(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の冷却水流路は、前記ケーシングの水平方向一側から水平方向他側に向かって延びる直線部分を有し、当該直線部分が互いに平行な複数の冷却管で構成されており、
前記複数のフィンは、前記ケーシングの水平方向一側から水平方向他側に向かって互いに間隔をあけて配置され、前記冷却管と一体的に構成されており、
前記導入口は前記水平方向一側に配置され、
前記導出口は前記水平方向他側に配置されている、請求項5に記載のガスクーラ。
前記導入口は、前記ケーシングの内部に導入するガスを前記導出口に対して一旦遠ざける方向へ流す向きに開口している、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガスクーラ。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機本体、圧縮機本体で圧縮された圧縮空気を冷却するインタークーラ、及びインタークーラでの冷却により圧縮空気内で凝縮した液滴を分離するドレンセパレータを有するスクリュ圧縮機が開示されている。
【0003】
このスクリュ圧縮機では、ドレンセパレータは、液滴一次分離手段、及び液滴二次分離手段により構成されている。ドレンセパレータの液滴一次分離手段はインタークーラの出口に連結され、液滴二次分離手段は液滴一次分離手段の下流側に連結されている。液滴二次分離手段の下流側には、液滴を分離した圧縮空気を導出する導出管がさらに連結されている。
【0004】
液滴一次分離手段では、水平方向に導入された圧縮空気を、流れに対して略垂直な壁面に衝突させる。これにより、圧縮空気中の液滴が一次的に分離される。
【0005】
液滴二次分離手段では、液滴一次分離手段で前記壁面に衝突させた後、垂直方向上向きに導入された圧縮空気を、流れに対して略垂直な壁面に衝突させる。これにより、圧縮空気中の液滴が二次的に分離される。
【0006】
前記スクリュ圧縮機では、液滴一次分離手段で分離しきれなかった液滴を液滴二次分離手段で分離できるようにドレンセパレータを構成することで、液滴分離性能を向上させている。
【0007】
しかしながら、前記スクリュ圧縮機のように、液滴一次分離手段、及び液滴二次分離手段を有するドレンセパレータを外部に設ける構成においては、配管構造が複雑となるため、組立性に劣る。また、複数の連結部を必要とするため、ガス漏れによる性能低下を生じるリスクが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、組立性の向上、及びガス漏れによる性能低下の防止を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガスクーラは、底壁部、及び該底壁部から立ち上がる側壁部を有するケーシングと、前記ケーシングの内部にガスを導入する導入口と、前記側壁部の前記底壁部側に設けられ、前記ケーシングの内部から前記ガスを導出する導出口と、前記ケーシングに収容され、前記ガスを冷却する冷却部と、少なくとも一部が前記導出口に隣接するように前記底壁部に設けられ、前記冷却部による冷却により前記ガス中の水分が凝縮したドレン水を回収するドレン回収部と、前記導出口が設けられた前記側壁部と交差する方向に延びるように、前記ドレン回収部の上方に配置された吹上防止部と、を備える。
【0011】
この構成によれば、導入口から導入されたガスは冷却部で冷却され、ガス中の水分が凝縮してドレン水となって底壁部に落下する。底壁部に落下したドレン水は、導出口へのガスの流れによって、底壁部に沿って移動させられ、ドレン回収部に回収される。ドレン回収部の上方に吹上防止部が配置されているので、ドレン回収部に回収されたドレン水が導出口へ流れるガスによって吹き上げられて前記ガスに随伴されることが回避される。導出口に隣接するようにガスクーラの内部にドレン回収部を設け、該ドレン回収部の上方にドレン水の外部への流出を防止する吹上防止部を設けることにより、外部でのドレンセパレータの配管連結の必要性を排除できるので、組立性を向上させることができる。また、ガスクーラは、外部の連結部を増加させない構造であるため、ガス漏れのリスクの増大を回避でき、ガス漏れによる性能低下を防止できる。
【0012】
本発明のガスクーラは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容され、ガスを冷却する冷却部と、前記冷却部に設けられ、前記冷却部を通過する前のガスが流通する上部側の空間と前記冷却部を通過した後のガスが流通する底部側の空間とに、前記ケーシングの内部を区画するシールプレートと、前記ケーシングの前記上部側の空間に前記ガスを導入する導入口と、前記ケーシングの前記底部側の空間から前記ガスを導出する導出口と、少なくとも一部が前記導出口に隣接するように当該導出口より低位置となる前記ケーシングの底部に設けられ、前記冷却部による冷却により前記ガス中の水分が凝縮したドレン水を回収するドレン回収部と、前記導出口と隣接する前記ドレン回収部の上方を覆うように、前記導出口と前記ドレン回収部とが隣接する位置に配置された吹上防止部とを備える。
【0013】
この構成によれば、導出口と隣接するドレン回収部の上方を覆うように、導出口とドレン回収部とが隣接する位置に吹上防止部が配置されているので、ドレン回収部に回収されたドレン水が導出口へ流れるガスによって吹き上げられて前記ガスに随伴されることが回避される。ガスクーラの内部に吹上防止部を設けることにより、外部でのドレンセパレータの配管連結の必要性を排除できるので、組立性を向上させることができる。また、ガスクーラは、外部の連結部を増加させない構造であるため、ガス漏れのリスクの増大を回避でき、ガス漏れによる性能低下を防止できる。
【0014】
前記ドレン回収部は排水孔を有する凹部であり、前記排水孔に連結され、前記ドレン水を外部に排出する排出部と、前記排出部に設けられ、開閉が制御装置により制御される電磁弁とを備えることが好ましい。この構成によれば、ドレン回収部の凹部に回収されたドレン水を、電磁弁を開弁することにより、排出部から自動で排水できる。
【0015】
前記冷却部は内部を冷却水が流通する複数の冷却水流路を備えた熱交換器であり、前記導入口は前記熱交換器の上方に配置されており、前記ガスの流れが降下流となるように、前記複数の冷却水流路の間にガス流路が設けられることが好ましい。この構成によれば、ガス流路を通るガスの降下流により、冷却部で冷却し凝縮させたガス中の水分を容易に落下させることができる。
【0016】
前記熱交換器は、前記ガス流路に配備され、上下方向に前記ガスの流れを誘導しながら当該ガスを冷却する複数のフィンを備えることが好ましい。この構成によれば、導入口から導入されたガスを上から下に向かって流れ易くするように冷却部にフィンを設けているので、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。
【0017】
前記複数の冷却水流路は、前記ケーシングの水平方向一側から水平方向他側に向かって延びる直線部分を有し、当該直線部分が互いに平行な複数の冷却管で構成されており、前記複数のフィンは、前記ケーシングの水平方向一側から水平方向他側に向かって互いに間隔をあけて配置され、前記冷却管と一体的に構成されており、前記導入口は前記水平方向一側に配置され、前記導出口は前記水平方向他側に配置されるものでもよい。この構成によれば、導入口から導入されたガスを上から下に向かって流れ易くするように冷却部にフィンを設けているので、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。すなわち、導入口から導出口に向かって冷却部を斜め方向に横切るような最短ルートのガス流れがなくなるので、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。
【0018】
本発明のガスクーラでは、前記導入口は、前記ケーシングの内部に導入するガスを前記導出口に対して一旦遠ざける方向へ流す向きに開口していることが好ましい。この構成によれば、導入口から導入されたガスが導出口までの最短ルートで流れる量を減少させることができるので、より効果的なガス冷却ができる。
【0019】
前記吹上防止部は、前記導出口の下端に沿って設けられたプレートであることが好ましい。この構成によれば、簡易な構成でケーシングの内部の底(底部)に形成されるドレン回収部で回収されたドレン水の吹き上がりを防止できる。
【0020】
前記プレートは、パンチングメタルプレートであることが好ましい。この構成によれば、冷却部から吹上防止部の上面に滴下したドレン水をドレン回収部に落下させることができる。
【0021】
本発明によれば、導出口に隣接するようにガスクーラの内部にドレン回収部を設け、該ドレン回収部の上方にドレン水の外部への流出を防止する吹上防止部を設けることにより、外部でのドレンセパレータの配管連結の必要性を排除できるので、組立性を向上させることができる。また、ガスクーラは、外部の連結部を増加させない構造であるため、ガス漏れのリスクの増大を回避でき、ガス漏れによる性能低下を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0024】
図1A及び
図1Bは、それぞれ、本発明にかかるガスクーラ10の平面図、及び前側面図である。このガスクーラ10は、例えば圧縮機本体から吐出される圧縮空気を冷却するために圧縮機に組み込まれる。本実施形態のガスクーラ10は、インタークーラ(第1ガスクーラ)20とアフタークーラ(第2ガスクーラ)50とを有し、略直方体状に一体形成されている。以下、本発明にかかるガスクーラ10を、オイルフリーの二段スクリュ圧縮機本体を含むスクリュ圧縮機に組み込んだ例を説明する。前記スクリュ圧縮機では、インタークーラ20が低段側スクリュ圧縮機と高段側スクリュ圧縮機との間のガス経路に設けられ、アフタークーラ50が高段側スクリュ圧縮機の下流のガス経路に設けられる。
【0025】
図2ないし
図5に示すように、インタークーラ20は、略直方体状に形成され両端が開口した第1ケーシング21を備える。第1ケーシング21の開口は、熱交換器挿入口である基端側第1開口211と、先端側第1開口212とからなっている。基端側第1開口211の周囲の第1ケーシング21の部分は、側壁部分89である。先端側第1開口212の周囲の第1ケーシング21の部分は、側壁部分90である。側壁部分89に外部から、後述する第1取付部36が連結される。第1ケーシング21は、第1天壁部22、第1外側壁部23、第1内側壁部24、及び第1底壁部25を備える。第1外側壁部23、及び第1内側壁部24は、それぞれ、第1底壁部25から立ち上がるように形成され、互いに対向している。
図6Bに示すように、第1外側壁部23、及び第1内側壁部24には、後述する第1冷却部(熱交換器)35を支持する第1支持リブ26がそれぞれ設けられている。
【0026】
アフタークーラ50は、略直方体状に形成され両端が開口した第2ケーシング51を備える。第2ケーシング51の開口は、熱交換器挿入口である基端側第2開口511と、先端側第2開口512とからなっている。基端側第2開口511の周囲の第2ケーシング51の部分は、側壁部分89である。先端側第2開口512の周囲の第2ケーシング51の部分は、側壁部分90である。側壁部分89に外部から、後述する第2取付部66が連結される。第2ケーシング51は、第2天壁部52、第2外側壁部53、第2内側壁部54、及び第2底壁部55を備える。第2外側壁部53、及び第2内側壁部54は、それぞれ、第2底壁部55から立ち上がるように形成され、互いに対向している。第2外側壁部53、及び第2内側壁部54には、後述する第2冷却部(熱交換器)65を支持する第2支持リブ56がそれぞれ設けられている。
【0027】
インタークーラ20とアフタークーラ50とは、中間部80を介して連結されている。
図1A、及び
図5に示すように、中間部80の、インタークーラ20の第1天壁部22とアフタークーラ50の第2天壁部52とを連結する部分は、中間天壁部81である。第1天壁部22、中間天壁部81、及び第2天壁部52は一体形成され、共通天壁部84を構成している。また、
図3に示すように、中間部80の、インタークーラ20の第1底壁部25とアフタークーラ50の第2底壁部55とを連結する部分は、中間底壁部82である。第1底壁部25、中間底壁部82、及び第2底壁部55は一体形成され、共通底壁部85を構成している。本実施形態では、中間部80は、第1内側壁部24、及び第2内側壁部54と一体形成されている。
【0028】
図3、及び
図6Aに示すように、インタークーラ20の第1内側壁部24の第1天壁部22側には、第1ケーシング21の内部にガスを導入する第1導入口27が設けられている。第1導入口27は水平方向(第1ケーシング21の長手方向)一側に配置されている。第1導入口27は略半円状である。
図1Aに示すように、共通天壁部84には、低段側スクリュ圧縮機の吐出側と接続される導入側第1接続口28が設けられている。導入側第1接続口28は、第1導入口27の上方に位置する中間天壁部81に配置されている。中間部80には、導入側第1接続口28と第1導入口27とを接続する導入側第1連通路29が設けられている。
【0029】
図4、及び
図6Aに示すように、インタークーラ20の第1内側壁部24の第1底壁部25側には、第1ケーシング21の内部からガスを導出する第1導出口31が設けられている。第1導出口31は前記水平方向他側、すなわち第1内側壁部24の長手方向における第1導入口27の反対側に配置されている。第1導出口31は略矩形状の開口である。第1導出口31の開口下端は、後述する第1ドレン回収部43を除く第1底壁部25の上面と略同じ高さに位置している。第1導出口31の水平方向の長さ(幅)は上下方向の長さ(高さ)よりも長い。
図1Aに示すように、共通天壁部84には、高段側スクリュ圧縮機の吸込側と接続される導出側第1接続口32が設けられている。導出側第1接続口32は、第1導出口31の上方に位置する中間天壁部81に配置されている。中間部80には、導出側第1接続口32と第1導出口31とを接続する導出側第1連通路33が設けられている。
【0030】
図1A、
図1B及び
図6Aに示すように、第1冷却部35には、第1ケーシング21の基端側第1開口211を閉塞して開口211に対する気密性を保持する第1取付部36が設けられている。第1取付部36は、第1冷却部35の一部を構成しており、第1ケーシング21に対して取り付けられている。また、第1取付部36には、第1冷却部(熱交換器)35の冷却水流路に冷却水を流入させるための第1流入ポート38と、冷却水流路から冷却水を流出させるための第1流出ポート39とを備えた基端側カバー93が設けられている。具体的には、基端側カバー93は第1取付部36に対して液密性を保持するように取り付けられている。第1流出ポート39は、第1流入ポート38よりも上方に配置されている。また、インタークーラ20には、第1ケーシング21の先端側第1開口212を閉塞して開口212に対する気密性を保持する第1閉塞部37が設けられている。この第1閉塞部37は、第1冷却部(熱交換器)35の先端側において、冷却水流路から第1ケーシング21の内部へ冷却水が漏洩することを防止するシール機能を更に備えている。また、第1閉塞部37には、第1先端側カバー94Aが設けられている。具体的には、第1先端側カバー94Aは第1閉塞部37に対して液密性を保持するように取り付けられている。
【0031】
第1流入ポート38は、冷却水の供給部(図示せず)と接続されている。第1流出ポート39は、冷却水の排水部(図示せず)と接続されている。排水部は、供給部と接続して、インタークーラ20の循環流路を形成してもよい。
【0032】
図7A及び
図7Bに示すように、第1冷却部35は、熱交換器であり、ガスを冷却するために内部を冷却水が流通する冷却水流路を構成する複数の冷却管40を備えている。冷却水流路は、冷却管40の直線部分と、第1先端側カバー94A内に設けられた折り返し部分(図示せず)とからなる蛇行した形状に形成されている。前記直線部分の各冷却管40は、略水平方向に互いに平行に配置されている。そのため、各冷却管(各冷却水路)40の間にはガス流路が設けられることになる。
図6Aに示すように、第1冷却部35は、第1ケーシング21に収容され、水平方向一側と水平方向他側との間に配置される。また、第1冷却部35は、第1導入口27よりも下方に位置し、かつ第1導出口31よりも上方に位置する範囲に配置される。
【0033】
各冷却管40の始端開口部は、第1取付部36の第1流入ポート38に接続されている。各冷却管40の終端開口部は、第1取付部36の第1流出ポート39に接続されている。
図7Bに示すように、第1冷却部35(熱交換器)は、ガス流路に配備され、ガスの流れを誘導しながら当該ガスを冷却する複数のフィン41を備えている。
図7Bに示す例では、複数の冷却管40は、一体的に設けられた上下方向に延びる複数のフィン41を備える。複数のフィン41は第1ケーシング21の水平方向一側から水平方向他側に向かって互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、第1ケーシング21の水平方向一側から水平方向他側にわたってフィン41,41間にガスを上下方向に誘導するための流路が形成されるように、第1冷却部35が構成されている。
図6A及び
図6Bに示すように、第1冷却部35は、第1ケーシング21の第1支持リブ26に支持されている。
【0034】
図3や
図6Bに示すように、第1支持リブ26は、第1ケーシング21の基端側第1開口211の周縁よりも内側に突出しており、突出した部分が第1ケーシング21の一端側から他側に亘って延設されている。
【0035】
図7Aに示すように、第1冷却部35には、上下に開放部分87を残しつつ両側部を覆うように2つのシールプレート42が取り付けられている。2つのシールプレート42は、パイプ状の連結スペーサ86を介して一体化されている。各シールプレート42は、上下端に曲げ加工による段差部が形成され、下側の段差部により生じる下向きの段差面42Aが第1支持リブ26の上面によって支持される。これにより、段差面42Aと第1支持リブ26の上面との間が第1冷却部35の第1ケーシング21の一端側から他側に亘ってシールされる。つまり、第1冷却部35には、第1冷却部35を通過する前のガスが流通する上部側の空間213と第1冷却部35を通過した後のガスが流通する底部側の空間214とに、第1ケーシング21の内部を区画するシールプレート42が設けられている。
【0036】
図6Aに示すように、第1ケーシング21の第1底壁部25には、第1冷却部35での冷却によりガス中の水分が凝縮したドレン水を回収する第1ドレン回収部43が設けられている。第1ドレン回収部43は、一部が第1導出口31に隣接するように配置されている。第1ドレン回収部43は凹部である。第1ドレン回収部43(凹部)の底部には、外部と連通する第1排水孔47が設けられている。
【0037】
図6Bに示すように、ガスクーラ10の第1排水孔47には、第1ドレン回収部43に流入したドレン水を外部に排出する第1排出部45が設けられている。第1排出部45には、第1電磁弁46が設けられている。第1電磁弁46は、制御装置(図示せず)によりその開閉が制御される。なお、第1排出部45、及び第1電磁弁46は、
図6B以外の図においては、それらの記載を省略している。
【0038】
図6Aに示すように、第1内側壁部24には、第1ドレン回収部43からのドレン水の吹き上がりを防止する第1吹上防止部48が設けられている。第1吹上防止部48は、第1内側壁部24と交差する方向に延びるように、第1ドレン回収部43の直上に配置されている。第1吹上防止部48は、第1ドレン回収部43との間に介在物が存在しないように第1内側壁部24に配置されている。本実施形態における第1吹上防止部48は、第1導出口31より下方に設けられ、第1内側壁部24に対して直交する方向に延びるプレートである。本実施形態では、第1吹上防止部48は、第1導出口31の開口下端に沿うように配置されている。すなわち、第1吹上防止部48は、ガスの流れを阻止しない位置に配置されている。第1吹上防止部48の幅は第1導出口31の幅と同じである。第1外側壁部23と第1内側壁部24との間の間隔をDとした場合、第1吹上防止部48の長さLは、1/3〜1/4Dである。
【0039】
図2ないし
図4に示すように、アフタークーラ50の第2天壁部52の内面側には、第2ケーシング51の内部にガスを導入する第2導入口57a,57bが設けられている。第2導入口57a,57bは水平方向(第2ケーシング51の長手方向)の略中央に配置されている。第2導入口57aの導入方向は前記水平方向一側(第2閉塞部67側)である。第2導入口57bの導入方向は前記水平方向他側(第2取付部66側)である。第2導入口57a,57bは、開口した側から見て略半円状である。
図1Aに示すように、共通天壁部84には、高段側スクリュ圧縮機の吐出側と接続される導入側第2接続口58が設けられている。導入側第2接続口58は、第2天壁部52の長手方向の中央に配置されている。第2ケーシング51の内部には、導入側第2接続口58と第2導入口57a,57bとを接続する導入側第2連通路59が設けられている。
【0040】
図2、及び
図4に示すように、アフタークーラ50の第2外側壁部53の第2底壁部55側には、第2ケーシング51の内部からガスを導出する第2導出口61が設けられている。第2導出口61は前記水平方向他側(第2取付部66側)に配置されている。第2導出口61は略矩形状の開口である。第2導出口61の水平方向の長さ(幅)は上下方向の長さ(高さ)よりも長い。第2導出口61には、圧縮空気の供給先(図示せず)と接続される導出側第2接続口62が設けられている。
【0041】
図1Aに示すように、アフタークーラ50には、インタークーラ20と同様に、第2取付部66、基端側カバー93、第2閉塞部67、及び第2先端側カバー94Bが設けられている。第2取付部66には、第2冷却部(熱交換器)65の冷却水流路に冷却水を流入させるための第2流入ポート(図示せず)と、冷却水流路から冷却水を流出させるための第2流出ポート69とを備えた基端側カバー93が設けられている。具体的には、基端側カバー93は第2取付部66に対して液密性を保持するように取り付けられている。第2流出ポート69は、第2流入ポート(図示せず)よりも上方に配置されている。また、アフタークーラ50には、第2ケーシング51の先端側第2開口512を閉塞して開口512に対する気密性を保持する第2閉塞部67が設けられている。この第2閉塞部67は、第2冷却部(熱交換器)65の先端側において、冷却水流路から第2ケーシング51の内部へ冷却水が漏洩することを防止するシール機能を更に備えている。また、第2閉塞部67には、第2先端側カバー94Bが設けられている。具体的には、第2先端側カバー94Bは第2閉塞部67に対して液密性を保持するように取り付けられている。
【0042】
第2流入ポート(図示せず)は、冷却水の供給部(図示せず)と接続されている。第2流出ポート69は、冷却水の排水部(図示せず)と接続されている。排水部は、供給部と接続して循環流路を形成してもよい。
【0043】
アフタークーラ50の第2ケーシング51に取り付けられる第2冷却部65は、インタークーラ20の第1ケーシング21に取り付けられる第1冷却部35と同様に構成されている。第2冷却部65の各冷却管(図示せず)の始端開口部は、第2取付部66の第2流入ポート(図示せず)に接続されている。第2冷却部65の各冷却管(図示せず)の終端開口部は、第2取付部66の第2流出ポート69に接続されている。
【0044】
なお、
図1Aに示す例では、第1取付部36と第2取付部66に取り付けられる基端側カバー93が一体的に構成されている。しかしながら、基端側カバー93は、それぞれの取付部36,66毎に取り付けられるように個別に構成されていてもよい。また、第1閉塞部37と第2閉塞部67には、先端側カバー94A,94Bがそれぞれ個別に取り付けられている。しかしながら、第1閉塞部37と第2閉塞部67に取り付けられる先端側カバー94A,94Bは、一体的に構成されていてもよい。
【0045】
図6Aに示す第1ドレン回収部43と同様に、第2ケーシング51の第2底壁部55には、第2ドレン回収部(図示せず)が設けられている。
【0046】
第2ケーシング51には、第1ケーシング21と同様に、第2排出部75、第2電磁弁76、及び第2排水孔77が設けられている。
【0047】
第2外側壁部53には、インタークーラ20の第1吹上防止部48と同様に、第2吹上防止部材(図示せず)が設けられている。
【0048】
以上の構成からなる本発明のガスクーラ10の動作について説明する。
【0049】
低段側スクリュ圧縮機の吐出側からインタークーラ20の導入側第1接続口28へガス(圧縮空気)が送気される。
図6Aに示すように、導入側第1接続口28を通して第1導入口27から導入されたガス(圧縮空気)は、内部空間へ導入され、上方から第1冷却部35へ送られる。第1冷却部35へ送られたガスは、
図7Bに示すように、フィン41,41に沿って上から下へと移動する。その際、ガスは第1冷却部35の冷却管40の外面及びフィン41と接触することにより、冷却管40内部の冷却水と熱交換して冷却される。冷却されたガス中の水分は、液滴となり、冷却管40及びフィン41を伝って、第1底壁部25へと落下する。また、冷却管40及びフィン41に付着した一部の液滴は、上から下へと流れるように誘導されたガスにより、落下が促進される。第1底壁部25上に落下した液滴はドレン水となる。そして、ドレン水は、第1底壁部25に沿って移動するガスから推進力を得て、第1吹上防止部48の下方の第1ドレン回収部43へと送られる。
【0050】
図8A及び
図8Bに示すように、インタークーラ20内を第1底壁部25に沿って移動するガスは、第1吹上防止部48の上側に沿って前進し、第1導出口31から流出する。第1導出口31から流出したガスは、導出側第1連通路33、導出側第1接続口32を通って、高段側スクリュ圧縮機の吸込側へ送られる。ガスが第1導出口31から流出する際、
図9Aに示すように、ガスは、第1ドレン回収部43のドレン水を随伴しない。すなわち、第1ドレン回収部43に回収されたドレン水は、第1ドレン回収部43から第1導出口31へ吹き上げられることが防止される。なお、インタークーラ20に第1吹上防止部48が設けられていない場合、
図9Bに示すように、第1ドレン回収部43のドレン水は、ガスによって第1導出口31へ吹き上げられる。すなわち、ガスは、第1ドレン回収部43のドレン水を随伴し、第1導出口31から流出する。
【0051】
アフタークーラ50では、高段側スクリュ圧縮機の吐出側から導入側第2接続口58へガス(圧縮空気)が導入される。導入されたガスは、第2導入口57a,57bを通って、第2導出口61から導出される。導出されたガスは、導出側第2接続口62へと送られ、圧縮空気の供給先(図示せず)に供給される。
【0052】
アフタークーラ50内部における構成および動作もインタークーラ20内部における構成および動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
上記の構成によれば、第1導入口27を第1冷却部35の上方に配置し、第1冷却部35にフィン41を設けて第1導入口27から導入されたガスが上から下に向かって流れ易くなるようにしているので、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。すなわち、第1導入口27から導入したガスの流れが降下流となるようにガスを誘導することができ、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。また、第1導入口27から第1導出口31に向かって第1冷却部35を斜め方向に横切るような最短ルートのガス流れがなくなるので、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。
【0054】
第1冷却部35を、第1導入口27よりも下方、かつ第1導出口31よりも上方に配置しているので、第1導入口27から導入したガスを第1冷却部35で十分に冷却できる。特に、第1導入口27を、第1ケーシング21の長手方向の水平方向一側に配置し、第1導出口31を水平方向他側に配置しているので、第1ケーシング21の上部側の空間213を設けてガスの流路を拡張させることによりガスの流速を落とすことができ、ガスを十分に冷却できる。したがって、第1冷却部35でガス中の水分を十分に凝縮させることができ、ガスから水分を十分に分離することができる。したがって、ガスの冷却効率、及びドレン分離効率を向上させることができる。そして、第1冷却部35を通るガスの降下流により、第1冷却部35で凝縮したガス中の水分を第1底壁部25に容易に落下させることができる。なお、第1導入口27は、第1ケーシング21の内部に導入するガスを第1導出口31に対して一旦遠ざける方向へ流す向きに開口している。したがって、導入口から導入されたガスが導出口までの最短ルートで流れる量を減少させることができ、より効果的なガス冷却ができる。
【0055】
第1底壁部25に落下した水分、すなわちドレン水は、第1底壁部25に沿って移動するガスによって第1導出口31に隣接し第1吹上防止部48の下方に位置する第1ドレン回収部43に移動させることができる。特に、第1吹上防止部48を、第1導出口31より下方、かつ第1ドレン回収部43の直上に位置するように、第1内側壁部24に配置しているので、第1ドレン回収部43に回収されたドレン水が、流れるガスによって第1導出口31へ吹き上げられて前記ガスに随伴されることを防止できる。したがって、インタークーラ20の下流側に接続された装置、すなわち、高段側スクリュ圧縮機にドレン水を流入させることを回避できる。したがって、ドレン水流入による装置(高段側スクリュ圧縮機)の損傷を回避できる。また、ガスの流路を第1吹上防止部48の上方に形成し、ドレン水の流路を第1吹上防止部48の下方に形成しているので、空気圧損の発生、すなわち性能低下を回避できる。
【0056】
第1ドレン回収部43の凹部に回収されたドレン水は、第1電磁弁46を開弁することにより、第1排出部45から自動で排水できる。
【0057】
また、アフタークーラ50の下流側に接続された圧縮空気の供給先にドレン水を持ち越すことを回避できる。したがって、ドレン水持ち越しによる圧縮空気の供給先での不具合を回避できる。
【0058】
本発明によれば、第1導出口31に隣接するようにガスクーラ10の内部の底部側の空間214に第1ドレン回収部43を設け、該第1ドレン回収部43の上方にドレン水の外部への流出を防止する第1吹上防止部48を設けることにより、外部でのドレンセパレータの配管連結の必要性を排除できるので、組立性を向上させることができる。また、ガスクーラ10は、外部の連結部を増加させない構造であるため、ガス漏れのリスクの増大を回避でき、ガス漏れによる性能低下を防止できる。
【0059】
さらに、第1吹上防止部48をプレートにより設けているので、簡易な構成で第1底壁部25のドレン水の吹き上がりを防止できる。ガスクーラ10の外部に、独立したドレンセパレータを設けることなく、冷却機能と水分除去機能とを有する装置を簡易に構成できる。部品点数を削減でき、前記装置のコストを低減できる。ガスクーラ10の下流にドレンセパレータを設ける必要性を排除できるので、ガス流路の圧損の増加を回避でき、スクリュ圧縮機の性能低下を回避できる。
【0060】
なお、本発明のガスクーラ10は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、以下に例示するように、種々の変更が可能である。
【0061】
第1吹上防止部48は、第1ケーシング21と一体的に形成してもよいし、第1ケーシング21と別体で形成してもよい。
【0062】
第1吹上防止部48の幅は、第1導出口31の幅よりも広くてもよい。また、第1吹上防止部48の長さは、上記実施形態における長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0063】
第1ドレン回収部43は、第1底壁部25上の平面領域であってもよい。すなわち、第1ドレン回収部43は、凹部を有していなくてもよい。
【0064】
第1吹上防止部48は、パンチングメタルプレートであってもよい。この構成によれば、第1冷却部35から第1吹上防止部48の上面に滴下したドレン水を第1ドレン回収部43に落下させることができる。
【0065】
第1吹上防止部48は、第1導出口31の周縁部に沿って当該周縁部からドレン回収部の上方まで延設された筒状部材であってもよい。
【0066】
第1吹上防止部48は、第1導出口31を閉塞するとともに、第1冷却部35の下方の空間と導出側第1連通路33とを連通する連通孔を有する円柱部材または角柱部材であってもよい。
【0067】
本発明のガスクーラは、単体のインタークーラ20と単体のアフタークーラ50とを連結したものであってもよいし、インタークーラ20、及びアフタークーラ50のいずれか一方のみであってもよい。
【0068】
本発明のガスクーラでは、ケーシングの内部に導入するガスを導出口に対して一旦遠ざける方向へ流す向きに導入口を開口させる場合、導入口をケーシングの一端側と他端側の中程に設けてもよい。