エンジン本体21の一部を構成するクランクケース22内には、前記エンジンEとともに前記パワーユニットPを構成する変速機(図示せず)が収容されており、その変速機の出力軸29は前記クランクケース22から左側方に突出され、その出力軸29に設けられた駆動スプロケット30と、前記後輪WRの車軸25に設けられた被動スプロケット31とには無端状のチェーン32が巻き掛けられる。
【0023】
また前記エンジン本体21の上方で両メインフレーム17上には燃料タンク33が設けられ、その燃料タンク33の後方に、前記リヤフレーム13で支持されるようにして乗車用シート11が配置される。
【0024】
前記エンジン本体21の一部を構成するシリンダヘッド23に接続される排気装置34は、前記シリンダヘッド23の前壁面に接続されて前記エンジン本体21の側方から後方に延びる左右一対の排気管35と、前記後輪WRの車幅方向両側に配置されて前記排気管35に個別に接続される左右一対の排気マフラー36とを備える。
【0025】
また前記シリンダヘッド23の後部側壁に接続される吸気装置37は、前記リヤフレーム13で一部が構成されるエアクリーナ38と、該エアクリーナ38に上流端が接続されるスロットルボディ39と、該スロットルボディ39および前記シリンダヘッド23間を結ぶ吸気管40とを備える。
【0026】
図2図4を併せて参照して、前記リヤフレーム13は、加熱しつつプレス成形される繊維強化樹脂製のアウタボディ41と、インジェクション成形された樹脂製のインナボディ42とが、前記アウタボディ41の内面に前記インナボディ42を当接させつつ接着もしくはリベット結合で接合されて成る。
【0027】
繊維強化樹脂製である前記アウタボディ41は、連続繊維の形態である炭素繊維と、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂とから成る。また樹脂製である前記インナボディ42は、この実施の形態では、炭素から成る短繊維が混入された熱可塑性樹脂から成るものであるが、炭素が混入されていない樹脂から成るものであっても良いし、炭素以外の微細な補強材が混入されていてもよい。
【0028】
前記アウタボディ41は、左右一対の平板状の側壁部41a,41aと、それらの側壁部41a,41aの上端間を連結する上壁部41bとを一体に有して下方に開いたU字状の横断面形状を有するように形成される。
【0029】
また前記インナボディ42は、前記アウタボディ41と協働して箱状の前記リヤフレーム13を構成すべく、前記上壁部41bに下方から対向する下壁部42aと、前記アウタボディ41の側壁部41a,41aの下部内面に当接するようにして前記下壁部42aの左右両端から上方に立ち上がる左右一対の下枠部42b,42bと、それらの下枠部42b,42bの前端から上方に立ち上がって前記アウタボディ41の側壁部41a,41aの内面に当接する左右一対の縦枠部42c,42cとを一体に有しており、前記下壁部42aは、車両前後方向後方に向かうにつれて前記上壁部41bに近接するように形成される。
【0030】
前記インナボディ42の前部には、前記縦枠部42c,42cの上端部から前方に延びる第1の連結腕部42d,42dと、前記縦枠部42c,42c下端部から前方に延びる第2の連結腕部42e,42とが一体に形成される。すなわち前記インナボディ42の前部には、該インナボディ42の左右両側で上下に離隔した第1の連結腕部42d,42dおよび第1の連結腕部42e,42eが一体に形成され、第1の連結腕部42dは、前記アウタボディ41の側壁部41aおよび上壁部41bの内面に当接するようにして略L字型の横断面形状を有するように形成され、第2の連結腕部42eは、前記アウタボディ41の側壁部41aの内面に当接するように形成される。
【0031】
前記フロントフレーム12におけるピボットフレーム20の上部にはリヤフレーム13側に突出した第1の被締結部20aが一体に設けられ、前記ピボットフレーム20の上下方向中間部にはリヤフレーム13側に突出した第2の被締結部20bが一体に設けられる。
【0032】
第1の被締結部20aには、前記アウタボディ41の前部の上部に形成される第1のアウタ締結部41cと、前記インナボディ42の前部の上部に形成される第1のインナ締結部42fとが第1のボルト43による共締めで締結され、第2の被締結部20bには、前記アウタボディ41の前部の下部に形成される第2のアウタ締結部41dと、前記インナボディ42の前部の下部に形成される第2のインナ締結部42gとが第2のボルト44による共締めで締結される。
【0033】
第1のアウタ締結部41cには円形の挿通孔45が形成され、第1のインナ締結部42fには前記挿通孔45に対応して前後方向に長い長孔状の挿通孔46が設けられ、第1のボルト43は前記挿通孔45,46に挿通される。また第2のアウタ締結部41dには、円形の挿通孔47が形成され、第2のインナ締結部42gには、第2のアウタ締結部41dの前記挿通孔47よりも大径である円形の挿通孔48が前記挿通孔47に対応して設けられ、第2のボルト44が前記挿通孔47,48に挿通される。
【0034】
第1のインナ締結部42fは、第1の連結腕部42dの先端に一体に形成され、第2のインナ締結部42gは、第2の連結腕部42eの先端に一体に形成される。しかも第1のインナ締結部42fの厚さd1ならびに第2のインナ締結部42gの厚さd2は、インナボディ42における第1および第2の締結部42f,42g以外の部分の厚さd3よりも大きく設定されており、第1および第2の締結部42f,42gがインナボディ42の第1および第2の締結部42f,42g以外の部分よりも肉厚に形成される。
【0035】
また前記アウタボディ41の側壁部41aは、上下に離隔して配置される上下一対の第1および第2のアウタ締結部41c,41d間を結ぶように形成される。
【0036】
また前記インナボディ42の前部には、その左右両側で上下に離隔して配置される第1および第2の連結腕部42d,42d;42e,42eの基部を連結する平板状のクロス部42hが一体に形成され、該クロス部42hの中央部には円形の流通孔49が形成される。
【0037】
前記クロス部42hには、前記エアクリーナ38の一部を構成して前記スロットルボディ39に下流端が接続されるクリーナボックス50が前記流通孔49に通じるようにして支持されるとともに、前記クリーナボックス50内に前記流通孔49を介して導入される空気を濾過するクリーナエレメント51が支持され、このクリーナエレメント51を臨ませる未浄化室52がリヤフレーム13で形成される。
【0038】
また前記アウタボディ41には、前記側壁部41aおよび前記上壁部41bの少なくとも一方、この実施の形態では前記上壁部41bに開口する吸気口53が前記未浄化室52に通じるようにして設けられるとともに、該吸気口53を無端状に囲んで内方もしくは外方(この実施の形態では外方)に突出するリブ54が一体に突設される。
【0039】
ところで前記乗車用シート11は、該シート11への乗員の着座範囲Wが、前記フロントフレーム12における前記ピボットフレーム20の上下方向中間部に一体に設けられた第2の被締結部20bに、前記アウタボディ41の前部の下部に形成される第2のアウタ締結部41dならびに前記インナボディ42の前部の下部に形成される第2のインナ締結部42gを締結する第2のボルト44よりも後方、すなわち前記第4のボルト44の中心を通る鉛直線LAよりも後方に配置されるようにして前記アウタボディ41上に設けられるものであり、前記未浄化室52内には、前記リヤフレーム13におけるアウタボディ41の上壁部41bと、前記乗車用シート11との間の間隙から前記吸気口53を介して外部からの空気が導入される。
【0040】
また前記インナボディ42における下壁部42aの後端部中央には、前記アウタボディ41における上壁部41bの後端部との間に前記未浄化室52に通じる通路56を形成する凹部55が下方に凹むように形成されており、その通路56からも外部の空気が前記未浄化室52に導入される。
【0041】
前記リヤフレーム13には、前記排気マフラー36が支持されるとともに、その排気マフラー36を上方および外側方から覆うマフラーカバー57が支持される。
【0042】
前記排気マフラー36を支持するために、前記アウタボディ41には、その側壁部41aの後側下部に一体に連なる平板状のアウタ側マフラー支持部41eが形成され、前記インナボディ42には、その下枠部42bの後端に一体に連なる平板状のインナ側マフラー支持部42iが前記アウタ側マフラー支持部41eの前半部内面に当接するようにして形成され、前記排気マフラー36に固着されたマフラーステー58が前記アウタ側マフラー支持部41eおよび前記インナ側マフラ支持部42iに共締めで締結される。すなわちアウタボディ41の前記アウタ側マフラー支持部41eに形成される挿通孔59と、その挿通孔59よりも大径にして前記インナボディ42の前記インナ側マフラー支持部42iに形成される挿通孔60とに第3のボルト61が挿通され、その第3のボルト61で前記マフラーステー58が前記アウタ側マフラー支持部41eおよび前記インナ側マフラ支持部42iに締結される。
【0043】
前記アウタボディ41の前部における第2のアウタ締結部41dは、前記インナボディ42における第2のインナ締結部42gよりも下方に突出するように形成されており、第2のインナ締結部42gからの第2のアウタ締結部41dの突出部に挿通孔62が形成され、前記マフラーカバー57の前部が、前記挿通孔62に挿通される第4のボルト63で第2のインナ締結部42gからの第2のアウタ締結部41dの突出部に締結される。
【0044】
また前記アウタボディ41における前記アウタ側マフラー支持部41eは、その一部が前記インナボディ42における前記インナ側マフラ支持部42iよりも後方に突出するように形成されており、前記アウタ側マフラー支持部41eの前記インナ側マフラ支持部42iからの突出部に挿通孔64が形成され、前記マフラカバー57に固着されたカバーステー65が、前記挿通孔64に挿通される第5のボルト66で前記アウタ側マフラー支持部41eの前記インナ側マフラ支持部42iからの突出部に締結される。
【0045】
さらに前記アウタボディ41における側壁部41aの後側上部には、平板状である第1のフェンダ支持部41fがそれぞれ一体に形成され、前記インナボディ42における下壁部42aの後部には、左右一対である第2のフェンダ支持部42jが一体に形成される。第1のフェンダ支持部41fには挿通孔67が形成され、第2のフェンダ支持部42jには挿通孔68が形成される。
【0046】
前記後輪WRを上方から覆うリヤフェンダ69の前後方向中間部は、前記挿通孔67に挿通される第6のボルト70で第1のフェンダ支持部41fに締結され、前記リヤフェンダ69の前端部は、前記挿通孔68に挿通される第7のボルト71で第2のフェンダ支持部42jに締結される。
【0047】
本発明に従えば、炭素繊維を含む繊維強化樹脂製であるアウタボディ41の表面に、所定値以上の応力が加わるのに応じて変色する皮膜72が、前記アウタボディ41の表面への塗料の塗装によって設けられる。この皮膜72は、ガラス繊維を含んでおり、所定値以上の応力が加わるのに応じて前記ガラス繊維が折れて白化するようにしつつ、前記アウタボディ41の表面に設けられる。
【0048】
しかも前記皮膜72が、前記アウタボディ41の前記フロントフレーム12への連結部近傍で該アウタボディ41の下部表面に設けられるものであり、この実施の形態では、前記フロントフレーム12における前記ピボットフレーム20の上下方向中間部に一体に設けられた第2の被締結部20bに、前記インナボディ42の前部の下部に形成される第2のインナ締結部42gとともに第2のボルト44によって締結されるようにした連結部74の近傍に配置されるようにして前記アウタボディ41の前部の下部に形成される第2のアウタ締結部41dの表面に前記皮膜72が設けられる。
【0049】
しかも前記皮膜72は、前記乗車用シート11に着座した乗員から前記アウタボディ41に作用する荷重の入力方向すなわち下向きに開放するようにして第2のアウタ締結部41dに設けられる凹部73の周縁部で第2のアウタ締結部41dの表面に設けられるものでり、前記凹部72および前記皮膜73は、前記第4のボルト44の中心を通る鉛直線LAよりも後方かつ前記乗車シート11における前記着座範囲Wの前端を通る鉛直線LBよりも前方で、前記連結部74と上下位置をほぼ同一とした位置に配置される。
【0050】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、車体フレームFの少なくとも一部を構成するリヤフレーム13が、プレス成形された繊維強化樹脂製のアウタボディ41と、インジェクション成形された樹脂製のインナボディ42とが、アウタボディ41の内面にインナボディ42を当接させつつ接合されて成るので、インナボディ42の厚さの部分的な設定自由度を高くし、強度を確保したい部分の厚さを大きくして強度を高め、アウタボディ41にインナボディ42を当接させることでアウタボディ41を補強することができる。しかもアウタボディ41の厚みを均一とすることができるので、プリフォーム工数を大幅に削減し、製造コストを低減することができる。
【0051】
また前記アウタボディ41が、炭素繊維と、熱可塑性樹脂に比べて表面品位および意匠性が良好な熱硬化性の樹脂とから成るので、アウタボディ41の表面品位および意匠性を良好とすることができるとともに、特に複雑な形状をプレス成形することができる。また予備加熱などのプレス前処理が不要となり、製造設備を安価なものとすることができる。しかも溶融時の樹脂粘度が低いため、低圧プレスが可能となり、製造設備をさらに安価なものとすることができる。
【0052】
また前記アウタボディ41に使用される強化繊維である炭素繊維が、連続繊維の形態であるので、アウタボディ41の強度および剛性を高めることができる。
【0053】
またリヤフレーム13は、パワーユニットPを支持するフロントフレーム12と協働して車体フレームFを構成すべく、フロントフレーム12の第1および第2の被締結部20a,20bに締結されて該フロントフレーム12から後方に延出されるとともに乗車用シート11を支持するものであり、第1および第2の被締結部20a,20bに、アウタボディ41の前端部に一体に形成される第1および第2のアウタ締結部41c,41dと、インナボディ42の前端部に一体に形成される第1および第2のインナ締結部42f,42gとが共締めで締結されるので、第1および第2のインナ締結部42f,42gで第1および第2のアウタ締結部41c,41dを補強しながらリヤフレーム13のフロントフレーム12への連結部位の剛性を確保することができる。
【0054】
また第1および第2のインナ締結部42f,42gが、インナボディ42において第1および第2のインナ締結部42f,42g以外の部分よりも肉厚に形成されるので、リヤフレーム13全体の重量増大を回避しつつ、必要な部分だけの強度増大を図ることができる。
【0055】
また上下に離隔して配置される上下一対の第1および第2アウタ締結部41c,41d間を結ぶ平板状の側壁部41aがアウタボディ41に一体に形成されるので、プレス成形されるアウタボディ41のフロントフレーム12への連結部の強度を簡易な構成で高くすることができる。
【0056】
またアウタボディ41が、左右一対の側壁部41aと、それらの側壁部41aの上端間を連結する上壁部41bとを一体に有して下方に開いたU字状の横断面形状を有するように形成され、インナボディ42が、アウタボディ41と協働して箱状のリヤフレーム13を構成すべく、前記上壁部41aに下方から対向する下壁部42aを一体に有して左右一対の前記側壁部41aの内面に当接するように形成されるので、リヤフレーム13のうち車両の側方に露出する部分を滑らかとして乗車用シート11に座った乗員の乗り心地を高めることができ、また乗車用シート11ならびに該乗車用シート11に座った乗員の荷重をアウタボディ41の上壁部41bで受けるようにして荷重の良好な分散を図ることができる。
【0057】
また前記アウタボディ41に、前記上壁部41bに開口する吸気口53が設けられるとともに該吸気口53を無端状に囲んで外方に突出するリブ54が一体に突設され、エアクリーナ38の未浄化室52が前記吸気口53に通じるようにして前記リヤフレーム13で形成されるので、吸気口53の周縁をリブ54で補強するようにして、エアクリーナ38の未浄化室52に通じる吸気口53から未浄化室52に外気を取り入れることができ、しかも吸気口53の周縁のリブ54によって吸気を整流しつつ排出し難い構造とすることができ、吸気効率を高くすることができる。
【0058】
またインナボディ42の前部に、先端部に第1および第2のインナ締結部42f,42gを有する第1および第2の連結腕部42d,42eがインナボディ42の左右両側で上下に離隔して一体に形成されるとともに、それらの第1および第2の連結腕部42d,42eの基部を連結するクロス部42hが一体に形成され、前記エアクリーナ38のクリーナエレメント51がクロス部42hに支持されるので、クリーナエレメント51を支持するための特別な部材をリヤフレーム13に取付けることを不要としてリヤフレーム13の軽量化を図りつつリヤフレーム13の強度を確保することができる。
【0059】
しかも前記アウタボディ41の表面に所定値以上の応力が加わるのに応じて変色する皮膜72が設けられるので、繊維強化樹脂製のアウタボディ41に大きな荷重が加わっていることを前記皮膜72の変色によって容易に視認することができ、アウタボディ41の交換時期を知ることができる。
【0060】
またガラス繊維を含む前記皮膜72が、前記所定値以上の応力が加わるのに応じて前記ガラス繊維が折れて白化するようにしつつ、炭素繊維を含む繊維強化樹脂で形成されるアウタボディ41の表面に設けられるので、炭素繊維を含む繊維強化樹脂製であることで黒色となるアウタボディ41の表面の一部が白色となることで視認性を高めることができる。
【0061】
また前記皮膜72が、前記アウタボディ41の表面への塗料の塗装で形成されるので、皮膜72をアウタボディ41の表面に簡単に設けることができる。
【0062】
またパワーユニットPを支持するフロントフレーム12に連結されて該フロントフレーム12から後方に延出される前記アウタボディ41上に乗車用シート11が設けられ、前記皮膜72が、前記アウタボディ41の前記フロントフレーム12への連結部74の近傍で該アウタボディ41の下部表面に設けられるので、乗車用シート11に着座した乗員の荷重を最も受ける位置に皮膜72を配置することで、検出精度を高めることができる。
【0063】
さらに前記アウタボディ41に、該アウタボディ41への荷重入力方向に開放する凹部73が形成され、前記皮膜72がその凹部73の表面に設けられるので、荷重の入力によって凹部73の壁が撓むことで皮膜72を変色させ、前記アウタボディ41に大きな荷重が加わることによる皮膜72の変色をより確実なものとすることができる。
【0064】
本発明の第2の実施の形態として、図5で示すように、前記アウタボディ41の前部の下部に形成される第2のアウタ締結部41dに、第2のアウタ締結部41dに設けられる前記凹部73の一部を構成するようにして第2のアウタ締結部41dにインサート成形される薄膜から成る皮膜75が設けられるようにしてもよく、また第3の実施の形態として、図6で示すように、前記アウタボディ41の前部の下部に形成される第2のアウタ締結部41dに、第2のアウタ締結部41dに設けられる前記凹部73の内周面に薄膜から成る皮膜76がインサート成形によって設けられるようにしてもよく、第2および第3の実施の形態によっても上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
本発明の第4の実施の形態について図7を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0066】
第1の実施の形態におけるアウタボディ41に代えて図7で示すアウタボディ82を用いてリヤフレームを構成するようにしてもよく、このアウタボディ82は、炭素繊維を含む前記繊維強化樹脂から成り、第1の実施の形態の前記アウタボディ41と同様に、左右一対の平板状の側壁部82a,82aと、それらの側壁部82a,82aの上端間を連結する上壁部82bとを一体に有して下方に開いたU字状の横断面形状を有するように形成される。
【0067】
また前記側壁部82aの前部の上部には、挿通孔45を有する第1のアウタ締結部82cが形成され、前記側壁部82aの前部の下部には、挿通孔47,62を有する第2のアウタ締結部82dが形成され、前記側壁部82aの後側下部には挿通孔59,64を有するアウタ側マフラー支持部82eが形成され、前記側壁部82aの後側上部には、挿通孔67を有する第1のフェンダ支持部82fが形成される。
【0068】
このようなアウタボディ82において、その側壁部82aおよび上壁部82bに吸気口53,83,83が設けられる。すなわちアウタボディ82の上壁部82bに吸気口53が設けられ、側壁部82a,82aに吸気口83,83が設けられ、前記吸気口83,83を無端状に囲んで内方に突出するリブ84,84がアウタボディ82に一体に突設される。
【0069】
また第2のアウタ締結部82dに凹部73が形成され、この凹部73の周縁で第2のアウタ締結部82dの表面に皮膜72が設けられる。
【0070】
この第4の実施の形態によっても上記第1〜第3の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0072】
11・・・乗車用シート
12・・・フロントフレーム
41,82・・・フレーム部材であるアウタボディ
72,75,76・・・皮膜
73・・・凹部
74・・・連結部
F・・・車体フレーム
P・・・パワーユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7